【実施例1】
【0015】
(実施例1の構成)
まず、この発明の実施例1の紫外線照射装置1について、
図1および
図2に従い説明する。紫外線照射装置1は、被処理流体としての液体を紫外線により殺菌処理する装置である。なお、被処理流体としては、液体に限定されず気体であっても良い。
【0016】
この紫外線照射装置1は、
図1に示すように、被処理液の入口2および出口3が設けられた容器4と、この容器4内に配置され、紫外線透過性を有する筒状の石英ガラス製の保護管5と、この保護管5内に挿入された紫外線ランプ6とを備えている。石英ガラスとは、シリカ(SiO
2)からつくられるガラスで、通常のガラスに比べてシリカの純度が高いものをいい、溶融石英ガラス、合成石英ガラスが含まれる。
【0017】
この実施例1の特徴とするところは、保護管5の表面に形成した凹凸面からなる反射防止構造7にある。この反射防止構造7は、好ましくは、
図1に示すように、保護管5の内表面および外表面に形成するが、内表面および外表面のどちらか一方であってもよい。
【0018】
実施例1の反射防止構造7,7は、
図2に示すように、シリカにて形成されるモスアイ構造としている。「モスアイ構造」とは、物質の表面に入射電磁波の波長以下の周期を有する突起体を密集させ、その表面の反射率が低減された構造をいう。具体的には、ナノメーターオーダーの凹凸形状が均一配置された構造を有する。言い換えれば、「モスアイ構造」は、入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止するものである。なお、この「モスアイ構造」の定義は、特許文献2や「ガラス成形による反射防止構造の作製」田中康弘,NEW GLASS 23,33(2008)で知られている。
【0019】
そして、この反射防止構造7,7は、凸部(突起と称することができる。)8,8,・・・が均一配置された構造を有する。各凸部8の高さHを300〜50nmとし、各凸部8の周期Pを300から100nmとして、各凸部8の頂部から底部に至る屈折率が空気の屈折率1.0から石英ガラスの紫外線に対する屈折率約1.5まで連続的に変化するように構成している。各凸部8の形状は、
図2に示すものに限定されないものであり、円錐形や四角錐形とすることができる。なお、
図2では、保護管5の外表面の反射防止構造7のみを示し、内面側の反射防止構造は、図示省略している。
【0020】
各凸部8の高さHを300〜50nmとし、各凸部8の周期Pを300から100nmとしたのは、対象となる光の波長領域(この実施例1では、250〜300nm)と同等,若しくは、それ以下の周期で錘形を配列させることで、対象となる光波長に対して緩やかに屈折率を変化させるためである。
【0021】
図1に戻って、円筒状容器4は、入口2および出口3を設けた筒状体9と、筒状体9の上下端部の開口を塞ぐ上板10および下板11とから構成されている。容器4内には、紫外線を透過する石英製の保護管5が容器4の軸方向に沿って、上板10および下板11を貫通するように配置されている。保護管5内には、紫外線ランプ6が挿入され、この紫外線ランプ6と図示しない電源とはケーブル12により接続されている。符号13は、容器4の上部に設けたカバーである。
【0022】
(実施例1の効果)
上述のように構成される紫外線照射装置1によれば、反射防止構造7,7をモスアイ構造としているので、反射量を低減し、照射量を向上させることができる。また、反射防止構造7,7を樹脂フィルムにより形成しているものと比較して、紫外線の吸収量を大幅に低減できる。
【0023】
(実施例1の反射防止構造の製造方法1)
つぎに、反射防止構造7の製造方法1を
図3〜
図6に従い説明する。この製造方法1は、つぎのステップを含んでいる。
(1)第一ステップ(フィルムによるシリカ微粒子の保持):
直径0.1〜0.3μmのシリカ微粒子13を分散させた水に高分子分散剤を滴下し、シリカ表面に高分子膜を形成する(密に配列させる場合は、高分子分散剤は不要である。)次に、この溶液を第一基板15上に塗布し、水を蒸発させることで、スペーサコート14を表面に施したシリカ微粒子13配列を得る。得られたシリカ微粒子13配列上に、10wt%PVB(ポリビニルブチラール)エタノール溶液に、可塑剤を添加した溶液を塗布、乾燥することで、
図3のようにシリカ微粒子13を高分子膜(フィルム)16に均一に配列した状態で埋設する。可塑剤としては、フタル酸エステル等が利用できる。第一基板
15は、たとえばシリコンウエハとするが、シリカ微粒子を配列させる表面が平滑であれば、特別な材質のものに限定されない。
【0024】
(2)第二ステップ(フィルムの剥離):
図4に示すように、シリカ微粒子13を保持したフィルム16を第一基板15から剥がす。
【0025】
(3)第三ステップ(フィルムの保護管への貼り付け):
図5に示すように、剥離したフィルム16を保護管5の表面に可塑剤に由来する粘着性によって貼り付ける。保護管5の外表面へのフィルム16貼り付けは、保護管5にフィルム16を巻きつけることで行う。
【0026】
また、保護管5の内表面へのフィルム16の貼り付けは、つぎの方法で可能である。第一の方法は、フィルム16を保護管5の内径よりやや小さい外径の筒状に形成する。ついで、表面に接着材を施した筒状フィルム16を保護管5内側に通し、筒状フィルム16の内側に装着した空気袋(図示省略)を膨らませて、筒状フィルム16を保護管5の内面に貼り付ける。第二の方法は、リボン状にしたフィルム16を保護管15内側に、押し付け具(ローラ,ヘラ等)で全周に亘って内面に押し付けて貼り付ける。
なお、第一の方法および第二の方法は、この発明のフィルム16の貼り付けに適用できるだけでなく、モスアイ構造を備える樹脂製反射防止フィルムを種々の管に貼り付ける際にも適用可能である。
【0027】
(4)第四ステップ(フィルム付き保護管の焼成):
図5に示すフィルム16を接着した保護管5を700〜1300℃の温度で焼成する。すると、コート14が酸化除去され、シリカ粒子13が保護管に接着して、
図6に模式的に示す凸部8が保護管5上に均一配列されたモスアイ構造の反射防止構造7が形成される。なお、
図6では、隣接する凸部8,8間の谷間を鋭角的に表現しているが、谷間は凹曲面に形成される。
【0028】
(製造方法1の効果)
上述の製造方法1によれば、露光技術とエッチングとの組み合わせによりモスアイ構造を形成する方法と比較して、曲面である保護管5の表面(特に、保護管5の内面)にモスアイ構造を容易に形成することができる。
【0029】
(実施例1の反射防止構造7の製造方法2の構成)
つぎに、反射防止構造7の製造方法2を
図7〜
図10に従い説明する。この製造方法2は、つぎのステップを含んでいる。
(1)第一ステップ(基板へのシリカ微粒子の配列):
製造方法2では、
図7に示すように、製造方法1と同様に、コート14を施したシリカ微粒子13を第二基板17上に均一に配列して、高分子膜(フィルム)16に均一に配列する。第二基板17も、第一基板15と同様にシリカ微粒子を配列させる表面が平滑であれば、特別な材質のものに限定されない。
【0030】
(2)第二ステップ(フィルムによる微粒子の保持):
図8に示すように、第二基板17上に均一配列されたシリカ微粒子13を粘着性のあるテープ(フィルムと称することができる)18に付着させて、シリカ微粒子13を保持したテープ18を第二基板17から剥がす。
【0031】
(3)第三ステップ(フィルムの保護管への貼り付け):
図9に示すように、シリカ微粒子13側を保護管5の表面側として、テープ18を、接
着剤を用いて貼り付ける。接着剤は、PVA(ポリビニルアルコール),PVB(ポリビニルブチラール)などのセラミックバインダとなり得るポリマーを接着剤とする。テープ18の保護管5の表面への貼り付け方法は、製造方法1と同様であるので、その説明を省略する。
【0032】
(4)第四ステップ(フィルム付き保護管の焼成):
図9に示すテープ18を接着した保護管5を700〜1300℃の温度で焼成する。すると、ポリマー接着剤は、酸化除去され、
図10に模式的に示すように、凸部8が保護管5状に均一配列されたモスアイ構造の反射防止構造7が形成される。
【0033】
(製造方法2の効果)
上述の製造方法2によれば、製造方法1と同様に、曲面である保護管5の表面にモスアイ構造を容易に形成することができる。
【0034】
なお、保護管5の表面へのモスアイ構造の製造方法は、好ましくは、前記製造方法1または製造方法2とするが、シリカ微粒子13を分散させた溶液に、保護管5を浸漬し、シリカ微粒子13を保護管5の表面に付着させ、その後、焼成することで均一配列の凸部8を形成することができる。