特許第6035892号(P6035892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035892
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ロボットハンド及びロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   B25J15/08 C
【請求項の数】8
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2012-136994(P2012-136994)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-627(P2014-627A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】山口 如洋
(72)【発明者】
【氏名】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】平田 泰久
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢悟
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−079467(JP,A)
【文献】 特開2009−125851(JP,A)
【文献】 特開平04−135192(JP,A)
【文献】 特開平06−206187(JP,A)
【文献】 実開昭54−063382(JP,U)
【文献】 実開平03−062789(JP,U)
【文献】 実開昭63−193678(JP,U)
【文献】 実公昭50−032932(JP,Y1)
【文献】 特開平5−57654(JP,A)
【文献】 Yasuhisa HIRATA, Aya KAISUMI, Kengo YAMAGUCHI, Kazuhiro KOSUGE,Design of handling device for caging and aligning circular objects,2011 IEEE International Conference on Robotics and Automation,米国,IEEE,2011年 5月,第4370ページ−第4377ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、
前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、
前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、
前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、
前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部と
を備え、
前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、
前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、
前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、
前記第二方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、
前記第二方向視において、前記第一方向に直交する直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、
前記第二方向視において、前記第二面を含む直線と前記第一面を含む直線との交点を基点、前記基点を通りかつ前記第一方向に平行な直線を基線、前記第二面を含む直線の前記基点とは反対側の頂点を通りかつ前記基線に直交する直線を直行線としたとき、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きく、
前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれには、互いの対向方向に突出した突出部が設けられており、
前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれは、鉛直方向に移動可能であって、水平方向に平行な状態、水平方向に対して傾いた状態、及び鉛直方向下側に前記先端部を向けた状態で、前記対象物を把持可能とされている
ロボットハンド。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記可動部に螺合されるネジ山が所定方向に沿って形成されたネジ部と、
前記ネジ部を回転させるモーター部と
を有し、
前記所定方向は、前記第二方向に平行であり、
前記可動部は、前記ネジ部の回転によって前記第二方向に移動可能である
請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記モーター部は、
駆動源と、
前記駆動源に接続され、所定の軸周りに回転可能な回転伝達軸と
を有し、
前記回転伝達軸は、前記第二方向に平行に配置されている
請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記ネジ山は、前記回転伝達軸に形成されている
請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記第一指部及び前記第二指部は、前記第三方向に直線状に延在している
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項6】
基部と、
前記基部に設けられたロボットハンドと
を備え、
前記ロボットハンドは、
第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、
前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、
前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、
前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、
前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部と
を備え、
前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、
前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、
前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、
前記第二方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、
前記第二方向視において、前記第一方向に直交する直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、
前記第二方向視において、前記第二面を含む直線と前記第一面を含む直線との交点を基点、前記基点を通りかつ前記第一方向に平行な直線を基線、前記第二面を含む直線の前記基点とは反対側の頂点を通りかつ前記基線に直交する直線を直行線としたとき、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きく、
前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれには、互いの対向方向に突出した突出部が設けられており、
前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれは、鉛直方向に移動可能であって、水平方向に平行な状態、水平方向に対して傾いた状態、及び鉛直方向下側に前記先端部を向けた状態で、前記対象物を把持可能とされている
ロボット装置。
【請求項7】
前記ロボットハンドは、前記第三方向に平行な所定の直線を中心軸とした軸回り方向に回転可能である
請求項6に記載のロボット装置。
【請求項8】
前記第一指部及び前記第二指部は、前記第一方向に前記中心軸を挟む位置に配置されている
請求項7に記載のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用ロボットとして、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット(スカラロボット)、直交型ロボットなどが開発されており、それらのロボットが各々の特徴に適合する用途に合わせて選択されている(例えば、特許文献1参照)。これらのロボットには、対象物を把持する2つの指部を有する把持部を目標位置に移動させ、これら2つの指部の回転軸を中心として回転することで、2つの指部を開閉させ、これによって対象物を把持させるロボットハンドが設けられている。このようなロボットハンドのうち、例えば2つの指部の対向面にそれぞれ凹部が設けられ、当該凹部において対象物を挟持する構成が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−78312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記で提案されているような凹部を有する指部の形状において、把持可能な対象物のサイズの範囲について検討した。この結果、回転軸を中心として開閉する上記の構成よりも、水平方向に2つの指部を移動させて開閉動作を行う構成の方が、幅広い範囲のサイズの対象物を把持可能であることが分かった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、幅広い範囲のサイズの対象物を把持可能なロボットハンド、ロボット装置及びロボットハンドの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるひとつのロボットハンドは、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部とを備え、前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、前記第二方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第一方向に直交する直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第二面を含む直線と前記第一面を含む直線との交点を基点、前記基点を通りかつ前記第一方向に平行な直線を基線、前記第二面を含む直線の前記基点とは反対側の頂点を通りかつ前記基線に直交する直線を直行線としたとき、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きく、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれには、互いの対向方向に突出した突出部が設けられており、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれは、鉛直方向に移動可能であって、水平方向に平行な状態、水平方向に対して傾いた状態、及び鉛直方向下側に前記先端部を向けた状態で、前記対象物を把持可能とされている。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるひとつのロボット装置は、基部と、前記基部に設けられたロボットハンドとを備え、前記ロボットハンドは、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部とを備え、前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、前記第二方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第一方向に直交する直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第二面を含む直線と前記第一面を含む直線との交点を基点、前記基点を通りかつ前記第一方向に平行な直線を基線、前記第二面を含む直線の前記基点とは反対側の頂点を通りかつ前記基線に直交する直線を直行線としたとき、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きく、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれには、互いの対向方向に突出した突出部が設けられており、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれは、鉛直方向に移動可能であって、水平方向に平行な状態、水平方向に対して傾いた状態、及び鉛直方向下側に前記先端部を向けた状態で、前記対象物を把持可能とされている。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるひとつのロボットハンドは、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部とを備え、前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、前記第二方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第一方向に直交する直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第二面を含む直線と前記第一面を含む直線との交点を基点、前記基点を通りかつ前記第一方向に平行な直線を基線、前記第二面を含む直線の前記基点とは反対側の頂点を通りかつ前記基線に直交する直線を直行線としたとき、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きく、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれには、互いの対向方向に突出した突出部が設けられている。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるひとつのロボット装置は、基部と、前記基部に設けられたロボットハンドとを備え、前記ロボットハンドは、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部とを備え、前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、前記第二方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第一方向に直交する直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、前記第二方向視において、前記第二面を含む直線と前記第一面を含む直線との交点を基点、前記基点を通りかつ前記第一方向に平行な直線を基線、前記第二面を含む直線の前記基点とは反対側の頂点を通りかつ前記基線に直交する直線を直行線としたとき、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きく、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれには、互いの対向方向に突出した突出部が設けられている。
本発明に係るロボットハンドは、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部とを備え、前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、前記第三方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、前記第三方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きい。
【0007】
本発明によれば、所定の第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、可動部と第一指部とを連結する第一連結部と、可動部と第二指部とを連結する第二連結部と、第一連結部及び第二連結部を介して第一指部及び第二指部が第一方向に開閉移動するように可動部を駆動する駆動部とを備えるので、第一指部と第二指部とを回転させるのではなく当該第一指部と第二指部とを第一方向に往復移動させることで、第一指部及び第二指部による開閉動作を行うことができる。これにより、幅広い範囲のサイズの対象物を把持可能となる。
【0008】
上記のロボットハンドにおいて、前記駆動部は、前記可動部に螺合されるネジ山が所定方向に沿って形成されたネジ部と、前記ネジ部を回転させるモーター部とを有し、前記所定方向は、前記第二方向に平行であり、前記可動部は、前記ネジ部の回転によって前記第二方向に移動可能であることが好ましい。
本発明によれば、可動部に螺合されるネジ山が所定方向に沿って形成された軸部と、ネジ部を回転させるモーター部とを有し、所定方向が第二方向に平行であり、可動部がネジ部の回転によって第二方向に移動可能であるので、モーター部による回転力はネジ部によって第二方向の移動力に変換される。可動部は、この第二方向の移動力によって移動可能であるため、モーター部の回転を直線方向の変位として効率的に第一指部及び第二指部に伝達することができる。
【0009】
上記のロボットハンドにおいて、前記モーター部は、駆動源と、前記駆動源に接続され、所定の軸周りに回転可能な回転伝達軸とを有し、前記回転伝達軸は、前記第二方向に平行に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、モーター部が、駆動源と、当該駆動源に接続され所定の軸周りに回転可能な回転伝達軸とを有し、回転伝達軸が第二方向に平行に配置されているので、モーター部のコンパクト化を図ることができる。
【0010】
上記のロボットハンドにおいて、前記ネジ山は、前記回転伝達軸の一部に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、ネジ山が回転伝達軸の一部に形成されているので、モーター部をよりコンパクトにすることができる。
【0011】
上記のロボットハンドにおいて、前記第一指部及び前記第二指部は、前記第二方向に直線状に延在していることが好ましい。
本発明によれば、第一指部及び第二指部が第二方向に直線状に延在しているので、把持部のコンパクト化を図ることができる。
【0012】
本発明に係るロボット装置は、基部と、前記基部に設けられたロボットハンドとを備え、前記ロボットハンドは、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、前記第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、前記可動部と前記第一指部とを連結する第一連結部と、前記可動部と前記第二指部とを連結する第二連結部と、前記第一連結部及び前記第二連結部を介して前記第一指部及び前記第二指部が前記第一方向に開閉移動するように前記可動部を駆動する駆動部とを備え、前記第一指部及び前記第二指部は、それぞれ対象物を把持する先端部と前記先端部に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれに直交する第三方向上の位置に配置された基端部とを有し、前記第一指部及び前記第二指部における他方の指部との対向面には、対象物を挟持する凹部が配置され、前記第一指部及び前記第二指部のそれぞれの前記凹部は、前記第一指部及び前記第二指部の前記基端部側に配置された第一面と、前記第一指部及び前記第二指部の前記先端部側に配置された第二面とを有し、前記第三方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第二面を含む直線とのなす角の角度αが0°より大きく90°未満であり、前記第三方向視において、前記第一方向に平行な直線と、前記第一面を含む直線とのなす角の角度βが0°より大きく90°未満であり、前記基線における、前記基点から前記直行線までの長さdが0より大きい。
【0013】
本発明によれば、基部と、当該基部に設けられたロボットハンドとを備え、ロボットハンドが、第一方向に並んで配置された第一指部及び第二指部を有する把持部と、第一方向に直交する第二方向に往復移動可能な可動部と、可動部と第一指部とを連結する第一連結部と、可動部と第二指部とを連結する第二連結部と、第一連結部及び第二連結部を介して第一指部及び第二指部が第一方向に開閉移動するように可動部を駆動する駆動部とを備えるので、第一指部と第二指部とを回転させるのではなく当該第一指部と第二指部とを第一方向に往復移動させることで、第一指部及び第二指部による開閉動作を行うことができる。これにより、幅広い範囲のサイズの対象物を把持可能となる。
【0014】
上記のロボット装置において、前記ロボットハンドは、前記第二方向に平行な所定の直線を中心軸とした軸回り方向に回転可能であることが好ましい。
本発明によれば、ロボットハンドが第二方向に平行な所定の直線を中心軸とした軸回り方向に回転可能であるので、第一指部及び第二指部に対象物を把持させた状態で当該対象物の姿勢を変化させることができる。例えば、第一指部及び第二指部が対象物を把持した状態で、回転することにより、重力方向における向きを反転させることができる。
【0015】
上記のロボット装置において、前記第一指部及び前記第二指部は、前記第一方向に前記中心軸を挟む位置に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、第一指部及び第二指部が第一方向に中心軸を挟む位置に配置されているので、対象物が回転する場合には、中心軸を中心として回転することになる。これにより、対象物の中心位置の移動を抑制しつつ当該対象物の姿勢を変化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るロボット1の概略構成を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係る把持部の構成を示す平面図である。
図3】同実施形態に係る爪部の開閉機構を説明する図である。
図4】同実施形態に係る爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順を説明する図である。
図5】同実施形態に係る爪部が把持可能な部品を説明する図である。
図6】同実施形態に係る把持可能な最大の大きさと爪部形状のパラメーターα、β、dとの関係を説明する図である。
図7】同実施形態に係る爪部の頂点と部品との関係により把持可能な部品の大きさを説明する図である。
図8】同実施形態に係る爪部の頂点と部品との関係を説明する図である。
図9】本実施形態に係る爪部を閉じた時に把持可能な部品の大きさを説明する図である。
図10】同実施形態に係る爪部により把持可能な部品の最小の大きさの算出を説明する図である。
図11】同実施形態に係るケージング領域のパラメーターを説明する図である。
図12】同実施形態に係るケージング領域の形状と各パラメーターを説明する図である。
図13】同実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc21の場合を説明する図である。
図14】同実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc22の場合を説明する図である。
図15】同実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc23の場合を説明する図である。
図16】同実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc24の場合を説明する図である。
図17】同実施形態に係るケージング可能な最大の大きさrmax2と距離c1、c2、climの関係を説明する図である。
図18】同実施形態に係るセルフアライメントの条件を説明する図である。
図19】同実施形態に係る爪部から部品に加わる力を説明する図である。
図20】同実施形態に係るrと頂点a2の関係を説明する図である。
図21】同実施形態に係る部品Mを取り付ける場合に用いる条件を説明する図である。
図22】同実施形態に係る爪部先が取り付ける部品M2と干渉している例を説明する図である。
図23】同実施形態に係るロボットハンドの構成を示す斜視図である。
図24】同実施形態に係るロボットハンドの構成を示す図である。
図25】同実施形態に係るロボットハンドの構成を示す図である。
図26】同実施形態に係るロボットハンドの構成を示す図である。
図27】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図28】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図29】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図30】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図31】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図32】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図33】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図34】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図35】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図36】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図37】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図38】同実施形態に係るロボットハンドの動作の一態様を示す図である。
図39】本発明の第二実施形態であるロボット装置を適用したロボットシステムが作業を行う様子を示す、概略の外観図である。
図40】本発明の第三実施形態におけるロボットシステムの概略の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0018】
以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸が水平面に対して平行かつ互いに直交する方向に設定され、Z軸がX軸及びY軸のそれぞれと直交する方向(鉛直方向)に設定されている。
【0019】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係るロボット1の概略構成を示す斜視図である。図1において、符号W1は第一対象物、符号W2は第二対象物である。また、符号L1Aは第一アーム21Aの回転軸,符号L2Aは第二アーム22Aの回転軸、符号L3Aは第三アーム23Aの回転軸、符号L4A及び符号L5Aは把持部10Aの回転軸である。符号L1Bは第一アーム21Bの回転軸,符号L2Bは第二アーム22Bの回転軸、符号L3Bは第三アーム23Bの回転軸、符号L4B及び符号L5Bは把持部10Bの回転軸である。
【0020】
ここでは、第一対象物W1として小型かつ軽量な歯車を例示して説明することとし、第二対象物W2として前記歯車を回転可能に支持する支持軸(ピン)を備える電子機器を例示して説明することとする。なお、第一対象物W1は把持部と接する側に曲面を有する略円柱形状となっている。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るロボット1は、ロボットハンドRHを備えている。ロボットハンドRHは、把持部10A及び10Bを有している。把持部10Aは、開閉可能に設けられ対象物を把持する第一指部41及び第二指部42を有している。把持部10Bは、開閉可能に設けられ対象物を把持する一対の指部43及び44を有している。
【0022】
また、ロボット1は、対象物と把持部10A,10Bとをそれぞれ相対移動させるアーム(移動装置)20A,20Bと、第一対象物W1を搬送するベルトコンベア33,34と、第一対象物W1を第一ベルトコンベア(移動装置)33に搬入するフィーダと、第一対象物W1の受け渡し用の台となるステージ37と、対象物W1,W2を載置するステージ(移動装置)30と、アーム20A,20B及びステージ30を支持する基台50と、アーム20A,20Bにそれぞれ取り付けられたカメラ40A,40Bと、ロボット1自身の動作を制御する制御装置60と、制御装置60への入力指示を行う入力装置70と、を備えている。
【0023】
把持部10Aは、第三アーム23Aの先端部に接続されている。把持部10Aは、第一ベルトコンベア33に配置された第一対象物W1を把持する。把持部10Aは、把持した第一対象物W1をステージ37に搬送する。把持部10Aは、第一対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Aを備えている。検出装置41Aとしては、例えば、圧力センサーを用いたりモーターのトルクの変化(モーターを流れる電流の変化)を検出するセンサーを用いたりすることができる。
【0024】
把持部10Bは、第三アーム23Bの先端部に接続されている。把持部10Bは、ステージ37に配置された第一対象物W1を把持する。把持部10Bは、把持した第一対象物W1をステージ30に搬送する。把持部10Bは、把持した(またはステージ37に配置された)第一対象物W1を第二対象物W2に搬送する。具体的には、把持部10Bによって、歯車W1が電子機器W2のピンに挿通される。把持部10Bは、第一対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Bを備えている。検出装置41Bとしては、例えば、圧力センサーを用いたりモーターのトルクの変化(モーターを流れる電流の変化)を検出するセンサーを用いたりすることができる。
【0025】
アーム20Aは、第一アーム21A、第二アーム22A、第三アーム23Aがこの順に連結されており、第一アーム21AがZ軸方向に回転軸を有する主軸24及び平面視略矩形の基底部25を介して基台50に接続されている。第一アーム21Aは、主軸24との連結個所において、水平方向(XY平面と平行な方向)に回転軸L1A周りを正逆回転可能に設けられている。第二アーム22Aは、第一アーム21Aとの連結個所において、水平方向に回転軸L2A周りを正逆回転可能に設けられている。第三アーム23Aは、第二アーム22Aとの連結個所において、水平方向に回転軸L3A周りを正逆回転可能であるとともに、垂直方向(Z軸方向)に上下移動可能に設けられている。なお、把持部10Aは、第三アーム23Aとの連結個所において、水平方向に直交する方向に回転軸L4A周りを正逆回転可能に設けられている。
【0026】
アーム20Bは、第一アーム21B、第二アーム22B、第三アーム23Bがこの順に連結されており、第一アーム21BがZ軸方向に回転軸を有する主軸24及び平面視略矩形の基底部25を介して基台50に接続されている。第一アーム21Bは、主軸24との連結個所において、水平方向(XY平面と平行な方向)に回転軸L1B周りを正逆回転可能に設けられている。第二アーム22Bは、第一アーム21Bとの連結個所において、水平方向に回転軸L2B周りを正逆回転可能に設けられている。第三アーム23Bは、第二アーム22Bとの連結個所において、水平方向に回転軸L3B周りを正逆回転可能であるとともに、垂直方向(Z軸方向)に上下移動可能に設けられている。なお、把持部10Bは、第三アーム23Bとの連結個所において、水平方向に直交する方向に回転軸L4B周りを正逆回転可能に設けられている。
【0027】
第一ベルトコンベア33、第二ベルトコンベア34は、アーム20Aが設けられた側からこの順に離間して配置されている。フィーダ36は、第一ベルトコンベア33の上流側(+Y方向側)に配置されている。第二ベルトコンベア34は、第一ベルトコンベア33の下流側(−Y方向側)に突出するよう平面視において第一ベルトコンベア33よりも大きくなっている。第一ベルトコンベア33から落下した第一対象物W1は、第二ベルトコンベア34に搬送されて図示しない傾斜したベルトコンベアによりフィーダ36の開口部36aに投入される。このようにして、把持部10Aに把持されなかった第一対象物W1は、第一ベルトコンベア33、第二ベルトコンベア34、フィーダ36を循環するようになっている。
【0028】
ステージ30は、対象物を載置する天板31と、天板31を支持するベース部35と、を備えている。ベース部35は、例えば、X方向に天板31を水平移動させる移動機構と、Y方向に天板31を移動させる移動機構と、がそれぞれ独立に収納されており、天板31を水平方向に移動可能に設けられている。
【0029】
カメラ40Aは、アーム20Aを構成する第二アーム22Aの先端部に取り付けられている。カメラ40Aとしては、例えばCCDカメラを用いる。カメラ40Aは、第一ベルトコンベア33上に載置された第一対象物W1を撮像する。カメラ40Aの撮影画像は、制御装置60に送信される。
【0030】
カメラ40Bは、アーム20Bを構成する第二アーム22Bの先端部に取り付けられている。カメラ40Bとしては、例えばCCDカメラを用いる。カメラ40Bは、天板31上に載置された第一対象物W1、第二対象物W2を撮像する。カメラ40Bの撮影画像は、制御装置60に送信される。
【0031】
制御装置60は、メモリー、CPU、電源回路等を内蔵している。制御装置60は、入力装置70から入力されるロボット1の動作内容を規定する動作プログラム等を記憶し、CPUによってメモリーに記憶された各種プログラムを起動しロボット1を統括制御する。
【0032】
図2は、本実施形態に係る爪部の構成を示す平面図である。ここでは、把持部10A及び把持部10Bのうち把持部10Aの第一指部41及び第二指部42を例示して指部の構成を説明することとする。把持部10Bの第一指部43及び第二指部44については把持部10Aの第一指部41及び第二指部42と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図2(a)は、指部の構成を示す平面図であり、図2(b)は、指部の形状のパラメーターを説明する図である。
【0033】
図2(a)に示すように、第一指部41は爪部101を有しており、第二指部42は爪部102を有している。爪部101及び爪部102は、基準線202で線対称の関係である。また、爪部101及び爪部102は、先端から後端(基端もしくは基部ともいう)に向かうにしたがって、互いに離れる方向に漸次傾斜する第一傾斜面(先端側の面ともいう)111及び112を有し、互いに近接する方向に漸次傾斜する第二傾斜面(基端側の面もしくは基部側の面もいう)121及び122を有している。また、爪部101及び爪部102は、例えば、アルミニウム等の金属(平板)を曲げたり、前記金属(直方体)を切削したりすることによって形成することができる。
【0034】
このような構成により、第一対象物W1は爪部101と爪部102の先端付近で把持されることとなる。このため、爪部101及び爪部102は、第一対象物W1を把持して搬送するために、ケージング、セルフアライメント、摩擦把持の3つの機能を実現できる。制御装置60は、爪部101及び爪部102に第一対象物W1を4点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0035】
なお、「ケージング」とは、対象物(第一対象物W1)がある位置及び姿勢のときに、第一対象物W1が、一対の爪部101及び爪部102とによって閉じられた空間の中にあることをいう。ケージングでは、第一対象物W1の位置あるいは姿勢は、爪部101及び爪部102に拘束されておらず自由である。
【0036】
「セルフアライメント」とは、爪部101及び爪部102が第一対象物W1を挟み込む際に、爪部101及び爪部102の形状や、爪部101及び爪部102と第一対象物W1との摩擦力によって、第一対象物W1を前記閉じられた空間の中で所定の位置に移動させることをいう。
【0037】
「摩擦把持」とは、爪部101及び爪部102が第一対象物W1を4点以上の接触点で接触させて第一対象物W1を拘束し、かつ、摩擦力によって第一対象物W1を第一対象物W1が配置された面33aに対して垂直な方向に拘束して把持することをいう。
【0038】
図2(b)に示すように、爪部101の先端は、頂点a、a、aに囲まれた三角形(凹部ともいう)の形状(以下、爪部形状という)になっている。この爪部形状を3つのパラメーターα、β、dで表す。符号βは、線分aと線分aとのなす角を表し、符号αは、頂点aから線分aに垂線(基線ともいう)をおろした場合の線分aと垂線とのなす角を表す。また、符号dは、三角形aの底辺aまでの高さ(=acosα)を表す。また、第一傾斜面111と第二傾斜面121との交点である点aを基点ともいう。
【0039】
爪部101において、爪部形状のパラメーターα、β、dが取り得る範囲は、次式(1)のようになる。
【0040】
【数1】
【0041】
以下、この爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手法について説明する。図3(a)と図3(b)は、本実施形態に係る爪部の開閉機構について一般的な原理を説明する図である。図3(a)に示すように、制御装置60は、爪部101及び爪部102を、各々の頂点aとaとを結ぶ辺を延長して交わる点Qを中心として、互いの辺aとを延長した線同士のなす角φを制御することで開閉する。また、爪部101及び爪部102を、爪部101の開閉における3つのパラメーター(以下、開閉パラメーターという)θ、γ、l(エル)で表す。点Pは回転中心を表し、符号l(エル)は、点Pから爪部101の三角形aの下端a(点B;基端側の面の端部ともいう)までの距離を表す。符号γは把持部101が閉じている時のBPとx軸がなす角を表し、符号θは、把持部101が閉じている時のBPと爪部101が開いた状態の時のB’Pがなす角を表す。なお、本実施形態では、後述するようにγ=90°を満たす構成となっているが、以下の説明では、γ=90°を含めた一般的な原理について説明する。
【0042】
次に、爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順を、図面を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順を説明する図である。
まず、図4を用いて爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順の概略を説明する。
【0043】
図示しない爪部設計装置は、爪部101及び爪部102が把持可能な範囲を算出する(ステップS1)。なお、本実施形態では、爪部101及び爪部102の爪部形状のパラメーターα、β、dを、爪部設計装置が算出する例について説明するが、例えば、これらの算出手順に従って算出を行う演算装置や、爪部の設計者が行うようにしてもよい。
【0044】
次に、爪部設計装置は、後述するケージング条件とセルフアライメント条件を含む制約条件を用いて、爪部101及び爪部102が把持可能な範囲の絞り込みを行う(ステップS2)。
【0045】
次に、爪部設計装置は、制約条件から爪部101及び爪部102の爪先形状の範囲の絞り込みを行う(ステップS3)。
【0046】
次に、爪部設計装置は、爪部101及び爪部102の爪先形状を算出、すなわち、爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する(ステップS4)。
【0047】
[摩擦把持の条件]
次に、ステップS1で行う爪部101及び爪部102が把持可能な範囲を計算手法について、詳細に説明する。爪部101及び爪部102が、対象物W1を把持する条件は、爪部101、102と対象物W1とが、少なくとも3点の接触点を有して接し、拘束していることである(摩擦把持の条件)。
【0048】
ここで、まず、爪部設計装置は、爪部101及び爪部102が把持可能な対象物W1(部品)の最大の大きさを求める。
【0049】
図5は、本実施形態に係る爪部が把持可能な部品を説明する図である。この図では、爪部101及び爪部102が把持する物体Mの形状は、xy平面から視たとき円形(例えば、円柱状)である。また、以下の説明において、爪部形状のパラメーターα、β、dを算出するため、前述した爪部101及び爪部102の先端の三角形の形状について説明する。なお、以下の説明では、爪部形状のパラメーターα、β、dが異なる把持部であっても、共通の符号101と102とを用いて、把持部101と102と称する。また、爪部101及び爪部102が把持する対象物W1は、以下、大きさが異なっても共通の符号Mを用いて、部品Mと称する。
【0050】
また、図5(a)〜図5(c)に示すように、爪部101の第一傾斜面111と物体Mとの接点を点p、爪部101の第二傾斜面121と部品Mとの接点を点p、爪部102の第一傾斜面112と部品Mとの接点を点p、爪部102の第二傾斜面122と部品Mとの接点を点pと称する。また、物体Mの中心点oは、基準線202上にあり、中心点oを通り、この基準線202に対して垂直な線分を中心線201と称する。
【0051】
図5(a)は、爪部101及び爪部102が把持可能な部品を説明する図であり、図5(b)は、爪部101及び爪部102が把持可能な最大の大きさの部品を説明する図であり、図5(c)は、爪部101及び爪部102が把持不可能な部品を説明する図である。
【0052】
図5(a)に示すように、中心線201は、接点pとpを結ぶ線分と、接点pとpを結ぶ線分との間に位置している。このような状態の場合、爪部101及び爪部102は、4つの接触点により部品Mを囲むように把持できるため、部品Mを摩擦把持により安定して把持している。
【0053】
図5(c)に示すように、中心線201は、接点pとpを結ぶ線分よりy方向の正方向に位置している。このような状態の場合、爪部101及び爪部102は、4つの接触点により部品Mを囲むように把持できないため、部品Mを摩擦把持により安定して把持できない場合がある。例えば、物体Mと爪部101及び爪部102の摩擦係数が所定の値より小さい場合、部品Mは、摩擦把持された状態からy方向の正方向へ抜けて飛び出してしまう場合がある。
【0054】
このため、爪部101及び爪部102が把持する部品Mの最大の大きさは、図5(b)に示すように、中心線201と接点pとpを結ぶ線分と一致する場合である。この爪部101及び爪部102の面(第一傾斜面111と112、第二傾斜面121と122)が把持できる部品Mの最大半径をrmax1(以下、把持可能な最大の大きさという)で表す。
【0055】
図6は、本実施形態に係る把持可能な最大の大きさと爪部形状のパラメーターα、β、dとの関係を説明する図である。図6に示すように、部品Mは、4つの接点p〜pで部品Mを囲んでいる。すなわち、全ての接点p〜pと部品Mが、爪部101及び爪部102の面(第一傾斜面111と112、第二傾斜面121と122)にある。このように、4つの接点で部品Mを囲むことができる把持可能な最大の大きさをrmax11で表す。
【0056】
図7は、本実施形態に係る爪部の頂点と部品との関係により把持可能な部品の大きさを説明する図である。図8は、本実施形態に係る爪部の頂点と部品との関係を説明する図である。
【0057】
図7(a)は、把持可能な場合を説明する図であり、図7(b)は、把持不可能な場合を説明する図である。なお、以下の説明では、部品Mは、爪部101及び爪部102の材質より柔らかい樹脂などの場合について説明する。
【0058】
図7(a)に示すように、部品Mは、爪部101の第二傾斜面121と接点pで接触し、および爪部102の第二傾斜面122と接点pで接触している。そして、部品Mは、爪部101の第一傾斜面111とは接していず、爪部101の先端の三角形aの頂点a(接点p)で接触している。接点pにおいて、爪部101の三角形aの辺aは、部品Mの接線である。このため、爪部101の頂点aは、部品Mに突き刺さらない。
【0059】
一方、図7(b)に示すように、図7(a)と同様に、部品Mが、爪部101の第二傾斜面121と接点pで接触し、および爪部102の第二傾斜面122と接点pで接触している。しかしながら、爪部101の頂点aと部品Mは、接点pで接している。この場合、接点pにおいて、爪部101の三角形aの辺aは、部品Mの接線ではない。このため、爪部101の頂点aは、部品Mに突き刺ささる。すなわち、把持可能な最大の大きさの条件として、爪部101の頂点aまたは頂点aが、部品Mに突き刺さらない必要がある。
【0060】
以下、爪部101及び爪部102の頂点aと、爪部101及び爪部102の頂点aとを爪先と称する。
【0061】
図8(a)は、爪部101及び爪部102の頂点aが部品Mに突き刺さらない条件を説明する図である。図8(b)は、爪部101及び爪部102の頂点aが部品Mに突き刺さらない条件を説明する図である。図8(a)と図8(b)の場合分けは、爪部形状のパラメーターαが、π/2−β未満であるか、π/2−β以上であるかである。このように、爪先に突き刺さらない条件を加味した把持可能な最大の大きさをrmax12で表す。
【0062】
この結果、図6図8に示すように、把持可能な最大の大きさrmax1は、幾何学的関係から、爪部形状のパラメーターα、β、dおよび開閉パラメーターθ、γ、l(エル)により、次式(2)〜次式(4)のようになる。
【0063】
【数2】
【0064】
【数3】
【0065】
【数4】
【0066】
なお、式(2)において、rmax1が、rmax11かrmax12かが選択されるかは、爪先の形状により異なる。また、式(4)において、ifは、場合分けを表し、αがπ/2−β未満の場合は、rmax12=d/cos(α)×tan((π/2−β+α)/2)であり、αがπ/2−β以上の場合は、rmax12=d/sin(β)×tan((π/2−β+α)/2)である。
【0067】
次に、爪部101及び爪部102を閉じた状態について説明する。図9は、本実施形態に係る爪部を閉じた時に把持可能な部品の大きさを説明する図である。
【0068】
図9(b)に示すように、爪部101及び爪部102を閉じた場合、爪部101及び爪部102の第一傾斜面111と112、第二傾斜面121と122のおのおのの面は、部品Mとそれぞれ接点p〜pと接している。この状態の部品Mは、爪部101及び爪部102によって把持可能な最小の大きさrmin1である。
【0069】
一方、図9(a)に示すように、部品Mが小さい場合、爪部101及び爪部102を閉じた時、部品Mは、4つの接点p〜pすべてと接することができない。このような状態を、爪部101及び爪部102が部品Mを把持できない(把持不可能)とする。
【0070】
また、図9(c)に示すように、部品Mの後端は、爪部101及び爪部102の第二傾斜面121と122において接点pとpに接している。そして、部品Mの先端と爪部101及び爪部102の接点pとpは、爪部101及び爪部102の先端aである。また、線分aは、部品Mの接線である。このような状態は、図8で説明したように、爪部101及び爪部102が部品Mに突き刺さらない状態であるため、把持可能な状態である。
【0071】
図10は、本実施形態に係る爪部により把持可能な部品の最小の大きさの算出を説明する図である。この状態は、図9(b)と同様に、爪部101及び爪部102を閉じた時に、部品Mが爪部101及び爪部102の面(第一傾斜面111と112、第二傾斜面121と122)に4つの接点p〜pで接している状態である。部品Mが円のため、爪部101及び爪部102が把持可能な部品Mの最小の大きさrmin1は、爪を閉じたときの内接円の半径である。従って、把持可能な部品の最小の大きさ は、図10に示す幾何学的関係から次式(5)のように求められる。
【0072】
【数5】
【0073】
以上で、ステップS1で行う演算の説明を終了する。
【0074】
次に、ステップS2で行う処理について詳細に説明する。ステップS2では、ケージング条件とセルフアライメント条件を制約条件として用い、爪部101及び爪部102が把持可能な範囲の絞り込みを行う。
【0075】
図11は、本実施形態に係るケージング領域のパラメーターを説明する図である。図11(a)に示すように、符号rは、部品Mの半径を表す。部品Mの中心点oが自由に動ける空間Sを、x方向の長さをc、y方向の長さをcで表す。また、図11(b)に示すように、符号Hは、ケージング領域Sのy方向の正方向側の頂点を表し、符号Jは、y方向の負方向側の頂点を表す。また、符号Iは、ケージング領域Sの線分HJに対して負方向側のx方向の頂点を表し、符号Kは、線分HJに対して正方向側のx方向の頂点を表す。すなわち、y方向の長さcは、頂点HとJとの間の距離であり、x方向の長さcは、頂点IとKとの間の距離である。
【0076】
図12は、本実施形態に係るケージング領域の形状と各パラメーターを説明する図である。
【0077】
まず、符号についての定義を行う。図12(a)、図12(b)に示すように、爪部101及び爪部102の三角形aにおいて、符号l(エル)は、頂点aとaとのy方向の距離を表す。また、図11で説明したy方向の長さcを、ケージング領域の形状に応じて、符号c11、c12で表す。また、図11で説明したx方向の長さcを、ケージング領域の形状に応じて、符号c21、c22、c23、c24で表す。また、符号l(エル)は、三角形aの頂点aを符号Bで表し、点Bと頂点Jとのx方向の距離を表す。
【0078】
まず、図12(a)と図12(b)に示すように、ケージング領域Sの頂点IJKで囲まれた領域の形状により、y方向の長さc11とc12に場合分けする。左右の爪部101及び爪部102の爪先の先端位置の距離は、部品Mの直径以下となる。すなわち、距離c11の上端は左右の爪部101及び爪部102の爪先の先端位置の中点となる。
【0079】
図12(a)に示すように、ケージング領域Sの線分は、頂点IとJの間が直線であり且つ頂点JとKとの間が直線である。そして、ケージング領域Sの線分は、頂点HとIの間が直線ではない且つ頂点HとKとの間が直線でない。また、図12(a)に示すように、点Bと頂点Jとの距離はrではない。このような状態のケージング領域Sのy方向の長さをc11とする。
【0080】
図12(b)に示すように、ケージング領域Sの線分は、頂点IとJの間が直線だけではなく且つ頂点JとKとの間が直線だけではない。すなわち、頂点IとJの間の線分は、図12(b)に示すように、直線と曲線と有している。そして、ケージング領域Sの線分は、頂点HとIの間と、頂点HとKの間とは、各々、直線と曲線と有している。また、図12(b)に示すように、点Bと頂点Jとの距離はrである。このような状態のケージング領域Sのy方向の長さをc12とする。
【0081】
図12(a)と図12(b)に示すように、ケージング領域Sのy方向の距離cは、次式(6)のように場合分けされる。
【0082】
図12(a)と図12(b)に示した幾何学的関係から、ケージング領域Sのy方向の長さをc11とc12は、次式(7)〜次式(8)のようになる。
【0083】
【数6】
【0084】
【数7】
【0085】
【数8】
【0086】
式(7)、式(8)において、距離l(エル)、距離l(エル)は、次式(9)〜次式(10)である。
【0087】
【数9】
【0088】
【数10】
【0089】
また、式(7)、式(8)において、角度θは、次式(11)である
【0090】
【数11】
【0091】
なお、式(11)において、a、b、cは、次式(12)〜次式(14)である。
【0092】
【数12】
【0093】
【数13】
【0094】
【数14】
【0095】
[ケージング条件]
次に、ケージング領域Sの形状により、図13図16に示すように、ケージング領域Sのx方向の距離cをc21〜c24に場合分けする。
【0096】
図13は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc21の場合を説明する図である。図14は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc22の場合を説明する図である。図15は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc23の場合を説明する図である。図16は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc24の場合を説明する図である。
【0097】
まず、図13図16で用いる符号について定義する。符号Tは、爪部101の三角形aの頂点aを表し、符号Bは、頂点aを表す。また、符号Cは、ケージング領域Sの頂点Jを表す。符号L1は、ケージング領域Sの頂点Jと頂点Iを結ぶ線分を通る直線を表す。符号Aは、頂点Iと頂点Hとの間の直線範囲の終点を表す。すなわち、図13において、線分IAは直線であり、線分AHは曲線である。
【0098】
直線L2は、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間の直線範囲IAを通る直線である。符号l(エル)は、ケージング領域Sの頂点Jと、爪部101の三角形aの頂点aとのx方向の距離を表す。また、符号l(エル)は、点A(円弧と直線の境界(上側))と直線L1との距離を表し、符号l(エル)は、点C(円弧と直線の境界(下側))と直線L2との距離を表す。符号l(エル)は、点Aと点B(爪先の先端)の距離、l(エル)は点Cと点T(爪先の先端)の距離を表す。
【0099】
図13図16に示すように、ケージング領域Sの頂点IKの距離cは、次式(15)のように場合分けされる。
【0100】
【数15】
【0101】
式(15)において、例えば、lが0(ゼロ)より大きいとは、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間に直線領域があることを意味している。また、lが0(ゼロ)未満とは、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間に直線領域がない、すなわち曲線領域があることを意味している。lが0(ゼロ)以上とは、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間に直線領域があり、曲線領域を含むことを意味している。
【0102】
図13に示すように、距離c21を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が直線と曲線で形成され、頂点Iと頂点Jの区間が直線のみで形成されている。図14に示すように、距離c22を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が曲線のみで形成され、頂点Iと頂点Jの区間が直線のみで形成されている。図15に示すように、距離c23を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が直線と曲線で形成され、頂点Iと頂点Jの区間が曲線のみで形成されている。図16に示すように、距離c24を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が曲線のみで形成され、頂点Iと頂点Jの区間が曲線のみで形成されている。
【0103】
図13図16に示した幾何学的関係から、ケージング領域Sのx方向の長さをc21〜c24は、次式(16)〜次式(19)のようになる。
【0104】
【数16】
【0105】
【数17】
【0106】
【数18】
【0107】
【数19】
【0108】
なお、式(16)〜式(19)において、l(エル)〜l(エル)、角度θは、次式(20)〜次式(25)である。
【0109】
【数20】
【0110】
【数21】
【0111】
【数22】
【0112】
【数23】
【0113】
【数24】
【0114】
【数25】
【0115】
なお、式(25)において、a、b、cは、次式(26)〜次式(28)である。
【0116】
【数26】
【0117】
【数27】
【0118】
【数28】
【0119】
ケージング領域Sが大きいほど,部品Mの位置誤差に対してロバストな把持が可能となる。また、部品Mが大きいほどケージング領域Sの距離cおよびcの値は小さくなる。そこで許容可能な位置誤差の最小値climを定め、距離cまたはcが最小値climを下回る部品Mの大きさをケージング可能な最大の大きさrmax2とする。爪部設計装置は、rmax2を式(6)及び式(15)から数値計算により求める。
【0120】
図17は、本実施形態に係るケージング可能な最大の大きさrmax2と距離c、c、climの関係を説明する図である。図17において、縦軸は、距離c、c、climの長さであり、横軸は部品Mの半径である。図17に示すように、ケージング可能な最大の大きさrmax2は、距離cまたはcの曲線と最小値climの交点のrが小さい値を選択する。例えば、式(6)の場合分けでc12が選択され、式(15)の選択でc21が選択された場合、ケージング可能な最大の大きさrmax2は、距離c12またはc21の曲線と最小値climの交点のrが小さい値を選択する。
【0121】
また、最小値climは、許容される位置誤差である。許容される位置誤差とは、ケージングが成立する状態で部品Mが自由に動ける範囲(ケージング領域S)の事で、例えば最小値clim=2.0[mm]であれば、距離cまたはcが2.0[mm]となる。
【0122】
この値は、例えばカメラで対象物を認識して、把持部10Aで物体を把持する場合に、カメラの認識誤差や把持部10Aの位置決め誤差等が、c、cを2.0[mm]で形成する領域Sの範囲内であれば、rmax2の部品Mをケージングが出来る事を意味している。
【0123】
[セルフアライメント条件]
次に、爪部設計装置が、セルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさを算出する方法について説明する。
【0124】
図18は、本実施形態に係るセルフアライメントの条件を説明する図である。図18(a)に示すように、部品Mは、爪部101及び爪部102の第二傾斜面121と122の接点pとpで接触している。この状態で、爪部101及び爪部102が互いに近づく方向に移動、すなわち閉じると、部品Mが、y方向の正方向に移動させられる。これにより、セルフアライメントが行われる(上方向のセルフアライメントともいう)。また、図18(a)において、符号φは、爪部101の線分aと、頂点aを始点としy方向に平行な線分401とのなす角を表す。
【0125】
また、図18(b)に示すように、部品Mは、爪部101及び爪部102の第一傾斜面111と112の接点pとpで接触している。この状態で、爪部101及び爪部102が互いに近づく方向に移動、すなわち閉じると、部品Mが、y方向の負方向に移動させられる。これにより、セルフアライメントが行われる(下方向のセルフアライメントともいう)。また、図18(b)において、符号φは、爪部101の線分aと、頂点aを始点としy方向に平行な線分411とのなす角を表す。
このなす角φは、爪部101と部品Mの接触角である。
【0126】
図19は、本実施形態に係る爪部から部品に加わる力を説明する図である。図19(a)は、図18(a)と同様に上方向のセルフアライメント時の爪部から部品に加わる力を説明する図である。図19(b)は、図18(b)と同様に上方向のセルフアライメント時の爪部から部品に加わる力を説明する図である。また、図19(b)において、符号xbは、爪部101の頂点aから部品Mの中心点oを通る線分421までの距離である。図20は、本実施形態に係るrと頂点aの関係を説明する図である。
【0127】
図19(a)、図19(b)に示すように、爪部101及び爪部102から部品Mに加わる力Fを、爪部方向(線分a方向または線分a方向)の力fとx方向の力fに分解すると次式(29)のように表される。
【0128】
【数29】
【0129】
また、部品Mに対して働く摩擦力fは、摩擦係数をμとすると、次式(30)のように表される。
【0130】
【数30】
【0131】
式(29)、式(30)より、爪部101及び爪部102を閉じることによって、部品Mが移動する条件は、次式(31)のように表される。
【0132】
【数31】
【0133】
式(31)において、次式(32)のように置く。
【0134】
【数32】
【0135】
次に、上方向のセルフアライメントの場合のセルフアライメント条件を説明する。図19(b)に示すように、接触角φは、次式(33)のように表される。
【0136】
【数33】
【0137】
式(33)のように、爪部101及び爪部102を閉じるほど、接触角φが小さくなるため、βが(tan−1μ)未満の範囲では、セルフアライメントの途中で部品Mが止まってしまう場合がある。このため、上方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最小の大きさrmin2は、図19(a)に示した幾何学的関係から、次式(34)のように表される。
【0138】
【数34】
【0139】
式(34)に、式(33)を代入すると、次式(35)のようになる。
【0140】
【数35】
【0141】
次に、下方向のセルフアライメントの場合のセルフアライメント条件を説明する。図19(b)に示すように、接触角φは、次式(36)のように表される。
【0142】
【数36】
【0143】
式(36)のように、爪部101及び爪部102を閉じるほど、接触角φが大きくなるため、(π/2−α)が(tan−1μ)以上の範囲では、最も爪部101及び爪部102が開いたときに、セルフアライメントが可能である。このため、下方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさrmax3は、図19(b)に示した幾何学的関係から、次式(37)のように表される。
【0144】
【数37】
【0145】
式(37)に、式(36)を代入すると、次式(38)のようになる。
【0146】
【数38】
【0147】
以上のように、ステップS2では、爪部設計装置が、ケージング条件に基づき、ケージング可能な部品Mの最大の大きさrmax2を式(6)と式(15)から算出する。さらに、爪部設計装置は、セルフアライメント条件に基づき、上方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最小の大きさrmin2を式(35)から算出し、下方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさrmax3を式(38)から算出する。
【0148】
以上で、ステップS2で行う演算の説明を終了する。
【0149】
[対象部品組み付け可能な条件]
次に、ステップS3で行う処理について詳細に説明する。ステップS3では、部品Mを取り付ける場合について考慮するときに用いる条件について説明する。
【0150】
図21は、本実施形態に係る部品Mを取り付ける場合に用いる条件を説明する図である。図21(a)に示すように、爪部101及び爪部102は、把持した部品M1を取り付け先の部品M2の歯車同士が組み合うように取り付ける。つまり、部品M1とM2は、例えば歯車を有するギアである。図21(b)は、爪部先が、取り付ける部品M2と干渉なく組み付けが可能な条件を説明する図である。また、図22は、本実施形態に係る爪部先が取り付ける部品M2と干渉している例を説明する図である。
【0151】
図21(b)において、符号oは部品M1の中心点であり、符号oは、取り付けられる部品M2の中心点である。また、符号l(エル)は、爪部101の三角形aの頂点a1と部品M1の中心点oとのx方向の距離を表し、符号l(エル)は、爪部101の頂点a1と頂点aとの距離を表し、符号l(エル)10は、取り付けられる部品M2の中心点oと爪部101の頂点aとの距離のy成分を表す。
【0152】
図22に示すように、爪部101及び爪部102が、歯車の部品M1を歯車の部品M2に取り付ける場合、あまり部品M1を包み込むような爪部先形状であると、もう一方の歯車と爪先が干渉してしまう。すなわち爪部101及び爪部102は、干渉なく組み付けが可能な条件として、次式(39)を満たす必要がある。
【0153】
【数39】
【0154】
なお、式(39)において、距離l(エル)、l(エル)、l(エル)10は、次式(40)〜次式(42)である。
【0155】
【数40】
【0156】
【数41】
【0157】
【数42】
【0158】
なお、式(42)において、図21(b)に示すように、rは把持対象の歯車の半径を表し、rは組み付けしている相手である歯車の半径を表し、dは歯車の軸間距離を表している。
【0159】
以上のように、ステップS3では、爪部設計装置が、部品組み付け可能な条件に基づき、爪部101及び爪部102の条件を式(39)により算出する。
【0160】
なお、ステップS3は、図21(a)に示したような歯車同士の取り付け時に考慮する必要があるが、例えば、把持された部品Mを軸に取り付ける場合には考慮しないようにしてもよい。この場合、ステップS3の演算処理は行わないようにしてもよい。
【0161】
なお、本実施形態では、取り付け先の部品M2に干渉しない条件を設定する例を説明したが、把持する部品Mの大きさに応じて、爪部101及び爪部102が取り付け部品M2と干渉する部分を削除するようにしてもよい。この場合においても、前述した摩擦把持する条件、セルフアライメント条件、ケージング条件を満たすようにして、干渉部分を削除する。
【0162】
以上で、ステップS3で行う演算の説明を終了する。
【0163】
次に、ステップS4で行う処理について詳細に説明する。ステップS4では、ステップS1〜ステップS3で算出された結果を用いて、爪部101及び爪部102の爪先形状を算出する。
【0164】
爪部設計装置は、許容可能な位置誤差clim、摩擦係数μを用いて次式(43)と次式(44)により、爪先形状において把持可能な部品Mの最小の大きさrminと、把持可能な最大の大きさrmaxを算出する。
【0165】
【数43】
【0166】
【数44】
【0167】
すなわち、爪部設計装置は、式(43)により、部品Mの最小の大きさrminとして、摩擦把持可能な部品Mの最小の大きさrmin1と、先端から基端へのセルフアライメントが可能な部品Mの最小の大きさrmin2のうち、大きい値を選択する。また、爪部設計装置は、式(44)により、部品Mの最大の大きさrmaxとして、摩擦把持可能な部品Mの最大の大きさrmax1と、部品Mの中心が移動可能な領域が最大となる部品Mの最大の大きさrmax2と、先端から基端へのセルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさrmax3と、のうち、最も小さい値を選択する。このようにして選択された部品Mの最小の大きさrminと部品Mの最大の大きさrmaxとが、爪部101及び爪部102で把持可能な部品Mの大きさの範囲である。
【0168】
なお、爪部101、102の先端部は、必ずしも厳密な意味での端部のみを示しているのではなく、例えば、図3(a)のように、点aと点aを通る直線を含む先端の方の側面やそれに類する箇所も含んでいる。同様に、爪部101、102の基部は、必ずしも厳密な意味での端部のみを示しているのではなく、例えば、図3(a)のように、点aと点aを通る直線を含む後ろ端の方の側面やそれに類する箇所も含んでいる。
【0169】
また、明細書中の式は対象物が円である前提で示しているが、歯車でも近似的に外接円として扱うことで十分に成り立つものである。
【0170】
[ロボットハンド]
次に、上記のように設計された第一指部41及び第二指部42を有するロボットハンドRHの構成を説明する。図23は、ロボットハンドRHの構成を示す斜視図である。図24は、ロボットハンドRHを+Z方向に見たときの構成を示す図である。図25は、ロボットハンドRHを+X方向に見たときの構成を示す図である。図26は、ロボットハンドRHを−Y方向に見たときの構成を示す図である。
【0171】
図23図26(a)に示すように、ロボットハンドRHは、第一指部41及び第二指部42を有する把持部10Aと、Z方向に往復移動可能な可動部12と、当該可動部12と第一指部41とを連結する第一連結部13と、可動部12と第二指部42とを連結する第二連結部14と、第一連結部13及び第二連結部14を介して第一指部41及び第二指部42がY方向に開閉移動するように可動部12を駆動する駆動部15とを備えている。これら各部は、Y方向視で円形に形成された支持台16上に配置されている。支持台16の中心は、中心軸L5A上に設けられている。
【0172】
支持台16には、Z方向に間隔を空けて配置された壁部17及び壁部19が設けられている。壁部17及び壁部19は、XY平面に平行に配置されている。支持台16は、中心軸L5Aを中心としてY軸周りに回転可能である。支持台16がY軸周りに回転することにより、当該支持台16に支持された上記各部がY軸周りに回転移動することになる。なお、第一指部41及び第二指部42は、Z方向において支持台16の中央部に位置するように設けられており、Y方向視で当該中心軸L5Aを挟む位置に配置されている(図26参照)。
【0173】
把持部10Aは、第一指部41を支持する支持部41aと、第二指部42を支持する支持部42aとを有する。第一指部41は、支持部41aから+Y方向に直線状に延在している。第二指部42は、支持部42aから+Y方向に直線状に延在している。支持部41a及び支持部42aは、X方向視でコ字状に形成されている。
【0174】
支持部41aには、スライダー41bが設けられている。また、支持部42aには、スライダー42bが設けられている。スライダー41b及びスライダー42bは、ガイドレール18に取り付けられている。ガイドレール18は、X方向に延在しており、壁部17に固定されている。ガイドレール18に取り付けられたスライダー41b及びスライダー42bは、当該ガイドレール18に沿ってX方向に移動可能である。スライダー41bがX方向に移動することにより、当該スライダー41bと一体的に支持部41a及び第一指部41がX方向に移動する。同様に、スライダー42bがX方向に移動することにより、当該スライダー42bと一体的に支持部42a及び第二指部42がX方向に移動する。このように、本実施形態では、第一指部41及び第二指部42が回転するのではなく、X方向に平行移動することになる。したがって、上記の図3におけるγの値が90°である場合に相当する。本発明者は、γが90°である場合に、把持可能な対象物のサイズが最大となることを見出している。
【0175】
可動部12は、支持台16のうちX方向のほぼ中央に配置されている。可動部12は、第一連結部13及び第二連結部14に接続される第一接続部12aと、駆動部15に接続される第二接続部12bとを有する。第二接続部12bは、Z方向に円筒状に形成された貫通部を有しており、当該貫通部には、Z方向に向けて螺旋状に形成された不図示のネジ山が配置されている。
【0176】
第一連結部13は、金属などの剛性の高い材料を用いて棒状に形成されている。第一連結部13は、+Z側端部が連結部材13aを介して第一指部41の支持部41aに連結されており、−Z側端部が連結部材13bを介して可動部12の第一接続部12aに連結されている。第一連結部13及び支持部41aは、Y軸周りに相対的に回転可能となるように連結されている。同様に、第一連結部13及び第一接続部12aは、Y軸周りに相対的に回転可能となるように連結されている。なお、第一連結部13は、支持部41aと支持部42aとがX方向の中央で接触する状態において、+Z側端部がX方向の中央部よりも+X方向に傾くように配置されている。
【0177】
第二連結部14は、金属などの剛性の高い材料を用いて棒状に形成されている。第二連結部14は、+Z側端部が連結部材14aを介して第二指部42の支持部42aに連結されており、−Z側端部が連結部材14bを介して可動部12の第一接続部12aに連結されている。第二連結部14及び支持部42aは、Y軸周りに相対的に回転可能となるように連結されている。同様に、第二連結部14及び第一接続部12aは、Y軸周りに相対的に回転可能となるように連結されている。なお、第二連結部14は、支持部41aと支持部42aとがX方向の中央で接触する状態において、+Z側端部がX方向の中央部よりも−X方向に傾くように配置されている。
【0178】
駆動部15は、Z軸周りに回転可能に設けられたネジ部BTと、当該ネジ部BTを回転させるモーター部MTRとを有する。ネジ部BTは、円柱状に形成されZ方向に平行に配置された軸部22を有する。ネジ部BTの+Z側端部は、フレーム部17によって回転可能に支持されている。ネジ部BTの−Z側端部は、フレーム部19によって回転可能に支持されている。なお、ネジ部BTは、フレーム部17及びフレーム部19により、Z方向への移動が規制されている。
【0179】
軸部22には、ネジ山22a(図26(a)参照)が形成されている。軸部22は、可動部12の第二接続部12bに設けられた貫通孔を貫通するように配置されている。可動部12の貫通孔に形成されるネジ山(不図示)と軸部22のネジ山22aとが噛み合わされることで、可動部12と軸部22とが螺合されている。
【0180】
モーター部MTRは、支持台16に固定されている。モーター部MTRは、ネジ部BTの−X側に配置されている。モーター部MTRは、駆動源20と、当該駆動源20に接続されZ軸周りに回転可能な回転伝達軸21とを有する。回転伝達軸21は、Z方向に平行に配置されている。
【0181】
上記構成において、回転伝達軸21とネジ部BTの軸部22とがX方向に並んで配置されている。駆動伝達軸21と軸部22との間には、駆動ベルト23が掛け渡されている。駆動伝達軸21の回転は、駆動ベルト23を介して軸部22に伝達されるようになっている。このように、駆動伝達軸21と軸部22とがZ方向に平行であり、Z方向に並んで配置されているため、両者の間の駆動力伝達手段として、駆動ベルト23のみを設ければ良いことになる。このため、駆動部15のコンパクト化を図ることができる。なお、例えば図26(b)に示すように、モーター部MTRの回転伝達軸21に軸部22及びネジ山22aが形成された構成、すなわち、回転伝達軸21の一部がネジ部BTとなっている構成であっても良い。この場合、ネジ部BTとモーター部MTRとを直線状に配置させることができるため、駆動部15ひいてはロボットハンドRHのコンパクト化を図ることができる。
【0182】
上記のように構成された把持部10Aの動作を説明する。モーター部MTRが回転伝達軸21を回転させることにより、駆動ベルト23がZ軸周りに回転する。当該駆動ベルト23の回転により、軸部22がZ軸周りに回転する。
【0183】
軸部22がZ軸周りに回転すると、ネジ部BTがY軸周りに回転する。この回転により、ネジ部BTと可動部12の第二接続部12bとの間で相対的な回転移動が生じ、第二接続部12bがZ方向に移動する。この移動により、第二接続部12bを含む可動部12全体がZ方向に移動する。
【0184】
この動作において、モーター部MTRの回転方向を切り替えることで、可動部12を+Z方向及び−Z方向に切り替えて移動させることができる。例えば可動部12を+Z方向に移動させる場合、可動部12に連結された第一連結部材13及び第二連結部材14は、可動部12に押されて+Z側に移動する。
【0185】
本実施形態では、第一連結部13の+Z側端部がX方向の中央部よりも+X方向に傾くように配置されており、第二連結部14の+Z側端部がX方向の中央部よりも−X方向に傾くように配置されているため、可動部12の+Z側への移動により、第一連結部13の+Z側端部は+X方向に移動し、第二連結部14の+Z側端部は−X方向に移動する。
【0186】
第一連結部13及び第二連結部14の当該移動により、第一連結部13に連結された第一指部41は+X方向に移動すると共に、第二連結部14に連結された第二指部42は−X方向に移動する。したがって、第一指部41及び第二指部42は、互いにX方向に遠ざかるように平行移動する。この移動により、第一指部41及び第二指部42が開いた状態となる。
【0187】
一方、可動部12を−Z方向に移動させる場合、可動部12に連結された第一連結部材13及び第二連結部材14は、可動部12に引っ張られて−Z側に移動する。
【0188】
可動部12の−Z側への移動により、第一連結部13の+Z側端部は−X方向に移動し、第二連結部14の+Z側端部は+X方向に移動する。第一連結部13及び第二連結部14の当該移動により、第一連結部13に連結された第一指部41は−X方向に移動すると共に、第二連結部14に連結された第二指部42は+X方向に移動する。したがって、第一指部41及び第二指部42は、互いにX方向に近づくように平行移動する。この移動により、第一指部41及び第二指部42が閉じた状態となる。なお、第一指部41及び第二指部42が閉じた状態においては、互いの対向面同士が接触した状態となる。このように第一指部41及び第二指部42を開閉させることにより、対象物を把持することができる。
【0189】
図27は、第一指部41及び第二指部42によって対象物Wを把持した状態を示す斜視図である。この状態から、中心軸L5Aを中心として支持台16をY軸周りに回転させると、図28に示すように、対象物WのX座標及びY座標を固定させたまま、対象物WをZ方向に反転させることができる。このため、例えばベルトコンベア33に載置された状態の対象物Wの姿勢と、当該対象物Wを組み付ける場合の姿勢とが異なる場合であっても、支持台16を回転させるだけで対象物Wの姿勢を変化させることができる。
【0190】
また、図29図31は、XY平面に対して傾いた状態の第一指部41及び第二指部42によって、XY平面に平行なテーブル上に載置された対象物Wを把持する場合の例を示す図である。
まず、図29に示すように、対象物WをX方向に挟むように第一指部41及び第二指部42を対象物Wの両側に配置させる。次に、図30に示すように、第一指部41及び第二指部42をX方向に近づけて、当該第一指部41及び第二指部42によって対象物Wを挟持する。
【0191】
次に、図31に示すように、第一指部41及び第二指部42を近づける方向に平行移動させつつ、当該第一指部41及び第二指部42を+Z方向へ移動させて対象物Wを持ち上げる。このとき、対象物Wは、第一指部41の爪部101に形成された第一傾斜面111及び第二傾斜面121と、第二指部42の爪部102に形成された第一傾斜面112及び第二傾斜面122とに挟持され、当該第一傾斜面111、112と及び第二傾斜面121、122に平行な姿勢となるようにセルフアライメントされる。このように、第一指部41及び第二指部42により、対象物Wの位置のみならず姿勢についてもセルフアライメントが実現する。
【0192】
また、図32及び図33に示すように、第一指部41及び第二指部42が−Z側に先端部(爪部101及び爪部102)を向けた状態で、ベルトコンベア33に横向きに載置された対象物Wを把持する場合についても同様である。この場合、対象物Wは、ヘッドが設けられたボルトであり、当該ヘッドの径が軸部の径よりも大きい分、載置した状態ではXY平面に対して傾斜している。また、ボルトの軸部がY方向に対して傾いている。
【0193】
このような状態において、例えば、図32に示すように、対象物WをX方向に挟むように第一指部41及び第二指部42を対象物Wの両側に配置させる。次に、図33に示すように、第一指部41及び第二指部42をX方向に近づけて、当該第一指部41及び第二指部42によって対象物Wを挟持する。
【0194】
この結果、対象物Wは、第一指部41の爪部101に形成された第一傾斜面111及び第二傾斜面121と、第二指部42の爪部102に形成された第一傾斜面112及び第二傾斜面122とに挟持され、当該第一傾斜面111、112と及び第二傾斜面121、122に平行な姿勢となるようにセルフアライメントされる。したがって、ボルトの軸部がXY平面に平行であり、かつ、Y方向に平行となるように配置される。
【0195】
次に、対象物を重力方向(Z方向)についてセルフアライメントさせる場合の例を説明する。図34は、当該セルフアライメントの工程を示すフローチャートである。以下、対象物として、ヘッド部及び軸部を有するボルトを例に挙げて説明する。
【0196】
まず、第一指部41及び第二指部42を用いて対象物を把持する(ST01)。この場合、例えば図29図31で示したように、ヘッド部Waが底面に載置された状態であっても良いし、図32で示したように、ベルトコンベア33上に横向きで載置された場合であっても良い。いずれの場合においても、対象物Wを把持することにより、第一指部41の爪部101に形成された第一傾斜面111及び第二傾斜面121と、第二指部42の爪部102に形成された第一傾斜面112及び第二傾斜面122とに挟持され、当該第一傾斜面111、112と及び第二傾斜面121、122に平行な姿勢となるようにセルフアライメントされる。
【0197】
次に、Y軸周りに支持台16を回転させることで、図35に示すように、軸部WbがZ方向に平行であり、かつ、ヘッド部Waが+Z側に配置されるように対象物Wの姿勢を調整する(ST02)。この動作により、対象物Wは、軸部Wbを第一指部41及び第二指部42によって把持された状態となる。この状態では、対象物Wの軸部Wbには、第一指部41及び第二指部42との間の摩擦力と、重力とが作用している。重力方向においては、摩擦力が重力を上回っているため、重力方向において対象物Wの移動は規制される。
【0198】
次に、第一指部41及び第二指部42をX方向に微小量だけ移動させることにより、第一指部41及び第二指部42による軸部Wbの把持力を緩める(ST03)。この動作により、第一指部41及び第二指部42と対象物Wとの間の摩擦力よりも、対象物Wに対して作用する重力の方が大きくなるため、対象物Wは重力方向に移動(落下)する。
【0199】
このとき、第一指部41及び第二指部42の移動量の和がヘッド部Waの径と軸部Wbの径との差よりも小さい場合、図36に示すように、対象物Wのヘッド部Waが第一指部41及び第二指部42に引っ掛かる。このため、重力方向に落下した対象物WのZ方向への移動が規制される。
【0200】
上記動作を行う場合、ヘッド部Wa及び軸部Wbの形状や寸法によらず、対象物Wのヘッド部Waが第一指部41及び第二指部42に引っ掛かることになる。このため、対象物Wはヘッド部WaにおいてZ方向に位置決めされることになる(セルフアライメント)。
【0201】
以上のように対象物WをX方向、Y方向及びZ方向に位置決め(セルフアライメント)した後、第一指部41及び第二指部42を近づけ、再度軸部Wbを把持する(ST04)。その後、支持台16をY軸周りに回転させ、対象物Wが所望の姿勢となるように調整する(ST05)。対象物Wの姿勢を調整した後、第一指部41及び第二指部42によって把持した状態で当該対象物Wを移動させ、所定の位置で第一指部41及び第二指部42を開くことで対象物Wを所定の位置に配置させる(ST06)。
【0202】
このように、把持部10Aが支持台16をY方向に自在に回転させて第一指部41及び第二指部42を回転移動させる構成において、対象物Wの一部を第一指部41及び第二指部42に引っ掛けることが可能な構成としたので、重力を利用したZ方向のセルフアライメントが可能となる。これにより、対象物WをX方向、Y方向及びZ方向のすべての方向のセルフアライメントが可能となる。
【0203】
なお、例えば、図37に示すように、第一指部41及び第二指部42のそれぞれに、互いの対向方向に突出した突出部101a及び突出部102aを設けて、当該突出部101a及び突出部102aに対象物Wを引っ掛ける構成であっても良い。これにより、例えば図38に示すように、対象物W(歯車)の拡径部Waの端面側においてZ方向の位置決めを行うことができる。勿論、対象物Wの拡径部Waを+Z側に配置して縮径部Wbを把持し、第一指部41及び第二指部42の把持力を緩めることで拡径部Waを第一指部41及び第二指部42の+Z側に引っ掛けるようにしても良い。
【0204】
本発明者は、第一指部41及び第二指部42が上記のように第一傾斜部111及び構成を有する場合において、把持可能な対象物のサイズの範囲について検討した。この結果、第一指部41及び第二指部42を開閉する際に所定の回転軸を中心として回転させる構成よりも、第一指部41及び第二指部42を平行移動させることで開閉動作を行う構成の方が、幅広い範囲のサイズの対象物を把持可能であることが分かった。
【0205】
そこで、本実施形態によれば、Y方向に並んで配置された第一指部41及び第二指部42を有する把持部10Aと、Y方向に直交するZ方向に往復移動可能な可動部12と、可動部12と第一指部41とを連結する第一連結部13と、可動部12と第二指部42とを連結する第二連結部14と、第一連結部13及び第二連結部14を介して第一指部41及び第二指部42がY方向に開閉移動するように可動部12を駆動する駆動部15とを備えるので、第一指部41と第二指部42とを回転させるのではなく当該第一指部41と第二指部42とをY方向に往復移動させることで、第一指部41及び第二指部42による開閉動作を行うことができる。これにより、幅広い範囲のサイズの対象物を把持可能となる。
【0206】
[第二実施形態]
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の第二実施形態におけるロボットシステムは、第一の部品が取り付けられたアセンブリー部品に、ロボット本体が搬送する第二の部品を第一の部品に物理的な負荷をかけずに組み合わせて取り付ける組立てシステムである。本実施形態では、第一の部品および第二の部品が平歯車(以下、歯車という。)である例について説明する。
【0207】
図39は、第二実施形態であるロボット装置を適用したロボットシステムが作業を行う様子を示す、概略の外観図である。
同図において、ロボットシステム801は、ロボット本体810と、把持部811と、ロボット制御装置820と、撮影装置830と、ケーブル840と、ケーブル841とを含んで構成される。
ロボット本体810とロボット制御装置820とケーブル841とは、ロボット装置に含まれる。
【0208】
ロボット本体810は、具体的には、地面に対して固定された支持台810aと、旋回可能および屈伸可能に支持台810aに連結されたアーム部810bと、旋回可能および首振り可能にアーム部810bに連結されたハンド部10cとを含んで構成される。ロボット本体810は、例えば7軸垂直多関節ロボットであり、支持台810aとアーム部810bとハンド部10cとの連係した動作によって7軸の自由度を有する。つまり、その7軸の自由度は、支持台810aおよびアーム部810bによる6軸の自由度と、ハンド部10cによる1軸の自由度とである。
【0209】
ロボット本体810は、把持部811を可動に備える。把持部811は、本発明の爪部を備える。なお、図39では、把持部811を、その機能を示すために模式的に示してある。
【0210】
ロボット本体810は、ロボット制御装置820から供給されるロボット制御命令を取り込み、このロボット制御命令による駆動制御によって、把持部811の位置および姿勢を三次元空間内で所望に変更し、また把持部811の爪部を開閉させる。
【0211】
なお、ロボット本体810は、7軸の自由度を有するものに限られず、例えば、6軸の自由度を有するものであってもよい。また、支持台810aを、壁や天井等、地面に対して固定された場所に設置してもよい。
【0212】
図39に示すように、ロボット本体810の動作による把持部811の可動範囲内には、アセンブリー部品805が設置されている。なお、同図では、アセンブリー部品805の支持台(机)の図示を省略してある。アセンブリー部品805は、板状の基台850と、基台850に対してそれぞれ略垂直(垂直を含む。)に立てられた軸851と、軸852とを備える。そして、アセンブリー部品805は、軸851に歯車853(第一の部品)が取り付けられ、軸852に歯車854(第二の部品)が取り付けられて構成される。ただし、アセンブリー部品805は、軸851に歯車853が取り付けられた後、軸852に歯車854が取り付けられることにより完成される。
なお、同図における部品や構造等の縮尺は、図を明りょうなものとするために実際のものとは異なる。
【0213】
撮影装置830は、アセンブリー部品805を撮影して静止画像または動画像である撮影画像を取得し、この撮影画像を、ケーブル840を介してロボット制御装置820に供給する。
【0214】
撮影装置830は、例えば、デジタルカメラ装置、デジタルビデオカメラ装置により実現され、アセンブリー部品805に対して略垂直(垂直を含む。)上方において、撮影方向が略垂直(垂直を含む。)下方となる位置に固定設置される。ただし、図39において、軸851と軸852との距離に対して、軸851および軸852と撮影装置830との距離は十分に長い。
【0215】
ケーブル840は、ロボット制御装置820が出力する撮影装置830に対する制御データを撮影装置830に供給したり、撮影装置830が出力する応答データや撮影画像をロボット制御装置820に供給したりする。制御データは、例えば、ロボット制御装置820が撮影装置830に対して通知する、撮影開始命令や撮影停止命令等の制御命令を含む。応答データは、例えば、撮影装置830がロボット制御装置820に対して通知する、制御データに対する応答を含む。
【0216】
ケーブル841は、ロボット制御装置820が出力するロボット制御命令をロボット本体810に供給したり、ロボット本体810が出力するロボット制御応答をロボット制御装置820に供給したりする。ロボット制御命令は、ロボット本体810の各可動部を駆動制御する制御命令である。ロボット制御応答は、例えば、ロボット本体810がロボット制御装置820に対して通知する、ロボット制御命令に対する応答を含む。ケーブル841は、例えば、シリアル通信線等のケーブルやコンピューターネットワークである。
【0217】
ロボット制御装置820は、撮影装置830から供給される、アセンブリー部品805の追跡画像を取り込み、この追跡画像に基づいてロボット本体810の各可動部の動作を制御し、歯車854を軸852に通してアセンブリー部品805に取り付けさせる。
【0218】
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態におけるロボットシステムでは、ロボット本体は、2系統のアームを備える。本実施形態では、各アームにはハンドが取り付けられている。そしてこのロボットシステムは、ロボット本体の一方のアームのハンドに取り付けられた撮影装置によってアセンブリー部品の撮影画像を取得し、他方のアームのハンドに取り付けられた把持部によって部品を搬送させる。
【0219】
図40は、第三実施形態におけるロボットシステムの概略の外観図である。
同図において、ロボットシステム802は、ロボット本体860と、撮影装置861と、把持部862と、ロボット制御装置820と、ケーブル863とを含んで構成される。
【0220】
ロボット本体860とロボット制御装置820とケーブル863とは、ロボット装置に含まれる。
ロボット制御装置820は、第二実施形態と同様の構成であるため、ロボット制御装置820についての詳細な説明を省略する。
【0221】
ロボット本体860は、具体的には、地面に対して可動に設置された本体860aと、旋回可能に本体860aに連結された首部860bと、首部860bに対して固定された頭部860cと、旋回可能および屈伸可能に頭部860cに連結された第一アーム部860dと、旋回可能および屈伸可能に頭部860cに連結された第二アーム部860eと、ロボット本体860の設置面に対してロボット本体860を移動可能に本体860aに取り付けられた搬送部860fとを含んで構成される。
【0222】
第一アーム部860dの開放端であるハンドには、把持部862が取り付けられている。また、第二アーム部860eの開放端であるハンドには、撮影装置861が取り付けられている。
【0223】
搬送部860fは、ロボット本体860の設置面に対して、ロボット本体860を一定方向または方向自在に移動可能に支持する。搬送部860fは、四組の車輪、四組のキャスター、一対の無限軌道等により実現される。
【0224】
ロボット本体860は、例えば、2系統のアームを備えた垂直多関節ロボット(双腕ロボット)である。ロボット本体860は、ロボット制御装置820から供給されるロボット制御命令を取り込み、このロボット制御命令による駆動制御によって、撮影装置861および把持部862それぞれの位置および姿勢を三次元空間内で所望に変更し、また把持部862の爪部を開閉させる。
【0225】
撮影装置861は、被写体を撮影して静止画像または動画像である撮影画像を取得し、この撮影画像をロボット制御装置820に供給する。撮影装置861は、例えば、デジタルカメラ装置、デジタルビデオカメラ装置により実現される。
【0226】
把持部862は、本発明の爪部を備える。なお、図40では、把持部862を、その機能を示すために模式的に示してある。
【0227】
ケーブル863は、ロボット制御装置820が出力するロボット制御命令をロボット本体860に供給したり、ロボット本体860が出力するロボット制御応答をロボット制御装置820に供給したりする。ロボット制御命令は、ロボット本体860の各可動部を駆動制御する制御命令である。ロボット制御応答は、例えば、ロボット本体860がロボット制御装置820に対して通知する、ロボット制御命令に対する応答を含む。ケーブル863は、例えば、シリアル通信線等のケーブルやコンピューターネットワークである。
【0228】
ロボット制御装置820は、ロボット本体860の首部860bと頭部860cと第二アーム部860eとの動作を制御し、撮影装置861の位置および姿勢を変更させる。具体的に、ロボット制御装置820は、撮影装置861を、図示しないアセンブリー部品に対して略垂直上方において、撮影方向が略垂直下方となる位置に設置させる。
【0229】
また、ロボット制御装置820は、ロボット制御装置820は、撮影装置861から供給される、アセンブリー部品の撮影画像を取り込み、この撮影画像に基づいてロボット本体860の首部860bと頭部860cと第一アーム部860dとの動作を制御し、第二実施形態と同様に、歯車を軸に通してアセンブリー部品に取り付ける。
【0230】
以上説明したとおり、本発明の第二実施形態および第三実施形態におけるロボット制御装置820では、テンプレート画像記憶部822が、互いに正常に組み合わされた状態での歯車853および歯車854の画像をテンプレート画像として記憶する。このテンプレート画像は、例えば、歯車853と歯車854とが互いに正常に組み合わされて基台850に取り付けられた状態のアセンブリー部品805を撮影した撮影装置830から供給される画像である。
【0231】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
なお、本実施形態では、爪部が部品を把持して、搬送あるいは第二対象物に組み付ける例を説明したが、例えば、アームに設けられているカメラで撮像された画像を用いて取り付けるようにしても良い。カメラは、制御装置60の制御によって、部品または第二対象物を撮像し、取り付け位置を撮影した画像に基づき認識するようにしてもよい。そして、認識した結果に基づき、部品を第二対象物の取り付け位置に移動するように制御装置が制御するようにしてもよい。
【0232】
以上のように、爪部を設計することで、小型かつ軽量な部品の把持が可能なハンドの把持可能な部品の径の大きさの範囲が最も広くなる形状を求める事が可能となる。また、ロボットがこのように設計された爪部を備えているため、小型かつ軽量な部品の把持が可能で、さらに把持可能な部品の大きさの範囲を広くすることができる。また、把持可能な部品の大きさの範囲が広いため、ロボットに装着する爪部を部品毎に取り替える頻度が少なくなり、ロボットが幅広い大きさの部品を把持することができる。
【0233】
なお、本実施形態では、爪部101と102とを備える組み立てロボットに適用する例を説明したが、例えば、本実施形態のロボット1を、搬送装置などに適用してもよい。
また、本実施形態では、対象物を把持して搬送、または組み込む例を説明したが、例えば、物体の分解や検査など所定の動作を行うようにしてもよい。
【0234】
なお、実施形態の図1の制御部、図示しない爪部設計装置の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0235】
また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0236】
また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリー、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、サーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0237】
1…ロボット 10A、10B…把持部 20A、20Bアーム
W1、M、M1…第1対象物(部品) W2、M2…第2対象物
30…ステージ(移動装置) 33…第1ベルトコンベア、34…第2ベルトコンベア、37…ステージ 50…基台 40A、40B…カメラ
60…制御装置 70…入力装置
41…第一指部 42…第二指部 101、102…爪部
RH…ロボットハンド 12…可動部 13…第一連結部 14…第二連結部 15…駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図40