(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035946
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】エンジンダクト及び航空機エンジン
(51)【国際特許分類】
F02K 3/06 20060101AFI20161121BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
F02K3/06
F02C7/00 E
F02C7/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-165652(P2012-165652)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-25395(P2014-25395A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】楠田 真也
(72)【発明者】
【氏名】大庭 芳則
【審査官】
米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−112001(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/033407(WO,A1)
【文献】
特開2003−269384(JP,A)
【文献】
特開2007−321617(JP,A)
【文献】
特開平10−306732(JP,A)
【文献】
特開2003−172206(JP,A)
【文献】
特開2010−150954(JP,A)
【文献】
特開2000−087803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00 − 7/045
F02K 1/34 − 1/52
F02K 3/04 − 3/06
F01K 9/22
F04D 29/32 − 29/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機エンジンの構成要素であるエンジンダクトにおいて、
内部に空気を取入れてコアジェットを排気するための環状のコア流路が形成された筒状のコアカウルと、
前記コアカウルの外側に前記コアカウルを囲むように配設され、内周壁面と前記コアカウルの外周壁面との間に空気を取入れてバイパスジェットを排気するための環状のバイパス流路が形成された筒状のナセルと、
前記コアカウルの外周壁面と前記ナセルの内周壁面との間に円周方向に間隔を置いて配設され、前記コアカウルに対して前記ナセルを支持する複数のストラットと、
前記コアカウルから前記ナセルにかけて一体的に連結され、前記航空機エンジンのエンジン軸方向に平行に延びており、前記前記ナセルから径方向外側へ突出したメインパイロンと、
前記コアカウルの外周壁面と前記ナセルの内周壁面との間にエンジン軸心に対して前記メインパイロンと対称に設けられ、円周方向に隣接する前記ストラットの間に位置するサブパイロンと、を具備し、
前記ナセルの内周壁面又は前記コアカウルの外周壁面に径方向内側又は径方向外側へ隆起した隆起部が前記サブパイロン及び前記ストラットのうちの少なくともいずれかの部材の円周方向の両側面側から下流側に向かって形成され、径方向内側又は径方向外側から見た前記隆起部の形状が前記エンジン軸方向に延びた流線形状を呈しており、前記隆起部の頂部分が前記いずれかの部材の表面上に位置するようになっている、エンジンダクト。
【請求項2】
前記隆起部の頂部分が前記いずれかの部材の後縁上に位置するようになっている、請求項1に記載のエンジンダクト。
【請求項3】
コアジェットとバイパスジェットを排気することにより、エンジン推力を発生させる航空機エンジンにおいて、
請求項1又は請求項2に記載のエンジンダクトを具備した、航空機エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を取入れてコアジェット及びバイパスジェットを排気するエンジンダクト、及びコアジェットとバイパスジェットを排気することによりエンジン推力を発生させる航空機エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機エンジンの主要な構成要素であるエンジンダクトについて種々の開発がなされており、従来の一般的なエンジンダクトの構成等について簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
一般的なエンジンダクトは、筒状のコアカウル(エンジン内筒)を具備しており、このコアカウルの内部(内側)には、空気を取入れてコアジェットを排気するための環状のコア流路が形成されている。また、コアカウルの外側には、筒状のナセル(エンジン外筒)がコアカウルを囲むように配設されており、ナセルの内周壁面とコアカウルの外周壁面の間には、空気を取入れてバイパスジェットを排気するための環状のバイパス流路が形成されている。更に、コアカウルの外周壁面とナセルの内周壁面との間には、コアカウルに対してナセルを支持する構造部材としての複数のストラットが円周方向に間隔を置いて配設されている。
【0004】
コアカウルの上部からナセルの上部にかけて、航空機エンジンのエンジン軸方向に平行に延びたメインパイロンとしてのトップパイロンが一体的に連結されており、このトップパイロンは、ナセルから上方向(径方向外側)へ突出してあって、航空機に対する航空機エンジンの取付け及びエンジン推力の伝達のために用いられるものである。また、コアカウルの外周壁面の下部とナセルの内周壁面の下部との間には、サブパイロンとしてのボトムパイロンがエンジン軸心に対してトップパイロンと対称に設けられており、このボトムパイロンは、円周方向に隣接するストラットの間に位置してあって、コアカウルに対してナセルを支持する構造部材としての機能の他に、配管等を収容する機能を有している。更に、コアカウルの外周壁面とナセルの内周壁面との間における前記ストラットの上流側には、バイパス流路に取入れた空気を軸流に整流する複数のファン出口案内翼が円周方向に間隔を置いて配設されている。
【0005】
従って、航空機エンジンを稼動させて、コア流路に取入れた空気をコアジェットとして、バイパス流路に取入れた空気を軸流に整流してバイパスジェットとしてそれぞれ排気する。これにより、航空機エンジンのエンジン推力を発生させることができる。
【0006】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−151033公報
【特許文献2】特開平5−202768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、航空機エンジンの稼動中におけるバイパス流路内の流れ場について3次元非定常粘性CFD(Computational Fluid Dynamics)解析を行うと、
図6(a)に示すように、ナセルの内周壁面とボトムパイロンとの接続部付近に大きな剥離領域が生成されることが判明した。ここで、
図6(a)は、従来のエンジンダクトのバイパス流路内の流れ場の剥離領域を示す図である。一方、航空機エンジンの稼動中におけるバイパス流路内の流れ場において剥離領域が増大すると、それに伴い、バイパス流路内の推力ロスが増大して、航空機エンジンのエンジン性能を高いレベルまで向上させることが困難になる。
【0009】
なお、航空機エンジンの稼動中におけるバイパス流路内の流れ場においては、ナセルの内周壁面とボトムパイロンとの接続部付近だけでなく、コアカウルの外周壁面とボトムパイロンとの接続部付近、ナセルの内周壁面とストラットとの接続部付近等においても、大きな剥離領域が生成されることがあり、その場合には、前述と同様の問題が生じるものである。
【0010】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のエンジンダクト等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者は、前述の課題を解決するために、試行錯誤を繰り返した結果、
図5(a)(b)及び
図6(b)に示すように、ナセルの内周壁面に径方向内側へ隆起した所定の隆起部をサブパイロンとしてのボトムパイロンの円周方向の両側面側(両側面の前縁側)から下流側に向かって形成した場合には、航空機エンジンの稼働中、バイパス流路内の流れ場において、ナセルの内周壁面とボトムパイロンとの接続部付近の剥離領域を十分に低減できるという、新規な知見を得ることができ、本発明を完成するに至った。ここで、所定の隆起部とは、径方向内側から見た形状がエンジン軸方向に延びた流線形状を呈し、頂部分がボトムパイロンの表面(後縁を含む)上に位置するようになっている隆起部のことをいう。また、
図5(a)は、発明例に係る隆起部の周辺を示す斜視図、
図5(b)は、発明例に係る隆起部の周辺を径方向内側から見た図、
図6(b)は、発明例に係るエンジンダクトのバイパス流路内の流れ場の剥離領域を示す図であって、
図6(b)の剥離領域は、3次元非定常粘性CFD解析をより求めたものである。なお、図面中、「FF」は、前方向(上流方向)、「FR」は、後方向(下流方向)を指してある。
【0012】
コアカウルの外周壁面に径方向外側へ隆起した隆起部をボトムパイロンの円周方向の両側面側から下流側に向かって形成した場合、ナセルの内周壁面又はコアカウルの外周壁面に径方向内側又は径方向外側へ隆起した隆起部をストラットの円周方向の両側面側から下流側に向かって形成した場合
においても、前述の場合と同様に考えることができる。
【0013】
本発明の第1の
態様は、航空機エンジンの構成要素であ
るエンジンダクトにおいて、内部に空気を取入れてコアジェットを排気するための環状のコア流路が形成された筒状のコアカウル(エンジン内筒)と、前記コアカウルの外側に前記コアカウルを囲むように配設され、内周壁面と前記コアカウルの外周壁面との間に空気を取入れてバイパスジェットを排気するための環状のバイパス流路が形成された筒状のナセル(エンジン外筒)と、前記コアカウルの外周壁面と前記ナセルの内周壁面との間に円周方向に間隔を置いて配設され、前記コアカウルに対して前記ナセルを支持する複数のストラットと、前記コアカウルから前記ナセルにかけて一体的に連結され、前記航空機エンジンのエンジン軸方向に平行に延びて
おり、前記前記ナセルから径方向外側(側方)へ突出したメインパイロンと、前記コアカウルの外周壁面と前記ナセルの内周壁面との間にエンジン軸心に対して前記メインパイロンと対称に設けられ、円周方向に隣接する前記ストラットの間に位置するサブパイロンと、
を具備し、前記ナセルの内周壁面又は前記コアカウルの外周壁面に径方向内側又は径方向外側へ隆起した隆起部が前記サブパイロン
及び前記ストラット
のうちの少なくともいずれかの部材の円周方向の両側面側から下流側に向かって形成され、径方向内側又は径方向外側から見た前記隆起部の形状が前記エンジン軸方向に延びた流線形状を呈して
おり、前記隆起部の頂部分が前記いずれかの部材の表面上に位置するようになっていること
である。
【0014】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、別部材を介して間接的に配設されたことを含む意であって、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。また、「上流」とは、前記コア流路又は前記バイパス流路において主流の流れ方向から見て上流のことをいい、「下流」とは、前記コア流路又は前記バイパス流路において主流の流れ方向から見て下流のことをいう。
【0015】
第1の
態様によると、前記航空機エンジンを稼動させて、前記コア流路に取入れた空気をコアジェットとして、前記バイパス流路に取入れた空気を軸流に整流しつつバイパスジェットとしてそれぞれ排気する。これにより、前記航空機エンジンのエンジン推力を発生させることができる。
【0016】
前述の作用の他に、前記ナセルの内周壁面又は前記コアカウルの外周壁面に径方向内側又は径方向外側へ隆起した前記隆起部が前記いずれかの部材の円周方向の両側面側から下流側に向かって形成され、径方向内側又は径方向外側から見た前記隆起部の形状が前記エンジン軸方向に延びた流線形状を呈してあって、前記隆起部の頂部分が前記いずれかの部材の表面上に位置するようになっているため、前述の新規な知見を適用又は類推適用すると、前記航空機エンジンの稼動中、前記バイパス流路内の流れ場における剥離領域を十分に低減することができる。
【0017】
本発明の第2の
態様は、コアジェットとバイパスジェットを排気することにより、エンジン推力を発生させる航空機エンジンにおいて、第1の特徴からなるエンジンダクトを備えたこと
である。
【0018】
第2の
態様によると、第1の
態様による作用と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前記航空機エンジンの稼動中、前記バイパス流路内の流れ場における剥離領域を十分に低減できるため、前記バイパス流路内の推力ロスを低減して、前記航空機エンジンのエンジン性能を高いレベルまで向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る航空機エンジンの側断面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1における矢視部IIAの拡大図、
図2(b)は、
図2(a)におけるIIB-IIB線に沿った図である。
【
図3】
図3は、
図1におけるIII-III線に沿った拡大図である。
【
図4】
図4は、発明例及び比較例に係るエンジンダクトのバイパス流路内におけるエンジン軸方向の位置と推力ロスとの関係を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、発明例に係る隆起部の周辺を示す斜視図、
図5(b)は、発明例に係る隆起部の周辺を径方向内側から見た図である。
【
図6】
図6(a)は、従来例に係るエンジンダクトのバイパス流路内の流れ場の剥離領域を示す図、
図6(b)は、発明例に係るエンジンダクトのバイパス流路内の流れ場の剥離領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態の内容について
図1から
図4を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向(上流方向)、「FR」は、後方向(下流方向)、「L」は、左方向、「R」は、右方向をそれぞれ指してある。
【0022】
図1及び
図3に示すように、本発明の実施形態に係る航空機エンジン1は、航空機(図示省略)に取付けられ、コアジェットCJとバイパスジェットBJを排気することにより、エンジン推力を発生させるものである。そして、本発明の実施形態に係る航空機エンジン1の全体的な構成は、次のようになる。
【0023】
航空機エンジン1は、空気を取入れてコアジェットCJ及びバイパスジェットBJを排気するエンジンダクト3を主要な構成要素として具備しており、このエンジンダクト3は、筒状のコアカウル(エンジン内筒)5を具備しており、このコアカウル5の内部(内側)には、空気を取入れてコアジェットCJを後方向(下流方向)へ排気するための環状のコア流路7が形成されている。また、コアカウル5の外側には、筒状のナセル(エンジン外筒)9がコアカウル5を囲むように設けられており、ナセル9の内周壁面9pとコアカウル5の外周壁面(外周面)5pとの間には、空気を取入れてバイパスジェットBJを後方向へ排気するための環状のバイパス流路11が形成されている。更に、コアカウル5の外周壁面5pとナセル9の内周壁面9pとの間には、コアカウル5に対してナセル9を支持する構造部材としての複数のストラット13が円周方向に間隔を置いて配設されており、各ストラット13のコード方向(前縁と後縁を結ぶ方向)は、エンジン軸方向(前後方向又はエンジン軸心SC方向)に平行になっている。
【0024】
コアカウル5の上部からナセル9の上部にかけて、エンジン軸方向に平行に延びたメインパイロンとしてのトップパイロン15が一体的に連結されており、このトップパイロン15は、ナセル9から上方向(径方向外側)へ突出してあって、航空機に対する取付及びエンジン推力の伝達のために用いられるものである。また、トップパイロン15は、燃料供給用配管(図示省略)、潤滑油供給用配管(図示省略)、客室抽気用配管(図示省略)、及び冷却空気抽気用配管(図示省略)等の配管等を収容する機能を有している。
【0025】
コアカウル5の外周壁面5pの下部(下側部分)とナセル9の内周壁面9pの下部(下側部分)との間には、サブパイロンとしてのボトムパイロン17がエンジン軸心(コアカウル5の軸心)SCに対してトップパイロン15と対称に設けられており、このボトムパイロン17は、円周方向に隣接するストラット13の間に位置してあって、ボトムパイロン17の軸心方向は、エンジン軸方向に平行になっている。また、ボトムパイロン17は、コアカウル5に対してナセル9を支持する構造部材としての機能及び燃料供給用配管(図示省略)等の配管等を収容する機能を有している。
【0026】
コアカウル5の外周壁面5pとナセル9の内周壁面9pとの間におけるストラット13の上流側には、バイパス流路11に取入れた空気を軸流に整流する複数のファン出口案内翼19が円周方向に間隔を置いて配設されている。
【0027】
続いて、航空機エンジン1の構成のうち、エンジンダクト3以外の構成について簡単に説明する。
【0028】
図1に示すように、コアカウル5の前部には、コア流路7及びバイパス流路11に空気を圧縮して取入れるファン(ファンロータ)21がエンジン軸心SC周りに回転可能に設けられている。また、コアカウル5の内部におけるファン21の下流側(後側)には、コア流路7内に圧縮して取入れた圧縮空気(空気)を低圧圧縮する低圧圧縮機23が設けられている。更に、コアカウル5の内部における低圧圧縮機23の下流側には、低圧圧縮された圧縮空気を高圧圧縮する高圧圧縮機25が設けられている。そして、コアカウル5の内部における高圧圧縮機25の下流側には、圧縮空気中で燃料を燃焼させる燃焼器27が設けられている。
【0029】
コアカウル5の内部における燃焼器27の下流側には、高圧タービン29が設けられており、この高圧タービン29は、燃焼器27からの燃焼ガスの膨張によって駆動すると共に高圧圧縮機25を連動して駆動させるものである。また、コアカウル5の内部における高圧タービン29の下流側には、低圧タービン31が設けられており、この低圧タービン31は、燃焼ガスの膨張によって駆動する共にファン21及び低圧圧縮機23を連動して駆動させるものである。
【0030】
なお、ファン21、低圧圧縮機23、高圧圧縮機25、高圧タービン29、及び低圧タービン31は、複数の動翼(ファン動翼、低圧圧縮機動翼、高圧圧縮機動翼、高圧タービン動翼、及び低圧タービン動翼)を備えている。また、低圧圧縮機23、高圧圧縮機25、高圧タービン29、及び低圧タービン31は、複数の静翼(低圧圧縮機静翼、高圧圧縮機静翼、高圧タービン静翼、及び低圧タービン静翼)を備えている。なお、図中において、ファン21、低圧圧縮機23、高圧圧縮機25、高圧タービン29、及び低圧タービン31における動翼は、ハッチングを施してある。
【0031】
続いて、本発明の実施形態に係るエンジンダクト3の特徴部分について説明する。
【0032】
図1から
図3に示すように、ナセル9の内周壁面9pには、径方向内側へ隆起した隆起部33がボトムパイロン17の円周方向の両側面17f,17sの前縁17a側から下流側に向かって形成されている。また、径方向内側から見た隆起部33の形状は、エンジン軸方向に平行に延びた流線形状を呈してあって、隆起部33の中央の頂部分33hは、ボトムパイロン17の後縁17t上に位置するようになっている。
【0033】
なお、隆起部33の中央の頂部分33hがボトムパイロン17の後縁17t上に位置する代わりに、ボトムパイロン17の円周方向の側面17f又は17s上に位置するようにしても構わない。また、隆起部33が左右対称形状でなくても構わなく、
図2(a)に示すように、隆起部33の側方から見ると、隆起部33の頂部分33hからナセル9の内周壁面9pにかけて直線状に繋がっているが、流線状に繋がっていても構わない。
【0034】
コアカウル5の外周壁面5pに径方向外側に隆起した別の隆起部35がボトムパイロン17の円周方向の両側面17f,17sの前縁17a側から下流側に向かって形成されるようにしても構わない。この場合には、径方向外側から見た別の隆起部35の形状は、エンジン軸方向に平行に延びた流線形状を呈してあって、別の隆起部35の中央の頂部分35hは、ボトムパイロン17の表面(後縁17tを含む)上に位置することになる。
【0035】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0036】
適宜のスタータ装置(図示省略)の作動によって高圧圧縮機25を駆動して、燃焼器27によって圧縮空気の中で燃料を燃焼させることにより、燃焼ガスの膨張によって高圧タービン29及び低圧タービン31を駆動させると共に、高圧タービン29によって高圧圧縮機25を連動して駆動させて、低圧タービン31によってファン21及び低圧圧縮機23を連動して駆動させる。そして、前述のような一連の動作(ファン21の駆動、低圧圧縮機23の駆動、高圧圧縮機25の駆動、燃焼器27による燃焼、高圧タービン29の駆動、低圧タービン31の駆動)が連続して行われることにより、航空機エンジン1を適切に稼動させて、コア流路7及びバイパス流路11からコアジェットCJ及びバイパスジェットBJをそれぞれ排気することができ、航空機エンジン1のエンジン推力を発生させることができる。
【0037】
前述の航空機エンジン1の一般的な作用の他に、ナセル9の内周壁面に径方向内側へ隆起した隆起部33がボトムパイロン17の円周方向の両側面17f,17sの前縁17a側から下流側に向かって形成され、径方向内側から見た隆起部33の形状がエンジン軸方向に平行に延びた流線形状を呈してあって、隆起部33の中央の頂部分33hがボトムパイロン17の後縁17t上に位置しているため、前述の新規な知見を適用すると、航空機エンジン1の稼動中、バイパス流路11内の流れ場における剥離領域を十分に低減することができる。特に、コアカウル5の外周壁面5pに径方向外側に隆起した別の隆起部35がボトムパイロン17の円周方向の両側面17f,17sの前縁17a側から下流側に向かって形成された場合には、バイパス流路11内の流れ場における剥離領域をより十分に低減することができる。
【0038】
従って、本発明の実施形態によれば、航空機エンジン1の稼動中、バイパス流路11内の流れ場における剥離領域を十分に低減できるため、バイパス流路11内の推力ロスを低減して、航空機エンジン1のエンジン性能を高いレベルまで向上させることができる。特に、
図4に示すように、バイパス流路内におけるエンジン軸方向の位置と推力ロスとの関係についての3次元非定常粘性CFD解析結果によれば、従来例に係るエンジンダクトの場合に比べて、発明例に係るエンジンダクト(本発明の実施形態に係るエンジンダクト3)の場合の方がバイパス流路の出口位置の推力ロスを十分に低減できるが確認できた。なお、この3次元非定常粘性CFD解析においては、発明例及び従来例に係るエンジンダクトのバイパス流路内におけるボトムパイロンの前縁位置の推力ロスをゼロとしている。
【0039】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、次のように種々の態様で実施可能である。
【0040】
ナセル9の内周壁面9p又はコアカウル5の外周壁面5pに径方向内側又は径方向外側へ隆起したストラット側隆起部(図示省略)が各ストラット13の円周方向の両側面側から下流側に向かって形成されるようにしても構わない。この場合には、径方向内側又は径方向外側から見た各ストラット側隆起部の形状がエンジン軸方向へ延びた流線形状を呈してあって、各ストラット側隆起部の頂部分がストラットの表面(後縁を含む)上に位置するようになっている。
【0041】
ナセル9の内周壁面9p又はコアカウル5の外周壁面5pに径方向内側又は径方向外側へ隆起した案内翼側隆起部(図示省略)が各ファン出口案内翼19の円周方向の両側面側から下流側に向かって形成されるようにしても構わない。この場合には、径方向内側又は径方向外側から見た各案内翼側隆起部の形状がエンジン軸方向へ延びた流線形状を呈してあって、各案内翼側隆起部の頂部分がファン出口案内翼の表面(後縁を含む)上に位置するようになっている。
【0042】
コアカウル5の上部からナセル9の上部にかけてトップパイロン15が一体的に連結される代わりに、コアカウル5の左部(又は右部)からナセル9の左部(又は右部)にかけてメインパイロンとしてのメインサイドパイロン(図示省略)が一体的に連結されるようにしても構わない。この場合には、コアカウル5の外周壁面5pの下部とナセル9の内周壁面9pの下部との間にボトムパイロン17が設けられる代わりに、コアカウル5の外周壁面5pの右部(又は左部)とナセル9の内周壁面9pの右部(又は左部)との間にサブパイロンとしてのサブサイドパイロン(図示省略)がエンジン軸心SCに対してメインサイドパイロンと対称に設けられることになる。
【0043】
また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0044】
BJ バイパスジェット
CJ コアジェット
1 航空機エンジン
3 エンジンダクト
5 コアカウル
5p コアカウルの外周壁面
7 コア流路
9 ナセル
9p ナセルの内周壁面
11 バイパス流路
13 ストラット
15 トップパイロン
17 ボトムパイロン
17a ボトムパイロンの前縁
17f ボトムパイロンの側面
17s ボトムパイロンの側面
17t ボトムパイロンの後縁
19 ファン出口案内翼
33 隆起部
33h 隆起部の頂部分
35 別の隆起部
35h 別の隆起部の頂部分