特許第6036164号(P6036164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036164
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】車両天井構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/213 20110101AFI20161121BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20161121BHJP
   B60N 3/02 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B60R21/213
   B60R13/02 A
   B60N3/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-234190(P2012-234190)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-83967(P2014-83967A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 靖典
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−035528(JP,A)
【文献】 特開2000−085513(JP,A)
【文献】 特開2010−254105(JP,A)
【文献】 特開2001−322525(JP,A)
【文献】 特開2004−130990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−33
B60N 3/02
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末側でカーテンシールドエアバッグを覆う天井内装材を備え、該天井内装材に形成された取付孔を介して車体パネルにアシストグリップが取り付けられ、該天井内装材の車室内側面の前記取付孔の外周側に前記アシストグリップに設けられた取付部が当接又は対向する車両天井構造であって、
前記天井内装材の車室外側面には、前記取付部の外周側に該取付部を囲む環状溝が形成されており、
前記天井内装材の車室外側面には、前記アシストグリップに設けられた一対の前記取付部のそれぞれの外周側に配設される一対の前記環状溝を連結する連結溝が形成されており、
前記カーテンシールドエアバッグの展開時に前記天井内装材の端末側が車室内側に開くときに、前記天井内装材の前記環状溝の内側部位は、前記アシストグリップの前記取付部と干渉することで車室外側に向かって筒状に折れ曲がることを特徴とする車両天井構造。
【請求項2】
前記連結溝は、一対の前記環状溝のそれぞれの前記天井内装材の端末側を連結する第1連結溝を有している請求項1記載の車両天井構造。
【請求項3】
前記連結溝は、前記第1連結溝と、一対の前記環状溝を該第1連結溝より前記天井内装材の内方側を連結する第2連結溝と、を有している請求項2記載の車両天井構造。
【請求項4】
前記第2連結溝は、一対の前記取付孔のそれぞれに接続されている請求項3記載の車両天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両天井構造に関し、さらに詳しくは、カーテンシールドエアバッグの展開時にアシストグリップに過度の応力が集中することを防止できるとともに、天井内装材のアシストグリップ回りの見栄えを向上させることができる車両天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両天井構造として、例えば、図6(a)に示すように、端末側103aでカーテンシールドエアバッグ102を覆う天井内装材103を備え、この天井内装材103に形成された取付孔109を介して車体パネル112にアシストグリップ111が取り付けられ、この天井内装材103の車室内側面の取付孔109の外周側にアシストグリップ111に設けられた取付部117が当接されるものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、例えば、図6(b)に示すように、天井内装材103に取付孔109の縁辺から外方に延びる複数のスリット120を形成することが開示されている。これにより、カーテンシールドエアバッグ102の展開時に天井内装材103の端末側103aが車室内側に開くときに、スリット120が開裂することで取付孔109が拡径して天井内装材103がアシストグリップ111の取付部117から抜ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、天井内装材103に取付孔109の縁辺から外方に延びる複数のスリット120を形成しているので、カーテンシールドエアバッグ102の展開時に複数のスリット120が均等に開裂せず天井内装材103がアシストグリップ111の取付部117に係止してアシストグリップ111に過度の力が集中してしまう恐れがある。また、取付孔109が十分に拡径するようにスリット120長さを長く設定すると、例えば、図7に示すように、アシストグリップ111の使用時等に車室内側から天井内装材103の車室内側面にスリット120が見えてしまい、アシストグリップ111回りの見栄えが悪くなる。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、カーテンシールドエアバッグの展開時にアシストグリップに過度の応力が集中することを防止できるとともに、天井内装材のアシストグリップ回りの見栄えを向上させることができる車両天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、端末側でカーテンシールドエアバッグを覆う天井内装材を備え、該天井内装材に形成された取付孔を介して車体パネルにアシストグリップが取り付けられ、該天井内装材の車室内側面の前記取付孔の外周側に前記アシストグリップに設けられた取付部が当接又は対向する車両天井構造であって、前記天井内装材の車室外側面には、前記取付部の外周側に該取付部を囲む環状溝が形成されており、前記天井内装材の車室外側面には、前記アシストグリップに設けられた一対の前記取付部のそれぞれの外周側に配設される一対の前記環状溝を連結する連結溝が形成されており、前記カーテンシールドエアバッグの展開時に前記天井内装材の端末側が車室内側に開くときに、前記天井内装材の前記環状溝の内側部位は、前記アシストグリップの前記取付部と干渉することで車室外側に向かって筒状に折れ曲がることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記連結溝は、一対の前記環状溝のそれぞれの前記天井内装材の端末側を連結する第1連結溝を有していることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載において、前記連結溝は、前記第1連結溝と、一対の前記環状溝を該第1連結溝より前記天井内装材の内方側を連結する第2連結溝と、を有していることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載において、前記第2連結溝は、一対の前記取付孔のそれぞれに接続されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両天井構造によると、天井内装材の車室外側面には、アシストグリップの取付部の外周側に取付部を囲む環状溝が形成されているので、カーテンシールドエアバッグの展開時に天井内装材の端末側が車室内側に開くときに、天井内装材が環状溝に沿って折れ曲がり、天井内装材の環状溝の内側部位が車室外側に向かって筒状に折れ曲がる。これにより、取付孔が安定的に拡径して天井内装材がアシストグリップの取付部から円滑に抜ける。その結果、アシストグリップに過度の応力が集中することを防止することができる。また、車室内側から天井内装材の車室内側面に環状溝が見えないため、天井内装材のアシストグリップ回りの見栄えを向上させることができる。
また、前記天井内装材の車室外側面に、前記アシストグリップに設けられた一対の前記取付部のそれぞれの外周側に配設される一対の前記環状溝を連結する連結溝が形成されているので、天井内装材が連結溝に沿って折れ曲がることで天井内装材が一対の環状溝に沿って連動して折れ曲がる。よって、一対の取付孔が更に安定的に拡径して天井内装材がアシストグリップの一対の取付部から更に円滑に抜ける。
また、前記連結溝が、一対の前記環状溝のそれぞれの前記天井内装材の端末側を連結する第1連結溝を有している場合は、天井内装材が第1連結溝を起点として折れ曲がり易く、天井内装材が一対の環状溝に沿って更に確実に連動して折れ曲がる。
さらに、前記連結溝が、前記第1連結溝と、一対の前記環状溝を該第1連結溝より前記天井内装材の内方側を連結する第2連結溝と、を有している場合は、天井内装材が第1連結溝に加えて第2連結溝で折り曲げられる。よって、エアバッグ展開時に、第1連結溝で受けきれなかった折り曲げ応力を第2連結溝によって補助的に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る車両天井構造を車室内側から見上げた状態の模式図である。
図2図1のII−II線断面拡大図である。
図3】実施例に係る天井内装材を車室外側から見た要部平面図である。
図4】上記車両天井構造の作用を説明するための説明図であり、(a)はアシストグリップの格納状態を示し、(b)はアシストグリップの使用状態を示す。
図5】その他の形態の車両天井構造を説明するための説明図であり、(a)は一部が破断した環状溝を備える形態を示し、(b)は一部が破断した連結溝を備える形態を示し、(c)は単一の連結溝を備える形態を示し、(d)は環状溝のみを備える形態を示す。
図6】従来の車両天井構造を説明するための説明図であり、(a)エアバッグが展開した状態の縦断面図を示し、(b)は(a)の天井内装材のb矢視拡大図を示す。
図7】従来の車両天井構造を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
1.車両天井構造
本実施形態1.に係る車両天井構造は、端末側(3a)でカーテンシールドエアバッグ(2)を覆う天井内装材(3)を備え、天井内装材に形成された取付孔(9a、9b)を介して車体パネル(12)にアシストグリップ(11)が取り付けられ、天井内装材(3)の車室内側面の取付孔(9a、9b)の外周側にアシストグリップに設けられた取付部(17a、17b)が当接又は対向する車両天井構造(1)であって、天井内装材(3)の車室外側面には、取付部(17a、17b)の外周側に取付部を囲む環状溝(20a、20b、20a’、20b’)が形成されていることを特徴とする(例えば、図2図3及び図5等参照)。
【0012】
本実施形態1.に係る車両天井構造としては、例えば、上記天井内装材(3)の車室外側面には、アシストグリップ(11)に設けられた一対の取付部(17a、17b)のそれぞれの外周側に配設される一対の環状溝(20a、20b、20a’、20b’)を連結する連結溝(21a、21b、21b’)が形成されている形態(例えば、図3及び図5(a)〜(c)等参照)を挙げることができる。
【0013】
上述の形態の場合、例えば、上記連結溝は、一対の環状溝(20a、20b、20a’、20b’)のそれぞれの天井内装材(3)の端末側(3a)を連結する第1連結溝(21a)を有していることができる(例えば、図3及び図5(a)〜(c)等参照)。
【0014】
上述の形態の場合、例えば、上記連結溝は、上記第1連結溝(21a)と、一対の環状溝(20a、20b、20a’、20b’)を第1連結溝より天井内装材(3)の内方側を連結する第2連結溝(21b、21b’)と、を有していることができる(例えば、図3及び図5(a)(b)等参照)。この場合、例えば、上記第2連結溝(21b、21b’)は、天井内装材(3)の一対の取付孔(9a、9b)のそれぞれに接続されていることができる(例えば、図3及び図5(a)(b)等参照)。これにより、天井内装材の折り曲げ時の応力集中を更に確実に避け分散できる。
【0015】
なお、上記環状溝及び連結溝の溝幅としては、例えば、1.0〜2.0mm(好ましくは1.0〜1.5mm)を挙げることができる。また、上記環状溝及び連結溝の溝深さとしては、例えば、0.5〜2.0mm(好ましくは0.5〜1.0mm)を挙げることができる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0017】
(1)車両天井構造の構成
本実施例に係る車両天井構造1は、図1に示すように、端末側3aでカーテンシールドエアバッグ2を覆う天井内装材3を備えている。このカーテンシールドエアバッグ2は、車両のルーフサイド部4に沿って折り畳まれて格納され、衝突時にサイドウィンドウ5を覆うように展開する。
【0018】
上記天井内装材3は、図2に示すように、繊維層等からなる基材7と、この基材7の表面に積層され意匠面(即ち、車室内側面)となるニット等からなる表皮8と、を備えている。この天井内装材3の端末側3aに形成された一対の取付孔9a、9bを介して金属製のブラケット10にアシストグリップ11が取り付けられている。このブラケット10は、天井内装材3の車室外側に配設される金属製の車体パネル12に固定されている。なお、図2中における符号6はゴム製のウェザストリップを示す。
【0019】
上記アシストグリップ11は、図2に示すように、樹脂製で長尺状のグリップ本体14と、このグリップ本体14の両端部を軸支する支持軸15aを有する樹脂製の一対のベース部材15と、を備えている。これら各ベース部材15には、ブラケット10に形成された取付孔10aに係止する金属製のクリップ16を介して樹脂製で筒状の取付部17a、17bが取り付けられている。この取付部17a、17bは、天井内装材3の車室内側面の取付孔9a、9bの外周側に当接している。
【0020】
上記天井内装材3の車室外側面には、図2及び図3に示すように、アシストグリップ11の一対の取付部17a、17bの外周側のそれぞれに一対の環状溝20a、20bが形成されている。これら各環状溝20a、20bは、取付部17a、17bを囲むように連続する閉ループ状に形成されている。また、各環状溝20a、20bは、その溝幅が約1.0mmとされ、その溝深さが約0.5mmとされている。
【0021】
また、上記天井内装材3の車室外側面には、図3に示すように、一対の環状溝20a、20bを連結する第1連結溝21a及び第2連結溝21bが形成されている。この第1連結溝21aは、一対の環状溝20a、20bのそれぞれの天井内装材3の端末側3aの部位を連結している(図4参照)。また、第2連結溝21bは、一対の環状溝20a、20bを第1連結溝21aより天井内装材3の内方側で連結している(図4参照)。また、各連結溝21a、21bは、車両前後方向に連続して延びている。また、各連結溝21a、21bは、その溝幅が約1.0mmとされ、その溝深さが約0.5mmとされている。さらに、第2連結溝21bの長手方向の両端側は、一対の取付孔9a、9bに接続されている。
【0022】
(2)車両天井構造の作用
次に、上記構成の車両天井構造1の作用について説明する。カーテンシールドエアバッグ2の展開時に天井内装材3の端末側3aが車室内側に開くときに、天井内装材3は、第1連結溝21a(図3参照)を起点として折れ曲がり一対の環状溝20a、20bに沿って連動して折れ曲がり始める(図2中の破線参照)。そして、天井内装材3の端末側3aが車室内側に更に開くと、天井内装材3が第2連結溝21b(図3参照)に沿って折れ曲がるとともに取付部17a、17bの外周縁と干渉することで、天井内装材3の環状溝20a、20bの内側部位が車室外側に向かって筒状に折れ曲がり取付孔9a、9bが拡径される(図2中の一点鎖線参照)。その後、天井内装材3の筒状の折れ曲がり部位が取付部17a、17bを滑って、天井内装材3がアシストグリップ11の取付部17a、17bから抜け出ることとなる(図2中の二点鎖線参照)。
【0023】
一方、カーテンシールドエアバッグ2の非展開時においては、アシストグリップ11の格納状態(図4(a)参照)及びアシストグリップ11の使用状態(図4(b)参照)であっても、車室内側から天井内装材3の車室内側面に環状溝20a、20b及び連結溝21a、21bは見えない。
【0024】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の車両天井構造1によると、天井内装材3の車室外側面には、アシストグリップ11の取付部17a、17bの外周側に取付部17a、17bを囲む環状溝20a、20bが形成されているので、カーテンシールドエアバッグ2の展開時に天井内装材3の端末側3aが車室内側に開くときに、天井内装材3が環状溝20a、20bに沿って折れ曲がり、天井内装材3の環状溝20a、20bの内側部位が車室外側に向かって筒状に折れ曲がる。これにより、取付孔9a、9bが安定的に拡径して天井内装材3がアシストグリップ11の取付部17a、17bから円滑に抜ける。その結果、アシストグリップ11に過度の応力が集中することを防止することができる。また、車室内側から天井内装材3の車室内側面に環状溝20a、20b及び連結溝21a、21bが見えないため、天井内装材3のアシストグリップ11回りの見栄えを向上させることができる。
【0025】
また、本実施例では、天井内装材3の車室外側面には、アシストグリップ11に設けられた一対の取付部17a、17bのそれぞれの外周側に配設される一対の環状溝20a、20bを連結する連結溝21a、21bが形成されているので、天井内装材3が連結溝21a、21bに沿って折れ曲がることで天井内装材3が一対の環状溝20a、20bに沿って連動して折れ曲がる。
【0026】
また、本実施例では、一対の環状溝20a、20bのそれぞれの天井内装材3の端末側3aの部位を連結する第1連結溝21aを有しているので、天井内装材3が第1連結溝21aを起点として折れ曲がり易く、天井内装材3が一対の環状溝20a、20bに沿って更に確実に連動して折れ曲がる。よって、一対の取付孔9a、9bが更に安定的に拡径して天井内装材3がアシストグリップ11の一対の取付部17a、17bから更に円滑に抜ける。
【0027】
さらに、本実施例では、第1連結溝21aと、一対の環状溝20a、20bを第1連結溝21aより天井内装材の内方側を連結する第2連結溝21bと、を有しているので、天井内装材3が第1連結溝21aに加えて第2連結溝21bで折り曲げられる。よって、エアバッグ展開時に、第1連結溝21aで受けきれなかった折り曲げ応力を第2連結溝21bによって補助的に受けることができる。
【0028】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、取付部17a、17bを囲むように連続する閉ループ状の環状溝20a、20bを例示したが、これに限定されず、例えば、図5(a)に示すように、取付部17a、17bを囲むように一部が破断した環状溝20a’、20b’を採用してもよい。この場合、環状溝20a’、20b’の破断部位が天井内装材3の端末側3aと反対側に設けられることが好ましい。
【0029】
また、上記実施例では、連続して延びる第2連結溝21bを例示したが、これに限定されず、例えば、図5(b)に示すように、一部が破断した第2連結溝21b’を採用してもよい。
【0030】
また、上記実施例では、第1及び第2連結溝21a、21bを備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図5(c)に示すように、第1連結溝21aのみを備える形態としたり、3本以上の連結溝を備える形態としたりしてもよい。また、参考例として、図5(d)に示すように、連結溝を備えずに環状溝20a、20bのみを備える形態を挙げることができる
【0031】
また、上記実施例では、ブラケット10を介して車体パネル12にアシストグリップ11を取り付けるようにしたが、これに限定されず、例えば、車体パネル12に直接的にアシストグリップ11を取り付けるようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施例では、天井内装材3の車室内側面にアシストグリップ11の取付部17a、17bを当接させるようにしたが、これに限定されず、例えば、天井内装材3の車室内側面にアシストグリップ11の取付部17a、17bを対向させるようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施例では、グリップ本体14を回転して使用状態とする回転式のアシストグリップ11を例示したが、これに限定されず、例えば、グリップ本体を引き出して使用状態とする引出式のアシストグリップを採用してもよい。
【0034】
さらに、上記実施例では、複数のアシストグリップ11を備える天井内装材3を例示したが、これに限定されず、例えば、少なくとも1つのアシストグリップを備える天井内装材であればよい。
【0035】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0036】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などの車両天井構造に関する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0038】
1;車両天井構造、2;カーテンシールドエアバッグ、3;天井内装材、3a;端末側、9a,9b;取付孔、11;アシストグリップ、12;車体パネル、17a,17b;取付部、20a,20b,20a’,20b’;環状溝、21a;第1連結溝、21b,21b’;第2連結溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7