【実施例】
【0035】
次に、本発明の具体的実施例について比較例と比較しながら説明する。
なお、実施例1〜4の電池は、
図1で示した電池要素と同様のコインセルに収めた全固体リチウム二次電池である。実施例5〜8の電池は、
図2で示した電池要素と同様のコインセルに収めた全固体リチウム二次電池である。
【0036】
【表1】
(実施例1)
【0037】
まず、固体電解質であるLi
2S−P
2S
5と、正極活物質である二硫化チタンとをそれぞれ粉砕し粉末を得た。得られた固体電解質粉末を加圧成形し、厚さ0.7mm、直径23mmの固体電解質層とした。
【0038】
次に、正極活物質である二硫化チタン粉末と固体電解質粉末と導電助剤であるアセチレンブラックとを37.7:56.6:5.7(質量%)で混合し、正極粉末を得た。この正極粉末を固体電解質層上に堆積したのち積層方向に予備加圧した。これにより固体電解質層上に正極合剤層を形成した。
【0039】
次に、固体電解質層上の正極合剤層を有する面とは異なる面に、インジウム負極を積層して正極合剤層/固体電解質層/負極層からなる積層体を構成し、これを積層方向に加圧して全固体リチウムイオン二次電池ペレットを得た。
【0040】
得られた全固体リチウムイオン二次電池ペレットを、直径23.5mm、厚み1mmのネオジム磁石によって積層方向に挟んだ。このとき、前記積層体の加圧状態が維持されるよう、前記磁石をS極とN極が向き合うよう設置した。
【0041】
前記積層体を、直径24mm、厚さ5mmのコイン型外装缶に封入し、かしめて、コイン型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
【0042】
実施例1のコイン型全固体リチウムイオン二次電池は、初充電後の内部抵抗が759Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時インピーダンスのサイクル変化は、100サイクル経過した時点で21.3%上昇し、921Ωであり、初期充電後および充放電100サイクル経過後のインピーダンスは後に記載の比較例と比べ大きかった。
(実施例2)
【0043】
実施例2では、ニッケルめっきからなる変形層を表面に有するネオジム磁石を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、コイン型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
【0044】
実施例2のコイン型全固体リチウムイオン二次電池は、初充電後の内部抵抗が472Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時インピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で11.0%上昇し、524Ωであり、ニッケルめっきからなる変形層の高い電気伝導性によって集電効率が高まり、実施例1よりサイクル特性が改善した。
(実施例3)
【0045】
実施例3では、銅めっきからなる変形層を表面に有するネオジム磁石を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で、コイン型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
【0046】
実施例3のコイン型全固体リチウムイオン二次電池は、初充電後の内部抵抗が402Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時インピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で7.2%上昇し、431Ωであり、ニッケルめっきより電気伝導性の優れた銅めっきによって集電効率が高まり、実施例2よりサイクル特性が改善した。
(実施例4)
【0047】
実施例4では、銀めっきからなる変形層を表面に有するネオジム磁石を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で、コイン型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
【0048】
実施例4のコイン型全固体リチウムイオン二次電池は、初充電後の内部抵抗が235Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時インピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で2.6%上昇し、241Ωであり、銅めっきより電気伝導性の優れた銀めっきによって集電効率が高まり、実施例3よりサイクル特性が改善した。
(実施例5)
【0049】
実施例1と同様に、全固体リチウムイオン二次電池ペレットを作製した。
【0050】
次いで、前記全固体リチウムイオン二次電池ペレットを、直径23.5mm、厚み1mmのネオジム磁石と金属板によって積層方向に挟んだ。
【0051】
前記積層体を、直径24mm、厚さ5mmのコイン型セルに封入し、かしめて、実施例5のコイン型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
【0052】
実施例5のコイン型全固体リチウムイオン二次電池は、初充電後の内部抵抗が752Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時インピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で22.1%上昇し、インピーダンスは918Ωであった。
(実施例6)
【0053】
実施例6では、ニッケルめっきからなる変形層を表面に有するネオジム磁石を用いたこと以外は、実施例5と同様のコイン型全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
【0054】
実施例6のコイン型全固体リチウムイオン二次電池は、初充電後の内部抵抗が478Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時インピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で10.7%上昇し、529Ωであり、ニッケルめっきからなる変形層の高い電気伝導性によって集電効率が高まり、実施例5よりサイクル特性が改善した。
(実施例7)
【0055】
実施例7では、銅めっきからなる変形層を表面に有するネオジム磁石を用いたこと以外は、実施例6と同様の電池を作製した。
【0056】
実施例7のコイン型全固体リチウムイオン二次電池の初充電後の内部抵抗は406Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時のインピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で7.1%上昇し、435Ωであり、銅めっきからなる変形層の高い電気伝導性によって集電効率が高まり、実施例6よりサイクル特性が改善した。
(実施例8)
【0057】
実施例8では、銀めっきからなる変形層を表面に有するネオジム磁石を用いたこと以外は、実施例7と同様の電池を作製した。
【0058】
実施例8のコイン型全固体リチウムイオン二次電池の初充電後の内部抵抗は239Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時のインピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で2.5%上昇し、245Ωであり、銀めっきからなる変形層の高い電気伝導性によって集電効率が高まり、実施例7よりサイクル特性が改善した。
【0059】
なお、本実施例においては、固体電解質をLi
2S−P
2S
5としたが、Li
2S−SiS
2、LiI−Li
2S−P
2S
5等の他の硫化物系固体電解質やLi
2O−B
2O
3−SiO
2、Li
2SO
4−Li
2O−B
2O
3等の酸化物系固体電解質を用いた場合でも本発明の同様の効果が得られる。
【0060】
また、本実施例においては、正極を二硫化チタンとしたが、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、二硫化モリブデンやセレン化ニオブ等の他の遷移金属カルコゲナイドや、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、マンガン酸リチウム(LiMnO
2、LiMn
2O
4)等の遷移金属酸化物を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0061】
さらに、本実施例において、インジウムを負極材料として説明したが、負極材料としてアルミニウムや金属リチウムといったリチウムが固相内拡散する金属もしくはこれらの合金を用いた場合でも本発明の同様の効果が得られる。
【0062】
さらに、本実施例において、磁石をネオジム磁石としたが、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、アルミニッケルコバルト磁石等の他の永久磁石を用いた場合でも本発明の同様の効果が得られる。
(比較例1)
【0063】
実施例1と同様にして全固体リチウム二次電池ペレットを作製し、磁石ではなくクリップによって積層方向に挟んだ。クリップで挟んだ正極合剤層/固体電解質層/負極層からなる積層体を直径24mm,厚さ5mmのコイン型外装缶に封入し、かしめて、コイン型全固体リチウムイオン二次電池を得た。
【0064】
比較例1のコイン型全固体リチウムイオン二次電池の初充電後の内部抵抗は1050Ωであった。また、このコイン型全固体リチウムイオン二次電池を500μAで充放電した際の、充電時のインピーダンスのサイクル変化は100サイクル経過した時点で60.3%上昇し、1683Ωであった。初期充電後および充放電100サイクル経過後のインピーダンスは極めて大きかった。
【0065】
比較例1は、初充電後の内部抵抗および100サイクル経過後のインピーダンスは極めて大きく、いずれの実施例も上回る値となった。これに対して、実施例1および5では、比較例1に比べて高いサイクル特性が得られた。これは、ネオジム磁石の磁力によって固体電解質と電極活物質界面の界面状態が維持されたためと思われる。また、実施例2および6では、ニッケルめっきからなる変形層の高い電気伝導性によって集電効率が高まり、サイクル特性はより良好となった。さらに、変形層を電気伝導性の優れた銅めっきあるいは銀めっきとすることによって、サイクル特性はさらに良好となった。