特許第6035858号(P6035858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035858
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】三次元成形用加飾シート及び加飾成形品
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20161121BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161121BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20161121BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B32B27/00 E
   B32B3/10
   B29L9:00
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-112252(P2012-112252)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-226775(P2013-226775A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2012-83239(P2012-83239)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(72)【発明者】
【氏名】竹内 絵美
(72)【発明者】
【氏名】須賀 和宏
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−234159(JP,A)
【文献】 特開2010−121013(JP,A)
【文献】 特開2009−46605(JP,A)
【文献】 特開2012−46702(JP,A)
【文献】 特開2011−104804(JP,A)
【文献】 特開2006−342358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B32B 3/10
B32B 27/00
B29L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有する三次元成形用加飾シートであって、該組成物が下記の化学式(1)で示されるアミド結合を有する感光性化合物を1〜10質量%含有することを特徴とする三次元成形用加飾シート。
【化1】

(式(1)中、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示し、Rは単結合又は−NR−を示し、Rは単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、R及びRは各々独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を示し、Rは水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。また、RはRが単結合のときは単結合であり、RはRが単結合のときは単結合である。)
【請求項2】
が炭素数2〜4のアルケニル基であり、R及びRが単結合であり、かつR及びRが炭素数1〜3のアルキル基である請求項1に記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項3】
アミド結合を有する感光性化合物が、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項4】
電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として2官能性モノマーのみを含有する請求項1〜のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項5】
電離放射線硬化性樹脂組成物が該組成物中の固形分に対して1質量%未満の体質顔料を含有する請求項1〜のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項6】
電離放射線硬化性樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項7】
盛上部の一つの面積が3mm以下である請求項1〜のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項8】
全面に対する盛上部の総面積が55%以下であり、かつ該盛上部間の距離が0.03mm以上である請求項1〜のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項9】
基材シートの盛上部とは反対側に支持体層を有する請求項1〜のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
【請求項10】
基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該組成物が下記の化学式(1)で示されるアミド結合を有する感光性化合物を1〜10質量%含有する加飾シートと、該加飾シートの基材シートの盛上部とは反対側に射出樹脂層とを有する加飾成形品。
【化2】

(式(1)中、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示し、Rは単結合又は−NR−を示し、Rは単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、R及びRは各々独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を示し、Rは水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。また、RはRが単結合のときは単結合であり、RはRが単結合のときは単結合である。)
【請求項11】
基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該組成物が下記の化学式(1)で示されるアミド結合を有する感光性化合物を1〜10質量%含有し、基材シートの盛上部とは反対側に支持体層を有する加飾シートと、該加飾シートの支持体層側に射出樹脂層とを有する加飾成形品。
【化3】

(式(1)中、Rは炭素数2〜8のアルケニル基を示し、Rは単結合又は−NR−を示し、Rは単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、R及びRは各々独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を示し、Rは水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。また、RはRが単結合のときは単結合であり、RはRが単結合のときは単結合である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形又はサーモジェクト成形に用いられる三次元成形用加飾シートと該加飾シートを用いた加飾成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成形品の表面に加飾シートを積層することで加飾した加飾成形品が、建築内外装材、建具、家具、携帯電話部品、車両内装部品などの各種用途で使用されている。このような加飾成形品の成形方法としては、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させ、樹脂成形体表面に加飾を施す射出成形同時加飾法(サーモジェクト成形法)、あるいは加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化するインサート成形法などの三次元成形法が代表的に挙げられる。
【0003】
例えば、バッカー層を積層した成形用加飾シートを金型内壁面に形成した後、成形用樹脂を射出成形することにより、シートで表面が被覆された成形品を製造するインサート成形法が提案されている(例えば、特許文献1)。
インサート成形法に用いられる加飾フィルムの模様は、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とするインキを用いた平面的絵柄として形成されるのが一般的である。この場合、絵柄の耐久性(耐摩耗性など)を得るために基材シートの裏面側(樹脂成形物側)に絵柄を印刷する結果、インサート成形品の表面は平坦、かつ均一な光沢の外観を呈することになり、このままでは加飾成形品の表面に凹凸感を有する意匠感を表現することはできない。また、サーモジェクト成形においても同様の問題がある。
【0004】
これに対して、成形品表面に、凹凸感、立体感、奥行感を付与すべく、基材シート裏面に絵柄を印刷し、表面側にエンボス(型押し)加工により表面凹凸を付与することも試みられた。しかし、エンボス加工により表面凹凸を施すと、射出成形時、あるいはそれに先立つ予備成形(真空成形)時の熱と応力の作用で表面凹凸が平坦面に復元してしまうことがあり、また、該表面凹凸は熱可塑性樹脂により形成されているため、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることがあった。
【0005】
特許文献2には、熱可塑性樹脂の基材シートの表面側に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物で樹脂模様層を部分的に形成した加飾シートを用いてサーモジェクト成形を行う発明が、特許文献3には、基材シートに未硬化の電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を設け、加熱圧により表面保護層側の面を賦形用型の微細凹凸により賦形し、その後に電離放射線を照射して微細凹凸模様を有する表面保護層を硬化させて、微細凹凸模様を有するインサートシートを製造する方法に関する発明が提案されている。
さらに、特許文献4には、表面に微細凹凸を有する凹版の凹部に未硬化の電離放射線硬化型樹脂が充填され、その上から基体シートを圧着させた状態で電離放射線が照射されることにより基体シートの片面に厚さ2μm以上の硬化した微細凹凸層が形成された凹凸インサートシートが提案されている。
しかしながら、これらのシートを用いてインサート成形すると真空成形時又は射出成形時に、あるいはサーモジェクト成形すると射出成形時に、加飾シートの伸びによって、該シート表面の凸部に割れや白化が発生するという問題があった。
【0006】
そこで、成形用加飾フィルム表面の凹凸模様を形成する盛上部の配置と大きさを、基材シート全面に対する総面積が45%以下であり、且つ1つの盛上部の面積が2mm2以下と規定することにより、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾フィルム表面の凸部に割れが発生しない成形用加飾フィルムが提案されている(例えば、特許文献5)。
この成形用加飾フィルムにより、加飾フィルム表面の凹凸模様の割れの発生を抑制することは可能となったが、一方で、要望される凹凸模様を有する意匠の多様化に十分対応できない場合があった。また、より厳しい使用環境下においても、基材シートと盛上部との優れた密着性を有する加飾シートが求められているが、十分に検討されない状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平8−2550号公報
【特許文献2】特開2002−240078号公報
【特許文献3】特開2004−42409号公報
【特許文献4】特開2004−276416号公報
【特許文献5】特開2009−234159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況下で、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れた三次元成形用加飾シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、三次元成形用加飾シート表面の盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物にアミド結合を有する感光性化合物を含有させることによって、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有する三次元成形用加飾シートであって、該組成物がアミド結合を有する感光性化合物を含有することを特徴とする三次元成形用加飾シート、
[2]基材シートの盛上部とは反対側に支持体層を有する上記[1]に記載の三次元成形用加飾シート、
[3]基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該組成物がアミド結合を有する感光性化合物を含有する加飾シートの基材シートの盛上部とは反対側に射出樹脂層を有する加飾成形品、及び
[4]基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該組成物がアミド結合を有する感光性化合物を含有し、基材シートの盛上部とは反対側に支持体層を有する加飾シートの支持体層側に射出樹脂層を有する加飾成形品、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れた三次元成形用加飾シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図である。
図2】本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図である。
図3】盛上部の一つの態様の断面を示す模式図である。
図4】本発明の加飾成形品の一つの態様の断面を示す模式図である。
図5】本発明の加飾成形品の一つの態様の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の三次元成形用加飾シートの実施態様の断面を示す模式図である。本発明の三次元成形用加飾シート10(以下、単に「加飾シート10」と呼ぶこともある)は、基材シート11の上に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部12を有しており、該盛上部12は基材シート11上の一部に存在する。また、図2も本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図であり、図2に示される加飾シート10は、支持体層15上に、接着剤層14を介して、着色層13、基材シート11、及び盛上部12を順に有しており、該盛上部12は該基材シート11上の一部に存在する。なお、本発明の加飾シートは図1及び2に記載の様態に限定されるわけではない。
【0013】
〔基材シート〕
基材シートは、本発明の加飾シートの製造時は、着色層などの他の層を形成する支持シートとしての機能を有する層である。
基材シートを構成する材料としては、熱可塑性樹脂が好適に使用される。加飾シートを成形して使用する際に、成形性が得られやすいからである。
このような熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体)、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート、成形性ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂などが好ましく挙げられる。
なかでも、アクリル樹脂、成形性ポリエステル樹脂などが好ましい。
【0014】
基材シートとしては、例えば上記のような樹脂からなる単層又は多層構成の樹脂シートを使用する。また、基材シートには、必要に応じて適宜、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などの各種添加剤を、物性調整のために添加してもよい。
【0015】
基材シートとしては、加飾シートに通常用いられるものであれば特に制限なく用いることができ、透明であることが好ましい。加飾シートを用いた加飾成形品は、基材フィルム側から観察されるためである。なお、ここでいう透明には、後述する着色層が視認される程度の半透明、例えば、艶消し調の乳白色透明も含むものである。また、基材シートは着色されていてもよいが、後述する着色層が視認される程度以上の透明であることが好ましい。
【0016】
基材シートの厚さは、コスト面、加飾成形品に対する要求性能、成形用加飾シートの成形適性などの観点から、通常30〜300μm程度(多層の場合は総厚)が好ましい。
また、基材シートの表面、裏面、又は表裏両面には、基材シートに接する他層との密着性向上のために、必要に応じ適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理などの公知の易接着処理を施してもよい。
【0017】
〔盛上部〕
本発明の三次元成形用加飾シートは、基材シート上の一部に盛上部を複数個有しており、該盛上部は、アミド結合を有する感光性化合物を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする。
【0018】
本発明において、盛上部は基材シート上の一部に存在することを要する。基材シートの全面に存在すると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現するという本発明の効果が得られないからである。また、盛上部は基材シート上に複数個設けられることを要する。盛上部が一つしか存在しないと、多様な凹凸模様を有する意匠を表現するという本発明の効果が得られないからである。
【0019】
また、盛上部12の一つの面積の下限には特に制限はないが、視覚的に凹凸模様と認識される観点から、0.01mm2以上であることが好ましい。盛上部の一つの面積を拡大することで、様々な盛上意匠を提供するためには、1.5mm2以上であることが好ましく、2mm2以上であることがより好ましい。一方、盛上部の一つの面積の上限は3mm2以下が好ましく、これは、特定の盛上部12に応力が集中し、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しやすくなり、さらに基材シートと盛上部の密着性が低下することを防ぐためである。
【0020】
基材シート全面に対する盛上部の合計面積は、60%未満であることが好ましく、より好ましくは55%以下である。この範囲内であると、盛上部が相互に近づきすぎることがなく、視覚的な凹凸模様がより認識しやすくなり、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができる。同様の観点から、盛上部の合計面積は1%以上であることが好ましく、45%を超えることがより好ましく、50%を超えることがさらに好ましい。
【0021】
盛上部12間の距離は、0.03mm以上が好ましく、より好ましくは0.05mm以上である。盛上部12間の距離を上記の範囲内とすることにより、加飾シート10表面の凸部に割れや白化が発生することをさらに好適に防止することができる。これと同様の観点から、盛上部12間の距離は0.2mm以上とすることがさらに好ましい。また、盛上部12間の距離の上限は、所定の盛上部の総面積の範囲内で盛上部を設ければよいので特に制限はなく、所望の柄に応じて適宜設定すればよいが、優れた凹凸模様が得られるため、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができる観点から、3mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下であり、さらに好ましくは1mm以下である。
【0022】
また、盛上部12の厚さ(高さ)は、1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜80μmである。盛上部12の厚さが上記範囲内であると、優れた視覚的な凹凸感や立体感が得られ、また盛上部12を安定的に形成しやすいからである。
【0023】
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物にアミド結合を有する感光性化合物を含有させることによって、基材シート11に対する盛上部12の総面積と盛上部の一つの面積を上記のように大きくすることができ、かつインサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時(以下、「加飾成形時」と呼ぶこともある)に、加飾シート10の伸びによって表面の凸部に割れや白化の発生を防止することができる。また、基材シート11と盛上部12との密着性を向上することもできる。
【0024】
本発明において、盛上部12の一つの面積、基材シート11全面に対する盛上部12の合計面積、盛上部12間の距離、及び盛上部12の厚さは、以下のようにして測定した値である。盛上部12の断面の形状としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物を基材シート上に塗布して、該組成物がだれることで呈する図3(a)のような形状、また意図的に形成する図3(b)のような形状などが挙げられる。本発明においては、いずれの場合においても、盛上部の一つの面積及び総面積は、各々該盛上部12と下層(基材シート11、あるいは所望により設けられる着色層13や保護層)とが接する面積(Wで囲まれた部分の面積)、及びその合計面積である。盛上部12間の距離は、該盛上部12と該盛上部12と接する下層(基材シート11、あるいは所望により設けられる着色層13や保護層)とが接する面積の外縁を端部としたときの端部間の距離(Lの部分)である。また、盛上部12の厚さ(盛上部の高さ)は、盛上部12の最も高い部分の高さ(Hの部分)、すなわち、盛上部12と該盛上部12とが接する下層(基材シート11、あるいは所望により設けられる着色層13や保護層)との高低差である。
【0025】
盛上部12の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、5〜10角形などの形状が好ましく挙げられる。各盛上部12は同一形状の集合であってもよいし、異なる形状の集合であっても良い。また、各盛上部12が規則的に並んだような定形のパターン形状でも良いし、不定型な絵柄であっても良い。不定型な絵柄であると触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましく、規則的に並んだような定形のパターン形状であると、加飾成形時の応力が特定部分に集中し難く、表面の凹凸模様の割れがより発生し難くなる点で好ましい。
また、盛上部12の一つの形状の最長部分の長さが1.95mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以下である。また、盛上部12の一つの形状の最短部分の長さが0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上である。盛上部12の一つの形状の最長部分及び最短部分の長さが上記の範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、また基材シート11と盛上部12との優れた密着性が得られる。
【0026】
盛上部12が全体で形成する絵柄としては、円形、楕円形、多角形、線画、水玉、縞、格子などの幾何学模様、文字、木目柄、竹目柄、石目柄、タイル貼柄、煉瓦積層柄、布目柄、皮絞柄などが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を用途に合わせて用いれば良い。
【0027】
盛上部12は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。耐摩耗性などの耐久性向上のためであり、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止するためである。また、このような電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物の本来の性能に加えて、基材シート11に対する盛上部12の総面積と一つの盛上部12の面積、あるいは盛上部12間の距離や盛上部12の厚さを上記のように大きくすることができるので、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することが可能となる。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物のことであり、本発明においては、電離放射線硬化性樹脂成分として単官能性モノマー及び二官能性モノマーを含有する樹脂組成物である。電離放射線硬化性樹脂成分は、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂成分である。ここで、電離放射線は、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
【0029】
電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0030】
上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性不飽和基、エポキシ基などのカチオン重合性官能基などを有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いられる。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート系などが使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0031】
ここで、ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルプレポリマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるプレポリマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンプレポリマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートプレポリマーも用いることができる。
また、ポリエーテル(メタ)アクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる
【0032】
さらに、重合性プレポリマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系プレポリマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系プレポリマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系プレポリマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するプレポリマーなどがある。
【0033】
電離放射線硬化性樹脂組成物中の重合性プレポリマー(オリゴマー)の含有量は、0.1〜75質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは3〜30質量%である。含有量が上記範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができ、凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部との優れた密着性が得られ、さらに耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止することができる。
【0034】
上記のモノマーとしては、上記の重合性不飽和基あるいはカチオン重合性官能基を2個以上有する多官能性モノマーが好ましく、2〜8官能性モノマーがより好ましく、2〜4官能性モノマーがさらに好ましく、特に好ましくは2官能性モノマーである。
この重合性不飽和基あるいは重合性官能基を2個以上有する多官能性モノマーの例としては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
【0035】
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどの2官能性(メタ)アクリレートモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能性(メタ)アクリレートモノマー;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましく挙げられ、これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において、2官能性モノマーとしては、上記の2官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
【0036】
電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能性モノマーの含有量は、10〜75質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。含有量が上記範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができ、凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部との優れた密着性が得られ、さらに耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止することができる。
【0037】
本発明においては、前記プレポリマーや多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させることや柔軟性を付与し成形性を向上するなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ただし、単官能性モノマーの添加により架橋密度が低下し、成形後の表面の荒れや密着不良、印刷適性の低下が起こる場合があることから、単官能性モノマーを用いることなく、2官能性モノマー以上の多官能性モノマーのみを用いることが好ましく、硬化密度が高くなりすぎずに良好な成形性を得る観点から、2官能性モノマーのみからなることがさらに好ましい。なお、単官能性モノマーを用いて成形後の表面の荒れや密着不良、印刷適性の低下が起こるのは、後述する、適度な光沢の外観が得られるように体質顔料などの粒子を1質量%未満と少量に抑える、あるいは使用しない場合に顕著である。
【0038】
アミド結合を有する感光性化合物は、分子中にアミド結合を有し、かつ光の照射により硬化性を示す化合物のことである。本発明においては、より強い硬化性を有することで盛上部の形状をより明確にし、多様な凹凸模様を有する意匠を表現する観点から、エチレン性不飽結合を有することが好ましい。本発明で用いられるアミド結合を有する感光性化合物としては、下記の化学式(1)で示される化合物であることがより好ましい。
【0039】
【化1】
【0040】
式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。R1のアルケニル基としては、炭素数2〜4のものがより好ましく、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、スチリル基、1−メチルアリル基、2−メチルアリル基などが好ましく挙げられる。
【0041】
2は単結合又は−NR6−を示し、R6は水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。アルキル基としては、炭素数1〜4のものがより好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが好ましく挙げられる。
3は単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、アルカンジイル基としては、炭素数1〜4のものがより好ましく、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、1,2−プロパンジイル基、1,3−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基などを好ましく挙げることができる。また、R2はR3が単結合のときは単結合であり、R3はR2が単結合のときは単結合である。
【0042】
4及びR5は水素、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を示す。アルキル基は、上記のR6のアルキル基と同じである。ヒドロキシアルキル基は、炭素数1〜4のものがより好ましく、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基などが好ましく挙げられる。
【0043】
上記のようなアミド結合を有する感光性化合物としては、より具体的には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドなどが好ましく挙げられる。これらの中でも、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましく、これらを単独で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
【0044】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のアミド結合を有する感光性化合物の含有量は、1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。感光性化合物の含有量が上記範囲内であると、盛上部の形状がシャープになり、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することが可能となる。
【0045】
紫外線又は可視光線を用いて電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させる場合には、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物中に、硬化不良の改善や硬化性の促進を目的として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステルなどを単独又は混合物として用いることができる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量は、好ましくは1〜10質量%である。
【0046】
また、上記電離放射線硬化性樹脂には、各種添加剤を添加する事もできるし、使用しなくてもよい。添加剤を添加することで、インキのチクソトロピック性を適度に調整し、盛上部の流展性を適正に得ることができる。添加する添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウムなどの無機物、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)などの有機高分子など、からなる粒子を体質顔料(充填剤)として添加しても良い。用いられる粒子の平均粒径は1〜10μm程度、添加量は適度なチキソ性があり、適度な光沢の外観が得られるように1質量%未満であることが好ましい。なお、粒子の形状は、多面体、球形、鱗片状などである。
【0047】
その他の各種添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。これらの各種添加剤は、その性能を阻害しない範囲で含有することができる。
【0048】
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は樹脂成分として熱可塑性樹脂を含むこともできる。熱可塑性樹脂を含むことで、含まない場合と比べて盛上部のパターン形成状態が若干悪くなり、外観の点で若干劣ることがあるが、凸部に割れや白化が発生しにくくなる。よって、所望の凹凸模様や許容される割れや白化を考慮の上、熱可塑性樹脂を用いるか否かを適宜選択すればよい。
このような熱可塑性樹脂としては、上記の基材シートを構成する材料として例示した樹脂が好ましく挙げられ、なかでもアクリル樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の含有量は、電離放射線硬化性樹脂成分100質量部に対して、3〜30質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が上記範囲内であると、優れた凹凸模様が得られ、かつ凸部に割れや白化が発生しにくくなる。
【0049】
盛上部12は、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を、シルクスクリーン印刷、グラビア盛上印刷、ロータリースクリーン印刷、又は特許文献2に記載された成形版胴法などの印刷、あるいは塗布法などの公知の方法により塗布し、未硬化樹脂層を形成する。次いで、電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて盛上部12を形成する。本発明においては、優れた凹凸感を得る観点から、シルクスクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷による形成が好ましく、連続印刷可能である点で、ロータリースクリーン印刷による形成がより好ましい。
【0050】
本発明において、電離放射線として通常好ましく用いられるものは、紫外線又は電子線である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプなどの光源が使用される。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。
電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
【0051】
〔保護層〕
本発明の加飾シートは、基材シートの保護、表面の艶の調整(視覚的な凹凸感の調整)の観点から、基材シートと盛上部との間に保護層(図示せず)を有することができる。保護層を形成する材料としては、特に制限はなく、所望の性能に応じて、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂などの硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂を適宜採用しうる。
熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂としては、盛上部を形成する上記の電離放射線硬化性樹脂組成物に用い得る樹脂が好ましく挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく挙げられ、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化性の樹脂も好ましく用いられる。
【0052】
〔着色層〕
着色層13は、基材シート11と盛上部12との間、あるいは加飾シート10の盛上部12を形成する側とは反対側、すなわち加飾シート10の裏面に、所望により設けられる層であり、本発明の加飾シート10に装飾を付与する層である。着色層13としては、絵柄層及び/又は隠蔽層からなることが好ましい。
絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタなどが、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。隠蔽層は通常全面ベタ層である。
【0053】
着色層13形成用のインキは、バインダーなどからなるビヒクル、顔料や染料などの着色剤、有機溶媒、及びこれに適宜加える各種添加剤を含む組成物である。
バインダーの樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などより選択される1種単独の樹脂、又は2種以上の混合樹脂が用いられる。
着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエローなどの無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッドなどの有機顔料(あるいは染料も含む)、又はアルミニウム、真鍮などの鱗片状箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが使用される。
【0054】
着色剤の含有量は、上記バインダー樹脂100質量部に対して、2〜150質量部が好ましく、より好ましくは5〜120質量部、さらに好ましくは10〜90質量部である。含有量が上記範囲内であると、繊細な意匠感が得られる。
【0055】
有機溶媒としては、上記の着色剤やバインダー樹脂を均一に分散、あるいは溶解分散できる酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン類などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0056】
その他の各種添加剤としては、インキに通常用いられる各種添加剤、例えば、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが好ましく挙げられ、これらを本発明の効果が阻害されない範囲で使用することができる。
【0057】
着色層13は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷法、又はロールコートなどの公知の塗工法などの従来公知の形成方法で形成すれば良い。
着色層13の厚さは、特に制限は無いが、通常0.5〜20μm程度である。
【0058】
〔接着剤層〕
基材シート11又は着色層13の裏面側に、必要に応じて、基材シート10又は着色層13と、支持体層15又は射出樹脂との接着性を向上させるために接着剤層14を設けることができる。
接着剤層14を形成する材料は、着色層13との密着性、印刷適性、成形適性を持つ樹脂の中から、広範囲に選択される。具体的には、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及び(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物から選ばれることが好ましい。接着剤層14での(メタ)アクリル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、上述の着色層13と同様なものを使用すれば良い。支持体層15又は射出樹脂がABS樹脂又はポリオレフィン樹脂の場合は、接着剤層14としてブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィンなどが好ましい。
【0059】
なお、接着剤層14には、副成分としての範囲で、上記以外の樹脂を併用しても良い。併用する樹脂は、主に射出樹脂との密着性を考慮して選ばれる。さらに、印刷(又は塗工)適性などの諸物性を調整、あるいは向上させるために、必要に応じて適宜、体質顔料、保存安定剤などの公知の各種添加剤を添加しても良い。
【0060】
また、接着剤層14は、上記樹脂などからなる接着剤を、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗工法により形成する。
接着剤層14の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜50μm程度である。
【0061】
〔支持体層〕
本発明の加飾シートは、所望により支持体層を有してもよい。支持体層を有することにより、本発明の加飾シートはサーモジェクト成形だけでなく、インサート成形にも好適に用いることができる。支持体層は、図2に示されるように、加飾シートが基材シート、着色層、及び支持体層の順に有するように設けられる。
支持体層15の材料としては、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂の内、ABS樹脂及びポリプロピレン樹脂が特に好ましい。射出樹脂がABS樹脂である場合はABS樹脂が好ましく、射出樹脂がポリプロピレン樹脂である場合はポリプロピレン樹脂が好ましい。
支持体層15は、加飾シート10を補強し、一体化物の形態を保持するために用いられるため、0.1〜1.0mm程度の厚さが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5mmである。
【0062】
本発明の加飾シート10を製造する方法は、例えば、基材シート11に着色層13及び接着剤層14を順次グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗布手段により積層した後、該基材の着色層13などを設ける面とは反対側の面に盛上部12を上記の方法により形成すればよい。また、支持体層15を設ける場合は、例えば盛上部12を設ける前に、着色層13や接着剤層14を設けた基材シート11の、該着色層13などを設ける面とは反対側の面に、支持体層15をドライラミネーションして設ければ良い。
また、着色層13が複数層の場合は、例えば、絵柄層を積層した後、乾燥し、その後隠蔽層などを積層して設けることができる。
【0063】
[加飾成形品]
本発明の加飾成形品は、基材シート上の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該組成物がアミド結合を有する感光性化合物を含有する加飾シートと、該加飾シートの基材シートの盛上部とは反対側に射出樹脂層とを有するもの、すなわち、上記の本発明の加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部12、基材シート11、及び射出樹脂層21を順に有する加飾成形品(図4)、あるいは、加飾シートが支持体層を有する場合は、加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部12、基材シート11、支持体層15、及び射出樹脂層21を順に有する加飾成形品20(図5)である。なお、図5に示される加飾成形品20は、好ましく設けられる着色層13、接着剤層14を有している。
【0064】
本発明の加飾成形品は、好ましくは、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、サーモジェクト成形法(射出成形同時加飾法)、インジェクションブロー成形法、ガスインジェクション成形法などの各種射出成形法により作製され、より好ましくはインサート成形法及びサーモジェクト成形法により作製されるものである。
【0065】
加飾成形品の作製に用いられる射出樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が代表的である。また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂なども用途に応じ用いることができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂、とりわけポリプロピレン樹脂、あるいはABS樹脂が好ましい。
【0066】
インサート成形法では、まず、固定枠に固定した加飾シート10が軟化する所定の温度になるまでヒーターで加熱し、加熱され軟化した加飾シート10に真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプなどで空気を吸引し加飾シート10を真空成形金型にしっかりと密着させる。
加飾シート10が真空成形金型に密着した後、加飾シート10を冷却し、成形した加飾シート10から真空成形金型をはずし、固定枠から成形された加飾シート10をはずす。真空成形は通常160〜180℃程度で行われる。
【0067】
次に、真空成形された加飾シート10は、所望により、余分な部分をトリミングされ、射出成形金型にはめ込まれ、加飾シート10の裏面(支持体層15側、すなわち、図1の下面側)に射出樹脂を打ち込む。最後に射出成形金型から取り出してインサート成形による加飾成形品を得る。射出成形は、射出する樹脂の熔融温度以上の温度で行えばよく、例えば射出樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合は180〜210℃程度、ABS樹脂の場合は220〜260℃程度で行われる。
【0068】
また、本発明の加飾シート10を用いて、サーモジェクト成形により加飾成形品を製造する場合は、射出成形金型に固定した後、所望により真空成形され、その後、樹脂を射出し、射出成形同時加飾がなされ、サーモジェクト成形による加飾成形品を得る。射出成形は通常220〜260℃程度で行われる。
なお、サーモジェクト成形法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくてもよい。
【実施例】
【0069】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0070】
実施例及び比較例において、基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、及び盛上部間距離、盛上部の成形用加飾シートの凸部の割れや白化の発生の有無、基材シートと盛上部の密着性、印刷適性、加飾シート及び/又は加飾成形品の外観評価は、下記方法に従って測定した。
(1)基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、盛上部間距離、及び盛上部の厚さの測定方法
基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、及び盛上部間距離は、非接触表面粗さ計「3次元測定顕微鏡」(「STM6ZP(商品名)」,オリンパス光学工業株式会社製)を用い、倍率50倍、測定ピッチ0.1010mm、駆動スピードは高速の条件で測定した。また、盛上部の厚さは厚み計を用いて測定した。
(2)成形性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾シートを用いて加飾成形品を作製した際の、表面の割れや白化の発生について目視にて観察し、以下の基準で判断し、成形性の評価とした。
6:塗膜割れや白化が全く見られず、良好に型の形状に追従した。
5:塗膜割れや白化がほとんど見られず、良好に型の形状に追従した。
4:三次元形状部又は最大延伸部の一部にわずかに塗膜割れ又は白化が認められたが、実用上問題なかった。
3:三次元形状部又は最大延伸部の一部に塗膜割れ又は白化が発生したものの、実用上問題はなかった。
2:型の形状に追従できずに表面保護層又は盛上部に塗膜割れや白化が見られた。
1:型の形状に追従できずに表面保護層又は盛上部に著しい塗膜割れや白化がみられた。
(3)基材シートと盛上部との密着性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾シートの基材シート表面の盛上部にカッターで縦、横の傷を直交させて付け、基盤目状の桝目を設けた。その上からセロハンテープ(「CT24(商品名)」,ニチバン(株)製)を用い、指の腹でシートに密着させた後剥離した。判定は目視にて行い、以下の基準で判断した。
5:盛上部の塗膜の剥離は全くなく、密着性は非常に高かった。
4:盛上部の塗膜の剥離がわずかにあったが、密着性は高かった。
3:盛上部の塗膜の剥離があるものの、密着性は良好であり、実用上問題なかった。
2:盛上部の塗膜に剥離があり、密着性が十分ではなかった。
1:盛上部の塗膜の剥離が著しく、密着性に問題があった。
(4)印刷適性
実施例及び比較例における盛上部のパターンの形成状態を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
4:盛上部のパターン形成の状態が優れていた。
3:盛上部のパターン形成の状態が良好であった。
2:盛上部のパターン形成状態が若干悪いものの、実用上問題がなかった。
1:盛上部のパターン形成状態が悪かった。
(5)加飾シート及び加飾成形品の外観評価
実施例及び比較例で得られた加飾シート及び加飾成形品の表面外観を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
4:凹凸感に優れていた。
3:凹凸感が良好だった。
2:実用上問題がない程度に凹凸感があった。
1:凹凸感がなかった。
【0071】
実施例1
(加飾シートの製造)
ポリメタクリル酸メチルを主成分とする厚さ75μmの無着色透明なアクリル樹脂シートからなる基材シート裏面に、ポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(質量比:2/1)からなる絵柄層(厚さ1μm)、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレートの混合物及び無機顔料からなる隠蔽層(厚さ2μm)及び2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤からなる接着剤層(厚さ10μm)を順次積層した後、ABS樹脂からなる支持体層(厚さ400μm)をドライラミネーションにより積層した後、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を円形状の盛上部を多数配列した平面視パターンに印刷すると共に、紫外線を160W/cmの条件で照射して印刷版の版形状を保ったまま硬化させて、厚さ30μmの基材シート上に突出した盛上部12を形成して、三次元成形用加飾シートを得た。1つの盛上部12は、直径1mmの円形であり、基材全面に対する盛上部の総面積は55%、1つの盛上部の最も大きい面積は2mm2であり、最も小さい盛上部間の距離は0.05mmであった。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(官能基数:5,重量平均分子量:2000):10質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):68質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:50000):10質量%
感光性化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド):5質量%
光重合開始剤(アルキルフェノン系):5質量%
フィラー及び顔料:2質量%
【0072】
(加飾成形品の製造)
次に、この成形用加飾シートを固定枠に固定し、成形用加飾シートの温度が約160℃になるまで約300℃のヒーターで加熱した。加熱され軟化した成形用加飾シートを、上述のように、真空成形工程、トリミング工程及び温度約240℃でABS樹脂を射出樹脂とする射出成形工程を経て、加飾シートと射出樹脂層とを有するインサート成形品を得た。なお、最大延伸部の延伸倍率は、1.5倍であった。
加飾シート、及び該加飾シートを用いて得られた加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0073】
実施例2
盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を下記のものとした以外は、実施例1と同様の操作を行い三次元成形用加飾シート、及び加飾成形品を得て、上記の評価を行った。その結果を第1表に示す。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(官能基数:5,重量平均分子量:2000):10質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):65質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:50000):10質量%
感光性化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド):5質量%
光重合開始剤(アルキルフェノン系):5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
【0074】
実施例3
盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を下記のものとした以外は、実施例1と同様の操作を行い三次元成形用加飾シート、及び加飾成形品を得て、上記の評価を行った。その結果を第1表に示す。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(官能基数:5,重量平均分子量:2000):10質量%
単官能性モノマー(フェノキシエチルアクリレート):40質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):25質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:重量平均分子量:50000):10質量%
感光性化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド):5質量%
光重合開始剤(アルキルフェノン系):5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
【0075】
実施例4
盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を下記のものとした以外は、実施例1と同様の操作を行い三次元成形用加飾シート、及び加飾成形品を得て、上記の評価を行った。その結果を第1表に示す。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(官能基数:5,重量平均分子量:2000):10質量%
単官能性モノマー(フェノキシエチルアクリレート):50質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):25質量%
感光性化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド):5質量%
光重合開始剤(アルキルフェノン系):5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
【0076】
比較例1
盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を下記のものとした以外は、実施例1と同様の操作を行い三次元成形用加飾シート、及び加飾成形品を得て、上記の評価を行った。その結果を第1表に示す。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(官能基数:5,重量平均分子量:2000):10質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):70質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:重量平均分子量:50000):10質量%
光重合開始剤(粉体):5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
【0077】
比較例2
盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を下記のものとした以外は、実施例1と同様の操作を行い三次元成形用加飾シート、及び加飾成形品を得て、上記の評価を行った。その結果を第1表に示す。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(官能基数:5,重量平均分子量:2000):10質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):70質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:重量平均分子量:50000):10質量%
光重合開始剤(アルキルフェノン系):5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
【0078】
比較例3
盛上部の総面積を60%、盛上部の一つの面積4mm2及び盛上部間の距離0.01mmとした以外は、実施例1と同様の操作を行い三次元成形用加飾シート、及び加飾成形品を得て、上記の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0079】
【表1】
*1,粉体の光重合開始剤を使用した。
*2,アルキルフェノン系の光重合開始剤を使用した。
【0080】
第1表から分かるように、実施例1及び2の三次元成形用加飾シートは、真空成形後の三次元成形用加飾シート及び射出成形後の成形品表面に割れや白化の発生は全くなく、基材シートと盛上部の密着性、印刷適性、加飾シート及び/又は加飾成形品の外観についても良好であった。実施例3の成形用加飾シートは、単官能性モノマーの使用により真空成形後の成形用加飾シート及び射出成形後の成形品表面に若干の割れや白化が認められたが、目立つことなく実用上問題なく、実施例1、2よりも密着性についても劣ったが、実用上問題なかった。また、熱可塑性樹脂を用いなかった実施例4の成形用加飾シートは、実施例1〜3と比べて盛上部のパターン形成状態が若干悪くなり、外観の点で若干劣るものの、いずれの点でも良好な性能を有しており、実用上問題はなかった。
一方、N,N−ジメチルアクリルアミドを添加していない比較例1及び2の三次元成形用加飾シートは、真空成形後の三次元成形用加飾シート及び射出成形後の成形品表面に目立つ割れや白化の発生が見られ、密着性も悪く、成形品の商品価値が低下した。盛上部の基材全体に対する総面積、1つの盛上部の面積、盛上部間距離が規定範囲を超える比較例3の三次元成形用加飾シートについても、真空成形後の三次元成形用加飾シート及び射出成形後の成形品表面に目立った割れや白化の発生が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の三次元成形用加飾シートは、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、また真空成形工程及び射出成形工程を経ても三次元成形用加飾シート表面及びインサート成形品の凸部に、あるいは射出成形工程を経てもサーモジェクト成形品の凸部に割れや白化が発生せず、基板シートと盛上部の密着性も良好であり、各種のインサート成形品又はサーモジェクト成形品に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0082】
10 三次元成形用加飾シート
11 基材シート
12 盛上部
13 着色層
14 接着剤層
15 支持体層
20 加飾成形品
21 射出樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5