(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナ部及び分配部にそれぞれ形成された位置決め孔に挿入され、前記アンテナ部に対する分配部の接続位置を位置決めするための位置決めピンを備えている請求項2〜4のいずれか一項に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
隣り合う前記分割体の輪切り面同士は、一方の輪切り面の前記導波路の開口周縁部を突出させた接続凸部を、他方の輪切り面の前記導波路の開口周縁部に面接触させた状態で接続されている請求項8に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
隣り合う前記分割体の各輪切り面にそれぞれ形成された位置決め孔に挿入され、前記分割体同士の接続位置を位置決めするための位置決めピンを備えている請求項8〜10のいずれか一項に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記水平偏波無指向性アンテナにあっては、多面合成をするために複数の導波管を用いるため、多面合成したアンテナ部が大型化するという問題があった。特に、ミリ波帯で用いられる水平偏波無指向性アンテナは、波長が小さくなるのに合わせて、アンテナ部を小型化することが求められている。
本発明は、このような実情に鑑み、水平偏波無指向性アンテナを小型化することができる新たな技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の水平偏波無指向性アンテナは、複数のアンテナ面が多面配置されてなる単一の多面体を有するアンテナ部を備え、前記多面体の各アンテナ面には、それぞれ導波路を構成する凹溝が形成され、前記凹溝には、その開口を覆うことで前記導波路を構成する壁部が設けられ、前記壁部には、前記導波路に連通して所定の周波数帯域で水平偏波を放射するスロットが形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、単一の多面体において多面配置された複数のアンテナ面に、導波路を構成する凹溝を形成したので、単一の部材によって複数の導波路を多面合成することができる。したがって、従来のように複数の導波管を用いて多面合成する場合に比べて、アンテナ部を小型化することができる。
【0007】
(2)前記水平偏波無指向性アンテナは、前記アンテナ部の各導波路にそれぞれ連通して分配給電する分配導波路が形成された分配部を備え、前記分配部は、前記アンテナ部とは別体とされていることが好ましい。
この場合、分配部とアンテナ部とを個別に製作することができるため、アンテナ全体を容易に製作することができる。
【0008】
(3)前記分配導波路は、前記分配部の端面に形成された凹部からなり、前記アンテナ部の端部には、前記分配部の凹部に挿入されて前記各導波路への給電分配比を調整する調整素子が突設されていることが好ましい。
この場合、分配部をアンテナ部から取り外すことにより、アンテナ部の端部に突設された調整素子が露出するため、調整素子を工具等で削り取ることで、各導波路への給電分配比を容易に調整することができる。また、前記給電分配比を調整するために、半田付け等の加工手段を用いて、調整素子を別途追加することにより、調整素子の形状を大きくすることもできる。
【0009】
(4)前記アンテナ部と分配部とは、前記導波路及び分配導波路のいずれか一方の開口周縁部が突出して形成された接続凸部を、他方の開口周縁部に面接触させた状態で接続されていることが好ましい。
この場合、アンテナ部と分配部とを接続した状態で、導波路の開口周縁部及び分配導波路の開口周縁部を確実に面接触させることができるため、導波路と分配導波路との接続部分から電波が洩れるのを効果的に抑制することができる。
【0010】
(5)前記アンテナ部には、外部機器に接続可能な単一のフランジが設けられ、前記フランジには、前記多面体とともに前記導波路を構成する貫通孔が複数形成されていることが好ましい。
この場合、単一のフランジに導波路を構成する複数の貫通孔が形成されているため、各導波路毎にフランジを設ける場合に比べて、アンテナ部における外部機器の接続構造を小型化することができる。
【0011】
(6)前記水平偏波無指向性アンテナは、前記壁部が、前記多面体の各アンテナ面に一体形成されていることが好ましい。
この場合、壁部を多面体と別体として設ける場合に比べて、部品点数が少なくなるため、アンテナ部の構成部材を簡素化することができる。
【0012】
(7)前記水平偏波無指向性アンテナは、前記アンテナ部及び分配部にそれぞれ形成された位置決め孔に挿入され、前記アンテナ部に対する分配部の接続位置を位置決めするための位置決めピンを備えていることが好ましい。
この場合、アンテナ部に対する分配部の接続位置を、位置決めピンにより容易に位置決めすることができる。
【0013】
(8)前記アンテナ部の導波路は、当該アンテナ部の軸方向に沿って直線路部と傾斜路部とが配置されて構成されており、前記アンテナ部は、前記直線路部と傾斜路部との境界で輪切り状に分割された複数の分割体により構成されていることが好ましい。
直線路部と傾斜路部とが同一の部材に一体に形成されていると、直線路部と傾斜路部とが繋がる折れ曲がり部分を形成する必要があるため、導波路の加工が困難となるが、直線路部と傾斜路部とを別部材に形成することにより、各部材の路部を折れ曲がりのない直線形状のみとすることができ、導波路の加工が容易になる。
【0014】
(9)隣り合う前記分割体の輪切り面同士は、一方の輪切り面の前記導波路の開口周縁部を突出させた接続凸部を、他方の輪切り面の前記導波路の開口周縁部に面接触させた状態で接続されていることが好ましい。
この場合、隣り合う分割体の輪切り面同士を接続した状態で、両分割体の各導波路の開口周縁部同士を面接触させることができるため、導波路の接続部分から電波が洩れるのを効果的に抑制することができる。
【0015】
(10)前記他方の輪切り面の導波路の開口周縁部は、前記接続凸部が嵌合する接続凹部とされ、前記接続凸部と前記接続凹部とを嵌合した状態で、前記他方の輪切り面の前記接続凹部を除く部分と、前記一方の輪切り面の前記接続凸部を除く部分との間には隙間が形成されていることが好ましい。
この場合、隣り合う分割体の輪切り面同士を接続する際に、接続凸部と接続凹部のみが面接触するため、両分割体の各導波路の開口周縁部同士をさらに確実に面接触させることができる。また、隣り合う分割体の輪切り面同士は、接続凸部と接続凹部とを嵌合させることで接続されるため、両分割体を容易に位置決めすることができる。
【0016】
(11)前記接続凸部及び接続凹部には、互いの嵌合位置を位置決めするための位置決め形状が形成されていることが好ましい。
この場合、接続凸部と接続凹部とは、正規の嵌合位置以外で嵌合することがないため、隣り合う分割体同士の一方の直線路部と他方の傾斜路部とを正確に接続することができる。
【0017】
(12)前記水平偏波無指向性アンテナは、隣り合う前記分割体の各輪切り面にそれぞれ形成された位置決め孔に挿入され、前記分割体同士の接続位置を位置決めするための位置決めピンを備えていることが好ましい。
この場合、隣り合う分割体同士の接続位置を、位置決めピンにより容易に位置決めすることができる。
【0018】
(13)前記位置決め孔は、前記輪切り面の中心点を通過する仮想直線に対して非線対称に形成されていることが好ましい。
この場合、隣り合う分割体同士は、正規の接続位置以外で接続されることがないため、隣り合う分割体同士の一方の直線路部と他方の傾斜路部とを正確に接続することができる。
【0019】
(14)前記多面体の上面から下方に延びる側面が、前記アンテナ面とされ、前記凹溝の一端部は、前記多面体の側面及び上面にそれぞれ開口するように形成されており、前記アンテナ部は、前記多面体とは別体であって、前記多面体の上面における前記凹溝の開口を覆うことで前記導波路を構成する蓋体を有していることが好ましい。
この場合、多面体のアンテナ面に凹溝を形成する際、蓋体を多面体に取り付ける前に、多面体の上面側から切削工具等により多面体を削り取ることができるため、凹溝を容易に形成することができる。特に、アンテナ面が上下方向に長く形成されるとともに、アンテナ面の長手方向に沿って凹溝を長く形成する場合に有効である。
【0020】
(15)前記水平偏波無指向性アンテナは、前記周波数帯域が、10GHz以上であることが好ましい。
この場合、10GHz以上の周波数帯域で用いられる水平偏波無指向性アンテナを小型化することができる。
【0021】
(16)前記水平偏波無指向性アンテナは、前記周波数帯域が、30GHz以上であることが好ましい。
この場合、30GHz以上のミリ波帯で用いられる水平偏波無指向性アンテナを小型化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、単一の部材によって複数の導波路を多面合成することができるため、従来のように複数の導波管を用いて多面合成する場合に比べて、アンテナ部を小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水平偏波無指向性アンテナを示す斜視図である。また、
図2は、その水平偏波無指向性アンテナを示す断面図である。
図1及び
図2に示すように、水平偏波無指向性アンテナ1は、例えばハイビジョンテレビカメラにより撮影された映像データを送信するモバイルアンテナとして使用されるものである。この水平偏波無指向性アンテナ1は、入力された電力を分配する分配部2と、所定の周波数帯域で水平偏波を放射するアンテナ部3と、アンテナ部3を覆うカバー部4とを備えている。前記周波数帯域は、10GHz以上、より好ましくは30GHz以上のミリ波帯に設定されており、本実施形態では40GHz(波長=7.5mm)に設定されている。
【0025】
図2に示すように、前記アンテナ部3は、その軸方向に3分割された第1〜第3分割体31〜33によって構成されている。前記カバー部4は、合成樹脂材料(例えばPTFE)により有底円筒状に形成されており、その開口を下方に向けた状態でアンテナ部3の全体を覆っている。カバー部4の外周には雄ねじ部4aが形成されており、この雄ねじ部4aは、分配部2の雌ねじ部12a(後述)に螺合されている。
【0026】
図3は、分配部2を示しており、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は底面図である。
図3(a)〜(c)に示すように、分配部2は、アンテナ部3とは別体とされており、当該アンテナ部3に対して着脱可能に接続される円柱状の基体11と、基体11の上方に突出する円筒状の突出体12とによって構成されている。突出体12の内周面には雌ねじ部12aが形成されている。基体11には、その中央部において上下方向に延びる断面矩形状の入力導波路13と、この入力導波路13の上方においてその路軸Zを中心として放射状に水平方向の4方向E1〜E4へ分岐する十字状の分配導波路14とが形成されている。また、基体11には、入力導波路13と分配導波路14との間に上下方向に延びる断面正方形状の接続路10が形成されている。なお、前記4方向E1〜E4は、水平方向のみならず、水平方向に対して斜め上方向又は斜め下方向であってもよい。
【0027】
前記入力導波路13は、
図3(a)に示すように、その断面形状の長辺方向に延びる中心線Cの一部が、分配導波路14の所定の隣り合う2つの分岐方向E1,E2の間に配置され、当該2つの分岐方向E1,E2に対してそれぞれ所定角度θ1,θ2傾斜するように形成されている。本実施形態では、前記所定角度θ1,θ2は、同一角度となるように45°に設定されている。
図3(b)及び
図3(c)に示すように、入力導波路13の下端は、基体11の底面中央部に開口して形成された入力接続口13aとされており、この入力接続口13aには、図示しない外部機器の入力機器(例えば、導波管)が接続され、電力が入力されるようになっている。入力接続口13aを含む入力導波路13の断面形状は、使用周波数(40GHz)に対応した規格上のサイズに設定されており、長辺が4.775mm、短辺が2.388mmに設定されている。
【0028】
図3(a),(b)に示すように、分配導波路14は、基体11の上面(端面)に形成されており、接続路10の直上において当該接続路10と同一断面形状に形成された中央凹部14a(
図3(a),(b)のクロスハッチング部分)と、この中央凹部14aから各分岐方向E1〜E4にそれぞれ延びて形成された第1〜第4凹部14b1〜14b4とによって構成されている。
前記接続路10は、
図3(b)に示すように、分配導波路14の中央部14aの直下に形成され、かつ入力導波路13よりも上方に形成されており、入力導波路13と分配導波路14とを接続している。また、接続路10は、
図3(a)の平面視において入力導波路13に外接するように形成されており、
図3(b)の側面視において接続路10と入力導波路13との間に段差が形成されている。接続路10の高さhは、使用周波数帯域の波長λに対してλ/8以上3λ/8以下の長さ範囲(より好ましくは3λ/16以上5λ/16以下)に設定されている。これにより、接続路10は、入力導波路13と分配導波路14との間でインピーダンスをマッチングするトランスとして機能する。
【0029】
分配導波路14の上部開口は、
図2及び
図4(b)に示すように、アンテナ部3の第1分割体31の下面31eにより、第1〜第4凹部14b1〜14b4の径方向外端部の4箇所を除いて覆われ、これら4箇所には、第1分割体31の各第1出力導波路31a〜31d(後述)と連通接続される断面矩形状の出力接続口14c〜14fがそれぞれ形成される。すなわち、分配導波路14には、外部機器の出力機器(本実施形態では第1分割体31)が接続されるとともに、前記入力接続口13aに入力された電力を分配して出力する複数(4つ)の出力接続口14c〜14fが形成される。
【0030】
前記出力接続口14c〜14fの各断面積は、対応する前記第1出力導波路31a〜31dの各断面積と同じ大きさであって、かつ入力接続口13aの断面積よりも小さく設定されている。具体的には、出力接続口14c〜14fの断面形状における長辺は、入力接続口13aの断面形状における長辺と同じ長さである4.775mmに設定され、出力接続口14c〜14fの断面形状における短辺は、入力接続口13aの断面形状における短辺よりも短い1.500mmに設定されている。
このように、分配後の各出力接続口14c〜14fの断面積を、分配前の入力接続口13aの断面積よりも小さくしたので、分配前と分配後の各接続口の断面積の大きさが同一の場合に比べて、分配器6を小型化することができる。しかも、本実施形態では、各出力接続口14c〜14fの短辺が、入力接続口13aの短辺よりも短く形成され、かつ各出力接続口14c〜14fの長辺が、入力接続口13aの長辺と同じ長さに形成されているため、各出力接続口14c〜14fの長辺の長さを変えることなく、各出力接続口14c〜14fの断面積を小さくすることができる。これにより、各出力接続口14c〜14fの断面積を小さくすることに起因して、導波路の周波数特性(通過帯域・カットオフ周波数等)が変化するのを防止することができる。
【0031】
なお、本実施形態における出力接続口14c〜14fは、アンテナ部3の一部(第1分割体31)に覆われることで形成されているが、アンテナ部3以外の別部材により分配導波路14の上部開口を覆うことで、出力接続口14c〜14fを形成するようにしてもよい。また、出力接続口14c〜14fの断面積は、その断面形状における長辺を、入力接続口13aの断面形状における長辺よりも短く設定することで、入力接続口13aの断面積よりも小さく設定されていてもよい。また、分配導波路14は、凹状に形成されているが、基体11の上部において水平方向に延びる孔により形成されていてもよい。
【0032】
図3(c)に示すように、分配部2の基体11の底面には、基体11に対する前記入力機器の接続位置を位置決めするための位置決めピン15が2個突設されている。また、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、基体11の上面には、有底の位置決め孔16が2個形成されており、各位置決め孔16には、アンテナ部3に対する基体11の接続位置を位置決めするための一対の位置決めピン17がそれぞれ挿入されている。また、基体11には、上下方向に貫通する一対の連結孔18が2個形成されている。
【0033】
以上の構成により、分配部2には、入力導波路13とこれに直交する十字状の分配導波路14とにより、マジックTのE面分岐及びH面分岐が構成されるため、入力接続口13aから入力導波路13に入力された電力を、分配導波路14の中央部から、水平方向(入力導波路14の路軸Zに対して直交する方向)へ4分配することができる。
その際、入力導波路13の前記中心線Cの一部は、
図3(a)に示すように、分配導波路14の所定の隣り合う2つの分岐方向E1,E2に対してそれぞれ45°傾斜しているため、分配導波路14の中央部から前記所定の隣り合う2つの分岐方向E1,E2へ2分配する第1の系統と、分配導波路14の中央部から他の隣り合う2つの分岐方向E3,E4へ2分配する第2の系統とに分けた場合、各系統では、マジックTのE面分岐により互いに0°/180°の位相差で2分配される。したがって、同一系統内における分岐方向E1,E2同士及び分岐方向E3,E4同士は、それぞれ互いに逆相となり、異なる系統間で隣り合う2つの分岐方向E1,E4同士及び分岐方向E2,E3同士は、それぞれ互いに同相となる。
【0034】
図4は、アンテナ部3の第1分割体31を示しており、(a)は正面図、(b)は底面図である。
図2及び
図4に示すように、第1分割体31は、薄肉に形成された円板からなり、その下面31eは、分配部2の基体11の上面において、上述のように分配導波路14の上部開口を覆うように配置されている。また、第1分割体31は、その厚さ方向(上下方向)に真っ直ぐ延びるように貫通形成された第1の直線路部からなる断面矩形状の4つの第1出力導波路31a〜31dを有している。
【0035】
図4(b)に示すように、前記4つの第1出力導波路31a〜31dのうち、2つの第1出力導波路31a,31c同士は、第1分割体31の中心線X1を挟んで互いに対称に形成され、他の2つの第1出力導波路31b,31d同士は、前記中心線X1と直交する第1分割体31の中心線Y1を挟んで互いに対称に形成されている。また、第1出力導波路31a,31cの各単体の断面形状は、それぞれ中心線Y1を挟んで対称に形成され、第1出力導波路31b,31dの各単体の断面形状は、それぞれ中心線X1を挟んで対称に形成されている。さらに、第1出力導波路31a〜31dの各断面形状は、全て同じ大きさの形状とされている。
【0036】
第1分割体31の下面31eには、各第1出力導波路31a〜31dへの給電分配比を調整する角柱状の調整素子5が一体に突設されている。この調整素子5は、第1分割体31を分配部2の基体11の上面に配置した状態で、分配導波路14の中央部に配置され、分配導波路14の中央凹部14a及び接続路10に挿入されている。調整素子5の水平断面は、例えば正方形に形成されており、調整素子5の各側面は、分配導波路14の十字方向(
図3(a)における分岐方向E1〜E4)を向いて配置されるようになっている。本実施形態では、分配部2、調整素子5及び第1分割体31の下面31eにより、入力接続口13a及び出力接続口14c〜14fを備えた分配器6を構成している(
図2参照)。
【0037】
図4(b)に示すように、第1分割体31には、2個の位置決め孔31fが貫通形成されており、各位置決め孔31fに前記位置決めピン17を挿入することで、第1分割体31に対する分配部2の基体11の接続位置を位置決めすることができる。また、第1分割体31には、上下方向に貫通する連結孔31gが2個形成されている。
【0038】
図5は、アンテナ部3の第2分割体32を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
図2及び
図5に示すように、第2分割体32は、第1分割体31よりも厚肉に形成された円板からなり、その下面は第1分割体31の上面に配置されている。また、第2分割体32は、その厚さ方向(上下方向)に斜めに貫通形成された傾斜路部からなる断面矩形状の4つの第2出力導波路32a〜32dを有している。第2出力導波路32a〜32dの各断面形状は、全て同じ大きさの形状であって、かつ第1分割体31の第1出力導波路31a〜31dの各断面形状と同じ大きさの形状とされている。
【0039】
図5(c)に示すように、前記4つの第2出力導波路32a〜32dのうち、2つの第2出力導波路32a,32c同士は、第2分割体32の中心線X2を挟んで互いに対称に形成され、他の2つの第2出力導波路32b,32d同士は、前記中心線X2と直交する第2分割体32の中心線Y2を挟んで互いに対称に形成されている。第2出力導波路32a,32cの各下部開口32a2,32c2は、それぞれ中心線Y2を挟んで対称に形成され、第2出力導波路32b,32dの各下部開口32b2,32d2は、それぞれ中心線X2を挟んで対称に形成されている。
【0040】
一方、
図5(a)に示すように、第2出力導波路32a,32cの各上部開口32a1,32c1は、それぞれ中心線Y2を挟んで非対称に形成され、第2出力導波路32b,32dの各上部開口32b1,32d1は、それぞれ中心線X2を挟んで非対称に形成されている。具体的には、上部開口32a1,32c1は、それぞれ中心線Y2に対して図の右側に偏って形成され、上部開口32b1,32d1は、それぞれ中心線X2に対して図の上側に偏って形成されている。したがって、隣り合う2つの上部開口32a1,32b1同士は互いに近接して形成され、他の隣り合う2つの上部開口32c1,32d1同士は互いに離反して形成されている。以上のように、第2分割体32の各第2出力導波路32a〜32dは、その厚さ方向(上下方向)に斜めに貫通形成されることで、上部開口32a1〜32d1と下部開口32a2〜32d2との相対位置がそれぞれ異なるように形成されている。
【0041】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第2分割体32の上面(輪切り面)には、第2出力導波路32a〜32dの上部開口32a1〜32d1の周縁部を上方に突出させた平面視円形状の接続凸部32eが形成されている。
第2分割体32の接続凸部32eよりも径方向外側の外周部32fには、2個の位置決め孔32gが貫通形成されており、各位置決め孔32gに前記位置決めピン17を挿入することで、第2分割体32に対する第1分割体31の接続位置を位置決めすることができる。また、第2分割体32の外周部32fには、上下方向に貫通する連結孔32hが2個形成されている。
【0042】
第2分割体32の接続凸部32eの上面には、有底円形の位置決め孔32iが2個形成されている。各位置決め孔32iは、接続凸部32eの上面の中心点P2を通過する仮想直線W2に対して互いに線対称に形成されている。各位置決め孔32iには、第2分割体32に対する第3分割体33の接続位置を位置決めするための一対の位置決めピン34がそれぞれ挿入されている。
【0043】
図6は、アンテナ部3の第3分割体33を示しており、(a)は(b)のB−B矢視端面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。第3分割体33は、単一の多面体36と、鍔部37とを有している。鍔部37は、円板状に形成されており、多面体36の下面に一体形成されている。本実施形態では、第1分割体31と、第2分割体32と、第3分割体33の鍔部37とが接続されることによって、分配部2又は導波管など他の外部機器が接続される単一のフランジ35を構成している。
なお、本実施形態のフランジ35は、第1分割体31と第2分割体32と鍔部37とによって構成されているが、第2分割体32と鍔部37とによって構成されていてもよいし、鍔部37のみによって構成されていてもよい。
【0044】
第3分割体33は、上下方向に真っ直ぐ延びるように形成された第2の直線路部からなる断面矩形状の4つの第3出力導波路(導波路)33a〜33dを有している。第3出力導波路33a〜33dの各断面形状は、全て同じ大きさの形状であって、かつ第2分割体32の第2出力導波路32a〜32dの各断面形状と同じ大きさの形状とされている。
前記鍔部37には、第3出力導波路33a〜33dを構成する複数(4つ)の貫通孔37a〜37dが形成されている。貫通孔37a〜37dは、第2出力導波路32a〜32dの上部開口32a1〜32d1と連通接続されるように、隣り合う2つの貫通孔37a,37b同士は互いに近接して形成され、他の隣り合う2つの貫通孔37c,37d同士は互いに離反して形成されている。
【0045】
前記鍔部37の下面(輪切り面)には、貫通孔37a〜37dの開口周縁部に、第2分割体32の接続凸部32eが嵌合する平面視円形状の接続凹部37eが形成されている。
図2に示すように、鍔部37の接続凹部37eに、第2分割体32の接続凸部32eを嵌合した状態で、接続凹部37eの下面と接続凸部32eの上面とが面接触した状態で接続される。その際、第2分割体32の上面の外周部32f(接続凸部32eを除く部分)と、鍔部37の下面の外周部37f(接続凹部37eを除く部分)との間には隙間S1が形成されている。
【0046】
なお、本実施形態のアンテナ部3は、第2分割体32と第3分割体33とを凹凸嵌合させているが、第1分割体31と第2分割体32とを凹凸嵌合させてもよい。但し、本実施形態の第1分割体31は薄肉に形成されているため、両分割体31,32を凹凸嵌合させなくても、第1分割体31の弾性変形により良好に面接触させることができる。
【0047】
また、
図7に示すように、分配部2の基体11とアンテナ部3の第1分割体31とを凹凸嵌合させるようにしてもよい。
図7において、基体11の上面には、分配導波路14の上部開口周縁部よりも径方向外方において上方に突出する接続凸部11aが形成され、第1分割体31の下面31eには、接続凸部11aが嵌合する接続凹部31hが形成されている。前記接続凸部11aを接続凹部31hに嵌合した状態で、接続凸部11aの上面と接続凹部31hの下面とが面接触する。その際、基体11の上面の外周部11b(接続凸部11aを除く部分)と、第1分割体31の下面31eの外周部31i(接続凹部31hを除く部分)との間には隙間S2が形成されている。なお、接続凸部11aは、分配導波路14の上部開口周縁部に沿って平面視十字状に突出するように形成されていてもよい。
【0048】
図6(c)において、前記鍔部37の接続凹部37eには、有底円形の位置決め孔37gが2個形成されている。各位置決め孔37gは、接続凸部32eの上面の中心点P3を通過する仮想直線W3に対して互いに線対称に形成されている。各位置決め孔37gには、第2分割体32の位置決め孔32iに挿入された前記位置決めピン34(
図5(b)参照)がそれぞれ挿入されることで、第2分割体32に対する第3分割体33の接続位置を位置決めすることができる。
【0049】
なお、第3分割体33の各位置決め孔37gは、仮想直線W3に対して線対称に形成されているが、仮想直線W3に対して非線対称に形成されていてもよい。例えば、
図8(a)に示すように、各位置決め孔37gの形成位置を、仮想直線W3に対して互いに非線対称としたり、
図8(b)に示すように、単一の位置決め孔37gのみとし、この位置決め孔37gの形状を、仮想直線W3に対して非線対称(例えば断面D字状)に形成したりしてもよい。
図8(a)又は
図8(b)の場合、第2分割体32の位置決め孔32iも、第3分割体33の位置決め孔37gと同様に、仮想直線W2に対して非線対称に形成すればよい。さらに、
図8(b)の場合、位置決めピン34は、その断面形状を位置決め孔32i,37gの形状に対応した形状にすればよい。このように、位置決め孔32i,37gを仮想直線W2,W3に対して非線対称とした場合、第3分割体33が、第2分割体32との正規の接続位置に対して、中心点P3回りに180°回転させた状態で接続されるのを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、位置決め孔32i,37gと位置決めピン34とによって、正規の接続位置以外で接続されるのを防止しているが、第2分割体32の接続凸部32eと第3分割体33の接続凹部37eとによって、正規の接続位置以外で接続されるのを防止するようにしてもよい。例えば、
図9に示すように、接続凹部37eに、接続凸部32eとの嵌合位置を位置決めするための位置決め形状として、円周方向の一部に直線部37e1を形成する。また、接続凸部32eにも、前記位置決め形状として、接続凹部37eと同様の直線部(図示省略)を形成する。これにより、第3分割体33が、第2分割体32との正規の接続位置に対して、中心点P3回りに180°回転させた状態で接続されるのを防止することができる。なお、前記位置決め形状は、正規の接続位置以外で接続されるのを防止することができれば、直線部37e1以外の形状であってもよい。
【0051】
図6(c)において、鍔部37の下面の外周部37fには、有底のねじ孔37hが2個形成されている。このねじ孔37hには、分配部2の連結孔18から、第1分割体31の連結孔31g,第2分割体32の連結孔32hをそれぞれ貫通したねじ(図示省略)が螺合される。これにより、分配部2とアンテナ部3との接続と、アンテナ部3の分割体31〜33同士の接続とを同時に行うことができる。
【0052】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、前記多面体36は、直方体状に形成されており、その側面は、多面配置(4面配置)された複数(4つ)のアンテナ面41とされている。各アンテナ面41には、前記第3出力導波路33a〜33dを構成する凹溝42a〜42dがそれぞれ形成されている。各凹溝42a〜42dの下端は、鍔部37の貫通孔37a〜37dとそれぞれ一体に連通している。また、各アンテナ面41には、各凹溝42a〜42dの開口を覆うことで第3出力導波路33a〜33dを構成する壁部43a〜43dがそれぞれ一体形成されている。壁部43a〜43dには、第3出力導波路33a〜33dに連通して水平偏波を放射するスロット44a〜44dがそれぞれ形成されている。
【0053】
図6(a)に示すように、前記凹溝42a〜42dは、鍔部37の貫通孔37a〜37dと同様に、隣り合う2つの凹溝42a,42b同士は互いに近接して形成され、他の隣り合う2つの凹溝42c,42d同士は互いに離反して形成されている。具体的には、互いに対向する凹溝42a,42cは、それぞれ多面体36の中心線Y3に対して図の右側に偏って形成され、互いに対向する凹溝42b,42dは、前記中心線Y3と直交する多面体36の中心線X3に対して図の上側に偏って形成されている。
【0054】
前記スロット44a〜44dは、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、各アンテナ面41の幅方向中央部において、壁部43a〜43dを厚み方向に貫通して形成された孔からなり、アンテナ面41の上下方向に延びて形成されている。
また、各スロット44a〜44dは、各アンテナ面41において、いずれも同一の高さ位置に形成されている。すなわち、
図2に示すように、入力導波路13の入力接続口13aから、接続路10、分配導波路14、第1出力導波路31a〜31d、及び第2出力導波路32a〜32dを通過して、第3出力導波路33a〜33dの各スロット44a〜44dまでの4つの導波路長さは、いずれも同一長さに設定されている。
【0055】
また、第3出力導波路33a〜33dに対する各スロット44a〜44dの形成位置は、
図6(a)に示すように、対応する第3出力導波路33a〜33dの断面形状の長手方向両側(幅方向両側)のうち、いずれか一方に偏っている。
具体的には、各アンテナ面41の外側から各スロット44a〜44dをそれぞれ
図6(a)の矢印a〜d方向に見た場合、スロット44a,44dの形成位置は、第3出力導波路33a,33dの右側に偏っており、スロット44b,44cの形成位置は、第3出力導波路33b,33cの左側に偏っている。したがって、分配部2の入力導波路13の中心線Cを挟んで隣り合う、スロット44a,44b同士及びスロット44c,43d同士は、前記形成位置の偏りが互いに逆方向であり、入力導波路13の中心線Cを挟まずに隣り合う、スロット44a,44d同士及びスロット44b,44c同士は、前記形成位置の偏りが互いに同じ方向となっている。
【0056】
図10は、各分岐方向E1〜E4におけるスロット44a〜44dの形成位置と位相との関係を示す説明図である。
上述したように、隣り合う2つの分岐方向E1,E2へ2分配する第1の系統と、他の隣り合う2つの分岐方向E3,E4へ2分配する第2の系統とに分けた場合、各系統では、マジックTのE面分岐により互いに0°/180°の位相差で2分配されるため、分配導波路14で分配されたときは、
図10に示すように、同一系統内における分岐方向E1,E2同士及び分岐方向E3,E4同士は、それぞれ互いに逆相となり、異なる系統間で隣り合う2つの分岐方向E1,E4同士及び分岐方向E2,E3同士は、マジックTのH面分岐となるため、それぞれ互いに同相となる。
しかし、互いに逆相となる分岐方向E1,E2におけるスロット44a,44b同士、及び分岐方向E3,E4におけるスロット44c,44d同士は、それぞれ前記形成位置の偏りが互いに逆方向であって、かつ上述のように導波路長さが同一であるため、放射される電波の向き(電界の向き)が互いに逆向き(180°差)となる。このため、分岐による逆相(0°/180°の位相差)と電波の向きがキャンセルし、互いに同相の電波を放射することができる。これにより、同一系統内における分岐方向E1,E2同士、及び分岐方向E3,E4同士を、互いに同相に補正することができる。
また、互いに同相となる分岐方向E1,E4におけるスロット44a,44d同士、及び分岐方向E2,E3におけるスロット44b,44c同士は、それぞれ前記形成位置の偏りが互いに同じ方向であって、かつ上述のように導波路長さが同一であるため、異なる系統間で隣り合う分岐方向E1,E4同士、及び分岐方向E2,E3同士は、互いに同相のまま維持される。
したがって、分配部2において、第1及び第2の系統においてそれぞれ逆相で2分配された電力を、アンテナ部3によりすべて同相に補正することができる。
【0057】
以上のように構成されたアンテナ部3は、
図2に示すように、分配部2で4分配された電力が、第1分割体31の第1出力導波路31a〜31d、第2分割体32の第2出力導波路32a〜32d、及び第3分割体33の第3出力導波路33a〜33dの順に給電されることにより、第3分割体33の各スロット44a〜44dから水平偏波を放射する。
また、アンテナ部3に形成される出力導波路は、
図2の下側からアンテナ部3の軸方向(図の上下方向)に沿って、第1の直線路部(第1出力導波路31a〜31d)、傾斜路部(第2出力導波路32a〜32d)、及び第2の直線路部(第3出力導波路33a〜33d)が、この順に配置されて構成される。そして、アンテナ部3は、第1の直線路部と傾斜路部との境界、及び傾斜路部と第2の直線路部との境界で、それぞれ輪切り状に分割することで、上述の複数(3つ)の分割体31〜33により構成されている。
【0058】
以上、本実施形態に係る水平偏波無指向性アンテナ1によれば、単一の多面体36において多面配置された複数のアンテナ面41に、出力導波路33a〜33dを構成する凹溝42a〜42dを形成したので、単一の部材によって複数の出力導波路33a〜33dを多面合成することができる。したがって、従来のように複数の導波管を用いて多面合成する場合に比べて、アンテナ部3を小型化することができる。特に、30GHz以上のミリ波帯で用いられる水平偏波無指向性アンテナ1を小型化する場合に有効である。
【0059】
また、分配部2は、アンテナ部3とは別体とされているため、分配部2とアンテナ部3とを個別に製作することで、アンテナ全体を容易に製作することができる。
また、アンテナ部3の第1分割体31に突設された調整素子5が、分配部2の分配導波路14に挿入されているため、分配部2を第1分割体31から取り外すことにより調整素子5を露出させることができる。これにより、調整素子5を工具等で削り取ることで、分配導波路14の4つの分岐方向E1〜E4への給電分配比やVSWR特性(インピーダンス特定)を容易に調整することができる。また、前記給電分配比等を調整するために、半田付けにより部材を足したり、大きく形成された部品と入れ替えることにより、調整素子5の形状を大きくすることもできる。
【0060】
また、アンテナ部3の第3分割体33には、単一のフランジ35を構成する鍔部37に第3出力導波路33a〜33dを構成する複数の貫通孔37a〜37dが形成されているため、各出力導波路毎にフランジを設ける場合に比べて、アンテナ部3における外部機器の接続構造を小型化することができる。
また、第3分割体33の多面体36の各アンテナ面41には、凹溝42a〜42dの開口を覆う壁部43a〜43dが一体形成されているため、壁部43a〜43dを多面体36と別体として設ける場合に比べて、部品点数が少なくなり、アンテナ部3の構成部材を簡素化することができる。
【0061】
また、アンテナ部3の第1分割体31の位置決め孔31fに、分配部2の位置決め孔16に挿入された位置決めピン17を挿入するようになっているため、アンテナ部3に対する分配部2の接続位置を容易に位置決めすることができる。
また、アンテナ部3の第1〜第3分割体31〜33は、出力導波路の第1の直線路部31a〜31dと傾斜路部32a〜32dとの境界、及び傾斜路部32a〜32dと第2の直線路部33a〜33dとの境界で輪切り状に分割して構成されているため、第1分割体31には第1の直線路部31a〜31dのみが形成され、第2分割体32には傾斜路部32a〜32dのみが形成され、第3分割体33には第2の直線路部33a〜33dのみが形成されることになる。これにより、直線路部31a〜31d,32a〜32dと傾斜路部32a〜32dとが別部材に形成されるため、各分割体31〜33の路部を折れ曲がりのない直線形状のみとすることができ、ワイヤー放電加工やドリル・エンドミル等を用いた機械加工により、出力導波路の加工を容易に行うことができる。
【0062】
また、隣り合う第2,第3分割体32,33同士を接続する際に、第2分割体32の接続凸部32eを、第3分割体33の接続凹部37eに嵌合させているため、両分割体32,33を容易に位置決めすることができる。また、接続凸部32eを接続凹部37eに嵌合させた状態で、第2分割体32の上面の外周部32fと、第3分割体33の下面の外周部37fとの間には隙間S1が形成されるため、第2分割体32の第2出力導波路32a〜32dの開口周縁部と、第3分割体33の第3出力導波路33a〜33dの開口周縁部とを確実に面接触させることができる。これにより、第2出力導波路32a〜32dと第3出力導波路33a〜33dとの接続部分から電波が洩れるのを効果的に抑制することができる。
【0063】
また、
図7に示すように、分配部2の基体11とアンテナ部3の第1分割体31とを凹凸嵌合させる場合、基体11の接続凸部11aを、第1分割体31の接続凹部31hに嵌合させているため、基体11と第1分割体31とを容易に位置決めすることができる。また、接続凸部11aを接続凹部31hに嵌合させた状態で、基体11の外周部11bと、第1分割体31の下面31eの外周部31iとの間には隙間S2が形成されるため、分配部2の分配導波路14の開口周縁部と、第1分割体31の出力導波路31a〜31dの開口周縁部とを確実に面接触させることができる。これにより、分配導波路14と出力導波路31a〜31dとの接続部分から電波が洩れるのを効果的に抑制することができる。
【0064】
また、第3分割体33の位置決め孔37gを、アンテナ部3における第2分割体32の位置決め孔32iに挿入された位置決めピン34に挿入するようになっているため、第2分割体32に対する第3分割体33の接続位置を容易に位置決めすることができる。
また、第2分割体32及び第3分割体33の位置決め孔32i,37gを、仮想直線W2,W3に対して非線対称とした場合(
図8参照)や、第2分割体32の接続凸部32e及び第3分割体33の接続凹部37eに、両者の嵌合位置を位置決めするための位置決め形状を形成した場合(
図9参照)には、第3分割体33が第2分割体32に対して中心点P3回りに180°回転させた状態で接続されるのを防止することができる。これにより、第2分割体32の傾斜路部32a〜32dと第3分割体33の第2の直線路部33a〜33dとを正確に接続することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る水平偏波無指向性アンテナを示しており、(a)は断面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。本実施形態の水平偏波無指向性アンテナ1は、アンテナ部3の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図11(a)及び
図11(b)に示すように、本実施形態のアンテナ部3は、厚肉に形成された鍔部37の上面に多面体36が一体に突設された単一の部材によって構成されている。アンテナ部3には、上下方向に真っ直ぐ延びる直線路部からなる断面矩形状の4つの出力導波路(導波路)3a〜3dが形成されている。出力導波路3a〜3dの各断面形状は、全て同じ大きさの形状とされている。
【0066】
鍔部37は、分配部2の基体11の上面に配置され、鍔部37の下面37iの中央部には、調整素子5が一体に突設されている。また、鍔部37には、出力導波路3a〜3dを構成する複数(4つ)の貫通孔37a〜37dが形成されている。鍔部37の下面37iは、基体11の分配導波路14の上部開口を、第1〜第4凹部14b1〜14b4の径方向外端部の4箇所を除いて覆っており、これら4箇所には、貫通孔37a〜37dと連通接続される断面矩形状の出力接続口14c〜14fがそれぞれ形成されている。本実施形態では、分配部2、調整素子5及び鍔部37の下面37iにより、入力接続口13a及び出力接続口14c〜14fを備えた分配器6を構成している。また、本実施形態では、鍔部37によって、分配部2又は導波管など他の外部機器が接続される単一のフランジ35を構成している。
【0067】
多面体36の各アンテナ面41には、出力導波路3a〜3dを構成する凹溝42a〜42d及び壁部43a〜43dが一体形成されており、凹溝42a〜42dの下端は、鍔部37の貫通孔37a〜37dとそれぞれ一体に連通している。壁部43a〜43dには、出力導波路3a〜3dに連通して水平偏波を放射するスロット44a〜44dが形成されている。
【0068】
図11(b)に示すように、凹溝42a,42c及び貫通孔37a,37cの各単体の断面形状は、多面体36の中心線Y3を挟んで対称に形成され、凹溝42b,42d及び貫通孔37b,37dの各単体の断面形状は、多面体36の中心線X3を挟んで対称に形成されている。出力導波路33a〜33dに対する各スロット44a〜44dの形成位置は、対応する出力導波路3a〜3dの断面形状の長手方向両側(幅方向両側)のうち、いずれか一方に偏っている。
【0069】
具体的には、各アンテナ面41の外側からスロット44a〜44dをそれぞれ
図11(b)の矢印a〜d方向に見た場合、スロット44a,44dの形成位置は、第3出力導波路33a,33dの右側に偏っており、スロット44b,44cの形成位置は、第3出力導波路33b,33cの左側に偏っている。したがって、分配部2の入力導波路13の中心線Cを挟んで隣り合う、スロット44a,44b同士及びスロット44c,43d同士は、前記形成位置の偏りが互いに逆方向であり、入力導波路13の中心線Cを挟まずに隣り合う、スロット44a,44d同士及びスロット44b,44c同士は、前記形成位置の偏りが互いに同じ方向となっている。これにより、本実施形態におけるスロット44a〜44dの形成位置と位相との関係は、第1の実施形態における
図10に示す関係と同一になるため、隣り合う2つの分岐方向E1,E2へ2分配する第1の系統と、他の隣り合う2つの分岐方向E3,E4へ2分配する第2の系統とに分けた場合、分配部2において、第1及び第2の系統においてそれぞれ逆相で2分配された電力を、アンテナ部3によりすべて同相に補正することができる。なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0070】
本実施形態の水平偏波無指向性アンテナ1によれば、単一の部材であるアンテナ部3に、直線路部からなる出力導波路3a〜3dを形成した簡単な構成としたので、アンテナ部3を安価に製作することができる。
なお、
図11(b)に示すように、本実施形態のスロット44a〜44dは、各アンテナ面41の幅方向中央部に形成されていないため、各アンテナ面41(4面)から放射される電波は4面対称とならない。したがって、アンテナの特性という観点では、第1の実施形態の方が、第2の実施形態よりも優れている。
【0071】
[第3の実施形態]
図12は、本発明の第3の実施形態に係る水平偏波無指向性アンテナを示す断面図である。本実施形態の水平偏波無指向性アンテナ1は、アンテナ部3の第3分割体33の構成が主に異なる点で第1の実施形態と相違する。
図12に示すように、本実施形態の第3分割体33は、多面体36が上下方向に長く形成されており、これに対応してカバー部4も上下方向に長く形成されている。多面体36は、その上面36aから下方に延びる各側面全体がアンテナ面41とされている。各アンテナ面41には、スロット44a〜44dが上下方向に所定間隔をあけて複数形成されている。
【0072】
また、各アンテナ面41の凹溝42a〜42dの上端部は、多面体36の上面36a及びアンテナ面41にそれぞれ開口するように形成されている。これらの開口のうち、アンテナ面41側の開口は、壁部43a〜43dにより覆われ、上面36a側の開口は、第3出力導波路(導波路)33a〜33dを構成する蓋体38により覆われている。蓋体38は、多面体36とは別体の平板部材からなり、その厚み方向にボルト39を貫通し、多面体36の上面36aの中央部に形成されたねじ孔36a1に螺合することで、多面体36に着脱可能に固定されている。なお、蓋体38は、ボルト39以外に、はんだ付け等により固定されていてもよい。また、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0073】
本実施形態の水平偏波無指向性アンテナ1によれば、多面体36の各アンテナ面41に凹溝42a〜42dを形成する際、蓋体38を多面体36に取り付ける前に、多面体36の上面36a側から切削工具等により多面体を削り取ることができるため、凹溝42a〜42dを容易に形成することができる。特に、各アンテナ面41が上下方向に長く形成されるとともに、各アンテナ面41の長手方向に沿って凹溝42a〜42dを長く形成する場合に有効である。
【0074】
[第4の実施形態]
図13は、本発明の第4の実施形態に係る水平偏波無指向性アンテナを示す断面図である。本実施形態の水平偏波無指向性アンテナ1は、分配部2及びアンテナ部3の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図13に示すように、本実施形態の分配部2は、突出体12の内側において基体11から上方に一体に突設された略円筒状の嵌合体19を備えている。また、本実施形態のアンテナ部3は、単一の多面体36と、多面体36の上部を覆う蓋体38とによって構成されている。
【0075】
図14は、分配部2を示しており、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D矢視断面図である。
図14(a)及び
図14(b)に示すように、嵌合体19の内周には、アンテナ部3の多面体36が嵌合される断面正四角形状の嵌合孔19aが形成されている。この嵌合孔19aを構成する各壁面19a1〜19a4は、基体11の上面に形成された分配導波路14の第1〜第4凹部14b1〜14b4の径方向外端部からそれぞれ上方に延びるように形成されている。また、各壁面19a1〜19a4には、段差部19a5〜19a8が形成されている。嵌合体19の外周面と突出体12の内周面との間には、カバー部4が挿入される円筒状の空間が形成されている。
【0076】
図13に示すように、基体11の分配導波路14の上部開口は、アンテナ部3の多面体36の下面36bにより、第1〜第4凹部14b1〜14b4の径方向外端部の4箇所を除いて覆われ、これら4箇所には、アンテナ部3の出力導波路3a〜3d(後述)と連通接続される断面矩形状の出力接続口14c〜14fがそれぞれ形成されている。本実施形態では、分配部2、調整素子5(後述)及び多面体36の下面36bにより、入力接続口13a及び出力接続口14c〜14fを備えた分配器6を構成している。
【0077】
図15は、アンテナ部3の多面体36を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
図15(a)〜
図15(c)に示すように、多面体36は、直方体状に形成されており、その上面36aから下方に延びる各側面がアンテナ面41とされている。各アンテナ面41には、段差部41a〜41dが形成されている。多面体36の下面36bの中央部には、調整素子5が一体に突設されている。
図13に示すように、多面体36を分配部2の嵌合孔19aに嵌合した状態で、前記段差部41a〜41dが嵌合孔19aの段差部19a5〜19a8にそれぞれ当接し、調整素子5が分配導波路14の中央部において分配導波路14の中央凹部14a及び接続路10に挿入された状態で保持される。その際、分配部2の嵌合孔19aの底面(
図14(a)のクロスハッチング部分)と、多面体36の下面36bの各角部(
図15(c)のクロスハッチング部分)とが面接触するようになっている。これにより、嵌合孔19aの底面と多面体36の下面36bとの間から電波が洩れるのを防止することができる。
また、多面体36を分配部2の嵌合孔19aに嵌合した状態で、分配部2の嵌合孔19aの壁面19a1〜19a4と、多面体36の各アンテナ面41の下部(
図15(b)のクロスハッチング部分)とが面接触するようになっている。これにより、嵌合孔19aの壁面19a1〜19a4と多面体36の各アンテナ面41との間から電波が洩れるのを防止することができる。
【0078】
各アンテナ面41には、その上下方向の全長に亘って、出力導波路(導波路)3a〜3dを構成する凹溝42a〜42dがそれぞれ形成されている。凹溝42a〜42dの幅方向両端部には、蓋体38の側板38a〜38d(後述)がそれぞれ嵌合する嵌合溝部42a4〜42d4,42a5〜42d5が形成されている。これにより、側板38a〜38dを嵌合溝部42a4〜42d4,42a5〜42d5に嵌合させた状態で、側板38a〜38dと嵌合溝部42a4〜42d4,42a5〜42d5(
図15(b)のハッチング部分)とが面接触するようになっている。これにより、蓋体38の側板38a〜38dと多面体36の凹溝42a〜42dとの間から電波が洩れるのを防止することができる。
凹溝42a〜42dには、その下端から上端に向かって、上下方向に真っ直ぐ延びる第1の直線溝部42a1〜42d1と、上下方向に傾斜して延びる傾斜溝部42a2〜42d2と、上下方向に真っ直ぐ延びる第2の直線溝部42a3〜42d3とが、この順に形成されている。
【0079】
第1の直線溝部42a1〜42d1の下端部は、多面体36の下面36b及びアンテナ面41にそれぞれ開口するように形成されており、
図13に示すように、アンテナ面41側の開口は、アンテナ部3を分配部2の嵌合孔19aに嵌合した状態で、嵌合孔19aの各壁面19a1〜19a4によりそれぞれ覆われるようになっている。また、前記下面36b側の開口は、上述のように分配導波路14の出力接続口14c〜14fとそれぞれ連通接続されるように形成されている。
【0080】
具体的には、
図15(c)に示すように、4つの第1の直線溝部42a1〜42d1のうち、2つの第1の直線溝部42a1,42c1同士は、多面体36の中心線Xを挟んで互いに対称に形成され、他の2つの第1の直線溝部42b1,42d1同士は、前記中心線Xと直交する多面体36の中心線Yを挟んで互いに対称に形成されている。また、第1の直線溝部42a1,42c1は、それぞれ中心線Yを挟んで対称に形成され、第1の直線溝部42b1,42d1は、それぞれ中心線Xを挟んで対称に形成されている。
【0081】
前記傾斜溝部42a2〜42d2の開口は、
図13に示すように、アンテナ部3を分配部2の嵌合孔19aに嵌合した状態で、嵌合孔19aの各壁面19a1〜19a4によりそれぞれ覆われるようになっている。
前記第3の直線溝部42a3〜42d3の上端部は、多面体36の上面36a及びアンテナ面41にそれぞれ開口するように形成されており、
図13に示すように、これらの開口は、いずれも前記蓋体38により覆われるようなっている。また、
図15(a)に示すように、第2の直線溝部42a3〜42d3は、隣り合う2つの第2の直線溝部42a3,42b3同士は互いに近接して形成され、他の隣り合う2つの第2の直線溝部42c3,42d3同士は互いに離反して形成されている。具体的には、互いに対向する第2の直線溝部42a3,42c3は、それぞれ前記中心線Yに対して図の右側に偏って形成され、互いに対向する第2の直線溝部42b3,42d3は、前記中心線Xに対して図の上側に偏って形成されている。
【0082】
以上の構成により、本実施形態では、第1の直線溝部42a1〜42d1と嵌合孔19aの各壁面19a1〜19a4とにより断面矩形状の第1の直線路部が構成されている。また、傾斜溝部42a2〜42d2と嵌合孔19aの各壁面19a1〜19a4とにより断面矩形状の傾斜路部が構成されている。さらに、第3の直線溝部42a3〜42d3と蓋体38とにより断面矩形状の第2の直線路部が構成されている。そして、前記第1の直線路部、傾斜路部、及び第2の直線路部とにより、前記出力導波路3a〜3dが構成されている。各出力導波路3a〜3dの各断面形状は、全て同じ大きさの形状とされている。
【0083】
図16は、アンテナ部3の蓋体38を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のE−E矢視断面図である。
図16(a)〜
図16(c)に示すように、蓋体38は、正四角形状の上板38eと、上板38eの各辺から下方に延びる4つの矩形状の側板38a〜38dとが一体に形成されたものである。上板38eは、
図13に示すように、多面体36の上面38eに載置された状態で固定される。
【0084】
蓋体38の各側板38a〜38dの上下方向の長さ寸法は、多面体36の第2の直線溝部42a3〜42d3の開口全体を覆うように、当該第2の直線溝部42a3〜42d3の上下方向の長さ寸法と略同一長さに設定されている。また、
図16(a)に示すように、各側板38a〜38dは、第2の直線溝部42a3〜42d3の上端からそれぞれ挿入されるように、隣り合う2つの側板38a,38b同士は互いに近接して形成され、他の隣り合う2つの側板38c,38d同士は互いに離反して形成されている。
【0085】
蓋体38の各側板38a〜38dには、第2の直線溝部42a3〜42d3に連通して水平偏波を放射するスロット44a〜44dがそれぞれ形成されている。前記スロット44a〜44dは、
図15(a)及び
図16(c)に示すように、蓋体38の上板38eの各辺(アンテナ面41)の幅方向中央部において、側板38a〜38dを厚み方向に貫通して形成された孔からなり、側板38a〜38dの上下方向に延びて形成されている。また、側板38a〜38dに対する各スロット44a〜44dの形成位置は、対応する出力導波路3a〜3dの断面形状の長手方向両側(幅方向両側)のうち、いずれか一方に偏っている。
【0086】
具体的には、蓋体38の各側板38a〜38dの外側から各スロット44a〜44dをそれぞれ
図16(c)の矢印a〜d方向に見た場合、スロット44a,44dの形成位置は、側板38a,38d(出力導波路3a〜3d)の右側に偏っており、スロット44b,44cの形成位置は、側板38a,38d(出力導波路3a〜3d)の左側に偏っている。したがって、分配部2の入力導波路13の中心線Cを挟んで隣り合う、スロット44a,44b同士及びスロット44c,43d同士は、前記形成位置の偏りが互いに逆方向であり、入力導波路13の中心線Cを挟まずに隣り合う、スロット44a,44d同士及びスロット44b,44c同士は、前記形成位置の偏りが互いに同じ方向となっている。
【0087】
以上のように構成されたアンテナ部3は、
図13に示すように、分配部2で4分配された電力が、多面体36の出力導波路3a〜3dに給電されることにより、蓋体38の各スロット44a〜44dから水平偏波を放射する。なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0088】
本実施形態の水平偏波無指向性アンテナ1によれば、アンテナ部3の出力導波路3a〜3dを、多面体36の凹溝42a〜42d、蓋体38、及び分配部2の嵌合孔19aの壁面19a1〜19a4により構成したので、第1の実施形態のように、アンテナ部3を輪切りに分割することなく、出力導波路3a〜3dを直線路部と傾斜路部とで構成することができる。
【0089】
[分配器の変形例]
図17〜
図20は、分配器6の変形例を示す概略図である。
図17の分配器6は、例えば断面矩形状の導波管により構成されており、側面視において略T字状に形成されている。分配器6の各端部には、外部機器の入力機器(図示省略)が接続されて電力を入力する入力接続口6aと、外部機器の出力機器(図示省略)が接続されるとともに入力接続口6aに入力された電力を図の矢印で示すように分配して出力する複数(2つ)の出力接続口6bとが形成されている。
【0090】
各出力接続口6bの断面積S2は、入力接続口6aの断面積S1よりも小さく設定されている。具体的には、出力接続口6bの断面形状における長辺L2は、入力接続口6aの断面形状における長辺L1と同じ長さに設定され、出力接続口6bの断面形状における短辺D2は、入力接続口6aの断面形状における短辺D2よりも短く設定されている。
【0091】
図18の分配器6は、例えば、断面矩形状の導波管により側面視において略T字状に形成された分配器本体60と、断面矩形状の導波管により側面視において台形状に形成された入力接続部61とを備えている。分配器本体60は、電力を入力する第1接続口60a、及び第1接続口60aに入力された電力を分配して出力する複数(2つ)の第2接続口60bを有している。各第2接続口60bは、外部機器の出力機器(図示省略)が接続される出力接続口6bとされている。入力接続部61は、分配器本体60の第1接続口60aに一端が接続され、外部機器の入力機器(図示省略)が接続される入力接続口6aが他端に形成されてなる。
【0092】
第1接続口60aの断面積S1’ は、入力接続口6aの断面積S1よりも小さく設定されている。また、分配器本体60の各出力接続口6b(第2接続口60b)の断面積S2は、第1接続口60aの断面積S1’と同一に設定されている。すなわち、各出力接続口6bの断面積S2は、入力接続口6bの断面積S1よりも小さく設定されている。具体的には、出力接続口6bの断面形状における長辺L2は、入力接続口6aの断面形状における長辺L1よりも短く設定され、出力接続口6bの断面形状における短辺D2は、入力接続口6aの断面形状における短辺D2よりも短く設定されている。
【0093】
図19の分配器6は、
図18の分配器6の他の変形例を示すものであり、分配器本体60及び入力接続部61に加えて、断面矩形状の導波管により側面視において台形状に形成された複数(2つ)の出力接続部62をさらに備えている。各出力接続部62は、分配器本体60の各第2接続口60bに一端が接続され、外部機器の出力機器(図示省略)が接続される出力接続口6bが他端に形成されてなる。なお、
図19の分配器本体60及び入力接続部61は、
図18の分配器本体60及び入力接続部61と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0094】
第2接続口60bの断面積S2’は、第1接続口60aの断面積S1’と同一に設定され、かつ出力接続部62の出力接続口6bの断面積S2よりも小さく設定されている。また、各出力接続口6bの断面積S2は、入力接続口6bの断面積S1よりも小さく設定されている。具体的には、出力接続口6bの断面形状における長辺L2は、入力接続口6aの断面形状における長辺L1よりも短く設定され、かつ出力接続口6bの断面形状における短辺D2は、入力接続口6aの断面形状における短辺D2よりも短く設定されている。
【0095】
以上のように構成された
図17〜
図19の分配器6によれば、分配後の各出力接続口6bの断面積S2を、分配前の入力接続口6aの断面積S1よりも小さくしたので、分配前と分配後の各接続口6a,6bの断面積の大きさが同一の場合に比べて、分配器6を小型化することができる。なお、
図17〜
図19の分配器6は、3分配以上するものであってもよい。
また、
図17の分配器6では、出力接続口6bの短辺D2が、入力接続口6aの短辺D2よりも短く形成され、かつ出力接続口6bの長辺L2が、入力接続口6aの長辺L1と同じ長さに形成されているため、出力接続口6bの長辺L2の長さを変えることなく、出力接続口6bの断面積S2を小さくすることができる。これにより、出力接続口6bの断面積S2を小さくすることに起因して、導波路の周波数特性(通過帯域・カットオフ周波数等)が変化するのを防止することができる。
【0096】
図20の分配器6は、
図19の分配器6の他の変形例を示すものである。この分配器6は、各出力接続部62の出力接続口6bの断面積S2が、入力接続部61の入力接続口6aの断面積S1と同一に設定されている点で、
図19の分配器6と相違している。
図20の分配器6のその他の構成については、
図19の分配器6と同様の構成である。すなわち、第1接続口60aの断面積S1’は、入力接続口6aの断面積S1よりも小さく設定され、かつ第2接続口60bの断面積S2’は、出力接続口6bの断面積S2よりも小さく設定されている。
【0097】
以上のように構成された
図20の分配器6によれば、分配器本体60の分配前後に形成された第1接続口60aの断面積S1’ を、外部機器が接続される入力接続口6aの各断面積S1よりも小さくし、かつ第2接続口60bの断面積S2’を、外部機器が接続される出力接続口6bの断面積S2よりも小さくしたので、分配器本体60を小型化することができる。したがって、外部機器が接続される入力接続口6a及び出力接続口6bの大きさが大きい場合であっても、分配器本体60を小型化することで、分配器6を全体として小型化することができる。なお、
図20の分配器6は、3分配以上するものであってもよい。
【0098】
〔その他の変形例〕
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。