(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
精錬用粉体供給流路と、燃焼用酸化性ガス供給流路と、精錬用酸化性ガス供給流路とを、それぞれ別々に有する上吹きランスを用い、前記精錬用粉体供給流路から、石灰系媒溶剤、酸化鉄、可燃性物質のうちの1種または2種以上を、燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを搬送用ガスとして転炉内の溶銑浴面に向けて供給するとともに、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して上吹きランスの先端下方に火炎を形成させ、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを転炉内の溶銑浴面に向けて供給し、
前記搬送用ガスは、燃料ガスの比率が体積分率で30%以上80%以下であることを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
前記精錬用粉体供給流路から供給される可燃性物質の供給速度に応じて、前記燃焼用酸化性ガス供給流路からの酸化性ガスの供給流量を、前記可燃性物質が完全燃焼するように調整することを特徴とする、請求項1に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、製鉄プロセスにおいてはCO
2排出量の削減が重要課題となっており、製鋼工程においては、使用する鉄源として鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高め、溶銑の配合比率を低減することが試みられている。これは、鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCO
2を排出するのに対し、冷鉄源は溶解熱のみを必要としており、製鋼工程で冷鉄源を利用した場合には、鉄鉱石の還元熱分のエネルギー使用量を少なくすることができ、CO
2発生量を大幅に削減することができるからである。
【0003】
しかしながら、高炉−転炉の組み合わせによる溶鋼製造プロセスにおいては、冷鉄源の溶解用熱源は溶銑の有する顕熱、及び、溶銑中の炭素及び珪素の酸化による燃焼熱であり、冷鉄源の溶解量には自ずと限界がある。しかも、溶銑に対して予備処理として脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)が施されるようになり、処理工程の追加に伴う溶銑温度の低下のみならず、脱燐処理において溶銑中の炭素及び珪素が酸化されてこれらの含有量が低下し、冷鉄源の溶解に対して不利になっている。尚、溶銑の脱燐処理とは、転炉での脱炭精錬の前に溶銑段階で、脱炭反応を極力抑制した状態で溶銑中の燐を予め除去する精錬である。
【0004】
そこで、溶銑の脱燐処理や脱炭精錬において、溶銑の熱的余裕を高めて冷鉄源の配合比率を拡大するべく、多数の手段が提案されている。例えば、特許文献1には、溶銑の予備処理として脱燐処理を行うにあたり、脱燐処理中の生成スラグ中に炭素源を添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込んで前記炭素源を燃焼させ、この燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が提案されている。
【0005】
特許文献2には、精錬容器内の溶銑に上吹きランスから酸素ガスとともに鉄スクラップ粉、合金鉄粉、生石灰粉などの伝熱媒体を供給して、溶銑の脱炭精錬や鉄またはクロムの溶融還元などを実施する際に、精錬容器内の二次燃焼率を10〜55%の範囲に制御し、二次燃焼熱を前記伝熱媒体に着熱させ、二次燃焼熱を着熱した伝熱媒体によって溶銑を加熱する方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、溶銑を転炉で脱炭精錬するにあたり、酸素ガス噴出用主孔と、該主孔から噴出する酸素ガスの供給流路と独立し、且つ、燃料ガス、酸素ガス及び精錬用フラックスを同時に噴出できるフラックス供給用副孔と、を有する5重管構造の上吹きランスを用い、前記主孔から噴出した酸素ガスの噴流を互いに分離した状態に保つとともに、該酸素ガス噴流と独立して副孔先端で火炎を形成させ、該火炎中に精錬用フラックスを通過させて該精錬用フラックスの滓化を促進させる脱炭精錬方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術には、以下の問題点がある。
【0009】
即ち、特許文献1では、生成スラグ中に炭素源を添加することで、溶銑温度は上昇するが、炭素源に含有される硫黄の溶銑中への混入を招き、溶銑中の硫黄濃度が高くなる。また、炭素源の燃焼時間を確保する必要があることから精錬時間が長くなり、生産性が低下して製造コストが上昇するという問題がある。また更に、炭素源を燃焼させることから、CO
2の発生量が自ずと増加するという問題もある。
【0010】
特許文献2では、伝熱媒体の供給速度に応じて二次燃焼率を制御する必要があり、これを実現する手段として、排ガス組成の分析結果に基づいて二次燃焼率を求めつつ上吹きランスのランス高さを調整する方法が示されている。一般に、ランス高さを大きくすると、上吹きランスからの酸素ガスジェットに随伴される炉内雰囲気ガス(主にCOガス)の量が増加し、二次燃焼率は高くなり、逆に、ランス高さを小さくすると、二次燃焼率は低くなる。即ち、特許文献2のように二次燃焼率を高くすると、酸素ガスジェットが減衰して脱炭速度が低下し、脱炭精錬時間が長くなり、生産性が低下して製造コストが上昇するという問題がある。尚、ランス高さとは、上吹きランスの先端と静止状態の炉内溶銑浴面との距離である。
【0011】
特許文献3では、副孔酸素ガス及び精錬剤の流路、燃料ガスの流路、主孔酸素ガスの流路、冷却水の給水流路、冷却水の排水流路で構成される5重管構造の上吹きランスを用いており、前記副孔酸素ガス及び精錬剤の流路と、前記燃料ガスの流路とを、ランス先端部で合流させ、燃焼火炎を形成させている。また、副孔酸素ガスと精錬剤とは、ランスの上部で合流させるが、合流する前は精錬剤の搬送用ガスとしてArガスなどの不活性ガスを使用している。
【0012】
つまり、特許文献3では、副孔酸素ガス及び精錬剤の流路を通過する物質が、酸素ガス、不活性ガス及び精錬剤となる。ここでの問題は、1つの流路を、金属や炭素分を含有する精錬剤(酸化鉄、鉄鉱石、製鉄所発生ダストなど)と酸素ガスとが通過することである。即ち、特許文献3は、溶銑温度を高める上で有効な手法であるが、ランス内の流路を通過する際に、精錬剤と流路壁(通常は鋼製)との摩擦によって火花が発生したり、酸素ガスと精錬剤の一部とが反応したりして、流路内で発熱・燃焼する虞があり、設備の安全管理上に問題がある。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上吹きランスの先端部にバーナーによる火炎を形成し、この火炎の熱を転炉内の溶銑に着熱させながら、上吹きランスから精錬用酸化性ガスを溶銑に吹き付け、転炉において溶銑を脱燐処理または脱炭精錬するにあたり、上吹きランスの流路内での発熱・燃焼を危惧することなく、着熱効率及び生産性に優れ、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることのできる溶銑の精錬方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]精錬用粉体供給流路と、燃焼用酸化性ガス供給流路と、精錬用酸化性ガス供給流路とを、それぞれ別々に有する上吹きランスを用い、前記精錬用粉体供給流路から、石灰系媒溶剤、酸化鉄、可燃性物質のうちの1種または2種以上を、燃料ガスまたは燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを搬送用ガスとして転炉内の溶銑浴面に向けて供給するとともに、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して上吹きランスの先端下方に火炎を形成させ、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを転炉内の溶銑浴面に向けて供給することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
[2]前記搬送用ガスは、燃料ガスの比率が体積分率で10%以上であることを特徴とする、上記[1]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[3]前記精錬用粉体供給流路から供給される可燃性物質の供給速度に応じて、前記燃焼用酸化性ガス供給流路からの酸化性ガスの供給流量を、前記可燃性物質が完全燃焼するように調整することを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上吹きランスから石灰系媒溶剤、酸化鉄、可燃性物質のうちの1種または2種以上の精錬用粉体を搬送用ガスとともに転炉内の溶銑浴面に供給する際に、搬送用ガスとして燃料ガスまたは燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを使用するので、添加する精錬用粉体が金属や炭素分を含有していても、上吹きランスの流路内での精錬用粉体の発熱・燃焼を未然に防止することができる。また、搬送用ガスには燃料ガスが含まれることから、この燃料ガスによって上吹きランスの先端下方に形成される火炎の中を精錬用粉体が通過し、火炎の熱が精錬用粉体に効率的に着熱するので、精錬用粉体のうちの非燃性の石灰系媒溶剤及び酸化鉄は高温度に加熱され、これらの精錬用粉体を介して火炎の熱が溶銑に着熱し、一方、精錬用粉体のうちの可燃性物質は効率的に燃焼して火炎温度が上昇し、温度上昇した火炎の熱が溶銑に着熱し、溶銑の熱的余裕が向上して溶銑の転炉での脱燐処理及び脱炭精錬において鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることが実現される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、転炉に収容された溶銑に対して上吹きランスから精錬用酸化性ガスを供給して行う酸化精錬を対象としており、この酸化精錬としては、現在、溶銑の脱燐処理及び溶銑の脱炭精錬が行われており、本発明は何れにも適用することができる。この場合に、溶銑の脱炭精錬では、予備処理として行う脱燐処理が予め施された溶銑を使用しても、脱燐処理が施されていない溶銑を使用してもどちらでも構わない。本発明を溶銑の脱燐処理に適用し、この脱燐処理によって精錬された溶銑を転炉で脱炭精錬する際にも本発明を適用することができる。精錬用酸化性ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素)、酸素富化空気、酸素ガスと希ガスとの混合ガスが用いられるが、一般的には酸素ガスが使用される。
【0019】
本発明において使用する溶銑は、高炉で製造された溶銑であり、この溶銑を、溶銑鍋、トピードカーなどの溶銑搬送容器で受銑して、脱燐処理及び脱炭精錬を実施する転炉に搬送する。脱燐処理を行う場合には、少ない石灰系媒溶剤の使用量で効率的に脱燐処理するために、脱燐処理前に溶銑中の珪素を予め除去(「溶銑の脱珪処理」という)し、溶銑の珪素含有量を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで低減させることが好ましい。脱珪処理を実施した場合には、脱珪処理時に生成したスラグを脱燐処理の前までに排出する。
【0020】
以下、転炉における溶銑の脱燐処理を例として本発明を説明する。溶銑の脱燐処理は、溶銑鍋またはトピードカーなどの溶銑搬送容器内でも行うことができるが、これらの溶銑搬送容器に比べてフリーボードが大きく、溶銑を強攪拌することが可能であり、これにより、冷鉄源の溶解能力が高いのみならず、少ない石灰系媒溶剤の使用量で迅速に脱燐処理を行うことができることから、本発明においては、転炉を使用して脱燐処理を実施する。
【0021】
図1は、本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図、
図2は、
図1に示す上吹きランス3の概略拡大縦断面図であり、ここでは、上吹きランスの1例として6重管構造の上吹きランス3を示す。
【0022】
図1に示すように、本発明において脱燐処理に用いる転炉設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施行された炉本体2と、この炉本体2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、脱燐処理終了後の溶銑26を出湯するための出湯口6が設けられ、また、炉本体2の炉底部には、攪拌用ガス28を吹き込むための複数の底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。
【0023】
上吹きランス3には、プロパンガスや液化天然ガスなどの燃料ガス、または、これらの燃料ガスと窒素ガスやArガスなどの不活性ガスとの混合ガスを搬送用ガスとし、この搬送用ガスとともに、石灰系媒溶剤、酸化鉄、可燃性物質のうちの1種または2種以上からなる精錬用粉体29を供給するための精錬用粉体供給管9と、プロパンガス、液化天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料を供給するための燃料ガス供給管10と、供給した燃料ガスを燃焼するための酸素ガス、空気などの酸化性ガスを供給するための燃焼用酸化性ガス供給管11と、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを供給するための精錬用酸化性ガス供給管12と、上吹きランス3を冷却するための冷却水を供給・排出するための冷却水給水管及び排水管(図示せず)とが、接続されている。
図1では、燃焼用酸化性ガス及び精錬用酸化性ガスを酸素ガスとした例を示している。
【0024】
尚、燃料ガスに代えて、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を使用することも可能であるが、流路出口のノズルなどで目詰まりを起こす虞があるので、本発明では燃料として燃料ガス(気体燃料)を使用する。気体燃料を使用すれば、ノズルなどの目詰まりを防止できるだけでなく、供給速度の調整が容易である、更には、着火しやすいので失火を防止できるなどの利点がある。
【0025】
精錬用粉体供給管9の他端は、精錬用粉体29を収容したディスペンサー13に接続され、また、ディスペンサー13は精錬用粉体搬送用ガス供給管9Aに接続されており、精錬用粉体搬送用ガス供給管9Aを通ってディスペンサー13に供給された燃料ガスまたは燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスが、ディスペンサー13に収容された精錬用粉体29の搬送用ガスとして機能し、ディスペンサー13に収容された精錬用粉体29は精錬用粉体供給管9を通って上吹きランス3に供給され、上吹きランス3の先端から溶銑26に向けて吹き付けることができるようになっている。精錬用粉体搬送用ガス供給管9Aに供給される燃料ガス及び不活性ガスは、それぞれ流量調節弁(図示せず)によって供給流量が調整できるように構成されている。本発明では、精錬用粉体29の搬送用ガスとして燃料ガスまたは燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを使用し、搬送用ガスとして不活性ガスのみを使用することはない。
【0026】
本発明で使用する上吹きランスの1例として
図2に示す6重管構造の上吹きランス3は、円筒状のランス本体14と、このランス本体14の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ15とで構成されており、ランス本体14は、最内管20、仕切り管21、内管22、中管23、外管24、最外管25の同心円形状の6種の鋼管、即ち6重管で構成されている。精錬用粉体供給管9は最内管20に連通し、燃料ガス供給管10は仕切り管21に連通し、燃焼用酸化性ガス供給管11は内管22に連通し、精錬用酸化性ガス供給管12は中管23に連通し、冷却水の給水管及び排水管はそれぞれ外管24または最外管25の何れか一方に連通している。つまり、精錬用粉体29が搬送用ガスとともに最内管20の内部を通り、プロパンガスなどの燃料ガスが最内管20と仕切り管21との間隙を通り、燃焼用酸化性ガスが仕切り管21と内管22との間隙を通り、精錬用酸化性ガスが内管22と中管23との間隙を通るように構成されている。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙は、冷却水の給水流路または排水流路となっている。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙のうちの一方が給水流路で、他方が排水流路であり、どちらを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ15の位置で反転するように構成されている。
【0027】
最内管20の内部は、ランスチップ15のほぼ軸心位置に配置された中心孔16と連通し、最内管20と仕切り管21との間隙は、中心孔16の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃料ガス噴射孔17と連通している。また、仕切り管21と内管22との間隙は、燃料ガス噴射孔17の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃焼用酸化性ガス噴射孔18と連通し、内管22と中管23との間隙は、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の周辺に複数個設置された周囲孔19と連通している。中心孔16は、精錬用粉体29を搬送用ガスとともに吹き付けるためのノズル、燃料ガス噴射孔17は、燃料ガスを噴射するためのノズル、燃焼用酸化性ガス噴射孔18は、燃料ガスを燃焼する酸化性ガスを噴射するためのノズル、周囲孔19は、精錬用酸化性ガスを吹き付けるためのノズルである。
【0028】
つまり、最内管20の内部が精錬用粉体供給流路となり、最内管20と仕切り管21との間隙が燃料ガス供給流路となり、仕切り管21と内管22との間隙が燃焼用酸化性ガス供給流路となり、内管22と中管23との間隙が精錬用酸化性ガス供給流路となっている。尚、
図2において、中心孔16はストレート形状のノズルであり、一方、周囲孔19は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成されるラバールノズルの形状を採っているが、中心孔16を、ラバールノズル形状としても構わない。燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18は円環のスリット状に開口するストレート型のノズル、または断面が円形のストレート形状のノズルである。ラバールノズルにおいて、縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体の境界である最も断面積の小さい部位をスロートと称している。
【0029】
この構成の転炉設備1を用い、冷鉄源の配合比率を高めることを目的とする本発明に係る脱燐処理を、以下に示すようにして溶銑26に対して実施する。
【0030】
先ず、炉本体2の内部へ冷鉄源を装入する。使用する冷鉄源としては、製鉄所で発生する鋳片及び鋼板のクロップ屑や市中屑などの鉄スクラップ、磁力選別によってスラグから回収した地金、更には、冷銑、還元鉄などを使用することができる。冷鉄源の配合比率は、装入する全鉄源に対して5質量%以上とすることが好ましい(冷鉄源の配合比率(質量%)=冷鉄源配合量×100/(溶銑配合量+冷鉄源配合量))。冷鉄源の配合比率が5質量%未満では、生産性向上の効果が少ないのみならず、CO
2発生量の削減効果が少ないからである。冷鉄源の配合比率の上限は特に決める必要はなく、脱燐処理後の溶銑温度が目標範囲を維持できる上限まで添加することができる。冷鉄源の装入完了に前後して、攪拌用ガス28の底吹き羽口7からの吹き込みを開始する。
【0031】
冷鉄源の炉本体2への装入後、溶銑26を炉本体2へ装入する。用いる溶銑26としてはどのような組成であっても脱燐処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。因みに、脱燐処理前の溶銑26の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.3質量%以下、燐:0.08〜0.2質量%、硫黄:0.05質量%以下程度である。但し、脱燐処理時に炉本体内で生成されるスラグ27の量が多くなると脱燐効率が低下するので、前述したように、炉内でのスラグ発生量を少なくして脱燐効率を高めるために、脱珪処理により、溶銑中の珪素濃度を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで予め低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1200〜1450℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
【0032】
次いで、ディスペンサー13に燃料ガスまたは燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを搬送用ガスとして供給し、石灰系媒溶剤、酸化鉄、可燃性物質のうちの1種または2種以上からなる精錬用粉体29を、上吹きランス3の中心孔16から搬送用ガスとともに溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。この精錬用粉体29の吹き付けと同時にまたは前後して、燃料ガス噴射孔17から燃料ガスを噴射させるとともに燃焼用酸化性ガス噴射孔18から酸素ガスなどの酸化性ガスを噴射させ、上吹きランス3の下方に火炎を発生させる。搬送用ガスとして、燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを使用する場合には、燃料ガスの燃焼熱を精錬用粉体29に効率的に着熱させるために、混合ガス中の燃料ガスの比率は体積分率で10%以上であることが好ましい。
【0033】
上吹きランス3の先端に火炎を発生させるにあたり、上吹きランス3に供給する燃料ガス供給流量と燃焼用酸化性ガス供給流量とを調整して、燃焼用酸化性ガスによって燃料ガスを完全燃焼させる。その際に、炉本体2の内部で完全燃焼するように、燃料ガス及び燃焼用酸化性ガスの供給流量を制御する。
【0034】
中心孔16及び燃料ガス噴射孔17から供給される燃料ガスと、燃焼用酸化性ガス噴射孔18から供給される酸化性ガスとは、上吹きランス半径方向の全方位で近接しているので、各々干渉し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内にガス濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス3の下方に火炎が形成される。
【0035】
中心孔16から搬送用ガスとともに噴射される精錬用粉体29のうちで、非燃性の石灰系媒溶剤及び酸化鉄は、形成される火炎の熱を受けて加熱または加熱・溶融し、加熱または溶融した状態で溶銑26の浴面に吹き付けられる。これにより、加熱された精錬用粉体29の熱が溶銑26に着熱し、溶銑26の温度が上昇して、添加した冷鉄源の溶解が促進される。また、中心孔16から搬送用ガスとともに噴射される精錬用粉体29のうちの可燃性物質は、火炎によって燃焼し、燃料ガスの燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与し、溶銑26の温度が上昇して、添加した冷鉄源の溶解が促進される。
【0036】
また、その際に、上吹きランス3の周囲孔19から、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。
【0037】
溶銑26の脱燐反応は、溶銑中の燐が酸化性ガスまたは酸化鉄と反応して燐酸化物(P
2O
5)を形成し、この燐酸化物が石灰系媒溶剤の滓化によって形成されるスラグ27に、3CaO・P
2O
5の形態で吸収されることで進行する。しかも、石灰系媒溶剤の滓化が促進されるほど脱燐速度が速くなる。従って、精錬用粉体29としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO
3)、消石灰(Ca(OH)
2)などの石灰系媒溶剤を使用することが好ましい。生石灰に蛍石(CaF
2)またはアルミナ(Al
2O
3)を滓化促進剤として混合したものを石灰系媒溶剤として使用することもできる。また、溶銑26の脱炭精錬工程で発生する転炉スラグ(CaO−SiO
2系スラグ)を石灰系媒溶剤の全部または一部として使用することもできる。
【0038】
精錬用粉体29として溶銑浴面に吹き付けられた石灰系媒溶剤は直ちに滓化してスラグ27を形成し、また、供給された精錬用酸化性ガスと溶銑中の燐とが反応して燐酸化物が形成される。攪拌用ガス28によって溶銑26とスラグ27とが強攪拌されることも相まって、形成した燐酸化物が滓化したスラグ27に迅速に吸収されて、溶銑26の脱燐反応が速やかに進行する。石灰系媒溶剤を精錬用粉体29として使用しない場合には、石灰系媒溶剤を炉上ホッパーから別途上置き投入する。
【0039】
精錬用粉体29として、鉄鉱石、鉄鉱石の焼結鉱粉やミルスケールなどの酸化鉄を使用した場合には、酸化鉄は酸素源として機能し、溶銑中の燐と反応して脱燐反応が進行する。また、酸化鉄が石灰系媒溶剤と反応して石灰系媒溶剤の表面にFeO−CaOの化合物が形成され、石灰系媒溶剤の滓化が促進され、脱燐反応が促進される。酸化鉄として高炉ダストや製鋼ダスト(「転炉ダスト」ともいう)などの可燃性物質を含有するものを使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、上記に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。
【0040】
また、精錬用粉体29として、アルミ灰(Alの地金やスクラップを溶解炉で溶かした時に、Alと空気中の酸素とが反応して生成した、金属Alを30〜50質量%含有するAl酸化物)や、コークス、石炭などの可燃性物質を使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、燃料ガスの燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。可燃性物質の燃焼後の灰分は高温であり、この灰分が溶銑26に供給されることによっても、溶銑26は加熱される。精錬用粉体29として、石灰系媒溶剤、酸化鉄及び可燃性物質を混合したものを使用する場合には、それぞれの効果を並行して得ることができる。
【0041】
精錬用粉体29は加熱または加熱・溶融しており、その熱が溶銑26に伝達し、更には、溶銑26の上方に存在する、上吹きランス先端の火炎の燃焼熱が溶銑26に伝達することから、溶銑26が激しく攪拌されることも相まって、溶銑中の冷鉄源の溶解が促進される。即ち、装入した冷鉄源の溶解が脱燐処理の期間中に終了する。
【0042】
その後、溶銑26の燐濃度が目的とする値かそれ以下になったなら、上吹きランス3から溶銑26への全ての供給を停止して脱燐処理を終了する。脱燐処理後、炉本体2を傾動させて脱燐処理の施された溶銑26を、出湯口6を介して、取鍋、転炉装入鍋などの溶銑保持容器に出湯し、出湯した溶銑26を次工程に搬送する。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、上吹きランス3から石灰系媒溶剤、酸化鉄、可燃性物質のうちの1種または2種以上の精錬用粉体29を搬送用ガスとともに転炉内の溶銑浴面に供給する際に、搬送用ガスとして燃料ガスまたは燃料ガスと不活性ガスとの混合ガスを使用するので、添加する精錬用粉体29が金属や炭素分を含有していても、上吹きランス3の流路内での精錬用粉体29の発熱・燃焼を未然に防止することができる。
【0044】
また、搬送用ガスには燃料ガスが含まれることから、この燃料ガスによって上吹きランス3の先端下方に形成される火炎の中を精錬用粉体29が通過し、火炎の熱が精錬用粉体29に効率的に着熱するので、精錬用粉体29のうちの非燃性の石灰系媒溶剤及び酸化鉄は高温度に加熱され、これらの精錬用粉体を介して火炎の熱が溶銑26に着熱し、一方、精錬用粉体29のうちの可燃性物質は効率的に燃焼して火炎温度が上昇し、温度上昇した火炎の熱が溶銑26に着熱し、溶銑26の熱的余裕が向上して溶銑の転炉での脱燐処理及び脱炭精錬において鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に高めることが実現される。
【0045】
尚、上記説明は、転炉における溶銑の脱燐処理を例として行ったが、転炉における溶銑の脱炭精錬においても、上記に沿って酸化精錬することで、本発明を適用することができる。また、本発明で使用する上吹きランスの例として、
図2に示す6重管構造の上吹きランス3の例で説明したが、本発明において、燃料ガスの全量を中心孔16から供給できる場合には、燃料ガスを燃料ガス噴射孔17から供給する必要はなく、このような場合には、燃料ガス噴射孔17及び仕切り管21を備えていない5重管構造の上吹きランスであっても本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0046】
図1に示す転炉設備と同一構造である、炉容量が2.5トンの小型転炉設備を用いて、精錬用粉体を搬送するための搬送用ガス中の燃料ガス(プロパンガス)と不活性ガス(窒素ガス)との混合比率、つまり体積分率を変化させ、そのときの火炎温度を調査した。この小型転炉設備で使用した上吹きランスは、
図2に示す上吹きランスと同様に、6重管構造のものであり、その横断面において中心側から、精錬用粉体供給流路、燃料ガス供給流路、燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水流路、冷却水の排水流路で構成されている。
【0047】
精錬用粉体はランス中心の円形ストレート型の中心孔から、燃料ガスは円環状(リング状)の燃料ガス噴射孔から、燃料ガスを燃焼する燃焼用酸素ガスは円環状(リング状)の燃焼用酸化性ガス噴射孔から、精錬用酸素ガスは同心円上に配置した複数個のラバールノズル型の周囲孔から炉内に供給した。中心孔は内径11.5mmであり、燃料ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が1.0mmであり、燃焼用酸化性ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が1.85mmであり、周囲孔はスロート径が7mmの3孔ラバールノズルでランス中心軸に対して15°の角度を有しているものである。
【0048】
プロパンガスの供給流量は、精錬用粉体供給流路及び燃料ガス供給流路へ供給する合計の流量を0.40Nm
3/分とし、その一部または全部を搬送用ガスとして精錬用粉体供給流路に供給した。精錬用粉体供給流路に供給する搬送用ガスとしての窒素ガスの供給流量は、プロパンガスの供給流量に応じて0〜0.40Nm
3/分に変更し、搬送用ガスの合計流量を0.40Nm
3/分とした。燃焼用酸化性ガス供給流路へ供給する燃焼用酸素ガスの供給流量は、供給するプロパンガスを完全燃焼するために必要な化学当量分である2.0Nm
3/分とし、精錬用酸化性ガス供給流路へ供給する精錬用酸素ガスの供給流量は5.0Nm
3/分とした。精錬用粉体は使用せず、また、小型転炉内に溶銑を装入しないで試験した。
【0049】
上吹きランスから生石灰、燃料ガス、燃焼用酸素ガス及び精錬用酸素ガスを噴射し、火炎が安定的に形成された後に、ランス先端から鉛直下方に600mm離れた位置での火炎の温度を熱電対によって測定した。
図3に、搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率を変化させたときの火炎温度の測定結果を示す。
【0050】
図3に示すように、搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率を変化させることで、火炎の温度が変化することがわかった。具体的には、搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率を10%以上とすることで、窒素ガス(不活性ガス)のみを搬送用ガスとした場合に比較して、火炎温度はおよそ90℃以上高くなることがわかった。この結果から、搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率を10%以上とすることが好ましいことがわかった。また更に、火炎温度が最も高くなるのは、搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率がおよそ50%の場合であり、従って、火炎温度を高くするためには、搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率を30〜80%の範囲に維持すること、望ましくは40〜60%の範囲に維持することがより好ましいことも確認できた。
【0051】
この結果を踏まえ、前記小型転炉設備を用いて溶銑の脱燐処理を行った(本発明例1〜6)。使用した上吹きランスは、上記の火炎温度を測定した際に使用した上吹きランスである。
【0052】
本発明例1〜6では、転炉に鉄スクラップを装入した後、1350℃の溶銑を装入し、次いで、底吹き羽口からArガスを攪拌用ガスとして溶銑中に吹き込みながら、上吹きランスから、生石灰(精錬用粉体)、燃料ガス(プロパンガス)、燃焼用酸素ガス及び精錬用酸素ガスを溶銑に向けて吹き付けて脱燐処理した。その際に、精錬用粉体供給流路及び燃料ガス供給流路へ供給する合計のプロパンガス流量を0.40Nm
3/分とし、その一部または全部を搬送用ガスとして精錬用粉体供給流路に供給した。搬送用ガスの流量は、プロパンガスと窒素ガスとの合計で0.40Nm
3/分とした。搬送用ガス中のプロパンガスの体積分率は、5%(本発明例1)、10%(本発明例2)、25%(本発明例3)、50%(本発明例4)、75%(本発明例5)、100%(本発明例6)に変更した。鉄スクラップの装入量は、脱燐処理後の溶銑温度が1400℃になるように調整した。また、生石灰の添加量は、脱燐処理後の炉内スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO
2)が2.5となるように調整した。
【0053】
また、比較のために、搬送用ガスとして、窒素ガスのみを使用し、プロパンガスを燃料ガス供給流路のみから供給して脱燐処理する試験(比較例1)も行った。
【0054】
表1に、本発明例1〜6及び比較例1で使用した溶銑の組成を示し、また、表2に、本発明例1〜6及び比較例1における操業条件を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
また、表3に、本発明例1〜6及び比較例1における精錬時間及び鉄スクラップの配合比率を示す。また、
図4に、本発明例1〜6及び比較例1から得られた、搬送用ガス中の燃料ガス(プロパンガス)の混合比率と鉄スクラップの配合比率との関係を示す。
【0058】
【表3】
【0059】
表3及び
図4に示すように、本発明例1〜6及び比較例1における鉄スクラップの配合比率の比較から、本発明を適用することで、溶銑の脱燐処理時間が同じ場合でも鉄スクラップの配合比率を高められることが確認できた。また、搬送用ガス中の燃料ガス(プロパンガス)の体積分率が10%以上の場合には、5質量%以上の鉄スクラップの配合比率を確保できることがわかった。また、
図4に示す、鉄スクラップの配合比率と搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率との関係は、
図3に示す、火炎温度と搬送用ガス中の燃料ガスの体積分率との関係と同様の傾向であることが確認できた。
【実施例2】
【0060】
実施例1と同じ小型転炉設備を使用し、精錬用粉体として、生石灰(石灰系媒溶剤)と、可燃性物質を含有する製鋼ダスト(酸化鉄)との混合粉を供給する脱燐処理を行った(本発明例7、8)。
【0061】
本発明例7では、精錬用粉体供給流路及び燃料ガス供給流路へ供給する合計のプロパンガス流量を0.40Nm
3/分とし、そのうちの0.20Nm
3/分を搬送用ガスとして精錬用粉体供給流路に供給した。搬送用ガスの流量は、0.20Nm
3/分のプロパンガスと0.20Nm
3/分の窒素ガスとの合計で0.40Nm
3/分とした。燃焼用酸化性ガス供給流路へ供給する燃焼用酸素ガスの供給流量は、プロパンガスと製鋼ダスト中の可燃性物質とを完全燃焼させることができる流量(=2.2Nm
3/分)とした。鉄スクラップの装入量は、脱燐処理後の溶銑温度が1400℃になるように調整した。また、生石灰の添加量は、脱燐処理後の炉内スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO
2)が2.5となるように調整した。
【0062】
本発明例8では、燃焼用酸化性ガス供給流路へ供給する燃焼用酸素ガスの供給流量を、製鋼ダスト中の可燃性物質の燃焼を考慮せずに、プロパンガスを完全燃焼させる流量(=2.0Nm
3/分)とし、それ以外の条件は、本発明例7と同一条件とした。
【0063】
本発明例7及び本発明例8で精錬用粉体として使用した製鋼ダストの組成を表4に示し、また、表5に、本発明例7及び本発明例8における操業条件を示す。尚、表4中のT.Feは、製鋼ダスト中の金属鉄と鉄酸化物(FeO、Fe
2O
3など)として含まれる鉄分との合計値であり、製鋼ダスト中の可燃性物質とは、金属鉄及び炭素が相当する。
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
また、表6に、本発明例7及び本発明例8における精錬時間及び鉄スクラップの配合比率を示す。
【0067】
【表6】
【0068】
表6から明らかなように、本発明例7、8は、可燃性物質を含有する製鋼ダストを精錬用粉体として使用していること、且つ、生石灰と製鋼ダストとを精錬用粉体として使用することによって加熱される精錬用粉体が多くなることで、本発明例1〜6に比較して鉄スクラップの配合比率を高めることが可能となった。特に、製鋼ダスト中の可燃性物質の燃焼を考慮して燃焼用酸素ガスの供給流量を設定した本発明例7では、6.6質量%という高い鉄スクラップ配合比率を達成することができた。