(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正値選択部は、前記補正値記憶部に記憶される複数の補正値のうちから、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比と同じアスペクト比に対応した補正値、または、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比との差があらかじめ定められた範囲内であるアスペクト比に対応した補正値を選択し、また、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比に応じて選択する補正値が存在しない場合には、あらかじめ定められた補正値を選択する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の技術に係るプロジェクターにおけるスクリーン枠に対する自動的な画像の補正機能では、画像の補正形状のアスペクト比(あるいは、その基準)として、液晶パネルのアスペクト比などのように、あらかじめ決められた固定のアスペクト比を用いている。
このため、入力映像のアスペクト比とは異なるアスペクト比で投写映像が投写されてしまい、映像の印象が変化してしまうことがあるといった問題があった。
【0006】
また、スクリーンのアスペクト比と入力映像のアスペクト比が共にプロジェクターの固定のアスペクト比(パネルのアスペクト比)よりも縦長である場合には、スクリーンと映像の補正形状との間には上下に隙間ができ、映像の補正形状と投写映像との間には左右に隙間ができるため、投写映像の上下左右に大きな隙間ができてしまい、投写映像が小さくなってしまう。
逆に、プロジェクターの固定のアスペクト比(パネルのアスペクト比)の方がスクリーンのアスペクト比と入力映像のアスペクト比よりも縦長である場合にも、同様に、投写映像の上下左右に大きな隙間ができてしまい、投写映像が小さくなってしまう。
【0007】
図6(A)は、スクリーンと入力映像の方がプロジェクター(パネル)よりも縦長である場合の様子を示す図である。このようなことは、例えば、スクリーンと入力映像とプロジェクターをセットで有するユーザーがプロジェクターのみを買い替えた場合などに生じ得る。
この例では、スクリーンのアスペクト比および入力映像のアスペクト比が4:3(横×縦)であり、プロジェクターのアスペクト比が16:9(横×縦)である。
図6(A)には、スクリーン枠501と、映像の補正形状502と、投写映像503の例を示してある。スクリーン枠501に対して投写映像503の上下左右に隙間ができている。
【0008】
図6(B)は、プロジェクター(パネル)の方がスクリーンと入力映像よりも縦長である場合の様子を示す図である。このようなことは、例えば、スクリーンと入力映像とプロジェクターをセットで有するユーザーがスクリーンと入力映像(入力映像を発する装置)を買い替えた場合などに生じ得る。
この例では、スクリーンのアスペクト比および入力映像のアスペクト比が16:9(横×縦)であり、プロジェクターのアスペクト比が4:3(横×縦)である。
図6(B)には、スクリーン枠511と、映像の補正形状512と、投写映像513の例を示してある。スクリーン枠511に対して投写映像513の上下左右に隙間ができている。
【0009】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、効果的な画像の補正形状を実現することができる画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、画像が入力される画像入力部と、前記画像入力部に入力される画像のアスペクト比を判定する縦横比判定部と、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に補正を行う補正部と、前記補正部により補正が行われた画像を投写する投写部と、を備えることを特徴とする画像表示装置である。
【0011】
この構成により、縦横比判定部は入力画像のアスペクト比を判定し、補正部は判定された入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように入力画像に補正を行う。これにより、画像表示装置は、入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する補正形状を生成することができ、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0012】
また、本発明は、あらかじめ定められたパターンを記憶するパターン記憶部と、前記投写部により投写された前記パターン記憶部に記憶された前記パターンの画像と投写対象物の画像を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された画像に基づいて前記パターンの画像に対応する投写パネルの画像と前記投写対象物の画像との相対的な位置関係を検出する画像解析部と、を備え、前記補正部は、前記画像解析部による検出結果に基づいて、前記補正を行う、ことを特徴とする画像表示装置である。
【0013】
この構成により、画像解析部はあらかじめ定められたパターンの画像に対応する投写パネルの画像と投写対象物の画像との相対的な位置関係を検出し、補正部は当該検出結果に基づいて補正を行う。これにより、画像表示装置は、投写パネルの画像と投写対象物の画像との相対的な位置関係に基づいて補正形状を生成することができ、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0014】
また、本発明は、前記補正部は、前記投写対象物の枠に対して補正後の画像の縦または横の少なくとも一方が最大となるように、前記補正を行う、ことを特徴とする画像表示装置である。
【0015】
この構成により、補正部は、投写対象物の枠に対して補正後の画像の縦または横の少なくとも一方が最大となるように補正を行う。これにより、画像表示装置は、投写対象物の枠を最大に利用した補正形状を生成することができ、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0016】
また、本発明は、前記補正部は、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比と同じアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に歪み補正を行うための補正値を算出する補正値算出部と、前記補正値算出部により算出された補正値を用いて前記画像入力部に入力された画像に歪み補正を行う歪み補正部と、を含む、ことを特徴とする画像表示装置である。
【0017】
この構成により、補正部では、補正値算出部が補正値を算出し、歪み補正部が算出された補正値を用いて入力画像に歪み補正を行う。これにより、画像表示装置は、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0018】
また、本発明は、前記補正部は、複数の異なるアスペクト比のそれぞれについてそのアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に歪み補正を行うための補正値を算出する補正値算出部と、前記補正値算出部により算出された前記複数の異なるアスペクト比のそれぞれについての前記補正値を記憶する補正値記憶部と、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比に応じて、前記補正値記憶部に記憶される複数の補正値のうちから補正値を選択する補正値選択部と、前記補正値選択部により選択された補正値を用いて前記画像入力部に入力された画像に歪み補正を行う歪み補正部と、を含む、ことを特徴とする画像表示装置である。
【0019】
この構成により、補正部では、補正値算出部が複数の異なるアスペクト比のそれぞれについて補正値を算出し、補正値記憶部が算出された複数の異なるアスペクト比のそれぞれについての補正値を記憶し、当該記憶された複数の補正値のうちから、補正値選択部が入力画像のアスペクト比に応じて補正値を選択し、歪み補正部が選択された補正値を用いて入力画像に歪み補正を行う。これにより、画像表示装置は、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0020】
また、本発明は、前記補正値選択部は、前記補正値記憶部に記憶される複数の補正値のうちから、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比と同じアスペクト比に対応した補正値、または、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比との差があらかじめ定められた範囲内であるアスペクト比に対応した補正値を選択し、また、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比に応じて選択する補正値が存在しない場合には、あらかじめ定められた補正値を選択する、ことを特徴とする画像表示装置である。
【0021】
この構成により、補正値選択部は、複数の補正値のうちから、入力
画像のアスペクト比と同じまたは近いアスペクト比に対応した補正値を選択し、また、入力
画像のアスペクト比に応じて選択する補正値が存在しない場合には、あらかじめ定められた補正値を選択する。これにより、画像表示装置は、入力画像のアスペクト比に応じて、効果的な画像の補正形状を実現することができ、また、入力画像のアスペクト比に応じた補正値が存在しない場合にも対応することが可能である。
【0022】
また、本発明は、縦横比判定部が、画像入力部に入力される画像のアスペクト比を判定するステップと、補正部が、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に補正を行うステップと、投写部が、前記補正部により補正が行われた画像を投写するステップと、を有することを特徴とする画像表示方法である。
【0023】
この方法により、縦横比判定部は入力画像のアスペクト比を判定し、補正部は判定された入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように入力画像に補正を行う。これにより、画像表示装置は、入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する補正形状を生成することができ、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0024】
また、本発明は、縦横比判定部が、画像入力部に入力される画像のアスペクト比を判定する手順と、補正部が、前記縦横比判定部により判定されたアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に補正を行う手順と、投写部が、前記補正部により補正が行われた画像を投写する手順と、をコンピューターに実行させるための画像表示プログラムである。
【0025】
このプログラムにより、縦横比判定部は入力画像のアスペクト比を判定し、補正部は判定された入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように入力画像に補正を行う。これにより、画像表示装置は、入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する補正形状を生成することができ、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0026】
以上のように、本発明によれば、画像表示装置は、縦横比判定部により入力画像のアスペクト比を判定し、補正部により判定された入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように入力画像に補正を行う。これにより、画像表示装置は、入力画像のアスペクト比に応じたアスペクト比を有する補正形状を生成することができ、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、本願明細書では、「画像」という語と「映像」という語を使用し、「映像」は「画像」の一例であり主に動画像を表す。そして、例えば、動画像(映像)の処理と、当該動画像(当該映像)を構成する静止画像(動画像の画像フレーム)の処理とは、置換が可能であれば、置き換えられてもよい。
以下の実施形態では、「映像」を入力して投写するプロジェクターを例として説明するが、例えば、静止画像を入力して投写するプロジェクターに適用することも可能である。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像処理システムは、プロジェクター1と、投写対象物の一例であるスクリーン2を備える。プロジェクター1側のスクリーン2の面が映像の投写面となる。
プロジェクター1は、映像入力部11と、歪み補正部12と、パターン記憶部13と、投写部14と、縦横比判定部15と、撮影部16と、画像解析部17と、補正値算出部18を備える。
本実施形態では、補正値算出部18と、歪み補正部12を含んで、補正部21が構成される。
【0030】
本実施形態に係るプロジェクター1において行われる動作の例を示す。
映像入力部11は、外部の装置から投写対象となる映像が入力され、入力された映像(入力映像)を歪み補正部12および縦横比判定部15に出力する。映像入力部11は、例えば、アナログの映像信号が入力されてそれをデジタルの映像信号へ変換して出力するA/D(Analog to Digital)コンバーターを用いて構成される。
ここで、映像入力部11へ映像を入力する元となる外部の装置としては、様々なものが用いられてもよく、例えば、映像を撮影して出力する撮影装置(カメラ)、映像を再生して出力する映像再生装置あるいはパーソナルコンピュータ(PC)、映像を記憶しており出力する映像記憶装置(記憶媒体)などを用いることができる。
【0031】
歪み補正部12は、補正値算出部18から入力される補正値を用いて、映像入力部11から入力される入力映像に対して補正(歪み補正)を行い、補正後の映像を投写部14に出力する。歪み補正部12は、例えば、イメージプロセッサを用いて構成される。
ここで、歪み補正部12が入力映像に対して行う補正の処理の内容は、例えば、補正値算出部18から入力される補正値をパラメーターとして用いる点以外については、あらかじめ定められている。この補正の処理としては、例えば、幾何学的な計算を使用する公知の様々な技術などを用いることができ、具体例として、入力映像の位置(例えば、矩形の4隅の座標の位置)に対して、補正値算出部18から入力される補正値に基づく変換値または変換式を使用して、映像の補正形状の位置(例えば、矩形の4隅の座標の位置)を算出する処理を用いることができる。
【0032】
この変換値としては、入力映像の位置を映像の補正形状の位置へ変換するために乗算(または、他の演算)を行う値などを用いることができ、本実施形態では、補正値算出部18から入力される補正値をパラメーターとして決定される。
また、この変換式としては、入力映像の位置を映像の補正形状の位置へ変換する式を用いることができ、本実施形態では、補正値算出部18から入力される補正値をパラメーターとして決定される。
なお、このような変換値または変換式は、変換対象となる映像の全体について共通であってもよく、または、変換対象となる映像の部分などに応じて異なってもよい。
【0033】
パターン記憶部13は、あらかじめ定められたパターン(測定パターン)の映像を記憶する。パターン記憶部13は、例えば、映像の情報を記憶するROM(Read Only Memory)などを用いて構成される。
ここで、測定パターンの映像としては、様々な映像が用いられてもよく、一例として、全体が真白である映像を用いることができ、他の一例として、真っ白な中に白以外の所定の部分があるような映像を用いることができる。
【0034】
投写部14は、歪み補正部12から入力される補正後の映像と、パターン記憶部13から読み出される測定パターンの映像とで、投写対象を切り替える機能を有しており、投写対象として切り替えた方の映像を投写する。本実施形態では、投写部14により投写される映像は、スクリーン2の投写面(および、はみ出す部分の映像はスクリーン2の投写面の周囲)に写される。投写部14は、例えば、パネル(例えば、液晶パネルなどの投写パネル)、ランプ(光源)、レンズなどを用いて構成される。パネル(変調装置)は、例えば、DMDでもよい。
また、投写部14は、パターン記憶部13から読み出される測定パターンの映像を投写対象として切り替えて投写する場合に、パネルの全面に測定パターンの映像を写す。これにより、投写される測定パターンの映像が、パネルの像と一致する。
【0035】
撮影部16は、スクリーン2の投写面およびスクリーン2の投写面に対して投写された映像を撮影して、撮影した映像を画像解析部17に出力する。撮影部16は、例えば、イメージセンサなどを使用して、映像を撮影して出力する撮影装置(カメラ)などを用いて構成される。
ここで、本実施形態では、撮影部16は、例えば、スクリーン2の投写面および投写部14によりスクリーン2の投写面に対して投写される測定パターンの映像を撮影する。
【0036】
画像解析部17は、撮影部16から入力される撮影された映像(例えば、その映像を構成する静止画像)を解析して、その映像に基づいて、その映像に写る測定パターン(測定パターンの映像(例えば、その映像を構成する静止画像))を検出し、その映像に写るスクリーン2の投写面の枠(スクリーン枠)を検出し、このような検出結果の情報を補正値算出部18に出力する。なお、画像解析部17は、必要に応じて、あらかじめ定められた他の対象を撮影された映像に基づいて検出してもよい。画像解析部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを用いて構成される。
【0037】
なお、本実施形態では、撮影部16により映像を撮影する構成としたが、他の構成例として、撮影部16により静止画像を撮影して、撮影した静止画像を画像解析部17に出力し、そして、画像解析部17により当該静止画像を解析する構成が用いられてもよい。
【0038】
このような処理により、画像解析部17は、測定パターンに相当するプロジェクター1のパネル(投写部14のパネル)と、スクリーン枠に関して、パネルの像とスクリーン枠の像との相対位置の関係を検出することができ、例えば、パネルの像においてスクリーン枠の像が存在する位置を検出することができる。具体例として、画像解析部17は、パネルの像の4隅の位置と、スクリーン枠の像の4隅の位置との、相対関係を検出することができる。
【0039】
ここで、例えば、プロジェクター1にズーム機能を備えて、このようなズーム機能の調整により、パネルの像に対するスクリーン枠の像の相対的な位置や大きさを変化させることが可能な構成としてもよい。具体例として、ズーム機能の調整により、パネルの像に対して、スクリーン枠の像を、相対的に、大きくすることまたは小さくすることができる。
なお、このようなズーム機能の調整は、例えば、装置(この例では、プロジェクター1)により自動的に行われてもよく、または、ユーザーにより手動で行われてもよい。
また、ズーム機能は、例えば、投写部14に備えられ、または、歪み補正部12などに備えられてもよい。
【0040】
縦横比判定部15は、映像入力部11から入力される入力映像の縦横比であるアスペクト比(=縦辺の長さ/横辺の長さ。本願では、横×縦の割合でも示す。)を判定し、その判定結果の情報を補正値算出部18に出力する。縦横比判定部15は、例えば、CPUなどを用いて構成される。
【0041】
補正値算出部18は、画像解析部17から入力される検出結果(測定パターンやスクリーン枠の検出結果)の情報と、縦横比判定部15から入力されるアスペクト比の判定結果の情報に基づいて、歪み補正部12において行われる入力映像に対する歪み補正の処理で使用すべき補正値(歪み補正値)を算出し、算出した補正値を歪み補正部12に出力する。補正値算出部18は、例えば、CPUなどを用いて構成される。
【0042】
本実施形態では、補正値算出部18は、入力映像のアスペクト比に応じて歪み補正の補正値を算出し、具体的には、例えば、入力映像のアスペクト比と同じ(一致する)アスペクト比を有する補正形状を生成する補正値を算出する。
また、さらに好ましい形態として、補正値算出部18は、スクリーン枠の中に納まり可能な範囲で最大となる補正形状を生成する補正値を算出し、具体的には、例えば、入力映像のアスペクト比と同じアスペクト比を有する補正形状であって、縦方向の長さまたは横方向の長さの一方がスクリーン枠の該当する長さ(縦方向の長さまたは横方向の長さの一方)と同じで、且つ、縦方向の長さまたは横方向の長さの他方がスクリーン枠の該当する長さ(縦方向の長さまたは横方向の長さの他方)以下となる補正形状を生成する補正値を算出する。
【0043】
なお、入力映像のアスペクト比と同じアスペクト比を有する補正形状の代わりに、入力映像のアスペクト比と近似するアスペクト比を有する補正形状が用いられてもよく、例えば、入力映像のアスペクト比に対して所定の範囲(例えば、小さい範囲)で異なるまたは所定の値(例えば、小さい値)だけ異なるアスペクト比を有する補正形状が用いられてもよい。
一例として、まず、映像入力部11に入力された入力映像のアスペクト比を縦横比判定部15により判定し、次いで、補正値算出部18は、判定されたアスペクト比を補正形状の目標となるアスペクト比として、それ以降の処理として公知の技術(補正形状の目標となるアスペクト比に基づいて、歪み補正の補正値を算出する任意の技術)と同様な処理を実行して、補正値を算出する。
【0044】
また、補正形状の縦方向の長さまたは横方向の長さがスクリーン枠の該当する長さ(縦方向の長さまたは横方向の長さ)と同じである態様の代わりに、補正形状の縦方向の長さまたは横方向の長さがスクリーン枠の該当する長さ(縦方向の長さまたは横方向の長さ)と近似する態様が用いられてもよく、例えば、補正形状の縦方向の長さまたは横方向の長さが、スクリーン枠の該当する長さ(縦方向の長さまたは横方向の長さ)に対して、所定の範囲(例えば、小さい範囲)で異なるまたは所定の値(例えば、小さい値)だけ異なる態様が用いられてもよい。
【0045】
また、補正値算出部18は、算出した補正値を記憶する記憶部(例えば、メモリ)を備える。なお、このような記憶部は、他の構成例として、補正値算出部18と歪み補正部12との間に備えられてもよく、この場合、補正値算出部18が算出した補正値をこの記憶部に記憶し、歪み補正部12がこの記憶部に記憶された補正値を読み出して使用する。
このような記憶部を備えることにより、補正値算出部18により算出した補正値を、歪み補正部12により複数回繰り返して使用することが可能となる。
【0046】
ここで、本実施形態では、画像解析部17と、縦横比判定部15と、補正値算出部18は、共通のCPUを用いて構成されてもよい。また、本実施形態では、このようなCPUを用いて、プロジェクター1における全体の処理の制御を行う制御部の機能を実現してもよい。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態に係るプロジェクター1により行われる処理(自動スクリーン枠補正の処理)の手順の一例を示す図である。
なお、この例で示す処理の手順は一例であり、同様な結果を得ることができれば、他の処理の順序の手順が用いられてもよい。
【0048】
プロジェクター1では、縦横比判定部15が、映像入力部11から入力された入力映像のアスペクト比を判定する(ステップS1)。
また、投写部14が、パターン記憶部13に記憶された測定パターンの映像を投写する(ステップS2)。
撮影部16が、投写された測定パターンとスクリーン2の投写面を撮影する(ステップS3)。
【0049】
画像解析部17が、撮影映像(撮影画像)に基づいて、測定パターンを検出し(ステップS4)、スクリーン枠を検出する(ステップS5)。
補正値算出部18が、縦横比判定部15により判定されたアスペクト比と、画像解析部17により検出された測定パターンおよびスクリーン枠に基づいて、歪み補正のための補正値(歪み補正値)を算出する(ステップS6)。
投写部14は、歪み補正部12から入力される補正後の映像を投写対象とするように切り替えて、当該補正後の映像を投写する(ステップS7)。これにより、補正後の入力映像がスクリーン2の投写面に写される。
【0050】
図3(A)〜
図3(D)を参照して、歪み補正部12により行われる補正(歪み補正)の処理の内容について説明する。
これらの例では、スクリーン2のアスペクト比が4:3(横×縦)と16:10(横×縦)の中間にある場合を示し、入力映像のアスペクト比に応じて補正形状が決定される。
また、これらの例では、パネル(その像)101とスクリーン枠(パネル101の像に対応した面における像)102の相対的な位置関係は同じであり、映像の補正形状(パネル101の像およびスクリーン枠102の像に対応した面における像)111〜114が入力映像のアスペクト比に応じて異なる。
【0051】
図3(A)は、映像の補正形状のアスペクト比が5:4(横×縦)である場合の様子を示す図である。本実施形態では、入力映像のアスペクト比が5:4(横×縦)である場合である。
図3(A)には、パネル(その像)101と、スクリーン枠(パネル101の像に対応した面における像)102と、歪み補正の補正値により実現する映像の補正形状(パネル101の像およびスクリーン枠102の像に対応した面における像)111を示してある。これにより、パネル101を基準とした座標上における、当該パネル101の面の中に納まったスクリーン枠102の位置(座標)と、当該スクリーン枠102の中に納まった補正形状111の位置(座標)の関係が示される。
この例では、スクリーン枠102に対して、補正形状111の縦方向(上辺と下辺)が一致しており、補正形状111の横方向(左辺と右辺)はより小さく(狭く)なっている。
【0052】
図3(B)は、映像の補正形状のアスペクト比が4:3(横×縦)である場合の様子を示す図である。本実施形態では、入力映像のアスペクト比が4:3(横×縦)である場合である。
図3(B)には、パネル(その像)101と、スクリーン枠(パネル101の像に対応した面における像)102と、歪み補正の補正値により実現する映像の補正形状(パネル101の像およびスクリーン枠102の像に対応した面における像)112を示してある。これにより、パネル101を基準とした座標上における、当該パネル101の面の中に納まったスクリーン枠102の位置(座標)と、当該スクリーン枠102の中に納まった補正形状112の位置(座標)の関係が示される。
この例では、スクリーン枠102に対して、補正形状112の縦方向(上辺と下辺)が一致しており、補正形状112の横方向(左辺と右辺)はより小さく(狭く)なっている。
【0053】
図3(C)は、映像の補正形状のアスペクト比が16:10(横×縦)である場合の様子を示す図である。本実施形態では、入力映像のアスペクト比が16:10(横×縦)である場合である。
図3(C)には、パネル(その像)101と、スクリーン枠(パネル101の像に対応した面における像)102と、歪み補正の補正値により実現する映像の補正形状(パネル101の像およびスクリーン枠102の像に対応した面における像)113を示してある。これにより、パネル101を基準とした座標上における、当該パネル101の面の中に納まったスクリーン枠102の位置(座標)と、当該スクリーン枠102の中に納まった補正形状113の位置(座標)の関係が示される。
この例では、スクリーン枠102に対して、補正形状113の横方向(左辺と右辺)が一致しており、補正形状113の縦方向(上辺と下辺)はより小さく(狭く)なっている。
【0054】
図3(D)は、映像の補正形状のアスペクト比が16:9(横×縦)である場合の様子を示す図である。本実施形態では、入力映像のアスペクト比が16:9(横×縦)である場合である。
図3(D)には、パネル(その像)101と、スクリーン枠(パネル101の像に対応した面における像)102と、歪み補正の補正値により実現する映像の補正形状(パネル101の像およびスクリーン枠102の像に対応した面における像)114を示してある。これにより、パネル101を基準とした座標上における、当該パネル101の面の中に納まったスクリーン枠102の位置(座標)と、当該スクリーン枠102の中に納まった補正形状114の位置(座標)の関係が示される。
この例では、スクリーン枠102に対して、補正形状114の横方向(左辺と右辺)が一致しており、補正形状114の縦方向(上辺と下辺)はより小さく(狭く)なっている。
【0055】
図3(A)〜
図3(D)に示される補正形状111〜114に従って入力映像に歪み補正を行うことで、入力映像のアスペクト比を保ちながら、かつ、スクリーン2に対して可能な範囲で最大の大きさで映像を表示することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る画像処理システムにおけるプロジェクター1では、映像の補正形状について目標となるアスペクト比を固定とせずに、歪み補正を実行する時点における入力映像のアスペクト比を補正形状の目標のアスペクト比とする。
したがって、本実施形態に係るプロジェクター1によると、入力映像のアスペクト比を保ったまま、映像を投写することができる。
また、本実施形態に係るプロジェクター1によると、さらに、入力映像のアスペクト比を保ったまま、スクリーン2に収まる最大の大きさで映像を投写するための補正形状を生成することで、入力映像のアスペクト比を保ったまま、スクリーン2に収まる最大の大きさで映像を投写することができる。
このように、本実施形態に係るプロジェクター1によると、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0057】
ここで、本実施形態に係るプロジェクター1は、例えば、いったん設置されると、そのまま設置位置が固定されて、会議などの一定の時間、使用される。このとき、本実施形態に係るプロジェクター1では、例えばユーザーの操作によりまたは装置により自動的に、入力映像が切り替えられて、入力映像のアスペクト比が変化すると、縦横比判定部15によりそれ(現時点における入力映像のアスペクト比)が判定され、その判定結果に応じて、補正値算出部18により補正値が算出される。このように、本実施形態に係るプロジェクター1では、入力映像のアスペクト比が変化するたびに、補正値を算出し直してもよい。なお、このような場合に、プロジェクター1およびスクリーン2の設置位置が固定されていると、測定パターンを投写する処理(パネルとスクリーン枠との相対的な位置関係を検出する処理)は、最初の1回だけ行われればよく、以降は、最初の1回の検出結果を利用することが可能である。
【0058】
一構成例として、画像表示装置(本実施形態では、プロジェクター1)では、画像(本実施形態では、映像)が入力される画像入力部(本実施形態では、映像入力部11)と、前記画像入力部に入力される画像のアスペクト比を判定する縦横比判定部15と、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に補正を行う補正部(本実施形態では、補正値算出部18および歪み補正部12)と、前記補正部により補正が行われた画像を投写する投写部14と、を備える。
【0059】
一構成例として、画像表示装置では、あらかじめ定められたパターン(本実施形態では、測定パターン)を記憶するパターン記憶部13と、前記投写部14により投写された前記パターン記憶部13に記憶された前記パターンの画像と投写対象物(本実施形態では、スクリーン2)の画像を撮影する撮影部16と、前記撮影部16により撮影された画像に基づいて前記パターンの画像に対応する投写パネルの画像と前記投写対象物の画像との相対的な位置関係を検出する画像解析部17と、を備え、前記補正部は、前記画像解析部17による検出結果に基づいて、前記補正を行う。
【0060】
一構成例として、画像表示装置では、前記補正部は、前記投写対象物の枠に対して補正後の画像の縦または横の少なくとも一方が最大となるように、前記補正を行う。
【0061】
一構成例として、画像表示装置では、前記補正部は、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比と同じアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に歪み補正を行うための補正値を算出する補正値算出部18と、前記補正値算出部18により算出された補正値を用いて前記画像入力部に入力された画像に歪み補正を行う歪み補正部12と、を含む。
【0062】
[第2実施形態]
図4は、本発明の一実施形態に係る画像処理システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
本実施形態では、主に、第1実施形態とは異なる点について説明し、第1実施形態の場合と同様な構成部については同一の符号を付して示す。
【0063】
本実施形態に係る画像処理システムは、プロジェクター51と、スクリーン2を備える。プロジェクター51側のスクリーン2の面が映像の投写面となる。
プロジェクター51は、映像入力部11と、歪み補正部12と、パターン記憶部13と、投写部14と、縦横比判定部15と、撮影部16と、画像解析部17と、補正値算出部61と、補正値記憶部/選択部62を備える。
本実施形態では、補正値算出部61と、補正値記憶部/選択部62と、歪み補正部12を含んで、補正部71が構成される。
【0064】
本実施形態に係るプロジェクター51において行われる動作の例を示す。
本実施形態では、第1実施形態とは異なる点として、補正値算出部61と補正値記憶部/選択部62の動作について説明する。
なお、映像入力部11と、歪み補正部12と、パターン記憶部13と、投写部14と、縦横比判定部15と、撮影部16と、画像解析部17により行われる動作は、第1実施形態の場合と同様であるが、本実施形態では、画像解析部17はその検出結果の情報(測定パターンやスクリーン枠の情報)を補正値算出部61に出力し、縦横比判定部15はその判定結果の情報(入力映像のアスペクト比の情報)を補正値記憶部/選択部62に出力する。
【0065】
補正値算出部61は、画像解析部17から入力される検出結果(測定パターンやスクリーン枠の検出結果)の情報と、あらかじめ定められたまたはユーザーの操作により指定された複数種類のアスペクト比(複数の異なるアスペクト比)の情報に基づいて、これら複数種類のアスペクト比のそれぞれについて、そのアスペクト比が入力映像のアスペクト比であると仮定して、歪み補正部12において行われる入力映像に対する歪み補正の処理で使用すべき補正値(歪み補正値)を算出し、算出した補正値を補正値記憶部/選択部62に出力する。
なお、補正値算出部61は、(実際の入力映像のアスペクト比ではなく)前記した複数種類のアスペクト比のそれぞれについて補正値を算出する点を除いては、例えば、補正値を算出する方法などについては、第1実施形態の場合と同様である。
また、前記した複数種類のアスペクト比があらかじめ定められる場合には、その情報が補正値算出部61などの記憶部(例えば、メモリ)に記憶されて補正値算出部61により使用される。
【0066】
ここで、前記した複数種類のアスペクト比の数としては、2つ以上の任意の数が用いられてもよい。
また、前記した複数種類のアスペクト比のそれぞれとしては、様々な値が用いられてもよく、例えば、入力映像のアスペクト比として使用されることが予定されている値または予想される値などを用いることができる。
一例として、前記した複数種類のアスペクト比として、5:4(横×縦)、4:3(横×縦)、16:10(横×縦)、16:9(横×縦)などを用いることができる。
【0067】
補正値記憶部/選択部62は、補正値の記憶部(例えば、メモリ)の機能と、補正値の選択部の機能を備える。
補正値記憶部/選択部62の記憶部(補正値記憶部)は、前記した複数種類のアスペクト比のそれぞれについて、補正値算出部61により算出された補正値をアスペクト比と対応付けて記憶する。補正値記憶部/選択部62の記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)を用いて構成される。
【0068】
補正値記憶部/選択部62の選択部(補正値選択部)は、縦横比判定部15から入力されるアスペクト比の判定結果の情報に基づいて、入力映像のアスペクト比に応じて、補正値記憶部/選択部62の記憶部に記憶された複数種類のアスペクト比のそれぞれに対応した補正値のうちから、1種類のアスペクト比に対応した補正値を選択して、選択した補正値を歪み補正部12に出力する。これにより、歪み補正部12は、補正値記憶部/選択部62から入力される補正値を歪み補正の補正値として用いて、入力映像に対して歪み補正を行う。
【0069】
ここで、補正値記憶部/選択部62の選択部が、入力映像のアスペクト比に応じて、補正値記憶部/選択部62の記憶部に記憶された複数種類のアスペクト比のそれぞれに対応した補正値のうちから、1種類のアスペクト比に対応した補正値を選択する方法としては、様々な方法が用いられてもよく、例えば、前記した複数種類のアスペクト比のうちで入力映像のアスペクト比に最も近い(同じでもよい)アスペクト比に対応した補正値を選択することができる。
【0070】
また、他の構成例として、補正値記憶部/選択部62の選択部が、入力映像のアスペクト比に応じて、補正値記憶部/選択部62の記憶部に記憶された複数種類のアスペクト比のそれぞれに対応した補正値のうちから、1種類のアスペクト比に対応した補正値を選択する方法として、例えば、前記した複数種類のアスペクト比のうちで、入力映像のアスペクト比との差があらかじめ定められた範囲内であるアスペクト比であり、且つそのようなアスペクト比が2種類以上あるときには、入力映像のアスペクト比に最も近い(同じでもよい)アスペクト比に対応した補正値を選択することができる。このような構成では、補正値記憶部/選択部62の選択部は、例えば、前記した複数種類のアスペクト比のうちで、入力映像のアスペクト比との差があらかじめ定められた範囲内であるアスペクト比がない場合には、この場合に使用すべきことがあらかじめ定められたアスペクト比(入力映像のアスペクト比に応じなくてもよい)に対応した補正値を選択することができる。このようなあらかじめ定められたアスペクト比としては、例えば、従来の技術で使用されているような固定のアスペクト比(例えば、プロジェクター51の投写部14のパネルのアスペクト比など)を用いることができ、この固定のアスペクト比に対応した補正値が補正値記憶部/選択部62の記憶部により記憶されて選択部により選択される。
【0071】
図5は、本発明の一実施形態に係るプロジェクター51により行われる処理(自動スクリーン枠補正の処理)の手順の一例を示す図である。
なお、この例で示す処理の手順は一例であり、同様な結果を得ることができれば、他の処理の順序の手順が用いられてもよい。
【0072】
プロジェクター
51では、投写部14が、パターン記憶部13に記憶された測定パターンの映像を投写する(ステップS11)。
撮影部16が、投写された測定パターンとスクリーン2の投写面を撮影する(ステップS12)。
【0073】
画像解析部17が、撮影映像(撮影画像)に基づいて、測定パターンを検出し(ステップS13)、スクリーン枠を検出する(ステップS14)。
補正値算出部61が、画像解析部17により検出された測定パターンおよびスクリーン枠に基づいて、複数のアスペクト比のそれぞれに応じて、歪み補正のための補正値(歪み補正値)を算出する(ステップS15)。これら複数のアスペクト比のそれぞれに応じた補正値は、補正値記憶部/選択部62の記憶部に記憶される。
【0074】
ここで、ここまでのステップS11〜ステップS15の処理は、映像入力部11に映像が入力されているときに行われてもよく、または、映像入力部11に映像が入力されていないときに行われてもよい。
【0075】
その後、映像入力部11に映像が入力されているときに、縦横比判定部15が、映像入力部11から入力された入力映像のアスペクト比を判定する(ステップS16)。
補正値記憶部/選択部62の選択部は、縦横比判定部15により判定された入力映像のアスペクト比に対応した補正値を、補正値記憶部/選択部62の記憶部に記憶された補正値の中から選択して読み出し、読み出した補正値を歪み補正部12に出力する。歪み補正部12は、補正値記憶部/選択部62から入力された補正値を歪み補正の補正値として用いて、入力映像に対して歪み補正を行う。そして、投写部14は、歪み補正部12から入力される補正後の映像を投写する(ステップS17)。これにより、補正後の入力映像がスクリーン2の投写面に写される。
【0076】
ここで、投写部14は、パターン記憶部13に記憶された測定パターンの映像を投写対象として切り替えている状態にあるときに、歪み補正後の入力映像を投写する場合には、歪み補正部12から入力される補正後の映像を投写対象とするように切り替える。
【0077】
その後、縦横比判定部15は、入力映像のアスペクト比が変化したか否かを判定し(ステップS18)、入力映像のアスペクト比が変化していないと判定された場合にはそのまま歪み補正後の入力映像の投写が継続され、一方、入力映像のアスペクト比が変化したと判定された場合には、ステップS16の処理へ移行して、変化後における入力映像のアスペクト比に応じた補正値を用いた歪み補正および当該歪み補正後の入力映像の投写が行われる(ステップS16〜ステップS17)。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る画像処理システムにおけるプロジェクター51では、映像の補正形状について目標となるアスペクト比を固定とせずに、歪み補正を実行する時点における入力映像のアスペクト比を補正形状の目標のアスペクト比とする。
したがって、本実施形態に係るプロジェクター51によると、例えば、入力映像のアスペクト比を保ったまま、または、入力映像のアスペクト比に近いアスペクト比で、映像を投写することができる。
また、本実施形態に係るプロジェクター51によると、さらに、例えば、入力映像のアスペクト比を保ったまま、または、入力映像のアスペクト比に近いアスペクト比で、スクリーン2に収まる最大の大きさで映像を投写するための補正形状を生成することで、入力映像のアスペクト比を保ったまま、または、入力映像のアスペクト比に近いアスペクト比で、スクリーン2に収まる最大の大きさで映像を投写することができる。
このように、本実施形態に係るプロジェクター51によると、効果的な画像の補正形状を実現することができる。
【0079】
具体的には、本実施形態に係るプロジェクター51では、複数のアスペクト比に応じて複数の補正値を算出して記憶しておき、記憶された複数の補正値のうちから、入力映像のアスペクト比に応じて、適した補正値を選択して歪み補正に用い、その後、入力映像のアスペクト比が変化するたびに、変化後の入力映像のアスペクト比に応じて、適した補正値を選択して歪み補正に用いる。
なお、本実施形態に係るプロジェクター51では、例えば、あらかじめ記憶された複数の補正値のうちに、入力映像のアスペクト比に適した補正値がないと判定した場合には、この場合に使用すべきあらかじめ定められた補正値(例えば、あらかじめ定められた固定のアスペクト比に対応した補正値)を用いる構成とすることが可能である。
【0080】
ここで、本実施形態に係るプロジェクター51は、例えば、いったん設置されると、そのまま設置位置が固定されて、会議などの一定の時間、使用される。このとき、本実施形態に係るプロジェクター51では、例えばユーザーの操作によりまたは装置により自動的に、入力映像が切り替えられて、入力映像のアスペクト比が変化すると、縦横比判定部15によりそれ(現時点における入力映像のアスペクト比)が判定され、その判定結果に応じて、補正値記憶部/選択部62により補正値が選択される。なお、このような場合に、プロジェクター51およびスクリーン2の設置位置が固定されていると、測定パターンを投写する処理(パネルとスクリーン枠との相対的な位置関係を検出する処理)は、最初の1回だけ行われればよく、以降は、最初の1回の検出結果を利用することが可能である。
【0081】
一構成例として、画像表示装置(本実施形態では、プロジェクター51)では、画像(本実施形態では、映像)が入力される画像入力部(本実施形態では、映像入力部11)と、前記画像入力部に入力される画像のアスペクト比を判定する縦横比判定部15と、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比に応じたアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に補正を行う補正部(本実施形態では、補正値算出部61、補正値記憶部/選択部62および歪み補正部12)と、前記補正部により補正が行われた画像を投写する投写部14と、を備える。
【0082】
一構成例として、画像表示装置では、あらかじめ定められたパターン(本実施形態では、測定パターン)を記憶するパターン記憶部13と、前記投写部14により投写された前記パターン記憶部13に記憶された前記パターンの画像と投写対象物(本実施形態では、スクリーン2)の画像を撮影する撮影部16と、前記撮影部16により撮影された画像に基づいて前記パターンの画像に対応する投写パネルの画像と前記投写対象物の画像との相対的な位置関係を検出する画像解析部17と、を備え、前記補正部は、前記画像解析部17による検出結果に基づいて、前記補正を行う。
【0083】
一構成例として、画像表示装置では、前記補正部は、前記投写対象物の枠に対して補正後の画像の縦または横の少なくとも一方が最大となるように、前記補正を行う。
【0084】
一構成例として、画像表示装置では、前記補正部は、複数の異なるアスペクト比のそれぞれについてそのアスペクト比を有する画像となるように前記画像入力部に入力される画像に歪み補正を行うための補正値を算出する補正値算出部61と、前記補正値算出部61により算出された前記複数の異なるアスペクト比のそれぞれについての前記補正値を記憶する補正値記憶部(本実施形態では、補正値記憶部/選択部62の記憶部)と、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比に応じて、前記補正値記憶部に記憶される複数の補正値のうちから補正値を選択する補正値選択部(本実施形態では、補正値記憶部/選択部62の選択部)と、前記補正値選択部により選択された補正値を用いて前記画像入力部に入力された画像に歪み補正を行う歪み補正部12と、を含む。
【0085】
一構成例として、画像表示装置では、前記補正値選択部は、前記補正値記憶部に記憶される複数の補正値のうちから、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比と同じアスペクト比に対応した補正値(または、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比との差があらかじめ定められた範囲内であるアスペクト比に対応した補正値)を選択し、また、前記縦横比判定部15により判定されたアスペクト比に応じて選択する補正値が存在しない場合には、あらかじめ定められた補正値を選択する。
【0086】
[以上の実施形態のまとめ]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0087】
なお、以上に説明した装置(以上の実施形態では、プロジェクター1、51)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここで言う「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disk)−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM:Random Access Memory)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0088】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことを言う。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。