特許第6035861号(P6035861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035861
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20060101AFI20161121BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G03B17/02
   H04N5/225 E
   H04N5/225 D
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-114466(P2012-114466)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-242373(P2013-242373A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】高山 正広
(72)【発明者】
【氏名】西森 直樹
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−000387(JP,U)
【文献】 特開平08−316663(JP,A)
【文献】 特開2009−199698(JP,A)
【文献】 特開2002−198667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
H05K 7/14
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された筐体と、
前記開口から前記筐体内に挿入される略直方体形状の構造体とを備え、
前記構造体は、
複数の基板と、
前記構造体の挿入方向と直交する軸方向を有するとともに、前記構造体の側部において前記複数の基板を連結する柱状部材と、
外周部が前記筐体の内面と当接し、前記柱状部材により回転可能に支持される環状の第1の弾性体と、
傾斜を有する第2の弾性体とを含み、
前記第2の弾性体は、前記傾斜の下方部が前記柱状部材の前記軸方向に向かって前記構造体の外側に突出することによって前記筐体の前記内面と当接する、撮像装置。
【請求項2】
前記第2の弾性体は、板バネである、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記柱状部材は、前記構造体の前記挿入方向と直交する方向において対向する前記構造体の2つの側部の夫々に設けられ、
前記第1の弾性体は、前記2つの側部の夫々に設けられる、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の弾性体はゴムであり、
前記第2の弾性体は金属である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の弾性体は、前記柱状部材の前記軸方向において対向する前記構造体の2つの側部の夫々に設けられる、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の弾性体は、前記柱状部材の前記軸方向において対向する前記構造体の2つの側部のうちの一方の側部に設けられ、
前記構造体は、前記柱状部材の前記軸方向において対向する前記構造体の2つの側部のうちの他方の側部に設けられる合成樹脂をさらに含む、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記筐体は、略直方体形状を有し、
前記筐体の前記開口は、前記筐体の長手方向において対向する前記筐体の2つの側部のうちの一方に設けられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、筺体と、筺体の内部に挿入される構造体とを備えた撮像装置における構造体の耐振動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FA(Factory Automation)分野などにおいては、各種の撮像装置(カメラ)を用いて画像処理が行なわれている。撮像装置はレンズや電子部品などの精密機器から構成されているため、その防塵・防水対策は重要である。たとえば、特開2011−193209号公報(特許文献1)は、防塵・防水性に優れた撮像装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−193209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像装置においては、部品が筺体内で振動しないようにするための耐振動構造も重要である。一例として、筺体と部品との間にブッシュラバーを挟み込んだ構造などが採用される。しかしながら、特開2011−193209号公報に記載の撮像装置のように、筺体の開口から内部シャーシを挿入する構造とした場合、筺体内へ内部シャーシを挿入する際に、ブッシュラバーと筺体との間の摩擦力によりブッシュラバーが剥がれてしまい、組み付けをやり直す場合があった。したがって、作業性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐振動構造を備えた撮像装置の組み付け作業性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施例において、撮像装置は、開口を有する筐体と、開口から筐体内に挿入される構造体とを備える。構造体は、構造体の側部に設けられる環状の弾性体を含む。弾性体は、外周部が筺体の内面と当接し、回転軸が構造体の挿入方向と直交するように回転可能に支持される。
【発明の効果】
【0007】
構造体と筺体との間に設けられる弾性体は、構造体を筺体内へ挿入する際に回転する。そのため、構造体を筺体内へ挿入する際に弾性体は構造体から剥がれず、挿入完了後も構造体の筺体との間に残り、耐振動作用を発揮し得る。よって、撮像装置の組み立てをやり直す必要性が低減する。その結果、耐振動構造を備えた撮像装置の組み付け作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像処理装置を含む視覚センサシステムの全体構成を示す概略図である。
図2】画像処理装置と表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】画像処理装置の内部の斜視図である。
図4】画像処理装置のコントローラ部とインターフェイスユニットの斜視図である。
図5】画像処理装置のコントローラ部の斜視図である。
図6】画像処理装置のコントローラ部の分解斜視図である。
図7】画像処理装置のコントローラ部の側面図(その1)である。
図8】画像処理装置のコントローラ部の側面図(その2)である。
図9】画像処理装置のインターフェイスユニットの斜視図である。
図10】画像処理装置のインターフェイスユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<A.システム構成>
以下では、撮像装置の一例として、画像を処理するためのコントローラ部を含む画像処理装置について説明する。ただし、撮像装置は、後述するようなコントローラ部を含む画像処理装置に限定されるものではない。また、撮像装置は、後述するような視覚センサシステムに利用されるものに限定されるものでもない。
【0011】
図1を参照して、本実施の形態に係る視覚センサシステム1においては、画像処理装置100と表示装置200とが、LAN(Local Area Network)ケーブル301によって接続可能である。より詳細には、画像処理装置100には、コネクタ311を介してLANケーブル301の一端が装着可能である。表示装置200には、コネクタ312を介してLANケーブル301の他端が装着可能である。
【0012】
LANケーブル301と図示しないハブとを介して、1つの表示装置200に複数の画像処理装置100が接続されてもよい。そして、ユーザは、表示装置200を介して、複数の画像処理装置100を制御することができる。表示装置200は、複数の画像処理装置100からの画像処理結果を表示することができる。
【0013】
また、画像処理装置100とPLC(Programmable Logic Controller)400とが、IOケーブル302によって接続可能である。より詳細には、画像処理装置100には、コネクタ313を介してIOケーブル302の一端が装着可能である。PLC400には、IOケーブル302の他端が接続される。なお、PLC400は、他の装置からの信号を受信したり、当該他の装置に信号を送信したりすることによって、視覚センサシステム1全体を制御することができる。なお、画像処理装置100とPLC400とは、LANケーブル301と図示しないハブとを介して接続されてもよい。
【0014】
また、IOケーブル302を介して、画像処理装置100に外部の電源から電力が供給される。
【0015】
視覚センサシステム1は、たとえば、生産ラインなどに組み込まれる。視覚センサシステム1は、検査対象(図2における「ワーク500」)を撮像することによって得られる画像に基づいて、文字の認識やキズの検査といった処理(以下、「計測処理」とも称す。)を実行する。
【0016】
一例として、本実施の形態においては、ワーク500は、図示しないベルトコンベヤなどの搬送機構によって所定方向に搬送される。画像処理装置100は、搬送経路に対して固定した位置に配置されている。画像処理装置100は、搬送されるワーク500を複数回撮像する。画像処理装置100によって得られた複数の画像データは、表示装置200へと伝送される。
【0017】
なお、本明細書において「撮像」とは、基本的には、画像処理装置100の撮像部130が、視野内の被写体からの光を受けて、それを示す画像(画像信号や画像データ)を出力する処理を意味する。但し、撮像部130が視野内の被写体を示す画像を所定周期で繰り返し生成している場合には、撮像部130が生成する画像のうちの、特定の画像を記憶部に格納する処理を意味する。すなわち、ある観点から見れば、「撮像」とは、ある意図されたタイミングにおいて、撮像部130が視野内の被写体の内容を示す画像を取得して計測処理可能な状態にすることを意味する。
【0018】
ワーク500が撮像部130の視野内に到達したことは、搬送機構の両端に配置された図示しない検出センサなどによって検出される。検出センサからの信号(以下「トリガ信号」とも称す。)は、PLC400へと送信される。PLC400は、トリガ信号に基づいて、画像処理装置100にワーク500の撮影処理を行わせる。
【0019】
<B.画像処理装置100と表示装置200の構成>
次に、画像処理装置100と表示装置200の構成について説明する。図2は、画像処理装置100と表示装置200の構成を示すブロック図である。
【0020】
図2を参照して、まず、画像処理装置100の構成について説明する。画像処理装置100は、照明部110と、コントローラ部120と、撮像部130とを含む。照明部110、コントローラ部120および撮像部130は、画像処理装置100の筺体101の内部に収容される。本実施の形態においては、照明部110、コントローラ部120および撮像部130を組み付けた構造体が、特許請求の範囲に記載の「構造体」に相当する。なお、照明部110、コントローラ部120および撮像部130のうちの任意の数の構造体を特許請求の範囲に記載の「構造体」と解釈してもよい。
【0021】
照明部110は、ワーク500に光を照射するためのものである。すなわち、照明部110は、撮像部130の撮像範囲に光を照射するためのものである。照明部110は、後述する照明基板114上に設けられる複数の照明制御ユニット111を含む。本実施の形態においては、照明基板114上に4つの照明制御ユニット111が配置されている。照明制御ユニット111の各々は、照明レンズ112と、LED113とを含む。たとえば、照明制御ユニット111は、コントローラ部120からの命令に基づいて、光を照射する。
【0022】
コントローラ部120は、画像処理装置100を制御するためのものである。すなわち、コントローラ部120は、照明部110および撮像部130を制御する。コントローラ部120は、撮像部130からの画像信号に基づいて画像処理を行う。コントローラ部120は、画像処理装置100の外部とデータを送受信したりする。たとえば、コントローラ部120は、LANケーブル301を介して、PLC400から命令を受信したり、画像処理後の画像データ(静止画像データや動画像データなど。)を表示装置200に送信したりする。
【0023】
より詳細には、コントローラ部120は、センサ制御ユニット121と、センサデータ受信ユニット122と、表示灯制御ユニット123と、計測処理ユニット124と、入出力制御ユニット125と、外部機器通信ユニット126と、入出力ユニット127と、電源ユニット129とを含む。
【0024】
センサ制御ユニット121は、照明部110の複数の照明制御ユニット111と、撮像部130の撮像素子132と、コントローラ部120の表示灯制御ユニット123とに指令を送ることによって、それらを制御する。センサ制御ユニット121は、計測処理ユニット124からの信号に基づいて、上記の制御を行ってもよい。
【0025】
センサデータ受信ユニット122は、撮像素子132からの信号(画像信号)を受信して、当該画像信号を計測処理ユニット124に送信する。
【0026】
表示灯制御ユニット123は、センサ制御ユニット121からの光信号を受信して、図示しない表示灯を点灯させたり消灯させたりする。
【0027】
計測処理ユニット124は、センサデータ受信ユニット122からの画像信号に基づいて、画像処理を行う。計測処理ユニット124は、画像処理後の画像データを入出力制御ユニット125に送る。計測処理ユニット124は、入出力制御ユニット125を介して表示装置200などから命令を受信する。計測処理ユニット124は、入出力制御ユニット125からの命令をセンサ制御ユニット121に伝達する。
【0028】
入出力制御ユニット125は、外部機器通信ユニット126とLANケーブル301とを介して、表示装置200にデータを送受信する。逆に、表示装置200からの命令を受け付ける。入出力制御ユニット125は、他の入出力ユニット127を介して、プリンタや無線機器などの他の外部機器とデータを送受信する。
【0029】
上記のようなコントローラ部120を構成する各ユニットは、図示しない制御基板上に配置される部材によって実現される。
【0030】
コントローラ部120(または制御基板)には、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)150と、記憶部(メモリ149)としての不揮発メモリおよび揮発メモリと、各種のインターフェイスと、データリーダ/ライタとが配置される。これらの各部は、バスを介して、互いにデータ通信可能に接続される。CPU150は、不揮発メモリに格納されたプログラム(コード)を揮発メモリに展開し、これらを所定順序で実行する。このように、CPU150は、各種の演算を実行することによって、上述の各ユニットを実現する。
【0031】
揮発メモリは、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などであ
る。揮発メモリは、不揮発メモリから読み出されたプログラムに加えて、撮像部130によって取得された画像データや、画像データの処理結果を示すデータ、およびワークデータなどを保持する。
【0032】
また、不揮発メモリは、磁気記憶装置であり得る。不揮発メモリは、CPU150で実行されるプログラムに加えて、パターンサーチにおいて基準となる画像データ(以下「モデル画像」とも称す。)を記憶する。さらに、不揮発メモリには、各種設定値などが格納されてもよい。
【0033】
このように、コントローラ部120のセンサ制御ユニット121と、センサデータ受信ユニット122と、表示灯制御ユニット123と、計測処理ユニット124と、入出力制御ユニット125と、外部機器通信ユニット126と、入出力ユニット127の全部または一部が、CPU150がプログラムを実行することによって実現される機能ブロックであり得る。ただし、上記の機能ブロックの全部または一部が、ハードウェアによって実現されてもよい。
【0034】
換言すれば、コントローラ部120は、予めインストールされたプログラムを実行することによって、後述するような各種機能を提供するためのコンピュータである。コントローラ部120には、本実施の形態に係る機能を提供するためのアプリケーションに加えて、コンピュータの基本的な機能を提供するためのOS(Operating System)がインストールされていてもよい。
【0035】
この場合には、本実施の形態に係るプログラムは、OSの一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。すなわち、本実施の形態に係るプログラム自体は、上記のようなモジュールを含んでおらず、OSと協働して処理が実行される。本実施の形態に係るプログラムとしては、このようなモジュールのうちの一部を含まない形態であってもよい。さらに、本実施の形態に係るプログラムは、その他のアプリケーションプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。
【0036】
なお、プログラムの実行により提供される機能の一部もしくは全部を、すなわち機能ブロックのいずれかまたは全部を専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0037】
撮像部130は、照明部110が照射した光の反射光を受けて、画像信号を出力するものである。撮像部130は、一例として、撮像レンズ131などの光学系に加えて、CCD(Coupled Charged Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった、複数の画素に区画された撮像素子132を含む。
【0038】
次に、表示装置200の構成について説明する。表示装置200は、LCD(Liquid Crystal Display)201と、LCD制御部202と、表示画像制御部203と、画像制御部204と、画像保存部205と、フィールドバス制御部206と、通信部207、208、209と、操作部210と、電源部211とを含む。なお、通信部207、208、209は、イーサネット(登録商標)を利用した通信に対応している。
【0039】
LCD201は、LCD制御部202からの信号に基づいて、画像処理装置100からの画像を表示する。LCD制御部202は、表示画像制御部203からの命令に基づいて、LCD201の表示処理を制御する。
【0040】
操作部210は、表示装置200の筐体の外側に設けられたスイッチや、LCD201の表面を覆う図示しないタブレットなどによって実現される。なお、LCD201とタブレットは、タッチパネルを構成する。ユーザは、スイッチやタッチパネルを介して、表示装置200に命令を入力する。
【0041】
表示画像制御部203は、操作部210からの命令に基づいて、または画像制御部204からの画像に基づいて、LCD制御部202に表示命令を送る。表示画像制御部203は、通信部208、209を介して、または直接的に、画像制御部204とデータをやり取りする。たとえば、表示画像制御部203は、画像制御部204からの画像を、LCD201に表示させる。
【0042】
画像制御部204は、画像処理装置100から受信した画像を画像保存部205に格納する。画像制御部204は、画像保存部205に格納されている画像を表示画像制御部203に送信する。
【0043】
フィールドバス制御部206は、通信部207を介して画像処理装置100から受信した画像を画像制御部204に受け渡す。逆に、操作部210を介して入力された画像処理装置100に対する命令を、通信部207を介して画像処理装置100へと送信する。
【0044】
<C.画像処理装置100のハードウェア構成>
次に、画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。図3を参照して、筐体101の上部の側面には、略正方形の開口部101Xが形成される。筐体101の底面には、略正方形の開口部101Yが形成される。すなわち、筐体101の開口部101Yは、筺体101の長手方向において対向する筺体の2つの側部(上面と底面)のうちの一方(本実施の形態においては底面)に設けられる。上述した構造体としての照明部110、コントローラ部120および撮像部130のうち、コントローラ部120および撮像部130は開口部101Yから筺体101の内部に挿入され、照明部110は開口部101Xから筺体101の内部に取り付けられる。以下では、開口部101Xが形成される側面を、前面ともいう。前面と反対の筐体101の側面を、後面ともいう。また、筐体101の内部から見て、前面側を前方、後面側を後方、上面側を上方、底面側を下方という。
【0045】
さらに、前後方向をX軸方向とし、前方向をプラス方向、後方向をマイナス方向とする。上下方向をY軸方向とし、上方向をプラス方向、下方向をマイナス方向という。そして、X軸方向およびY軸方向によって張られる面に垂直な方向をZ軸方向という。X軸のマイナス方向からプラス方向を見た場合の右方向を「右方向」とし、左方向を「左方向」という。
【0046】
画像処理装置100は、筐体101の内部の前上部に照明部110が配置され、後上部に撮像部130が配置され、下部にコントローラ部120が配置される。また、照明部110の前方には、開口部101Xを覆う透明板115が設けられる。透明板115は、耐水性両面テープ116を用いて筺体101に固定される。
【0047】
撮像部130は、前述の撮像レンズ131および撮像素子132に加えて、ホルダレンズ、ガイドレンズ、スライダレンズ、撮像素子132が搭載される撮像基板133などを主な構成として含む。撮像基板133は、撮像素子132から入力された電気信号を処理してコントローラ部120のための制御基板へと出力する。撮像基板133は、下部のコントローラ部120の基板とコネクタで接続される。一例として、撮像基板133にはリジットフレキ基板が用いられて、この撮像基板133がコネクタでコントローラ部120のコネクタと接続される。
【0048】
コントローラ部120の下部には、インターフェイスユニット180が取り付けられる。本実施の形態においては、コントローラ部120は、ネジ181などによって、インターフェイスユニット180に固定される。
【0049】
筺体101内に挿入される構造体、より具体的にはコントローラ部120の左右の両側部には、環状の弾性体としてゴム(合成ゴムあるいは天然ゴム)製のOリング160が設けられる。なお、Oリング160以外の環状の弾性体を用いてもよく、ゴム以外の弾性素材を用いてもよい。
【0050】
さらに、コントローラ部120の前方部には、金属製の板バネ162が設けられる。なお、摩擦係数が低い素材(たとえばゴムよりも摩擦係数が低い素材)であれば、金属以外の素材を用いて板バネ162を形成してもよい。一例として、好適な弾性特性を有するプラスチック等の樹脂を用いて板バネ162を形成してもよい。
【0051】
本実施の形態においては、画像処理装置100を耐水構造とするため、筐体101を筒形状とし、構造体を挿入する開口部はできるだけ小さくして、開口部101Yの蓋と筐体101とでパッキンを挟んで開口部101Yを密閉する。開口部101Yが大きいとパッキンのサイズも大きくなり、取り付ける際にねじれたりするため、取付け作業や検査の負担が増え得る。よって、筒状の筐体101に構造体を挿入する組立方法となる。構造体の挿入端側は螺子等で筐体101に固定することができないため、上記のOリング160および板バネ162が必要となる。
【0052】
Oリング160は、コントローラ部120を筺体101内に挿入する際に筺体101の内面とOリング160の外周部とが当接し、さらに、回転軸(中心軸)がコントローラ部120の挿入方向と直交するように回転可能に設けられる。本実施の形態において、Oリング160は画像処理装置100の左右方向で筺体101の内面と当接するため、回転軸は画像処理装置100の前後方向と平行あるいは略平行となるように設けられる。
【0053】
このように配置されたOリング160は、コントローラ部120を筺体101内に挿入する際に回転する。したがって、Oリング160はコントローラ部120から外れることなく、コントローラ部120を筺体101内に挿入した後もコントローラ部120と筺体101との間に位置する。
【0054】
板バネ162は、コントローラ部120を筺体101内に挿入する際に筺体101の内面と板バネ162の先端とが、画像処理装置100の前後方向で当接するように設けられる。
【0055】
なお、Oリング160が画像処理装置100の内面と前後方向で当接し、板バネ162が画像処理装置100の内面と左右方向で当接するように構成してもよい。
【0056】
図4,5,6に示すように、コントローラ部120は、3つの基板171,172,173と、これらの基板171,172,173を連結する柱状部材としてのスタッド174とを含む。スタッド174の外周部がOリング160の内周部と当接するようにスタッド174がOリング160に挿入されることにより、スタッド174によってOリング160が回転可能に支持される。
【0057】
図6に示すように、本実施の形態においては、各基板171,172,173のスタッド接触部分に銅箔175を設けて接触させることで、スタッドに熱を伝えやすくするよう構成されている。また、基板171は電源供給用、基板172はI/O入力用、基板173は画像処理・外部通信用である。相対的に発熱の大きい基板171,173を画像処理装置100の外側に配置することで放熱効果が高められ得る。
【0058】
本実施の形態においては、筐体101をできるだけ小型にするため、電装基板を複数枚に分けてスペース効率を高めるよう構成されている。複数枚の基板の重ね方は筒状筐体101に対して縦側(短手側)とし、横側に重ねた場合に比べて基板一枚当たりの電子部品の実装面積を多くして基板枚数が減らされている。基板一枚当たりの実装面積が減り、基板枚数が増えた場合、同一の機能が複数の基板に渡って実装されると、基板間での通信により処理時間にロスが発生したりノイズの影響を受け易くなったりするため、1つの基板内で同一機能を実装することが望ましい。
【0059】
なお、本実施の形態においてコントローラ部120の基板の数は3つに限定されず、2つ以上であればいくつであってもよい。また、スタッド174は合計で12本設けられるが、スタッド174の数はこれに限定されない。
【0060】
図4,5,6に示すように、スタッド174は、コントローラ部120の挿入方向と直交する方向、より具体的には画像処理装置100の左右方向において対向するコントローラ部120の両側部(右側部および左側部)の夫々に設けられる。より具体的には、スタッド174はコントローラ部120の四隅に設けられる。
【0061】
Oリング160は、コントローラ部120の左右の両側部の夫々に設けられる。図4,5に示すように、2対のOリング160を基板171,172,173の四隅に設けてもよいし、図6に示すように、1対のOリング160をコントローラ部120の上方の2箇所に設けてもよい。Oリング160を2箇所に設ける場合は、構造体の挿入端側により近い位置の方がモーメントが大きくなるため望ましい。
【0062】
図4,5,6に示すように、板バネ162は、スタッド174の長手方向、すなわち画像処理装置100の前後方向において筺体101の内面と当接する。図7に示すように、スタッド174の長手方向において対向するコントローラ部120の2つの側部、すなわち前後の両側部の夫々に板バネ162を設けてもよく、図8に示すように、前方部(あるいは後方部)の一側部のみに板バネ162を設けてもよい。前方部(あるいは後方部)の一側部のみに板バネ162を設ける場合は、後方部(あるいは前方部)に合成樹脂等から形成され、所定の厚みを有する放熱シート164が基板173に貼付される。放熱シート164の素材には、金属と同程度の熱伝達性を有する素材が用いられる。また、放熱シート164は、コントローラ部120を筺体101内に挿入した際に筺体101と当接するのに十分な厚みを有する。
【0063】
図4,5,6,7,8に示すように、板バネ162は、下方部が前後方向で外側に向かって突出し、傾斜を有するにように形成される。この傾斜により、筺体101内にコントローラ部120を滑らかに挿入することができる。
【0064】
図9および図10を参照して、インターフェイスユニット180は、筐体蓋部182、インターフェイス基板184、コネクタ311,313などを含む。
【0065】
より詳細には、筐体蓋部182の上方(筐体101の内部)に、インターフェイス基板184が配置される。インターフェイス基板184の上方に、コントローラ部120が配置される。コネクタ311,313は、筐体蓋部182を通って、画像処理装置100の外部とインターフェイス基板184と接続する。
【0066】
筐体蓋部182は、筐体101の下部の開口部101Yを密閉するためのものである。筐体蓋部182には、開口部101Yの内側と密着するパッキン183が取り付けられる。
【0067】
以上のように、本実施の形態において、コントローラ部120と筺体101との間に設けられるOリング160は、回転可能に設けられる。よって、Oリング160は、コントローラ部120を筺体101内へ挿入する際に回転する。そのため、コントローラ部120を筺体101内へ挿入する際にOリング160はコントローラ部120から剥がれず、挿入完了後もコントローラ部120と筺体101との間に残り、耐振動作用を発揮し得る。よって、画像処理装置の組み立てをやり直す必要性が低減し、作業性が向上する。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 視覚センサシステム、100 画像処理装置、101 筐体、101X,101Y 開口部、110 照明部、111 照明制御ユニット、112 照明レンズ、114 照明基板、120 コントローラ部、130 撮像部、160 Oリング、162 板バネ、164 放熱シート、171,172,173 基板、174 スタッド、180 インターフェイスユニット、181 ネジ、182 筐体蓋部、183 パッキン、184 インターフェイス基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10