特許第6036048号(P6036048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036048
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20161121BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F02D45/00 395A
   F02D45/00 395Z
   F02D45/00 345Z
   H02J7/00 Y
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-198764(P2012-198764)
(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-51956(P2014-51956A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120178
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 康成
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛彦
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−082275(JP,A)
【文献】 特開2007−311290(JP,A)
【文献】 特開2009−234559(JP,A)
【文献】 特開2007−232491(JP,A)
【文献】 特開2006−322362(JP,A)
【文献】 特開2009−042331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータジェネレータと、
前記モータジェネレータと電気的に結合された第1バッテリと、
車両の電気負荷と電気的に結合された第2バッテリと、
前記第1バッテリおよび前記第2バッテリを電気的に結合するか否かを自身のオン/オフにより切替可能なリレーと、
前記モータジェネレータの力行運転中は前記リレーをオフにして前記第1バッテリおよび前記第2バッテリの電気的結合を切断し、前記モータジェネレータの回生運転中は前記リレーをオンにして前記第1バッテリおよび前記第2バッテリを電気的に結合するリレー制御手段と、
前記リレーをオンにする指令が出されている状態で、前記第1バッテリの電圧および前記第2バッテリの電圧の差が所定電圧より大きくなった場合に、前記リレーがオフ固着していると判定するリレー故障診断手段と、
を備え
前記リレー故障診断手段は、前記リレーをオンにする指令が出されている状態で、前記第1バッテリの電圧および前記第2バッテリの電圧の差が前記第1の所定電圧より高い第2の所定電圧より大きい状態で前記第1の所定時間より短い第2の所定時間を経過すると、前記リレーがオフ固着していると判定し、
前記第1の所定電圧は、定常電流が流れる定常状態において発生する前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間の最大電圧差よりも高く、
前記第2の所定電圧は、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に過渡電流が流れる状態において発生する前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間の最大電圧差よりも高い、ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記リレー故障診断手段は、前記リレーをオンにする指令が出されている状態で、前記第1バッテリの電圧および前記第2バッテリの電圧の差が第1の所定電圧より大きい状態で第1の所定時間を経過すると、前記リレーがオフ固着していると判定する、
ことを特徴とする車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの自動停止・自動再始動が可能な車両の制御装置において、スタータと電気的に結合されたメインバッテリと、車両の電気負荷と電気的に結合されたサブバッテリと、メインバッテリおよびサブバッテリを電気的に結合するか否かを自身のオン/オフで切替可能なリレーとを備え、エンジン自動停止後の再始動時に、リレーをオフにしてスタータを作動させる技術が知られている(特許文献1参照)。これにより、スタータの作動時に、サブバッテリの電圧低下(瞬低)が発生することを防いで、電気負荷への電力供給不足を防止することができる。また、リレーをオンにして、エンジンによって駆動されるオルタネータによってメインバッテリとサブバッテリの充電を行うこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−82275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した車両の制御装置では、メインバッテリとサブバッテリ間のリレーがオフし続けた状態となるオフ固着故障が発生した場合、以下のような問題が生じる。すなわち、リレーをオンにする指令を出して、オルタネータによってメインバッテリとサブバッテリの充電をしようとした場合にリレーのオフ固着故障が発生していると、サブバッテリの充電を行うことができずに電圧が低下し、サブバッテリから電気負荷への電力供給不足が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、メインバッテリとサブバッテリ間のリレーのオフ固着故障を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による車両の制御装置は、エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータジェネレータと、モータジェネレータと電気的に結合された第1バッテリと、車両の電気負荷と電気的に結合された第2バッテリと、第1バッテリおよび第2バッテリを電気的に結合するか否かを自身のオン/オフにより切替可能なリレーと、モータジェネレータの力行運転中はリレーをオフにし、モータジェネレータの回生運転中はリレーをオンにするリレー制御手段を備える。この車両の制御装置はさらに、リレーをオンにする指令が出されている状態で、第1バッテリの電圧および第2バッテリの電圧の差が所定電圧より大きくなった場合に、リレーがオフ固着していると判定するリレー故障診断手段を備える。リレー故障診断手段は、リレーをオンにする指令が出されている状態で、第1バッテリの電圧および第2バッテリの電圧の差が第1の所定電圧より高い第2の所定電圧より大きい状態で第1の所定時間より短い第2の所定時間を経過すると、リレーがオフ固着していると判定する。第1の所定電圧は、定常電流が流れる定常状態において発生する第1バッテリと第2バッテリとの間の最大電圧差よりも高い。第2の所定電圧は、第1バッテリと第2バッテリとの間に過渡電流が流れる状態において発生する第1バッテリと第2バッテリとの間の最大電圧差よりも高い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータジェネレータの回生運転中であって、かつ、リレーをオンにする指令が出されている状態で、第1バッテリの電圧および第2バッテリの電圧の差が所定電圧より大きくなった場合に、リレーがオフ固着していると判定するので、リレーオフ固着故障を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施の形態における車両の制御装置の概略構成図である。
図2図2は、ガソリンエンジンの制御システム図である。
図3図3は、メインバッテリ、サブバッテリ、リレーを含むリレーボックス、および、エンジンコントロールモジュールを含む詳細な回路構成図である。
図4図4は、メインバッテリ、サブバッテリ、リレーを含むリレーボックス、および、エンジンコントロールモジュールを含む詳細な回路構成図の他の例である。
図5図5は、リレーオフ固着故障を診断するタイミングを示す図である。
図6図6は、一実施の形態における車両の制御装置によって行われるリレーオフ固着故障診断処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施の形態における車両の制御装置の概略構成図である。図1において、車両1には、エンジン2、モータジェネレータ21、エアコン用コンプレッサ31が設けられている。具体的には、エンジン2の出力軸3、モータジェネレータ21の回転軸22、エアコン用コンプレッサ31の回転軸32が平行に配置され、出力軸3の一端にクランクプーリ4が、回転軸22、32に各プーリ23、33が取り付けられている。これら3つの各プーリ4、23、33にはベルト5が掛け回され、エンジン2の出力軸3、回転軸23、33の間は、ベルト5によって動力が伝達(伝導)される。
【0010】
スタータ6は、エンジン2の始動に用いられる。エンジン2の出力軸3の他端には、トルクコンバータ8、ベルト式の自動変速機9が接続されている。トルクコンバータ8は、図示しないポンプインペラ、タービンランナを有する。ベルト式の自動変速機9は、図示しないプライマリプーリ、セカンダリプーリ、これらプーリに掛け回されるスチールベルトを有する。エンジン2の回転駆動力は、これらトルクコンバータ8、自動変速機9を介して、最終的に車両駆動輪(図示しない)に伝達される。
【0011】
車両1の電源として、メインバッテリ41とサブバッテリ42が設けられている。いずれも14Vバッテリである。2つのバッテリ41、42の間には、並列された2つのリレー43a、43bが接続されている。2つのリレー43a、43bを設けているのは、一方のリレーが故障した場合のバックアップのためであり、また、1つのリレーだけを設ける場合に比べて、リレーの耐久作動回数を延ばすためである。
【0012】
上記のスタータ6、モータジェネレータ21は、メインバッテリ41とリレー43a、43bの間に接続され、電力はメインバッテリ41から供給される。なお、モータジェネレータ21は、交流機から構成されているため、メインバッテリ41からの直流を交流に変換するインバータ24を付属している。
【0013】
電気負荷44は、バッテリの電圧が瞬間的に低下する瞬低が起こっても自身の動作には影響がない負荷であり、メインバッテリ41から電力が供給される。一方、電気負荷45は、瞬低が起こると自身の動作に影響が出る負荷であり、サブバッテリ42から電力が供給される。
【0014】
エンジンコントロールモジュール(ECM)51は、エンジン2、スタータ6、モータジェネレータ21、および、リレー43a、43bを制御する。例えば、エンジンコントロールモジュール51は、モータジェネレータ21の力行運転中はリレー43a、43bをオフにしてメインバッテリ41およびサブバッテリ42の電気的結合を切断し、モータジェネレータ21の回生運転中はリレー43aまたは43bをオンにしてメインバッテリ41およびサブバッテリ42を電気的に結合する。また、エンジンコントロールモジュール51は、後述する方法により、リレー43a、43bのオフ固着故障が発生していないか診断する。
【0015】
図2はガソリンエンジンの制御システム図である。各吸気ポート(図示しない)には、燃料噴射弁7が設けられている。燃料噴射弁7は、燃料をエンジン2に間欠的に供給するものである。
【0016】
吸気通路11には、電子制御のスロットル弁12が設けられ、スロットルモータ13によってスロットル弁12の開度(以下、「スロットル開度」という。)が制御される。実際のスロットル開度は、スロットルセンサ14により検出され、エンジンコントロールモジュール51に入力される。
【0017】
エンジンコントロールモジュール51には、アクセルセンサ53からのアクセル開度(アクセルペダル52の踏込量)の信号、クランク角センサ54からのクランク角の信号、エアフローメータ55からの吸入空気量の信号が入力される。クランク角センサ54の信号からは、エンジン2の回転速度が算出される。エンジンコントロールモジュール51は、これらの信号に基づいて、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量を算出し、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量が得られるように、スロットルモータ13及び各燃料噴射弁7に指令を出す。
【0018】
ここで、吸入空気量の制御について概説する(特開平9−287513号公報参照)。アクセル開度APOとエンジン回転速度Neとから所定のマップを検索することにより、目標基本吸入空気量及び目標当量比tDMLをそれぞれ算出する。目標基本吸入空気量を目標当量比tDMLで除算した値を目標吸入空気量とする。そして、この目標吸入空気量とエンジン回転速度から所定のマップを検索することにより、目標スロットル弁開度を求める。目標スロットル弁開度を指令値に変換して、スロットルモータ13に出力する。
【0019】
次に、燃料噴射(燃料噴射量及び燃料噴射時期)の制御について概説する。エアフローメータ55の出力をA/D変換し、リニアライズして吸入空気量Qaを算出する。この吸入空気量Qaとエンジン回転速度Neから、ほぼ理論空燃比(当量比=1.0)の混合気が得られる基本噴射パルス幅Tp0[ms]を、Tp0=K×Qa/Ne(ただし、Kは定数)として求める。次に、
Tp=Tp0×Fload+Tp-1×(1−Fload)
ただし、Fload:加重平均係数、
Tp-1:前回のTp、
の式によりシリンダ空気量相当パルス幅Tp[ms]を求める。これは、シリンダ(燃焼室)に流入する空気量(つまりシリンダ空気量)がエアフローメータ部での吸入空気量に対して応答遅れを有するので、この応答遅れを一次遅れで近似したものである。一次遅れの係数である加重平均係数Fload[無名数]は、回転速度Ne及びシリンダ容積Vの積Ne・Vと吸気管の総流路面積Aaから所定のマップを検索することにより求める。このようにして求めたシリンダ空気量相当パルス幅Tpに基づいて、燃料噴射弁7に与える燃料噴射パルス幅Ti[ms]を、
Ti=Tp×tDML×(α+αm−1)×2+Ts
ただし、tDML:目標当量比[無名数]、
α:空燃比フィードバック補正係数[無名数]、
αm:空燃比学習値[無名数]、
Ts:無効噴射パルス幅[無名数]、
の式により算出する。そして、所定の燃料噴射時期になったときに、この燃料噴射パルス幅Tiの期間、燃料噴射弁7を開く。
【0020】
なお、ガソリンエンジン2では、燃焼室(シリンダ)に臨んで点火プラグを備えている。エンジンコントロールモジュール51は、圧縮上死点前の所定の時期に点火コイルの一次側電流を遮断することにより点火プラグに火花を発生させ、これによって燃焼室内の混合気に点火する。
【0021】
また、エンジンコントロールモジュール51は、スタータスイッチ56からの信号に基づいて、初回の始動要求があると判断したときには、スタータ6を駆動しエンジン2を始動させる。
【0022】
エンジンコントロールモジュール51は、燃費向上を目的として、アイドルストップ制御を行う。すなわち、アクセルペダル52が踏み込まれておらず(APO=0)、ブレーキペダル57が踏み込まれ(ブレーキスイッチ58がON)、かつ車両1が停止状態にある(車速VSP=0)ときに、アイドルストップ許可条件が成立する。アイドルストップ許可条件が成立すると、燃料噴射弁7から吸気ポートへの燃料噴射を遮断して、エンジン2を停止する。これにより、無駄な燃料消費を低減する。
【0023】
その後、アイドルストップ状態で、アクセルペダル52が踏み込まれたり、ブレーキペダル57が戻される(ブレーキスイッチ58がOFF)などすると、アイドルストップ許可条件が不成立となる。アイドルストップ許可条件が不成立となると、モータジェネレータ21をスタータとして用いてエンジン2をクランキングし、燃料噴射弁7からの燃料噴射と点火プラグによる火花点火とを再開して、エンジン2を再始動する。
【0024】
このように、モータジェネレータ21をアイドルストップからのエンジン再始動用として専ら用いることで、スタータ6の使用頻度を減らして、スタータ6を保護する。なお、スタータ6やモータジェネレータ21を駆動するときには、エンジンコントロールモジュール51により、2つのリレー43a、43bをともに遮断して、メインバッテリ41とサブバッテリ42を電気的に切り離す。これによって、エンジン2の始動操作に伴ってサブバッテリ42の電圧が変動することを防止する。
【0025】
図1に戻り、説明を続ける。車両1には、自動変速機用コントロールユニット(CVTCU)61が設けられている。自動変速機用コントロールユニット61は、車速とスロットル開度とから定まる車両の走行条件に応じて、自動変速機9の変速比を無段階に制御する。また、ポンプインペラ、タービンランナを有するトルクコンバータ8には、ポンプインペラとタービンランナとを締結・開放する機械式のロックアップクラッチが設けられている。ロックアップクラッチを締結する車両の走行域は、ロックアップ領域(車速とスロットル開度とをパラメータとしている)として予め定められている。自動変速機用コントロールユニット61は、車両の走行条件がロックアップ領域となったとき、ロックアップクラッチを締結してエンジン2と変速機9とを直結状態とし、車両の走行条件がロックアップ領域でないときには、ロックアップクラッチを開放する。エンジン2と変速機9とを直結状態としたときには、トルクコンバータ8でのトルクの吸収がなくなり、その分燃費が良くなる。
【0026】
車両1にはまた、ビークルダイナミックコントロール(Vehicle Dynamics Control)ユニット(VDCCU)62、車速感応式の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)用コントロールユニット(EPSCU)63、エアコン用オートアンプ64、コンビネーションメータ66が設けられている。ビークルダイナミックコントロールユニット62は、車両の横滑りや尻振りを起こしそうになると、横滑り状態をセンサが検知し、ブレーキ制御とエンジン出力制御により、走行時の車両安定性を向上させる。車速感応式電動パワーステアリング用コントロールユニット63は、トルクセンサから入力される操舵トルク、及び車速から、最適なアシストトルク信号をEPSモータに出力する。
【0027】
上記の自動変速機用コントロールユニット61、ビークルダイナミックコントロールユニット62、車速感応式パワーステアリング用コントロールユニット63、コンビネーションメータ66は、電圧降下を許容できない電気負荷である。従って、これらは、サブバッテリ42から電力の供給を受ける。
【0028】
エンジンコントロールモジュール51と3つの各コントロールユニット61〜63、エアコン用オートアンプ(A/C Amp)64、コンビネーションメータ66の間は、CAN(Controller Area Network)で接続されている。エンジンコントロールモジュール51には、コンビネーションメータ66から車速信号が入力される。
【0029】
モータジェネレータ21は、アイドルストップからのエンジン再始動用としてだけでなく、車両走行中のトルクアシスト用にも用いられる。トルクアシストを許可するときには、エンジン2をトルクアシストするよう、メインバッテリ41を電源として用いて、モータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させ、トルクアシストを禁止するときにはアシストトルクを発生させない。これによって、エンジン2の始動後かつ車両1の走行開始後に、良好な加速応答性(運転性)が得られるようにする。
【0030】
インバータ24とエンジンコントロールモジュール51とは、LIN(Local Interconnect Network)で接続している。LINを介して、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24に対して、モータジェネレータ21を駆動するのか、それともモータジェネレータ21で発電させるのか、モータとして駆動するためにどのくらいの電流を流すのか等を指令する。
【0031】
図3は、メインバッテリ41、サブバッテリ42、リレー43a、43bを含むリレーボックス43、および、エンジンコントロールモジュール51を含む詳細な回路構成図である。エンジンコントロールモジュール51は、メインバッテリ41の電圧およびサブバッテリ42の電圧の電圧差に基づいて、リレー43a、43bがオフし続けるオフ固着故障を検出する。
【0032】
エンジンコントロールモジュール51は、電流センサ71によって検出されるメインバッテリ41の充放電電流と、ハーネスおよびメインバッテリ41の内部抵抗の予測値に基づいて、メインバッテリの電圧を算出する。また、電流センサ72によって検出されるサブバッテリ42の充放電電流と、ハーネスおよびサブバッテリ42の内部抵抗の予測値に基づいて、サブバッテリ42の電圧を算出する。
【0033】
エンジンコントロールモジュール51は、リレー43a、43bがオンし続けるオン固着故障およびオフし続けるオフ固着故障が発生していない正常時には、リレー43a、43bをオンする際に、いずれか一方を交互にオンする。より具体的には、モータジェネレータ21の力行運転中はリレー43a、43bを共にオフにし、モータジェネレータ21の回生運転中はリレー43a、43bのいずれか一方をオンにする。これにより、リレー43aおよび43bを均等に消耗させることができ、リレーを1つだけ設けている場合に比べて、耐久作動回数を延ばすことができる。
【0034】
図4は、メインバッテリ41、サブバッテリ42、リレー43a、43bを含むリレーボックス43、および、エンジンコントロールモジュール51を含む詳細な回路構成図の他の例である。図3に示す回路構成図と異なるのは、電流センサ71、72が設けられている位置である。
【0035】
図5は、リレーオフ固着故障を診断するタイミングを示す図である。図5では、上から順に、車速V、エンジン2の状態、リレー43a、43bの状態、および、リレーオフ固着診断の状態をそれぞれ示している。図5に示すように、エンジン2の初回始動後の停車時や車両の加速・減速時、アイドルストップからの再始動後など、リレー43a、43bのいずれか一方をオンする指令を出している時に、リレーオフ固着診断を行う。
【0036】
上述したように、モータジェネレータ21の回生運転時には、リレー43a、43bのいずれか一方をオンにして、メインバッテリ41およびサブバッテリ42に充電電流を供給して充電を行う。この時に、オン指令を出されたリレーにオフ固着故障が生じていると、サブバッテリ42の充電を行うことができずに、サブバッテリ42の放電だけが行われて電圧が低下し続け、充電されるメインバッテリ41と放電し続けるサブバッテリ42との電圧差が広がる。
【0037】
従って本実施形態では、メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧差が所定電圧より大きくなると、オン指令が出されたリレーにオフ固着故障が生じていると判断する。より具体的には、後述する第1の条件または第2の条件が成立した場合に、リレーオフ固着故障が生じていると判定する。
【0038】
第1の条件が成立した場合とは、下記(a)〜(c)の全ての条件が成立した場合である。
(a)リレー43a、43bのいずれか一方をオンにする指令が出されている。
(b)イグニッションスイッチをオンにしている。
(c)メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧差が第1の所定電圧(例えば、1.04V)以上、かつ、サブバッテリ42から放電電流が流れている状態で、第1の所定時間(例えば、25.5sec)経過
【0039】
第1の所定電圧は、メインバッテリ41およびサブバッテリ42間に定常電流が流れている定常状態で理論的に発生するバッテリ間の最大電圧差V1に基づいて予め定めておく。より具体的には、第1の所定電圧は、最大電圧差V1よりも高い値に設定する。定常電流が流れている定常状態で理論的に発生するバッテリ間の最大電圧差V1は、次式(1)により表される。ただし、式(1)中のハーネス抵抗値は、メインバッテリ41およびサブバッテリ42間のハーネスの抵抗値である。また、エンジンコントロールモジュール51のバッテリ電圧算出誤差には、電流センサ71、72の電流検出誤差も含まれる。
【0040】
最大電圧差V1=リレー43a、43b内部の電圧降下+(ハーネス抵抗値×定常通電電流の最大値)+エンジンコントロールモジュール51のバッテリ電圧算出誤差 …(1)
【0041】
定常電流が流れている定常状態でリレー43a、43bのいずれか一方をオンにする指令が出された場合、指令が出されたリレーがオンとなれば、メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧差は、上述した最大電圧差V1を超えることはない。すなわち、メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧差が第1の所定電圧以上となれば、リレーオフ固着故障が生じていると判定できるが、バッテリ間の電圧差が第1の所定電圧以上となる状態が安定的に発生した状態でリレーオフ固着故障が生じていると判定するために、判定時間である第1の所定時間は比較的長い時間(例えば、エンジンコントロールモジュール51で設定可能な最大値)に設定する。
【0042】
一方、第2の条件が成立した場合とは、上記(a)、(b)、および下記(d)の全ての条件が成立した場合である。
【0043】
(d)メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧差が第1の所定電圧より高い第2の所定電圧(例えば、1.44V)以上、かつ、サブバッテリ42から放電電流が流れている状態で、第1の所定時間より短い第2の所定時間(例えば、100msec)経過
【0044】
第2の所定電圧は、メインバッテリ41およびサブバッテリ42間に過渡電流が流れた状態で理論的に発生するバッテリ間の最大電圧差V2に基づいて予め定めておく。より具体的には、第2の所定電圧は、最大電圧差V2よりも高い値に設定する。過渡電流が流れた状態で理論的に発生するバッテリ間の最大電圧差V2は、次式(2)により表される。
【0045】
最大電圧差V2=リレー43a、43b内部の電圧降下+(ハーネス抵抗値×過渡的な通電電流の最大値)+エンジンコントロールモジュール51のバッテリ電圧算出誤差 …(2)
【0046】
メインバッテリ41およびサブバッテリ42間の電圧差が第1の所定電圧より高い第2の所定電圧以上の場合には、迅速にリレーオフ故障が生じていると判定する必要があるため、第2の所定時間はできるだけ短い時間であって、かつ、ノイズ等の微少な電圧変動で誤診断しないような値に設定する。
【0047】
図6は、一実施の形態における車両の制御装置によって行われるリレーオフ固着故障診断処理の流れを示すフローチャートである。イグニッションスイッチがオンになると、エンジンコントロールモジュール51は、所定の周期でステップS10の処理を開始する。
【0048】
ステップS10では、リレー43a、43bのいずれか一方をオンにする指令が出されているか否かを判定する。リレー43a、43bのいずれか一方をオンにする指令が出されていると判定するとステップS20に進む。
【0049】
ステップS20では、メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧差を算出する。
【0050】
ステップS30では、ステップS20で算出した電圧差が第2の所定電圧以上、かつ、サブバッテリ42から放電電流が流れているか否かを判定する。バッテリ電圧差が第2の所定電圧以上、かつ、サブバッテリ42から放電電流が流れていると判定するとステップS40に進み、それ以外の場合にはステップS60に進む。
【0051】
ステップS40では、カウンタTaに1を加算する。なお、カウンタTaの初期値は0とする。
【0052】
ステップS50では、カウンタTaが所定のしきい値Th2より大きいか否かを判定する。所定のしきい値Th2は、ステップS30の判定を肯定してから第2の所定時間が経過したか否かを判定するための値を予め設定しておく。カウンタTaが所定のしきい値Th2以下であると判定するとステップS20に戻り、所定のしきい値Th2より大きい(第2の所定時間経過)と判定するとステップS90に進む。
【0053】
ステップS60では、ステップS20で算出した電圧差が第1の所定電圧以上、かつ、サブバッテリ42から放電電流が流れているか否かを判定する。バッテリ電圧差が第1の所定電圧以上、かつ、サブバッテリ42から放電電流が流れていると判定するとステップS70に進み、それ以外の場合にはフローチャートの処理を終了する。
【0054】
ステップS70では、カウンタTbに1を加算する。なお、カウンタTbの初期値は0とする。
【0055】
ステップS80では、カウンタTbが所定のしきい値Th1より大きいか否かを判定する。所定のしきい値Th1は、ステップS60の判定を肯定してから第1の所定時間が経過したか否かを判定するための値を予め設定しておく。カウンタTbが所定のしきい値Th1以下であると判定するとステップS20に戻り、所定のしきい値Th1より大きいと判定するとステップS90に進む。
【0056】
ステップS90では、オン指令が出されたリレーにオフ固着故障が生じていると判断する。
【0057】
以上、一実施の形態における車両の制御装置によれば、エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータジェネレータ21と、モータジェネレータ21と電気的に結合されたメインバッテリ41と、車両の電気負荷と電気的に結合されたサブバッテリ42と、メインバッテリ41およびサブバッテリ42を電気的に結合するか否かを自身のオン/オフにより切替可能なリレー43a、43bとを備え、モータジェネレータ21の力行運転中はリレー43a、43bをオフにし、モータジェネレータ21の回生運転中はリレー43aまたは43bをオンにする制御を行い、リレーをオンにする指令が出されている状態で、メインバッテリ41の電圧およびサブバッテリ42の電圧の差が所定電圧より大きくなった場合に、オンにする指令が出されたリレーがオフ固着していると判定する。モータジェネレータ21の回生運転時には、リレー43a、43bのいずれか一方がオンになっていれば、メインバッテリ41およびサブバッテリ42に充電電流が供給されて充電が行われるが、オン指令を出されたリレーにオフ固着故障が生じていると、サブバッテリ42の充電を行うことができずに、サブバッテリ42の放電だけが行われて電圧が低下し続け、メインバッテリ41とサブバッテリ42の電圧差が広がる。従って、リレー43aまたは43bをオンにする指令が出されている状態で、メインバッテリ41の電圧およびサブバッテリ42の電圧の差が所定電圧より大きくなれば、リレーオフ固着故障が生じていることを確実に検出することができる。
【0058】
特に、リレーをオンにする指令が出されている状態で、メインバッテリ41の電圧およびサブバッテリ42の電圧の差が第1の所定電圧より大きい状態で第1の所定時間を経過すると、オンにする指令が出されたリレーがオフ固着していると判定する。これにより、リレーのオフ固着故障を精度良く検出することができる。
【0059】
また、リレーをオンにする指令が出されている状態で、メインバッテリ41の電圧およびサブバッテリ42の電圧の差が第1の所定電圧より高い第2の所定電圧より大きい状態で第1の所定時間より短い第2の所定時間を経過すると、オンにする指令が出されたリレーがオフ固着していると判定する。これにより、リレーのオフ固着故障を迅速に検出することができる。
【0060】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や応用が可能である。例えば、メインバッテリ41およびサブバッテリ42の電圧は、バッテリの充放電電流およびバッテリの内部抵抗の予測値から算出したが、電圧センサを設けて直接検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
2…エンジン
21…モータジェネレータ
41…メインバッテリ(第1バッテリ)
42…サブバッテリ(第2バッテリ)
43a、43b…リレー
51…エンジンコントロールモジュール(リレー制御手段、リレー故障診断手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6