特許第6036095号(P6036095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036095
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-213277(P2012-213277)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-67648(P2014-67648A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 稔
(72)【発明者】
【氏名】増田 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋
【審査官】 藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/009090(WO,A1)
【文献】 特開2010−015760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池が収容されたケースと、
前記ケース内に収容された単電池に当接して前記単電池を前記ケースに対して位置決めする当接部材と
を備え、
前記当接部材は、
前記当接部材が位置合わせされるように互いに隣接する前記単電池及び前記ケースにより画定される第1の隙間に挿入される、第1の突起と、
前記単電池に当接する本体から突出してケース内に差し込まれるリブと
を備え、
前記リブは、互いに隣接する前記単電池間に挿入される仕切リブを含み、
前記第1の突起と前記仕切リブとの間に隙間が設けられる、組電池。
【請求項2】
前記第1の突起は基端側から先端側に向けて先細りとなる形状を有する、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記本体から前記第1の突起の先端までの長さが、前記本体から前記リブの先端までの長さよりも長い、請求項1又は請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記ケースは前記複数の単電池を囲む側壁を備え、
前記リブは、前記単電池に当接する本体と前記本体から突出して前記単電池と前記側壁との間に挿入される主リブを含み、
前記第1の突起は前記主リブの先端に突設されている、請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記第1の突起は、互いに隣接する前記単電池の並び方向の間隔が、基端側から先端側に向けて漸次狭まる一対の第1の傾斜面を備える、請求項3又は4に記載の組電池。
【請求項6】
前記第1の突起は、互いに隣接する前記単電池の並び方向の間隔が、基端側から先端側に向けて漸次狭まる一対の第1の傾斜面を備え、
前記単電池は、前記第1の突起が差し込まれる方向から見た隅部に、前記側壁側の弧状部と、この弧状部につながる前記側壁から離れる方向に延びる直線状部とを備え、
前記第1の隙間に挿入された前記第1の突起の基端側は、前記弧状部と前記直線状部の接続部分より前記側壁側に位置する、請求項に記載の組電池。
【請求項7】
前記第1の突起は、互いに隣接する前記単電池の並び方向の間隔が、基端側から先端側に向けて漸次狭まる一対の第1の傾斜面を備え、
前記第1の突起は、前記主リブの前記仕切リブの端部に対応する位置に設けられている、請求項に記載の組電池。
【請求項8】
前記第1の突起は、前記仕切リブの延長線上に設けられ、基端側から先端側に向けて前記主リブへ漸次近付く第2の傾斜面を備える、請求項7に記載の組電池。
【請求項9】
前記ケースは、前記複数の単電池を囲んで開口を形成する側壁と、2つの前記側壁の接続部分に形成された角部と、を備え、
前記当接部材は、前記当接部材が前記ケースの前記開口に対して位置合わせされるように前記角部と前記単電池により画定される第2の隙間との間に挿入される、第2の突起を備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項10】
複数の単電池が収容され、前記複数の単電池を囲む側壁を備えたケースと、
前記ケース内に収容された単電池に当接して前記単電池を前記ケースに対して位置決めする当接部材と
を備え、
前記当接部材は、
前記当接部材が位置合わせされるように互いに隣接する前記単電池及び前記ケースにより画定される第1の隙間に挿入される、第1の突起と、
前記単電池に当接する本体から突出してケース内に差し込まれるリブと
を備え、
前記リブは、
前記単電池に当接する本体と前記本体から突出して前記単電池と前記側壁との間に挿入される主リブと、
互いに隣接する前記単電池間に挿入される仕切リブと
を含み、
前記第1の突起は、前記仕切リブの延長線上に設けられ、基端側から先端側に向けて前記主リブへ漸次近付く第2の傾斜面を備える、組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池(電池セル)を電気的に接続してモジュール化した組電池(電池モジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示された組電池は、複数の単電池が収容されたケースと、ケースの上端開口に組み付けられた当接部材とを備える。複数の単電池は、当接部材の下側に当接することでケースに対して高さ方向に位置決めされる。
【0003】
特許文献1及び2に開示されたものを含め、従来のこの種の組電池では、当接部材を組み付ける場合、ケース並びにケース内に収容された単電池に対して当接部材を正確に位置合わせる必要がある。正確な位置合わせが要求されることは、当接部材の組み付け作業の作業性を低下させる。また、当接部材の組み付け作業を自動組付装置で実行する場合、自動組付装置には当接部材の位置合わせについて高精度化が要求されることになる。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されたものを含め、従来のこの種の組電池では、当接部材の組付性について特段の考慮は払われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−128982号(図9及び図10
【特許文献2】特許第4638528号(図1及び図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の単電池が収容された組電池が備える当接部材の組付性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の単電池が収容されたケースと、前記ケース内に収容された単電池に当接して前記単電池を前記ケースに対して位置決めする当接部材とを備え、前記当接部材は、前記当接部材が位置合わせされるように互いに隣接する前記単電池及び前記ケースにより画定される第1の隙間に挿入される、第1の突起と、前記単電池に当接する本体から突出してケース内に差し込まれるリブとを備え、前記リブは、互いに隣接する前記単電池間に挿入される仕切リブを含み、前記第1の突起と前記仕切リブとの間に隙間が設けられる、組電池を提供する。
【0008】
第1の突起が単電池及びケースにより画定される第1の隙間に挿入することで、当接部材が位置合わせされるので、厳密に位置合わせすることなく、当接部材を組み付けることができる。言い換えれば、第1の突起が当接部材を位置合わせされた位置に案内するので、当接部材の組付性が向上する。当接部材の組付時にケースや単電池と干渉により前記第1の突起に対して外力が作用した場合、隙間が存在するので第1の突起自体がリブとは独立してある程度変形可能である。従って、隙間を設けたことで第1の突起に作用する外力がリブを介して当接部材の他の部分に伝わるのを防止できる。
【0009】
前記第1の突起は基端側から先端側に向けて先細りとなる形状を有することが好ましい。第1の突起は第1の隙間に対して容易に挿入されるので、当接部材の組付性がさらに向上する。
【0010】
記本体から前記第1の突起の先端までの長さが、前記本体から前記リブの先端までの長さよりも長いのが好ましい。リブの先端よりも第1の突起の先端が突出した位置となるので、当接部材の組付時に第1の突起が確実に第1の隙間に挿入される。
【0012】
具体的には、前記ケースは前記複数の単電池を囲む側壁を備え、前記当接部材は前記単電池と前記側壁との間に挿入される主リブを備え、前記第1の突起は前記主リブの先端に突設されている。
【0013】
より具体的には、前記第1の突起は、互いに隣接する前記単電池の並び方向の間隔が、基端側から先端側に向けて漸次狭まる一対の第1の傾斜面を備える。
【0014】
当接部材をケースの開口に接近するのに伴って、一対の第1の傾斜面がそれぞれ単電池と接触する。この第1の傾斜面と対応する単電池との接触で案内されることで、当接部材は開口に対して位置合わせされる。
【0015】
前記単電池は、前記第1の突起が差し込まれる方向から見た隅部に、前記側壁側の弧状部と、この弧状部につながる前記側壁から離れる方向に延びる直線状部とを備え、前記第1の隙間に挿入された前記第1の突起の基端側は、前記弧状部と前記直線状部の接続部分よりも前記側壁側に位置することが好ましい。第1の突起の最大幅、つまり基端における第1の傾斜面間の間隔を広く設定することで、第1の突起の強度を向上できる。一方、第1の突起の最大幅の部分を弧状部と直線状部よりも側壁側に設定することで、互いに隣接する単電池間の間隔を過度に大きくする設定する必要がない。
【0016】
前記当接部材は互いに隣接する前記単電池間に挿入される仕切リブを備えてもよい。この場合、前記第1の突起は、前記主リブの前記仕切リブの端部に対応する位置に設けられていることが好ましい。また、この構成の場合、前記第1の突起は、前記仕切リブの延長線上に設けられ、上端側から下端側に向けて主リブへ漸次近付く第2の傾斜面を備えることが好ましい。かかる第2の傾斜面を設けることで、仕切リブが互いに隣接する単電池間により円滑に挿入される。その結果、第1の突起が第1の隙間により円滑に挿入されるので、当接部材をケースの開口に対してより容易に組み付けることができる。
【0017】
前記ケースは、前記複数の単電池を囲む側壁と、2つの前記側壁の接続部分に形成された角部と、を備え、前記当接部材は、前記当接部材が前記ケースの前記開口に対して位置合わせされるように前記角部と前記単電池により画定される第2の隙間との間に挿入される、第2の突起を備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
当接部材に設けた突起(第1の突起)を単電池及びケースにより画定される隙間(第1の隙間)に挿入することで、当接部材が位置合わせされるので、厳密に位置合わせすることなく、当接部材を組み付けることができる。言い換えれば、第1の突起が当接部材を位置合わせされ位置に案内するので、当接部材の組付性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る組電池の分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る組電池の斜視図(蓋の図示を省略している)。
図3】ケースの斜視図。
図4】当接部材の上方から見た斜視図。
図5】当接部材の下方から見た斜視図。
図6】第1の突起(台座部あり)の下方から見た斜視図。
図7】第1の突起(台座部あり)の底面図。
図8】第1の突起(台座部なし)の下方から見た斜視図。
図9】第1の突起(台座部なし)の底面図。
図10】第2の突起の下方から見た斜視図。
図11】第1の突起(台座部なし)が挿入される第1の隙間の模式的な平面図。
図12】第2の突起が挿入される第2の隙間の模式的な平面図。
図13A】第1の突起の第1の変形例を示す斜視図。
図13B】第1の突起の第2の変形例を示す斜視図。
図13C】第1の突起の第3の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る組電池(電池モジュール)1を示す。この組電池1は非水電解質二次電池である8個の角型の単電池(電池セル)2を備える。単電池2は電極体等が収容された本体2a(本実施形態では扁平な直方体状)と、本体2aの上端開口を閉じる蓋体2bとを備える。蓋体2bの両端付近から一対の端子2cが突出している。個々の単電池2の端子2cは、隣接する単電池2の端子2cにバスバー3により電気的に接続されている。図において右端及び左端に位置する単電池2の一方の端子2c、が組電池1全体として正極及び負極として機能する。
【0021】
単電池2は、本実施形態では樹脂製であるケース4内に収容されている。図3を併せて参照すると、ケース4は全体として直方体状で上端開口4aを備える箱状である。ケース4内に収容された単電池2は、平面視での長辺が互いに対向するように一列に整列配置されている。単電池2が載置されるケース4の底壁4bには、互いに隣接して配置される2個の単電池2の底部付近に挿入される仕切壁4cが複数個(本実施形態では7個)設けられている。また、図3に一対の単電池2についてのみ示すように、互いに隣接する単電池2間にはスペーサ5が介装されている。
【0022】
ケース4は、底壁4bから立ち上がる長辺方向の側壁4d,4eを備える。側壁4d,4eは、整列配置された単電池2の平面視での一対の短辺と対向する。また、ケース4は、底壁4bから立ち上がる短辺方向の側壁4f,4gを備える。側壁4f,4gは整列配置された単電池2のうち両端の単電池2(図1において左右両端に配置された単電池2)の平面視での長辺と対向する。側壁4d,4eと側壁4f,4gの上端により上端開口4aが画定されている。
【0023】
単電池2が収容されたケース4の上端開口4aには、本実施形態では樹脂製である当接部材(中蓋)7が組み付けられ、当接部材7の上から本実施形態では金属製である蓋(外蓋)8が組み付けられる。蓋8の長辺側の側壁には複数の係合片8aが設けられている。ケース4の上端開口4aに組み付けられた当接部材7に蓋8を被せると、係合片8aが当接部材7に設けられた係合孔7aに内側から係合することで、当接部材7と蓋8が互いに固定される。
【0024】
図4及び図5を併せて参照すると、当接部材7は、全体として概ね長方形板状の本体7bを備える。本体7bは、ケース4の上端開口4aに当接部材7を組み付けられた状態で、複数個(本実施形態では8個)の単電池2の頂部に当接する。本体7bには、個々の単電池2の端子2cを露出させるための貫通孔7cが形成されている。また、本体7bには前述して組電池1全体としての正極及び負極として機能する端子2cを露出させるための切欠7d,7eが隅部に設けられている。
【0025】
当接部材7は、本体7bの側縁から下向きに突出する平板状の二対の主リブ7f〜7iを備える。長辺方向の一対の主リブ7f,7gは、ケース4の側壁4d,4eと一例に整列配置された個々の単電池2の平面視での一対の短辺との間に、上方から挿入される。一方、短辺方向の一対の主リブ7h,7iは、ケース4の側壁4f,4gと整列配置された単電池2のうち両端の単電池2の平面視での長辺との間に、上方から挿入される。主リブ7〜7iには、複数の係合突起7jが設けられている。ケース4の上端開口4aに蓋8を組み付ける際に、ケース4と単電池2との間に主リブ7f〜7iを挿入すると、係合突起7jがケース4の側壁4d〜4gに設けられた係合孔4hに内側から嵌り込み、それによってケース4に対して当接部材7が固定される。
【0026】
図5に示すように、当接部材7の下面には主リブ7fから主リブ7gに達する細長い平板状の仕切リブ7kが複数個(本実施形態では7個)設けられている。個々の仕切リブ7kは、互いに隣接する2個の単電池2間に上方から挿入される。個々の仕切リブ7kの両面には、仕切リブ7kを単電池2間に差し込んだ際に単電池2の上端付近の側部に当接する固定リブ7mが複数個設けられている。
【0027】
図5に最も明瞭に示すように、当接部材7の主リブ7f,7gの下端には複数個の第1の突起11を設けている。詳細には、7個の仕切リブ7kのうち図5において左右両端の2個の仕切リブ7kの一端が主リブ7gの一端に接続する位置と第1の突起11が設けられ、残りの5個の仕切リブ7kの両端が主リブ7f,7gに接続する位置にも第1の突起11が設けられている。つまり、第1の突起11は、主リブ7f,7gの仕切リブ7kの端部に対応する位置に設けられている。
【0028】
図6から図9を参照すると、第1の突起11は、主リブ7f,7gの下端からさらに下向きに突出している。より具体的には、当接部材7の本体7bから第1の突起11の先端までの長さは、本体7bから主リブ7f,7g及び仕切リブ7kの先端までの長さよりも長い。第1の突起11は、主リブ7f,7gと接続された上端側(基端側)から下端側(先端側)に向けて先細りの形状を有し、互いに隣接する単電池2の上端付近とケース4の側壁4d,4eにより画定される第1の隙間12に上方から挿入される。
【0029】
第1の突起11は、主リブ7f,7gと実質的に同一平面上にある二等辺三角形状の第1の三角板部11aを備える。第1三角板部11aの両側面は、互いに隣接する単電池2の並び方向(図11の矢印B1,B2参照)の間隔が上端側から下端側に向けて漸次狭まる一対の第1の斜面11b,11cを構成している。図11に示すように、第1の三角板部11aは、第1の隙間12のうち互いに隣接する単電池2とケース4の側壁4d,4eとの間に挿入される。
【0030】
第1の突起11は、第1の三角板部11aの内面側に直角三角形状の第2の三角板部11dを備える。この第2の三角板部11dの直角をなす一辺が第1の三角板部11aの対称線に沿って延びている。また、第2の三角板部11dの斜辺は仕切リブ7kの延長線上に設けられ、上端側から下端側に向けて主リブ7f,7gへ漸次近付く第2の傾斜面11eを構成している。図11に示すように、第2の三角板部11dは、第1の隙間12のうち互いに隣接する単電池2間に挿入される。
【0031】
図7及び図9に最も明瞭に示すように、第1の突起11は、第1の三角板部11aと仕切リブ7kとの間に隙間Gが設けられている。また図6及び図8に最も明瞭に示すように、主リブ7gの第1の突起11は最基端部に概ね台形柱状を台座部11fを備えるが、主リブ7gの第1の突起11にはこの台座部を設けていない。
【0032】
図5に最も明瞭に示すように、当接部材7の主リブ7gの両端と主リブ7h,7iの一端の接続部分に形成された角部7nと、主リブ7fの両端と仕切リブ7kの接続部分に形成された角部7pには、第2の突起14が設けられている。
【0033】
図10及び図12を参照すると、第2の突起14は、主リブ7h,7iの下端からさらに下向きに突出している。また、第2の突起14は、単電池2と角部7n,7pにより画定される第2の隙間15に上方から挿入される。
【0034】
第2の突起14は、角部7n,7pを構成する2つ壁部とそれぞれ実質的に同一平面上にある直角三角形状の第1及び第2の三角板部14a,14bを備える。これらの第1及び第2三角板部14a,14bはいずれも、傾斜面14c,14dを有しており、上端側から下端側に向けて先細りとなる形状を有する。
【0035】
次に、当接部材7のケース4への組付作業について説明する。この組付作業は手作業で実行されてもよいし、自動組付装置により実行されてもよい。
【0036】
当接部材7のケース4の上端開口4aへの組付作業は、ケース4にすべての単電池2(本実施形態では8個)を収容し、さらに隣接する単電池2の端子2cをバスバー3で接続した後に実行される。当接部材7を上方からケース4内の単電池2の上方から被せ、当接部材7の主リブ7f〜7iを単電池2とケース4の側壁4d〜4gとの間に挿入する。当接部材7の係合突起7jがケース4の係合孔4hに嵌合されると、当接部材7がケース4に固定されて組付が完了する。組付完了状態では、当接部材7の本体7bがケース4に収容された単電池2の頂部に当接し、それによって単電池2の上下方向の位置が位置決めされる。個々の単電池2の端子2cは貫通孔7cを介して本体7bから上方に露出する(図2参照)。
【0037】
ケース4の上端開口4aに対して平面視での位置がずれた状態で、当接部材7が上端開口4aに対して降下した場合であっても、第1及び第2の突起11,14が第1及び第2の隙間12,15に挿入されることで、当接部材7は上端開口4aに対して平面視での位置が位置合わせされる。その結果、当接部材7の主リブ7f〜7iはケース4と単電池2の間に円滑に挿入される。第1及び第2の突起11,14の長さ(当接部材7bからの突出量)は主リブ7f〜7i及び仕切リブ7kの長さよりも長く設定している。また、第1及び第2の突起11,14は先細り形状としている。これらにより、第1及び第2の突起11,14を第1及び第2の隙間12,15に確実かつ円滑に挿入できる。
【0038】
第1の突起11と仕切リブ7kとの間に隙間Gが設けられている。そのため、当接部材7の組付時にケース4や単電池2と干渉により第1の突起11に対して外力が作用した場合、隙間Gが存在するので第1の突起11自体が仕切リブ7kとは単独に程度変形可能である。特に、第1の突起11は、単電池2の並び方向と直交する、つまり図7及び図9において上下方向には比較的変形しやすい。従って、隙間Gを設けたことで第1の突起11に作用する外力が仕切リブ7kを介して当接部材7の他の部分に伝わるのを防止できる。
【0039】
図7及び図9を参照すると、単電池2は、底面側(第1の突起12が差し込まれる方向)から見た隅部に、側壁側7f,7g側の円弧状部2eと、この円弧状部2eにつながる側壁7f,7gから離れる方向に延びる直線状部2fとを備える。第1の隙間12に挿入された第1の突起11の基端側は、円弧状部2eと直線状部2fの接続部分よりも側壁7f,7g側に位置する。第1の突起11の基端側と単電池2との位置関係をこのように設定することで、第1の突起11の最大幅、つまり基端における第1の傾斜面間11b,11cの間隔を広く設定できる。その結果、第1の突起11の強度を向上できる。一方、第1の突起11の最大幅の部分を円弧状部2eと直線状部2fの接続部に設定することで、互いに隣接する単電池2間の間隔を過度に大きくする設定する必要がない。なお、円弧状部2eは、円弧の範疇には含まれない弧状としてもよく、曲線と直線で構成された形状としてもよい。
【0040】
図11を参照すると、当接部材7がケース4の上端開口4aに対する平面視の位置が、矢印Aに示すようにケース4の内側にずれた場合、電池本体7bと電池蓋8の接続部分で構成される縁部2d(図3も併せて参照)に第1の突起11の第1の三角板部11aの第1の傾斜面11b,11cが当接する(図6も併せて参照)。当接部材7がケース4の上端開口4aへ向けて降下するのに伴い、第1の突起11の第1の傾斜面11b,11cが単電池2の縁部2dに案内されることで、矢印Aの方向の位置のずれが解消されるように当接部材7のケース4の対する平面視での位置が移動する。この当接部材7の横方向の移動により、第1の突起11が第1の隙間12に挿入され、当接部材7はケース4に対する平面視での位置が位置合わせされ、当接部材7の主リブ7f〜7iは単電池2やケース4の側壁4d〜4gと干渉することなく、ケース4と単電池2の間に円滑に挿入される。また、当接部材7の仕切リブ7kは隣接する単電池2間の隙間に挿入される。
【0041】
当接部材7のケース4に対する平面視での位置が、図11において矢印Aで示す方向のずれに加え、矢印B1,B2で示す単電池2の配列方向にもずれた場合、前述のように第1の突起11の第1の三角板部11aの第1の傾斜面11b,11cだけでなく、第2の三角板部11dの第2の傾斜面11eが単電池2の縁部2dに当接する。第1の傾斜面11b,11cと第2の傾斜面11eが単電池2の縁部2dで案内されることで、矢印A,B1,B2の方向の位置ずれが解消されるように当接部材7のケース4に対する平面視での位置が移動する。この移動により、当接部材7の主リブ7f〜7iは単電池2やケース4の側壁4d,4e及び側壁4f,4gと干渉することなく、ケース4と単電池2の間に円滑に挿入される。また、当接部材7の仕切リブ7kは隣接する単電池2間の隙間に挿入される。前述のように、第2の傾斜面11eが設けられた第2の三角板部11dは仕切リブ7kの延長線上に設けられているので、第1の三角板部11aの第1の傾斜面11b,11cに加え、第2の傾斜面11eを設けたことで、仕切リブ7kは互いに隣接する単電池2間により円滑に挿入される。
【0042】
以上のように、第1の突起11を設けたことで、当接部材7のケース4の上端開口4aに対する組付時に当接部材7のケース4に対する平面視の位置にずれがある場合も、当接部材7がケース4に対して位置合わせされるように第1の突起11が第1の隙間12に挿入される。そのため、当接部材7をケース4の上端開口4aに対して厳密に位置合わせする必要がなく、容易に組み付けることができる。言い換えれば、第1の突起11が単電池2の縁部2dに案内されることで、当接部材7をケース4に対して円滑に組み付けることができる。その結果、ケース4に対する当接部材7の組み付け作業の作業性が向上する。また、ケース4に対する当接部材7の組み付け作業を自動組付装置で実行する場合、自動組付装置には当接部材7のケース4に対する位置合わせについて過度な高精度は要求されない。
【0043】
図12を参照すると、当接部材7がケース4の上端開口4aに対する平面視の位置が、矢印Aで示す方向にずれた場合、第2の突起14の第1の三角板部14aの傾斜面14cが単電池2の縁部2dに当接する。同様に、当接部材7がケース4の上端開口4aに対する平面視の位置が、矢印Bで示す方向にずれた場合、第2の突起14の第2の三角板部14bの傾斜面14dが単電池2の縁部2dに当接する。第1及び第2の三角板部14a,14bの傾斜面14c,14dが単電池2の縁部2dで案内されることで、当接部材7が降下するのに伴い、当接部材7は位置ずれが解消される方向に平面視での位置が移動する。この当接部材7の横方向の移動により、第2の突起14が第2の隙間15に挿入され、当接部材7はケース4に対する平面視での位置が位置合わせされる。そのため、当接部材7の主リブ7f〜7iは単電池2やケース4の側壁4d〜4gと干渉することなく、ケース4と単電池2の間に円滑に挿入される。また、当接部材7の仕切リブ7kは隣接する単電池2間の隙間に円滑に挿入される。このように、第1の突起11に加えて第2の突起14を設けたことで、当接部材7をケース4の上端開口4aに対し、より容易かつ円滑に組み付けることができる。
【0044】
図13Aから図13Cは第1の突起11の変形例を示す。図13Aの変形例では、第1の突起11は主リブ7g,7fに突設した円柱状である。このように第1の突起11は第1の隙間12(図11参照)に挿入可能であれば、必ずしも先細り形状である必要はない。図13Bの変形例では、第1の突起11は主リブ7g,7fに突設した細長い円錐台状である。図13Cの変形例では、第1の突起11は細長い円錐台状であり、主リブ7g,7fではなく当接部材7の本体7bの下面に突設されている。このように第1の突起11は第1の隙間12(図11参照)に挿入可能であれば、必ずしも主リブ7g,7fに設ける必要はない。図13Aから図13Cのような構成は、第2の突起15にも適用できる。
【0045】
本発明は、実施形態に限定されず種々の変形が可能である。例えば、実施形態では、ケース4内の個々の単電池2の位置は、ケース4の仕切壁4c、単電池2に配置されたスペーサ5、及び固定リブ7m付きの仕切リブ7kによって保持される。しかし、ケース内での単電池2の位置を確実に保持できる限り、これら仕切壁4c、スペーサ5、及び固定リブ7m付きの仕切リブ7kのうちのいずか1つ又は2つをなくした構成も採用し得る。
【符号の説明】
【0046】
1 組電池
2 単電池
2a 本体
2b 蓋体
2c 端子
2d 縁部
2e 円弧状部
2f 直線状部
3 バスバー
4 ケース
4a 上端開口
4b 底壁
4c 仕切壁
4d,4e 側壁
4f,4g 側壁
4h 係合孔
5 スペーサ
7 当接部材
7a 係合孔
7b 本体
7c 貫通孔
7d,7e 切欠
7f,7g,7h,7i 主リブ
7j 係合突起
7k 仕切リブ
7m 固定リブ
7n,7p 角部
8 蓋
8a 係止片
11 第1の突起
11a 第1の三角板部
11b,11c 第1の傾斜面
11d 第2の三角板部
11e 第2の傾斜面
11f 台座部
12 第1の隙間
14 第2の突起
14a 第1の三角板部
14b 第2の三角板部
14c,14d 傾斜面
15 第2の隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C