(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の機能を有する電子タグが取り付けられた商品に付される情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に対して、前記電子タグをその機能が制限される制限状態にするために組み付けられるタグ機能制限用装置であって、
前記電子タグを前記制限状態にするための磁界を発生させるアンテナ部と、
前記アンテナ部が固定されるケースとを備え、
前記光学的情報読取装置の外郭を構成する筐体に形成される開口には、当該開口を閉塞するカバーがそのカバー側係合部にて閉塞時に係合する本体側係合部が形成されており、
前記ケースには、前記筐体への組み付け時に前記本体側係合部に係合する組付用係合部が形成されることを特徴とするタグ機能制限用装置。
前記ケースには、前記組付用係合部に加えて、前記カバー側係合部を係合させるためのカバー取付用係合部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のタグ機能制限用装置。
前記ケースには、前記組付用係合部と前記本体側係合部との係合時に、前記筐体のうち前記情報コードからの反射光を取り込む読取口が形成される読取部を環状に囲う環状部が形成され、
前記環状部には、前記アンテナ部の少なくとも一部が固定されることを特徴とする請求項1または2に記載のタグ機能制限用装置。
前記ケースは、前記係合時の前記読取部のうち前記読取口を含めた端部が前記環状部を挿通するように、前記筐体に組み付けられることを特徴とする請求項3に記載のタグ機能制限用装置。
前記光学的情報読取装置に対して、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタグ機能制限用装置の前記ケースが前記組付用係合部にて前記本体側係合部に係合して前記筐体に組み付けられることで、前記電子タグを前記制限状態にする機能が付加されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した販売データ処理端末は、大型の商品でもバーコード等を読み取れるように携帯型のハンドスキャナを備えており、このハンドスキャナにもRFIDタグを無効化するためのアンテナが設けられている。このように、携帯型の光学的情報読取装置にも電子タグの機能を停止させるなどの電子タグを制限する機能が望まれている。しかしながら、電子タグを制限する機能を有しない既存の光学的情報読取装置を、電子タグを制限する機能を有する新たな光学的情報読取装置に単に切り替えると、既存の光学的情報読取装置が使用できなくなり切り替えにかかるコストが増大しやすくなるという問題がある。この問題は、切り替える個数が多くなるほど顕著になる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、組み付けられた光学的情報読取装置に対して電子タグを制限状態にする機能を容易に付加し得るタグ機能制限用装置および光学的情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、所定の機能を有する電子タグ(T)が取り付けられた商品(G)に付される情報コード(B)を光学的に読み取る光学的情報読取装置(10,90)に対して、前記電子タグをその機能が制限される制限状態にするために組み付けられるタグ機能制限用装置(50,50a)であって、前記電子タグを前記制限状態にするための磁界を発生させるアンテナ部(70)と、前記アンテナ部が固定されるケース(60)とを備え、前記光学的情報読取装置の外郭を構成する筐体(11)に形成される開口(15)には、当該開口を閉塞するカバー(14)がそのカバー側係合部(14a)にて閉塞時に係合する本体側係合部(16a)が形成されており、前記ケースには、前記筐体への組み付け時に前記本体側係合部に係合する組付用係合部(61a)が形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、電子タグを制限状態にするための磁界を発生させるアンテナ部と、アンテナ部が固定されるケースとが設けられる。そして、光学的情報読取装置の筐体には、カバーのカバー側係合部が係合する本体側係合部が形成されており、ケースには、筐体への組み付け時に本体側係合部に係合する組付用係合部が形成される。
【0009】
このように、ケースの組付用係合部と筐体の本体側係合部とを係合させることで、ケースが筐体に組み付けられるので、電子タグを制限状態にするアンテナ部を有するタグ機能制限用装置を光学的情報読取装置に容易に組み付けることができる。特に、筐体からカバーを取り外すかずらすことで露出する本体側係合部を利用するので、組み付けに関する部品点数を削減できるだけでなく、電子タグを制限する機能を有しない既存の光学的情報読取装置であっても部品交換用等のカバーが係合される筐体であれば容易に組み付けることができる。
したがって、組み付けられた光学的情報読取装置に対して電子タグを制限状態にする機能を容易に付加することができる。
【0010】
請求項2の発明では、ケースには、組付用係合部に加えて、カバー側係合部を係合させるためのカバー取付用係合部が形成されるため、タグ機能制限用装置を光学的情報読取装置に組み付けるために筐体から取り外したカバーを、そのカバー側係合部にてカバー取付用係合部に係合させることができる。これにより、取り外したカバーを別途管理する必要もなく、取り外したカバーをなくしてしまうことを防止することができる。
【0011】
請求項3の発明では、ケースには、組付用係合部と本体側係合部との係合時に、読取口が形成される読取部を環状に囲う環状部が形成され、この環状部には、アンテナ部の少なくとも一部が固定される。これにより、電子タグを制限状態にするには、タグ機能制限用装置が組み付けられた光学的情報読取装置の読取口を電子タグに近づければよいため、電子タグを制限状態にするための作業が明確になり、作業性を向上させることができる。特に、ケースは、組付用係合部および本体側係合部の係合箇所と、環状部および読取部の係合箇所との複数の係合箇所により筐体に組み付けられるため、ケースと筐体との組み付けをより強固にすることができる。
【0012】
請求項4の発明では、ケースは、係合時の読取部のうち読取口を含めた端部が環状部を挿通するように、筐体に組み付けられる。これにより、情報コードに読取口を近づけて読み取る必要がある場合でも、読取口近傍に組み付けられた環状部のために読取口が情報コードに近づけにくくなることをなくすことができる。
【0013】
請求項5の発明では、ケースは、係合時において筐体の把持部に面する部位が当該把持部に沿い薄肉状に形成されるため、タグ機能制限用装置を組み付けた光学的情報読取装置を使用者が把持する際に、タグ機能制限用装置が把持の邪魔になりにくくすることができる。
【0014】
請求項6の発明では、ケースは、筐体の把持部から離間するように当該筐体に組み付けられるため、タグ機能制限用装置を組み付けた光学的情報読取装置を使用者が把持する際に、タグ機能制限用装置が把持の邪魔になりにくくすることができる。
【0015】
請求項7の発明では、光学的情報読取装置に対して、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタグ機能制限用装置のケースが組付用係合部にて本体側係合部に係合して筐体に組み付けられることで、電子タグを制限状態にする機能が付加される。これにより、上記タグ機能制限用装置が組み付けられた光学的情報読取装置に対して、電子タグを制限状態にする機能を容易に付加することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るタグ機能制限用装置およびこのタグ機能制限用装置を組み付けた光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
図1は、第1実施形態に係るタグ機能制限用装置50をバーコードリーダ10に組み付けた状態を示す外観図であり、
図1(A)は側面図であり、
図1(B)は下面図である。
図2は、タグ機能制限用装置50をバーコードリーダ10から取り外した状態を示す側面図である。なお、
図2では、タグ機能制限用装置50からリアカバー14を取り外している。また、
図3は、バーコードリーダ10から取り外したタグ機能制限用装置50を分解して示す分解斜視図である。なお、
図3では、便宜上、ケーブル12,80の図示を省略している。
図4は、バーコードリーダ10の電気的構成を示すブロック図である。
【0018】
図1〜
図3に示す機能制限用装置50は、所定の機能を有する電子タグTが取り付けられた商品Gに付される情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に組み付けられるアタッチメントである。このタグ機能制限用装置50は、組み付けられた光学的情報読取装置に対して、電子タグTをその機能が制限される状態(制限状態)にする機能を付加するための装置として構成されている。
【0019】
本実施形態では、商品名および購入金額に関する情報が情報コードとしてコード化されたバーコードBが読取対象であり、
図4に例示するように、商品購入時に商品Gに付されたバーコードBが光学的情報読取装置として構成されるバーコードリーダ10により光学的に読み取られることで、この読取情報を取得したPOSレジスター1により商品購入に関する精算処理が実施される。
【0020】
また、商品Gには、盗難防止のため防犯機能を有する電子タグTが取り付けられている。電子タグTの防犯機能が停止されずに商品Gを店舗外に持ち出すと、電子タグTが店舗出入口等に配置されたゲート(図示略)により検知されて、未精算商品の持ち出しが報知される。このため、商品購入時には、電子タグTの防犯機能を確実に停止させる必要がある。
【0021】
一方、店員が、商品購入時にバーコードリーダ10によりバーコードBを読み取る作業を行った後に、電子タグTの防犯機能を停止させるための専用機器に商品Gの電子タグTを接触等させる作業を行う場合には、精算処理完了までの作業が繁雑となり、精算処理を迅速に実施できないという問題がある。特に、この問題は、上記精算処理が頻繁になされる店舗ほど顕著になる。
【0022】
そこで、本実施形態では、タグ機能制限用装置50をバーコードリーダ10に対して後述するように組み付けることにより、商品購入時にバーコードリーダ10によりバーコードBを読み取る際に、タグ機能制限用装置50により電子タグTを制限状態にしてその機能を停止させる。これにより、電子タグTの機能を停止させるための作業が不要となり、商品購入に関する作業性を向上させることができる。
【0023】
まず、タグ機能制限用装置50の組付対象であるバーコードリーダ10単体での基本構成について説明する。
バーコードリーダ10は、主に、外郭を構成する筐体11、この筐体11内に収容される図略のプリント配線板および光学系、さらに筐体11から外部に延びてPOSレジスター1と電気的な接続を可能にするケーブル12等より構成されている。
【0024】
筐体11は、ABS樹脂等の合成樹脂からなる上ケース11aおよび下ケース11bを組み付けることで構成されている。これら上ケース11aおよび下ケース11bの一端側を構成する読取部11cには、その端部にバーコードの読取方向に長い読取口13が形成され、他端側を構成するケーブル保持部11dには、ケーブル12の交換時に取り外されるリアリアカバー14が着脱可能に取り付けられている。そして、読取部11cとケーブル保持部11dとの間の筐体11の部位が使用者により把持される把持部11eとして構成される。
【0025】
読取口13が形成される読取部11cは、裏面側に大きく前傾する首曲がり形状に形成されている。これにより、使用者がバーコードリーダ10を当該上ケース11a側から把持した状態で、読取対象物に貼付されたバーコードBに読取口13を当て易くしている。なお、上ケース11aの首曲がり形状部のほぼ中央には、後述するように、バーコードの読み取りに関する情報を光で使用者に通知し得る発光部43が形成されている。
【0026】
ここで、リアカバー14とこのリアカバー14が取り付けられるケーブル保持部11dとの構成について、
図3および
図5を用いて詳細に説明する。なお、
図5は、ケーブル保持部11dからリアカバー14およびケーブル12を取り外した状態を示す下面図である。ケーブル保持部11dには、その下面側に、リアカバー14を取り外すことで露出する開口15が形成されており、この開口15内には、ケーブル12が接続されるケーブル接続用基板(図示略)が配置されている。また、開口15内には、上記ケーブル接続用基板に接続されたケーブル12を挟持して保持するための凹弧部15aが形成されている。また、ケーブル保持部11dのうち開口15の外縁近傍には、先端部が爪状に形成される2つの係合部16aと、開口15の周囲の一部を囲うガイド16bとが形成されている。
【0027】
そして、リアカバー14の裏面には、両係合部16aにそれぞれ係脱可能な先端部が爪状に形成される係合部14aと、ガイド16bに面接触可能なガイド14bとが形成されている。また、リアカバー14の裏面には、凹弧部15aとによりケーブル12を挟持して保持するための凹弧部14cが形成されている。
【0028】
これにより、ガイド14bとガイド16bとを面接触させた状態で両係合部14aと両係合部16aとをそれぞれ係合させることで、リアカバー14がケーブル保持部11dに取り付けられて、このリアカバー14により開口15が閉塞される。このとき、凹弧部14cと凹弧部15aとによりケーブル12が挟持されるように保持される。また、ケーブル12の交換時には、両係合部14aと両係合部16aとの係合を解除させてリアカバー14を取り外して開口15を露出させることで、ケーブル12の交換が可能な状態となる。なお、係合部14aは、特許請求の範囲に記載の「カバー側係合部」の一例に相当し、係合部16aは、特許請求の範囲に記載の「本体側係合部」の一例に相当し得る。
【0029】
また、図略のプリント配線板は、上ケース11aおよび下ケース11bにより形成される内部空間に収容可能な矩形状に形成されており、メモリ35や制御回路40、あるいは発光部43の光源となる発光ダイオード(LED)等の電気系の電子部品を実装することにより、所定の電子回路を構成し得る配線パターンがプリントされている。このプリント配線板には、これらの電子部品のほかに、バーコードの読み取りに必要な光学系の照明光源21や受光センサ28等も実装されている。
【0030】
次に、このようなプリント配線板に実装されるバーコードリーダ10の電気的構成を
図4に基づいて説明する。
図4に示すように、バーコードリーダ10の電気的構成は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、発光部43、ブザー44、バイブレータ45等のマイコン系と、から構成されている。
【0031】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、
図4では、バーコードBが貼付された商品Gに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0032】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、バーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるものである。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0033】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが、バーコードBにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0034】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等から構成されている。
【0035】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0036】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルなども確保されるようになっている。またROMには、読取処理等を実行可能な所定のプログラムや、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0037】
制御回路40は、バーコードリーダ10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、通信インタフェース48等が接続されている。
【0038】
これにより、制御回路40は、例えば、バーコードBの読み取りに関する情報を通知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには当該バーコードリーダ10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御やPOSレジスター1との通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。
【0039】
上述のように構成されるバーコードリーダ10にてバーコードBの読み取りを行う場合、まず、制御回路40によって指令を受けた照明光源21から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口13を通ってバーコードBに照射される。そして、照明光LfがバーコードBにて反射した反射光Lrは読取口13を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ27を通って受光センサ28に受光される。受光センサ28はこのバーコードBの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ28から出力された受光信号は、公知のデコード処理によりデコードされて読取情報として制御回路40により処理されて、この読取情報がケーブル12を介してPOSレジスター1に出力される。なお、別途、バーコードBの読み取りを開始するためのトリガーキーを設けて、このトリガーキーの操作に応じて制御回路40により読取処理を開始してもよい。
【0040】
次に、タグ機能制限用装置50の構成について、
図2,
図3および
図6を用いて説明する。なお、
図6は、タグ機能制限用装置50を示す外観図であり、
図6(A)は上面図であり、
図6(B)は側面図であり、
図6(C)は下面図である。なお、
図6では、便宜上、ケーブル80の図示を省略している。
図2,
図3および
図6に示すように、タグ機能制限用装置50は、外郭を構成するケース60と、アンテナ部70と、ケーブル12と同じ線径のケーブル80とを備えている。このタグ機能制限用装置50は、ケーブル80を介して防犯タグディアクティベータ(図示略)から断続的に供給される電流に応じてアンテナ部70にて磁界を発生させて、この磁界により電子タグT内のアンテナパターンを破損等させることで、電子タグTの機能を停止させるように構成されている。
【0041】
ケース60は、ケーブル保持部61と、環状部62と、これらケーブル保持部61および環状部62を連結する連結部63とを備えている。ケーブル保持部61には、その上面側に、リアカバー14の両係合部14a,ガイド14bおよび凹弧部14c等と同等の機能を有する両係合部61a,ガイド61bおよび凹弧部61c等が形成されている。すなわち、ケーブル保持部61を、リアカバー14を取り外したケーブル保持部11dに対して、開口15を閉塞させるように、ガイド61bとガイド16bとを面接触させた状態で両係合部61aと両係合部16aとをそれぞれ係合させるとともに凹弧部61cと凹弧部15aとによりケーブル12を挟持するように、取り付けることができる。
【0042】
このように、ケーブル保持部61により、リアカバー14と同様に、ケーブル12を保持するように開口15を閉塞することができる。なお、ガイド61bの一部は、型製造上、ガイド14bと異なり、内側に複数のリブを設け突出端側のリブ間に隙間が形成されているが、これに限らず、ガイド14bと同じ形状に形成されてもよい。なお、係合部61aは、特許請求の範囲に記載の「組付用係合部」の一例に相当し得る。
【0043】
また、ケーブル保持部61は、その下面が開口しており、この下面側に、ケーブル保持部11dの両係合部16a,ガイド16bおよび凹弧部15a等とほぼ同じ形状の両係合部61d,ガイド61eおよび凹弧部61f等が形成されている。すなわち、リアカバー14を、ケーブル保持部11dに組み付けたケース60に対して、ガイド14bとガイド61eとを面接触させた状態で両係合部14aと両係合部61dとをそれぞれ係合させるとともに凹弧部14cと凹弧部61fとによりケーブル80を挟持するように、取り付けることができる。なお、係合部61dは、特許請求の範囲に記載の「カバー取付用係合部」の一例に相当し得る。
【0044】
環状部62は、ケーブル保持部61がケーブル保持部11dに取り付けられたときに、読取部11cの先端部が挿通する環状側壁62aと、先端部が挿通可能に環状側壁62aの下縁内側および上縁内側をそれぞれ閉塞する環状の下壁62bおよび上壁62cとを備えている。環状側壁62aおよび下壁62bは一体に形成されており、上壁62cは、環状側壁62aの上縁に対して着脱可能に形成されている。また、下壁62bは、内縁の少なくとも一部にて読取部11cに当接し、読取口13を含めた読取部11cの先端部が当該下壁62bの内方から下方に飛び出るように形成されている(
図1参照)。なお、下壁62bは、環状側壁62aの下縁に対して着脱可能に形成されてもよい。
【0045】
連結部63は、ケーブル保持部61がケーブル保持部11dに取り付けられたときに把持部11eの下面に面する部位であって、当該把持部11eに沿い薄肉状に形成されている(
図1参照)。
【0046】
アンテナ部70は、端部71aが環状に形成されるフレキシブルプリント配線板(以下、FPC71という)と、このFPC71とケーブル80とを接続するためのケーブル接続用のコネクタ基板72とを備えている。FPC71は、その環状端部71aが環状側壁62aの内面に沿うように連結部63に貼り付けられている。また、コネクタ基板72は、ケーブル80が接続されるコネクタ部がケーブル保持部61の下面側に露出するように、ケーブル保持部61の上面側から取り付けられている。
【0047】
次に、上述のように構成されるタグ機能制限用装置50をバーコードリーダ10に組み付ける組付作業について説明する。
まず、バーコードリーダ10において、両係合部14aと両係合部16aとの係合を解除して、ケーブル保持部11dからリアカバー14を取り外す。これにより、開口15が露出した状態となる。
【0048】
次に、環状部62に読取部11cの先端部を挿通させた後、開口15が露出したケーブル保持部11dに対して、ガイド61bとガイド16bとを面接触させた状態で両係合部61aと両係合部16aとをそれぞれ係合させるとともに凹弧部61cと凹弧部15aとによりケーブル12を挟持するように、ケーブル保持部61を取り付ける。これにより、連結部63が把持部11eの下面に沿うように、ケース60が筐体11に組み付けられ、凹弧部61cおよび凹弧部15aによりケーブル12が保持される。
【0049】
そして、ケーブル保持部61の下面側に対して、ガイド14bとガイド61eとを面接触させた状態で両係合部14aと両係合部61dとをそれぞれ係合させるとともに凹弧部14cと凹弧部61fとによりケーブル80を挟持するように、リアカバー14を取り付ける。これにより、凹弧部14cおよび凹弧部61fによりケーブル80が保持されて、バーコードリーダ10に対するタグ機能制限用装置50の組み付けが完了する(
図1参照)。
【0050】
上述のようにタグ機能制限用装置50が組み付けられたバーコードリーダ10を用いて電子タグTが取り付けられた商品Gに付されたバーコードBを読み取る場合、読取口13がバーコードBに近づけられることでアンテナ部70が電子タグTに近づけられて、アンテナ部70にて発生した磁界により電子タグTの機能が停止状態となる。このようにタグ機能制限用装置50が組み付けられたバーコードリーダ10を用いてバーコードBの読取作業を実施することで、電子タグTの機能を停止させるためだけに必要な作業が不要となり、商品購入に関する作業性を向上させることができる。
【0051】
特に、ケース60が上記係合により筐体11に組み付けられることで、バーコードリーダ10に対して電子タグTを停止状態にする機能が付加されるため、タグ機能制限用装置50が組み付けられたバーコードリーダ10に対して、電子タグTを停止状態にする機能を容易に付加することができる。
【0052】
そして、バーコードリーダ10からタグ機能制限用装置50を取り外す場合には、逆に、両係合部14aと両係合部61dとの係合を解除させてリアカバー14をタグ機能制限用装置50から取り外した後、両係合部61aと両係合部16aとの係合を解除させてバーコードリーダ10からタグ機能制限用装置50を取り外す。そして、ガイド14bとガイド16bとを面接触させた状態で両係合部14aと両係合部16aとをそれぞれ係合させるとともに凹弧部14cと凹弧部15aとによりケーブル12を挟持するように、リアカバー14を取り付ける。これにより、タグ機能制限用装置50を組み付ける前のバーコードリーダ10単体の状態に容易に戻すことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るタグ機能制限用装置50では、電子タグTを制限状態にするための磁界を発生させるアンテナ部70と、アンテナ部70が固定されるケース60とが設けられる。そして、バーコードリーダ10の筐体11には、リアカバー14の両係合部14aがそれぞれ係合する両係合部16aが形成されており、ケース60には、筐体11への組み付け時に両係合部16aにそれぞれ係合する両係合部61aが形成される。
【0054】
このように、ケース60の両係合部61aと筐体11の両係合部16aとをそれぞれ係合させることで、ケース60が筐体11に組み付けられるので、電子タグTを制限状態にするアンテナ部70を有するタグ機能制限用装置50をバーコードリーダ10に容易に組み付けることができる。特に、筐体11からリアカバー14を取り外すことで露出する両係合部16aを利用するので、組み付けに関する部品点数を削減できるだけでなく、電子タグTを制限する機能を有しない既存のバーコードリーダ10であってもリアカバー14が係合される筐体11であれば容易に組み付けることができる。また、ガイド61bをガイド16bに面接触させた状態で両係合部61aと両係合部16aとをそれぞれ係合させるため、組み付け時のずれを確実に防止することができる。
したがって、組み付けられたバーコードリーダ10に対して電子タグTを制限状態にする機能を容易に付加することができる。
【0055】
また、ケース60には、そのケーブル保持部61の上面側に設けられる両係合部61aに加えて、そのケーブル保持部61の下面側に両係合部14aをそれぞれ係合させるための両係合部61dが形成されるため、タグ機能制限用装置50をバーコードリーダ10に組み付けるために筐体11から取り外したリアカバー14を、その両係合部14aにて両係合部61dにそれぞれ係合させてタグ機能制限用装置50に取り付けることができる。これにより、取り外したリアカバー14を別途管理する必要もなく、取り外したリアカバー14をなくしてしまうことを防止することができる。
【0056】
さらに、ケース60には、両係合部61aと両係合部16aとの係合時に、読取口13が形成される読取部11cを環状に囲う環状部62が形成され、この環状部62には、アンテナ部70の環状端部71aが固定される。これにより、電子タグTを制限状態にするには、タグ機能制限用装置50が組み付けられたバーコードリーダ10の読取口13を電子タグTに近づければよいため、電子タグTを制限状態にするための作業が明確になり、作業性を向上させることができる。特に、ケース60は、両係合部61aおよび両係合部16aの係合箇所と、環状部62および読取部11cの係合箇所との複数の係合箇所により筐体11に組み付けられるため、例えば、筐体11全体を覆うようにタグ機能制限用装置を組み付ける必要もないので、大型化を伴うことなくケース60と筐体11との組み付けをより強固にすることができる。
【0057】
特に、ケース60は、係合時の読取部11cのうち読取口13を含めた端部が環状部62を挿通するように、筐体11に組み付けられる。これにより、バーコードBに読取口13を近づけて読み取る必要がある場合でも、読取口13近傍に組み付けられた環状部62のために読取口13がバーコードBに近づけにくくなることをなくすことができる。
【0058】
なお、ケース60は、筐体11に対して、ケーブル保持部11dでの係合に加えて読取部11cと異なる箇所で係合してもよいし、ケーブル保持部11dのみで係合してもよい。
【0059】
また、ケース60は、係合時において筐体11の把持部11eに面する連結部63が当該把持部11eに沿い薄肉状に形成されるため、タグ機能制限用装置50を組み付けたバーコードリーダ10を使用者が把持する際に、タグ機能制限用装置50が把持の邪魔になりにくくすることができる。
【0060】
なお、ケース60は、筐体11からリアカバー14を外したケーブル保持部11dでの上記係合により筐体11に取り付けられることに限らず、筐体11に形成される開口を閉塞する他のカバー(例えば、電池交換用のカバー)を取り外すかずらす等して当該他のカバーを係合させるための係合部を利用して筐体11に取り付けられてもよい。
【0061】
この場合、ケース60は、筐体11の把持部11eから離間するように当該筐体11に組み付けられてもよい。このようにしても、タグ機能制限用装置50を組み付けたバーコードリーダ10を使用者が把持する際に、タグ機能制限用装置50が把持の邪魔になりにくくすることができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るタグ機能制限用装置について
図7および
図8を参照して説明する。
図7は、第2実施形態に係るタグ機能制限用装置50aを示す外観図である。
図8は、2つのバーコードリーダの形状の違いを説明するための側面図であり、
図8(A)は、バーコードリーダ10を示し、
図8(B)はバーコードリーダ90を示す。
【0063】
本第2実施形態に係るタグ機能制限用装置50aは、異なる形状の光学的情報読取装置にて共用可能に構成される点が、上記第1実施形態に係るタグ機能制限用装置と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態のタグ機能制限用装置と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図7に示すタグ機能制限用装置50aは、
図8(A)に示す上述したバーコードリーダ10に加えて、
図8(B)に示すバーコードリーダ90にも組み付け可能に構成されている。バーコードリーダ90は、バーコードリーダ10の別シリーズであって、
図8からわかるように、そのリアカバー93の全長方向長さL2がリアカバー14の全長方向長さL1よりも長くなるように形成されるとともに、そのケーブル保持部91の開口92の全長方向長さがケーブル保持部11dの開口15の全長方向長さよりも長くなるように形成されている。なお、他の読取部11c等の筐体の外郭や両係合部16a,ガイド16bおよび凹弧部15a等に関しては、バーコードリーダ90およびバーコードリーダ10は、ほぼ同じ形状に形成されている。
【0065】
このため、バーコードリーダ90のケーブル保持部91は、その縁部91aが、バーコードリーダ10のケーブル保持部11dの縁部11fに対して、リアカバー93が全長方向に長くなった分ΔL(=L2−L1)だけ読取口13方向にずれるように形成される。一方、リアカバー93には、リアカバー14と同じように、両係合部14a,ガイド14bおよび凹弧部14cが形成されている。
【0066】
ところで、リアカバー14を取り外したバーコードリーダ10に対して組み付けるようにタグ機能制限用装置のケースを形成すると、ケーブル保持部91の縁部91aが縁部11fに対してΔLだけ読取口13方向にずれているために、リアカバー93を取り外したバーコードリーダ90に組み付ける場合に、ケーブル保持部91の縁部91aとケースとの間に隙間が形成されて、塵等が開口92内に入り込んでしまう可能性がある。一方、リアカバー91を取り外したバーコードリーダ90に対して組み付けるようにタグ機能制限用装置のケースを形成すると、リアカバー14を取り外したバーコードリーダ10に組み付ける場合に、ケーブル保持部11dの縁部11fがケースに接触することとなり、タグ機能制限用装置を共用することができない。
【0067】
そこで、本実施形態に係るタグ機能制限用装置50aは、ケーブル保持部(11d,91)に両係合部16a,ガイド16bおよび凹弧部15aが形成されて共用が想定される全ての光学的情報読取装置の形状を考慮して構成される。具体的には、タグ機能制限用装置50aは、
図7に示すように、そのケーブル保持部64の上面側の形状が、上記ケーブル保持部61に対して、組み付けられたケーブル保持部91の縁部91aまで覆うように全長方向にΔLだけ長くなるように形成されている。
【0068】
これにより、タグ機能制限用装置50aは、塵等が開口内に入り込むことなく、バーコードリーダ10およびバーコードリーダ90のいずれにも組み付けることができる。なお、タグ機能制限用装置50aは、ケーブル保持部91の下面側にて、リアカバー14が取り付け可能に形成されているが、これに限らず、リアカバー93または他のリアカバーが取り付け可能に形成されてもよい。
【0069】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)タグ機能制限用装置50が組み付けられる光学的情報読取装置としては、上述したバーコードリーダ10,90が採用されることに限らず、他のコード種別、例えば、二次元コード等の情報コードを光学的に読み取り可能な光学的情報読取装置が採用されてもよい。
【0070】
(2)タグ機能制限用装置50は、電子タグTの機能を停止状態にするように構成されることに限らず、停止状態も含めて少なくとも一部の機能を制限する制限状態にするように構成されてもよい。
【0071】
(3)タグ機能制限用装置50,50aは、防犯タグディアクティベータ(図示略)からケーブル80を介して供給される電流に応じて電子タグTの機能を制限することに限らず、ケーブル80を廃止し、防犯タグディアクティベータと同等の機能を有する電流発生源を備えて、この電流発生源からアンテナ部70に供給される電流に応じて電子タグTの機能を制限してもよい。