(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、真贋の判定が容易であり、且つ、偽造が困難である個人情報表示体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による個人情報表示体は、
所有者の個人情報を表示する個人情報表示体であって、
表示体本体と、
前記表示体本体に設けられ、前記個人情報を含む所定の情報を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、複数の単位表示部からなり、
前記各単位表示部は、前記所定の情報に基づいて、予め定められた色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されており、
前記複数の単位表示部からなる前記表示部は、複数の色に着色されている
ことを特徴とする。
【0006】
本発明による個人情報表示体において、
前記各単位表示部は、文字、数字および記号の何れかを表してもよい。
【0007】
本発明による個人情報表示体において、
前記各単位表示部は、前記個人情報に基づいて、前記色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されていてもよい。
【0008】
本発明による個人情報表示体において、
前記個人情報は、複数の単位個人情報を含み、
予め定められた前記単位個人情報を表示している前記各単位表示部は、表示している単位個人情報とは異なる単位個人情報に基づいて、前記色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されていてもよい。
【0009】
本発明による個人情報表示体において、
前記所定の情報は、前記個人情報表示体の属性を表す属性情報を含み、
前記各単位表示部は、前記属性情報に基づいて、前記色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されていてもよい。
【0010】
本発明による個人情報表示体において、
前記属性情報は、発行年、発行場所および仕向地の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0011】
本発明による個人情報表示体において、
少なくとも1つの前記単位表示部は、蛍光発光材料を含み、
前記蛍光発光材料を含む単位表示部は、前記所定の情報に基づいて、予め定められたアルゴリズムに従って決定されており、
前記蛍光発光材料を含む前記単位表示部の色は、不可視光を照射されたとき、前記蛍光発光材料を含まない他の単位表示部の色とは異なる色として視認されてもよい。
【0012】
本発明による個人情報表示体は、
所有者の個人情報を表示する個人情報表示体であって、
表示体本体と、
前記表示体本体に設けられ、前記個人情報を含む所定の情報を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、複数の単位表示部からなり、
少なくとも1つの前記単位表示部は、蛍光発光材料を含み、
前記蛍光発光材料を含む単位表示部は、前記所定の情報に基づいて、予め定められたアルゴリズムに従って決定されており、
前記蛍光発光材料を含む前記単位表示部の色は、不可視光を照射されたとき、前記蛍光発光材料を含まない他の単位表示部の色とは異なる色として視認される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、真贋の判定が容易であり、且つ、偽造が困難である個人情報表示体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0016】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、個人情報表示体における個人情報等を表示する各単位表示部が、個人情報等に基づいて着色されていることを特徴の1つとする。
【0017】
図1は、第1の実施形態に係る個人情報表示体10の一例を示す平面図である。
図1に示すように、個人情報表示体10は、所有者の個人情報を表示する媒体、即ち個人情報が記録された媒体である。個人情報表示体10の具体的な用途として、パスポート、運転免許証、健康保険証、キャッシュカード、クレジットカード、社員証、会員証等を例示することができる。ここで個人情報表示体10に記録される個人情報とは、個人に関する情報のことであり、典型的には当該個人情報表示体10を付与された特定人に関連した情報のことである。この個人情報には、氏名、生年月日、性別等の広く社会一般で用いられる情報に限られることなく、社員番号や会員番号等のような特定の組織との関連において用いられる個人に関連した情報、一定の期間の間だけ個人に割り当てられた情報等も含まれる。したがって、個人情報表示体10の発行者からすれば、個人情報表示体10に記録される個人情報とは、各個人に付与される個人情報表示体10毎に個別に対応しなければならない情報となる。
【0018】
このような個人情報表示体10は、一例として、特定人の身元や資格等を証明するために、当該特定人に対して付与される。個人情報表示体10の発行者は、個人情報表示体10に表示される情報に基づいて、個人情報表示体10の所有者を管理することができる。具体例として、ある組織、例えば会社が、当該組織の構成員、例えば当該会社の社員に対して、当該組織に属することを証明するための媒体として個人情報表示体10、例えば社員証を付与する。当該組織は、個人情報表示体10によって表示される所有者の個人情報に基づき、敷地内や室内等への入退場の管理、具体的には入退場の制限や入退場の記録や勤怠の管理等を行うことができる。したがって、個人情報表示体10に対しては、所有者の認証が容易であること、言い換えると個人情報表示体10の真贋の判定が容易であること、並びに、偽造、改竄が困難であることが要望される。
【0019】
図1に示すように、個人情報表示体10は、個人情報表示体10が付与されるべき特定人の個人情報を表示するための表示部を有している。
図1に示された例では、第1〜第3表示部41,42,43が個人情報表示体10に設けられている。
図1に示すように、個人情報表示体10は、カード状に形成されている。そして、個人情報表示体10は、カード状の表示体本体20と、表示体本体20上に積層されたカバー層34と、を有している。表示部41,42,43は、表示体本体20に設けられ、表示体本体20とカバー層34との間、或いは、表示体本体20の内部に位置している。
【0020】
ここで説明する例において、表示部を形成される前の表示体本体20は、発行されるすべての個人情報表示体10の間で共通の構成を有している。
図2に示すように、表示体本体20は、カードの芯をなす互いに積層された第1コア層22および第2コア層23と、コア層22,23の両側にそれぞれ積層された第1背景印刷層25および第2背景印刷層26と、背景印刷層25,26の両側にそれぞれ積層された第1オーバーシート層28および第2オーバーシート層29と、を有している。
【0021】
背景印刷層25,26は、後述するレーザーエングレービングにより個人情報を記録される態様等の特殊な場合を除くと、発行される個人情報表示体10の間で共通するパターン、例えば、地紋等を印刷された層である。オーバーシート層28,29は、保護層として機能する。とりわけ、
図2に示された例において、第2オーバーシート層29は、カード状の個人情報表示体10の最表面を形成する。オーバーシート層28,29によって、背景印刷層25,26に印刷されたパターンが保護される。オーバーシート層28,29は、背景印刷層25,26に印刷されたパターンを視認可能とするため、無色でも有色でもよいが、透明または半透明となっていることが好ましい。また、第1オーバーシート層28に設けられるカバー層34も、表示部によって表示される個人情報および背景印刷層25,26に印刷されたパターンを視認可能とするため、無色でも有色でもよいが、透明または半透明となっている。
【0022】
表示体本体20をなす各層並びにカバー層34は、例えばIDカードのカード本体に用いられる既知の材料を用いて既知の方法にて作製され得る。
【0023】
次に、表示部41,42,43について詳述する。個人情報表示体10には、上述したように、個人情報表示体10の所有者となるべき特定人の個人情報を表示するための表示部41,42,43が、表示体本体20上または表示体本体20の内部に設けられている。表示体本体20の第1オーバーシート層28上に積層されたカバー層34は、表示部41,42,43を覆い、表示部41,42,43を保護する。
【0024】
図1に示された例において、第1表示部41および第2表示部42は、特定人の像として、顔を含む上半身を表示している。第1表示部41は第2表示部42より小さい。第1表示部41は、第2表示部42とは材料および作製方法の少なくとも一方が異なる。
【0025】
図示された例のように、個人情報表示体10が、所有者の像、とりわけ顔を含む像を表示する場合、所有者の認証、並びに、認証結果に基づいた個人情報表示体10の真贋判定を容易かつ正確に行うことができる。
【0026】
一方、
図1の例では、第3表示部43は、個人情報である氏名43a、性別43b、生年月日43cおよび識別番号43dを表示している。具体的には、第3表示部43は、この個人情報を表示する複数の単位表示部50,・・・,50からなる。各単位表示部50は、文字、数字および記号の何れかを表す。ある1つの単位表示部50は1色に着色されており、複数の単位表示部50,・・・,50からなる第3表示部43は複数の色に着色されている。
【0027】
本明細書において「単位表示部50は着色されている」とは、1つの単位表示部50の色が白又は黒を含む1色以上からなることを表す。
【0028】
図3は、
図1の個人情報表示体10における識別番号43dを表示する単位表示部50,・・・,50を拡大して示す図である。
図3に示すように、識別番号43dは、「0123456789」という数字の列を表す第1〜第10番目の単位表示部50,・・・,50によって表示されている。第1〜第10番目の単位表示部50,・・・,50は、複数の色に着色されている。このように第1〜第10番目の単位表示部50,・・・,50は、着色された数字を表すため、カラーナンバーと称することもできる。
【0029】
氏名43a、性別43b、生年月日43cおよび識別番号43dを、それぞれ単位個人情報とも称する。つまり、個人情報は、複数の単位個人情報を含んでいる。
【0030】
図示は省略するが、第3表示部43は、個人情報のみに限らず、個人情報を含む所定の情報を表示する複数の単位表示部50,・・・,50を有してもよい。所定の情報は、個人情報表示体10の属性を表す属性情報を含んでいてもよい。この属性情報は、例えば、個人情報表示体10の発行年、発行年月、発行場所および仕向地の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0031】
各単位表示部50は、複数の単位表示部50,・・・,50からなる第3表示部43が表示している所定の情報に基づいて、予め定められた色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されている。具体的には、各単位表示部50は、上記所定の情報に含まれている個人情報と属性情報の少なくとも何れかに基づいて色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されている。つまり、単位表示部50,・・・,50の色の配列は、コード化された情報を表していると言うこともできる。
【0032】
色決定アルゴリズムとしては、個人情報表示体10に表示された所定の情報に応じて各単位表示部50の色を決定できれば、どのようなものを採用してもよい。個人情報表示体10の発行者は、個人情報表示体10の製造に先立ってどのようなアルゴリズムを採用するか決めておき、複数の個人情報表示体を同一のアルゴリズムを用いて製造してもよい。これにより、後述する真贋判定を容易に行うことができる。以下に、色決定アルゴリズムの例1〜例3を説明する。
【0033】
(色決定アルゴリズムの例1)
色決定アルゴリズムとして、ある1つの単位表示部50、例えば識別番号43dの「0」を表示している第1番目の単位表示部50の色を性別に応じて第1色または第2色に決定し、他の1つの単位表示部50、例えば識別番号43dの「1」を表示している第2番目の単位表示部50の色を生年月日に応じて第1色〜第3色の何れかに決定し、これら以外の複数の単位表示部、例えば識別番号43dの「23456789」を表示している第3〜第10番目の単位表示部50,・・・,50および他の単位個人情報を表示している単位表示部50,・・・,50の色を予め定められた第4色に決定するアルゴリズムを採用してもよい。
【0034】
つまり、この例1では、各単位表示部50の色は、個人情報に基づいて決定されている。より具体的には、予め定められた単位個人情報である識別番号43dを表示している各単位表示部50は、表示している単位個人情報とは異なる単位個人情報(性別43bおよび生年月日43c)に基づいて、色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されている。
【0035】
例えば、性別が男性の場合、第1番目の単位表示部50の色を第1色に決定し、性別が女性の場合、第1番目の単位表示部50の色を第2色に決定してもよい。
【0036】
また、第2番目の単位表示部50の色を、例えば、生年月日が第1の範囲である場合、第1色に決定し、生年月日が第2の範囲である場合、第2色に決定し、生年月日が第3の範囲である場合、第3色に決定してもよい。第1色〜第4色は、互いに異なる色として視認できればどのような色でもよく、白と黒の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0037】
また、性別及び生年月日に加えて、個人情報に含まれる他の複数の単位個人情報も用いて複数の単位表示部50,・・・,50の色を決定してもよい。また、複数の単位個人情報の何れか1つのみを用いて、ある1つの単位表示部50の色を決定してもよい。また、予め定められた単位個人情報を表示している各単位表示部50は、表示している単位個人情報に基づいて、色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されてもよい。また、性別が男性の場合、ある1つの単位表示部50の色を第1色に決定し、性別が女性の場合、他の1つの単位表示部50の色を第1色または第2色に決定し、これら以外の複数の単位表示部50,・・・,50の色を第3色に決定してもよい。
【0038】
(色決定アルゴリズムの例2)
色決定アルゴリズムとして、予め定められた単位個人情報を表示している単位表示部50,・・・,50のうちの第n(nは正の整数)番目の単位表示部50の色を、生年月日又は識別番号などを表す所定の数字の総和をnで除算して得られた余りに応じて決定するアルゴリズムを採用してもよい。
【0039】
図1の例のように、生年月日が2001年1月1日である場合、生年月日を表す数字の総和は、2+0+0+1+1+1=5である。そこで、例えば、予め定められた単位個人情報を識別番号43dとすると、識別番号43dを表示している第1番目の単位表示部50の色を、5÷1の余り0に応じて第1色に決定し、第2番目の単位表示部50の色を、5÷2の余り1に応じた第2色に決定し、第3番目の単位表示部50の色を、5÷3の余り2に応じた第3色に決定し、他の第4〜第10番目の単位表示部50,・・・,50の色も同様に決定してもよい。そして、他の単位個人情報を表示している単位表示部50,・・・,50の色を予め定められた色に決定してもよい。
【0040】
つまり、この例2でも、各単位表示部50の色は、個人情報に基づいて決定されている。より具体的には、予め定められた単位個人情報である識別番号43dを表示している各単位表示部50は、表示している単位個人情報とは異なる単位個人情報(生年月日43c)に基づいて、色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されている。
【0041】
これらの例1,2のように、各単位表示部50の色が個人情報に基づいて決定される場合、個人情報に含まれる複数の単位個人情報を用いることなどにより、単位表示部50,・・・,50の色の配列は、所有者毎に異なるようにすることもできる。
【0042】
また、予め定められた単位個人情報を表示している各単位表示部50が、表示している単位個人情報とは異なる単位個人情報に基づいて、色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されていることにより、表示している単位個人情報に基づいて決定された色に着色されている場合と比較して、色決定アルゴリズムをより解読され難くすることができる。
【0043】
(色決定アルゴリズムの例3)
色決定アルゴリズムとして、ある1つの単位表示部50、例えば識別番号43dを表示している第1番目の単位表示部50の色を、属性情報における個人情報表示体10の発行年に応じて決定し、他の1つの単位表示部50、例えば第2番目の単位表示部50の色を、個人情報表示体10の発行場所に応じて決定し、これら以外の複数の単位表示部、例えば第3〜第10番目の単位表示部50,・・・,50および他の単位個人情報を表示している単位表示部50,・・・,50の色を予め定められた色に決定するアルゴリズムを採用してもよい。つまり、この例3では、各単位表示部50の色は、属性情報に基づいて決定されている。
【0044】
また、例1と同様に、発行年及び発行場所に加えて、属性情報に含まれる他の複数の情報も用いて複数の単位表示部50,・・・,50の色を決定してもよい。また、属性情報に含まれる複数の情報の何れか1つのみを用いて、ある1つの単位表示部50の色を決定してもよい。
【0045】
なお、言うまでもなく、以上の例1〜例3で説明したような識別番号43dに限らず、氏名43a、性別43bなどの他の単位個人情報や属性情報などを表示している単位表示部50,・・・,50の色が所定の情報に応じて複数の色に決定されるようにしてもよい。
【0046】
以上で説明した個人情報表示体10では、まず、第2表示部42によって表示される明瞭性に優れた像に基づいて、個人情報表示体10の所持者の認証やこの個人情報表示体10の真贋判定をより容易且つより正確に行うことができる。
【0047】
また、第1表示部41が表示する個人情報と第2表示部42が表示する個人情報との比較により、個人情報表示体10の真贋判定をさらに正確に行うことができるようになる。
【0048】
加えて、色決定アルゴリズムを踏まえた上で、第3表示部43によって表示される所定の情報と、複数の単位表示部50,・・・,50の色の配列とを比較することにより、個人情報表示体10の真贋判定を更に正確に行うことができる。この結果として、この個人情報表示体10は、より優れた偽造防止性を有することになる。
【0049】
なお、第1から第3表示部41,42,43は、種々の既知の方法により、作製され得る。一例として、昇華熱転写印画法により、表示体本体20の第1オーバーシート層28に色材を昇華熱転写することにより、第1から第3表示部41,42,43を表示体本体20上に形成することができる。表示体本体20に熱転写される色材は、作製すべき第1から第3表示部41,42,43に対応して種々の色を含めることができる。フルカラー画像により個人情報を表示する個人情報表示体10では、イエロー・マゼンタ・シアン・黒の四色の色材、或いは、赤・緑・青・黒の四色の色材を、表示体本体20に熱転写することになる。
【0050】
他の例として、第1から第3表示部41,42,43の少なくとも何れかを、レーザーエングレービング法により形成することができる。また、第2表示部42および第3表示部43が互いに異なる方法で形成されていてもよい。例えば、表示体本体20の第1背景印刷層25が、レーザー発色層として形成され、レーザーエングレービング法により、表示体本体20の第1背景印刷層25に個人情報等が記録されるようにしてもよい。
【0051】
以上のように本実施形態によれば、各単位表示部50は、個人情報表示体10に表示された個人情報を含む所定の情報に基づいて、色決定アルゴリズムに従って決定された色に着色されている。これにより、色決定アルゴリズム、即ち色の決定方法を把握している発行者側は、色決定アルゴリズムを踏まえて、個人情報表示体10に表示された個人情報を含む所定の情報と、単位表示部50,・・・,50の色の配列とを比較することにより、個人情報表示体10の真贋判定を容易に行うことができる。
【0052】
一方、複数の単位表示部50,・・・,50の色の配列がコード化した個人情報等を表していることは、第3者には分かり難い。そのため、第3者は、個人情報表示体10を偽造するために、これらの色の配列までも個人情報等に応じて偽造する必要があることは容易に把握できない。その上、仮に第3者がこれらの色の配列も偽造する必要があることを把握したとしても、色決定アルゴリズムが分からない限り、個人情報表示体10に表示された所定の情報に応じた正しい色に各単位表示部50を着色することはできない。即ち、個人情報表示体10の偽造は、極めて困難である。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、比較的に容易に製造され得る個人情報表示体10に対して、極めて優れた偽造防止性を付与することができるとともに、この個人情報表示体10を用いた所持者の認証やこの個人情報表示体10の真贋判定を極めて容易且つ正確に行うことができる。
【0054】
これらの効果に加え、単位表示部50,・・・,50の色が個人情報表示体10の製造年などの属性を表すようにした場合、単位表示部50,・・・,50の色を確認するだけで製造年などの属性を把握できるので、個人情報表示体10のロットを簡単に管理することもできる。
【0055】
また、従来の個人情報表示体に設けられているバーコード等が表す情報を、複数の単位表示部50,・・・,50の色の配列が表すようにすれば、バーコード等を設ける専用の領域を用意する必要もなくなる。
【0056】
このような本実施形態の個人情報表示体10に対して、従来の個人情報表示体では、個人情報等をコード化したバーコード、二次元コード、OCR等が券面に設けられている。このようなバーコード等は、コード化した個人情報等を表していることが容易に分かる。そのため、第3者は、個人情報表示体を偽造するためには、これらのバーコード等も偽造する必要があることを容易に把握できる。また、このようなバーコード等を設ける専用の領域を券面に用意する必要がある。
【0057】
なお、
図1に示された個人情報表示体10は例示に過ぎない。例えば、第2表示部42および第3表示部43は、上述してきた例とは異なる個人情報を表示するようにしてもよい。さらに、第1〜第3の表示部41,42,43に代えて或いは第1〜第3の表示部41,42,43に加えて、他の表示部を個人情報表示体10に設けるようにしてもよい。
【0058】
また、1つの単位表示部50は、次のような構成となっていてもよい。即ち、1つの単位表示部50を平面視した際に、その単位表示部50が表している文字、数字又は記号の輪郭(縁)の部分の色が所定の色であり、この輪郭の内側の部分からオーバーシート層28又は背景印刷層25の色が視認されるようになっていてもよい。つまり、この場合、文字、数字又は記号の輪郭の部分と、この輪郭の内側の部分から視認されるオーバーシート層28又は背景印刷層25の一部とが、1つの単位表示部50として機能する。この単位表示部50は、以上の説明と同様に、表示体本体20に設けられている。輪郭の部分の所定の色と、輪郭の内側の部分から視認されるオーバーシート層28又は背景印刷層25の色との少なくとも何れかは、以上の説明と同様に、個人情報と属性情報の少なくとも何れかに基づいて、色決定アルゴリズムに従って決定された色である。この場合、輪郭の部分の色と、輪郭の内側の部分から視認される色とは、同じでもよく、異なってもよい。即ち、1つの単位表示部50の色が1色からなってもよく、2色からなってもよい。
【0059】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態における複数の色に着色されている複数の単位表示部50,・・・,50のうちの少なくとも1つの単位表示部50は、さらに蛍光発光材料を含んでいる。その他の構成は、第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0060】
ここで蛍光発光材料とは、予め定められた波長領域内の紫外線等の不可視光を照射された場合に可視光を発光する性質を有した材料である。これにより、蛍光発光材料を含む単位表示部50の色は、予め定められた波長領域内の不可視光を照射された特別の条件下では、蛍光発光材料を含まない他の単位表示部50の色とは異なる色として視認される。
【0061】
一方、可視光下では、複数の単位表示部50,・・・,50からなる第3表示部43は、第1の実施形態と同様に複数の色として視認されるため、第1の実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0062】
蛍光発光材料を含む単位表示部50は、個人情報表示体10に表示された個人情報を含む所定の情報に基づいて、予め定められたアルゴリズムに従って決定されている。
【0063】
アルゴリズムとしては、個人情報表示体10に表示された所定の情報に応じて蛍光発光材料を含む単位表示部50を決定できれば、どのようなものを採用してもよく、第1の実施形態の色決定アルゴリズムに準じたものでもよい。
【0064】
例えば、性別、生年月日等の個人情報に応じて蛍光発光材料を含む単位表示部50を決定するアルゴリズムを採用してもよい。
【0065】
この場合、例えば、性別が男性の場合、蛍光発光材料を含む単位表示部50を、識別番号43dを表す第1番目の単位表示部50に決定し、一方、性別が女性の場合、蛍光発光材料を含む単位表示部50を、この第1番目の単位表示部50とは異なる単位表示部50に決定してもよい。
【0066】
単位表示部50,・・・,50の色を決定するために用いる単位個人情報と、蛍光発光材料を含む単位表示部50を決定するために用いる単位個人情報とは、同じであってもよいが、異なる方が偽造防止性をより向上させることができると考えられる。
【0067】
また、例えば、個人情報表示体10の発行年、発行場所等の属性情報に応じて蛍光発光材料を含む単位表示部50を決定するアルゴリズムを採用してもよい。
【0068】
なお、蛍光発光材料を含む単位表示部50は、種々の既知の方法により、作製され得る。一例として、熱転写印画法によって第1オーバーシート層28に蛍光発光材料を熱転写することにより、蛍光発光材料を含む単位表示部50を表示体本体20の表層または表示体本体20上に設けることができる。この場合、色材と蛍光発光材料の転写の順番に応じて、単位表示部50を構成している色材の上又は下に蛍光発光材料が重ねて転写されることになる。また、
図1に示された個人情報表示体10の表示部41,42の少なくとも何れかが、ここで説明した蛍光発光材料を用いて形成されていてもよい。
【0069】
以上のように本実施形態によれば、通常の可視光下では、複数の単位表示部50,・・・,50からなる第3表示部43は、第1の実施形態と同様に複数の色として視認されるので、第1の実施形態と同じ効果が得られる。この可視光下では、少なくとも何れかの単位表示部50が蛍光発光材料を含んでいることは第3者に知得され難いので、個人情報表示体10の偽造防止性を格段に向上させることができる。
【0070】
さらに、蛍光発光材料を含む単位表示部50を決定するアルゴリズムを把握している発行者側は、アルゴリズムを踏まえて、個人情報表示体10に表示された個人情報を含む所定の情報と、不可視光を照射されたときに発光している単位表示部50とを比較することにより、個人情報表示体10の真贋判定を容易に行うことができる。
【0071】
一方、第3者は、不可視光を照射されたときに単位表示部50が発光することが分かったとしても、アルゴリズムが分からない限り、個人情報表示体10に表示された所定の情報に応じた正しい単位表示部50を発光させることはできない。即ち、個人情報表示体10の偽造は、第1の実施形態と比較して更に困難である。
【0072】
なお、複数の単位表示部50,・・・,50のうちの2以上の単位表示部が互いに異なる蛍光発光材料を含むようにして、これら蛍光発光材料を含む2以上の単位表示部の色は、不可視光を照射されたとき複数の色として視認されるようにしてもよい。これにより、個人情報表示体10の偽造防止性をさらに向上させることができる。
【0073】
また、複数の単位表示部50,・・・,50からなる第3表示部43は同色に着色されており、且つ、以上の説明と同様に決定された複数の単位表示部50,・・・,50のうちの少なくとも1つの単位表示部50は、さらに蛍光発光材料を含んでいてもよい。この場合、通常の可視光下では、複数の単位表示部50,・・・,50からなる第3表示部43は、従来の個人情報表示体と同様に同色として視認される。従って、第3者は、この個人情報表示体10が従来の個人情報表示体とは異なる偽造防止性を有していることに容易に気付くことはできない。
【0074】
以上、本発明を図示する実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。