特許第6035987号(P6035987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035987
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】排気再循環用ベンチュリ
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/19 20160101AFI20161121BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F02M26/19 331
   F02M26/19 321
   F02M35/10 311E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-178165(P2012-178165)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-34956(P2014-34956A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−507633(JP,A)
【文献】 実開平01−131855(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0199549(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0050120(US,A1)
【文献】 特開2010−071127(JP,A)
【文献】 特開2011−032984(JP,A)
【文献】 実開昭53−097220(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00−74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気管に接続されたEGR管と前記内燃機関の吸気管との接続部に設けられる排気再循環用ベンチュリであって、
前記吸気管に設けられ、前記吸気管の通路面積を絞るノズル部と、前記ノズル部の下流端に接続され、前記吸気管の下流側に行くに従い前記吸気管の通路面積を増加させるディフューザ部と、前記EGR管に基端が接続されると共に、先端が前記ノズル部の中心部分に開口される排気ガス供給管、前記ノズル部よりも上流の前記吸気管に設けられ、前記吸気管を流れる新気に旋回流を付与する新気側スワーラとを備え
前記排気ガス供給管は、前記EGR管に接続されて前記ノズル部よりも上流側の前記吸気管内を前記吸気管の径方向に延びる第一供給管と、前記第一供給管の下流端から前記吸気管の軸線方向に延びて前記ノズル部の中心部分に開口される第二供給管とを有し、
前記新気側スワーラは、前記吸気管の内周壁面と前記第二供給管との間に周方向に複数設けられたプロペラ状の羽根を有することを特徴とする排気再循環用ベンチュリ。
【請求項2】
前記排気ガス供給管に設けられ、前記排気ガス供給管から前記ノズル部に供給される排気ガスに旋回流を付与する排気ガス側スワーラを更に備える請求項1に記載の排気再循環用ベンチュリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路に接続された排気再循環通路と内燃機関の吸気通路との接続部に設けられる排気再循環用ベンチュリに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンにおいては、NOx(窒素酸化物)を低減させるためにEGRシステムが用いられるが、このEGRシステムにおいては、新気と排気ガスとを均一に混ぜるためにEGR用ベンチュリ(排気再循環用ベンチュリ)が用いられることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
EGR用ベンチュリの一例を図5に示す。
【0004】
図5に示すEGR用ベンチュリ30は、エンジン1(図2参照)の吸気管2に設けられ、吸気管2の通路面積を絞るノズル部31と、ノズル部31よりも下流の吸気管2にノズル部31と間隔を隔てて設けられ、吸気管2の下流側に行くに従い吸気管2の通路面積を増加させるディフューザ部32と、ノズル部31とディフューザ部32との間隙の外周に設けられると共にEGR管6に接続される環状チャンバ33を有する排気ガス供給部34とを備える。
【0005】
そして、図5に示すEGR用ベンチュリ30に限らず、一般的な構造のEGR用ベンチュリでは、流速が上がり圧力が下がった新気の周囲に、EGRガス(排気ガス)が吸引されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−92592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本来、EGR用ベンチュリの機能は、排気ガスの吸入及び混合後、新気の圧力を元のレベル(元の圧力とほぼ同等の状態)まで回復させることにある。しかしながら、類例のEGR用ベンチュリも含め、新気の周囲に排気ガスを吸引させるEGR用ベンチュリでは、図5に示すように新気がディフューザ部内の内周側を流れ且つ排気ガスがディフューザ部内の外周側を流れ、新気の圧力がさほど回復されないのである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、新気の圧力を元の圧力とほぼ同等の状態まで回復させることが可能な排気再循環用ベンチュリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る排気再循環用ベンチュリは、内燃機関の排気通路に接続された排気再循環通路と前記内燃機関の吸気通路との接続部に設けられる排気再循環用ベンチュリであって、前記吸気通路に設けられ、前記吸気通路の通路面積を絞るノズル部と、前記ノズル部の下流端に接続され、前記吸気通路の下流側に行くに従い前記吸気通路の通路面積を増加させるディフューザ部と、前記排気再循環通路に基端が接続されると共に、先端が前記ノズル部の中心部分に開口される排気ガス供給路とを備えるものである。
【0010】
前記排気ガス供給路は、前記排気再循環通路に接続されて前記ノズル部よりも上流側の前記吸気通路内を前記吸気通路の径方向に延びる第一供給路と、前記第一供給路の下流端から前記吸気通路の軸線方向に延びて前記ノズル部の中心部分に開口される第二供給路とを有するものであっても良い。
【0011】
前記排気再循環用ベンチュリは、前記ノズル部よりも上流の前記吸気通路に設けられ、前記吸気通路を流れる新気に旋回流を付与する新気側スワーラを更に備えるものであっても良い。
【0012】
前記排気再循環用ベンチュリは、前記排気ガス供給路に設けられ、前記排気ガス供給路から前記ノズル部に供給される排気ガスに旋回流を付与する排気ガス側スワーラを更に備えるものであっても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新気の圧力を元の圧力とほぼ同等の状態まで回復させることが可能な排気再循環用ベンチュリを提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る排気再循環用ベンチュリの側断面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図2】排気再循環用ベンチュリが用いられるEGRシステムの一例を示す概略図である。
図3】(a)は変形例に係る排気再循環用ベンチュリの側断面図であり、(b)は(a)のB−B線断面図である。
図4】(a)は変形例に係る排気再循環用ベンチュリの側断面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図である。
図5】(a)は比較例に係る排気再循環用ベンチュリの側断面図であり、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図2に本実施形態に係るEGR用ベンチュリ(排気再循環用ベンチュリ)が用いられるEGRシステムを示す。
【0017】
図2に示すように、内燃機関(エンジン)1は、エンジン本体1aと、エンジン本体1aに吸気を供給する吸気管(吸気通路)2と、エンジン本体1aからの排気を排出する排気管(排気通路)3と、エンジン本体1aに供給する吸気を昇圧するためのターボチャージャ(過給機)4と、排気通路内の排気ガスの一部を吸気通路に戻すEGRシステム5とを備える。
【0018】
エンジン1は、エンジン本体1aに複数の気筒(燃焼室)1bが形成された多気筒エンジン(図示例では、直列6気筒ディーゼルエンジン)であり、エンジン本体1aには、吸気通路の下流端部をなす吸気マニホールド1cと、排気通路の上流端部をなす排気マニホールド1dとが接続される。
【0019】
ターボチャージャ4は、排気管3に配設されたタービン4aと、吸気管2に配設されたコンプレッサ4bとを有する。タービン4aよりも下流の排気管3には、図示しない排気ガス後処理装置やマフラー等が設けられる。コンプレッサ4bよりも上流の吸気管2には、図示しないエアクリーナ等が設けられ、コンプレッサ4bよりも下流の吸気管2には、インタークーラ9等が設けられる。
【0020】
EGRシステム5は、所謂高圧EGRシステムであり、タービン4aよりも上流の排気管3とコンプレッサ4bよりも下流の吸気管2とを連通するEGR管(排気再循環通路)6と、EGR管6に設けられたEGRバルブ7とを有する。なお、図示はしないが、EGRクーラを、EGR管6におけるEGRバルブ7の上流側又は下流側に設けても良い。
【0021】
図2に示すEGRシステム5では、EGR用ベンチュリ10が、EGR管6と吸気管2との接続部に配設される。より詳細には、EGR用ベンチュリ10は、インタークーラ9と吸気マニホールド1cとの間の吸気管2(つまり、インタークーラ9よりも下流の吸気管2)に配設される。
【0022】
図1に本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10を示す。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10は、吸気管2に設けられ、吸気管2の通路面積を絞るノズル部11と、ノズル部11の下流端に接続され、吸気管2の下流側に行くに従い吸気管2の通路面積を増加させるディフューザ部12と、EGR管6に基端が接続されると共に、先端がノズル部11の中心部分に開口される排気ガス供給管(排気ガス供給路)13とを備える。
【0024】
ノズル部11は、吸気管2の上流側から下流側に行くに従い吸気管2の通路面積を減少させることにより、新気の流速を上げ、新気の圧力を下げるものである。ノズル部11は、図示例では内周壁面14が吸気管2の軸線方向に関して曲線状に形成されているが、内周壁面14が吸気管2の軸線方向に関して直線状に形成されていても良い。
【0025】
ディフューザ部12は、吸気管2の上流側から下流側に行くに従い吸気管2の通路面積を増加させることにより、新気の流速を下げ、新気の圧力を上げる(回復させる)ものである。ディフューザ部12は、ノズル部11に対して同心的に配設される。また、ディフューザ部12は、図示例では内周壁面15が吸気管2の軸線方向に関して直線状に形成されているが、内周壁面15が吸気管2の軸線方向に関して曲線状に形成されていても良い。
【0026】
排気ガス供給管13は、EGR管6からの排気ガスをノズル部11の中心部分に供給するものである。排気ガス供給管13は、EGR管6に接続されてノズル部11よりも上流側の吸気管2内を吸気管2の径方向(つまり、吸気管2内の外周側から内周側)に延びる第一供給管(第一供給路)16と、第一供給管16の下流端から吸気管2の軸線方向(つまり、吸気管2内の上流側から下流側)に延びてノズル部11の中心部分に開口される第二供給管(第二供給路)17とを有する。つまり、排気ガス供給管13は、第一供給管16及び第二供給管17を含むL字管(エルボ管)から構成されている。また、第二供給管17は、ノズル部11及びディフューザ部12に対して同心的に配設される。
【0027】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0028】
本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10は、排気ガス供給管13により排気ガスがノズル部11の中心部分に供給されることにより、新気がディフューザ部12内の外周側を流れ、排気ガスがディフューザ部12内の内周側(ディフューザ部12の中心部分)を流れるようにしたものである。つまり、本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10では、流速が上がり圧力が下がった新気の内方に排気ガスが吸引される。
【0029】
図5に示す比較例に係るEGR用ベンチュリ30では、新気の周囲に排気ガスが吸引されるので、排気ガスが邪魔をして新気はディフューザ部12の中心部分を流れる。そのため、新気の実質の通路面積は細いままなので、新気の流速が下がらず、新気の圧力は低いままである。つまり、図5に示すEGR用ベンチュリ30では、新気の圧力はさほど回復しない。
【0030】
他方、図1に示す本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10では、図1に示すように新気がディフューザ部12内の外周側を流れ、排気ガスがディフューザ部12内の内周側を流れるので、新気の圧力が元のレベル(元の圧力とほぼ同等の状態)まで回復される。つまり、本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10では、新気はディフューザ部12の内周壁面15に沿って流れるので、新気の実質の通路面積が徐々に増え、新気の流速が下がり、新気の圧力が完全に元のレベルまで回復されるのである。
【0031】
また、本実施形態に係るEGR用ベンチュリ10では、排気ガス供給管13は、EGR管6に接続されてノズル部11よりも上流側の吸気管2内を吸気管2の径方向に延びる第一供給管16と、第一供給管16の下流端から吸気管2の軸線方向に延びてノズル部11の中心部分に開口される第二供給管17とを有するので、排気ガス供給管13により排気ガスを効率よくノズル部11内に供給することが可能となる。つまり、排気ガス供給管13の大部分はノズル部11よりも上流側の吸気管2内に位置し、第二供給管17の先端部のみがノズル部11内に位置するので、ノズル部11及びディフューザ部12を含む吸気管2の圧力損失増加を抑制することができる。
【0032】
以上要するに、本実施形態によれば、簡単な構造変更により、新気の圧力を元の圧力とほぼ同等の状態まで回復させることが可能なEGR用ベンチュリを提供することができる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0034】
例えば、図3に示すように、ノズル部11よりも上流の吸気管2に、吸気管2を流れる新気に旋回流を付与するスワーラ(新気側スワーラ)18を設けても良い。新気側スワーラ18は、吸気管2の内周壁面2aと排気ガス供給管13の第二供給管17との間に周方向に複数(図示例では、六枚)設けられたプロペラ状の斜板(羽根)19を有している。このように、吸気管2に新気側スワーラ18を設けることで、新気と排気ガスとの混合を良くすることが可能である。
【0035】
また、図4に示すように、排気ガス供給管13に、排気ガス供給管13からノズル部11に供給される排気ガスに旋回流を付与するスワーラ(排気ガス側スワーラ)20を設けても良い。排気ガス側スワーラ20は、排気ガス供給管13の第二供給管17内に周方向に複数(図示例では、四枚)設けられたプロペラ状の斜板(羽根)21を有している。このように、排気ガス供給管13に排気ガス側スワーラ20を設けることで、新気と排気ガスとの混合を良くすることも可能である。もちろん、ノズル部11よりも上流の吸気管2及び排気ガス供給管13の両方にスワーラ(新気側スワーラ18、排気ガス側スワーラ20)を設けても良い。
【0036】
更に、エンジン1は、ディーゼルエンジンには限定はされず、例えばガソリンエンジン等であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン(内燃機関)
2 吸気管(吸気通路)
3 排気管(排気通路)
6 EGR管(排気再循環通路)
10 EGR用ベンチュリ(排気再循環用ベンチュリ)
11 ノズル部
12 ディフューザ部
13 排気ガス供給管(排気ガス供給路)
16 第一供給管(第一供給路)
17 第二供給管(第二供給路)
18 スワーラ(新気側スワーラ)
20 スワーラ(排気ガス側スワーラ)
図1
図2
図3
図4
図5