(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記のA〜D成分を含有する毛髪用ミスト化粧料であって:
(A成分)一般式(1):
【化1】
〔式中、R
1は、水素原子又はメチル基を示し、nは、1〜4の整数を示す。〕
で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体及び一般式(2):
【化2】
〔式中、
R
2は、水素原子又はメチル基を示し、
L
1は、−C
6H
4−、−C
6H
10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−又は−O−(C=O)−を示し、
L
2は、炭素数10〜22のアルキル基を示す。〕
で表される長鎖アルキル基含有単量体を含む単量体混合物を共重合することにより得られる共重合体;
(B成分)一般式(3):
【化3】
〔式中、
R
3は、炭素数16のアルキル基を示し、
R
4、R
5及びR
6は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、
Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。〕
で表されるカチオン性界面活性剤;
(C成分)一般式(4):
【化4】
〔式中、
R
7は、炭素数22のアルキル基を示し、
R
8、R
9及びR
10は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、
Yは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。〕
で表されるカチオン性界面活性剤;
(D成分)HLBが12以上20以下である非イオン性界面活性剤;
該化粧料における、A〜D成分のそれぞれの総含有量をa〜d(質量%)としたとき、
aは0.05〜1質量%の範囲内であり、bは0.05〜1質量%の範囲内であり、cは0.05〜1質量%の範囲内であり、dは0.2〜4質量%の範囲内であり、且つ、
a、b及びcが、式(I)及び式(II)の関係を充足することを特徴とする、化粧料。
1/2≦a/(b+c)≦2 ・・・(I)
1/3≦b/c≦3 ・・・(II)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの化粧料は、毛髪のボリューム感が低下してしまうことがあり、また、頭皮に対してうるおいを与えるものではなかった。
【0006】
近年では簡便な使用性から噴霧式のミスト化粧料が広く用いられているが、毛髪に対するコンディショニング効果の高いカチオン性界面活性剤は水溶性が低く、これをミスト化粧料の原料として使用した場合、析出による詰まりの原因となることがあった。
【0007】
一方、加齢により、毛髪のボリューム感の低下やうねりの発生など髪質の変化がみられ、また皮脂分泌の低下により、頭皮が乾燥しやすくなる。そのため、これらの加齢による悩みを解決する毛髪用化粧料が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、(1)毛髪に自然な艶を与え、(2)毛髪に適度なボリューム感を与え、(3)毛髪のうねりを抑え、(4)頭皮に対してうるおいを与え、且つ(5)経時安定性に優れる、毛髪用ミスト化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために研究を重ねたところ、特定のグリセロール(メタ)アクリレート単量体を有する共重合体と特定のカチオン性界面活性剤と特定の非イオン性界面活性剤とを、特定の比率で組み合わせることにより、(1)毛髪に自然な艶を与え、(2)毛髪に適度なボリューム感を与え、(3)毛髪のうねりを抑え、(4)頭皮に対してうるおいを与え、且つ(5)経時安定性に優れるという性能を、全て十分に兼ね備えた毛髪用ミスト化粧料を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記のA〜D成分を含有する毛髪用ミスト化粧料であって:
(A成分)一般式(1):
【0011】
【化1】
【0012】
〔式中、R
1は、水素原子又はメチル基を示し、nは、1〜4の整数を示す。〕
で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体及び一般式(2):
【0013】
【化2】
【0014】
〔式中、
R
2は、水素原子又はメチル基を示し、
L
1は、−C
6H
4−、−C
6H
10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−又は−O−(C=O)−を示し、
L
2は、炭素数10〜22のアルキル基を示す。〕
で表される長鎖アルキル基含有単量体を含む単量体混合物を共重合することにより得られる共重合体;
(B成分)一般式(3):
【0015】
【化3】
【0016】
〔式中、
R
3は、炭素数16のアルキル基を示し、
R
4、R
5及びR
6は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、
Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。〕
で表されるカチオン性界面活性剤;
(C成分)一般式(4):
【0017】
【化4】
【0018】
〔式中、
R
7は、炭素数22のアルキル基を示し、
R
8、R
9及びR
10は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、
Yは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。〕
で表されるカチオン性界面活性剤;
(D成分)HLBが12以上20以下である非イオン性界面活性剤;
該化粧料における、A〜D成分のそれぞれの総含有量をa〜d(質量%)としたとき、
aは0.05〜1質量%の範囲内であり、bは0.05〜1質量%の範囲内であり、cは0.05〜1質量%の範囲内であり、dは0.2〜4質量%の範囲内であり、且つ、
a、b及びcが、式(I)及び式(II)の関係を充足することを特徴とする、化粧料。
1/2≦a/(b+c)≦2 ・・・(I)
1/3≦b/c≦3 ・・・(II)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、(1)毛髪に自然な艶を与え、(2)毛髪に適度なボリューム感を与え、(3)毛髪のうねりを抑え、(4)頭皮に対してうるおいを与え、且つ(5)経時安定性に優れるという性能を、全て十分に兼ね備えた毛髪用ミスト化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の毛髪用ミスト化粧料(以下、「本発明の化粧料」とも称する)は、下記のA〜D成分を含有する。
【0021】
[A成分]
本発明の化粧料に使用されるA成分は、下記の一般式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体及び下記の一般式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体を含む単量体混合物(以下、「A成分の単量体混合物」とも称する)を共重合することにより得られる共重合体である。
【0023】
〔式中、R
1は、水素原子又はメチル基を示し、nは、1〜4の整数を示す。〕
【0025】
〔式中、
R
2は、水素原子又はメチル基を示し、
L
1は、−C
6H
4−、−C
6H
10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−又は−O−(C=O)−を示し、
L
2は、炭素数10〜22のアルキル基を示す。〕
【0026】
一般式(1)における各基の定義について、以下に詳述する。
R
1は、水素原子又はメチル基を示し、安定性の高さの観点から、好ましくはメチル基である。
nは、1〜4の整数を示し、好ましくは2又は3であり、入手のし易さから、より好ましくは2である。
【0027】
一般式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体としては、好ましくは、R
1がメチル基であり、nが、2又は3(より好ましくは2)である化合物である。
【0028】
一般式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン、グリセロール−1−メタクリロイルオキシプロピルウレタン等が挙げられ、合成のし易さから、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンが好ましい。
【0029】
一般式(2)における各基の定義について、以下に詳述する。
R
2は、水素原子又はメチル基を示し、安定性の高さの観点から、好ましくはメチル基である。
L
1は、−C
6H
4−、−C
6H
10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−又は−O−(C=O)−を示し、好ましくは−(C=O)−O−又は−O−(C=O)−である。
L
2は、炭素数10〜22のアルキル基を示す。L
2で示される炭素数10〜22のアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、具体例としては、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、イコサニル基、イコセニル基、エイコサニル基、ヘンイコサニル基、ヘンエイコサニル基、ドコサニル基等が挙げられる。L
2で示されるアルキル基の炭素数は、好ましくは12〜22であり、より好ましくは16〜22ある。
【0030】
一般式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体としては、好ましくは、R
2がメチル基であり、L
1が、−(C=O)−O−又は−O−(C=O)−であり、L
2が炭素数12〜22(より好ましくは炭素数16〜22)のアルキル基である化合物である。
【0031】
一般式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体の具体例としては、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコサニル(メタ)アクリレート、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ヘキサデカン酸ビニル、オクタデカンビニル、ドコサン酸ビニル等が挙げられ、毛髪に適度なボリューム感を与える点から、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート又はドコサニル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0032】
A成分の単量体混合物における、一般式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体の含有割合は任意であるが、毛髪にボリューム感を与える点及び安定性の観点から、A成分の単量体混合物に対して、通常10〜80モル%であり、好ましくは20〜70モル%である。
【0033】
A成分の単量体混合物における、一般式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体の含有割合は任意であるが、毛髪にボリューム感を与える点及び安定性の観点から、A成分の単量体混合物に対して、通常10〜80モル%であり、好ましくは20〜70モル%である。
【0034】
A成分の単量体混合物は、一般式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体及び一般式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体に加えて、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、これら以外の単量体を含んでもよいが、A成分の単量体混合物における、一般式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体の含有割合と、一般式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体の含有割合との合計は、通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上であり、より好ましくは99モル%以上である。
【0035】
A成分は、例えば特開2007−119374号公報等に記載の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。
【0036】
A成分の重量平均分子量は、頭皮にうるおいを与える点から、好ましくは5000〜5000000の範囲であり、より好ましくは100000〜2000000の範囲である。本発明において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるものをいう。
【0037】
A成分は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、本発明に用いるA成分は、市販品をそのまま使用することができる。当該市販品としては、例えば、日油株式会社製の「セラキュート(登録商標)−F」、「セラキュート(登録商標)−L」等が挙げられる。
【0038】
[B成分]
本発明の化粧料に使用されるB成分は、下記の一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤である。
【0040】
〔式中、
R
3は、炭素数16のアルキル基を示し、
R
4、R
5及びR
6は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、 Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。〕
【0041】
一般式(3)における各基の定義について、以下に詳述する。
R
3は、炭素数16のアルキル基を示す。
R
4、R
5及びR
6は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。R
4、R
5及びR
6は、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい
Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。また、Xで示される炭素数1〜3のアルキル硫酸基としては、メチル硫酸基、エチル硫酸基、プロピル硫酸基、イソプロピル硫酸基等が挙げられる。中でも、塩素原子、臭素原子又はエチル硫酸基が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0042】
一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリヒドロキシプロピルアンモニウム エチル硫酸塩等が挙げられ、毛髪のうねりを抑える点から、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム又は臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0043】
一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤は、公知の方法によって製造することができる。また、市販品を用いてもよい。
【0044】
B成分は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
[C成分]
本発明の化粧料に使用されるC成分は、下記の一般式(4)で表されるカチオン性界面活性剤である。
【0047】
〔式中、
R
7は、炭素数22のアルキル基を示し、
R
8、R
9及びR
10は、独立してそれぞれ、ヒドロキシ基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、 Yは、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。〕
【0048】
一般式(4)における各基の定義について、以下に詳述する。
R
7は、炭素数22のアルキル基を示す。
R
8、R
9及びR
10は、前掲の一般式(3)におけるR
4、R
5及びR
6と同義である。
Yは、前掲の一般式(3)におけるXと同義である。
【0049】
一般式(4)で表されるカチオン性界面活性剤としては、好ましくは、R
7が炭素数22のアルキル基であり、R
8、R
9及びR
10が、独立してそれぞれ、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基)であり、Yがハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)である化合物である。
【0050】
一般式(4)で表されるカチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ドコサニルトリメチルアンモニウム、臭化ドコサニルトリメチルアンモニウム、ドコサニルトリヒドロキシプロピルアンモニウム エチル硫酸塩等が挙げられ、毛髪のうねりを抑える点から、塩化ドコサニルトリメチルアンモニウム又は臭化ドコサニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0051】
一般式(4)で表されるカチオン性界面活性剤は、公知の方法によって製造することができる。また、市販品を用いてもよい。
【0052】
C成分は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
[D成分]
本発明の化粧料に使用されるD成分は、HLBが12以上20以下である非イオン性界面活性剤である。本発明において「HLB」は、親水親油バランス(hydrophile−lipophile balance)を表し、W.C.Griffinによって提唱された計算式(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic Chemists,1,311(1949)参照)に従って求められるものをいう。
【0054】
HLBが12以上20以下である非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(13)セチルエーテル(HLB=14.1)、ポリオキシエチレン(15)ステアリルエーテル(HLB=14.2)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコール(9)モノラウリン酸エステル(HLB=13.3)、ポリエチレングリコール(35)モノステアリン酸エステル(HLB=16.9)等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール(40)硬化ヒマシ油(HLB=13.3)、ポリエチレングリコール(60)硬化ヒマシ油(HLB=15)、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール(58)硬化ヒマシ油(HLB=13.8)等の硬化ヒマシ油誘導体;ポリエチレングリコール(20)モノオレイン酸ソルビタンエステル(HLB=15.7)等のソルビタン誘導体;テトライソステアリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット(HLB=12.5)等のソルビット誘導体;モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(30モル)グリセリン(HLB=17.4)、ポリエチレングリコール(7)モノヤシ油脂肪酸グリセリン(HLB=13)等のグリセリン誘導体;デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=15)等のポリグリセリン誘導体;ステアリン酸ショ等エステル(HLB=15)等のショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、頭皮にうるおいを与える点から、好ましくはソルビタン誘導体、ソルビット誘導体又は硬化ヒマシ油誘導体であり、より好ましくはソルビタン誘導体又は硬化ヒマシ油誘導体である。
【0055】
D成分のHLBの下限は、好ましくは13であり、より好ましくは14である。また、上限は、好ましくは19であり、より好ましくは18である。
【0056】
D成分は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0057】
本発明は、本発明の化粧料におけるA〜D成分のそれぞれの総含有量をa〜d(質量%)としたとき、これらのa〜dが、それぞれ特定の範囲内であることが重要である。
【0058】
具体的には、a(即ち、本発明の化粧料におけるA成分の総含有量)は、通常0.05〜1質量%の範囲内である。aの上限は、好ましくは0.8質量%であり、より好ましくは0.6質量%であり、特に好ましくは0.4質量%である。aの下限は、好ましくは0.1質量%であり、より好ましくは0.2質量%である。aの好適な範囲は、これらの上限と下限とを適宜組み合わせて特定される範囲であればよいが、例えば0.05〜0.6質量%の範囲が好ましく、0.1〜0.4質量%の範囲がより好ましい。aが0.05質量%未満では、毛髪に自然な艶及び適度なボリューム感を与えることができず、頭皮にうるおいを与えにくくなると共に、経時安定性が悪くなる。aが1質量%を超えると、経時安定性が悪くなる。
【0059】
b(即ち、本発明の化粧料におけるB成分の総含有量)は通常0.05〜1質量%の範囲内である。bの上限は、好ましくは0.6質量%であり、より好ましくは0.4質量%である。bの下限は、好ましくは0.1質量%であり、より好ましくは0.2質量%である。bの好適な範囲は、これらの上限と下限とを適宜組み合わせて特定される範囲であればよいが、例えば0.05〜0.6質量%の範囲が好ましく、0.1〜0.4質量%の範囲がより好ましい。bが0.05質量%未満では、毛髪に自然な艶及び適度なボリューム感を与えることができず、毛髪のうねりを抑える効果が低くなる。bが1質量%を超えると、頭皮にうるおいを与える効果が弱くなる。
【0060】
c(即ち、本発明の化粧料におけるC成分の総含有量)は通常0.05〜1質量%の範囲内である。cの上限は、好ましくは0.6質量%であり、より好ましくは0.4質量%である。cの下限は、好ましくは0.1質量%であり、より好ましくは0.2質量%である。cの好適な範囲は、これらの上限と下限とを適宜組み合わせて特定される範囲であればよいが、例えば0.05〜0.6質量%の範囲が好ましく、0.1〜0.4質量%の範囲がより好ましい。cが0.05質量%未満では、毛髪に自然な艶を与えることができず、毛髪のうねりを抑える効果が低くなる。cが1質量%を超えると、毛髪に適度なボリューム感を与えることができず、経時安定性が悪くなる。
【0061】
d(即ち、本発明の化粧料におけるD成分の総含有量)は通常0.2〜4質量%の範囲内である。dの上限は、好ましくは3質量%であり、より好ましくは2質量%であり、特に好ましくは1.5質量%である。dの下限は、好ましくは0.3質量%であり、より好ましくは0.4質量%である。dの好適な範囲は、これらの上限と下限とを適宜組み合わせて特定される範囲であればよいが、例えば0.2〜2質量%の範囲が好ましく、0.4〜1.5質量%の範囲がより好ましい。dが0.2質量%未満では、毛髪のうねりを抑える効果が低くなり、経時安定性が悪くなる。dが4質量%を超えると、毛髪に自然な艶及び適度なボリューム感を与えることができず、頭皮にうるおいを与える効果が弱くなる。
【0062】
本発明は、上記のa〜cが特定の関係を充足することも重要である。a〜dが、それぞれ特定の範囲内であり、且つ、a〜cが特定の関係を充足することによって、本発明の化粧料は、(1)毛髪に自然な艶を与え、(2)毛髪に適度なボリューム感を与え、(3)毛髪のうねりを抑え、(4)頭皮に対してうるおいを与え、且つ(5)経時安定性に優れるという性能を、全て十分に兼ね備えたものとなる。
【0063】
具体的には、a、b及びcは、下記の式(I)及び式(II)の関係を充足する。
1/2≦a/(b+c)≦2 ・・・(I)
1/3≦b/c≦3 ・・・(II)
【0064】
好ましくは、a、b及びcは、下記の式(I’)及び式(II’)の関係を充足する。
2/3≦a/(b+c)≦3/2 ・・・(I’)
1/3≦b/c≦2 ・・・(II’)
【0065】
a/(b+c)が1/2未満では、頭皮にうるおいを与える効果が弱くなり、a/(b+c)が2を超えると、毛髪のうねりを抑える効果が低くなる。また、b/cが1/3未満では、毛髪に適度なボリューム感を与えることができず、経時安定性が悪くなることがある。b/cが3を超えると、毛髪にうるおいを与える効果が弱くなる。
【0066】
本発明の化粧料におけるA〜D成分のそれぞれの総含有量の合計(即ち、a+b+c+d)は、毛髪用ミスト化粧料として求められる性能等に応じて適宜調整することができるが、通常0.35〜7質量%の範囲内であり、好ましくは0.5〜5質量%の範囲内であり、より好ましくは0.8〜4質量%の範囲内である。 尚、a〜dの算出において、A〜D成分の重量に、後述する任意の添加剤及び水の重量を加えたものを、100質量%とする。
【0067】
本発明の化粧料は、必要に応じて、前述のA〜D成分に加え、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、化粧料、医薬部外品、医薬品等に通常使用される添加剤及び水を含有してもよい。当該添加剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;乳糖、果糖、ショ糖等の糖類;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素系油;ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン又はシリコーン誘導体;セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、カチオン化セルロース等のカチオン性高分子;キサンタンガム等の増粘性多糖類;ピロリドンカルボン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩等の有機又は無機塩類;pH調整剤としての酸及びアルカリ(例、クエン酸、クエン酸ナトリウム等);メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム等の防腐剤;グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤;殺菌剤;キレート剤;抗酸化剤(例、トコフェロール、アスコルビン酸ナトリウム等);血行促進剤;紫外線吸収剤;紫外線散乱剤;動植物由来の天然エキス;アスコルビン酸及びその誘導体;ビタミン類;アミノ酸類;感光素;色素;顔料;香料等が挙げられる。
【0068】
本発明の化粧料は経時安定性に優れることを特徴の一つとし、カチオン性界面活性剤の析出が抑えられ、ポンプ等の詰まりが発生しにくいことから、ヘアミスト等のミスト化粧料として好適に使用することができる。本発明において「ミスト化粧料」とは、噴霧機構を備えた容器(例、ポンプ容器等)に充填され、使用時に霧状に噴出される化粧料をいう。
【0069】
本発明の化粧料は、常法によって製造することができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されない。
【0071】
後掲の表3及び表4に記載される配合成分を下記に示す。
【0072】
[A成分]
共重合体1:
共重合体1は、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン(グリセロール(メタ)アクリレート単量体;以下、「単量体1」とも称する)とオクタデシル(メタ)アクリレート(長鎖アルキル基含有単量体;以下、「単量体2」とも称する)とを、下記表1に示す組成で共重合して得られる共重合体である。
共重合体2:
共重合体2は、単量体1と単量体2とを、下記表1に示す組成で共重合して得られる共重合体である。
【0073】
A成分との比較のため、下記のA’成分を使用した。
[A’成分]
共重合体3:
共重合体3は、単量体1とブチル(メタ)アクリレート(以下、「単量体3」とも称する)とを、下記表1に示す組成で共重合して得られる共重合体である。
【0074】
【表1】
【0075】
[B成分]
カチオン性界面活性剤1:塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
【0076】
[C成分]
カチオン性界面活性剤2:塩化ドコサニルトリメチルアンモニウム
【0077】
[D成分]
非イオン性界面活性剤1:ポリエチレングリコール(20)モノオレイン酸ソルビタンエステル(HLB=15.7)
非イオン性界面活性剤2:ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油(HLB=15)
非イオン性界面活性剤3:モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(30モル)グリセリン(HLB=17.4)
【0078】
D成分との比較のため、下記のD’成分を使用した。
[D’成分]
非イオン性界面活性剤4:ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油(HLB=10.1)
【0079】
[添加剤]
表3及び表4に記載される添加剤は、下記表2に示す10種の成分からなるものである。
【0080】
【表2】
【0081】
(実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料の調製)
A〜D成分、A’成分、D’成分、添加剤及び精製水を、下記表3又は表4に示される組成で混合して分散させた後、実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料を調製し、それぞれ容器に充填した。
【0082】
(実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料の評価)
実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料を、(1)毛髪の艶、(2)毛髪のボリューム感、(3)毛髪のうねり抑制、(4)頭皮のうるおい感、及び(5)経時安定性の5項目について、下記の基準に従って評価した。
【0083】
(1)毛髪の艶
20名の女性(30〜45才)をパネラーとし、実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料を、それぞれ毛髪に適量噴霧し乾かした時の毛髪の艶について、下記の評点で評価した後、20名の合計点を求めて、30点以上を毛髪に自然な艶を与える化粧料であると判定した。詳細には、20名の合計点が36点以上の場合を◎とし、30〜35点の場合を○とし、20〜29点の場合を△とし、19点以下の場合を×とした。
<評点>
2点:毛髪に自然な艶があると感じた場合。
1点:毛髪に自然な艶が少しある、又は毛髪にやや不自然な艶があると感じた場合。
0点:毛髪に艶がない、又は毛髪にとても不自然な艶があると感じた場合。
【0084】
(2)毛髪のボリューム感
20名の女性(30〜45才)をパネラーとし、実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料を、それぞれ毛髪に適量噴霧し乾かした時の毛髪のボリューム感について、下記の評点で評価した後、20名の合計点を求めて、30点以上を毛髪に適度なボリューム感を与える化粧料であると判定した。詳細には、20名の合計点が36点以上の場合を◎とし、30〜35点の場合を○とし、20〜29点の場合を△とし、19点以下の場合を×とした。
<評点>
2点:毛髪に適度なボリューム感があると感じた場合。
1点:毛髪にややボリューム感があると感じた場合。
0点:毛髪にボリューム感がないと感じた場合。
【0085】
(3)毛髪のうねり抑制
毛髪にうねりがある20名の女性(30〜45才)をパネラーとし、実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料を、それぞれ毛髪に適量噴霧し乾かした時の毛髪のうねりについて、下記の評点で評価した後、20名の合計点を求めて、30点以上を毛髪のうねりを抑える化粧料であると判定した。詳細には、20名の合計点が36点以上の場合を◎とし、30〜35点の場合を○とし、20〜29点の場合を△とし、19点以下の場合を×とした。
<評点>
2点:毛髪のうねりが気にならないと感じた場合。
1点:毛髪のうねりがやや抑えられていると感じた場合。
0点:毛髪のうねりが抑えられていないと感じた場合。
【0086】
(4)頭皮のうるおい感
20名の男女(40〜55才)をパネラーとし、実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料を、それぞれ洗髪後の頭皮対して適量噴霧し乾かした時の頭皮のうるおい感について、下記の評点で評価した後、20名の合計点を求めて、30点以上を頭皮にうるおいを与える化粧料であると判定した。詳細には、20名の合計点が36点以上の場合を◎とし、30〜35点の場合を○とし、20〜29点の場合を△とし、19点以下の場合を×とした。
<評点>
2点:頭皮にうるおい感が十分にあると感じた場合。
1点:頭皮にうるおい感がややあると感じた場合。
0点:頭皮にうるおい感がないと感じた場合。
【0087】
(5)経時安定性
実施例1〜8及び比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料に対し保存試験(保存温度:0℃、保存期間:4週間)を行った後、保存試験直後の各化粧料の外観及び50回噴霧した時の状態について、下記の基準に従って判定した。
<判定基準>
◎:透明の外観であり、正常に噴霧可能な状態であった場合。
○:外観に若干の濁りが生じているものの復元性があり、正常に噴霧可能な状態であった場合。
△:外観に濁りが生じている、又は噴霧時にポンプがやや重いと感じた場合。
×:外観に濁りが生じ、ポンプが詰まり噴霧できなかった場合。
【0088】
結果を表3及び表4に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
表3に示される結果から明らかなように、実施例1〜8の毛髪用ミスト化粧料は、(1)毛髪に自然な艶を与え、(2)毛髪に適度なボリューム感を与え、(3)毛髪のうねりを抑え、(4)頭皮に対してうるおいを与え、且つ(5)経時安定性に優れるものであった。
一方、表4に示される結果から明らかなように、比較例1〜8の毛髪用ミスト化粧料では、充分な性能が得られなかった。
すなわち、比較例1の化粧料はA成分とは異なる共重合体を使用したため、毛髪に自然な艶及びボリューム感を与えること、並びに、頭皮に対してうるおいを与えることができず、経時安定性も悪い結果となった。
比較例2の化粧料はA成分が配合されなかったため、毛髪に自然な艶及びボリューム感を与えること、並びに、頭皮に対してうるおいを与えることができず、経時安定性も悪い結果となった。
比較例3の化粧料はA成分が1質量%を超えて配合されたため、毛髪のうねりを抑制することができず、頭皮に対してうるおいを与えることができなかった。
比較例4の化粧料はB成分が配合されなかったため、毛髪に自然な艶及びボリューム感を与えること、並びに、毛髪のうねりを抑えることができず、経時安定性も悪い結果となった。
比較例5の化粧料はC成分が配合されなかったため、毛髪に自然な艶及びボリューム感を与えること、並びに、毛髪のうねりを抑えることができず、頭皮に対してうるおいを与えることができなかった。
比較例6の化粧料はD成分とは異なる非イオン性界面活性剤を使用したため、毛髪のうねりを抑えることができず、経時安定性も悪い結果となった。
比較例7の化粧料はD成分が配合されなかったため、毛髪のうねりを抑えることができず、経時安定性も悪い結果となった。
比較例8の化粧料はD成分が4質量%を超えて配合されたため、毛髪に不自然な艶を与えたが、毛髪に適度なボリューム感を与えること、及び、頭皮に対してうるおいを与えることはできなかった。