特許第6036275号(P6036275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036275
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】鋳ぐるみ用のパイプの保持装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/24 20060101AFI20161121BHJP
   B22D 19/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B22D17/24 Z
   B22D19/00 A
   B22D19/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-280912(P2012-280912)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-124639(P2014-124639A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】平野 琢也
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−347708(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0133187(US,A1)
【文献】 特開平07−310714(JP,A)
【文献】 特開平03−265706(JP,A)
【文献】 実開昭48−030687(JP,U)
【文献】 特開平08−108260(JP,A)
【文献】 特開昭60−216965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/24,19/00
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳ぐるみ用のパイプがインサートされた鋳造型のキャビティ面に開口するように前記鋳造型内に形成された通路内に挿通されるとともに、先端部分が前記キャビティ面から突出し、突出した前記先端部分が前記パイプの端部から前記パイプ内に挿入されるように、前記鋳造型に対して配設されるスライドピンと、
前記スライドピンの前記先端部分に設けられ、前記先端部分の径よりも大きい径を有し、前記先端部分とともに前記パイプ内に挿入される係止部と、
前記スライドピンを軸方向移動させるスライドピン移動部と、
前記スライドピンの前記先端部分であって前記係止部が設けられている部分よりも基端側の外周に設けられ、前記先端部分とともに前記パイプ内に挿入され、内径が前記係止部の外径よりも小さく自然状態における外径が前記パイプの内径よりも小さい筒状に形成され、前記スライドピン移動部によって前記スライドピンの前記先端部分が前記通路内に退避する後退方向に移動した場合に前記係止部により圧縮されてその外周面が前記パイプの内周面に密着するように弾性変形する弾性部材と、
を備える、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持装置において、
前記スライドピン移動部は、前記スライドピンを、前記キャビティ面から突出した前記スライドピンの前記先端部分の長さが所定の第1長さである前進位置と、前記キャビティ面から突出した前記スライドピンの前記先端部分の長さが前記第1長さよりも短い第2長さである後退位置と、に移動可能に構成され、
前記弾性部材は、前記スライドピンが前記前進位置から前記後退位置に移動した場合に前記係止部により圧縮されてその外周面が前記パイプの内周面に密着するように弾性変形する、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持装置において、
前記弾性部材は、その外径が前記通路の前記キャビティ面への開口の径よりも大きく形成されており、前記スライドピン移動部によって前記スライドピンが前記前進位置から前記後退位置に移動した場合に前記係止部と前記キャビティ面とに挟まれることにより発生する圧縮力でその外周面が前記パイプの内周面に密着するように弾性変形する、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持装置において、
前記鋳造型に形成された前記通路を挿通するとともに前記スライドピンの外周のうち前記弾性部材が設けられている部分よりも基端側に設けられた補助ピンを備え、
前記スライドピンは、前記補助ピンに相対的に軸方向移動可能に構成されている、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持装置において、
前記スライドピンが前記通路内に退避した退避位置に移動可能なように、前記スライドピンと前記補助ピンとを一体的に軸方向移動させる補助移動部と、をさらに備え、
前記係止部は、前記スライドピンが前記退避位置にあるとき、前記通路の開口を塞ぐような形状に形成されている、鋳ぐるみパイプの保持装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持装置において、
前記スライドピンの内部には、冷却水が流れる冷却通路が形成されている、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持装置において、
前記スライドピンは、前記鋳造型のキャビティ内の鋳造品を離型させるイジェクトピンとともに押出プレートに接続されており、
前記スライドピン移動部は、前記イジェクトピンを前記キャビティ面から突出させ、あるいは前記キャビティ面から突出している前記イジェクトピンを前記キャビティ面から退避させるように前記押出プレートを移動させるイジェクトピン駆動装置により構成される、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳ぐるみ用のパイプの鋳造型内での保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳ぐるみ用のパイプがインサートされた鋳造型のキャビティに金属溶湯を射出してパイプを鋳ぐるむ際に、パイプ内部に金属溶湯が進入しないようにパイプが保持される。このようなパイプの保持装置として、例えば特許文献1は、鋳ぐるみ用のパイプの端部に取付けられる遮蔽部材を開示する。この遮蔽部材は圧入部と突出部と先端部とを備える。圧入部がパイプの端部からパイプ内に圧入され、突出部がパイプの端部から外方に突出する。このとき圧入部がパイプの内壁に密着することによって、パイプ内部への金属溶湯の進入が防止される。また、突出部が巾木を介して型に取付けられることにより、パイプが型内で保持される。
【0003】
また、特許文献2は、鋳ぐるみ用のパイプの中間部位に変形部を形成するとともにパイプの一端側からテーパ状のピンを挿入させてパイプを保持する方法を開示する。特許文献2に記載の鋳ぐるみ用のパイプの保持方法によれば、型閉め時にテーパ状のピンがパイプの一端部の内周に密着することによってパイプの一端側からの金属溶湯の進入が防止される。また、型閉め時に変形部をキャビティ面に接触させて変形部とキャビティ面との間の隙間を無くすことにより、パイプの他端側からの金属溶湯の進入が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−347708号公報
【特許文献2】特開平10−128520号公報
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載のパイプ保持装置によれば、パイプの1個1個にパイプ保持装置としての遮蔽部材が取付けられるので、材料原価が増大することに起因してパイプを鋳ぐるむ際の製造コストが増大する。また、パイプをから遮蔽部材を引き抜く工程が必要であるため、工数が増加することに起因してパイプを鋳ぐるむ際の製造コストがより一層増大する。
【0006】
特許文献2に記載のパイプの保持方法によれば、テーパ状のピンとの嵌め合いによってパイプの一端の開口が密閉されるように構成されているので、パイプの内径のばらつきによってピンの挿入代が変化する。このためパイプのキャビティ内での位置がばらつき、その結果、目標とする位置にパイプを鋳ぐるむことが困難である。また、パイプの肉厚が厚い場合は、ピンをパイプに挿入してもパイプが変形し難いために、ピンとパイプの内壁との間に隙間が生じるおそれがある。さらにこれを防止するためパイプにピンを強く挿入した場合、パイプを鋳ぐるんだ後にパイプからピンを引き抜くことが困難となり、あるいはピンを引き抜く際にパイプが変形するおそれがある。さらに、パイプに変形部を形成するための前加工が必要であるので、製造コストが増大する。加えて、曲がったパイプには特許文献2に記載の保持方法を適用することが困難である。
【0007】
本発明は、安価に鋳ぐるみ用のパイプを鋳ぐるむことができるようにパイプ保持装置を構成することを目的とする。
【0008】
(課題を解決するための手段)
本発明は、鋳ぐるみ用のパイプがインサートされた鋳造型のキャビティ面に開口するように鋳造型内に形成された通路内に挿通されるとともに、先端部分がキャビティ面から突出し、突出した先端部分がパイプの端部からパイプ内に挿入されるように、鋳造型に対して配設されるスライドピンと、スライドピンの先端部分に設けられ、先端部分の径よりも大きい径を有し、先端部分とともにパイプ内に挿入される係止部と、スライドピンを軸方向移動させるスライドピン移動部と、スライドピンの先端部分であって係止部が設けられている部分よりも基端側の外周に設けられ、先端部分とともにパイプ内に挿入され、内径が係止部の外径よりも小さく自然状態における外径がパイプの内径よりも小さい筒状に形成され、スライドピン移動部によってスライドピンの先端部分が通路内に退避する後退方向に移動した場合に係止部により圧縮されてその外周面がパイプの内周面に密着するように弾性変形する弾性部材と、を備える、鋳ぐるみ用のパイプの保持装置を提供する。
【0009】
この場合、前記スライドピン移動部は、スライドピンを、キャビティ面から突出したスライドピンの先端部分の長さが所定の第1長さである前進位置と、キャビティ面から突出したスライドピンの先端部分の長さが第1長さよりも短い第2長さである後退位置と、に移動可能に構成されるのがよい。そして、前記弾性部材は、スライドピンが前進位置から後退位置に移動した場合に係止部により圧縮されてその外周面がパイプの内周面に密着するように弾性変形するものであるのがよい。
【0010】
上記発明によれば、スライドピンの先端部分が鋳造型のキャビティ面から突出した位置(例えば前進位置)からスライドピンが後退方向に移動されて所定の位置(例えば後退位置)に達した場合に、スライドピンの先端部分に設けられた係止部によって弾性部材が圧縮変形する。これにより弾性部材の径が増大して弾性部材の外周面がパイプの内周面に密着する。その結果、弾性部材によってパイプの内部が封止される。この状態でキャビティ内に金属溶湯を射出することにより、パイプの内部に金属溶湯が進入することなくパイプを鋳ぐるむことができる。また、鋳造後に、スライドピンを上記後退方向とは反対の方向(前進方向)に移動することで、弾性部材の圧縮変形は解消され、弾性部材が自然状態に戻る。このため保持装置によるパイプの保持が解除され、保持装置からパイプを離すことができる。パイプが離された後は、別のパイプを保持装置で保持することができる。
【0011】
このように、本発明によれば、一つの保持装置でパイプを連続的に保持することができ、上記特許文献1の遮蔽部材のようにパイプの1本1本に別々の保持装置を必要としない。このため安価に鋳ぐるみ用のパイプを鋳ぐるむことができる。また、弾性部材の圧縮変形によってパイプの内部を封止するように構成されているので、パイプが型内の所望の位置にインサートされた状態を維持したままパイプを保持することができる。このため目標とする位置にパイプを鋳ぐるむことができる。また、弾性部材をパイプに圧入するのではなく、パイプの内部で弾性部材を圧縮変形させてパイプに密着させるように構成されているので、弾性部材の圧縮変形を解消するだけで保持装置によるパイプの保持を容易に解除することができるとともに、保持の解除時にパイプが変形することも無い。
【0012】
上記弾性部材は弾性変形するものであればどのようなものでも良い。ゴムや軟質性の樹脂等が好適に弾性部材として用いられる。また、上記弾性部材は、金属溶湯からの熱を受けて加熱するため、加熱による変性を防止するため耐熱性を有する材質で形成されているのがよい。例えば弾性部材として耐熱性ゴム部材が良い。耐熱性ゴム部材として、シリコンゴム、ミラブルゴム、フッ素ゴム、バイトンゴム、あるいはこれらに無機材料を混練したゴム部材が好ましい。特にバイトンゴムやフッ素ゴムは耐熱性が良好であるので良い。
【0013】
上記スライドピンは、鋳造時に金属溶湯からの熱を受けて加熱される。したがって、スライドピンから弾性部材に伝達される熱量をできるだけ少なくするために、スライドピンは熱伝達の小さい材質(熱伝達係数の小さい材質)で形成されているのがよい。例えばステンレス鋼材(SUS材)、チタン材、等が、好適にスライドピンの材質として用いられる。また、スライドピンの先端部分や係止部は、パイプ内に挿入されているときに、パイプの内周面に接触しない程度の大きさであるのがよい。
【0014】
また、スライドピンが挿通される通路は、可動型に形成されていてもよいし固定型に形成されていてもよい。また、本発明に係る保持装置は、パイプの両端側を封止するように鋳造型に取付けられていると良い。例えば2個の保持装置が鋳造型に取付けられており、一方はパイプの一方端の開口を封止するようにパイプを保持し、他方はパイプの他方端の開口を封止するようにパイプを保持するように構成されるのがよい。また、本発明の保持装置が適用されるパイプは中空状であって端部が保持可能であればどのようなものでも良く、例えば直線状のパイプでもよく、折れ曲がったパイプでも良い。
【0015】
前記弾性部材は、スライドピンが後退方向に移動したときに係止部により圧縮されるが、このとき弾性部材が、係止部と、それ以外の部材との間に挟まれて圧縮されるのがよい。例えば、前記弾性部材の外径が鋳造型内に形成されている通路のキャビティ面への開口の径よりも大きく形成されていて、弾性部材は、スライドピン移動部によってスライドピンが前進位置から後退位置に移動した場合に係止部とキャビティ面とに挟まれることにより発生する圧縮力で、その外周面がパイプの内周面に密着するように弾性変形するものであるのがよい。これによれば、スライドピンが前進位置から後退位置に移動した場合に、係止部も後退方向に移動するため、係止部とキャビティ面との間の距離が縮まる。したがって、この間に弾性部材が配設されている場合、弾性部材は係止部とキャビティ面とに挟まれて圧縮変形(弾性変形)する。
【0016】
また、本発明に係る保持装置は、鋳造型に形成された通路を挿通するとともにスライドピンの外周のうち弾性部材が設けられている部分よりも基端側に設けられた補助ピンを備えるのがよい。そして、前記スライドピンは、補助ピンに相対的に軸方向移動可能に構成されているのがよい。これによれば、スライドピンが補助ピンに相対的に例えば前進位置から後退位置に移動した場合に、係止部と補助ピンとの間の距離が縮まる。したがって、係止部と補助ピンとの間に設けられている弾性部材が係止部と補助ピンとに挟まれて圧縮変形(弾性変形)する。
【0017】
この場合、本発明に係る保持装置は、スライドピンが通路内に退避した退避位置に移動可能なように、スライドピンと補助ピンとを一体的に軸方向移動させる補助移動部と、をさらに備えるのがよい。そして、前記係止部は、スライドピンが退避位置にあるとき、通路の開口を塞ぐような形状に形成されているのがよい。これによれば、補助移動部によってスライドピンが補助ピンとともに退避位置に移動されたときには、係止部が鋳造型に形成された通路の開口を塞ぐ。この状態でキャビティに金属溶湯を射出することによって、キャビティ内にパイプをインサートすることなく金属溶湯を捨て打ちすることができる。捨て打ち終了後に補助移動部によってスライドピンは補助ピンとともに例えば前進位置に移動させることができる。そして、スライドピンの先端部分、係止部および弾性部材がパイプの内部に挿入されるようにパイプがインサートされ、その後、スライドピン移動部によってスライドピンが補助ピンに相対的に後退方向に移動して、例えば後退位置に移動される。このスライドピンの移動により弾性部材が係止部と補助ピンとの間に挟まれて圧縮変形(弾性変形)する。その結果、弾性部材の外周面がパイプの内周面に密着してパイプの内部が封止される。この状態でキャビティ内に金属溶湯を射出することにより、パイプの内部に金属溶湯が進入することなくパイプを鋳ぐるむことができる。また、鋳造後に、スライドピン移動部によってスライドピンを補助ピンに相対的に例えば後退位置から前進位置に移動させることにより弾性部材の圧縮変形は解消され、弾性部材が自然状態に戻る。このため保持装置によるパイプの保持が解除され、保持装置からパイプを離すことができる。
【0018】
前記スライドピンの内部には、冷却水が流れる冷却通路が形成されているのがよい。これによれば、冷却通路を流れる冷却水によりスライドピンおよびスライドピンの外周に設けられている弾性部材が冷却される。このように弾性部材を冷却することで、弾性部材の長寿命化を図ることができる。
【0019】
前記スライドピンは、鋳造型のキャビティ内の鋳造品を離型させるイジェクトピンとともに押出プレートに接続されているのがよい。そして、前記スライドピン移動部は、イジェクトピンをキャビティ面から突出させ、あるいはキャビティ面から突出しているイジェクトピンをキャビティ面から退避させるように押出プレートを移動させるイジェクトピン駆動装置により構成されるとよい。これによれば、既設のイジェクトピン駆動装置を利用してスライドピンを例えば前進位置や後退位置に移動させることにより、パイプの保持装置の製造費用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る鋳ぐるみ用のパイプの保持装置が取付けられたダイカスト用鋳造型の全体を示す概略断面図である。
図2】第1実施形態に係るパイプ保持装置およびパイプ保持装置の可動型への取付け状態を示す拡大概略断面図である。
図3A】パイプセット工程を示す図である
図3B】パイプ保持工程を示す図である。
図3C】型閉め・射出工程を示す図である
図3D】保持解除工程を示す図である。
図3E】離型工程を示す図である。
図4】第2実施形態に係るパイプ保持装置でパイプを保持している状態を示す図である。
図5】第3実施形態に係るパイプ保持装置でパイプを保持している状態を示す図である。
図6A】第4実施形態に係るパイプ保持装置を示し、捨て打ち工程を示す図である。
図6B】移動工程を示す図である。
図6C】パイプセット工程を示す図である。
図6D】パイプ保持工程を示す図である。
図6E】型閉め・射出工程を示す図である。
図6F】保持解除工程を示す図である。
図7A】第5実施形態に係るパイプ保持装置が取付けられた鋳造型の全体を示す概略断面図である。
図7B】第5実施形態に係るパイプ保持装置が取付けられた鋳造型の全体を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る鋳ぐるみ用のパイプの保持装置が取付けられたダイカスト用鋳造型の全体を示す概略断面図である。図1に示すように、この鋳造型1は、可動型11及び固定型12を有する。可動型11は固定型12に近づく方向及び遠ざかる方向に移動可能に構成される。ここで、説明の便宜のため、可動型11が固定型12に近づく方向(すなわち図1の左方)を前方(または前進方向)と定義し、可動型11が固定型12から遠ざかる方向(すなわち図1の右方)を後方(または後退方向)と定義する。
【0022】
可動型11が前進して型閉めされた場合に、可動型11のキャビティ面111と固定型12のキャビティ面121とによりキャビティ13が形成される。このキャビティ13内に鋳ぐるみ用のパイプ21がインサートされる。本実施形態に用いるパイプ21は図1に示すように、両端部が同一方向に折れ曲がっているように形成されており、両端面が可動型11のキャビティ面111に向くようにキャビティ13内に配設される。なお、本明細書においては、キャビティ13を形作る面のみならずキャビティ13に繋がっている面もキャビティ面と呼ぶ。例えば、キャビティ13内のパイプ21の端面で塞がれている部分や、後述する取付凹部113の底面113aも、可動型11のキャビティ面111と解釈される。
【0023】
固定型12に射出スリーブ14が取付けられる。型閉め状態であるときに射出スリーブ14内の空間はキャビティ13に連通する。射出スリーブ14内には金属溶湯が供給される。射出スリーブ14内の金属溶湯は図示しない射出プランジャで押されてキャビティ13内に射出される。
【0024】
可動型11に押出装置15が取付けられる。この押出装置15は、押出プレート151と、押出プレート151にその後端部が固定された複数のイジェクトピン152と、イジェクトピン駆動装置153とを備える。なお、可動型11には、キャビティ面111からこのキャビティ面111に対向した側壁面115にかけて貫通形成されたイジェクト用通路112が形成されており、イジェクトピン152はこのイジェクト用通路112に挿通され、その先端面がキャビティ面111に露出する。押出プレート151はイジェクトピン駆動装置153によって図1の左右方向(前後方向)に移動し得るように構成される。押出プレート151が前進すると、イジェクトピン152の先端部分がキャビティ面111から突出する。このためキャビティ13内で成形されていた鋳造品がイジェクトピン152に押されて離型する。
【0025】
また、可動型11にパイプ保持装置30A,30Aが取付けられる。パイプ保持装置30A,30Aは、キャビティ13内にインサートされているパイプ21の一端側および他端側をそれぞれ保持する。図2は、パイプ保持装置30Aおよびパイプ保持装置30Aの可動型11への取付け状態を示す拡大概略断面図である。なお、図1に示す2つのパイプ保持装置30A,30Aのいずれもが図2に示すように構成される。図2に示すように、可動型11のキャビティ面111には取付凹部113が形成される。取付凹部113は前後方向に軸を持つ有底円柱形に形成され、その径はパイプ21の外径よりも僅かに大きい。この取付凹部113にパイプ21の端部が配置される。取付凹部113の底面113aは円形状に形成される。この底面113aの中心部分には、可動型11内に形成された通路114が開口する。通路114は、取付凹部113の底面113aから可動型11の側壁面115にかけて、前後方向に沿って貫通形成される。
【0026】
パイプ保持装置30Aは、スライドピン31と、係止部32と、駆動部33と、耐熱性ゴム部材34とを備える。スライドピン31は長尺状に形成される。スライドピン31は通路114内に軸方向移動可能に挿入され、その先端部分31aが取付凹部113の底面113aから突出する。取付凹部113はキャビティ面111に形成されているため、スライドピン31の先端部分31aはキャビティ面111から突出していることになる。スライドピン31の軸方向に垂直な断面形状は典型的には円形であるが、通路114に挿入し得る形状であれば角形状でもよいしその他の形状でもよい。スライドピン31の材質として、SUS材、チタン材などの熱伝達の小さい材質が好ましい。
【0027】
スライドピン31の先端(前端)に係止部32が設けられる。係止部32はスライドピン31と一体的に形成されていてもよいし、別体として形成されてスライドピン31に取付けられるように構成されていてもよい。本実施形態では係止部32はスライドピン31と同一の材質でスライドピン31と一体的に形成される。係止部32はスライドピン31と同軸的な円柱形状に形成され、その外径(スライドピン31の軸方向に垂直な断面における径)は、スライドピン31の先端部分31aの外径よりも大きく、パイプ21の内径よりも小さい。係止部32もスライドピン31の先端部分31aとともにキャビティ面111から突出している。なお、本実施形態では係止部32はスライドピン31の先端に設けられるが、必ずしもスライドピン31の先端に係止部32が設けられていなくても良い。例えばスライドピン31の先端部分31a(底面113aから突出している部分)の中間部分に係止部32がスライドピン31と同軸的に設けられていても良い。
【0028】
スライドピン31の基端側(先端部分31aと反対側の端部側)は可動型11の側壁面115から外方に突出しており、その突出端が駆動部33に接続される。駆動部33は、可動型11の側壁面115に取付けられており、スライドピン31を軸方向に移動させる機能を有する。駆動部33はスライドピン31の長さを伸縮させるように構成されていてもよい。スライドピン31と駆動部33は、それぞれ別体として製造され、後に組み合わされるように構成されてもいてもよいし、もともと一体的なアクチュエータとして構成されていてもよい。一体的なアクチュエータとして構成されている場合、例えばエアシリンダや油圧シリンダ、あるいはボールシャフトとボールナットとを有するボールネジ機構が、スライドピン31および駆動部33として、利用できる。
【0029】
また、スライドピン31の先端部分31aであり係止部32が設けられている部分よりも基端側(後方側)の外周に耐熱性ゴム部材34が取付けられている。耐熱性ゴム部材34は円筒形状を呈する。耐熱性ゴム部材34の内径は自然状態でスライドピン31の外径より大きく係止部32の外径より小さい。したがって、耐熱性ゴム部材34がスライドピン31に相対的に前進しても、係止部32に干渉してスライドピン31の先端側から脱落しないようにされている。また、耐熱性ゴム部材34の外径は、自然状態で取付凹部113の底面113aに形成された通路114の開口の径よりも大きく、パイプ21の内径よりも小さい。したがって、耐熱性ゴム部材34は、通路114内に入り込むことができないようにされている。つまり、耐熱性ゴム部材34は、係止部32と取付凹部113の底面113aとの間の空間に配置される。耐熱性ゴム部材34の外径は、好ましくは係止部32の外径よりも小さいのがよい。また、耐熱性ゴム部材34の肉厚は、パイプ21の内径と係止部32の外径の隙間よりも小さいのがよい。耐熱性ゴム部材34の材質として、シリコンゴム、ミラブルゴム、バイトンゴム、あるいはこれらの材料に無機材料を混練した材質が好適に用いられる。特にバイトンゴムで耐熱性ゴム部材34を成形するとよい。
【0030】
上記構成のパイプ保持装置30Aによるパイプ21の保持方法および、パイプ保持装置30Aで保持されたパイプ21の鋳ぐるみ方法について、以下に工程順に説明する。なお、以下では図1に示すパイプ21の上側の端部の保持方法について説明するが、下側の端部の保持方法も同様である。
【0031】
まず、型開き状態の可動型11の取付凹部113にパイプ21をセット(インサート)する(パイプセット工程)。図3Aはパイプセット工程にてパイプ21がセットされた状態を示す図である。このパイプセット工程では、取付凹部113の底面113a(キャビティ面111)から突出しているスライドピン31の先端部分31aの長さが第1長さL1となるように、駆動部33によりスライドピン31の位置が調整される。第1長さL1は、スライドピン31の軸方向に沿った耐熱性ゴム部材34の自然長よりも長い。先端部分31aの長さが第1長さL1であるときにおけるスライドピン31の位置を前進位置と呼ぶ。すなわち、パイプセット工程では、駆動部33によってスライドピン31が前進位置に移動される。なお、スライドピン31の先端部分31aの長さは、係止部32と取付凹部113の底面113aとの間の長さに等しい。係止部32と取付凹部113の底面113aとの間には耐熱性ゴム部材34が配設されている。つまり、スライドピン31が前進位置にあるとき、耐熱性ゴム部材34の配設空間の長さが耐熱性ゴム部材34の自然長よりも長い。したがって、スライドピン31が前進位置であるとき、耐熱性ゴム部材34は自然状態であり圧縮されていない。
【0032】
また、図3Aからわかるように、係止部32と取付凹部113の側周面との間および耐熱性ゴム部材34と取付凹部113の側周面との間に形成されているリング状の隙間を埋めるようにパイプ21の端部が取付凹部113に挿入される。このとき取付凹部113の底面113aから突出したスライドピン31の先端部分31aが、パイプ21の端部からパイプ21内に挿入される。言い換えれば、スライドピン31は、その先端部分31aが取付凹部113にセットされたパイプ21の端部からパイプ21内に挿入されるように、可動型11に対して配設される。また、係止部32および耐熱性ゴム部材34も、スライドピン31の先端部分31aとともにパイプ21の端部からパイプ21内に挿入される。なお、図3Aに示す状態では、係止部32とパイプ21の内壁との間、および自然状態の耐熱性ゴム部材34とパイプ21の内壁との間に微小な隙間が形成される。したがって、パイプセット工程時には、スライドピン31、係止部32および耐熱性ゴム部材34は、パイプ21内でスライドピン31の軸方向に移動し得るようにされる。
【0033】
パイプ21が取付凹部113にセットされた後に、パイプ保持装置30Aでパイプ21を保持する(パイプ保持工程)。図3Bは、パイプ保持工程にてパイプ保持装置30Aにパイプ21が保持された状態を示す図である。このパイプ保持工程では、パイプ保持装置30Aの駆動部33が駆動してスライドピン31が図3Aに示す位置から右方に、すなわちスライドピン31の先端部分31aが通路114内に退避する方向(後退方向)に、軸方向移動する。スライドピン31の後退方向への移動によって、スライドピン31の先端に設けられた係止部32も後退方向に移動する。このため取付凹部113の底面113a(キャビティ面111)から突出しているスライドピン31の先端部分31aの長さが短くされる。ここで、パイプ保持工程では、取付凹部113の底面113aから突出しているスライドピン31の先端部分31aの長さが第2長さL2となるように、駆動部33によりスライドピン31の位置が調整される。第2長さL2は第1長さL1よりも短い。底面113aから突出しているスライドピン31の先端部分31aの長さが第2長さL2であるようなスライドピン31の位置を後退位置と呼ぶ。すなわち、パイプ保持工程では、駆動部33によってスライドピン31が後退位置に移動される。
【0034】
スライドピン31が前進位置から後退位置に移動した場合、係止部32と取付凹部113の底面113aとの間の距離(すなわち先端部分31aの長さ)が第1長さL1から第2長さL2まで縮まる。上述のように係止部32と取付凹部113の底面113aとの間には耐熱性ゴム部材34が配設されている。また、スライドピン31の軸方向に沿った耐熱性ゴム部材34の自然長は第2長さL2よりも長い。したがって、スライドピン31が前進位置から後退位置まで移動した場合、耐熱性ゴム部材34の配設空間の長さが耐熱性ゴム部材34の自然長よりも短くされ、耐熱性ゴム部材34は係止部32と取付凹部113の底面113aとの間に挟まれて圧縮力を受ける。すなわちスライドピン31の後退移動に伴い耐熱性ゴム部材34が係止部32により圧縮される。この圧縮力によって耐熱性ゴム部材34はスライドピン31の軸方向に圧縮されて長さが短くされるとともに、長さが短くされた分だけ外径が増加する。外径の増加によって耐熱性ゴム部材34の外周面がパイプ21の内壁に密着する。これによりパイプ21の内部が耐熱性ゴム部材34で封止されるとともに、パイプ21がパイプ保持装置30Aに保持される。
【0035】
パイプ21がパイプ保持装置30Aで保持された後に可動型11が前進移動して型閉めされ、その後、金属溶湯がキャビティ13内に射出される(型閉め・射出工程)。図3Cは、型閉め・射出工程を示す図である。図3Cに示すように、耐熱性ゴム部材34がパイプ21の端部付近の内周面に密着している。耐熱性ゴム部材34は、底面113aやスライドピン31の先端部分31aの外周面とも密着している。そのため、キャビティ13内に充填された金属溶湯がパイプ21内に進入することはない。そして、キャビティ13に充填された金属溶湯がパイプ21の外周に付着してパイプ21が鋳ぐるまれる。
【0036】
キャビティ13に金属溶湯が射出され、所定時間経過した後に、パイプ保持装置30Aによるパイプ21の保持が解除される(保持解除工程)。図3Dは保持解除工程を示す図である。この保持解除工程では、駆動部33を駆動してスライドピン31を図3Cに示す位置から左方に、すなわちスライドピン31の先端部分31aがキャビティ面111に突出する方向(前進方向)に、軸方向移動させる。このためスライドピン31が後退位置から前進位置まで移動する。前進位置では先端部分31aの長さが第1長さL1であり、第1長さL1は耐熱性ゴム部材34の自然長よりも長い。したがって、係止部32と取付凹部113の底面113aとの間の耐熱性ゴム部材34に作用していた圧縮力が消失して耐熱性ゴム部材34が自然状態に戻り、耐熱性ゴム部材34の外周面がパイプ21の内周面から離れてパイプ保持装置30Aによるパイプ21の保持が解除される。
【0037】
その後、可動型11が後退移動して型開きされ、次いで押出装置15を駆動させてイジェクトピン152の先端をキャビティ13側に突出させるようにイジェクトピン152を前進させる。これにより金属で外周が鋳ぐるまれたパイプ21が押し出されて離型される(離型工程)。図3Eは離型工程を示す図である。離型工程では、上述したように耐熱性ゴム部材34の外周面がパイプ21の内周面から離れているので、金属で鋳ぐるまれたパイプ21がパイプ保持装置30A(耐熱性ゴム部材34)に干渉することなくスムーズに離型される。
【0038】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係るパイプ保持装置30Bでパイプ21を保持している状態(保持工程)を示す図である。このパイプ保持装置30Bは、スライドピン31、あるいはスライドピン31および係止部32内に冷却通路が形成されている点を除き、基本的に上記第1実施形態に示したパイプ保持装置30Aと同一である。したがって、第1実施形態と同一の構成については同一の符号で示してその説明は省略する。図4に示すように、スライドピン31の軸方向に沿って、スライドピン31の内部、あるいは、スライドピン31および係止部32の内部に冷却通路37が形成される。この冷却通路37内に冷却水が流れることによって、スライドピン31が冷却される。冷却水からスライドピン31に与えられた冷熱がスライドピン31の外周に設けられている耐熱性ゴム部材34に伝達されることにより、耐熱性ゴム部材34も冷却される。耐熱性ゴム部材34が冷却されることにより、耐熱性ゴム部材34の熱による劣化が抑えられる。このため耐熱性ゴム部材34の長寿命化を図ることができる。
【0039】
冷却通路37には、駆動部33側から冷却水を供給してもよいし、あるいは図4に示すように可動型11内に冷却通路37に連通する冷却水用通路を116を形成し、この冷却水用通路116を通じて外部からの冷却水を冷却通路37に供給するように構成してもよい。
【0040】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係るパイプ保持装置30Cでパイプ21を保持している状態を示す図である。このパイプ保持装置30Cの構成は、基本的に第1実施形態に示したパイプ保持装置30Aと同一である。ただし、可動型11のキャビティ面111に取付凹部113が形成されておらず、パイプ21の端部がキャビティ面111に直接当接した状態でパイプ21がパイプ保持装置30Cに保持される点が、第1実施形態のパイプ保持装置30Aと異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号で示してその説明は省略する。
【0041】
図5に示すように、可動型11のキャビティ面111には上記第1実施形態で示した取付凹部113は形成されていない。また、可動型11内に形成されている通路114はキャビティ面111に直接開口している。この通路114内にスライドピン31が挿入されており、スライドピン31の先端部分31aが通路114の開口が形成されたキャビティ面111から突出している。そして、突出した先端部分31aがパイプ21の端部に挿入されている。この状態で、駆動部33が駆動してスライドピン31が前進位置から後退位置まで移動することにより、先端部分31aの外周に設けられた耐熱性ゴム部材34が係止部32とキャビティ面111との間に挟まれて圧縮力を受け、この圧縮力で弾性変形する。耐熱性ゴム部材34は弾性変形によりその長さが縮められるとともにその径が増大され、その外周面がパイプ21の内周面に密着する。これによりパイプ21の内部が封止されるとともに、パイプ保持装置30Cにパイプ21が保持される。こうしてパイプ21を保持した状態でキャビティ13内に金属溶湯が射出されることにより、パイプ21が鋳ぐるまれる。
【0042】
(第4実施形態)
ところで、一般的に鋳造成形においては、鋳造型の各部位の温度を所望の温度まで上昇させるために、捨て打ちが行われる。この捨て打ち時にパイプをキャビティにセット(インサート)した場合、セットしたパイプは廃棄されてしまうので、捨て打ち分のパイプが無駄に消費される。これに対し、本実施形態では、パイプを型内にセットせずに金属溶湯を捨て打ちを行うことができ、捨て打ち終了後にキャビティ内にパイプをセットしてパイプを鋳ぐるむことができるようなパイプ保持装置が提供される。
【0043】
図6A図6Fは、第4実施形態に係るパイプ保持装置30Dによるパイプ21の保持方法を工程順に示す図である。まず、本実施形態に係るパイプ保持装置30Dについて、図6Aを参照して説明する。図6Aに示すように、パイプ保持装置30Dは、スライドピン311と、補助ピン312と、係止部32と、駆動部33と、耐熱性ゴム部材34と、プレート部材35と、補助アクチュエータ36とを備える。スライドピン311は上記第1実施形態で示したパイプ保持装置30Aのスライドピン31に対応する構成であり、長尺状に形成される。スライドピン311の先端(前端)に係止部32が設けられ、基端(後端)に駆動部33が接続される。また、スライドピン311の先端部分311aの外周に耐熱性ゴム部材34が取付けられる。係止部32、駆動部33および耐熱性ゴム部材34の構成および役割は上記第1実施形態で示したものと同じであるので、その具体的説明は省略する。
【0044】
また、図6Aからわかるように、補助ピン312は、スライドピン311の外周であって耐熱性ゴム部材34が設けられている部分の基端側(後方側)に設けられる。したがって、補助ピン312の前方に耐熱性ゴム部材34が設けられている分だけ、スライドピン311が補助ピン312の先端から突出している。補助ピン312の外径は耐熱性ゴム部材34の自然状態における外径とほぼ同じである。また、補助ピン312の後端には拡径されたフランジ部分312aが形成される。
【0045】
プレート部材35は第1プレート351と第2プレート352とを有し、両プレートが前後方向に互いに重ね合わせられた状態で固定されることにより構成される。プレート部材35内に、第1凹部空間35aと第2凹部空間35bが図6Aにおいて上下に並んで形成される。第1凹部空間35aは、第1プレート351の前方面351aに開口した前方側円柱空間と、第2プレート352の後方面352aに開口した後方側円柱空間と、前方側円柱空間と後方側円柱空間との間の中間円柱空間からなり、これらの空間が前後方向に同心状に連なっている。第1凹部空間35aの前方側円柱空間の径は補助ピン312の外径とほぼ等しく、第1凹部空間35aの後方側円柱空間の径はスライドピン311の外径とほぼ等しい。また、第1凹部空間35aの中間円柱空間の径は補助ピン312の後端に形成されたフランジ部分312aの径にほぼ等しく、その軸方向長さはフランジ部分312aの軸方向長さにほぼ等しい。この中間円柱空間に補助ピン312のフランジ部分312aが嵌め込まれて固定される。そして、中間円柱空間から前方側に向かって補助ピン312が延び、第1プレート351を突き抜けている。また、補助ピン312の内周側に配設されたスライドピン311の後端部は後方側円柱空間から第2プレート352を突き抜け、突き抜けた後端部分が駆動部33に接続される。駆動部33は第2プレート352の後方面352aに固定される。
【0046】
第2凹部空間35bは、第2プレート352の後方面352aに開口した後方側円柱空間と、後方側円柱空間に同芯状に連なる中間円柱空間からなる。この第2凹部空間35bには後述する補助アクチュエータ36のロッド362が嵌め込まれる。なお、プレート部材35は図示しない支持手段によって前後方向(図6Aの左右方向)に移動可能に支持されている。
【0047】
補助アクチュエータ36は本体361とロッド362を備え、ロッド362が本体361から前方側に突き出ている。本体361が駆動することによりロッド362が伸縮する。ロッド362の先端(前端)には拡径されたフランジ部分362aが形成される。本体361から突き出たロッド362はプレート部材35の後方側から第2凹部空間35bの後方側円柱空間を挿通する。そして、フランジ部分362aが第2凹部空間35bの中間円柱空間に嵌め込まれて固定される。本体361は図示しない固定手段によって前後方向および上下方向に動かないように固定されて、本体361が駆動してロッド362が伸縮することにより、プレート部材35が前後方向(図6Aの左右方向)に移動する。
【0048】
また、可動型11は、キャビティ面111と、キャビティ面111とは反対側の側壁面115とを有する。この可動型11内には、キャビティ面111から側壁面115にかけて前後方向に貫通した通路114が形成される。この通路114は、上記第1実施形態で示した通路114よりも大きい径を有する。この通路114内に、図6Aに示すように、スライドピン311、補助ピン312、係止部32および耐熱性ゴム部材34の組付け体が挿通される。なお、通路114は、その断面形状、特にキャビティ面111への開口部の断面形状が、係止部32の断面形状にほぼ等しくなるように形成されている。その他の構成は上記第1実施形態と同じであるので、同一の部分に同一の符号を示してその具体的な説明は省略する。
【0049】
次に、このパイプ保持装置30Dを用いたパイプ21の保持方法について説明する。まず、補助アクチュエータ36の駆動によりロッド362を伸縮させて、スライドピン311の前後方向位置を調整する。この場合において、補助アクチュエータ36が駆動してロッド362が伸縮すると、プレート部材35が前後方向に移動するが、このプレート部材には駆動部33が固定されており、さらに駆動部33にはスライドピン311が接続されている。また、プレート部材35の第1凹部空間35aには補助ピン312が嵌め込まれて固定されている。したがって、補助アクチュエータ36の駆動によってプレート部材35が移動した場合、スライドピン311と補助ピン312が一体的に移動する。
【0050】
そして、係止部32の先端面(前端面)32aが図6Aに示すように可動型11のキャビティ面111と同一の平面上に位置し、係止部32、スライドピン311、補助ピン312および耐熱性ゴム部材34が通路114内に退避するように、スライドピン311および補助ピン312の位置が調整される。このようなスライドピン311の位置を、本実施形態では退避位置と呼ぶ。すなわち、補助アクチュエータ36により、スライドピン311が退避位置に位置するように、スライドピン311と補助ピン312とが一体的に移動される。ここで、上述したように係止部32の断面形状と通路114の断面形状は等しいので、通路114のキャビティ面111への開口部は係止部32によって完全に塞がれる。
【0051】
スライドピン311が退避位置に位置するようにスライドピン311を可動型11に対して配置した後に、可動型11を前進させて型閉めする。このとき可動型11とともにパイプ保持装置30Dも前進移動するように構成されている。その後、キャビティ13に金属溶湯を射出して捨て打ちを行う(捨て打ち工程)。図6Aは捨て打ち工程を示す図である。この捨て打ち工程時には、上述のように通路114のキャビティ面111への開口部が係止部32によって塞がれているので、キャビティ13内の金属溶湯が通路114側に流れ込むことが防止される。
【0052】
金属溶湯の捨て打ちの終了後、可動型11を後退させて型開きする。このとき可動型11とともにパイプ保持装置30Dも後退移動するように構成されている。その後、補助アクチュエータ36を駆動させてロッド362を前方側に伸長させる。これによりプレート部材35が図6Aに示す位置から左方(前方)に移動する(プレート移動工程)。図6Bはプレート移動工程を示す図である。このプレート移動工程では、プレート部材35の前方への移動に伴い、第2プレート352に固定された駆動部33、駆動部33に接続されたスライドピン311、スライドピン311の外周に設けられた耐熱性ゴム部材34、プレート部材35の第1凹部空間35aに嵌め込まれて固定された補助ピン312も前方に移動する。すなわち、補助アクチュエータ36の駆動によって、スライドピン311と補助ピン312が一体的に前方に移動する。このため、図6Bに示すように、スライドピン311の先端部分311a、係止部32、および耐熱性ゴム部材34が可動型11のキャビティ面111から突出する。図6Bに示すようなスライドピン311の位置が前進位置である。スライドピン311が前進位置にあるとき、キャビティ面111から突出したスライドピン311の先端部分311aの長さは第1長さL1である。ここで、本実施形態においては、スライドピン311が前進位置にあるとき、および後述の後退位置にあるときには、補助ピン312の先端面がキャビティ面111と同一平面に配置される。つまり、補助ピン312の先端面の前後方向位置がキャビティ面111の前後方向位置に一致する。したがって、スライドピン311が前進位置にあるときには、係止部32と補助ピン312の先端面との間の長さは第1長さL1であり、キャビティ面111から突出した先端部分311aの長さに等しい。
【0053】
次いで、パイプ21をセット(インサート)する(パイプセット工程)。図6Cはパイプセット工程を示す図である。このパイプセット工程では、パイプ21の端部に、キャビティ面111から突出した係止部32、スライドピン311の先端部分311aおよび耐熱性ゴム部材34が挿入される。そして、パイプ21の端面がキャビティ面111に接触するように、パイプ21をセットする。この状態ではパイプ21は未だパイプ保持装置30Dに保持されていない。したがって、パイプ21は、パイプ保持装置30Dのうちキャビティ面111から突出している部分に引掛けられるようにしてセットされる。
【0054】
パイプ21をセットした後に、パイプ21をパイプ保持装置30Dで保持する(パイプ保持工程)図6Dはパイプ保持工程を示す図である。このパイプ保持工程では、パイプ保持装置30Dの駆動部33が駆動して、スライドピン311が図6Cに示す前進位置から後方(右方)に、すなわちスライドピン311の先端部分311aが通路114内に退避する後退方向に、軸方向移動される。なお、補助ピン312はプレート部材35に固定されていて、プレート部材35が移動しないと移動できないように構成されている。つまり、スライドピン311は補助ピン312に相対的に軸方向移動可能に構成されていて、このパイプ保持工程で、スライドピン311が補助ピン312に相対的に後退移動する。
【0055】
スライドピン311の後退移動によって、スライドピン311の先端に設けられた係止部32も後退方向へ移動する。係止部32の後退方向への移動によって、係止部32とキャビティ面111との間の距離、及び、係止部32と補助ピン312との間の距離が縮まる。このパイプ保持工程では、キャビティ面111から突出したスライドピン311の先端部分311aの長さが第2長さL2とされる。第2長さL2は第1長さL1よりも短い。このようなスライドピン311の位置が後退位置である。
【0056】
スライドピン311が前進位置から後退位置に移動した場合、係止部32と補助ピン312との間の距離も第1長さL1から第2長さL2まで縮まる。また、係止部32と補助ピン312との間に耐熱性ゴム部材34が配設されており、スライドピン311の軸方向に沿った耐熱性ゴム部材34の自然長は第2長さL2よりも長い。したがって、スライドピン311が前進位置から後退位置まで移動した場合、耐熱性ゴム部材34の配設空間の長さが耐熱性ゴム部材34の自然長よりも短くされ、耐熱性ゴム部材34は係止部32と補助ピン312との間に挟まれて圧縮力を受ける。この圧縮力によって耐熱性ゴム部材34はスライドピン311の軸方向に圧縮されて長さが短くされるとともに、長さが短くされた分だけ外径が増加する。外径の増加によって耐熱性ゴム部材34の外周面がパイプ21の内壁に密着する。これによりパイプ21の内部が封止されるとともに、パイプ21がパイプ保持装置30Dに保持される。
【0057】
パイプ21をパイプ保持装置30Dで保持した後に、可動型11を前進させて型閉めし、その後、金属溶湯をキャビティ13内に射出する(型閉め・射出工程)。図6Eは、型閉め・射出工程を示す図である。図6Eに示すように、耐熱性ゴム部材34がパイプ21の端部付近の内周面に密着しているので、キャビティ13内に充填された金属溶湯がパイプ21内に進入することはない。そして、キャビティ13に充填された金属溶湯がパイプ21の外周に付着してパイプ21が鋳ぐるまれる。
【0058】
キャビティ13に金属溶湯が射出され、所定時間経過した後に、パイプ保持装置30Dによるパイプ21の保持が解除される(保持解除工程)。図6Fは保持解除工程を示す図である。この保持解除工程では、駆動部33を駆動してスライドピン311を図6Eに示す位置から左方に、すなわちスライドピン311の先端部分31aがキャビティ面111から突出する方向(前進方向)に、軸方向移動させる。このためスライドピン311が後退位置から前進位置まで移動する。前進位置では、係止部32と補助ピン312の先端面との間の長さが第1長さL1であり、第1長さL1は耐熱性ゴム部材34の自然長よりも長い。したがって、係止部32と補助ピン312との間の耐熱性ゴム部材34に作用していた圧縮力が消失して耐熱性ゴム部材34が自然状態に戻り、耐熱性ゴム部材34の外周面がパイプ21の内周面から離れてパイプ保持装置30Dによるパイプ21の保持が解除される。
【0059】
その後、型開きして、金属で鋳ぐるまれたパイプ21が離型される。このときには耐熱性ゴム部材34とパイプ21の内壁との間に微小な隙間が形成されているので、パイプ21がパイプ保持装置30D(耐熱性ゴム部材34)に干渉することなくスムーズに離型される。
【0060】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。図7A図7Bは、本実施形態のパイプ保持装置30Eが取付けられた鋳造型1の全体を示す概略断面図である。この実施形態では、パイプ保持装置30Eのスライドピン31は、押出装置15の押出プレート151に接続されている。そして、押出プレート151が図7の左右方向(前後方向)に移動することにより、キャビティ13内にセットされたパイプ21がパイプ保持装置30Eで保持される。押出装置15の構造、およびパイプ保持装置30Eのその他の構造は、上記第1実施形態で説明した押出装置15およびパイプ保持装置30Aの構造と同一であるので、その説明は省略する。
【0061】
パイプ21が可動型11にセットされる前の時点においては、図7Aに示すように押出装置15のイジェクトピン152の先端は可動型11のキャビティ面111から突出している。このときパイプ保持装置30Eのスライドピン31は前進位置にある。そして、パイプ21をセット(インサート)して型閉めした後に、イジェクトピン駆動装置153が駆動して押出プレート151が後方に移動される。これにより、図7Bに示すようにイジェクトピン152がキャビティ13から退避するとともに、パイプ保持装置30Eのスライドピン31も前進位置から後退位置まで後退移動する。スライドピン31の後退によって、上記した第1実施形態と同様に耐熱性ゴム部材が弾性変形し、パイプ21の内壁に耐熱性ゴム部材が密着する。
【0062】
この状態でキャビティ13に金属溶湯を射出してパイプ21の外周を金属で鋳ぐるむ。、その後、可動型11を後退させて型開きする。次いで、イジェクトピン駆動装置153が駆動して押出プレート151が前進する。これによりイジェクトピン152がキャビティ13に突出してキャビティ13内の鋳造品を押し出す。このときスライドピン31が後退位置から前進位置まで前進する。これにより耐熱性ゴム部材が自然状態に戻り、パイプ保持装置30Eによるパイプ21の保持が解除される。よって、金属で鋳ぐるまれたパイプ21がパイプ保持装置30E(耐熱性ゴム部材34)に干渉することなくスムーズに離型される。
【0063】
以上のように、本実施形態に係るパイプ保持装置によれば、スライドピン31,311が前進位置から後退位置まで移動した場合に、スライドピン31,311の先端部分31a,311aに設けられた係止部32によって耐熱性ゴム部材34が圧縮変形する。これにより耐熱性ゴム部材34の径が増大してその外周面がパイプ21の内周面に密着する。その結果、耐熱性ゴム部材34によってパイプ21の内部が封止される。この状態でキャビティ13内に金属溶湯を射出することにより、パイプ21の内部に金属溶湯が進入することなくパイプ21を鋳ぐるむことができる。また、鋳造後に、スライドピン31,311を前進位置に戻すことで、耐熱性ゴム部材34の圧縮変形は解消されて自然状態に戻る。このためパイプ21の保持が解除され、パイプ保持装置からパイプ21を離すことができる。パイプ21が離された後は、別のパイプをパイプ保持装置で保持することができる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、一つのパイプ保持装置でパイプ21を連続的に保持することができる。このため安価にパイプを鋳ぐるむことができる。また、耐熱性ゴム部材34の圧縮変形によってパイプ21の内部を封止するように構成されているので、パイプ21が型内の所望の位置にインサートされた状態を維持したままパイプ21を保持することができる。このため目標とする位置にパイプ21を鋳ぐるむことができる。また、耐熱性ゴム部材34の圧縮変形を解消するだけでパイプ保持装置によるパイプ21の保持を容易に解除することができるとともに、保持の解除時にパイプ21が変形することも無い。
【0065】
また、上記第1実施形態および第3実施形態によれば、耐熱性ゴム部材34の外径が可動型11内に形成されている通路114のキャビティ面111(取付凹部113の底面113a)への開口の径よりも大きく形成されている。そして、耐熱性ゴム部材34は、駆動部33によってスライドピン31が前進位置から後退位置に移動した場合に係止部32とキャビティ面111(取付凹部113の底面113a)とに挟まれることにより発生する圧縮力で、その外周面がパイプ21の内周面に密着するように圧縮変形する。この圧縮変形により、パイプ21の内部を封止することができるるとともにパイプ21を保持することができる。
【0066】
また、上記第2実施形態によれば、スライドピン31の内部には、冷却水が流れる冷却通路37が形成されている。このため冷却通路37を流れる冷却水によりスライドピン31およびスライドピン31の外周に設けられている耐熱性ゴム部材34が冷却される。このように耐熱性ゴム部材34を冷却することで、耐熱性ゴム部材34の長寿命化を図ることができる。
【0067】
また、上記第4実施形態によれば、パイプ保持装置30Dは、可動型11に形成された通路114を挿通するとともにスライドピン311の外周のうち耐熱性ゴム部材34が設けられている部分よりも基端側に設けられた補助ピン312を備え、スライドピン311は、補助ピン312に相対的に軸方向移動可能に構成されている。このため、スライドピン311が補助ピン312に相対的に前進位置から後退位置に移動した場合に、係止部32と補助ピン312との間の距離が縮められ、係止部32と補助ピン312との間に設けられている耐熱性ゴム部材34が圧縮変形する。この圧縮変形により、パイプ21の内部を封止することができるとともにパイプ21を保持することができる。また、パイプ保持装置30Dは、スライドピン311が通路114内に退避した退避位置に移動可能なように、スライドピン311と補助ピン312とを一体的に軸方向移動させる補助アクチュエータ36をさらに備える。そして、係止部32は、スライドピン311が退避位置にあるとき、通路114の開口を塞ぐような形状に形成されている。したがって、スライドピン311が退避位置にある状態でキャビティ13に金属溶湯を射出することによって、キャビティ13内にパイプ21をセットすることなく金属溶湯を捨て打ちすることができる
【0068】
また、上記第5実施形態によれば、スライドピン31は、キャビティ13内の鋳造品を離型させるイジェクトピン152とともに押出プレート151に接続されている。そしてスライドピン31は、イジェクトピン152をキャビティ面111から突出させ、あるいはキャビティ面111から突出しているイジェクトピン152をキャビティ面111から退避させるように押出プレート151を移動させるイジェクトピン駆動装置153により駆動されるよう構成されている。このため既設のイジェクトピン駆動装置153を利用してスライドピン31を前進位置や後退位置に移動させることができるので、パイプ保持装置の製造費用を削減することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、可動型11にパイプ保持装置が設けられている例について説明したが、固定型12にパイプ保持装置が設けられていても良いし、両方の型にパイプ保持装置が設けられていても良い。例えば直線状のパイプを鋳ぐるむ場合には、可動型11と固定型12の双方にパイプ保持装置を設けることができる。また、上記実施形態では、ダイカスト用鋳造型に本発明のパイプ保持装置を適用した例について説明したが、重力鋳造などの、他の鋳造型に本発明のパイプ保持装置を適用することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…鋳造型、11…可動型、111…キャビティ面、113…取付凹部、113a…底面、114…通路、115…側壁面、12…固定型、13…キャビティ、15…押出装置、21…パイプ、30A,30B,30C,30D,30E…パイプ保持装置(保持装置)、31,311…スライドピン、31a,311a…先端部分、312…補助ピン、32…係止部、33…駆動部(スライドピン移動部)、34…耐熱性ゴム部材(弾性部材)、35…プレート部材、36…補助アクチュエータ(補助移動部)、361…本体、362…ロッド、37…冷却通路、151…押出プレート、152…イジェクトピン、153…駆動装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B