(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸受部は、前記第1壁面側から前記第2壁面側に伸張し、その先端側が前記第2壁面を超えて前記第1ローラ側まで到達していることを特徴とする請求項4に記載のベルト装置。
前記被ガイド部は、前記ベルト本体部の幅方向一端に対して他端側にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のベルト装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0018】
そして、本実施形態は、カラー印刷が可能な電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したものである。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置の概要
画像形成装置1の筐体3内には、
図1に示すように、記録用紙等のシートに画像を形成する画像形成部5が収納されている。この画像形成部5は、シートに現像剤像を転写する電子写真方式である。そして、画像形成部5は、プロセスユニット7、露光器9及び定着器11等を備えている。
【0019】
なお、本実施形態に係る画像形成部5は、シートの搬送方向に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスユニット7が配設されたダイレクトタンデム方式の画像形成部である。
【0020】
各プロセスユニット7は、収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造等は略同一である。具体的には、各プロセスユニット7は、現像剤像が担持される感光ドラム7A、感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等を有している。
【0021】
転写ベルト21を挟んで各感光ドラム7Aと対向する位置には、各感光ドラム7Aに担持されている現像剤を転写させる転写部15が配設されている。そして、各感光ドラム7Aに担持されている現像剤像は、転写ベルト21上を搬送されるシートに重畳転写された後、定着器11にて加熱されてシートに定着する。
【0022】
ベルトユニット20の下方側には、シートが積層状態で載置される給紙トレイ6が配設されている。給紙トレイ6に載置されているシートは、フィーダ機構8により1枚ずつ画像形成部5側に送出される。因みに、本実施形態に係る給紙トレイ6は、装置本体に対して着脱自在に装着されている。
【0023】
2.ベルトユニット
2.1 ベルトユニットの構成
ベルトユニット20は、
図2に示すように、転写ベルト21、駆動ローラ22、従動ローラ23、並びに駆動ローラ22及び従動ローラ23等を支持するプレート状のメインフレーム24等を有して構成されている。
【0024】
転写ベルト21は、駆動ローラ22及び従動ローラ23間に架け渡され、かつ、これらローラ22、23と共に回転する無端状のベルトである。駆動ローラ22は、転写ベルト21を回転駆動するローラである。従動ローラ23は、転写ベルト21と共に従動回転するローラである。
【0025】
メインフレーム24のうち駆動ローラ22の軸方向両端側には、張架方向と平行に延びるサイドフレーム24A、24Bが組み付けられている。なお、張架方向とは、張架面21Aに発生する張力の向きと平行な方向いう。張架面21Aとは、転写ベルト21のうち感光ドラム7Aと対向する面をいう。因みに、本実施形態における軸方向は、画像形成装置1の左右方向と一致する。
【0026】
サイドフレーム24A、24Bは、
図3に示すように、ネジ等の機械的締結手段によりメインフレーム24に組み付けられている。サイドフレーム24A、24Bの長手方向端部のうち従動ローラ23側には、サイドフレーム24A、24B間を渡すように軸方向に延びる把持フレーム24Cが組み付けられている。
【0027】
把持フレーム24Cには、ベルトユニット20を把持するための把持部24Dが設けられている。すなわち、ベルトユニット20は、装置本体(筐体3側)に設けられた本体フレーム(図示せず。)に着脱自在に装着されている。そして、画像形成装置1の利用者は、把持部24Dを把持してベルトユニット20の着脱作業を行うことができる。
【0028】
因みに、装置本体の本体フレームは、軸方向両側、つまり筐体3の左右方向両側に設けられている。このため、ベルトユニット20は、左右両側に設けられた一対の本体フレーム間を渡すように一対の本体フレームに装着される。なお、以下、特に断りをした場合を除き、本体フレームとは、一対の本体フレームのうちサイドフレーム24A側の本体フレームを意味する。
【0029】
駆動ローラ22は、サイドフレーム24A、24Bに対して移動不可として回転可能に保持されている。駆動ローラ22の軸方向一端側には、
図2に示すように、駆動ローラ22と一体的に回転するローラ歯車22Aが設けられている。
【0030】
一方、本体フレーム側には、ローラ歯車22Aと噛み合って駆動力を駆動ローラ22に供給する駆動歯車(図示せず。)が設けられている。なお、当該駆動歯車は、電動モータ(図示せず。)から駆動力を得て回転する。
【0031】
従動ローラ23は、サイドフレーム24A、24Bに対して張架方向に移動可能な状態で回転可能に保持されている。すなわち、
図3に示すように、従動ローラ23の軸23Aは、その両端側が軸支持部26により回転可能支持されている。そして、各軸支持部26は、張架方向に変位可能として各サイドフレーム24A、24Bに組み付けられている。
【0032】
サイドフレーム24A、24Bそれぞれには、コイルばね等の弾性部材26Aが配設されている。これらの弾性部材26Aは、従動ローラ23を駆動ローラ22から離間させる向きの弾性力を各軸支持部26に作用させている。このため、本実施形態に係る従動ローラ23は、張架面21Aに所定の張力を発生させるテンショナーとして機能する。
【0033】
軸支持部26は、
図4に示すように、軸穴26Bが設けられた筒状の筒部26C、及び筒部26Cの外周側に設けられた位置決め部26Dを有している。位置決め部26Dは、サイドフレーム24A、24Bそれぞれに設けられたレール部24Eを軸方向両側から挟み込む突起部により構成されている。
【0034】
レール部24Eは張架方向に延びる突条により構成されている。そして、一対の突起部により構成された位置決め部26Dは、レール部24Eの側面に摺動可能に接触している。このため、各軸支持部26は、位置決め部26Dにより、各サイドフレーム24A、24Bに対する軸方向の位置が決められる。なお、レール部24Eの側面とは、レール部24Eのうち軸方向と直交する面をいう。
【0035】
また、従動ローラ23の軸23Aのうちサイドフレーム24A側の軸端側には、
図5に示すように、外周全域に渡って凹状の溝部23Bが設けられている。この溝部23Bは、筒部26C、つまり軸穴26Bと摺動可能に接触している。
【0036】
すなわち、溝部23Bは、軸方向両側の側壁部23C、及び中心軸線L1側の底部23Dを有して凹状に構成されている。そして、筒部26Cの内周面が溝部23Bの底部23Dと摺接することにより、軸23Aが軸支持部26により回転可能に支持される。
【0037】
また、筒部26Cの軸方向端面26Eが側壁部23Cに摺接することにより、軸支持部26に対する軸23Aの軸方向の位置が決まる。つまり、溝部23Bは、軸支持部26に対する従動ローラ23の軸方向の位置を決める。
【0038】
そして、軸支持部26は、位置決め部26Dにより、サイドフレーム24Aに対する軸方向の位置が決められている。このため、溝部23Bは、サイドフレーム24Aに対する従動ローラ23の軸方向の位置を決める位置決め部と機能する。つまり、従動ローラ23の軸方向位置はサイドフレーム24Aを基準として決められる。
【0039】
また、転写ベルト21のうち軸方向一端側に対応する部位には、帯状のベルト本体部21Bから突出した被ガイド部21Cが設けられている。なお、本実施形態に係る被ガイド部21Cは、ベルト本体部21Bの内周面全域に渡って連続する帯状の突条により構成されている。
【0040】
因みに、ベルト本体部21Bの内周面とは、ベルト本体部21Bのうち従動ローラ23と接触する面をいう。ベルト本体部21Bの外周面とは、ベルト本体部21Bのうち当該内周面の裏面側(反対側)の面をいう。
【0041】
本実施形態に係るベルト本体部21Bはポリアミド系樹脂から構成されている。被ガイド部21Cはウレタン系樹脂から構成されている。そして、ベルト本体部21Bと被ガイド部21Cとは、変形シリコーン系接着剤にて接着されている。
【0042】
また、ベルトユニット20のうち従動ローラ23の軸方向一端側には、ガイド部材27が設けられている。このガイド部材27には、中心軸線L1側に窪んだ溝部27Aが設けられている。そして、溝部27Aに被ガイド部21Cが嵌り込んで係合することにより、転写ベルト21が軸方向に変位することが規制される。
【0043】
因みに、本実施形態では、
図4に示すように、ベルト本体部21Bの幅方向他端側、つまり、ベルト本体部21Bのうち軸方向他端側に対応する部位には被ガイド部21Cが設けられておらず軸方向一端側のみに設けられている。このため、従動ローラ23の軸方向他端側には、ガイド部材27が設けられていない。
【0044】
そして、被ガイド部21Cは、ベルト本体部21Bの幅方向一端に対して他端側にずれた位置に設けられている。つまり、ベルト本体部21Bの幅方向一端側は、
図5に示すように、被ガイド部21Cから「ひさし」状に突出したひさし部21Dを有する。
【0045】
2.2 ガイド部材等の構造
ガイド部材27に設けられた溝部27Aは、
図6に示すように、中心軸線L1を中心とする環状の溝により構成されている。すなわち、溝部27Aは、
図7に示すように、第1壁面29A、第2壁面31A及び底壁面29Bを有して断面形状が凹状に構成されている。
【0046】
第1壁面29A及び第2壁面31Aは、中心軸線L1と平行な方向において互いに対向し、かつ、平行な円板状の平面を構成する。底壁面29Bは、中心軸線L1と平行に延びて第1壁面29Aの中心軸線L1側と第2壁面31Aの中心軸線L1側とを繋ぐ環状面を構成する。なお、第1壁面29Aは、第2壁面31Aより幅方向端部側に位置する面をいう。
【0047】
また、第1壁面29Aは、
図5に示すように、ベルト本体部21Bの内周面より外周面側に突出している。そして、本実施形態に係る第1壁面29Aは、ベルト本体部21Bの外周面より突出し、かつ、第1壁面の突出寸法H1は、ベルト本体部21Bの厚み寸法T1に被ガイド部21Cの突出寸法H2を加えた寸法以上に設定されている。
【0048】
ガイド部材27は、
図7に示すように、第1壁面29Aを有する第1部材29、及び第2壁面31Aを有する第2部材31を有している。そして、第1部材29は、第1壁面29A、底壁面29B及び圧入部29C等と共に樹脂にて一体成形された型成形品である。同様に、第2部材31も第2壁面31A及び嵌合部31Cと共に樹脂にて一体成形された型成形品である。
【0049】
また、本実施形態では、第1部材29と第2部材31とは圧入により一体化されている。すなわち、第2部材31には、圧入穴31Bが設けられた円筒状の嵌合部31Cが設けられている。一方、第1部材29には円筒状の圧入部29Cが設けられている。
【0050】
そして、中心軸線L1と平行な方向から圧入部29Cが圧入穴31Bに嵌め込まれて第1部材29が第2部材31に圧入固定されている。このとき、圧入部29Cは、第1部材29の端部29Eが第2部材31に接触するまで圧入穴31Bに嵌め込まれる。なお、端部29Eとは、底壁面29Bを構成する部位のうち中心軸線L1と平行な方向の端部であって、底壁面29Bの延び方向先端をいう。
【0051】
そして、本実施形態では、圧入部29Cと圧入穴31Bとが接触する部位のうち、中心軸線L1と平行な方向の長さW1は、溝部27Aの溝幅W2以上(本実施形態では、溝幅W2の約1.5倍程度)に設定されている。
【0052】
ここで、溝幅W2とは、第1壁面29A及び第2壁面31A間の寸法のうち最大寸法をいう。なお、本実施形態では、第1壁面29Aと第2壁面31Aとは平行である。このため、溝幅W2は、第1壁面29Aと第2壁面31Aとの距離、つまり第1壁面29Aから上記端部29Eまでの距離となる。
【0053】
また、圧入部29Cの内周面は、ガイド部材27を従動ローラ23の軸23Aに回転可能に支持する軸受部29Dとして機能する。このため、軸受部29Dは、第1壁面29A側から第2壁面31A側に伸張し、その先端側が第2壁面31Aを含む仮想平面S1を超えて従動ローラ23側まで到達している。
【0054】
なお、軸受部29Dは、軸23Aの外周面に対して摺接する滑り軸受にて構成されている。このため、ガイド部材27は、軸線方向に移動可能な状態で従動ローラ23と独立して中心軸線L1周りに回転できる。
【0055】
第1部材29のうち軸支持部26と対向する位置には第1規制部29Fが設けられている。第1規制部29Fは、
図5に示すように、ガイド部材27が軸支持部26側に移動したときに軸支持部26に接触することにより、ガイド部材27が軸方向一端端側へ所定寸法以上移動することを規制する。なお、本実施形態に係る第1規制部29Fは、軸受部29Dのうち軸支持部26側の端面に設けられている。
【0056】
また、第2部材31のうち従動ローラ23と対向する位置には、第2規制部31Dが設けられている。第2規制部31Dは、ガイド部材27が従動ローラ23のローラ本体23E側に移動したときにローラ本体23Eに接触することにより、ガイド部材27が軸方向他端側へ移動することを規制する。
【0057】
なお、従動ローラ23のローラ本体23Eとは、従動ローラ23のうちベルト本体部21Bと接触する円柱又は円筒部分をいう。そして、本実施形態に係る第2規制部31Dは、軸受部29Dと同軸上に位置する環状の突起部により構成されている。
【0058】
つまり、ガイド部材27は、軸方向において軸支持部26及び従動ローラ23のローラ本体23Eにより挟まれている。そして、第1規制部29Fが軸支持部26の筒部26Cに接触することにより、ガイド部材27の軸方向一端の位置が決められる。一方、第2規制部31Dがローラ本体23Eに接触することにより、ガイド部材27の軸方向他端の位置が決められる。
【0059】
したがって、軸支持部26は、位置決め部26Dによりサイドフレーム24Aに対して位置決めされる。従動ローラ23は、溝部23Bにより軸支持部26に対して位置決めされることにより、間接的にサイドフレーム24Aに対して位置決めされる。そして、ガイド部材27、つまり溝部27Aは、軸支持部26及び従動ローラ23に対して位置決めされることにより、間接的にサイドフレーム24Aに対して位置決めされる。
【0060】
2.3 第1部材及び第2部材の型成形について
第1部材29及び第2部材31は、別々に型成形された後、圧入により一体化される。
図8は第1部材29を成形するための金型100の概要を示す図である。
図9は第2部材31を成形するための金型110の概要を示す図である。
【0061】
金型100は、
図8に示すように、分割可能な少なくとも2つの金型101、102を有するとともに、その型抜き方向がガイド部材27の中心軸線L1と平行となるように構成されている。金型110も金型100と同様に、
図9に示すように、分割可能な少なくとも2つの金型111、112を有するとともに、その型抜き方向がガイド部材27の中心軸線L1と平行となるように構成されている。
【0062】
そして、本実施形態に係る金型100、110の分割面は、
図8及び
図9に示すように、型抜き方向における第1部材29及び第2部材31の端面と一致する。このため、本実施形態に係る金型100、110の分割線は、第1壁面29A及び第2壁面31Aに形成されることはない。
【0063】
なお、本実施形態に係る金型100、110では、金型101、111に成形用の樹脂(本実施形態では、POM)が充填される型空間が設けられ、金型102、112には樹脂の射出口及び充填口が設けられている。因みに、
図8及び
図9では、金型101、102及び金型111、112を密着及び離間させる型締め装置は、図示されていない。
【0064】
3.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態に係るガイド部材27は、第1壁面29Aを有する第1部材29、及び第2壁面31Aを有する第2部材31等から構成されている。このため、
図8及び
図9に示すように、金型100、110の型抜き方向を中心軸線L1と略平行な方向とすることができる。
【0065】
したがって、分割線が形成される位置を型成形品の表面、つまり型成形品の端面とすることができる。このため、分割線が形成される位置を転写ベルト21と接触しない位置、つまり第1壁面29A以外の部位とすることが可能となる。したがって、転写ベルト21が早期に損傷してしまうことを抑制できる。
【0066】
本実施形態では、第1部材29と第2部材31とが一体化されていることを特徴としている。これにより、第1部材29と第2部材31とを同一角速度で回転させることができる。
【0067】
したがって、本実施形態では、第1部材29の角速度と第2部材31の角速度とが相違することに起因して転写ベルト21に不要な力が作用することを抑制できるので、転写ベルト21を滑らかに回転させることができる。
【0068】
ところで仮に、第1部材29及び第2部材31各々に、軸受部が設けられていると、第1部材29の軸受部で発生する回転抵抗と第2部材31の軸受部で発生する回転抵抗とが相違する可能性が高い。そして、それぞれの回転抵抗が大きく相違すると、ガイド部材を滑らかに回転させることができない。
【0069】
これに対して、本実施形態では、第1部材29にガイド部材27を回転可能に支持する軸受部29Dが設けられ、第2部材31に軸受部29Dが設けられていないことを特徴としているので、上記のような不具合は原理的に発生し難い。したがって、ガイド部材27を滑らかに回転させることが可能となる。
【0070】
ところで、転写ベルト21が第1壁面29A側に斜行すると、ベルト本体部21Bの幅方向一端が第1壁面29Aに接触して転写ベルト21の斜行が抑制されるととともに、第1部材29は、転写ベルト21の斜行の向きに押圧される。
【0071】
同様に、転写ベルト21が第2壁面31A側に斜行すると、被ガイド部21Cの幅方向他端が第2壁面31Aに接触して転写ベルト21の斜行が抑制されるととともに、第2部材31は、転写ベルト21の斜行の向きに押圧される。
【0072】
また、被ガイド部21Cはベルト本体部21Bの内周面から突出した部位であるので、斜行時にベルト本体部21Bが第1壁面29Aに接触する部位(以下、第1接触部という。)は、斜行時に被ガイド部21Cが第2壁面31Aに接触する部位(以下、第2接触部という。)より中心軸線L1から離間した位置となる。
【0073】
このため、転写ベルト21が斜行して第1壁面29Aに接触したときに第1部材29に作用するモーメントは、転写ベルト21が斜行して第2壁面31Aに接触したときに第2部材31に作用するモーメントより大きくなる。したがって、斜行時に第1部材29が第2部材31より大きく傾くおそれがある。
【0074】
また、第1接触部が第2接触部より中心軸線L1から離間しているので、仮に、第1部材29の傾き角度と第2部材31の傾き角度とが同一であっても、第1接触部が第2接触部より大きく斜行の向きにずれてしまう。そして、第1部材29が大きく傾く、又は第1接触部が大きくずれると、転写ベルト21が大きく斜行してしまう。
【0075】
これに対して、本実施形態では、軸受部29Dは、第1部材29に設けられていることを特徴としている。このため、第1部材29は、軸受部29Dにより直接的に支持された構成となるのに対して、第2部材31は、第1部材29を介して間接的に軸受部29Dに支持された構成となる。
【0076】
したがって、本実施形態では、第2部材31に比べて大きく傾く可能性が高い第1部材29が、軸受部29Dにより直接的に支持された構成となっているので、第1部材29が大きく傾いてしまうことを抑制できる。したがって、転写ベルト21が大きく斜行してしまうことを確実に抑制できる。
【0077】
また、本実施形態では、軸受部29Dは、筒状に形成され、かつ、その軸方向一端側が第2壁面31Aを含む仮想平面S1を超えて従動ローラ23側まで到達していることを特徴としている。これにより、軸受部29Dを大きくすることができるので、ガイド部材27を確実に支持することができる。
【0078】
本実施形態では、第1部材29と第2部材31とは、中心軸線L1と平行な方向から圧入されて一体化されており、さらに、圧入部29Cと圧入穴31Bとが接触する部位のうち、中心軸線と平行な方向の長さは、溝部27Aの溝幅W2以上であることを特徴としている。これにより、圧入部分の長さを十分に確保することができるので、第1部材29と第2部材31とを確実に一体化することができる。
【0079】
本実施形態では、溝部27Aは、断面が凹状に形成された環状の溝であって、かつ、底壁面29Bを構成する部位のうち中心軸線L1と平行な方向の端部29Eが、第2部材31に接触していることを特徴としている。
【0080】
これにより、本実施形態では、底壁面29Bの端部29Eが第2部材31に接触することにより、溝部27Aの溝幅W2が決められる。このため、溝幅W2の寸法バラツキは、第1部材29及び第2部材31のうち底壁面29Bが設けられた部位の寸法公差範囲となる。したがって、溝幅W2の寸法バラツキに、組み立て作業に伴う寸法バラツキが加算されてしまうことを抑制できるので、溝幅W2の寸法バラツキを小さくできる。
【0081】
本実施形態では、第1部材29に第1規制部29Fが設けられ、第2部材31に第2規制部31Dが設けられていることを特徴としている。
これにより、本実施形態では、転写ベルト21が第1壁面29A側に斜行すると、第1規制部29Fが軸支持部26に接触してガイド部材27の移動が規制されるので、第2部材31には、転写ベルト21の斜行をさせる力(以下、斜行力)が作用しない。
【0082】
同様に、転写ベルト21が第2壁面31A側に斜行すると、第2規制部31Dが従動ローラ23に接触してガイド部材27の移動が規制されるので、第1部材29には斜行力が作用しない。
【0083】
したがって、転写ベルト21がいずれの向きに斜行しても、斜行力が第1部材29と第2部材31との圧入を阻害する力としてガイド部材27に作用しない。このため、転写ベルト21の斜行が繰り返された場合であっても、第1部材29と第2部材31との圧入が外れてしまうことを抑制できる。
【0084】
本実施形態では、第1壁面29Aの外形端は、ベルト本体部21Bの外周面より突出しており、かつ、外形端の突出寸法H1は、ベルト本体部21Bの厚み寸法T1に被ガイド部21Cの突出寸法H2を加えた寸法以上であることを特徴としている。
【0085】
これにより、本実施形態では、仮に、転写ベルト21に大きな斜行力が発生して被ガイド部21Cが溝部27Aから外れた場合であっても、転写ベルト21が第1壁面29Aを乗り越えてしまうまで斜行することを抑制できるので、転写ベルト21がベルトユニット20から外れてしまうことを抑制できる。
【0086】
また、本実施形態のごとく、ベルト本体部21Bがポリアミド系樹脂製である場合には、ポリイミド系樹脂の場合に比べて弾性変形し易く、転写ベルト21が第1壁面29Aを乗り越えてしまう可能性がある。したがって、ベルト本体部21Bがポリアミド系樹脂製とした場合には、本実施形態は特に好適である。
【0087】
また、本実施形態では、第1壁面29A及び第2壁面31Aは、平面にて構成されているので、第1壁面29Aにベルト本体部21Bの端部が接触した場合、及び第2壁面31Aに被ガイド部21Cが接触した場合であっても、転写ベルト21が損傷してしまうことを抑制できる。
【0088】
なお、第1壁面29A及び第2壁面31Aが平面であるとは、目視にて認識可能な凹凸がなく、表面粗さが、例えばRa=0.8以下の状態をいう。
(その他の実施形態)
また、上述の実施形態では、被ガイド部21Cは、ベルト本体部21Bの内周面全域に渡って連続する帯状の突条にてより構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、歯付きベルトのように、突起部が離散的に設けられた構成であってもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、第1壁面29Aは、ベルト本体部21Bの外周面より突出していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ベルト本体部21Bの内周面より外周面側に突出していれば十分である。
【0090】
また、上述の実施形態では、第2部材31に圧入穴31Bを設け、第1部材29に圧入部29Cを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これとは逆に、第1部材29に圧入穴31Bを設け、第2部材31に圧入部29Cを設けてもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、圧入部29Cと圧入穴31Bとが接触する部位のうち、中心軸線L1と平行な方向の長さが溝部27Aの溝幅W2以上であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該長さを溝幅W2未満としてもよい。
【0092】
また、上述の実施形態では、一体化の一例として第1部材29と第2部材31とを圧入により一体化させていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一方に係合突起部を設け、他方に当該係合突起部と係合する被係合部を設けて第1部材29と第2部材31とを一体化してもよい。
【0093】
なお、第1部材29と第2部材31との一体化においては、圧入やねじ止め等の固定手段のように第1部材29と第2部材31とが相対的に固定される固定手段は勿論のこと、第1部材29と第2部材31とが相対移動可能な緩やかな係合としてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、第1部材29に軸受部29Dを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第2部材31に軸受部29Dを設け、かつ、第2部材31には軸受部29Dを設けない構成とする、又は軸受部29Dを第1部材29及び第2部材31に設ける構成とする等としてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、ベルト本体部21Bをポリアミド系樹脂製としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばポリイミド系樹脂製としてもよい。
また、上述の実施形態では、ガイド部材27は従動ローラ23に対して独立して回転可能であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガイド部材27を従動ローラ23に一体化する、又は従動ローラ23に溝部27Aを設ける等してもよい。
【0096】
また、上述の実施形態では、本発明の第1ローラを従動ローラ23とし、本発明の第2ローラを駆動ローラ22として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動ローラ22にガイド部材27を設ける、又はローラが3本以上ある構成とする等とし、そのいずれかのローラに適用してもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、ダイレクト方式の画像形成装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、中間転写方式の画像形成装置にも適用できる。
【0098】
また、上述の実施形態に係る露光器9は、感光ドラム7Aの軸方向に沿って多数個のLEDが並べられたものであって、感光ドラム7A毎に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザ光を軸方向に走査する、いわゆる「スキャナ」タイプの露光器9を用いてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、溝部27Aの断面形状を凹状としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばV字状又は台形状の断面形状を有する溝部27Aとしてもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、第1部材29及び第2部材31を分割可能な2つの金型により樹脂成形するとともに、型抜き方向を中心軸線L1と平行としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0101】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の各構成を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1… 画像形成装置 3… 筐体 5… 画像形成部 6… 給紙トレイ
7… プロセスユニット 7A… 感光ドラム 8… フィーダ機構
9… 露光器 11… 定着器 15… 転写部 20… ベルトユニット
21… 転写ベルト 21A… 張架面 21B… ベルト本体部
21C… 被ガイド部 22… 駆動ローラ 22A… ローラ歯車
23… 従動ローラ 23A… 軸 23B… 溝部 23C… 側壁部
23D… 底部 23E… ローラ本体 24… メインフレーム
24A… サイドフレーム 24C… 把持フレーム 24D… 把持部
24E… レール部 26… 軸支持部 26… 各軸支持部
26A… 弾性部材 26B… 軸穴 26C… 筒部
27… ガイド部材 27A… 溝部 29A… 第1壁面 29B… 底壁面
29… 第1部材 29C… 圧入部 29D… 軸受部 29F… 第1規制部
31… 第2部材 31A… 第2壁面 31B… 圧入穴 31C… 嵌合部
31D… 第2規制部