(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0010】
ラックと、
前記ラックに設けられ、液体槽を備えた同調液体ダンパーと、
前記液体槽内の液体量を調整する調整機構と、を有することを特徴とする制振ラック倉庫。
かかる場合には、簡便な方法でラックの振動を効果的に低減することが可能となる。
【0011】
また、前記調整機構は、前記ラックに収納される収納物の増減に応じて、前記液体量を調整することとしてもよい。
かかる場合には、ラックに収納される収納物の増減に適切に対応し、簡便な方法でラックの振動を効果的に低減することが可能となる。
【0012】
また、前記同調液体ダンパーとは離れた位置に位置しており前記液体量の調整を遠隔操作する操作部を有することとしてもよい。
かかる場合には、作業者の体力的な負担が軽くなる。
【0013】
また、前記調整機構は、前記ラックに収納される収納物の出入りを管理する収納物管理システムに連動して、前記液体量を調整することとしてもよい。
かかる場合には、既存のシステムを有効利用して、液体量の調整をすることができる。
【0014】
また、前記液体槽内の液体は、水道水であることとしてもよい。
かかる場合には、液体の調達や処理が簡便なものとなる。
【0015】
また、前記同調液体ダンパーは、
前記液体槽を複数備え、
複数の前記液体槽を連結する連結管を有することとしてもよい。
かかる場合には、多くの給水部と排水部を用意したり、制御したりする煩雑さを回避することが可能となる。
【0016】
次に、ラックに設けられた同調液体ダンパーに備えられた液体槽の液体量を調整することを特徴とするラック倉庫の制振方法。
かかる場合には、簡便な方法でラックの振動を効果的に低減することが可能となる。
【0017】
また、前記ラックに収納される収納物の増減に応じて、前記液体量を調整することとしてもよい。
かかる場合には、ラックに収納される収納物の増減に適切に対応し、簡便な方法でラックの振動を効果的に低減することが可能となる。
【0018】
また、前記液体量の調整は、前記同調液体ダンパーとは離れた位置に位置する操作部により遠隔操作されることとしてもよい。
かかる場合には、作業者の体力的な負担が軽くなる。
【0019】
また、前記ラックに収納される収納物の出入りを管理する収納物管理システムに連動して、前記液体量を調整することとしてもよい。
かかる場合には、既存のシステムを有効利用して、液体量の調整をすることができる。
【0020】
また、前記液体槽内の液体は、水道水であることとしてもよい。
かかる場合には、液体の調達や処理が簡便なものとなる。
【0021】
===本実施の形態に係る制振ラック倉庫10について===
図1は、本実施の形態に係る制振ラック倉庫10の概略正面図である。
図2は、本実施の形態に係る制振ラック倉庫10の概略側面図である。
図3は、本実施の形態に係る制振ラック倉庫10のブロック図である。なお、
図2は、
図1を白矢印の方向から見たときの図となっている。
【0022】
制振ラック倉庫10は、ラック12と、同調液体ダンパー22(TLD(Tuned Liquid Damper)とも呼ばれている)と、液体量調整機構32と、コントローラー50と、を有している。
【0023】
ラック12は、不図示の収納物(例えば、保管物が載置されたパレット)を収納するためのものである。このラック12は、例えば、形鋼や鋼管材などによる鉄骨構造によって構成されている。また、本実施の形態に係るラック12は、所謂ユニット式のラックであり、倉庫床面上で自立している。
【0024】
ラック12は、
図1及び
図2に示すように、鉛直方向に延びたラック支柱14と水平方向に延びた収納物支持部16とにより、複数個の収納部18(碁盤目状に区画された部屋)を形成している。なお、ラック支柱14及び収納物支持部16の間には、適切な剛性を維持するためのブレース部材20が配設されている。
【0025】
また、ラック12は、複数個のラックユニット21から構成されている。これらのラックユニット21は、
図1における左右方向(後述する出し入れ方向)において並んでいる。しかしながら、各ラックユニット21は、左右方向において接触しておらず、隣り合うラックユニット21の間には、スタッカークレーン(不図示)の移動路を確保するためのスペース5が設けられている。スタッカークレーンは、前記スペース5内を、鉛直方向及び奥行方向(
図2参照)に沿って移動する。そして、複数の収納部18のうちの一に対向する位置で静止して、収納物を出し入れ方向(
図1参照。
図2においては、紙面を貫く方向)に沿って当該収納部18から出したり、当該収納部18へ入れたりする。
【0026】
また、
図2に示すように、各々のラックユニット21においては、奥行方向において、複数(本実施の形態においては6つ)の収納部18が並んでいる(つまり、奥行方向に複数の列が存在する。一方で、出し入れ方向においては、一つのみの収納部18があるだけである)。したがって、ラックユニット21は、奥行方向において長く出し入れ方向において短い形状を有している。
【0027】
同調液体ダンパー22は、ラック12(ラックユニット21)の振動を低減するためのものである。この同調液体ダンパー22は、ラック12(ラックユニット21)の上部(具体的には、
図1及び
図2に示すように、ラック12(ラックユニット21)の最上部に位置する収納部18)に設けられている。
【0028】
本実施の形態に係る同調液体ダンパー22は、液体槽24を有しており、この液体槽24の中には液体の一例としての水道水Wが入れられている。そして、ラック12(ラックユニット21)が地震等の外力を受けてラック12(ラックユニット21)に振動が生じた際には、当該液体槽24内で水道水Wが動揺(スロッシングとも呼ばれている)することにより、当該振動を低減する。
【0029】
また、同調液体ダンパー22は、液体槽24を複数備えており、各々の液体槽24は、ラック12(ラックユニット21)の最上部に位置する各収納部18に設けられている。すなわち、本実施の形態においては、一つの収納部18に、一つの液体槽24が設けられており、
図1に示すように、複数の液体槽24が出し入れ方向において並び、かつ、
図2に示すように、複数の液体槽24が奥行方向において並ぶように構成されている。なお、各々の液体槽24の形状や大きさは全て同じとなっている。
【0030】
なお、同調液体ダンパー22を用いて振動を効果的に低減するためには、ラック12(ラックユニット21)の固有周期(換言すれば、固有振動数)に、同調液体ダンパー22の固有周期(つまり、スロッシングの周期)を同調させる必要がある。一方で、ラック12(ラックユニット21)においては、収納物の出し入れが行われるため、ラック12(ラックユニット21)の固有周期はラック12(ラックユニット21)に収納される収納物の増減に応じて頻繁に変化することとなる。
【0031】
したがって、本実施の形態においては、同調液体ダンパー22の固有周期を随時調整することにより、収納物の増減に応じて変化するラック12(ラックユニット21)の固有周期に、同調液体ダンパー22の固有周期を同調させることが行われている。
【0032】
なお、同調液体ダンパー22の固有周期は、液体槽24の形状と液体槽24内の液体量(換言すれば、水位)によって決定される。そのため、本実施の形態に係る制振ラック倉庫10には、以下に説明する液体量調整機構32が備えられており、当該液体量調整機構32によって液体槽24内の液体量が調整されることにより、同調液体ダンパー22の固有周期が調整されるようになっている。すなわち、液体量調整機構32がラック12に収納される収納物の増減に応じて液体量を調整し、このことにより、同調液体ダンパー22の固有周期が調整される。
【0033】
液体量調整機構32は、液体槽24内の液体量、すなわち、水道水の量を調整するためのものである。この液体量調整機構32は、上水道と連結された管状の給水部34と下水道と連結された管状の排水部36とを備えている。
【0034】
給水部34は、後述する調整機構制御部60により固有周期の同調のために液体量を増加させることが必要と判定された際に、調整機構制御部60の制御により、水道水を液体槽24へ供給する。具体的には、調整機構制御部60による遠隔操作により給水部34の給水用開閉バルブ34a(
図3参照)が開放され、水道水が液体槽24へ供給される。
【0035】
排水部36は、後述する調整機構制御部60により固有周期の同調のために液体量を減少させることが必要と判定された際に、調整機構制御部60の制御により、水道水を液体槽24から排出する。具体的には、調整機構制御部60による遠隔操作により排水部36の排水用開閉バルブ36a(
図3参照)が開放され、水道水が液体槽24から排出される。
【0036】
なお、本実施の形態において、液体量調整機構32による液体槽24内の液体量の調整は、各々のラックユニット21毎に行われる。そのため、液体量調整機構32は、ラックユニット21毎に設けられている。すなわち、給水部34と排水部36の組がラックユニット21の数と同数だけ設けられている。
【0037】
また、
図2に示したとおり、本実施の形態においては、一つのラックユニット21に対し、複数の液体槽24が設けられているが、複数の液体槽24の各々毎に給水部34と排水部36の組が備えられているわけではない。すなわち、
図2に示されているように、給水部34は、一つの液体槽24のみに水道水を供給し、排水部36は、一つの液体槽24のみから水道水を排出するようになっている。なお、本実施の形態においては、給水部34及び排水部36の各々は、奥行方向において最も手前側の液体槽24及び最も奥側の液体槽24のうちの一方と他方に対して設けられているが、これに限定されるものでない。ただし、給水部34と排水部36の設置場所が簡便に確保できるので、このようにする(端の液体槽24に対して設ける)方が好ましい。
【0038】
そして、さらに、奥行方向において互いに隣り合う液体槽24は、複数の液体槽24を連結する連結管42により連結されている。そのため、水位は各液体槽24で常に同じとなるため、給水部34を一つの液体槽24のみに水道水を供給する構成としても、他の液体槽24の液体量を増加させることができ、また、排水部36を一つの液体槽24のみから水道水を排出する構成としても、他の液体槽24の液体量を減少させることができる。
【0039】
なお、本実施の形態において、連結管42は、各液体槽24を繋げると共に給水部34と排水部36の組を一つのラックユニット21に対して一つのみとすることにより、多くの給水部34と排水部36を用意したり、制御したりする煩雑さを回避することを目的として設けられている。そのため、連結管42は、互いに隣り合う液体槽24に対して、液体槽24を繋げる最低限の本数(すなわち、一本)のみ設けられている。
【0040】
また、上述したように連結管42は、奥行方向において互いに隣り合う液体槽24を連結しているが、
図1に示されるように、当該奥行方向と交差する出し入れ方向において互いに隣り合う液体槽24は、連結管42により連結されてはいない。これは、前述したとおり、液体槽24内の液体量の調整(換言すれば、固有周期の調整)が、各々のラックユニット21毎に行われるからである。
【0041】
コントローラー60は、収納物管理システム52と操作部の一例としての調整機構制御部60等を有している。
【0042】
収納物管理システム52は、ラック12に収納される収納物の出入りを管理するためのものである。この収納物管理システム52は、スタッカークレーンによる収納物の出し入れ情報に基づいて、どの収納部18に収納物が収納されているか(また、収納されていないか)や、収納されている場合には、どの位の重さの収納物が収納されているかを常時把握し、管理している。
【0043】
調整機構制御部60は、液体量調整機構32(具体的には、給水用開閉バルブ34aや排水用開閉バルブ36a)を制御して、液体量の調整を遠隔操作する。この調整機構制御部60は、同調液体ダンパー22とは遠く離れた位置に位置している。具体的には、ラック12の最下部に隣接した倉庫床面上に設置されている。
【0044】
調整機構制御部60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御部64とを有している。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御部64を介して給水用開閉バルブ34aや排水用開閉バルブ36aを制御する。
【0045】
また、インターフェイス部61は、収納物管理システム52との間でデータの送受信を行うためのものである。すなわち、本実施の形態においては、液体量調整機構32が、収納物管理システム52に連動して、液体量を調整するようになっており、調整機構制御部60は、収納物管理システム52から受け取る収納情報に基づいて、液体量調整機構32を制御する。
【0046】
これについて、一例を挙げて
図4を用いて具体的に説明する。
図4は、収納物管理システム52に連動して液体量が調整される手順を表した説明図である。
【0047】
先ず、調整機構制御部60は、収納物管理システム52から、どの収納部18に収納物が収納されているか(また、収納されていないか)や、収納されている場合には、どの位の重さの収納物が収納されているかについての収納情報を受け取る(ステップS1)。例えば、p個目のラックユニット21のq階r列目の収納部18に何キログラムの収納物が収納されているかを、座標(p,q,r)毎に受け取る。
【0048】
次に、調整機構制御部60は、公知の解析方法を用いて、上記収納情報に基づいてラック12(ラックユニット21)の固有周期を求める(ステップS3)。例えば、調整機構制御部60は、収納物の重さや収納部18の剛性等により表現された解析モデル(串団子モデルと一般的に呼ばれている質点系モデル等)を有しており、この解析モデルに前記座標毎の収納物の重さを代入することによりラック12(ラックユニット21)の固有周期を求める(算出する)。
【0049】
次に、調整機構制御部60は、求められたラック12(ラックユニット21)の当該固有周期に同調液体ダンパー22の固有周期が同調するような(換言すれば、双方の固有周期が一致するような)同調液体ダンパー22の液体量(本実施の形態にいては、水位)を求める(ステップS5)。
【0050】
そして、調整機構制御部60は、同調液体ダンパー22の水位が求められた水位になるように、給水用開閉バルブ34aや排水用開閉バルブ36aを制御する(ステップS7)。すなわち、同調液体ダンパー22の水位が求められた水位になるように、水道水を同調液体ダンパー22の液体槽24に供給したり、水道水を液体槽24から排出したりする。
【0051】
なお、本実施の形態においては、上記ステップS1〜S7の手順が所定時間間隔毎に行われるようになっている。しかし、これに限定されるものではなく、収納情報に変化が生じる毎に行われるようにしてもよい(この場合には、例えば、収納情報に変化が生じた際に、調整機構制御部60が収納情報を収納物管理システム52から受け取るようにする)。
【0052】
また、本実施の形態に係る調整機構制御部60は、収納情報を受け取ると、その都度解析モデルを用いて、固有周期を算出することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、収納情報と固有周期との対応が表されたマッピング情報が予め用意されており(このマッピング情報は、予め前述した解析モデルを用いて作成されたものである)、調整機構制御部60は、収納情報を受け取ると、当該収納情報に対応した固有周期を、マッピング情報を参照して選択するようにしてもよい。
【0053】
===本実施の形態に係る制振ラック倉庫10の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る制振ラック倉庫10は、ラック12と、ラック12に設けられ、液体槽24を備えた同調液体ダンパー22と、前記液体槽24内の液体量を調整する液体量調整機構32と、を有している。そのため、簡便な方法でラックの振動を効果的に低減することが可能となる。
【0054】
前述したとおり、ラック倉庫においては、地震等の外力を受けてラックが大きく振動し、収納物が落下する場合があった。かかる場合には、復旧までに長い時間を要し、物流機能が停止するという事態が発生する。
【0055】
一方で、建物の制振システムとして、同調マスダンパー(TMD(Tuned Mass Damper)とも呼ばれている)が広く知られている。
【0056】
しかしながら、この同調マスダンパーをラック倉庫に設けて制振ラック倉庫を形成する場合には、以下の問題点が生じ得る。
【0057】
すなわち、同調マスダンパーを用いて振動を効果的に低減するためには、ラックの固有周期に、同調マスダンパーの固有周期を同調させる必要がある。一方で、ラックにおいては、収納物の出し入れが行われるため、ラックの固有周期はラックに収納される収納物の増減に応じて頻繁に変化することとなる。そのため、同調マスダンパーの固有周期を随時調整することにより、収納物の増減に応じて頻繁に変化するラックの固有周期に、同調マスダンパーの固有周期を同調させる必要がある。
【0058】
しかしながら、同調マスダンパーの固有周期を随時調整するためには、同調マスダンパーの錘の重さやバネの強さを時々刻々と変化させる必要があるため、手間や時間が膨大にかかり、かかる方法は現実的な方法ではなかった。特に、振動の低減をより効果的にするために同調マスダンパーの数を多くすればするほど、かかる非現実性は顕著なものとなっていた。
【0059】
これに対し、本実施の形態においては、同調マスダンパーではなく、同調液体ダンパー22をラック倉庫に設けて制振ラック倉庫10を形成した。そのため、固有周期が頻繁に変化するラック12に対して同調液体ダンパー22の固有周期を随時調整するためには、液体量(水位)を調整するだけでよく、したがって、簡便な方法でラックの振動を効果的に低減することが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態においては、同調液体ダンパー22とは離れた位置に位置しており前記液体量の調整を遠隔操作する操作部である調整機構制御部60を有することとした。
【0061】
同調マスダンパーをラック倉庫に設けて制振ラック倉庫を形成する従来例の場合には、同調マスダンパーの錘の重さやバネの強さを変化させる(調整する)ためには、同調マスダンパーに作業者がアクセスする必要がある。そして、同調マスダンパーは、ラックの上部に置かれることが多いため、作業者がラックの上り下りを頻繁に行う必要があり、作業者には体力的な負担を強いることとなる。
【0062】
これに対し、本実施の形態においては、単に液体量(水位)の調整をすればよいので、上述したように、液体量の調整を遠隔操作する操作部である調整機構制御部60を同調液体ダンパー22とは離れた位置に置くことができる。そのため、作業者がラックの上り下りを頻繁に行う必要がなくなり、作業者の体力的な負担が軽くなる。
【0063】
また、本実施の形態においては、液体槽24内の液体は、水道水であることとした。そのため、液体の調達(単に、上水道に繋げばよいため)や処理(単に、下水道に繋げばよいため)が簡便なものとなる。
【0064】
また、本実施の形態において、同調液体ダンパー22は、液体槽24を複数備え、複数の液体槽24を連結する連結管42を有することとした。そのため、前述したとおり、多くの給水部34と排水部36を用意したり、制御したりする煩雑さを回避することが可能となる。
【0065】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主として制振ラック倉庫について記載されているが、ラック倉庫の制振方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0066】
上記実施の形態においては、液体量の調整を遠隔操作する操作部として調整機構制御部60を例に挙げて説明した。すなわち、上記においては、液体量の調整が自動で遠隔操作されることとした。
しかしながら、これに限定されるものではなく、液体量の調整が手動で遠隔操作されることとしてもよい。例えば、開閉バルブ(例えば、給水用開閉バルブ及び排水用開閉バルブ)と当該開閉バルブを手動で操作する操作部材が同調液体ダンパーとは離れた位置に位置している例であってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、液体量調整機構32は、ラック12に収納される収納物の出入りを管理する収納物管理システム52に連動して、液体量を調整することとしたが、これに限定されるものではない。
例えば、以下に説明するように、収納物管理システム52を用いずに、液体量を調整することとしてもよい。すなわち、収納物管理システム52を用いてラック12の固有周期を取得する代わりに、加速度計等のセンサー(なお、当該センサーとしては常時微動を検知できる高感度なものが望ましい)をラック12に設けてラック12の振動を検知し、この振動の周波数分析を行うことによりラック12の固有周期を取得することとしてもよい。
ただし、既存のシステム(すなわち、収納物管理システム52)を有効利用して、液体量の調整をすることができる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
【0068】
また、上記実施の形態においては、ラックとして倉庫床面上で自立した所謂ユニット式のラックを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ラック12の下部のみならず上部も被固定部材に固定された所謂ビル式のラックであってもよい。そして、ビル式のラックにおいては、鉛直方向における中間部の振動が前記上部や下部よりも大きくなるため、上記実施の形態とは異なり同調液体ダンパー22を中間部に置く方がより効果的である。