(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
  以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に関する自動取引装置の外観図である。自動取引装置1は銀行等の金融機関に設置され、入出金取引等の金融取引が可能である。自動取引装置1は入出金取引において、利用者が投入した紙幣を処理し又は利用者に対して紙幣を返却するための紙幣処理部7を有する。入金取引等の紙幣を投入する取引においては、利用者が当該紙幣処理部7に紙幣をセットすると、これを自動取引装置1が自動計数し、装置内部に取込む。一方、支払取引等の紙幣を利用者に払出す取引においては、自動取引装置1が紙幣を自動計数し、当該紙幣処理部7に集積することにより、利用者が取り出し可能となる。
 
【0011】
  また、自動取引装置1は同じく、投入した硬貨を処理し又は利用者に返却するための硬貨処理部8を有する。入金取引等の硬貨を自動取引装置1に投入する取引において、利用者が当該硬貨処理部8に硬貨をセットすると、これを自動取引装置1が自動計数し、装置内部に取込む。支払取引等の硬貨を利用者に払出す取引においては、自動取引装置1が硬貨を自動計数し、当該硬貨処理部8に集積することにより、利用者が取り出し可能となる。更に、自動取引装置1は利用者が投入したキャッシュカードのデータを読取るカード処理部9と、利用者が投入した通帳に取引データを記帳する通帳処理部10を有する。
 
【0012】
  自動取引装置1は、利用者が操作するための入力機能と利用者の操作をガイドする表示機能を備えたタッチパネル式の操作表示画面4を有する。通常、利用者は操作表示部4の表示に従って取引を進めるが、本実施の形態に関する自動取引装置1は後述するように利用者が保有する無線端末2の操作表示部21の表示に従って取引を進める。従って、その間自動取引装置1の操作表示部4は省電力モードを維持する。自動取引装置1は、利用者が取引を開始するために自動取引装置1に近づいたことを検知するための近接センサ11を装置前面に設ける。そして、自動取引装置1は、利用者の操作をガイドするためのスピーカ6を同じく装置前面に設ける。
 
【0013】
  本実施の形態に関する自動取引装置1は、後述するように無線端末2の情報を読取る無線タグリーダ3と有線16で接続されている。無線タグリーダ3は無線タグリーダ設置台3−1に設けられてもよく、図示しない壁に設けられてもよい。いずれにしろ、無線タグリーダ3は自動取引装置1の近接センサ11の検知範囲11−1外でかつ自動取引装置設置ブースの入口近くに設けられる。
 
【0014】
  利用者が保有する無線端末2は、後述する無線タグ23を搭載する。利用者は無線タグ23を搭載された無線端末2を無線タグリーダ3にかざすことにより、無線端末2を利用した金融取引の操作を開始することができる。
 
【0015】
  図2は第1の実施の形態に関する自動取引装置の構成図である。同図において
図1と同じ構成部分は同じ符号にて示してある。音声ガイダンス部5は、利用者が操作表示部4を使用して取引を進めるとき、スピーカ6に操作をガイドする音声を送る。本実施の形態に関して、利用者が次に説明する無線端末2の操作表示部21を使用して取引を進めるときも同様に、音声ガイダンス部5からスピーカ6に操作をガイドする音声が送られる。
 
【0016】
  紙幣処理部7、硬貨処理部8、カード処理部9及び通帳処理部10は利用者が選択した取引に基づき、装置制御部15の制御に従ってこれらのうち必要なユニットが動作する。更に、近接センサ11は、利用者が接近したことを装置制御部15に知らせる。装置記憶部12は装置制御部15の制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する。
 
【0017】
  回線送受信部13は、利用者の取引情報を回線17を介してホストコンピュータ100と送受信する。前記無線タグリーダ3は自動取引装置1の外部に設けられ、有線16を介して、装置制御部15へ無線端末2の情報を送信する。無線タグリーダ3は利用者が無線端末2をかざすことにより、無線回線19を介して、無線端末2と通信を行う。その内容は、後述するように利用者が、自動取引装置1において取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報を検知する。具体的には、当該無線端末2の固有の番号である端末固有番号を含んだ情報である。無線タグリーダ3は、これを検知すると、有線16を介して、装置制御部15に送信する。
 
【0018】
  そして、取引情報送受信部14は、無線回線18を介して、無線端末2との間で送受信を行う。取引情報送受信部14は、前述の端末固有番号を改めて受信すると、この情報を装置制御部15へ送信する。装置制御部15は、事前に無線端末2から端末固有番号を受信しているので、取引情報送受信部14に対し、無線端末2との無線接続開始の設定を許可することができる。そして、取引情報送受信部14は、利用者が自動取引装置1を利用して行うための取引情報を送受信する。
 
【0019】
  図3は第1の実施の形態に関する無線端末の外観図である。無線端末2は通常のスマートフォン又は携帯電話である。無線端末2には利用者が入力操作を行う操作表示部21を有する。利用者は、自動取引装置1の操作表示部4の代わりに、自分が保有する無線端末2の操作表示部21を操作して、自動取引装置1のスピーカ6からの音声ガイドを聞きながら自動取引装置1の前で取引操作を行うことができる。よって、自動取引装置1は操作表示部4を動作させないので、操作表示部4を省電力モードに維持することができる。
 
【0020】
  図4は第1の実施の形態に関する無線端末の構成図である。本実施の形態に関する機能のみ示し、携帯電話又はスマートフォンとしての他の機能については説明を省略する。利用者が操作する操作表示部21は、利用者が操作するための入力機能と利用者の操作をガイドする表示機能を備えたタッチパネル方式からなる。操作表示部21は端末制御部25の制御によって表示され、その表示データは無線送受信部24が無線回線18を介して自動取引装置1の前記取引情報送受信部14から受信する。一方、利用者によって操作表示部21に入力された入力データは端末制御部25の制御によって無線送受信部24へ送られる。そして、送られた入力データは、無線送受信部24から無線回線18を介して自動取引装置1の前記取引情報送受信部14へ送られる。
 
【0021】
  自動取引装置1の取引情報送受信部14と無線端末2の無線送受信部24を接続する無線回線18は、携帯電話回線又はインターネット回線でもよい。また、数m程度の機器間に使われる短距離無線通信技術で利用する無線回線18でもよい。接続に当たっては端末認証を行う。端末認証は前述の端末固有番号を利用してもよい。
 
【0022】
  前述のように自動取引装置1の取引情報送受信部14は装置制御部15の制御によって動作する。よって、無線端末2の操作表示部21は、間接的に自動取引装置1の装置制御部15の制御によって表示と入力が行われることになる。
 
【0023】
  無線タグ23は、前述のように利用者が最初に無線端末2を無線タグリーダ3にかざすことにより、無線回線19を介して、無線タグリーダ3と通信を行う。その内容は、本実施の形態においては、無線端末2の保有者としての利用者が、自動取引装置1において無線端末2を利用した取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報である。この情報は、無線端末2の前述の端末固有番号を含んだ情報である。この情報は無線端末2のアプリケーションにより、予め利用者が操作表示部21を操作することにより、端末記憶部22に格納される。そして、この情報は無線タグ23から無線タグリーダ3へ送信され、前述のように有線16を介して、自動取引装置1の装置制御部15へ送信される。端末記憶部22は、端末制御部25の制御に必要な各種プログラム及びデータを記憶する。無線送受信部24は前述のように無線回線18を介して自動取引装置1の取引情報送受信部14との間で情報を送受信する。無線送受信部24は自動取引装置1との接続開始にあたり、端末認証を行う。端末認証のために前記端末固有番号を送信することにしてもよい。これにより無線接続の設定を開始する。また、端末制御部25は、無線端末2内の各部の動作を制御する。
 
【0024】
  図5は第1の実施の形態に関する自動取引装置の動作を示すフローチャートである。
  S101:自動取引装置1の装置制御部15は、各ユニットを省電力モードに初期設定する。具体的には、無線タグリーダ3及び近接センサ11以外の各部は待機状態とする。
 
【0025】
  S102:装置制御部15は、無線タグリーダ3に対し、利用者の保有する無線端末2の無線タグ23からの情報を検知したかどうか送信するよう指示する。無線タグ23からの情報は、利用者が自動取引装置1において無線端末2を利用した取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報である。この情報は、無線端末2の前述の端末固有番号を含む。なお、装置制御部15は装置記憶部12に対し、端末固有番号を一旦記憶するよう指示する。無線タグリーダ3からの無線タグ23の検知の受信があるとき、即ち利用者が無線端末2を利用して取引をすることが判明したときはステップ107へ移行し、検知の受信がないときはステップ103へ移行する。
 
【0026】
  S103:装置制御部15は、近接センサ11に対し、利用者が自動取引装置1に接近したかどうか知らせるよう指示する。近接センサ11からの利用者が接近したことの知らせがあるときはステップ104へ移行し、接近したことの知らせがないときはステップ102へ戻る。
 
【0027】
  S104:近接センサ11からの利用者が接近したことの知らせがあったとき、装置制御部15は操作表示部4に対し、省電力ボードを解除、即ち電源を投入し表示を開始するよう指示する。
S105:そして、装置制御部15は、自動取引装置1の操作表示部4を除く全てのユニットに対し、省電力モードを解除するよう指示する。
 
【0028】
  S106:装置制御部15は、操作表示部4に対し、図示しない取引選択画面を表示するよう指示する。操作表示部4の前記取引選択画面において、利用者が希望する取引を選択すると、装置制御部15はこの取引に従って各部を動作する。これにより利用者は自動取引装置1の操作表示部4を使用した通常の操作方法で取引を行うことができる。
 
【0029】
  S107:一方、ステップ102において、無線タグリーダ3からの無線タグ23の検知の受信があったとき、装置制御部15は、近接センサ11に対し、利用者が自動取引装置1に接近したかどうか知らせるよう指示する。近接センサ11からの利用者が接近したことの知らせがあるときはステップ108へ移行する。
 
【0030】
  S108:装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、端末認証を行うよう指示する。取引情報送受信部14は、無線端末2の無線送受信部24との間で端末認証のためのデータを送受信する。端末認証を前述の端末固有番号で行う場合は、取引情報送受信部14は無線端末2の無線送受信部24から端末固有番号を受信すると装置制御部15へ送信する。装置制御部15は、ステップ102で装置記憶部12に記憶した端末固有番号との一致をチェックする。一致したとき、装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、利用者の保有する無線端末2と無線接続の設定を開始するよう指示する。
 
【0031】
  S109:無線接続ができなければ、ステップ102へ戻り、接続ができればステップ110へ移行する。
S110:装置制御部15は、自動取引装置1の操作表示部4を除く全てのユニットに対し、省電力モードを解除するよう指示する。なお、操作表示部4は省電力モードを維持する。
  S111:装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、無線端末2の無線送受信部24へ無線端末2用の取引選択画面20を送信するよう指示する。
 
【0032】
  図6は第1の実施の形態に関する無線端末用の取引選択画面を示す説明図である。無線端末2用の取引選択画面20は、無線端末2の操作表示部21に表示される。取引選択画面20は、「取引を選択してください。」の案内文並びに預け入れボタン26、お引き出しボタン27、振込みボタン28、残高照会ボタン29、通帳記帳ボタン31及び送信ボタン42が表示される。利用者が取引を選択するために、例えばお引き出しボタン27を押下すると、そのお引き出しボタン27が強調表示される。
 
【0033】
  そして、送信ボタン42を押下すると、お引き出しボタン27が選択された情報が、端末制御部25の制御に基づき、無線送受信部24から自動取引装置1の取引情報送受信部14へ送られる。利用者が行う取引において、取引選択画面20以外に、暗証番号入力画面、金額入力画面、金額確認画面等は自動取引装置1の装置制御部15の制御によって、無線端末2の操作表示部21に表示されるが説明を省略する。こうして装置制御部15はこの取引に従って各部を動作する。これにより利用者は無線端末2の操作表示部21を使用した操作方法で取引を行うことができる。
 
【0034】
  以上、第1の実施の形態によれば、無線端末2を保有した利用者が、無線端末2の操作表示部21を利用して、自動取引装置1を操作するにあたり、無線タグ23を搭載した無線端末2を無線タグリーダ3にかざすことにより、予め自動取引装置1の利用を送信することとした。これにより自動取引装置1は操作表示部4を動作させないで済むことを早期に判断することにより、自動取引装置1は始めから操作表示部4を省電力モードのままとすることができるので、操作表示部4の無駄な動作時間をなくし、省電力化に適した自動取引装置1を提供することが可能になる。
 
【0035】
  (第2の実施の形態)
  以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。前記第1の実施の形態においては、利用者が、無線端末2の無線タグ23を自動取引装置1の無線タグリーダ3にかざすことにより、利用者が予め自動取引装置1の利用を送信するものである。これに対し第2の実施の形態では、これに加えて、予め取引内容も無線端末2から無線タグリーダ3を介して自動取引装置1に送信するものである。
 
【0036】
  第2の実施の形態に関する自動取引装置1及び無線端末2の外観及び構成は、第1の実施の形態に関する自動取引装置1及び無線端末2とほぼ同じであるので
図1乃至
図4を流用する。本実施の形態において、無線タグ23は、前述のように利用者が無線端末2を無線タグリーダ3にかざすことにより、無線タグリーダ3と通信を行う。その内容は、まず無線端末2の保有者としての利用者が、自動取引装置1において無線端末2を利用した取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報である。次にこれに加えて、利用者が自動取引装置1において行う具体的取引を示す情報である。具体的には、取引選択画面に表示される取引である。即ち、預け入れ、お引き出し、振込み、残高照会及び通帳記帳等である。
 
【0037】
  これらの情報は無線端末2のアプリケーションにより、予め利用者が操作表示部21を操作することにより、端末記憶部22に格納される。そして、この情報は無線タグ23から無線タグリーダ3へ送信され、前述のように有線16を介して、自動取引装置1の装置制御部15へ送信される。
 
【0038】
  図7は第2の実施の形態に関する自動取引装置の動作を示すフローチャートである。ステップ201乃至206は、前記第1の実施の形態に関する動作を示す
図5のステップ101乃至106と同じであるので説明を流用する。
 
【0039】
  S207:ステップ202において、無線タグリーダ3からの無線タグ23の検知の受信があったときは、利用者が無線端末2を利用して取引をすることが判明したときである。換言すると、利用者が自動取引装置1において無線端末2を利用した取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報があったときである。装置制御部15は、無線タグリーダ3から利用者が自動取引装置1において希望する具体的取引を示す情報を検知するよう指示する。装置制御部15は、無線タグリーダ3から受取った利用者が希望する具体的取引名を一旦装置記憶部12へ格納する。なお、説明の都合上ステップ207はステップ202と異なるステップで表現してあるが、ステップ207はステップ202と同時に行ってもよい。
 
【0040】
  S208:装置制御部15は、近接センサ11に対し、利用者が自動取引装置1に接近したかどうか知らせるよう指示する。近接センサ11からの利用者が接近したことの知らせがあるときはステップ209へ移行する。
 
【0041】
  S209:装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、端末認証を行うよう指示する。取引情報送受信部14は、無線端末2の無線送受信部24との間で端末認証のためのデータを送受信する。所定の条件が一致したとき、装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、利用者の保有する無線端末2と無線接続の設定を開始するよう指示する。
 
【0042】
  S210:無線接続ができなければ、ステップ202へ戻り、接続ができればステップ211へ移行する。
S211:装置制御部15は、装置記憶部12に格納した利用者が希望する具体的取引を行った際に、省電力モードを解除する必要があるユニットがあるかどうかチェックする。
 
【0043】
  S212:装置制御部15は、利用者が希望する具体的取引を行った際に、省電力モードを解除する必要があるユニットに対し、省電力モードを解除するよう指示する。なお、操作表示部4は省電力モードを維持する。
 
【0044】
  S213:装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、無線端末2の無線送受信部24へ無線端末2用の取引選択画面20を送信するよう指示する。取引選択画面以後の画面、即ち、暗証番号入力画面、金額入力画面、金額確認画面等は自動取引装置1の装置制御部15の制御によって、無線端末2の操作表示部21に表示される。これらの説明は省略する。こうして装置制御部15はこの取引に従って各部を動作する。これにより利用者は無線端末2の操作表示部21を使用した操作方法で取引を行うことができる。
 
【0045】
  以上、第2の実施の形態によれば、無線端末2を保有した利用者が、無線端末2の操作表示部21を利用して、自動取引装置1を操作するにあたり、無線タグ23を搭載した無線端末2を無線タグリーダ3にかざすことにより、予め自動取引装置1の利用を送信するとともに、希望する取引も送信することとした。これにより自動取引装置1は操作表示部4を動作させないで済むことを早期に判断するとともに、省電力モードのままにするユニットも早期に判断することにより、自動取引装置1は操作表示部4のみならず省電力モードを解除しないユニットをも始めから省電力モードのままとすることができる。従って、操作表示部4等の無駄な動作時間をなくし、省電力化に適した自動取引装置1を提供することが可能になる。
 
【0046】
  (第3の実施の形態)
  次に、本発明の第3の実施の形態に関する自動取引装置について説明する。第3の実施の形態に関する自動取引装置32乃至34は、自動取引装置設置ブース35に複数の自動取引装置32乃至34が設置されている場合において、利用者が無線端末2を無線タグリーダ30にかざすと、複数の自動取引装置32乃至34のうち、利用可能な自動取引装置32乃至34を無線端末2に表示するというものである。
 
【0047】
  図8は第3の実施の形態に関する自動取引装置設置ブースの説明図である。銀行等の金融機関における自動取引装置設置ブース35には複数の自動取引装置32乃至34が設置されている。本実施の形態に関する自動取引装置32乃至24は、無線タグ23の情報を読取る無線タグリーダ30と有線36で接続されている。無線タグリーダ30は無線タグリーダ設置台3−1に設けられてもよく、図示しない壁に設けられてもよい。いずれにしろ、無線タグリーダ30は自動取引装置32乃至34の近接センサの検知範囲外でかつ入口35−1の近くに設けられる。その他第3の実施の形態に関する自動取引装置32乃至34及び無線端末2の外観及び構成は、第1の実施の形態に関する自動取引1及び無線端末2とほぼ同じであるので
図1乃至
図4を流用する。
 
【0048】
  自動取引装置32乃至34の構成において、無線タグリーダ30は自動取引装置32乃至34の外部に設けられ、有線36を介して、利用者の取引に先立って、無線端末2との情報を送受信する。即ち、無線タグリーダ30は無線端末2の無線タグ23からの情報を受信すると、装置制御部15へ送信するとともに、装置制御部15からの指示により自動取引装置32乃至34の情報を無線端末2の無線タグ23へ送信する。
 
【0049】
  具体的には、利用者が無線端末2を無線タグリーダ30にかざすことにより、利用者が、自動取引装置32乃至34のいずれかにおいて取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報が無線タグリーダ30に送られる。同時に、無線タグリーダ30からは、利用者が自動取引装置32乃至34のうちいずれかが利用可能であることを示す情報が無線端末2に送られる。
 
【0050】
  ここで、利用者が利用可能である自動取引装置32乃至34とは、無線端末2を使って取引を行う利用者が、取引を行うことによって省電力につながる可能性の高い自動取引装置32乃至34である。従って、単に空いているから利用可能とするのではなく、複数の自動取引装置が空いている場合は、操作表示部4がOFFの自動取引装置32乃至34を利用可能(空いていても操作表示部4が若干の時間ONとなっている場合もあるため)とする。更に、操作表示部4がOFFの自動取引装置32乃至34が複数あったときは、OFF時間の長い方を利用可能とすることにより省電力につながる可能性が高くなると考えられる。これらの判断は無線タグリーダ30が行う。無線タグリーダ30が利用可能な自動取引装置32乃至34のいずれか一を無線端末2に知らせる方法は、自動取引装置設置ブース35内の地図を表示することにより行う。
 
【0051】
  図9は第3の実施の形態に関する無線タグリーダの構成図である。無線タグリーダ30は、各自動取引装置32乃至34(同図では自動取引装置32のみを示す)と有線36を介して接続されている。ATM情報送受信部37は有線36に接続され、自動取引装置32乃至34と情報を送受信する。即ち、ATM情報送受信部37は、利用者が自動取引装置32乃至34において無線端末2を利用した取引を希望することを示す情報、即ち当該無線端末2が使用可能な端末であることを示す情報並びに後述する自動取引装置32乃至34の使用状況及び前記自動取引装置設置ブース35の地図のデータを送受信する。
 
【0052】
  利用可能ATM決定部38は、ATM情報送受信部37が受信した自動取引装置32乃至34の使用状況のデータから、無線端末2を保有する利用者が利用可能な自動取引装置32乃至34のうちいずれか一を決定する。地図データ作成部39は、ATM情報送受信部37が受信した自動取引装置設置ブース35の地図のデータを基に、利用可能ATM決定部38が決定した利用可能な自動取引装置32乃至34のうちいずれか一(仮に自動取引装置33とする)を強調表示した地図を作成する。
 
【0053】
  無線タグ送受信部41は、地図データ作成部39で作成した利用可能な自動取引装置33を示す地図を無線端末2へ送信する。そして、タグリーダ制御部40は各部を制御する。このように、無線タグリーダ30は利用可能ATM決定部38による利用可能ATM決定機能を有するが、この機能を複数の自動取引装置32乃至34のうちのいずれか一に付与してもよい。また、利用可能な自動取引装置33を示す地図を無線端末2へ送信することとしたが、無線タグリーダ30に図示しない表示部を設け、当該表示部に利用可能な自動取引装置33を示す地図を表示するようにしてもよい。
 
【0054】
  図10は第3の実施の形態に関する自動取引装置の動作を示すフローチャートである。ステップ301乃至306は、前記第1の実施の形態に関する動作を示す
図5におけるステップ101乃至106と同じであるので説明を流用する。
 
【0055】
  S307:ステップ302において、無線タグリーダ30からの無線タグ23の検知を受信したとき、即ち利用者が無線端末2を利用して取引をすることが判明したとき、自動取引装置32乃至34の装置制御部15は、無線タグリーダ30に対し、自動取引装置32乃至34の使用状況等のデータを送信する。これは無線タグリーダ30が、利用可能な自動取引装置32乃至34のうちいずれか一を決定するためデータである。具体的には、当該自動取引装置32乃至34の他の利用者による使用状況、操作表示部4のON又はOFFの状況及びOFFの場合のOFFになった時間である。
 
【0056】
  なお、これを受信した無線タグリーダ30は、このデータをもとに利用可能な自動取引装置32乃至34のうちいずれか一(自動取引装置33)を決定し、無線タグ23を介して無線端末2の操作表示部21へ地図を表示させる。無線タグリーダ30から利用可能な自動取引装置33が示された地図を受信した無線端末2において、端末制御部25は、無線タグ23から地図データを受取ると、操作表示部21に対し、当該地図データを表示するよう指示する。
 
【0057】
  図11は第3の実施の形態に関する無線端末の操作表示部の地図データを示す説明図である。無線端末2の操作表示部21には、地図データとして複数の自動取引装置画像32−1、33−1及び34−1が表示される。そのうち利用可能な自動取引装置33の自動取引装置画像33−1が強調表示される、そして、現在地より矢印が表示され、「まっすぐにお進みください」の文字が表示される。これにより利用者は、自分が保有する無線端末2の操作表示部21を確認しながら、利用可能な自動取引装置33へ進むことができる。
 
【0058】
  S308:自動取引装置33の装置制御部15は、近接センサ11に対し、利用者が自動取引装置33に接近したかどうか知らせるよう指示する。近接センサ11からの利用者が接近したことの知らせがあるときはステップ309へ移行する。
 
【0059】
  S309:自動取引装置33の装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、端末認証を行うよう指示する。取引情報送受信部14は、無線端末2の無線送受信部24との間で端末認証のためのデータを送受信する。所定の条件が一致したとき、装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、利用者の保有する無線端末2と無線接続の設定を開始するよう指示する。
 
【0060】
  S310:無線接続ができなければ、ステップ302へ戻り、接続ができればステップ311へ移行する。
S311:装置制御部15は、自動取引装置33の操作表示部4を除く全てのユニットに対し、省電力モードを解除するよう指示する。なお、操作表示部4は省電力モードを維持する。
 
【0061】
  S312:装置制御部15は、取引情報送受信部14に対し、無線端末2の無線送受信部24へ無線端末2用の取引選択画面20を送信するよう指示する。取引選択画面以後の画面、即ち、暗証番号入力画面、金額入力画面、金額確認画面等は自動取引装置33の装置制御部15の制御によって、無線端末2の操作表示部21に表示される。これらの説明は省略する。こうして装置制御部15はこの取引に従って各部を動作する。これにより利用者は無線端末2の操作表示部21を使用した操作方法で取引を行うことができる。
 
【0062】
  以上、第3の実施の形態によれば、自動取引装置設置ブース35内に複数の自動取引装置32乃至34が設置されている場合、無線端末2を使った利用者が取引を行うことによって省電力につながる可能性の高い自動取引装置32乃至34としての利用可能な自動取引装置32乃至34を無線端末2の操作表示部21に表示することとした。これにより、無線端末2を使用した取引が行われる可能性が高くなるので、省電力モードで動作する機会が増えるとともに、操作表示部4を使用しないで済むことを早期に判断し、操作表示部4等の無駄な動作時間をなくし、省電力化に適した自動取引装置33乃至34を提供することが可能になる。