(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の屋根部に形成された開口部を開閉可能な可動パネルの開作動に連動させて、前記開口部における透光を調整可能なサンシェードを開作動可能な車両用ルーフ装置において、
前記開口部の車両幅方向両縁部に配設され、車両前後方向に延在する一対のガイドレールと、
前記可動パネルの車両幅方向縁部に連係されて、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられ、車両前後方向に移動することで全閉状態の前記可動パネルをチルト状態に移行させるとともに、前記可動パネルを開作動させる摺動部材と、
前記可動パネルの下面における車両前側部位に固定された支持ブラケットと、
前記支持ブラケットに取着され、該支持ブラケットへの取付部位よりも車両前側で下向きに延設された係合部を有する係合部材と、
前記係合部の車両後方で前記サンシェードから上向きに延設され、前記可動パネルの開作動に伴い前記係合部に押圧される被係合部材とを備え、
前記可動パネルが全閉状態からチルトアップ状態に移行する間、前記被係合部材に対し、前記係合部が車両前方に離隔されていることを特徴とする車両用ルーフ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、可動パネル91に設けられた第1係合部材94が、その取付部位から略直下に垂下している。このため、例えば可動パネル91が全閉状態からチルトアップ動作する際には、これに伴って第1係合部材94の下端が第1被係合部材96に近付くように揺動することになり、該第1被係合部材96が押されてサンシェードパネル92が応動する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、可動パネルの開作動に連動させてサンシェードを開作動可能な車両用ルーフ装置において、可動パネルが全閉状態からチルト動作する際のサンシェードの応動をより確実に抑制することができる車両用ルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の屋根部に形成された開口部を開閉可能な可動パネルの開作動に連動させて、前記開口部における透光を調整可能なサンシェードを開作動可能な車両用ルーフ装置において、前記開口部の車両幅方向両縁部に配設され、車両前後方向に延在する一対のガイドレールと、前記可動パネルの車両幅方向縁部に連係されて、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられ、車両前後方向に移動することで全閉状態の前記可動パネルをチルト状態に移行させるとともに、前記可動パネルを開作動させる摺動部材と、前記可動パネルの
下面における車両前側部位に
固定された支持ブラケットと、前記支持ブラケットに取着され、該
支持ブラケットへの取付部位よりも車両前側で下向きに延設された係合部を有する係合部材と、前記係合部の車両後方で前記サンシェードから上向きに延設され、前記可動パネルの開作動に伴い前記係合部に押圧される被係合部材とを備え
、前記可動パネルが全閉状態からチルトアップ状態に移行する間、前記被係合部材に対し、前記係合部が車両前方に離隔されていることを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、例えば前記可動パネルが全閉状態からチルト動作する際に前記係合部が前記被係合部材に近付くように揺動したとしても、前記係合部が前記取付部位よりも車両前側に位置する分だけ、前記被係合部材に干渉しにくくできる。これにより、前記可動パネルが全閉状態からチルト動作する際の前記サンシェードの応動をより確実に抑制することができる。そして、前記可動パネルが開作動する際には、前記係合部に前記被係合部材が押圧されることで、これに連動して前記サンシェードを開作動させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ルーフ装置において、前記両ガイドレールの車両前側端部に連結されて車両幅方向に延在するフロントハウジングを備え、
前記係合部材の前記取付部位は取付孔であり、前記係合部材は、前記取付孔に挿通される締結具によって前記支持ブラケットに締結され、前記係合部は、前記取付孔よりも車両幅方向内側に配置されていることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項
2に記載の車両用ルーフ装置において、
前記取付孔は、車両前後方向への調整代を有する長孔状
であることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、例えば前記係合部材等の製造ばらつきや組付けばらつきなどで前記係合部が前記フロントハウジングに近付いたとしても、前記取付孔の車両前後方向への調整代の範囲で前記係合部を位置調整することで、該係合部が前記フロントハウジングに干渉することを抑制できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項
2又は請求項3に記載の車両用ルーフ装置において、前記係合部材は、前記締結具を車室内から覆う遮蔽部を有することを要旨とする。
同構成によれば、前記締結具は、前記係合部材の前記遮蔽部により車室内から覆われることで、前記締結具の露出による見栄えの悪化を抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置において、前記被係合部材は、前記係合部よりも拡幅されていることを要旨とする。
同構成によれば、例えば前記摺動部材や前記係合部材等の製造ばらつきや組付けばらつきなどで前記係合部が前記被係合部材に対して車両幅方向に位置ずれしたとしても、前記係合部よりも拡幅された範囲で該係合部及び前記被係合部材の係合をより確実に実現することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置において、前記摺動部材を車室内から覆うガーニッシュを備え、前記係合部材は、前記ガーニッシュの上方を車両幅方向に跨いで前記係合部を下向きに延設することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前記摺動部材は、前記ガーニッシュにより車室内から覆われることで、前記摺動部材の露出による見栄えの悪化を抑制することができる。また、前記係合部材は、前記ガーニッシュの上方を車両幅方向に跨いで前記係合部を下向きに延設しているため、前記ガーニッシュによって前記係合部(係合部材)及び前記被係合部材の係合が阻害されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、可動パネルの開作動に連動させてサンシェードを開作動可能な車両用ルーフ装置において、可動パネルが全閉状態からチルト動作する際のサンシェードの応動をより確実に抑制することができる車両用ルーフ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図7を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両前後方向を「前後方向」といい、車両高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両幅方向外側を「車外側」という。
【0020】
図1に示すように、自動車などの車両の屋根部としてのルーフ10には、車両用ルーフ装置11が搭載されている。すなわち、ルーフ10には、開口部としての略四角形のルーフ開口部10aが形成されるとともに、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12が設置されている。そして、車両用ルーフ装置11は、ルーフ開口部10aの車両幅方向両側縁部に配置・固定される一対のガイドレール13を備える。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。
【0021】
各ガイドレール13には、摺動部材14が前後方向に移動可能に案内支持されている。そして、両摺動部材14には、これらの間に橋渡しされる態様で可動パネル12の車両幅方向両側縁部が連係・支持されている。摺動部材14は、ガイドレール13に沿う移動に伴い、ルーフ開口部10aを開閉すべく可動パネル12を移動させる。
【0022】
また、車両用ルーフ装置11は、両ガイドレール13の車両前側端部に連結されて車両幅方向に延在する、例えば樹脂材からなるフロントハウジング15を備える。このフロントハウジング15の長手方向中間部には、駆動部材16(例えば電動モータ)が設置されている。この駆動部材16は、両摺動部材14に駆動連結されており、これら摺動部材14を同時に前後方向に移動駆動する。両摺動部材14の前後方向への移動に伴い、可動パネル12が開閉作動することは既述のとおりである。
【0023】
なお、可動パネル12は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ動作、前側部位及び後側部位が共に上昇するポップアップ動作、及び前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。
図2(a)(b)に示すように、可動パネル12によるルーフ開口部10aの開閉作動においては、ポップアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。
【0024】
さらに、ルーフ10には、可動パネル12の車両幅方向各縁部の下方で前後方向に延在する略長尺状のガーニッシュ19が立設されている。このガーニッシュ19は、摺動部材14等を車室内から覆うためのもので、その前端部は、可動パネル12等との干渉を抑制するために車両前方に向かって尖鋭になるように成形されている。
【0025】
また、ルーフ10には、可動パネル12の下方で、例えば樹脂板からなる略四角形のサンシェードパネル17が設置されている。このサンシェードパネル17は、ルーフ開口部10aにおける透光を調整するためのもので、前後方向に移動可能に設けられている。すなわち、
図3に示すように、車両用ルーフ装置11は、前記ガイドレール13の車内側に隣接してルーフ開口部10aの車両幅方向両側縁部に配置・固定される一対のサンシェード用ガイドレール18を備える。各サンシェード用ガイドレール18は、車内側に開いた断面略E字状の一定断面を有して前後方向(
図3において紙面に直交する方向)に延在する。サンシェードパネル17は、その車両幅方向各縁部がサンシェード用ガイドレール18に装着されることで、該サンシェード用ガイドレール18を摺動しつつ前後方向に移動する。そして、サンシェードパネル17は、前後方向への移動に伴いルーフ開口部10aを開閉することで、該ルーフ開口部10aにおける透光を調整する。なお、
図2(a)に示すように、サンシェードパネル17の全閉状態では、該サンシェードパネル17の前端及びガーニッシュ19の前端の前後方向における位置が互いに略一致している。
【0026】
ここで、サンシェードパネル17の前端部上面には、各ガーニッシュ19(サンシェード用ガイドレール18)の車内側に隣接して被係合部材21が設置されている。
図4に併せ示すように、この被係合部材21は、サンシェードパネル17の前端部上面に載置・固定される略四角形の底壁部21aと、該底壁部21aの前後方向中間部から上向きに延設された略四角形の縦壁部21bとを有する。また、被係合部材21は、縦壁部21bよりも車両前側となる底壁部21aの車両幅方向縁端及び縦壁部21bの下端部における車両幅方向縁端を2辺とする略三角形の一対のフランジ21cを有する。さらに、被係合部材21は、縦壁部21bの上端部における車両幅方向縁端から車両前側に突設されるとともに下端でフランジ21cに繋がるリブ状の一対の規制片21dを有する。つまり、被係合部材21は、縦壁部21bの前側で車両高さ方向に連通する略U字溝形状を呈しており、フランジ21cにおいて下方に向かうに従い前後方向に深くなっている。
【0027】
一方、
図3に示すように、可動パネル12の下面には、各ガイドレール13の上側で、例えば金属板からなる支持ブラケット22が固定されている。従って、支持ブラケット22は、基本的にサンシェード用ガイドレール18(及び被係合部材21)よりも車外側に配置されている。なお、前記摺動部材14は、支持ブラケット22において可動パネル12の車両幅方向縁部に連係されている。
【0028】
そして、各支持ブラケット22の前端部には、略水平に車内側に広がる略平板状の取付ブラケット23が固着されるとともに、該取付ブラケット23には、その上面に重ね合わされた係合部材25が締結具としてのねじ24により締結されている。この係合部材25は、その芯材となる金属製のプレート26に樹脂製の成形部27を一体形成したものである。
【0029】
プレート26は、取付ブラケット23の上面に重ね合わされて車内側に広がる取付部26aを有するとともに、該取付部26aの車内側端から下向きに延びる下延部26bを有する。
図5に併せ示すように、取付部26aは、車内側に向かうに従い車両前側に向かうように傾斜しており、先端に向かって徐々に縮幅されている。また、取付部26aの基端部には、略円形の挿通孔26cが形成されるとともに、該挿通孔26cの車両前側で前後方向に延在する取付部位としての略長円形の挿通孔26dが形成されている。これら挿通孔26c,26dは、前後方向に並設された一対の前記ねじ24を挿通するためのものである。なお、挿通孔26dを長孔状としているのは、取付ブラケット23(可動パネル12側)への係合部材25の取り付けにおいて前後方向への調整代を確保するためである。
【0030】
図3に示すように、成形部27は、プレート26の取付部26aの車内側端部を埋設する本体部27aを有するとともに、該本体部27aの車内側端に繋がって下延部26bを埋設する略直方体状の下延部27bを有する。両下延部26b,27bは、協働して係合部28を形成する。この係合部28は、挿通孔26d(可動パネル12への取付部位)よりも車両前側に配置されている。また、係合部28は、被係合部材21よりも車両幅方向の幅が小さく設定されており、該被係合部材21(両規制片21d間)の車両幅方向の範囲に収まって該被係合部材21の車両前側に配置されている。つまり、係合部28は、車両後方への移動軌跡が被係合部材21(縦壁部21b)に遮られるように配置されている。
【0031】
また、
図6(a)(b)に示すように、成形部27は、本体部27aの車外側端に繋がって車両後方に突出する略鋭頭状の遮蔽部29を有する。この遮蔽部29は、両ねじ24の頭部24aを車室内から覆うためのものである。
【0032】
なお、係合部材25は、取付ブラケット23を介してガーニッシュ19を車両幅方向に跨ぐことで、該ガーニッシュ19の車内側に係合部28を下向きに延設している。これにより、係合部材25がガーニッシュ19に干渉することが回避されている。そして、
図7(a)(b)に示すように、可動パネル12の全閉状態及びチルトアップ状態では、係合部28は、被係合部材21(底壁部21a)に対し車両前方に離隔されており、少なくとも可動パネル12が全閉状態〜チルトアップ状態間を推移するときの揺動に際して被係合部材21との干渉が回避されている。一方、
図7(c)及び
図4に示すように、可動パネル12がポップアップ状態のまま車両後方にスライド動作を行うと、係合部28は、被係合部材21(縦壁部21b)を車両後方に押圧する。従って、可動パネル12の開作動時には、係合部28(係合部材25)及び被係合部材21の係合によって、サンシェードパネル17が一体で開作動する。
【0033】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図7(a)に示す可動パネル12の全閉状態において、駆動部材16に駆動される両摺動部材14が車両後方に移動すると、
図7(b)に示すように、該摺動部材14に連係された可動パネル12がチルトアップ状態に移行する。このとき、可動パネル12の揺動に伴って係合部28の下端が被係合部材21に近付くものの、係合部28が被係合部材21に対し車両前方に離隔されていることで、該被係合部材21との干渉が回避される。特に、係合部28が挿通孔26d(可動パネル12への取付部位)よりも車両前側に位置する分だけ、被係合部材21との干渉がより確実に回避される。そして、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際のサンシェードパネル17の応動がより確実に抑制される。
【0034】
続いて、駆動部材16に駆動される両摺動部材14が車両後方に更に移動すると、
図7(c)に示すように、該摺動部材14に連係された可動パネル12がポップアップ状態に移行する。このとき、可動パネル12が車両後方に移動し始めて、係合部28が被係合部材21に当接又は近接する。従って、駆動部材16に駆動される両摺動部材14が車両後方に更に移動すると、係合部28(係合部材25)及び被係合部材21の係合によって、サンシェードパネル17が一体で開作動する。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、例えば可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際に係合部28が被係合部材21に近付くように揺動したとしても、係合部28が両挿通孔26c,26dよりも車両前側に位置する分だけ、被係合部材21に干渉しにくくできる。これにより、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際のサンシェードパネル17の応動をより確実に抑制することができる。そして、ポップアップ状態にある可動パネル12が開作動する際には、係合部28に被係合部材21が押圧されることで、これに連動してサンシェードパネル17を開作動させることができる。
【0036】
(2)本実施形態では、係合部材25は、前後方向への調整代を有する長孔状の挿通孔26dに挿通されるねじ24によって取付ブラケット23(可動パネル12の車両前側部位)に締結されている。従って、例えば係合部材25等の製造ばらつきや組付けばらつきなどで係合部28が前記フロントハウジング15に近付いたとしても、挿通孔26dの前後方向への調整代の範囲で係合部28を位置調整することで、該係合部28がフロントハウジング15に干渉することを抑制できる。
【0037】
(3)本実施形態では、ねじ24(頭部24a)は、係合部材25の遮蔽部29により車室内から覆われることで、ねじ24の露出による見栄えの悪化を抑制することができる。
【0038】
(4)本実施形態では、被係合部材21(縦壁部21b)は、係合部28よりも車両幅方向に拡幅されている。このため、例えば摺動部材14や係合部材25等の製造ばらつきや組付けばらつきなどで係合部28が被係合部材21に対して車両幅方向に位置ずれしたとしても、係合部28よりも拡幅された範囲で該係合部28及び被係合部材21の係合をより確実に実現することができる。
【0039】
(5)本実施形態では、摺動部材14は、ガーニッシュ19により車室内から覆われることで、摺動部材14の露出による見栄えの悪化を抑制することができる。また、係合部材25は、ガーニッシュ19の上方を車両幅方向に跨いで係合部28を下向きに延設しているため、ガーニッシュ19によって係合部28(係合部材25)及び被係合部材21の係合が阻害されることを抑制できる。
【0040】
(6)本実施形態では、係合部材25(及び取付ブラケット23)を、支持ブラケット22とは別部品としたことで、例えばフロントハウジング15やサンシェードパネル17との配置関係が異なる車種であっても、係合部材25の変更のみで対応することができる。特に、係合部材25は、長孔状の挿通孔26dにおいて前後方向への調整代を有することで、前記異なる車種であっても、係合部材25を変更することなく対応できる可能性がある。
【0041】
(7)本実施形態では、係合部材25を可動パネル12側(支持ブラケット22)に固定したことで、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際の前後方向の移動量を、例えば摺動部材(14)に固定した場合の当該時の前後方向の移動量に比べて縮小することができる。従って、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際に、係合部材25が被係合部材21に係合しないようにために要する前後方向の間隔を縮小することができ、ひいてはガイドレール13や摺動部材14を前後方向により小型化することができる。
【0042】
つまり、摺動部材に固定した係合部材は、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際の摺動部材の移動量だけ前後方向に移動することになり、当該移動量で被係合部材21と干渉することがないように該被係合部材21の前方に十分な間隔を確保する必要がある。このため、係合部材の固定される摺動部材(及びガイドレール)も前後方向への大型化を余儀なくされる。そして、摺動部材等により大きな配置スペースが必要とされる。
【0043】
これに対し、可動パネル12側に固定した係合部材25は、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際の揺動量に対応する前後方向の変位分だけ移動することになり、被係合部材21の前方に確保を要する間隔が縮小される。このため、係合部材25の固定される可動パネル12側(支持ブラケット22)もそのために前後方向に大型化する必要はなくなるのである。
【0044】
また、可動パネル12が全閉状態からチルトアップ動作する際の摺動部材の移動量は、車種に応じて異なることが一般的であるが、当該移動量に対する係合部材25の移動量が縮小されてその影響が緩和されていることで、異なる車種への対応をより容易に行うことができる。特に、係合部材25を変更することなく異なる車種に対応できる可能性が高くなり、汎用性を増すことができる。
【0045】
(8)本実施形態では、取付ブラケット23を介してガーニッシュ19を車両幅方向に跨いだ係合部材25の係合部28をサンシェードパネル17に向かって下向きに延設したことで、可動パネル12のポップアップ状態において、被係合部材21及び係合部材25の車両高さ方向の係合代を十分に確保することができる。また、摺動部材(14)に係合部材を固定する場合のように、ガーニッシュ19を乗り越えるために係合部材を上向きに一旦延出させるとともに下向きに折り返すように延出させる必要もないことから、係合部材25の形状をより簡素化することができ、ひいてはコストを削減することができる。
【0046】
このように、簡易な形状で、被係合部材21及び係合部材25の車両高さ方向の係合代を十分に確保したことで、例えばガイドレール13及びサンシェード用ガイドレール18の曲率半径が異なるなど可動パネル12の開閉位置に応じて当該車両高さ方向の係合代が変化したとしても、被係合部材21及び係合部材25をより確実に係合させることができる。また、可動パネル12及びサンシェードパネル17の車両高さ方向の距離の異なる車種であっても、係合部材25等を変更することなく対応できる可能性がある。
【0047】
(9)本実施形態では、ガーニッシュ19の上方から支持ブラケット22(取付ブラケット23)に係合部材25を締結できる構成としたことで、該係合部材25の組付性を向上させることができる。あるいは、ガーニッシュ19は、係合部材25等に制約されることなく設置できるため、その取付構造を簡素化でき、ひいてはガーニッシュ19及びその周辺部品のコストを削減することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、被係合部材21は、金属材、樹脂材、あるいはそれらの組み合わせからなっていてもよい。一方、係合部材25は、金属材のみ、あるいは樹脂材のみからなっていてもよい。
【0049】
・前記実施形態において、取付ブラケット23は、支持ブラケット22又は係合部材25(プレート26)に一体的に設けてもよい。
・前記実施形態において、取付ブラケット23(可動パネル12側)への係合部材25の締結は、例えば締結具としてのかしめピンなどで行ってよい。あるいは、取付ブラケット23(可動パネル12側)への係合部材25の結合は、例えば溶接などで行ってよい。
【0050】
・前記実施形態において、摺動部材14等を車室内から覆うガーニッシュ19はなくてもよい。
・前記実施形態において、被係合部材21(縦壁部21b)の車両幅方向の幅は、係合部28の車両幅方向の幅と同等に設定してもよい。
【0051】
・前記実施形態において、例えばねじ24(頭部24a)が車室内に露出しないように配置されている場合や、係合部材25が溶接などで結合されている場合には、係合部材25の遮蔽部29はなくてもよい。
【0052】
・前記実施形態において、挿通孔26dを略円形として、前後方向への調整代をなくてもよい。
・前記実施形態において、係合部材25の係合部28は、ガイドレール13の車外側に配置されていてもよい。
【0053】
・前記実施形態において、被係合部材21及び係合部材25は、両ガイドレール13間の中央部に配置されていてもよい。
・前記実施形態において、可動パネル12によるルーフ開口部10aの開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド動作するアウタースライディング式を採用してもよいし、チルトダウン状態のままスライド動作する、いわゆるインナースライディング式を採用してもよい。
【0054】
・本発明は、摺動部材が前方に移動することで可動パネルをチルト状態に移行させるものに適用してもよい。
・本発明は、前後方向に複数の可動パネルが並設される車両用ルーフ装置に適用してもよい。
【0055】
・本発明は、前後方向に複数のサンシェードパネルが並設される車両用ルーフ装置に適用してもよい。この場合、可動パネル12の開作動に全てのサンシェードパネルを連動させてもよいし、いずれか一つのサンシェードパネルのみを連動させて、当該サンシェードパネルに残りのサンシェードパネルを連動させてもよい。
【0056】
・本発明は、いわゆる巻取式のロールシェードに適用してもよい。
・本発明は、可動パネルの閉作動に連動してサンシェードパネルを閉作動可能な車両用ルーフ装置に適用してもよい。