特許第6036207号(P6036207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036207
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 27/02 20060101AFI20161121BHJP
   F02M 26/00 20160101ALI20161121BHJP
   F02M 26/14 20160101ALI20161121BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F02M27/02 D
   F02M27/02 J
   F02M26/00
   F02M26/14
   C01B3/38
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-252845(P2012-252845)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-101771(P2014-101771A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】芦田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】堀田 勇
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−188963(JP,A)
【文献】 特開2006−118488(JP,A)
【文献】 特開2010−184843(JP,A)
【文献】 特開2011−144055(JP,A)
【文献】 特開2010−144604(JP,A)
【文献】 特開2009−162053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 27/02
C01B 3/38
F02M 26/00
F02M 26/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気の一部を吸気通路に還流するEGR通路と、上記EGR通路に改質用燃料を噴射する改質用燃料噴射弁と、上記EGR通路に介装され、上記改質用燃料から改質ガスを生成する燃料改質触媒と、上記EGR通路を流れるEGR量を制御するEGR制御弁と、を有する内燃機関の制御装置において、
上記燃料改質触媒の改質ガス生成能力が低下すると、上記燃料改質触媒の第1の再生処理として、上記燃料改質触媒の温度が所定温度以上で、かつ上記内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット時に、上記EGR制御弁を開弁して上記燃料改質触媒へ所定量の空気を供給し、
上記第1の再生処理を行っても、上記燃料改質触媒の改質ガス生成能力が低下している場合には、上記燃料改質触媒の第2の再生処理として、上記燃料改質触媒の温度が所定温度以上で、かつ上記内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット時に、上記EGR制御弁を開弁して上記燃料改質触媒へ空気を供給すると共に、上記改質用燃料噴射弁から上記改質用燃料を噴射して上記燃料改質触媒に所定量の上記改質用燃料を供給し、
上記第2の再生処理の開始時における上記燃料改質触媒の温度が低いほど、上記第2の再生処理期間中に上記燃料改質触媒に供給される空気量及び改質用燃料量が多くなるように設定されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
上記第1の再生処理の開始時における上記燃料改質触媒の温度が低いほど、上記第1の再生処理期間中に上記燃料改質触媒に供給される空気量が多くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
上記第1の再生処理中に上記燃料改質触媒に供給される空気量が多くなるほど、上記EGR制御弁の弁開度は大きくなり、上記EGR制御弁の開弁期間は長くなるよう設定されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
上記第2の再生処理中に上記燃料改質触媒に供給される空気量が多くなるほど、上記EGR制御弁の弁開度は大きくなり、上記EGR制御弁の開弁期間は長くなるよう設定され、
上記第2の再生処理中に上記燃料改質触媒に供給される改質用燃料量が多くなるほど、上記改質用燃料噴射弁の噴射期間が長くなるよう設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
上記第2の再生処理を行っても、上記燃料改質触媒の改質ガス生成能力が低下している場合には、再度、上記第2の再生処理を実施することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特にEGR通路に介装された燃料改質触媒でEGR通路に噴射された改質用燃料の燃料改質を行う内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気の一部を取り出し、吸気系に還流させる内燃機関のEGRシステムが従来から広く知られている。
【0003】
このような内燃機関のEGRシステムに基づき、還流する排気(EGRガス)に改質用燃料を供給し、排気の熱を利用してEGR通路に介装された改質触媒上で改質反応させ、水素等を含む改質ガスを生成する技術が従来から広く知られている。
【0004】
このような改質触媒は、EGRガス量に対して、供給される改質用燃料量が多くなると、改質触媒上に改質用燃料が付着残存し、当該改質触媒の燃料改質性能が低下する。
【0005】
例えば、特許文献1には、このような改質触媒の燃料改質性能の低下を抑制するために、運転条件が急変した状態では、運転条件が急変していない状態に比べて、供給される改質用燃料量を少なくすることで、改質触媒上に改質用燃料が付着残存しないようにして、改質触媒の燃料改質性能の低下を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−162053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この特許文献1に開示される技術は、改質触媒の燃料改質性能の低下を抑制するものであり、一度低下してしまった改質触媒の燃料改質性能を再生(回復)させることはできないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、EGR通路に介装された燃料改質触媒の改質ガス生成能力が低下すると、上記燃料改質触媒の第1の再生処理として、上記燃料改質触媒の温度が所定温度以上で、かつ内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット時に、EGR制御弁を開弁して上記燃料改質触媒へ所定量の空気を供給することを特徴としている。そして、上記第1の再生処理を行っても、上記燃料改質触媒の改質ガス生成能力が低下している場合には、上記燃料改質触媒の第2の再生処理として、上記燃料改質触媒の温度が所定温度以上で、かつ上記内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット時に、上記EGR制御弁を開弁して上記燃料改質触媒へ空気を供給すると共に、上記改質用燃料噴射弁から上記改質用燃料を噴射して上記燃料改質触媒に所定量の上記改質用燃料を供給する。また、上記第2の再生処理の開始時における上記燃料改質触媒の温度が低いほど、上記第2の再生処理期間中に上記燃料改質触媒に供給される空気量及び改質用燃料量が多くなるように設定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃料改質触媒の性能低下の要因となる触媒毒(硫黄被毒)や煤を燃焼除去することが可能となり、燃料改質触媒の燃料改質性能を再生(回復)させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明が適用される内燃機関のシステム構成の概略を模式的に示した説明図。
図2】本発明に係る内燃機関の制御装置の制御の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用される内燃機関のシステム構成の概略を模式的に示した説明図である。
【0012】
内燃機関1は、駆動源として自動車等の車両に搭載されるものであって、吸気通路2と排気通路3とが接続されている。吸気通路2には、スロットル弁4が設けられている。スロットル弁4の下流側には、燃料タンク6から供給された燃料を吸気通路2内に噴射する燃料噴射弁7が設けられている。また、スロットル弁4の上流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ8が設けられている。
【0013】
排気通路3には、三元触媒等の排気触媒9が設けられている。この排気触媒9の上流側には、内燃機関1から排出された排気の空燃比を検出する空燃比センサ10が設けられている。この空燃比センサ10は、空燃比に応じたほぼリニアな出力特性を有するものである。また、排気触媒9の下流側には、空燃比のリッチ、リーンのみを検出する酸素センサ11が設けられている。
【0014】
内燃機関1は、排気還流(EGR)が実施可能なものであって、排気通路3と吸気通路2との間には、EGR通路12が設けられている。EGR通路12は、その一端が排気触媒9の上流側の位置で排気通路3に接続され、その他端がスロットル弁4の下流側となる位置で吸気通路2に接続されている。そして、このEGR通路12には、排気通路3側から順に、EGR制御弁13、改質用燃料噴射弁14、燃料蒸発器15、燃料改質触媒16、EGRクーラ17が設けられている。
【0015】
EGR制御弁13の弁開度は、運転条件に応じた所定のEGR率が得られるように、ECU(エンジンコントロールユニット)18によって制御される。
【0016】
改質用燃料噴射弁14は、燃料タンク6から供給された燃料を改質用燃料としてEGR通路12内に噴射するものである。上記改質用燃料は、燃料蒸発器15で気化され、EGR通路12に導入された排気(EGRガス)とともに燃料改質触媒16に供給される。
【0017】
燃料改質触媒16は、例えばコージェライトからなるハニカム担体に、ロジウムを担持させたものであって、EGR通路12に導入された排気(EGRガス)と上記改質用燃料とを用いて水素を生成可能なものである。つまり、燃料改質触媒16は、EGR実施中に、改質用燃料噴射弁14から上記改質用燃料が噴射されると、EGRガスと上記改質用燃料から水素を含んだ改質ガスを生成する。この燃料改質触媒16の温度は、温度センサ19によって検出される。
【0018】
EGRクーラ17は、燃料改質触媒16よりも吸気通路2側(下流側)に位置し、EGRガス及び改質ガスを冷却する。
【0019】
改質ガスに含まれる水素の濃度は、吸気通路2に配置された水素センサ20によって検出される。この水素センサ20は、吸気通路2のEGR通路12他端が接続された位置よりも下流側に位置している。
【0020】
なお、図1中の21は、EGR制御弁13と改質用燃料噴射弁14との間に設けられ、EGR通路12に導入された排気(EGRガス)の温度を検出するEGRガス温度センサ、図1中の22は、EGRクーラ17とEGR通路12他端との間に設けられ、空燃比のリッチ、リーンのみを検出する酸素センサである。
【0021】
ECU18には、上述したエアフローメータ8、空燃比センサ10、酸素センサ11、22、排気ガス温度センサ21、水素センサ20からの検出信号のほか、クランクシャフト(図示せず)のクランク角を検出するクランク角センサ23、アクセルペダル(図示せず)の踏込量を検出するアクセル開度センサ24、車速を検出する車速センサ25等、各種センサ類の検出信号が入力されている。
【0022】
ECU18は、マイクロコンピュータを内蔵し、内燃機関1の種々の制御を行うものであって、運転状態に応じてEGR量(排気還流量)を制御するEGR制御のほかに、アクセル開度に応じたスロットル弁4の開度や、運転状態に応じた燃料噴射弁7からの燃料噴射量や、改質用燃料噴射弁14からの改質用燃料の噴射量等、内燃機関1の各種制御を行っている。
【0023】
ここで、燃料改質触媒16の燃料改質性能の低下が、硫黄被毒等の触媒毒や煤の付着の場合、これらを燃焼除去することで、燃料改質触媒16の燃料改質性能を再生(回復)させることが可能である。そこで、EGR実施中に改質用燃料を燃料改質触媒16に供給しても水素センサ20で検出される燃料改質触媒16下流側の水素濃度が所定濃度以上とはならない場合に、燃料改質触媒16の燃料改質性能を再生させる処理が必要であると判定し、燃料改質触媒16から触媒毒(硫黄被毒)や煤を燃焼除去する。
【0024】
燃料改質触媒16から触媒毒(硫黄被毒)や煤を燃焼除去する場合には、燃料改質触媒16に対し酸素(空気)を供給して燃焼を促す必要があるが、排気空燃比がリーンとなるように燃焼制御して燃料改質触媒16に酸素を供給すると、排気エミッションが悪化する虞がある。また、排気通路3あるいはEGR通路12に空気を導入可能ないわゆる2次エア供給用の構成を設ければ、排気空燃比がリーンとなるように燃焼制御しなくても燃料改質触媒16に酸素を供給することは可能となるが、2次エア供給用の構成を設ける分、コストが高くなると共に、システム全体が大型化してしまう。
【0025】
そこで、本実施例では、燃料改質触媒16の再生処理が必要と判定されると、燃料改質触媒16が所定温度以上で、かつ内燃機関1への燃料供給を停止する所定の燃料カット運転時に、EGR制御弁13を開いて空気を燃料改質触媒16に供給する第1再生モード(第1の再生処理)を実施する。ここで、上記所定温度は、例えば、空気を供給すれば酸化反応が生じる燃料改質触媒16の最低反応温度であり、後述する再生可能目標温度よりも低い温度である。つまり、燃料改質触媒16に空気を供給しても、燃料改質触媒16の温度が低すぎて燃料改質触媒16上で酸化反応が生じないことがないように、上記所定温度は設定される。
【0026】
なお、燃料カット運転は、例えば、アクセル開度が所定開度以下で、機関回転数が所定の燃料カット回転数以上で、かつ車速が所定の燃料カット速度以上のときに実施される。そして、上記燃料カット運転中に、例えば、アクセル開度が上記所定開度より大きい、機関回転数が所定の燃料カットリカバー回転数よりも低い、車速が所定の燃料カットリカバー速度よりも低い、のいずれかの条件が満たされたときに、上記燃料カット運転は終了する。
【0027】
これによって、燃料改質触媒16に酸化反応を促進させる空気を供給することができ、触媒毒(硫黄被毒)や煤を燃焼除去することが可能となって、燃料改質触媒16の燃料改質性能を再生(回復)させることができる。
【0028】
また、燃料改質触媒16の燃料改質性能を適宜再生させることができるので、燃料改質性能の低下を見込んで燃料改質触媒16のサイズを予め大きめに設定しておく必要もなく、その分燃料改質触媒16を小型化することができる。
【0029】
第1再生モードでは、第1再生モードを開始する際の燃料改質触媒16の温度と、燃料改質触媒16の触媒毒(硫黄被毒)や煤が燃焼除去される温度である再生可能目標温度との温度差に応じて必要空気量を算出する。そして、算出された上記必要空気量が燃料改質触媒16の供給されるようにEGR制御弁13の開弁期間、弁開度、開弁開始時期を算出し、EGR制御弁13を制御する。
【0030】
上記必要空気量は、燃料改質触媒16上に燃焼可能な物質(例えば煤)があるものとした場合、燃料改質触媒16が酸化反応(燃焼)により上記再生可能目標温度に達するのに必要な空気量である。つまり、燃料改質触媒16の温度と上記再生可能目標温度との温度差が大きくなるほど、換言すれば燃料改質触媒16の温度が低くなるほど、上記必要空気量は多くなるように設定される。例えば、燃料改質触媒16の温度と上記再生可能目温度との温度差に対応する必要空気量を予め実験等で求めてマップ化しておけば、マップ参照により上記必要空気量を算出可能である。
【0031】
このように、第1再生モードでは、燃料改質触媒16の温度に応じた量の空気が供給されることになるので、必要以上の空気が供給され、燃料改質触媒16が過度に高温となり、高温劣化してしまうことを抑制することができる。
【0032】
そして、上記必要空気量を燃料改質触媒16に供給する際のEGR制御弁13の開弁期間や弁開度は、当該必要空気量とそのときの機関回転数に応じた最適な組み合わせを予め実験等により算出しておくものとする。本実施例では、上記必要空気量と機関回転数からマップ参照により第1再生モード時のEGR制御弁13の開弁期間や弁開度が算出される。第1再生モードにおいて、上記必要空気量が多くなるほど、EGR制御弁13の開弁期間は相対的に長くなり、EGR制御弁13の弁開度は相対的に大きくなるよう設定されている。
【0033】
また、第1再生モード時におけるEGR制御弁13の開弁開始時期は、上記燃料カット運転の開始時期を基準として決定されたものであり、機関回転数に応じて予め実験等により算出しておくものとする。本実施例では、機関回転数からマップ参照により第1再生モード時のEGR制御弁13の開弁開始期間が算出される。この開弁開始時期は、上記燃料カット運転が実施されて直後では、排気通路3に上記燃料カット運転開始前の排気が残っていることを事を考慮したものであって、EGR制御弁13を開弁すると空気がEGR通路12に導入されるタイミングとなるように設定されている。燃料噴射弁7から燃料が噴射される位置からEGR通路12と排気通路3との接続位置までの吸排気系の容積が決まれば、機関回転数に応じて上記開弁開始時期を算出可能となる。つまり第1再生モードにおけるEGR制御弁13の開弁開始時期は、上記燃料カット運転が開始されてから所定時間が経過したタイミングであり、機関回転数が高くなるほど、相対的に早くなる(上記燃料カット運転開始時期に近づく)よう設定されている。
【0034】
このように、EGR制御弁13を制御することで上記必要空気量を燃料改質触媒16に供給することが可能であり、第1再生モードを実施するにあたって、新たな構成要素を追加する必要はない。
【0035】
上記燃料カット運転中にEGR制御弁13を開いて空気を導入するだけの上記第1再生モードで燃料改質触媒16の再生が不十分な場合には、第2再生モード(第2の再生処理)による燃料改質触媒16の再生を実施する。本実施例では、上記第1再生モードを実施した結果、燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度に達しない場合、空気だけでは触媒毒(硫黄被毒)や煤を除去できるだけの燃焼が発生せず、燃料改質触媒16の再生が不十分と判定する。
【0036】
第2再生モードでは、上記燃料カット運転時に、EGR制御弁13を開いて空気を導入すると共に、改質用燃料噴射弁14から改質用燃料を噴射する。
【0037】
これにより燃料改質触媒16には、上記燃料カット運転時に酸素及び改質用燃料が供給され、触媒毒(硫黄被毒)や煤を燃焼除去するに足る酸化反応(燃焼)を燃料改質触媒上で確実に実現することができ、燃料改質触媒16の燃料改質性能を再生(回復)させることができる。
【0038】
第2再生モードでは、第2再生モードを開始する際の燃料改質触媒16の温度と、燃料改質触媒16の触媒毒(硫黄被毒)や煤が燃焼除去される温度である上記再生可能目標温度との温度差に応じて必要空気量及び必要改質用燃料量を算出する。第2再生モードにおける必要空気量及び必要改質用燃料量は、燃料改質触媒16上に燃焼可能な物質がないものとして、燃料改質触媒16が酸化反応(燃焼)により上記再生可能目標温度に達するのに必要な量である。なお、本実施例では、第2再生モードの必要空気量と第1再生モードにおける必要空気量とは、同様の方法で算出される。従って、燃料改質触媒16の温度と上記再生可能目標温度との温度差が大きくなるほど、換言すれば燃料改質触媒16の温度が低くなるほど、第2再生モードで算出された必要空気量と上記必要改質用燃料量は多くなるように設定される。
【0039】
このように、第2再生モードでは、燃料改質触媒16の温度に応じた量の空気及び燃料が当該燃料改質触媒16に供給されることになるので、必要以上の空気及び燃料が燃料改質触媒16に供給され、燃料改質触媒16が過度に高温となり、高温劣化してしまうことを抑制することができる。
【0040】
第2再生モードにおけるEGR制御弁13の開弁期間及び弁開度は、第2再生モードで算出された必要空気量と機関回転数からマップ参照により算出される。第2再生モードにおいても、上記必要空気量が多くなるほど、EGR制御弁13の開弁期間は相対的に長くなり、EGR制御弁13の弁開度は相対的に大きくなるよう設定されている。なお、第2再生モードは、第1再生モードに引き続き実施されるので、第1再生モードのようにEGR制御弁13の開弁開始時期を算出する必要はない。また、本実施例では、第1再生モードで使用したマップを利用して、第2再生モードにおけるEGR制御弁13の開弁期間及び弁開度を算出している。
【0041】
上記必要改質用燃料量を燃料改質触媒16に供給する際の改質用燃料噴射弁14の噴射期間や噴射開始時期は、当該必要改質用燃料量とそのときの機関回転数に応じた最適な組み合わせを予め実験等により算出しておくものとする。本実施例では、上記必要改質用燃料量と機関回転数からマップ参照により第2再生モード時の改質用燃料噴射弁14の噴射期間や噴射開始時期が算出される。第2再生モードにおいて、上記必要改質用燃料量が多くなるほど、改質用燃料噴射弁14の噴射期間は相対的に長くなる。また、第2再生モードにおいて、機関回転数が高くなるほど、改質用燃料噴射弁14の噴射開始時期は相対的に早くなるよう設定されている。
【0042】
つまり、EGR制御弁13及び改質用燃料噴射弁14を制御することで上記必要空気量及び上記必要改質用燃料量を燃料改質触媒16に供給することが可能であり、第2再生モードを実施するにあたって、新たな構成要素を追加する必要はない。
【0043】
また、第2再生モードの終了後に、燃料改質触媒16の再生が不十分な場合には、再度、第2再生モードによる燃料改質触媒16の再生を実施するようにしてもよい。
【0044】
図2は、上述した本実施例の制御の流れを示すフローチャートである。S1では、燃料改質触媒16に再生処理が必要か否かを判定する。本実施例では、改質用燃料を燃料改質触媒16に供給しても水素センサ20により検出される水素濃度が所定濃度未満のときに、燃料改質触媒16に再生処理が必要と判定し、S2へ進む。S2では、燃料改質触媒16の温度が上記所定温度以上であるか否かを判定し、上記所定温度以上であればS3へ進み、そうでなければ今回のルーチンを終了する。S3では、現在の運転状態が上記燃料カット運転であるか否かを判定し、燃料カット運転中であればS4へ進み、そうでなければ今回のルーチンを終了する。S4では、燃料改質触媒16の温度と上記再生可能目標温度から上記必要空気量を算出する。S5では、EGR制御弁13の開弁期間、弁開度、開弁開始時期を、機関回転数とS4で算出された必要空気量を用い、それぞれ対応するマップから算出する。S6では、S5で算出された条件でEGR制御弁13を制御する第1再生モードを実施する。すなわち、本実施例においては、必要空気量からEGR制御弁13の開弁期間、弁開度、開弁開始時期が算出されると、直ちに第1再生モードが開始される。S7では、S4で算出された必要空気量が燃料改質触媒16に供給されると第1再生モードが終了した判定する。第1再生モードが終了した場合には、EGR制御弁13を閉弁し、S8へ進む。
【0045】
S8では、燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度以上になっているか否かを判定する。燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度以上であれば、燃料改質触媒16上の触媒毒(硫黄被毒)や煤が燃焼により除去されたものと見なして、今回のルーティンを終了する。一方、燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度に達していない場合には、S9へ進む。
【0046】
S9では、現在の運転状態が上記燃料カット運転であるか否かを判定し、燃料カット運転中であればS10へ進み、そうでなければ今回のルーチンを終了する。S10では、燃料改質触媒16の温度と上記再生可能目標温度から上記必要空気量を算出する。S11では、EGR制御弁13の開弁期間、弁開度、開弁開始時期を、機関回転数とS10で算出された必要空気量を用い、それぞれ対応するマップから算出する。S12では、燃料改質触媒16の温度と上記再生可能目標温度から上記必要改質用燃料量を算出する。S13では、改質用燃料噴射弁14の燃料噴射期間、燃料噴射開始時期を、機関回転数とS12で算出された必要改質用燃料量を用い、それぞれ対応するマップから算出する。S14では、S11及びS13で算出された条件でEGR制御弁13及び改質用燃料噴射弁14を制御する第2再生モードを実施する。すなわち、第1再生モードでは燃料改質触媒16の再生が不十分な場合、上記燃料カット運転が継続されていれば、空気と燃料の双方を燃料改質触媒16に供給する第2再生モードが直ちに実施される。
【0047】
S15では、S10で算出された必要空気量及びS12で算出された必要改質用燃料量が燃料改質触媒16に供給されると第2再生モードが終了した判定する。第2再生モードが終了した場合には、EGR制御弁13を閉弁し、S16へ進む。そして、S16では、燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度以上になっているか否かを判定する。燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度以上であれば、燃料改質触媒16上の触媒毒(硫黄被毒)や煤が燃焼により除去されたものと見なして、今回のルーティンを終了する。一方、燃料改質触媒16の温度が上記再生可能目標温度に達していない場合には、S9へ進む。つまり、燃料改質触媒16の再生が、第2再生モードを実施しても不十分な場合、本実施例では上記燃料カット運転が継続する限り、燃料改質触媒16の再生が完了するまで第2再生モードが繰り返し実施される。
【0048】
なお、空気のみを供給する第1再生モードで燃料改質触媒16が上記再生可能目標温度に達しない場合には、酸化反応するものが燃料改質触媒16上になく、空気量が多くなっても、燃料改質触媒16が過度に高温になる可能性は低いと考えられる。そこで、第2再生モードにおいては、EGR制御弁13を必要空気量に応じて制御するのではなく、単に弁開度で制御するようにしてもよい。例えば、第2再生モードでは、EGR制御弁13を予め設定された所定の弁開度に設定したり、上記必要改質用燃料量に応じて設定される弁開度に設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…内燃機関
2…吸気通路
3…排気通路
12…EGR通路
13…EGR制御弁
14…改質用燃料噴射弁
16…燃料改質触媒
17…EGRクーラ
18…ECU
19…温度センサ
20…水素センサ
21…EGRガス温度センサ
図1
図2