(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料長略2mの光ファイバに直径略280mmの最小曲げを加えたときの透過光パワーP1と、当該光ファイバに直径略60mmの最小曲げを加えたときの透過光パワーP2とのパワー比が略0.1dBとなる最長の波長をカットオフ波長とする光ファイバのカットオフ波長の測定方法において、
前記透過光パワーP1またはP2のいずれか一方の測定データを用い、前記透過光パワーP1またはP2のいずれか他方の測定波長範囲を決定することを特徴とする、光ファイバのカットオフ波長の測定方法。
前記透過光パワーP1またはP2のいずれか一方の前記透過光パワーが最大となる波長を基準とし、前記透過光パワーが最大となる波長より長波長側および短波長側の少なくとも一方側の所定波長までの範囲を前記透過光パワーP2とP1のいずれか他方の測定波長範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバのカットオフ波長の測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記曲げ法によるカットオフ波長の測定方法では、光ファイバに直径280mmの円周形の最小曲げを加えた場合と、直径60mmの円周形の最小曲げを加えた場合とで、所定の波長範囲(特許文献1では800nmから1400nmまでの範囲)において、それぞれ透過光パワーの測定を行っている。確実にカットオフ波長を求めるには、それぞれの最小曲げを加えた場合の測定において、測定する波長範囲をある程度広くする必要があるが、波長範囲を広くするほど測定時間が長くなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、正確に測定しつつ、測定時間を短くすることのできる光ファイバのカットオフ波長の測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、試料長略2mの光ファイバに直径略280mmの最小曲げを加えたときの透過光パワーP1と、当該光ファイバに直径略60mmの最小曲げを加えたときの透過光パワーP2とのパワー比が略0.1dBとなる最長の波長をカットオフ波長とする光ファイバのカットオフ波長の測定方法において、
前記透過光パワーP1またはP2のいずれか一方の測定データを用い、前記透過光パワーP1またはP2のいずれか他方の測定波長範囲を決定する。
【0007】
また、前記光ファイバのカットオフ波長の測定方法において、前記透過光パワーP1またはP2のいずれか一方の前記透過光パワーが最大となる波長を基準とし、前記透過光パワーが最大となる波長より長波長側および短波長側の少なくとも一方側の所定波長までの範囲を前記透過光パワーP2とP1のいずれか他方の測定波長範囲としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透過光パワーの測定波長範囲を狭くしても、正確なカットオフ波長を求めることができるので、光ファイバのカットオフ波長の測定時間を短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る光ファイバのカットオフ波長の測定方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は曲げ法による光ファイバのカットオフ波長の測定方法を実施する測定装置の概略図を示したものである。
図1に示した、光ファイバのカットオフ波長の測定方法を実施する測定装置は、光ファイバ1の両端を弛みが生じないように保持する一対の保持部4,5と、一方の保持部4に保持された光ファイバ端に測定光を入射させる光源6と、他方の保持部5に保持された光ファイバ端から出射される透過光パワーを検出する受光部7と、を備えている。
【0012】
また、この測定装置は、外周に光ファイバを巻き付けることで光ファイバに所定径の曲げを付与する、φ280mm(直径280mm)の第1のマンドレル2と、φ60mm(直径60mm)の第2のマンドレル3を備えている。
【0013】
図1(a)に示すように、第1のマンドレル2の外周に光ファイバ1を巻き付けることでφ280mm(直径280mm)の円周形の最小曲げを付与できる。
【0014】
また、
図1(b)に示すように、光ファイバ1を第2のマンドレル3の外周、若しくは第1のマンドレル2の外周と第2のマンドレル3の外周の両方に巻きつけることで、光ファイバ1に高次モード光を通過させないようにできる。
【0015】
次に、本実施形態による光ファイバのカットオフ波長の測定方法について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図2は、
図1の測定装置による測定結果を説明する模式的な波形図である。
図2(a)は、
図1(a)の測定装置で測定された透過光パワーP1と、
図1(b)の測定装置で測定された透過光パワーP2を示す模式的な波形図である。
図2(b)は、透過光パワーP1,P2のパワー比(差分)を示す模式的な波形図である。
【0016】
まず、試料長2mの光ファイバ1をφ280mmの第1のマンドレル2に1ターン巻きつけて、
図1(a)に示した状態にして、透過光パワーP1を測定する。
図1(a)の状態で光源6を発光させて、所定波長の測定光を、保持部4に保持された光ファイバ端から光ファイバ1に入射させる。この入射光は、第1のマンドレル2に巻きつけた部分を通過し、保持部5に保持された光ファイバ端から出射する。この出射光は受光部7で検出され、これにより透過光パワーP1が測定される。この透過光パワーP1の測定は、所定の波長範囲(例えば1000nmから1500nmまでの範囲)において、波長を所定の単位(例えば10nm)ずつ変化させて、変化させた波長毎にそれぞれ行う。これにより、上記所定の波長範囲における各透過光パワーP1が測定される。
【0017】
このようにして得られた、所定の波長範囲における透過光パワーP1の各測定数値を、
図2(a)のようにグラフにプロットし、このグラフから透過光パワーP1の数値が最大になる波長である波長λmaxを求める。
【0018】
カットオフ波長λcは、透過光パワーが最大となる波長λmax付近の長波長側の波長になるので、この測定結果により、カットオフ波長λcがどの程度の値になるかをある程度推定することができる。光ファイバの種類・製法の違いなどによってカットオフ波長がλmaxからどの程度離れた値になるかは異なるが、各々の光ファイバの種類・製法で所定の範囲内に収まることが、実際の測定による経験から分かっている。
【0019】
そして、波長λmaxに所定の数値λaを加えたλmax+λaと、波長λmaxから所定の数値λbを引いたλmax−λbとを求めて、次に述べる透過光パワーP2の測定を行う。
【0020】
次に、光ファイバ1を、φ280mmの第1のマンドレル2と、φ60mmの第2のマンドレル3とにそれぞれ1ターンずつ巻きつけて、
図1(b)の状態にして、高次モードを含まない透過光パワーP2を測定する。
【0021】
図1(b)の状態で光源6を発光させて所定波長の測定光を、保持部4に保持された光ファイバ端から光ファイバ1に入射させる。この入射光は、第1のマンドレル2に巻きつけられた部分と、第2のマンドレル3に巻きつけられた部分と、を通過し、保持部5に保持された光ファイバ端から出射する。この出射光は、受光部7で検出され、これにより透過光パワーP2が測定される。この測定における測定波長の範囲は、先に行った透過光パワーP1の測定で得られたλmaxの値より、λmax−λbからλmax+λaまでの範囲とする。この波長範囲において、波長を所定の単位(例えば10nm)ずつ変化させて、変化させた波長毎にそれぞれ透過光パワーの測定を行う。これにより、λmax−λbからλmax+λaの波長範囲における各透過光パワーP2が測定される。そして、このようにして得られた、透過光パワーP2を透過光パワーP1のグラフにプロットする(
図2(a)参照)。
【0022】
次に、測定された透過光パワーP1,P2のパワー比(ここでは、P1−P2の数値)である透過光パワー比をグラフにプロットすると、
図2(b)のようになる。そして、
図2(b)に示すように、透過光パワー比が0.1dBとなる最長の波長をカットオフ波長λcとする。
【0023】
本実施形態に係る光ファイバ1のカットオフ波長λcの測定方法によれば、所定の波長範囲において各透過光パワーP1を測定し、測定された透過光パワーP1が最大となる波長λmaxを求め、波長λmaxに所定の数値λaを加えたλmax+λaと、波長λmaxから所定の数値λbを引いたλmax−λbとを求めて、λmax−λbからλmax+λaまでの波長範囲で、透過光パワーP2の測定を行ってカットオフ波長λcを求める。すなわち、透過光パワーP1の測定データを用い、波長λmaxを基準とし、透過光パワーP2の測定波長範囲を決定している。これにより、透過光パワーP2の測定波長範囲を狭くしてもカットオフ波長λcを求めることができ、光ファイバ1のカットオフ波長λcの測定時間を短くすることができる。
【0024】
以上、実施形態に基づいて本発明に係る光ファイバのカットオフ波長の測定方法について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる事は勿論である。
【0025】
例えば、透過光パワーP2の測定は、
図1(b)に示したφ280mmの第1のマンドレル2を使用せず、φ60mmの第2のマンドレル3のみに光ファイバを巻き付けて測定を行うようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、
図1(a)の測定装置で透過光パワーP1の測定を行うことにより、透過光パワーP2の測定波長範囲を決定してから、
図1(b)の測定装置で透過光パワーP2の測定を行っているが、例えば、
図1(b)の測定装置で透過光パワーP2の測定を行うことにより、透過光パワーP1の測定波長範囲を決定してから、
図1(a)の測定装置で透過光パワーP1の測定を行うようにしてもよい。すなわち、透過光パワーP2の測定データを用いて、透過光パワーP1の測定波長範囲を決定するようにしてもよい。
【0027】
また、上記実施形態における所定の数値λa,λbは、光ファイバの種類などに応じて数値を設定すればよい。また、λa,λbはどちらか一方若しくは両方の数値を、測定された透過光パワーP1またはP2が最大となる波長λmaxの数値に基づいて変化させるようにしてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、透過光パワーP2の測定波長範囲を、λmax−λbからλmax+λaまでとしたが、短波長側の測定開始波長は変えず、波長λmaxの長波長側の所定波長(λmax+λa)までの範囲を測定波長範囲としてもよい。例えば、透過光パワーP2に対する測定波長の範囲をλmax+λaまでとしても、透過光パワー比が0.1dBとなる最長の波長であるカットオフ波長λcを測定でき、光ファイバ1のカットオフ波長λcの測定時間を短くすることができる。
また、逆に、長波長側の測定終了波長は変えず、(λmax−λb)から測定を開始してもよい。
【0029】
次に、実際に光ファイバを使って測定した実施例について述べる。
図1の測定装置を使用し、以下の実施例1では光ファイバA、実施例2では光ファイバBに対して測定を行った。
【0030】
(実施例1)
試料長2mの光ファイバAを
図1(a)の状態にして、光源6から照射する測定光の波長を1000nmから1500nmの波長範囲で、10nmずつ変化させて、透過光パワーP1の測定を行った。この測定結果を
図3の透過光パワーP1の折れ線グラフに示す。この透過光パワーP1の折れ線グラフより、透過光パワーP1が最大となる波長λmaxは、1160nmであることがわかった。
【0031】
次に、透過光パワーP2を測定する前に、λaを140nm、λbを40nmに設定して、透過光パワーP2を測定する波長範囲をλmax−λb=1120nm、λmax+λa=1300nmとした。そして、
図1(b)に示した状態にして、光源6から照射する測定光の波長を1120nmから1300nmの波長範囲で、10nmずつ変化させて、透過光パワーP2の測定を行った。
【0032】
この測定結果を
図3の透過光パワーP2の折れ線グラフに示す。また、
図3には、P1とP2に基づきP1−P2の数値を透過光パワー比の折れ線グラフとして示す。
図3の透過光パワー比のグラフから、透過光パワー比が0.1dBとなる最長の波長を調べると、光ファイバAのカットオフ波長λcは1230nmであることがわかった。
【0033】
(実施例2)
試料長2mの光ファイバBを
図1(a)の状態にして、実施例1と同様の方法で、透過光パワーP1の測定を行った。この測定結果を、
図4の透過光パワーP1の折れ線グラフに示す。この透過光パワーP1の折れ線グラフより、透過光パワーP1が最大となる波長λmaxは、1190nmであることがわかった。
【0034】
次に、透過光パワーP2を測定する前に、λaを140nm、λbを40nmに設定して、透過光パワーP2を測定する波長範囲をλmax−λb=1150nm、λmax+λa=1330nmとした。そして、
図1(b)の状態にして、光源6から照射する測定光の波長を1150nmから1330nmの波長範囲で、10nmずつ変化させて、透過光パワーP2の測定を行った。
【0035】
この測定結果を
図4の透過光パワーP2の折れ線グラフに示す。また、
図4には、P1とP2に基づきP1−P2の数値を透過光パワー比の折れ線グラフとして示す。
図4の透過光パワー比のグラフから、透過光パワー比が0.1dBとなる最長の波長を調べると、光ファイバBのカットオフ波長λcは1290nmであることがわかった。
なお、上記したλa、λbの値は一例であり、上記の値に限られない。また、透過光パワーの波形は光ファイバの種類・製法によって大体決まっているので、それに合わせて、各々の光ファイバの種類・製法ごとに、λa、λbの値を予め決めておいてもよい。
【0036】
以上述べた実施例1及び実施例2では、
図1(b)での測定において、高次モードを含まない透過光パワーP2を測定する波長範囲を狭くしたことにより、透過光パワーP1の測定と同じ波長範囲で測定していた従来の測定方法に比較して、測定時間をおよそ20%短縮することができた。