(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のシール部分の前記溝部に圧入される部分の先端は、共に、圧入方向に向かって前記一対のシール部分が互いに近づく方向に傾斜する面取り形状に形成されている、請求項1または2に記載の吸気制御弁。
前記弁体は、サージタンクと前記吸気ポートとの間の開口部を開閉することにより前記吸気ポートの長さを変化させるように設けられた可変吸気バルブ用弁体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸気制御弁。
前記一対のシール部分の前記溝部に圧入される部分の先端は、共に、圧入方向に向かって前記溝部の前記先細り形状の部分に沿うように傾斜する面取り形状に形成されている、請求項6に記載の吸気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の吸気制御弁では、隣り合う吸気ポート間の軸受部材保持部の寸法ばらつきに起因して、軸受部材と軸受部材保持部との間に隙間が形成されて隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが発生する場合があると考えられる。この場合には、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因して吸気効率が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下を抑制することが可能な吸気制御弁および吸気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における吸気制御弁は、複数の吸気ポートごとに設けられた弁体と、弁体とともに回動する回動軸と、隣り合う吸気ポート間に配置され、弁体の回動軸を回動可能に支持する軸受部材とを備え、軸受部材は、弾性変形可能な板状のシール部分を一体的に有
し、軸受部材のシール部分は、弁体の回動軸が延びる方向に所定の間隔を隔てて配置された板状の一対のシール部分を含み、板状の一対のシール部分は、互いに近づく方向に弾性変形された状態で隣り合う吸気ポート間に設けられた溝部に圧入されている。
【0008】
この発明の第1の局面による吸気制御弁では、上記のように、隣り合う吸気ポート間に配置される軸受部材を、弾性変形可能な板状のシール部分を一体的に有するように構成することによって、隣り合う吸気ポート間に設けられた軸受部材を保持する部分(軸受部材保持部)に軸受部材を配置する際に、板状のシール部分を弾性変形させた状態で軸受部材を配置することができるので、軸受部材を保持する部分(軸受部材保持部)に寸法ばらつきがある場合でも、板状のシール部分を軸受部材保持部の寸法ばらつきに応じて追従させて軸受部材保持部に隙間なく密着させることができる。これにより、隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが発生するのを抑制することができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下を抑制することができる。また、軸受部材に板状のシール部分を一体的に形成することによって、シール部分を軸受部材と別体で形成する場合と異なり、部品点数の増加を抑制することができるとともに、シール部分を軸受部材に取り付ける取付手間(組立工数)を省くことができる。
また、軸受部材のシール部分は、弁体の回動軸が延びる方向に所定の間隔を隔てて配置された板状の一対のシール部分を含み、板状の一対のシール部分は、互いに近づく方向に弾性変形された状態で隣り合う吸気ポート間に設けられた溝部に圧入されている。これにより、軸受部材のシール部分が圧入による強い力で溝部の内面に押し付けられるので、シール部分と溝部の内面とをより強固に密着させることができる。その結果、シール部分と溝部の内面との間を介して隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが生じるのをより抑制することができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下をより抑制することができる。また、一対のシール部分により、軸受部材と溝部の内面との間に異なる2つのシール領域を形成して2段階でシールすることができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れをさらに抑制することができる。
【0011】
上記
第1の局面による吸気制御弁において、好ましくは、一対のシール部分は、軸受部材の外周に沿って延びるように設けられており、一対のシール部分が隣り合う吸気ポート間に設けられた溝部に圧入されることにより、一対のシール部分と溝部の内面とにより空間が構成されている。このように構成すれば、一対のシール部分の間の空間を介する分、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れの経路が長くなるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れをより効果的に抑制することができる。
【0012】
上記
第1の局面による吸気制御弁において、好ましくは、一対のシール部分の溝部に圧入される部分の先端は、共に、圧入方向に向かって一対のシール部分が互いに近づく方向に傾斜する面取り形状に形成されている。このように構成すれば、一対のシール部分の面取り形状に形成された先端を溝部の内面に沿わせて容易に一対のシール部分を互いに近づく方向に弾性変形させることができるので、一対のシール部分を溝部に容易に圧入することができる。
【0013】
上記第1の局面による吸気制御弁において、好ましくは、軸受部材は、樹脂により形成され、弾性変形可能な板状のシール部分を一体的に有する。このように構成すれば、シール部分を軸受部材の樹脂成形時に一体的に形成することができるので、弾性変形可能なゴム材などを用いることなく、樹脂により、弾性変形可能なシール部分を一体的に有する軸受部材を容易に形成することができる。
【0014】
上記第1の局面による吸気制御弁において、好ましくは、弁体は、サージタンクと吸気ポートとの間の開口部を開閉することにより吸気ポートの長さを変化させるように設けられた可変吸気バルブ用弁体である。このように本発明の吸気制御弁の弁体を可変吸気バルブ用弁体として用いれば、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れが抑制された状態で、吸気ポートの長さを変化させて吸気効率を効果的に高めることができる。
【0015】
この発明の第2の局面における吸気装置は、複数の吸気ポートと、複数の吸気ポートごとに設けられた弁体と、弁体とともに回動する回動軸と、隣り合う吸気ポート間に配置され、弁体の回動軸を回動可能に支持する軸受部材と
、隣り合う吸気ポート間に設けられた溝部とを備え、軸受部材は、弾性変形可能な板状のシール部分を一体的に有
し、溝部の内面は、先端に向かって幅が徐々に狭くなる先細り形状に形成されており、軸受部材のシール部分は、弁体の回動軸が延びる方向に所定の間隔を隔てて配置された板状の一対のシール部分を含み、板状の一対のシール部分は、溝部の先細り形状の部分に当接することにより、互いに近づく方向に弾性変形された状態で圧入されている。
【0016】
この発明の第2の局面による吸気装置では、上記のように、隣り合う吸気ポート間に配置される軸受部材を、弾性変形可能な板状のシール部分を一体的に有するように構成することによって、隣り合う吸気ポート間に設けられた軸受部材を保持する部分(軸受部材保持部)に軸受部材を配置する際に、板状のシール部分を弾性変形させた状態で軸受部材を配置することができるので、軸受部材を保持する部分(軸受部材保持部)に寸法ばらつきがある場合でも、板状のシール部分を軸受部材保持部の寸法ばらつきに応じて追従させて軸受部材保持部に隙間なく密着させることができる。これにより、隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが発生するのを抑制することができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下を抑制することができる。また、軸受部材に板状のシール部分を一体的に形成することによって、シール部分を軸受部材と別体で形成する場合と異なり、部品点数の増加を抑制することができるとともに、シール部分を軸受部材に取り付ける取付手間(組立工数)を省くことができる。
また、溝部の内面は、先端に向かって幅が徐々に狭くなる先細り形状に形成されており、軸受部材のシール部分は、弁体の回動軸が延びる方向に所定の間隔を隔てて配置された板状の一対のシール部分を含み、板状の一対のシール部分は、溝部の先細り形状の部分に当接することにより、互いに近づく方向に弾性変形された状態で圧入されている。これにより、軸受部材のシール部分が圧入による強い力で溝部の内面に押し付けられるので、シール部分と溝部の内面とをより強固に密着させることができる。その結果、シール部分と溝部の内面との間を介して隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが生じるのをより抑制することができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下をより抑制することができる。また、一対のシール部分により、軸受部材と溝部の内面との間に異なる2つのシール領域を形成して2段階でシールすることができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れをさらに抑制することができる。また、溝部の先細り形状の部分により、一対のシール部分を互いに近づく方向に容易に弾性変形させることができるので、一対のシール部分を溝部に容易に圧入することができる。
【0019】
上記
第2の局面による吸気装置において、好ましくは、一対のシール部分の溝部に圧入される部分の先端は、共に、圧入方向に向かって溝部の先細り形状の部分に沿うように傾斜する面取り形状に形成されている。このように構成すれば、一対のシール部分の面取り形状に形成された先端を溝部の先細り形状の部分に沿わせてより容易に一対のシール部分を互いに近づく方向に弾性変形させることができる。
【0020】
なお、本出願では、上記第1の局面による吸気制御弁および第2の局面による吸気装置とは別に、以下のような他の構成も考えられる。
【0021】
(付記項1)
すなわち、本出願の他の構成による吸気制御弁は、複数の吸気ポートごとに設けられた弁体と、弁体とともに回動する回動軸と、隣り合う吸気ポート間に配置され、弁体の回動軸を回動可能に支持する軸受部材とを備え、軸受部材は、樹脂により形成され、隣り合う吸気ポート間に設けられた溝部の内面に対して弾性変形した状態で当接するシール部分を一体的に有する。このように構成すれば、隣り合う吸気ポート間に設けられた軸受部材を保持する部分(軸受部材保持部)に軸受部材を配置する際に、シール部分を弾性変形させた状態で軸受部材を配置することができるので、軸受部材を保持する部分(軸受部材保持部)に寸法ばらつきがある場合でも、板状のシール部分を軸受部材保持部の寸法ばらつきに応じて追従させて軸受部材保持部に隙間なく密着させることができる。これにより、隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが発生するのを抑制することができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下を抑制することができる。また、軸受部材にシール部分を一体的に形成することによって、シール部分を軸受部材と別体で形成する場合と異なり、部品点数の増加を抑制することができるとともに、シール部分を軸受部材に取り付ける取付手間(組立工数)を省くことができる。また、シール部分を軸受部材の樹脂成形時に一体的に形成することができるので、ゴム材などの柔軟な材料を用いることなく、樹脂により、溝部の内面に密着するシール部分を一体的に有する軸受部材を容易に形成することができる。
【0022】
(付記項2)
また、この他の構成による吸気制御弁では、好ましくは、軸受部材のシール部分は、隣り合う吸気ポート間に設けられた溝部に圧入されることにより、溝部の内面に対して弾性変形した状態で当接するように構成されている。このように構成すれば、軸受部材のシール部分が圧入による強い力で溝部の内面に押し付けられるので、シール部分と溝部の内面とをより強固に密着させることができる。その結果、シール部分と溝部の内面との間を介して隣り合う吸気ポート間で吸気漏れが生じるのをより抑制することができるので、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、隣り合う吸気ポート間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による吸気装置の構成を示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による吸気装置の構成を示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気ポートに沿った模式的な断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気制御弁の回動軸に沿った断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気ポート間に設けられた軸受部材保持部を示した側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気ポート間に設けられた軸受部材保持部を示した平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による吸気装置の軸受部材保持部に第1軸受部材が挿入された状態を示した側面図である。
【
図8】
図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気ポート間に配置される第1軸受部材を示した斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気ポート間に配置される第1軸受部材を示した上面図(平面図)である。
【
図11】本発明の一実施形態による吸気装置の軸受部材保持部に第1軸受部材を挿入する際の状態を示した図である。
【
図12】本発明の一実施形態による吸気装置の軸受部材保持部に第1軸受部材が挿入された状態を示した平面図である。
【
図13】
図9に示した第1軸受部材のシール部分の先端を示した拡大図である。
【
図14】本発明の一実施形態の変形例による溝部の円弧状の先細り形状を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1〜
図13を参照して、本発明の一実施形態による吸気装置100の構成について説明する。
【0027】
吸気装置100は、
図1〜
図3に示すように、自動車用の直列4気筒エンジン10(
図3参照)に設けられる吸気装置である。吸気装置100は、サージタンク1と、サージタンク1から分岐して、サージタンク1の下流に配置された4本の吸気ポート2と、4本の吸気ポート2の内部にそれぞれ設けられた吸気制御弁3とを備えている。また、構造的には、吸気装置100は、サージタンク1と4本の吸気ポート2とを一体的に含む吸気装置本体101を含んでいる。そして、
図2および
図3に示すように、吸気装置本体101の内部に吸気制御弁3が設けられている。吸気装置本体101は、本体側部分101aとカバー部分101bとを含み、本体側部分101aに吸気制御弁3が装着された状態で本体側部分101aとカバー部分101bとが振動溶着により互いに一体的に接合されている。吸気装置100は、
図3に示すように、シリンダヘッド10aに接続されており、4本の吸気ポート2はシリンダヘッド10aを介して各気筒とそれぞれ接続されている。
【0028】
サージタンク1には、図示しないエアクリーナおよびスロットルを介して到達する吸気が流入される。4本の吸気ポート2の各々は、第1ポート部21および第2ポート部22と、第1ポート部21および第2ポート部22の下流側でエンジン10の気筒に接続される出口ポート23とを含む。第1ポート部21は、サージタンク1から迂回するように延びて下流側の出口ポート23に接続されている。第2ポート部22は、サージタンク1と出口ポート23とを吸気制御弁3を介して接続するように設けられている。
【0029】
図2および
図3に示すように、吸気制御弁3は、第2ポート部22と出口ポート23との接続部分に位置する開口部24を開閉するように構成されている。吸気制御弁3が閉じた状態では、第1ポート部21および出口ポート23により吸気経路長の大きいロングポートが形成され、吸気制御弁3が開いた状態では、第2ポート部22および出口ポート23により吸気経路長の小さいショートポートが形成されることによって、吸気制御弁3は、吸気経路長を変更することが可能なように構成されている。すなわち、吸気制御弁3は、開口部24を開閉することにより、エンジン10の各気筒への吸気経路長を変更する可変吸気用の吸気制御弁として機能する。これにより、エンジン回転数やエンジン負荷等に応じて吸気経路長を変更して、より適切な量の吸気をエンジン10に供給することが可能である。
【0030】
4本の吸気ポート2の間に配置された3つの隔壁11には、
図2に示すように、それぞれ、後述の第1軸受部材50を保持するための軸受部材保持部70が設けられている。また、両側に配置された吸気ポート2の外壁12には、それぞれ、後述の第2軸受部材60を保持するための軸受部材保持部80が設けられている。
【0031】
隣り合う吸気ポート2の間に設けられた軸受部材保持部70は、
図2、
図5および
図6に示すように、隔壁11にU字状の切欠状に形成されている。具体的には、軸受部材保持部70は、一対の保持部分71と、一対の保持部分71の間に所定の溝深さを有するようにU字状に形成された溝部72とを含む。一対の保持部分71は、溝部72を挟み込むように形成されている。一対の保持部分71の内周面の上端の外側隅部には、それぞれ、隔壁11が延びる方向(板厚方向に直交する方向)に窪んだ一対の位置決め部71aが形成されている。位置決め部71aは、
図7に示すように、軸受部材保持部70に挿入される第1軸受部材50の突部51bに当接して第1軸受部材50の位置決めをする機能を有している。溝部72は、
図6に示すように、隔壁11の板厚方向の中央部に形成されている。溝部72は、同じ溝幅を維持して溝部72の深さ方向に延びる第1部分72aと、第1部分72aから溝部72の底部に向かって先細り形状(テーパ形状)に形成された第2部分72bとを有している。すなわち、第1部分72aの内面72cは、互いに平行に配置された一対の平行面により構成され、第2部分72bの内面(当接面)72dは、先端に向かって幅が徐々に狭くなる一対の傾斜面により構成されている。
【0032】
また、吸気制御弁3は、
図4に示すように、弁体32とともに回動する回動軸31と、第2ポート部22(開口部24)を開閉する4つの弁体32と、回動軸31を回動させるアクチュエータ33と、アクチュエータ33の駆動力を回動軸31に伝達するリンク部材34とを備えている。アクチュエータ33は、負圧の供給によって直線方向に駆動力を発生させる直動型の負圧アクチュエータである。
【0033】
回動軸31は、吸気ポート2と直交する方向に延び、4本の第2ポート部22を貫通する角型シャフトからなる。回動軸31は、金属製(たとえば、ステンレス鋼やアルミニウム合金など)である。回動軸31は、
図2および
図4に示すように、アクチュエータ33が配置される側の一方端およびそれと反対側の他方端においてそれぞれ第2軸受部材60により回動可能に支持されている。なお、以下では回動軸31の延びる軸方向をX方向という。
【0034】
弁体32は、4つの吸気ポート2にそれぞれ(合計4つ)設けられている。弁体32は、開口部24に対応した略矩形状の外形形状を有する樹脂製(たとえば、ナイロン66(PA66)製)の板状部材である。弁体32には、長手方向の中央部を横切るように軸挿入部32aが形成されている。軸挿入部32aに回動軸31が挿入されることにより、4つの弁体32が回動軸31に取り付けられている。軸挿入部32aの内周面は回動軸31の外形に対応する矩形形状となっており、回動軸31と軸挿入部32aの内周面とが当接することにより、弁体32は回動軸31と一体で回動する。軸挿入部32aの両端には、軸方向(X方向)の外側に突出しているとともに外周面が円形状の軸部32bが弁体32に一体的に形成されている。両端の軸部32bは、それぞれ、弁体32の両側に配置された第1軸受部材50または第2軸受部材60により回動可能に支持されている。これにより、個々の弁体32は、軸受部材(第1軸受部材50および第2軸受部材60)によって回動可能に支持されている。また、
図8に示すように、軸部32bの先端の外周部には、周状の段差部32cが形成されている。また、軸部32bの先端の内周部は、面取り形状に形成されている。
【0035】
弁体32の周縁部にはゴム製のシールリップ32dが設けられ、閉状態での開口部24の気密性を向上させている。吸気制御弁3は、回動軸31を回動させて4つの弁体32を一括して回動させることにより、4つの吸気ポート2全てで開口部24の開閉動作を同時に行うように構成されている。
【0036】
本実施形態では、樹脂(たとえば、ナイロン6(PA6))により形成され、隣り合う吸気ポート2間に設けられた3つの第1軸受部材50と、樹脂(たとえば、ナイロン6(PA6))により形成され、回動軸31の両端部を回動可能に支持する2つの第2軸受部材60とが設けられている。3つの第1軸受部材50は、それぞれ、隣り合う吸気ポート2間の隔壁11に形成された軸受部材保持部70に挿入されることにより固定されるように構成されている。2つの第2軸受部材60は、それぞれ、吸気装置本体101の外壁12に形成された軸受部材保持部80に挿入されることにより固定されるように構成されている。なお、第1軸受部材50は、本発明の「軸受部材」の一例である。
【0037】
ここで、本実施形態では、第1軸受部材50は、弁体32の軸部32bを介して回動軸31を回動可能に支持するように構成されている。第1軸受部材50は、
図9に示すように、本体部51と、回動軸31および弁体32の軸部32bが挿入される軸挿入孔52と、本体部51の外周に沿って設けられた一対のシール部分53とを有している。本体部51は、
図9〜
図11に示すように、U字状の外形形状を有するとともに、矩形状の空洞部51aを有している。本体部51の上端部の四隅には、第1軸受部材50の板厚方向と直交する方向に突出する4つの突部51bが形成されている。4つの突部51bは、
図7および
図12に示すように、第1軸受部材50が軸受部材保持部70に挿入された状態で、軸受部材保持部70の位置決め部71aに当接するように構成されている。これにより、軸受部材保持部70に挿入された第1軸受部材50は、挿入方向および挿入方向に直交する隔壁11が延びる方向(
図7のY方向)への移動が規制される。
【0038】
軸挿入孔52は、U字状の本体部51の底部近傍において第1軸受部材50の板厚方向に貫通するように形成されている。軸挿入孔52の内面52aは、
図7、
図8、
図9および
図11に示すように、円周状に形成されており、弁体32の軸部32b(
図7、
図8および
図11参照)に対して摺動可能に構成されている。軸挿入孔52の軸方向の中間位置には、
図8および
図9に示すように、内側に突出する周状の凸部52bが形成されている。これにより、
図8に示すように、隣り合う吸気ポート2間に設けられた第1軸受部材50の軸挿入孔52において、一方の吸気ポート2側から軸挿入孔52の内面52aと弁体32の軸部32bとの間の隙間を通過した吸気は、凸部52bを迂回して他方の吸気ポート2側の軸挿入孔52の内面52aと弁体32の軸部32bとの間の隙間を通って他方の吸気ポート2に流れる。すなわち、第1軸受部材50の内面52a、弁体32の軸部32bおよび凸部52bによりラビリンスシールが構成される。
【0039】
また、本実施形態では、
図9〜
図11に示すように、一対のシール部分53は、樹脂(たとえば、ナイロン6(PA6))により形成され、U字状の本体部51の外周に沿って延びるように本体部51に一体的に形成されている。一対のシール部分53は、板状に形成されており、弾性変形可能に構成されている。一対のシール部分53は、弁体32の回動軸31が延びる方向(X方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。具体的には、一対のシール部分53は、外側面間の幅W1が軸受部材保持部70の溝部72の幅W2(
図6参照)よりも小さくなるように互いに離間して配置されている。
【0040】
一対のシール部分53は、
図8および
図12に示すように、互いに弾性変形された状態で隣り合う吸気ポート2間に設けられた軸受部材保持部70の溝部72に圧入されるように構成されている。
図8、
図10および
図12に示すように、一対のシール部分53の溝部72に圧入される部分の先端53aは、共に、圧入方向に向かって一対のシール部分53が互いに近づく方向に傾斜する面取り形状に形成されている。詳細には、
図13に示すように、先端53aは、先細り形状の溝部72の第2部分72bの内面72dに沿うように傾斜する傾斜部53bと、傾斜部53bの両端に連続するように設けられた曲線部53cとにより構成されている。先端53aは、一対のシール部分53が溝部72に圧入される際に溝部72の第2部分72bの内面72dに当接するように構成されている。すなわち、一対のシール部分53は、先端53aが溝部72の先細り形状の内面72dに当接することにより、互いに近づく方向に弾性変形された状態で溝部72に圧入される。
【0041】
また、一対のシール部分53が溝部72に圧入されることにより、一対のシール部分53と溝部72の内面72dとにより空間53dが構成されている。また、
図8および
図12に示すように、一対のシール部分53は、溝部72に圧入された状態において、溝部72の第1部分72aの内面72cに当接しないように内面72cとの間に隙間を介して配置される。また、
図10に示すように、一対のシール部分53の根元部53eは、内側面が円弧状に形成されることにより他の部分よりも厚さが大きくなっている。これにより、
図8および
図12に示すように、一対のシール部分53が互いに近づく方向に弾性変形した際の根元部53eにおける応力集中が緩和される。
【0042】
次に、
図2、
図7、
図11および
図12を参照して、第1軸受部材50を軸受部材保持部70に挿入する際の挿入状態について説明する。
【0043】
図2に示すように、回動軸31により4つの弁体32、第1軸受部材50および第2軸受部材60が一体に組み付けられた状態で、
図11に示すように、第1軸受部材50をU字状の底部側から隣り合う吸気ポート2間に設けられた軸受部材保持部70に挿入する。この際、第1軸受部材50の本体部51は、軸受部材保持部70の一対の保持部分71のU字状の内周面に挿入され、第1軸受部材50の一対のシール部分53は、軸受部材保持部70のU字状の溝部72に挿入される。そして、
図12に示すように、一対のシール部分53は、先端53aが先細り形状(テーパ形状)の溝部72の第2部分72bの内面(当接面)72dに当接することにより互いに近づく方向に弾性変形されて第2部分72bに圧入される。詳細には、先端53aの傾斜部53bが先細り形状の第2部分72bの内面(当接面)72dに沿って(ガイドされて)圧入される。そして、
図7に示すように、第1軸受部材50の突部51bが一対の保持部分71の4つの位置決め部71aに当接することにより、軸受部材保持部70に対して第1軸受部材50の挿入方向および隔壁11が延びる方向(Y方向)への位置決めが行われる。この位置決めが行われた状態において、第1軸受部材50の一対のシール部分53は、シール部分53のU字状の全域にわたって、先端53aが先細り形状の溝部72の当接面72dに当接することにより弾性変形して圧入された状態になる。
【0044】
本実施形態では、上記のように、隣り合う吸気ポート2間に配置される第1軸受部材50を、弾性変形可能な板状のシール部分53を一体的に有するように構成することによって、隣り合う吸気ポート2間に設けられた第1軸受部材50を保持する軸受部材保持部70に第1軸受部材50を配置する際に、板状のシール部分53を弾性変形させた状態で第1軸受部材50を配置することができるので、第1軸受部材50を保持する軸受部材保持部70に寸法ばらつきがある場合でも、板状のシール部分53を軸受部材保持部70の寸法ばらつきに応じて追従させて軸受部材保持部70に隙間なく密着させることができる。これにより、隣り合う吸気ポート2間で吸気漏れが発生するのを抑制することができるので、隣り合う吸気ポート2間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下を抑制することができる。また、第1軸受部材50に板状のシール部分53を一体的に形成することによって、シール部分53を第1軸受部材50と別体で形成する場合と異なり、部品点数の増加を抑制することができるとともに、シール部分53を第1軸受部材50に取り付ける取付手間(組立工数)を省くことができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、第1軸受部材50の板状のシール部分53を、隣り合う吸気ポート2間に設けられた軸受部材保持部70の溝部72に弾性変形した状態で圧入する。これにより、第1軸受部材50のシール部分53が圧入による強い力で軸受部材保持部70の溝部72の内面(当接面)72dに押し付けられるので、シール部分53と溝部72の当接面72dとをより強固に密着させることができる。その結果、シール部分53と溝部72の当接面72dとの間を介して隣り合う吸気ポート2間で吸気漏れが生じるのをより抑制することができるので、隣り合う吸気ポート2間の吸気漏れに起因する吸気効率の低下をより抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、板状の一対のシール部分53を、互いに近づく方向に弾性変形された状態で隣り合う吸気ポート2間に設けられた軸受部材保持部70の溝部72に圧入する。これにより、一対のシール部分53により、第1軸受部材50と溝部72の当接面72dとの間に異なる2つのシール領域を形成して2段階でシールすることができるので、隣り合う吸気ポート2間の吸気漏れをさらに抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、一対のシール部分53を隣り合う吸気ポート2間に設けられた軸受部材保持部70の溝部72に圧入することにより、一対のシール部分53と溝部72の当接面72dとにより空間53dを構成する。これにより、一対のシール部分53の間の空間53dを介する分、隣り合う吸気ポート2間の吸気漏れの経路が長くなるので、隣り合う吸気ポート2間の吸気漏れをより効果的に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、一対のシール部分53の溝部72に圧入される部分の先端53aを、共に、圧入方向に向かって一対のシール部分53が互いに近づく方向に傾斜する面取り形状に形成する。これにより、一対のシール部分53の面取り形状に形成された先端53aを溝部72の当接面72dに沿わせて容易に一対のシール部分53を互いに近づく方向に弾性変形させることができるので、一対のシール部分53を溝部72に容易に圧入することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、第1軸受部材50を、樹脂により形成するとともに、弾性変形可能な板状のシール部分53を一体的に設ける。これにより、シール部分53を第1軸受部材50の樹脂成形時に一体的に形成することができるので、弾性変形可能なゴム材などを用いることなく、樹脂により、弾性変形可能なシール部分53を一体的に有する第1軸受部材50を容易に形成することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、溝部72の内面(当接面)72dを、先端に向かって幅が徐々に狭くなる先細り形状(テーパ形状)に形成するとともに、板状の一対のシール部分53を、溝部72の先細り形状(テーパ形状)の当接面72dに当接させることにより、互いに近づく方向に弾性変形された状態で圧入する。これにより、溝部72の先細り形状の当接面72dにより、一対のシール部分53を互いに近づく方向に容易に弾性変形させることができるので、一対のシール部分53を溝部72に容易に圧入することができる。
【0051】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0052】
たとえば、上記実施形態では、本発明の吸気制御弁および吸気装置を、自動車用の直列4気筒エンジンに適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の吸気制御弁および吸気装置を、自動車用のエンジン以外の内燃機関に適用してもよいし、直列4気筒エンジン以外の内燃機関に適用してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、本発明の吸気制御弁を、吸気経路長を変更する可変吸気用の吸気制御弁に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の吸気制御弁を、縦渦を発生させるTCV(タンブルコントロールバルブ)や横渦を発生させるSCV(スワールコントロールバルブ)など、可変吸気用の吸気制御弁以外に適用してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、本発明の軸受部材としての第1軸受部材を樹脂により形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、ゴムなど、樹脂以外の材料により軸受部材を形成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、本発明の軸受部材としての第1軸受部材に、一対のシール部分を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、軸受部材に1つのシール部分だけを設ける構成であってもよいし、軸受部材に3つ以上のシール部分を設ける構成であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、先細り形状の溝部の内面を一対の傾斜面により構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図14に示す変形例のように、先細り形状の溝部の内面(当接面)72eを円弧状に構成してもよいし、傾斜面および円弧状以外の形状により構成してもよい。