(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のフロントピラートリムにおいて、トリム本体の裏面(袋体が配される側の面)には、複数のリブ(交差リブ及び補強リブ)が形成されている。このため、袋体が膨張する際には、リブに袋体が引っ掛かることが懸念される。これにより、袋体の膨張圧に起因した応力がトリム本体に局所的に作用してしまい、トリム本体が部分的に変形する事態が懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、展開時にカーテンシールドエアバッグがリブに引っ掛かる事態を抑制可能なピラーガーニッシュを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のピラーガーニッシュは、車両においてピラーパネルの車室内側に取り付けられるピラーガーニッシュであって、板状をなし、前記ピラーパネルとの間にカーテンシールドエアバッグを挟む形で配される基材と、前記基材における前記カーテンシールドエアバッグ側の面から立設されるリブと、前記基材において、前記ピラーパネルのフランジ部と隣接される周端部に設けられ、前記ピラーパネルの前記フランジ部に向けて突出される突部と、を備え、前記リブの少なくとも一部が、前記カーテンシールドエアバッグと対向配置され、前記リブの前記一部における前記カーテンシールドエアバッグとの対向面は、前記基材の前記周端部に向かうにつれて、前記カーテンシールドエアバッグの展開方向に向かう形で傾斜する傾斜面とされることに特徴を有する。
【0007】
本発明において、リブにおけるカーテンシールドエアバッグとの対向面は、基材の周端部に向かうにつれて、カーテンシールドエアバッグの展開方向に向かう形で傾斜する傾斜面とされる。これにより、カーテンシールドエアバッグが膨張して、例えば、基材の周端部とピラーパネルのフランジ部との間から車室内に展開される場合においては、カーテンシールドエアバッグが当該対向面に沿って、展開方向にガイドされることとなる。この結果、展開時にカーテンシールドエアバッグがリブに引っ掛かる事態を抑制することができる。
【0008】
これにより、カーテンシールドエアバッグがリブに引っ掛かることに起因して基材に局所的に応力が作用する事態を抑制できる。また、カーテンシールドエアバッグは対向面によって展開方向にガイドされるため、カーテンシールドエアバッグをよりスムーズに展開させることができる。
【0009】
また、基材の周端部には、ピラーパネルのフランジ部に向けて突出される突部が設けられている。これにより、基材がピラーパネル側に押圧された際には、突部がピラーパネルのフランジ部に当接することで、基材の変形を防止することができる。
【0010】
上記構成において、前記突部は、前記ピラーパネルの前記フランジ部に取り付けられたウェザーストリップに向けて突出されているものとすることができる。
【0011】
このような構成とすれば、基材がピラーパネル側に押圧された際には、突部がウェザーストリップに当接することで、基材の変形を防止することができる。そして、柔軟性を有する部材であるウェザーストリップに突部を当接させる構成とすれば、当接時に異音が発生する事態を抑制できる。
【0012】
また、前記基材は、長手状をなしており、前記基材の長手方向における一端部が、前記車両が備える天井用内装材と隣接して配され、前記突部は、前記一端部に設けられているものとすることができる。
【0013】
突部によって、基材の長手方向における一端部(車両の天井用内装材と隣接する部分)の変形を防止できる。これにより、天井用内装材と基材の一端部との間に隙間が生じる事態を確実に抑制することができ、意匠性をより高くすることができる。
【0014】
また、前記基材における前記カーテンシールドエアバッグ側の面には、前記ピラーパネルに取り付けられるクリップを保持可能なクリップ座が設けられ、前記突部は、前記基材において、前記クリップ座よりも外周側となる箇所に設けられているものとすることができる。
【0015】
基材においてクリップ座が設けられる箇所は、クリップを介してピラーパネルに固定されるため、比較的変形しにくい箇所となる。これに対して、基材において、クリップ座よりも外周側となる箇所は、クリップ座から遠くなるため、相対的に変形しやすい箇所となる。このため、基材において、クリップ座よりも外周側となる箇所に、突部を形成することで、当該箇所の変形を効果的に抑制できる。
【0016】
また、前記基材における前記カーテンシールドエアバッグ側の面には、前記ピラーパネルに取り付けられるクリップを保持可能なクリップ座が設けられ、前記クリップ座は、スライド型を用いて前記基材と一体的に射出成形されるものとされ、前記スライド型の型抜きを可能とする開口部を有しており、前記突部は、前記基材において、前記クリップ座よりも前記開口部の開口方向側となる箇所に設けられているものとすることができる。
【0017】
クリップ座をスライド型を用いて成形する場合、基材において開口部の開口方向側(スライド型の型抜き方向側)となる箇所には、リブなどの補強部材を形成し難い。このような箇所に、リブを設けてしまうと、スライド型を型抜きする際に、リブと干渉してしまうためである。そこで、本発明では、基材において、クリップ座よりも開口部の開口方向側となる箇所に突部を設けた。これにより、基材において、リブを設けることが困難な箇所(剛性が低くなり易い箇所)の変形を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、展開時にカーテンシールドエアバッグがリブに引っ掛かる事態を抑制可能なピラーガーニッシュを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図7によって説明する。本実施形態では、ピラーガーニッシュとして、自動車等の車両においてフロントピラー20の車室内側に取り付けられるフロントピラーガーニッシュ30(以下、ピラーガーニッシュ30と称する)を例示する。
【0021】
図1は、車両の車室内を運転席側から右斜め前方に向かって視た斜視図である。車両の天井には天井用内装材10(ルーフライニング)が取り付けられており、天井用内装材10には、サンバイザー11やアシストグリップ12等が設けられている。
【0022】
また、運転席側のドア(図示しない)によって閉塞されるドア開口13の周縁部にはウェザーストリップ14が取り付けられている。運転席前方にはフロントウィンドウ15が配設され、このフロントウィンドウ15とドア開口13とは、フロントピラー20(Aピラー、ピラーパネル)により区画されている。
【0023】
フロントピラー20の車室内側にはピラーガーニッシュ30が取り付けられており、当該フロントピラー20とピラーガーニッシュ30との間には、
図5に示すように、展開前のカーテンシールドエアバッグ25(2点鎖線で図示)が収容されている。
【0024】
フロントピラー20は、
図5に示すように、インナパネル21、アウタパネル22、及びリインフォースメントパネル23を主体に構成されている。インナパネル21は、車室内側に、アウタパネル22は、車室外側にそれぞれ配されており、リインフォースメントパネル23は、インナパネル21とアウタパネル22との間に介在されている。
【0025】
インナパネル21は車室内側に膨出した筒状をなし、アウタパネル22は車室外側に膨出した筒状をなしている。各パネル21,22,23の側端部は、それぞれ重ね合わされており、接触箇所において互いに接合されている。なお、以下の説明では、各パネル21,22,23の側端部が重ね合わされた部分(接合部)をフランジ部と呼ぶものとし、特に、ドア開口13側(
図5の下側)の側端部に相当するフランジ部をフランジ部20Bと呼ぶものとする。
【0026】
フロントピラー20のフランジ部20Bには、ウェザーストリップ14が取り付けられている。ウェザーストリップ14は、フランジ部20Bに対して車両後側から取り付けられる本体部14Aと、本体部14Aから延び、ピラーガーニッシュ30のドア開口13側の周端部を車室内側から覆うリップ部14Bと、を備えている。
【0027】
本体部14Aは、フランジ部20Bを挟む形で取り付けられている。本体部14Aは、ドア開口13を閉塞するサイドドア(図示せず)とドア開口13との間に圧縮された状態で介在されることで、フロントピラー20とサイドドアとの隙間から車室内へと水が浸入するのを防ぐ機能を有している。
【0028】
また、フロントウィンドウ15の側端部には、ウェザーストリップ16が取り付けられている。このウェザーストリップ16によりフロントピラー20とフロントウィンドウ15との間の隙間が塞がれている。ウェザーストリップ14,16は、例えば、柔軟性を有する弾性材料(ゴム等)とされる。
【0029】
続いて、ピラーガーニッシュ30の構成について説明する。ピラーガーニッシュ30は、板状をなす基材31を備えている。基材31は、例えば、合成樹脂材料(ポリプロピレン等)により成形される。なお、基材31の材質は、これに限定されず適宜変更可能である。
【0030】
基材31は、
図1及び
図2に示すように、フロントピラー20の延設方向に沿って延びる長手状をなしている。基材31の下端部には、例えば、サイドパネル(図示せず)に取り付けられる取付片41が形成されている。また、基材31の上端部(長手方向における一端部)は、車両が備える天井用内装材10の周端部と隣接して配されている。
【0031】
基材31は、
図5に示すように、フロントピラー20との間にカーテンシールドエアバッグ25を挟む形で配される。基材31は、フロントピラー20と対向配置される本体部32(第1壁部)と、本体部32に対して屈曲される形で延設された延設部33(第2壁部)を備えている。なお、基材31における車室内側の面には、表皮材(図示せず)が貼り付けられている。
【0032】
本体部32は、車室内側に膨出するように湾曲されている。延設部33は、本体部32における車両後側(
図5の下側)の周端部から、フロントピラー20のフランジ部20Bに向かって延設されている。延設部33の端面33A(基材の周端部)は、ウェザーストリップ14の本体部14A、ひいてはフランジ部20Bと隣接する形で配されている。
【0033】
カーテンシールドエアバッグ25は、例えば、ロール状に折り畳まれた状態で基材31とインナパネル21の間に収容されている。カーテンシールドエアバッグ25は、クリップ(図示せず)等によりインナパネル21に取り付けられている。また、カーテンシールドエアバッグ25は、基材31における車両後端部に配されており、基材31の延設部33と隣接されている。なお、カーテンシールドエアバッグ25は、例えば、蛇腹状などで折り畳まれていてもよい。
【0034】
本体部32における裏面(カーテンシールドエアバッグ側の面)には、
図6に示すように、インナパネル21に向けてクリップ座42が立設されている。クリップ座42は、インナパネル21に取り付けられるクリップ50を保持するためのもので、インナパネル21と対向配置される座面部43を有している。座面部43には、クリップ50が取り付けられる座面部側取付孔43Aが貫通形成されている。
【0035】
クリップ50は、例えば、合成樹脂によって形成され、板状をなす鍔部51(本体部)と、鍔部51からインナパネル21側に突出されるパネル側取付部52と、鍔部51から座面部43側に突出される基材側取付部53と、を主体に構成されている。
【0036】
パネル側取付部52は、一対の係止片として構成されている。パネル側取付部52は、インナパネル21に貫通形成されたパネル側取付孔21Aに挿通されることで取り付けられる。パネル側取付部52を構成する一対の係止片は、互いの対向間隔を狭くするように弾性変形可能とされる。
【0037】
これにより、パネル側取付部52を弾性変形させることで、車室内側からパネル側取付孔21Aに挿通させることができ、挿通後には、パネル側取付部52が弾性復帰することで、パネル側取付孔21Aの孔縁部に対して、車室外側から係止される構成となっている。
【0038】
基材側取付部53の基端には、一対の係止突起54が形成されている。一対の係止突起54は、弾性的に撓み変形可能とされ、座面部側取付孔43Aの孔縁部に対して、車室内側から係止されている。
【0039】
基材側取付部53の先端側は、車両後側に屈曲されたアンカー部55とされる。このアンカー部55は、カーテンシールドエアバッグ25の膨張時において、座面部43に対する一対の係止突起54の係止が解除された後、その代わりに、座面部43に係止される部分とされる。具体的には、アンカー部55の先端部が、座面部側取付孔43Aの孔縁部に対して車室内側から係止可能な係止部56とされる。
【0040】
なお、クリップ座42は、基材31の延設方向に沿って複数箇所(本実施形態では2箇所)設けられている。これにより、基材31は、複数のクリップ50を介してインナパネル21に取り付けられる構成となっている。
【0041】
また、
図3に示すように、クリップ座42は、基材31の外周側に向かって開口された開口部45を有している。開口部45の開口方向は、基材31の長手方向に沿うものとされる。本実施形態では、クリップ座42は、例えば、射出成形によって、基材31と一体的に成形される。
【0042】
基材31及びクリップ座42を射出成形する場合、基材31の表裏両面を一対の成形型の各成形面でそれぞれ成形する。この場合、クリップ座42の座面部43は、アンダーカット部となる。このため、座面部43を有するクリップ座42を射出成形によって成形するためには、スライド型(図示せず)が用いられる。
【0043】
開口部45は、スライド型を用いてクリップ座42を成形する際に形成されるもので、スライド型の型抜きを可能とするものとされる。具体的には、クリップ座42の成形時には、この開口部45にスライド型が嵌合された状態でクリップ座42が成形される。そして、クリップ座42成形後に、開口部45からスライド型が型抜きされる。つまり、開口部45の開口方向(
図3に示す矢線D1に対応)は、スライド型の型抜き方向と一致するものとされる。
【0044】
図3に示すように、基材31の裏面31A(意匠面とは反対側の面)には、複数のリブ34が立設されている。各リブ34は、基材31の短辺方向に沿って延びている。複数のリブ34は、基材31の長辺方向に沿って配列されている。
【0045】
リブ34は、本体部32と延設部33の双方に亘って延びており、基材31の剛性を高くするものとされる。以下の説明では、リブ34のうち、本体部32に形成された部分を第1リブ35と呼び、延設部33に形成された部分を第2リブ36(リブの一部)と呼ぶものとする。第2リブ36は、第1リブ35に対して屈曲されており、カーテンシールドエアバッグ25と対向配置されている(
図6参照)。
【0046】
第1リブ35は、
図3に示すように、その立設高さが、全長に亘って一定とされる。これに対して、第2リブ36は、
図6に示すように、第2リブ36は、延設部33の基端(本体部32と延設部33の境界部分)から、延設部33の先端に亘って延びている。そして、第2リブ36は、
図6に示すように、その立設高さ(延設部33の裏面33Bを基準とした高さ)が、延設部33の基端から、延設部33の先端(端面33A側)に向かうにつれて小さくなるものとされる。
【0047】
このため、第2リブ36におけるカーテンシールドエアバッグ25との対向面36Aは、延設部33の裏面33Bに対して傾斜する傾斜面とされる。対向面36Aは、延設部33の端面33Aに向かうにつれて、カーテンシールドエアバッグ25から遠ざかる方向(車室内側)に向かう形で延びている。言い換えると、対向面36Aは、延設部33の端面33Aに向かうにつれて、延設部33の裏面33Bに近づく方向に延びている。
【0048】
なお、第2リブ36の立設高さは、その基端(第1リブ35側)においては、第1リブ35の立設高さとほぼ同じとされ、その先端(端面33A側)においては、ほぼゼロとされる。
【0049】
本実施形態のカーテンシールドエアバック25は、車両後側(
図6の下側)に展開可能とされる。第2リブ36における対向面36Aは、端面33Aに向かうにつれて、カーテンシールドエアバック25の展開方向に向かう形で傾斜する傾斜面と言うこともできる。
【0050】
なお、第1リブ35におけるカーテンシールドエアバック25との対向面35Aと、第2リブ36における対向面36Aとの境界部分は、
図6に示すように、カーテンシールドエアバック25から遠ざかるように湾曲された曲面37とされる。
【0051】
図5に示すように、延設部33の端面33Aは、フロントピラー20のフランジ部20Bに隣接されている。そして、端面33Aには、
図3及び
図4に示すように、突部60が複数形成されている。複数(本実施形態では4つ)の突部60は、端面33Aの長手方向に沿って所定の間隔を空けて配列されている。
【0052】
突部60は、
図5に示すように、端面33Aから、フランジ部20Bに向けて突出されている。より具体的には、突部60は、フランジ部20Bに装着されたウェザーストリップ14の本体部14Aに向けて突出されている。なお、突部60の突出方向は、延設部33の延設方向に対して、わずかに傾斜されている。
【0053】
突部60は、
図4に示すように、平面視においては、先端に向かうにつれて幅が狭くなる略台形状とされる。突部60の突出端は、ウェザーストリップ14の本体部14Aに対して当接されている。なお、突部60の突出端が、ウェザーストリップ14の本体部14Aに対して、わずかに隙間を空けて配されていてもよい。
【0054】
また、
図3に示すように、複数の突部60のうち、基材31の長手方向における一端部に設けられている突部60(符号60Aを付す)は、基材31において、クリップ座42よりも外周側となる箇所に設けられている。
【0055】
また、突部60Aは、基材31において、クリップ座42よりも開口部45の開口方向側となる箇所に設けられている。なお、本実施形態では、開口部45の開口方向は、基材31の長手方向と沿うものとされ、突部60Aは、基材31の長手方向において、クリップ座42よりも一端側となる箇所に設けられている。
【0056】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。カーテンシールドエアバッグ25の作動時には、インフレータ(図示せず)からカーテンシールドエアバッグ25にガスが供給されてカーテンシールドエアバッグ25が膨張し始める。
【0057】
インナパネル21と基材31との間に介在されたカーテンシールドエアバッグ25が膨張することで、基材31の車両後端側が圧力を受ける。これにより、基材31の延設部33が、例えば、基端側を支点として、車両後方に撓み変形する。これにより、延設部33の端面33Aとウェザーストリップ14との距離が大きくなる。
【0058】
これと同時に、カーテンシールドエアバッグ25は、第2リブ36の対向面36Aにガイドされる形で、延設部33とウェザーストリップ14の間を通じて車両後方に展開される(
図7参照)。なお、展開されたカーテンシールドエアバッグ25は、最終的には、サイドドア(図示せず)の車室内側面を覆う形で配される。
【0059】
また、カーテンシールドエアバッグ25の作動時には、基材31の車両後側がカーテンシールドエアバッグ25に押圧される。これにより、基材31は、その車両前端側を支点として車室内側に回動しようとする。このため、クリップ座42がインナパネル21から遠ざかる方向に押圧される。
【0060】
すると、クリップ50の一対の係止突起54が、座面部側取付孔43Aの孔縁部に押圧されることで撓み変形し、座面部側取付孔43Aを通過する。これにより、座面部43に対する一対の係止突起54の係止が解除される。
【0061】
一対の係止突起54の係止が解除された以降は、基材31が車室内側に回動する。そして、基材31が車室内側へ回動することで、アンカー部55の係止部56が、座面部側取付孔43Aの孔縁部に対して車室内側から係止される。つまり、本実施形態では、一対の係止突起54が座面部43に係止する第1位置(
図6に示す位置)と、アンカー部55の係止部56が座面部43に係止する第2位置との2つの位置で基材31を保持することができる。
【0062】
なお、上述した延設部33の撓み変形と、基材31の車室内側への回動は、例えば、ほぼ同じタイミングで起こるものとされるが、これに限定されない。また、
図7においては、延設部33の撓み変形が開始した初期の段階を図示してあり、この段階では、例えば、一対の係止突起54が座面部43に係止されている。
【0063】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態において、第2リブ36におけるカーテンシールドエアバッグ25との対向面36Aは、基材31の端面33Aに向かうにつれて、カーテンシールドエアバッグ25の展開方向に向かう形で傾斜する傾斜面とされる。これにより、カーテンシールドエアバッグ25が膨張して、基材31の端面33Aとフロントピラー20のフランジ部20Bとの間から車室内に展開する際には、カーテンシールドエアバッグ25が、対向面36Aに沿って、展開方向にガイドされることとなる。この結果、展開時にカーテンシールドエアバッグ25が第2リブ36に引っ掛かる事態を抑制することができる。
【0064】
これにより、カーテンシールドエアバッグ25が第2リブ36に引っ掛かることに起因して基材31に局所的に応力が作用する事態を抑制できる。また、カーテンシールドエアバッグ25は対向面36Aによって展開方向にガイドされるため、カーテンシールドエアバッグ25をよりスムーズに展開させることができる。
【0065】
また、基材31の端面33Aには、フロントピラー20のフランジ部20Bに向けて突出される突部60が設けられている。これにより、基材31がフロントピラー20側に押圧された際には、突部60の突出端がフロントピラー20のフランジ部20Bに取り付けられたウェザーストリップ14に当接することで、基材31の変形を防止することができる。
【0066】
従来、フロントピラー20側に押圧された際の基材31の変形を防止する構成としては、第2リブ36のようなリブをウェザーストリップ14に当接させる構成が考えられる。しかしながら、本実施形態では、端面33Aに向かうにつれて、第2リブ36の立設高さが小さくなる構成としてある。このため、第2リブ36をウェザーストリップ14に当接させることが難しい。そこで、本実施形態では、突部60を設けることで、基材31の変形を抑制することとしている。
【0067】
また、突部60は、フロントピラー20のフランジ部20Bに取り付けられたウェザーストリップ14に向けて突出されている。
【0068】
このような構成とすれば、基材31がフロントピラー20側に押圧された際には、突部60がウェザーストリップ14に当接することで、基材31の変形を防止することができる。そして、柔軟性を有する部材であるウェザーストリップ14に突部60を当接させる構成とすれば、当接時に異音が発生する事態を抑制できる。
【0069】
また、
図4に示すように、突部60(突部60A)の突出端面は、長手状をなしているため、ウェザーストリップ14に対してより確実に当接させることができる。
【0070】
また、基材31は、長手状をなしており、基材31の長手方向における一端部が、車両が備える天井用内装材10と隣接して配され、突部60は、この一端部に設けられている。
【0071】
突部60によって、基材31の長手方向における一端部(上端部、車両の天井用内装材10と隣接する部分)の変形を防止できる。これにより、天井用内装材10と基材31の一端部との間に隙間が生じる事態を確実に抑制することができ、意匠性をより高くすることができる。
【0072】
また、基材31の裏面31Aには、フロントピラー20に取り付けられるクリップ50を保持可能なクリップ座42が設けられ、突部60Aは、基材31において、クリップ座42よりも外周側となる箇所に設けられている。
【0073】
基材31においてクリップ座42が設けられる箇所は、クリップ50を介してフロントピラー20に固定されるため、比較的変形しにくい箇所となる。これに対して、基材31において、クリップ座42よりも外周側となる箇所は、クリップ座42から遠くなるため、相対的に変形しやすい箇所となる。このため、基材31において、クリップ座42よりも外周側となる箇所に、突部60Aを形成することで、当該箇所の変形を効果的に抑制できる。
【0074】
また、クリップ座42は、スライド型を用いて基材31と一体的に射出成形されるものとされ、スライド型の型抜きを可能とする開口部45を有しており、突部60Aは、基材31において、クリップ座42よりも開口部45の開口方向側となる箇所に設けられている。
【0075】
スライド型を用いてクリップ座42を成形する場合、基材31において開口部45の開口方向側(スライド型の型抜き方向側)となる箇所には、リブ34などの補強部材を形成し難い。このような箇所に、リブ34を設けてしまうと、スライド型を型抜きする際に、リブ34と干渉してしまうためである。
【0076】
そこで、本実施形態では、基材31において、クリップ座42よりも開口部45の開口方向側となる箇所に突部60Aを設けた。これにより、基材31において、リブ34を設けることが困難な箇所(剛性が低くなり易い箇所)の変形を効果的に抑制することができる。
【0077】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図8によって説明する。本実施形態では、突部60の形成箇所が上記実施形態と相違する。本実施形態のピラーガーニッシュ130においては、基材31の長手方向において、突部60がリブ34と同じ位置に形成されている。
【0078】
基材31において、リブ34が形成されている部分は、比較的剛性が高く変形し難い箇所とされる。このような変形し難い箇所に突部60を形成することで、ウェザーストリップ14の本体部14Aに対して突部60の位置がずれてしまう事態をより確実に抑制でき、本体部14A(
図6参照)に対して、突部60をより確実に当接させることができる。
【0079】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)上記実施形態では、車両のフロントピラー20に取り付けられるピラーガーニッシュ30を例示したが。これに限定されない。例えば、車両のセンターピラーやリアピラーに取り付けられるピラーガーニッシュに本発明を適用してもよい。また、カーテンシールドエアバッグ25の展開方向も車両後方に限定されず、ピラーガーニッシュの設置箇所に応じて適宜変更可能である。
【0081】
(2)上記実施形態において、リブ34、突部60及びクリップ座42の形成個数はそれぞれ適宜変更可能である。例えば、突部60が一箇所のみに形成されていてもよい。
【0082】
(3)ピラーガーニッシュ30の材質及び形状は、上記実施形態で例示したものに限定されず、適宜変更可能である。