特許第6036269号(P6036269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036269
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20161121BHJP
   G03G 15/23 20060101ALI20161121BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G03G21/14
   G03G15/23
   B65H85/00
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-278861(P2012-278861)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-123002(P2014-123002A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 英雄
(72)【発明者】
【氏名】平子 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大志
(72)【発明者】
【氏名】樋上 真人
(72)【発明者】
【氏名】相墨 稔
(72)【発明者】
【氏名】佐原 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】多田 麻由美
(72)【発明者】
【氏名】森 育生
(72)【発明者】
【氏名】桑原 峻
(72)【発明者】
【氏名】西村 宗之
(72)【発明者】
【氏名】須田 泉
(72)【発明者】
【氏名】廣中 亮介
(72)【発明者】
【氏名】平戸 綾子
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−282050(JP,A)
【文献】 特開2007−219209(JP,A)
【文献】 特開2006−131415(JP,A)
【文献】 特開2002−037540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 15/23
B65H 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体の4等分割された周長の整数倍に基づいて画像の形成開始位置が決定される画
像形成部にて片面に画像形成された後の記録媒体を表裏反転させる反転部と、
表裏反転した前記記録媒体を前記画像形成部に再び搬送するための循環搬送部と、を備
え、
前記記録媒体に連続して両面画像形成を行う画像形成処理がジョブの途中で中断された
ときに、前記記録媒体の枚数が、前記循環搬送部の搬送経路長と前記記録媒体の搬送方向
長さに応じて定まる最大許容枚数以下である場合、前記画像形成開始タイミングを前記像
保持体の4等分割された周長の整数倍で決定し、前記記録媒体の枚数が、前記最大許容枚
数を超える場合、前記画像形成開始タイミングを前記画像が形成される記録媒体の1頁単
位で決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置を作動させるプログラムであって、画像形成装置に、
像保持体の4等分割された周長の整数倍に基づいて画像の形成開始位置が決定される画像
形成部にて片面に画像形成された後の記録媒体を表裏反転させる反転機能と、
表裏反転した前記記録媒体を前記画像形成部に再び搬送する循環搬送機能と、
前記記録媒体に連続して両面画像形成を行う画像形成処理がジョブの途中で中断された
ときに、前記記録媒体の枚数が、前記循環搬送部の搬送経路長と前記記録媒体の搬送方向
長さに応じて定まる最大許容枚数以下である場合、前記画像形成開始タイミングを前記像
保持体の4等分割された周長の整数倍で決定し、前記記録媒体の枚数が、前記最大許容枚
数を超える場合、前記画像形成開始タイミングを前記画像が形成される記録媒体の1頁単
位で決定する機能と、
実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の両面に画像記録する際に、先行記録媒体の通過完了時にページギャップを保って後続記録媒体の先端が排紙手段に到達する第1の条件と、給紙位置に先行記録媒体と後続記録媒体が同一時刻には存在せず、且つ先行記録媒体の通過完了にページギャップを保って、後続記録媒体の先端が給紙位置に到達する第2の条件と、表裏反転する際に先行記録媒体と後続記録媒体が同一時刻に反転位置には存在せず、且つ先行記録媒体の通過完了時にページギャップを保って後続記録媒体の先端が反転位置に到達する第3の条件と、による全条件を満足するスケジューリングを作成し、後続記録媒体の供給開始タイミングを決定する画像記録装置及び画像記録方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−131415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、両面印刷で像保持体にイメージを配置できない要因が発生し、像保持体上で位置をずらしてイメージを配置する場合に両面印刷の生産性の低下を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1記載の画像形成装置は、
像保持体の4等分割された周長の整数倍に基づいて画像の形成開始位置が決定される画
像形成部にて片面に画像形成された後の記録媒体を表裏反転させる反転部と、
表裏反転した前記記録媒体を前記画像形成部に再び搬送するための循環搬送部と、を備
え、
前記記録媒体に連続して両面画像形成を行う画像形成処理がジョブの途中で中断された
ときに、前記記録媒体の枚数が、前記循環搬送部の搬送経路長と前記記録媒体の搬送方向
長さに応じて定まる最大許容枚数以下である場合、前記画像形成開始タイミングを前記像
保持体の4等分割された周長の整数倍で決定し、前記記録媒体の枚数が、前記最大許容枚
数を超える場合、前記画像形成開始タイミングを前記画像が形成される記録媒体の1頁単
位で決定する、
ことを特徴とする。
【0007】
前記課題を解決するために、請求項2記載のプログラムは、
画像形成装置を作動させるプログラムであって、画像形成装置に、
像保持体の4等分割された周長の整数倍に基づいて画像の形成開始位置が決定される画像
形成部にて片面に画像形成された後の記録媒体を表裏反転させる反転機能と、
表裏反転した前記記録媒体を前記画像形成部に再び搬送する循環搬送機能と、
前記記録媒体に連続して両面画像形成を行う画像形成処理がジョブの途中で中断された
ときに、前記記録媒体の枚数が、前記循環搬送部の搬送経路長と前記記録媒体の搬送方向
長さに応じて定まる最大許容枚数以下である場合、前記画像形成開始タイミングを前記像
保持体の4等分割された周長の整数倍で決定し、前記記録媒体の枚数が、前記最大許容枚
数を超える場合、前記画像形成開始タイミングを前記画像が形成される記録媒体の1頁単
位で決定する機能と、を実行させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、両面印刷で像保持体にイメージを配置できない要因が発生し、像保持体上で位置をずらしてイメージを配置する場合に両面印刷の生産性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置1の概略構成の一例を示す断面模式図である。
図2】画像形成装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像形成装置1が最大許容枚数テーブルTに基づいて複数の用紙長Mごとに行う両面印刷シーケンスの例を示す図である。
図4】カラーレジストレーション調整ために行う感光体ドラム131の回転位相合わせを説明するための図である。
図5】最も使用頻度の高い用紙の一例(A4サイズ横及びレターサイズ横)としてA4サイズ横送り20枚のジョブを実行した場合の中間転写ベルト151上のイメージ配置の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0011】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
(1.1)画像形成装置の全体構成
図1は本実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す断面模式図である。
画像形成装置1は、画像形成部10と、画像形成部10の一端に装着された用紙送り装置20と、画像形成部10の他の一端に設けられ、印刷された用紙が排紙される排紙部30と、操作情報部40と、上位機器から送信された印刷情報から画像イメージを生成する画像処理部50と、を備えて構成されている。
【0012】
画像形成部10は、システム制御装置11、露光装置12、感光体ユニット13、現像装置14、転写装置15、用紙搬送装置16a、16b、16c、定着装置17、画像読み取り装置18、とを備えて構成され、画像処理部50から受け取った画像情報を、用紙送り装置20から送り込まれた用紙上にトナー画像として形成する。
【0013】
用紙送り装置20は、画像形成部10に対する用紙供給を行う。すなわち、種類(例えば、材質や厚さ、用紙サイズ、紙目)の異なる用紙を収容する複数のトレイを備えており、これら複数のトレイのいずれか一つから繰り出した用紙を画像形成部10に対して供給するように構成されている。
【0014】
排紙部30は、画像形成部10にて画像出力が行われた用紙の排出を行う。そのために、排紙部30は、画像出力後の用紙が排出される排紙トレイを備えている。なお、排紙部30は、画像形成部10から出力される用紙束に対して、裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を行う機能を有したものであってもよい。
【0015】
画像形成部10には、操作情報部40が設けられている。操作情報部40は、各種の設定や指示の入力及び情報表示に用いられるものである。すなわち、いわゆるユーザインタフェースに相当するもので、具体的には液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成されている。
【0016】
(1.2)画像形成部の構成及び動作
このような構成の画像形成装置1では、画像形成のタイミングに合わせて用紙送り装置20のうち、印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定されたトレイから繰り出された用紙が画像形成部10へ送り込まれる。
【0017】
感光体ユニット13は、露光装置12の下方(Z方向)に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する像保持体としての感光体ドラム131を備えている。感光体ドラム131の回転方向にそって、帯電器132、露光装置12、現像装置14、一次転写ローラ152、クリーニングブレード134が配置されている。
【0018】
現像装置14は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング141を有する。現像ハウジング141内には、感光体ドラム131に対向して配置された現像ローラ142が配設され、現像ローラ142には、現像剤の層厚を規制する層規制部材(不図示)が近接配置されている。
現像装置14各々は、現像ハウジング141に収容される現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0019】
回転する感光体ドラム131の表面は、帯電器132により帯電され、露光装置12から出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム131上に形成された静電潜像は現像ローラ142によりトナー像として現像される。
【0020】
転写装置15は、各感光体ユニット13の感光体ドラム131にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト151、各感光体ユニット13にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト151に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ152、中間転写ベルト151上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体である用紙に一括転写(二次転写)する二次転写ベルト153とから構成されている。
二次転写ベルト153は、二次転写ローラ154と剥離ローラ155とによって張架され、中間転写ベルト151の背面側に配置されたバックアップローラ165と二次転写ローラ154とに挟持されて二次転写部(TR)を形成する。
【0021】
各感光体ユニット13の感光体ドラム131に形成された各色トナー像は、システム制御装置11により制御される電源装置等(不図示)から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ152により中間転写ベルト151上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
中間転写ベルト151上の重畳トナー像は、中間転写ベルト151の移動に伴って二次転写ベルト153が配置された領域(二次転写部TR)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせて用紙送り装置20から用紙Pが二次転写部TRに供給される。そして、バックアップローラ165には、システム制御装置11により制御される電源装置等から所定の転写電圧が印加され、用紙Pに中間転写ベルト151上の多重トナー像が一括転写される。
【0022】
感光体ドラム131表面の残留トナーは、クリーニングブレード134により除去され、廃トナー収容部(不図示)に回収される。感光体ドラム131の表面は、帯電器132により再帯電される。
【0023】
定着装置17は一方向へ回転する無端状の定着ベルト17aと、定着ベルト17aの周面に接し、一方向へ回転する加圧ローラ17bと、を有し、定着ベルト17aと加圧ローラ17bの圧接領域によってニップ部(定着領域)が形成される。
転写装置15においてトナー像が転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で用紙搬送装置16aを経由して定着装置17に搬送される。定着装置17に搬送された用紙Pは、一対の定着ベルト17aと加圧ローラ17bにより、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
【0024】
定着の終了した用紙Pは、用紙搬送装置16bに設けられた画像読み取り装置18を通過し、排紙部30に送り込まれる。
用紙Pの両面に画像出力を行う場合には、用紙搬送装置16cにより当該用紙Pの表裏が反転され、再び画像形成部10における二次転写部TRへ送り込まれる。そして、トナー像の転写および転写像の定着が行われた後に、排紙部30に送り込まれることになる。排紙部30へ送り込まれた用紙Pは、必要に応じて裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を経た後に、排紙トレイ上へ排出される。
【0025】
(1.3)画像形成装置のブロック構成
図2は本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図例のように、画像形成装置1においては、画像形成部10と用紙送り装置20の間が通信ケーブル80で接続されており、それぞれの間で情報授受を行い得るように構成されている。
尚、排紙部30が裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を行う機能を有している場合には、排紙部30についても同様に通信ケーブル80で接続することができる。
【0026】
画像形成部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の組み合わせからなるシステム制御装置11を備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行して、画像形成装置1全体の動作制御を行う。
【0027】
システム制御装置11は、画像処理部50からの指令信号を受け付けると、画像形成部10が備える画像入力部102、画像処理部103、画像記憶部104、画像出力部105、後処理装置制御部106等に対して、動作制御指示を与える。
例えば画像処理部50へ1枚目のイメージデータ転送要求を行い、画像処理部50からイメージデータ転送準備完了通知を受けると、中間転写ベルト151上に、1枚目のイメージを配置する。そして、用紙送り装置20の備える複数のトレイのいずれか一つから繰り出した用紙を画像形成部10に対して供給してその片面に印刷し、両面印刷であれば、用紙搬送装置16c経由で、片面印刷後の1枚目の用紙Pを二次転写部TRへ搬送し、他面に印刷する動作を実行する。
【0028】
また、システム制御装置11は、画像形成部10が備える電源制御部107に対して、動作制御指示を与える。すなわち、電源制御部107が画像形成部10、用紙送り装置20への給電を行うか否かを決定し、その決定結果を当該電源制御部107に対して指示する。
更に、システム制御装置11は、画像形成部10が備える操作情報部40で入力された処理要求、または、画像形成部10と通信回線81を介して接続するホストコンピュータ82で入力された処理要求を認識して、その処理要求を受け付けるようになっている。
【0029】
用紙送り装置20は、CPU、RAM、ROM等の組み合わせからなる制御部21を備え、その制御部21が、画像形成部10との間の情報授受を行う。
又、用紙送り装置20に設置されている給紙トレイの動作を制御するトレイ制御部22に対して、動作制御指示を与えるようになっている。
【0030】
(2)画像形成装置の両面印刷制御・作用
(2.1)両面印刷時の印刷シーケンス
画像形成装置1において、複数枚の用紙を連続して両面印刷する際には、予め定められた枚数を一単位として第1面(表面)印刷と第2面(裏面)印刷とが交互に実行される。例えば予め定められた一単位の枚数が9枚であれば、用紙9枚を連続して第1面(表面)印刷してから、表裏反転させて循環搬送し、用紙9枚の第2面(裏面)印刷を行う。
予め定められた一単位の枚数は、用紙搬送経路中に用紙を同時に収容できる最大枚数を意味している(以下、最大許容枚数と記す)。
【0031】
最大許容枚数は、二次転写部TRから、用紙搬送装置16a、定着装置17を経て、用紙搬送装置16cにより当該用紙の表裏が反転され、再び画像形成部10における二次転写部TRへ送り込まれるまでの用紙搬送経路長W及び用紙搬送経路内における用紙長(用紙1枚当たりの搬送所要ピッチ長)Mに基づいて決定される。
最大許容枚数は、N=W/M(枚:整数)と表され、用いられる用紙Pの用紙サイズ及び搬送方向(縦送り又は横送り)により、変動するものであり、最大許容枚数テーブルとしてシステム制御装置11内のROMに格納されている。
【0032】
画像形成装置1においては、最大許容枚数テーブルTに基づいて、複数の用紙長Mごとに図3に示す両面印刷シーケンスが設定されている。
具体的には、図3(a)は、最も使用頻度の高い用紙Pの一例(A4サイズ横及びレターサイズ横)として、用紙長Lが216mm以内の場合を示し、最大許容枚数Nは9枚となる。すなわち、表面9枚分の片面印刷(表面)後は、以降印刷する表面のイメージ間に、裏面のイメージを一枚目から順次印刷していく。その結果、画像形成装置1が備える連続片面印刷速度(100%)と同じ印刷速度で両面印刷を行うことができる(両面印刷生産性100%)。
図3(b)は用紙長Lが216mmを超え280mm以内の場合を示し、最大許容枚数Nは7枚、両面印刷生産性は80%となる。図3(c)は用紙長Lが280mmを超え482.6mm以内の場合を示し、最大許容枚数Nは5枚、両面印刷生産性60%、図3(d)は用紙長Lが482.6mmを超え488mm以内の場合を示し、最大許容枚数Nは5枚、両面印刷生産性40%、となる。
【0033】
(2.2)両面印刷時のイメージ配置
画像形成装置1において、上述したシーケンスで両面印刷を行う場合は、画像形成部10のシステム制御装置11は、印刷ジョブのデータに基づいてイメージデータを生成する画像処理部50へイメージデータ転送要求を行う。画像形成部10からイメージデータ転送要求を受け付けた画像処理部50は、画像形成部10へイメージデータ転送準備が完了した段階で、イメージデータ転送準備完了通知を行う。
イメージデータ転送準備完了通知を受けた画像形成部10のシステム制御部11は、画像形成処理を実行して、像保持体としての中間転写ベルト151上に、順次イメージを配置する。
【0034】
(2.2・1)カラーレジストレーション調整
画像形成装置1は、画像形成処理を行う場合には、色ずれ、色むらを低減するカラーレジストレーション調整を行う。カラーレジストレーション調整とは、異なる色同士で画像(トナー像)の位置を合わせるための調整をいう。画像の位置合わせは、中間転写ベルト151上で感光体ドラム131の回転位相合わせによって行われる。
【0035】
図4に示すように、感光体ドラム131は、製作上の要因によって、感光体ドラム131の外径中心C1と回転中心C2とは偏心した状態で画像形成装置1に配置される。
係る偏心状態で感光体ドラム131を矢印方向に回転させた場合、感光体ドラム131の回転中心C2から最も遠い外周部P1の周速と、回転中心C2から最も近い外周部P2の周速が異なるために、感光体ドラム131上に形成されるトナー像の感光体ドラム回転方向(用紙搬送方向)の画像距離が感光体ドラム131上の位置によって異なることがある。
【0036】
これに対して、感光体ドラム131におけるイメージデータの画き出し開始位置を感光体ドラム131の1/4周ごととして、複数の感光体ドラム131を回転させたときに、各々の感光体ドラム131の間で生じる回転位相のずれを低減している。
そのために、画像形成装置1においては、画像形成処理の規則としてイメージデータの中間転写ベルト151上への配置開始位置は、感光体ドラム131の1/4周ごととされている。
【0037】
以下、画像形成部10に画像形成処理の中断(以下、ウェイト状態と記す)が発生した
場合に、画像形成部10が像保持体としての中間転写ベルト151上に両面印刷用のイメ
ージを順次配置する例を図のタイムチャートを参照しながら具体的に説明する。
尚、画像形成部10のウェイト状態は、具体的には、排紙部30に備えられた後処理装
置の処理が継続している状態、定着装置17の設定定着温度へのウォームアップ待機状態
等がある。
【0038】
(2.2.2)通常時のイメージ配置
画像形成装置1の画像形成部10は、画像処理部50へ1枚目(表面)のイメージデータ転送要求を行い、画像処理部50からイメージデータ転送準備完了通知を受けると、中間転写ベルト151上に、1枚目(表面)のイメージを配置する。
次に、中間転写ベルト151上に1枚目裏面のイメージ配置領域を空けて、2枚目(表面)のイメージを配置する。そして、2枚目裏面のイメージ配置領域を空けて、3枚目(表面)のイメージを配置する。
このようにして画像形成部10は順次、中間転写ベルト151上に表面のイメージを配置していく。
【0039】
図5に、最も使用頻度の高い用紙Pの一例(A4サイズ横及びレターサイズ横)としてA4サイズ横送り20枚のジョブを実行した場合の中間転写ベルト151上のイメージ配置状態を示す。
図5(a)においては、用紙長Lが216mm以内であれば、最大許容枚数Nは9枚となり、表面9枚分のイメージ配置後は、以降配置する表面のイメージ間に、裏面のイメージを一枚目から順次配置していく。その結果、画像形成装置1が備える連続片面印刷速度(100%)と同じ印刷速度で両面印刷を行うことができる(両面印刷生産性100%)。
【0040】
(2.2.3)ウェイト状態が発生後のイメージ配置
画像処理部50へ1枚目(表面)のイメージデータ転送要求を行い、画像処理部50からイメージデータ転送準備完了通知を受けた画像形成部10は、中間転写ベルト151上に1枚目(表面)のイメージを配置する。
【0041】
次に、画像形成部10は、画像処理部50へ2枚目(表面)のイメージデータ転送要求を行い、画像処理部50から2枚目(表面)のイメージデータ転送準備完了通知を受ける。このとき、画像形成部10は、ウェイト状態が発生した場合には、2枚目(表面)のイメージ配置が開始されるまでにウェイト状態が解除されなければ、中間転写ベルト151上に2枚目(表面)のイメージを配置することができない。
【0042】
その結果、画像形成部10は、画像処理部50へ2枚目(表面)のイメージに対するイメージデータ転送要求のキャンセルを通知する。その後、ウェイト状態が解除されると、再度、画像処理部50へ2枚目(表面)のイメージに対するイメージデータ転送要求を行う。
【0043】
そして、画像形成部10は、印刷ジョブのジョブ情報に含まれる用紙サイズ及び両面印刷枚数に基づいて、中間転写ベルト151上に2枚目(表面)以降のイメージを配置するタイミングを決定する。
【0044】
画像形成部10は、用紙長に対する最大許容枚数N(図3参照)に基づいて、印刷ジョブの表面の印刷枚数が最大許容枚数Nよりも少ない場合は、2枚目(表面)以降のイメージ配置を、感光体ドラム131の1/4周単位で遅延させて開始する。
一方、印刷ジョブの表面の印刷枚数が最大許容枚数Nよりも多い場合は、2枚目(表面)以降のイメージ配置を、画像が形成される用紙Pの1頁単位で表面のイメージ領域及び裏面のイメージ領域(2イメージ分の領域)を空けて開始する。
【0045】
図5(b)に、2枚目(表面)以降のイメージ配置を、画像が形成される用紙Pの1頁単位で表面のイメージ領域及び裏面のイメージ領域(2イメージ分の領域)を空けて開始した場合の各ページのイメージの配置状態を示す。
また、図5(c)ないし図5(i)に、2枚目(表面)以降のイメージ配置を、感光体ドラム131の1/4周単位で遅延させて開始した場合の各ページのイメージの配置状態を示す。
【0046】
図5(b)と図5(c)ないし図5(i)とを対比した場合、8枚以内のイメージ配置までは、2枚目(表面)以降のイメージ配置を、感光体ドラム131の1/4周単位で遅延させて開始した場合が、高い生産性を得られる。
一方、8枚を超えたイメージ配置の場合は、2枚目(表面)以降のイメージ配置を、画像が形成される用紙Pの1頁単位で表面のイメージ領域及び裏面のイメージ領域(2イメージ分の領域)を空けて開始した場合が、高い生産性を得られる。
【0047】
尚、最大許容枚数Nは、用いられる用紙Pの用紙サイズ及び搬送方向(縦送り又は横送り)により変動するが、発生したウェイト状態が解除されるときが、最大許容枚数以内のいずれかの頁数のイメージ配置後であれば、画像形成部10は、印刷ジョブのジョブ情報に含まれる用紙サイズ及び両面印刷枚数に基づいて、中間転写ベルト151上にウェイト状態が解除された以降のイメージを配置するタイミングを決定する。
【0048】
すなわち、印刷ジョブの表面の印刷枚数が最大許容枚数Nよりも少ない場合は、ウェイト状態が解除された以降のイメージ配置を、感光体ドラム131の1/4周単位で遅延させて開始する。
一方、印刷ジョブの表面の印刷枚数が最大許容枚数Nよりも多い場合は、ウェイト状態が解除された以降のイメージ配置を、画像が形成される用紙Pの1頁単位で表面のイメージ領域及び裏面のイメージ領域(2イメージ分の領域)を空けて開始する。
その結果、両面印刷の生産性の低下を抑制することができる。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で種々の変更を行うことが可能である。
【0050】
例えば、本実施形態では画像形成装置1は中間転写ベルト151を備えたタンデム方式のカラープリンタとして説明しているが、中間転写ベルト151を有しない直接転写方式の画像形成装置であっても良い。
尚、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納して提供することも可能であり、電気通信回線等のネットワークに接続されているサーバ装置等から画像形成装置1内の記憶部にダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1・・・画像形成装置
10・・・画像形成部
11・・・システム制御装置
12・・・露光装置
13・・・感光体ユニット
14・・・現像装置
15・・・転写装置
16a、16b、16c・・・用紙搬送装置
17・・・定着装置
20・・・用紙送り装置
21・・・制御部(用紙送り装置)
22・・・トレイ制御部(用紙送り装置)
72・・・用紙搬送部(用紙送り装置)
30・・・排紙部
40・・・操作情報部
50・・・画像処理部
80・・・通信ケーブル
81・・・通信回線
82・・・ホストコンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5