特許第6035983号(P6035983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035983
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20161121BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F24F7/10 101B
   F24F7/06 B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-177321(P2012-177321)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-35157(P2014-35157A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中林 憲洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 郁仁
(72)【発明者】
【氏名】野谷 俊介
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−024448(JP,A)
【文献】 特開2008−107036(JP,A)
【文献】 特開2005−201588(JP,A)
【文献】 特開2000−014998(JP,A)
【文献】 特開2008−157529(JP,A)
【文献】 特開2010−207658(JP,A)
【文献】 特開平07−004836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を吸込んで室内へ吹出す循環ユニットと、
室内の空気を吸込んで室外へ排気する換気ユニットとからなり、
前記換気ユニットは、前記循環ユニットの上面に着脱可能に取り付けられる送風装置であって、
前記換気ユニットの換気ユニットケースの上面に開口を設け、
前記換気ユニットケースの上面部に設けられた取付部により、換気モータが前記開口から前記換気ユニットケース内部へ潜り込ませて前記換気ユニットケースに取り付けられ、
前記換気ユニットケースの前記開口の上面内周面と前記換気モータの上面外周面との隙間により形成される換気ファン吸込口から室外へ排気する空気を吸込み、
前記換気ファン吸込口から吸い込まれた空気が、前記換気ユニットケースと前記循環ユニットの循環ユニットケースの上面部とにより形成される換気ファン吹出風路に吹き出される
ことを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記循環ユニットと前記循環ユニットの上面に取り付けられた前記換気ユニットとの側面および上面を覆うように構成される本体ケースを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記循環ユニットは、室内の吸込んだ空気を暖めるヒーターを収容し、前記ヒーターの裏面に対応した位置を難燃樹脂材料とした
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や洗面脱衣所の換気等を行う送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室の空気を吸い込んで外へ排気したり、浴室の空気を吸い込むと共にこの吸い込んだ空気を暖めて浴室へ戻したりする換気装置が利用されている。例えば、特許文献1には、本体ケース内に換気ファン、循環ファンおよび電熱ヒーターが取り付けられた換気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−141702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1等に開示される従来の換気装置では、換気装置の組み立て時に、換気ファンや循環ファン、これらのファンを駆動する各モータ、電熱ヒーターのそれぞれを本体ケース内に組み付ける作業が必要となり、換気装置の組み立てに手間がかかってしまうという問題がある。また、換気装置の点検作業においても、換気ファンやモータ等の各部品を本体ケースから取り外す作業が必要となるので、作業負担が増えてしまうという問題もある。
【0005】
さらに、換気装置の機種によって、仕様されるモータの種類や配線の種類等が異なる場合がある。このような場合、モータの種類によってモータ固定用孔をケースに形成したり、配線の有無によって配線固定用ボスをケースに形成したりする必要があり、複数の型を用いて複数仕様の各製品に対応したケースを製造しなければならなかった。そのため、従来の換気装置では、複数仕様のケース等を製造しなければならないので、共通部品を用いて換気装置を製造することができないという問題があった。これに伴い、複数仕様によりユニットの種類も多くなるので、部品管理が複雑になるという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、換気装置の組み立てや点検時の作業の簡易化を図ると共に、部品管理の効率化を図ることが可能な換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、室内の空気を吸込んで室内へ吹出す循環ユニットと、室内の空気を吸込んで室外へ排気する換気ユニットとからなり、換気ユニットは、循環ユニットの上面に着脱可能に取り付けられる送風装置であって、換気ユニットの換気ユニットケースの上面に開口を設け、換気ユニットケースの上面部に設けられた取付部により、換気モータが開口から換気ユニットケース内部へ潜り込ませて換気ユニットケースに取り付けられ、換気ユニットケースの開口の上面内周面と換気モータの上面外周面との隙間により形成される換気ファン吸込口から室外へ排気する空気を吸込み、換気ファン吸込口から吸い込まれた空気が、換気ユニットケースと循環ユニットの循環ユニットケースの上面部とにより形成される換気ファン吹出風路に吹き出されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、換気ユニットを循環ユニットの上面に着脱可能に取り付ける構成としたので、換気装置の組み立てや点検時の作業効率を向上させることができる。また、換気ユニットおよび循環ユニットをユニットで構成することで部品管理の効率化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室換気乾燥暖房装置の全体構成例を示す図である。
図2】浴室換気乾燥暖房装置の構成例を示す分解斜視図である。
図3】浴室換気乾燥暖房装置の構成例を示す断面図である。
図4】循環ユニットの構成例を示す図である。
図5】換気ユニットの構成例を示す図である。
図6】換気ユニットから吹出しガイドモジュールを取り外した状態を示す図である。
図7】延焼防止機能を備えた吹出しガイドモジュールの構成例を示す図である。
図8】イオン発生器用取付部を有する吹出しガイドモジュールが装着された循環ユニットの構成例を示す図である。
図9】イオン発生器用取付部を有する吹出しガイドモジュールの構成例を示す図である。
図10】イオン発生器が装着された吹出しガイドモジュールの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の設備機器としての浴室換気乾燥暖房装置1Aの実施の形態について説明する。
[浴室換気乾燥暖房装置の構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室換気乾燥暖房装置1Aの一例を示す全体構成図である。図2は、浴室換気乾燥暖房装置1Aの一例を示す分解斜視図である。図3は、浴室換気乾燥暖房装置1Aの一例を示す断面図である。図4(A)は循環ユニット300の構成の一例を示す平面図であり、図4(B)はその長手方向の側面図であり、図4(C)はその短手方向の側面図である。図5(A)は換気ユニット200の構成の一例を示す平面図であり、図5(B)はその底面図であり、図5(C)はその側面図である。
【0011】
本実施の形態の浴室換気乾燥暖房装置1Aは、図1および図2に示すように、装置本体10が浴室100の天井100aに形成された開口部100bに設置される。浴室換気乾燥暖房装置1Aは、空気が吸い込まれる吸込口グリル11a及び空気が吹き出される吹出口グリル11bを備えたフロントパネル11が装置本体10の下面に取り付けられ、フロントパネル11が浴室100の天井100aに露出する。
【0012】
浴室100の天井100aに設置された浴室換気乾燥暖房装置1Aは、排気ダクト12が接続される。排気ダクト12は、図示しない建物の外壁101に設置された屋外グリル12aと接続される。
【0013】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、副吸込ダクト13が接続される。副吸込ダクト13は、他室である洗面脱衣所102の天井に102aに設置された副吸込口グリル13aと接続される。なお、副吸込ダクト13は複数設けても良い。例えば、2つの副吸込ダクト13を用いた場合、一方の副吸込ダクト13を洗面脱衣所102に設置し、他方の副吸込ダクト13をトイレに設置する。このとき、洗面脱衣所102とトイレの両方から空気が吸い込まれる構成としても良いし、どちらか一方から空気が吸い込まれる構成としても良い。
【0014】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、循環ユニット300と換気ユニット200と本体ケース400とを備えている。循環ユニット300は、浴室100の空気を装置本体10の吸込口グリル11aから吸い込んで、この吸い込んだ空気を装置本体10の吹出口グリル11bから浴室100に吹き出す。循環ユニット300は、図2図4に示すように、循環ユニットケース32と、循環モータ31と、循環ファン30と、ヒーター4とを有している。
【0015】
循環ユニットケース32は、循環ファン30や循環モータ31等を収容可能な大きさを有した下面が開口された箱体であって、例えば一般材のABS樹脂から構成されている。循環ファン30の下方に位置した循環ユニットケース32には、浴室100内の空気を吸い込むための循環ファン吸込口32bが形成されている。また、ヒーター4の下方に位置した循環ユニットケース32には、循環ファン30により吹き出された空気を浴室100に戻すための循環ファン吹出口32cが形成されている。
【0016】
循環ユニットケース32の下端(浴室100側の端部)には、外方向に突出した枠状の本体フランジ部14が設けられている。循環ユニットケース32の略円形状をなす上面部32hには、その周縁部に換気ユニット200を取り付けるための取付部34が所定の間隔を隔てて設けられている。また、循環ユニットケース32の上面部32hには、その上面に取り付けられる換気ユニット200を構成する換気ファン20の回転軸を回転可能に支持するための軸支部38が設けられている。
【0017】
循環モータ31は、例えばステッピングモータから構成され、循環ユニットケース32内の天井部に取り付けられている。循環モータ31は、図示しない制御基板からの指示に基づいて駆動することにより循環ファン30を回転駆動させる。
【0018】
循環ファン30は、例えば多翼の羽根を有するシロッコファン(遠心ファン)から構成されている。循環ファン30は、循環モータ31の回転軸に取り付けられ、循環モータ31の駆動により回転し、浴室100内の空気を循環ファン吸込口32bから吸い込んで、吸い込んだ空気を循環ファン吹出口32cから吹き出す循環ファン吹出風路32aを形成する。この循環ファン吹出風路32aは、循環ユニットケース32により区画されて形成される。
【0019】
ヒーター4は、循環ファン吹出風路32aの下流側に位置する循環ファン吹出口32cに取り付けられ、循環ファン吹出口32cを通過する空気を暖めて浴室100内に吹き出す。ヒーター4にはPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターを用いているが、この種類に限定されるものではない。
【0020】
本例の循環ユニット300では、従来では複数種類の循環モータが使用されていたところを、一種類の循環モータ31を採用することにより部品の共通化を図っている。同様に、循環ファン30やヒーター4についても単一の種類が採用することにより部品の共通化を図っている。なお、本例では、さらなる循環ユニットケース32の共通化を図るために、イオン発生器用の取付部を別モジュールとして構成しているが、詳細については後述する。また、本例では、循環ユニットケース32の内部に、循環モータ31、循環ファン30およびヒーター4のそれぞれが取り付けられることで、循環ユニット300が一ユニット化されている。
【0021】
換気ユニット200は、浴室100の空気を装置本体10の吸込口グリル11aから吸い込んで、吸い込んだ空気を排気ダクト12を介して屋外に排気すると共に、他室である洗面脱衣所102の空気を副吸込口グリル13aから副吸込ダクト13を介して吸い込んで、吸い込んだ空気を排気ダクト12を介して屋外に排気する。
【0022】
換気ユニット200は、図2図3および図5に示すように、換気ユニットケース22と、換気モータ21と、換気ファン20とを有している。換気ユニットケース22は、例えば一般材のABS樹脂からなり、換気ファン20や換気モータ21を収容可能な大きさを有した略筒状をなす箱体から構成されている。この換気ユニットケース22の上面部には、後述する換気モータ21を収容するための開口部28が設けられている。
【0023】
換気ユニットケース22の外周面下端には、換気ユニット200を循環ユニット300に取り付けるためのネジ止め部27が循環ユニット300の取付部34に対応した位置に設けられている。これにより、換気ユニットケース22のネジ止め部27を循環ユニットケース32の取付部34にネジにより締め付けてネジ止めすることで、換気ユニット200を循環ユニット300の上面部32hに着脱可能に取り付けることができる。
【0024】
換気ユニットケース22の排気ダクトジョイント40側には、浴室100や洗面脱衣所102から吸い込んだ空気を排気するための排気吹出口22eが設けられている。本体ケース400の排気ダクトジョイント40側の排気吹出口22eとは異なる角部には、循環ユニット300下面に設けられた換気吸込口22cに連通した連通口26が設けられている。
【0025】
換気モータ21は、例えばステッピングモータから構成され、換気ユニットケース22の開口部28内部に潜り込んだ状態で、例えば換気ユニットケース22の上面部に設けられた取付部25により換気ユニットケース22に取り付けられている。換気モータ21は、図示しない制御基板からの指示に基づいて駆動することにより換気ファン20を回転駆動させる。
【0026】
換気ファン20は、例えば多翼の羽根を有するシロッコファン(遠心ファン)から構成されている。換気ファン20は、換気ユニットケース22内に配置されると共に換気モータ21の回転軸に取り付けられ、換気モータ21の駆動により回転する。
【0027】
図3に示すように、換気ファン20の開口部28の上部内周面(換気ユニットケース22の上部内周面)と開口部28に配置された換気モータ21の上部外周面との隙間は、浴室100や洗面脱衣所102から取り込んだ空気を吸い込むための換気ファン吸込口(上吸込口)22bとなっている。このように、換気ファン20の上方から空気を吸い込む構造とすることにより、換気ファン吸込口22bを浴室100から離すことができるので、吸込み時の騒音の問題を発生し難くすることができ、装置の静音化を図ることができる。換気ファン吸込口22bには、換気ユニットケース22と循環ユニットケース32の上面部32hとにより形成される換気ファン吹出風路22aが連通され、換気ファン吸込口22bから取り込まれた空気がこの換気ファン吹出風路22aにより換気ファン20の遠心方向の排気吹出口22eに吹き出される。
【0028】
本例では、上述したように、換気ユニットケース22の内部に、換気モータ21および換気ファン20のそれぞれが一体に取り付けられることで、換気ユニット200が一ユニット化されている。これにより、換気ユニット200は、例えば本体ケース400等とは独立した構成となり、必要最低限の形状により構成できるようになっている。
【0029】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、換気ユニットケース22及び循環ユニットケース32の側方に浴室吸込風路23が形成される。さらに、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、換気ユニットケース22及び循環ユニットケース32の上方に他室吸込風路24が形成され、装置本体10の一の側面に、他室吸込風路24を介して換気ファン吸込口22bと連通した単一の副吸込口22dが形成される。
【0030】
本体ケース400は、例えば板金等の金属材料からなり、循環ユニット300とこの循環ユニット300の上面部32hに取り付けられる換気ユニット200の側面および上面を覆うように構成されている。
【0031】
本体ケース400と、換気ユニットケース22及び循環ユニットケース32の側面との間、本体ケース400と、換気ユニットケース22の上面との間に形成される連通した空間で、浴室吸込風路23が形成される。また、本体ケース400と、換気ユニットケース22及び循環ユニットケース32の上面部32hとの間に形成される連通した空間で、他室吸込風路24が形成される。
【0032】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、換気吸込口22cと循環ファン吸込口32bが、フロントパネル11の吸込口グリル11aと繋がり、循環ファン吹出口32cが、フロントパネル11の吹出口グリル11bと繋がる。
【0033】
装置本体10の排気吹出口22eには、排気ダクトジョイント40が取り付けられている。排気ダクトジョイント40には、排気ダクト12が接続される。装置本体10の副吸込口22dには、副吸込ダクトジョイント50が取り付けられている。副吸込ダクトジョイント50には、副吸込ダクト130が接続される。
【0034】
これにより、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、浴室100と、洗面脱衣所102が、装置本体10内の浴室吸込風路23及び他室吸込風路24と、副吸込ダクト13を介して繋がる風路構成となっている。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、換気ユニット200の換気ユニットケース22内に換気ファン20および換気モータ21に取り付けることで一ユニット化し、必要最低限の換気ユニットケース22の形状で換気ユニット200を形成する構造とすることで、部品点数の削減を図ることができる。これにより、コストダウンを図ることができる。
【0036】
同様にして、本実施の形態では循環ユニット300についてもユニット化したので、浴室換気乾燥暖房装置1Aの組み立てや点検時の作業の簡易化を図ることができ、その結果、作業効率の向上を図ることができる。また、上述したように、換気ユニット200および循環ユニット300のユニット化を図ることで、同時に部品点数の削減も図ることができるので、部品管理の効率化も図ることができる。
【0037】
また、循環ユニット300を共通部品により構成とし、例えば換気ファン20の容量や大きさが異なる複数の機能に切り替え可能な換気ファン20に対して共通仕様可能な構成とすることで、複数使用の金型を用いて循環ユニット300等を形成する必要がなくなるので、コスト削減を図ることができる。
【0038】
ここで、従来の換気装置(特許4196661号)には、換気ユニットの換気ユニットケースの下面開口部内に循環ユニットを着脱可能に装着するものがある。換気ユニットケースは、換気ファン等を収容する換気風路ケースよりも、循環ユニットケースを覆うことが可能な長さ分大きく形成されている。換気ユニットケースおよび循環ユニットケースのそれぞれは、樹脂材料からなる。そのため、従来の換気装置では、循環ユニットケースの側面を覆う換気ユニットケースが重複した構造となってしまうので、循環ユニットケースを構成する樹脂が無駄になってしまうという問題があった。
【0039】
これに対し、本実施の形態では、換気ユニット200を換気ユニットケース22に換気モータ21および換気ファン20のそれぞれを取り付けてユニット化し、循環ユニット300の上面部32hに着脱可能に取り付ける構造とした。そのため、本実施の形態によれば、循環ユニット300を換気ユニットケース22内に装着させる構造とはなっていないので、ケースの重複部分を削減することができ、コストをより下げることができる。
【0040】
また、換気ユニットケース22の重複部分を削減できるので、その削減したケース厚み分、循環ユニットケース32と本体ケース400との間の空間を広げることができる。これにより、循環ユニットケース32下面の換気吸込口22cの開口径を大きくすることができるので、空気の吸い込み時の通気抵抗を下げることができ、より円滑に空気を吸い込むことができる。また、循環ユニットケース32と本体ケース400との間の空間が広がった分、循環ユニットケース32の外径を大きくすることができるので、これに伴い、外径が大きいタイプの循環ファン30を採用することができ、循環ファン30の容量を大きくすることもできる。
【0041】
さらに、従来の換気装置では、換気ユニットを輸送する場合、換気ユニットケースがスペースをとるので、効率的に輸送できず、その分コストもかかるという問題があったが、本実施の形態によれば、必要最低限の形状で換気ユニット200を形成しているので、輸送が容易となるという効果もある。
【0042】
[循環ユニットの別モジュール構造]
次に、循環ユニット300の一部を別モジュール構造とした点について以下に説明する。まず、従来の問題点について説明する。従来の浴室換気乾燥暖房装置では、この装置に搭載されているヒーターの内部に異物が侵入すると、火花を吹出しながらスパークする可能性があり、このスパークによりヒーターの周囲の部品が延焼してしまう恐れがある。そこで、従来では、ヒーターの周囲を金属部材により囲んだり、ヒーターの周囲を一般材の樹脂に難燃樹脂を被せて囲んだり、モジュールケースの全体を難燃樹脂により構成する対策が施されている。
【0043】
しかしながら、ヒーター4を金属で囲む構成では、本体重量が増し、施工が大変になると共に、天井の強度が必要になるという問題がある。一般材の樹脂に難燃樹脂を被せる構成では、重複する一般材の部分が無駄になるという問題がある。モジュールケース全体を難燃樹脂により構成する方法では、難燃樹脂は一般材の樹脂に比べて高価であるため、コストが上がってしまうという問題がある。
【0044】
また、従来の循環ユニットの作製において、イオン発生器を装置に搭載する機種と搭載しない機種とがある場合には、イオン発生器の取り付けの有無に応じて、イオン発生器用取付部がある循環ユニットケースとイオン発生器用取付部が無い循環ユニットケースとの2部品を作成する必要があった。そのため、部品の共通化を図ることが困難であるという問題がある。
【0045】
そこで、本実施の形態では、上述した循環モータ31の共通化を図ることに加えて、循環ユニットケース32のヒーター4の裏面に対応した位置を着脱可能な別モジュールとして構成することにより、上記2つの課題を同時に解決することを目的とする。すなわち、循環ユニット300に対する別モジュールを難燃樹脂材料で構成することで、ヒーター4のスパークによる周囲の部品延焼の防止を図る。さらに、別モジュールに対して、イオン発生器を取り付ける機種の場合にはイオン発生器用取付部を設けた別モジュールを作製し、イオン発生器を取り付けない機種の場合にはイオン発生器用取付部のない別モジュールを作製することで、循環ユニット300のベースとなる部分についての部品の共通化についても同時に図る。
【0046】
以下では、循環ユニット300のうち部品の共通化を図ったモジュール部分を循環ベースモジュール33と呼び、この循環ベースモジュール33に着脱可能な別モジュールを吹出しガイドモジュール60と呼ぶ。循環ベースモジュール33には、循環ファン30、循環モータ31、ヒーター4、循環ユニットケース32等が含まれている。
【0047】
[循環ベースモジュールおよび吹出しガイドモジュールの構成例]
続けて、循環ベースモジュール33および吹出しガイドモジュール60について説明する。図6は、吹出しガイドモジュール60が循環ベースモジュール33から取り外されたときの循環ユニット300の構成の一例を示している。
【0048】
図6に示すように、循環ユニット300は、循環ベースモジュール33と吹出しガイドモジュール60とを備えている。循環ベースモジュール33は、上述したように一般材のABS樹脂からなる。循環ベースモジュール33を構成する循環ユニットケース32のヒーター4の裏面側に対応した位置(換気ユニット200が設けられる上方側の位置)には、吹出しガイドモジュール60が取り付けられる開口部32eが形成されている。開口部32eは、平面的に見てヒーター4の略全体が露出するような形状に形成される。これは、ヒーター4の裏面側に難燃樹脂としての吹出しガイドモジュール60を配置するためである。
【0049】
開口部32eの循環モータ31側の縁部には、吹出しガイドモジュール60を取り付けるための取付部32fが設けられている。開口部32eの循環モータ31とは反対側の縁部には、吹出しガイドモジュール60の爪部62を引っ掛けて止めるための係止部32gが設けられている。
【0050】
吹出しガイドモジュール60は、循環ベースモジュール33に形成された開口部32eに着脱可能に取り付けられ、異なる機能を有する複数の吹出しガイドモジュール60に組み替え可能な構成となっている。本例では、ヒーター4の延焼防止機能を備えた吹出しガイドモジュール60Aと、この延焼防止機能に加えてイオン発生器を取り付けるためのイオン発生器用取付部が設けられた吹出しガイドモジュール60Bとが用意されている。もちろん、この2種類の吹出しガイドモジュール60A,60Bに限定されることはない。
【0051】
なお、循環ベースモジュール33では、図3に示すように、ヒーター4の側面側の循環ファン吹出口32cを構成するケース部材32dにも難燃樹脂材料が用いられ、ヒーター4のスパークによる延焼防止構造が採用されている。
【0052】
[吹出しガイドモジュール60Aの構成例]
以下では、まず、ヒーター4の延焼防止機能を備えた吹出しガイドモジュール60Aについて説明する。図7(A)は吹出しガイドモジュール60Aの上面側の構成の一例を示し、図7(B)は吹出しガイドモジュール60Aの下面側の構成の一例を示している。
【0053】
吹出しガイドモジュール60Aは、図7(A)および図7(B)に示すように、モジュール本体61aと、爪部62aと、ネジ止め部63aとを有している。モジュール本体61aは、ヒーター4の延焼を防止するために難燃性を有する樹脂材料、例えばABS樹脂[アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂]等からなり、開口部32eを被覆可能な大きさを有している。また、モジュール本体61aは、循環ファン吹出風路32a(図3参照)の一部として機能するため、側面形状が円弧状に湾曲して形成され、浴室100内から吸い込んだ空気を循環ファン吹出口32cに円滑に案内できるように構成されている。
【0054】
ネジ止め部63aは、モジュール本体61aの循環モータ31側の端部であって、循環ベースモジュール33の取付部32fに対応した位置に設けられている。爪部62aは、モジュール本体61aの循環モータ31とは反対側の端部であって、循環ベースモジュール33の係止部32gに対応した位置に設けられている。
【0055】
このような構成において、吹出しガイドモジュール60Aを循環ベースモジュール33に取り付ける場合には、吹出しガイドモジュール60Aの爪部62aを循環ベースモジュール33の係止部32gに引っ掛けて(係合させて)一端側をロックした後、モジュール本体61aの他端側のネジ止め部63aを循環ベースモジュール33の取付部32fにネジにより締め付けてネジ止めする。これにより、吹出しガイドモジュール60Aを循環ベースモジュール33に着脱可能に取り付けることができる。
【0056】
[吹出しガイドモジュール60Bの構成例]
次に、ヒーター4の延焼防止機能に加えてイオン発生器用取付部65を設けた吹出しガイドモジュール60Bについて説明する。なお、吹出しガイドモジュール60Bは、基本的な構成や機能は吹出しガイドモジュール60Aと共通しているので、異なる部分のみを説明する。図8は、循環ベースモジュール33に吹出しガイドモジュール60Bが装着された状態を示している。図9(A)はイオン発生器70が装着されていないときの吹出しガイドモジュール60Bの上面側の構成の一例を示し、図9(B)はその下面側の構成の一例を示している。
【0057】
図9(A)および図9(B)に示すように、吹出しガイドモジュール60Bは、モジュール本体61bと、ネジ止め部63bと、爪部62bと、イオン発生器を取り付けるためのイオン発生器用取付部65を有している。イオン発生器用取付部65は、モジュール本体61bの上面部に設けられている。イオン発生器用取付部65には、イオン発生器70を構成するイオン放出部71(図10参照)を循環ユニットケース32内に露出させるための放出孔65bが設けられている。
【0058】
ネジ止め部63bは、モジュール本体61bの循環モータ31側の端部であって、循環ベースモジュール33の取付部32fに対応した位置に設けられている。爪部62bは、モジュール本体61bの循環モータ31とは反対側の端部であって、循環ベースモジュール33の係止部32gに対応した位置に設けられている。
【0059】
図10(A)はイオン発生器70が装着されたときの吹出しガイドモジュール60Bの上面側の構成の一例を示し、図10(B)はその下面側の構成の一例を示している。図10(A)および図10(B)に示すように、イオン発生器70は、吹出しガイドモジュール60Bのイオン発生器用取付部65にネジによりネジ止めされることで装着される。このとき、イオン発生器70のイオン放出部71がイオン発生器用取付部65の放出孔65bに挿入されるように取り付けられる。
【0060】
吹出しガイドモジュール60Bを循環ベースモジュール33に取り付ける場合には、吹出しガイドモジュール60Bの爪部62bを循環ベースモジュール33の係止部32gに引っ掛けて一端側を循環ベースモジュール33にロックした後、モジュール本体61bの他端側のネジ止め部63bを循環ベースモジュール33の取付部32fにネジにより締め付けてネジ止めする。これにより、吹出しガイドモジュール60Bを循環ベースモジュール33に着脱可能に取り付けることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、循環ベースモジュール33は共通部品により構成されているので、吹出しガイドモジュール60A,60Bを組み替えることにより、少なくとも2種類の機能を備えた循環ユニット300(複数仕様の循環ユニット300)に変更することが可能となる。これにより、循環ベースモジュール33については、部品の共通化を図ることができるので、部品点数の削減効果からコストダウンを図ることができる。また、これに伴い、部品の管理負担の削減も図ることができる。
【0062】
また、従来では、循環ユニット300を組み付ける際のベース部品をイオン発生器70の有り無しで分けて製造しているため、循環ユニット300の組み付け完了後に、例えばイオン発生器70無しの仕様の循環ユニット300をイオン発生器70有りの仕様の循環ユニット300に変更することが困難であった。これに対し、本実施の形態によれば、例えばイオン発生器70の取り付けの有無について急な生産計画変更があった場合でも、吹出しガイドモジュール60A,60Bの組付けを最後の工程とすることで、吹出しガイドモジュール60A,60Bを要求に合わせて組み替えるだけで良いので、柔軟な対応が可能となる。
【0063】
また、吹出しガイドモジュール60A,60Bを難燃樹脂により構成し、これをヒーター4の裏面側に取り付けるので、循環ユニットケース32の全体を難燃樹脂材料や金属材料を用いる場合と比べて、安価に延焼防止構造を実現することができる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上記実施の形態では、吹出しガイドモジュール60として、難燃樹脂からなる吹出しガイドモジュール60Aと、難燃樹脂に加えてイオン発生器用取付部65を設けた吹出しガイドモジュール60Bと設けたが、これに限定されることはない。例えば、一般材のABS樹脂を用いてイオン発生器用取付部65を設けた吹出しガイドモジュールを設けることもできる。さらに、難燃樹脂やイオン発生器用取付部65以外の機能を持たせた吹出しガイドモジュールを構成することもできる。
【符号の説明】
【0065】
4 ヒーター
21 換気モータ
22 換気ユニットケース(ユニットケース)
60,60A,60B 吹出しガイドモジュール
200 換気ユニット
300 循環ユニット
400 本体ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10