特許第6036406号(P6036406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036406
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20161121BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20161121BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 111/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 117/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D5/04
   B62D101:00
   B62D111:00
   B62D113:00
   B62D117:00
   B62D119:00
   B62D137:00
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-37090(P2013-37090)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-162420(P2014-162420A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】玉泉 晴天
(72)【発明者】
【氏名】益 啓純
(72)【発明者】
【氏名】喜多 政之
(72)【発明者】
【氏名】並河 勲
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/133590(WO,A1)
【文献】 特開2011−025845(JP,A)
【文献】 特開平07−242179(JP,A)
【文献】 特開2005−219681(JP,A)
【文献】 特開2007−210412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 101/00−137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵系にアシストトルクを付与する操舵力付与手段と、
運転者によって回動操作されるステアリングを通じてステアリングシャフトに加えられる操舵トルクに応じて前記操舵力付与手段を通じて前記操舵系にアシストトルクを付与する第1の制御手段と、
前記アシストトルク及び前記操舵トルクの少なくとも一方である入力トルクに応じた目標転舵角を決定し、前記操舵力付与手段を通じて前記操舵系にアシストトルクを付与することで車両の転舵角を前記目標転舵角とする第2の制御手段と、
車両の幅方向における車両が走行する路面の水平面に対する傾斜度合いを検出する走行路検出手段と、
ヨーレートセンサを通じて検出された車両のヨーレートにより車両がバンク路を走行していると判断されるとき、前記傾斜度合いの増加に伴い、前記第2の制御手段を通じて、前記入力トルクがゼロのときの目標転舵角を車両の直進方向に対応する中立転舵角から傾斜した路面が下がっていく側に変化させるバンク路対応制御を行う変更手段と、を備えた
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記変更手段は、
ヨーレートセンサを通じて検出された車両のヨーレートがしきい値以上のとき、車両が前記バンク路を走行している可能性があるとして、前記バンク路対応制御を行い、
前記検出されたヨーレートが前記しきい値未満のとき、車両がカント路を走行している可能性があるとして、前記傾斜度合いの増加に伴い、前記第2の制御手段を通じて、前記入力トルクがゼロのときの目標転舵角を前記中立転舵角から傾斜した路面が上っていく側に変化させるカント路対応制御を行う
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記第2の制御手段は、理想EPSモデル、理想車両モデル及び減算器を備え、
前記減算器は、前記入力トルクに対して前記理想車両モデルからのばね成分を差し引いた減算値を前記理想EPSモデルに出力し、
前記理想EPSモデルは、前記減算値に基づき、目標転舵角加速度、目標転舵角速度及び前記目標転舵角を演算し、
前記理想車両モデルは、前記理想EPSモデルからの目標転舵角、目標転舵角度速度及び目標転舵角加速度に基づきばね成分を演算し、そのばね成分を前記減算器に出力し、
前記変更手段は、前記傾斜度合いの増加に応じてゼロ点移動角を決定し、この決定したゼロ点移動角を前記理想EPSモデルから前記理想車両モデルへの目標転舵角に足し合わせることで、前記入力トルクに対する前記目標転舵角を調整する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記第2の制御手段は、理想EPSモデル、理想車両モデル及び減算器を備え、
前記減算器は、前記入力トルクに対して前記理想車両モデルからのばね成分を差し引いた減算値を前記理想EPSモデルに出力し、
前記理想EPSモデルは、前記減算値に基づき、目標転舵角加速度、目標転舵角速度及び前記目標転舵角を演算し、
前記理想車両モデルは、前記理想EPSモデルからの目標転舵角、目標転舵角度速度及び目標転舵角加速度に基づきばね成分を演算し、そのばね成分を前記減算器に出力し、
前記変更手段は、前記傾斜度合いに応じてゼロ点移動トルクを決定し、この決定したゼロ点移動トルクを前記理想車両モデルから前記減算器へのばね成分に足し合わせることで、前記入力トルクに対する前記目標転舵角を調整する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記走行路検出手段は、横加速度センサを通じて検出された車両幅方向に作用する横加速度から、ヨーレートセンサを通じて検出されたヨーレートと車速センサを通じて検出された車速とを乗じて得た車両に作用する遠心力を差し引いて得た、車両の幅方向に作用する路面勾配による重力成分に基づき前記傾斜度合いを検出する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動パワーステアリング装置においては、優れた操舵フィーリングを実現するために、モータの駆動を通じて操舵力をアシストする構成が存在する。
具体的には、電動パワーステアリング装置は、車速及び操舵トルクに基づきアシストトルクを演算するアシストトルク演算部を有する。アシストトルク演算部は、操舵トルクが大きいほどアシストトルクを大きくする。また、車速Vが速いほどアシストトルクを小さくする。この演算されたアシストトルクに応じた操舵補助力がモータを通じてステアリングに加えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2に記載の電動パワーステアリング装置は、操舵角に基づき目標操舵トルクを定める第1の規範モデルと、操舵トルクに基づき操舵系の目標舵角(目標転舵角)を定める第2の規範モデルとを備える。これら両規範モデル(理想モデル)に基づいて、モータの動作が制御される。
【0004】
すなわち、第1の規範モデルを通じて目標操舵トルクに実操舵トルクを追従させるトルクフィードバック制御が実行される。これにより、操舵トルクを常に最適な値にすることができる。また、第2の規範モデルを通じて目標舵角に実舵角を追従させる舵角フィードバック制御が実行される。これにより、操舵トルク(入力トルク)に応じた実舵角を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−131191号公報
【特許文献2】特許第4453012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記第2の規範モデルを有しない車両が、その幅方向に傾斜するとともに、路がカーブしたバンク路を走行する際には、ステアリングは運転者によって操舵トルクが加えられなくても、そのバンク路に応じた舵角位置となる。すなわち、バンク路の走行中においては、運転者はステアリングを大きく回動操作する必要がない。
【0007】
しかし、上記第2の規範モデルを有する車両においては、操舵トルクに応じた実舵角が実現されるため、バンク路の走行中において操舵トルクが加えられないと、ステアリングが中立位置に戻されることが懸念される。よって、運転者は、バンク路を走行中にステアリングが中立位置に戻らないように操舵トルクを加える必要がある。このように、運転者はバンク路を走行中に適切な操舵フィーリングが得られないおそれがあった。
【0008】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力トルクに応じた目標舵角に実舵角を追従させる構成において、バンク路にあっても適切な操舵フィーリングが実現される電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、操舵系にアシストトルクを付与する操舵力付与手段と、運転者によって回動操作されるステアリングを通じてステアリングシャフトに加えられる操舵トルクに応じて前記操舵力付与手段を通じて前記操舵系にアシストトルクを付与する第1の制御手段と、前記アシストトルク及び前記操舵トルクの少なくとも一方である入力トルクに応じた目標転舵角を決定し、前記操舵力付与手段を通じて前記操舵系にアシストトルクを付与することで車両の転舵角を前記目標転舵角とする第2の制御手段と、車両の幅方向における車両が走行する路面の水平面に対する傾斜度合いを検出する走行路検出手段と、ヨーレートセンサを通じて検出された車両のヨーレートにより車両がバンク路を走行していると判断されるとき、前記傾斜度合いの増加に伴い、前記第2の制御手段を通じて、前記入力トルクがゼロのときの目標転舵角を車両の直進方向に対応する中立転舵角から傾斜した路面が下がっていく側に変化させるバンク路対応制御を行う変更手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、車両が一定値以上の傾斜度合いを有するとともにその路がカーブしてなるバンク路を走行しているとき、変更手段を通じて、入力トルクがゼロのときの目標転舵角が中立転舵角からバンク路の路面が下がっていく側にずらされる。よって、例えば車両がバンク路を走行する際に、たとえ操舵トルクが加えられていなくても、バンク路に応じた舵角が実現される。よって、入力トルクに応じた目標転舵角を実現する構成を採用する場合であっても、バンク路において適切な操舵フィーリングが実現される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記変更手段は、ヨーレートセンサを通じて検出された車両のヨーレートがしきい値以上のとき、車両が前記バンク路を走行している可能性があるとして、前記バンク路対応制御を行い、前記検出されたヨーレートが前記しきい値未満のとき、車両がカント路を走行している可能性があるとして、前記傾斜度合いの増加に伴い、前記第2の制御手段を通じて、前記入力トルクがゼロのときの目標転舵角を前記中立転舵角から傾斜した路面が上っていく側に変化させるカント路対応制御を行うことをその要旨としている。
【0012】
カント路は、バンク路と同様に路面が傾斜しているものの、バンク路と異なって路が直線状に延びている。よって、バンク路走行時のヨーレートはカント路走行時のヨーレートより大きくなる。上記構成によれば、このヨーレートの違いに着目して、ヨーレートがしきい値以上のときバンク路対応制御が行われ、ヨーレートがしきい値未満のときカント路対応制御が行われる。
【0013】
カント路対応制御とは、傾斜度合いの増加に伴い入力トルクがゼロのときの目標転舵角を中立転舵角から傾斜した路面が上っていく側に変化させる制御である。この制御により、車両がカント路を走行する際に、たとえ操舵トルクが加えられていなくても、カント路に沿って直進する。よって、上記バンク路対応制御を実行可能な構成にあっても、カント路において適切な操舵フィーリングが実現される。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記第2の制御手段は、理想EPSモデル、理想車両モデル及び減算器を備え、前記減算器は、前記入力トルクに対して前記理想車両モデルからのばね成分を差し引いた減算値を前記理想EPSモデルに出力し、前記理想EPSモデルは、前記減算値に基づき、目標転舵角加速度、目標転舵角速度及び前記目標転舵角を演算し、前記理想車両モデルは、前記理想EPSモデルからの目標転舵角、目標転舵角度速度及び目標転舵角加速度に基づきばね成分を演算し、そのばね成分を前記減算器に出力し、前記変更手段は、前記傾斜度合いの増加に応じてゼロ点移動角を決定し、この決定したゼロ点移動角を前記理想EPSモデルから前記理想車両モデルへの目標転舵角に足し合わせることで、前記入力トルクに対する前記目標転舵角を調整することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、目標転舵角にゼロ点移動角を足し合わせることで、入力トルクがゼロのときの目標転舵角を中立転舵角からゼロ点移動角に応じた角度だけ変化させることができる。ゼロ点移動角及び目標転舵角の単位が同じであるため、設計者は傾斜度合いに応じたゼロ点移動角の調整を通じてバンク路等に対応する目標転舵角の設定を感覚的に行うことができる。従って、目標転舵角の設定が容易となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記第2の制御手段は、理想EPSモデル、理想車両モデル及び減算器を備え、前記減算器は、前記入力トルクに対して前記理想車両モデルからのばね成分を差し引いた減算値を前記理想EPSモデルに出力し、前記理想EPSモデルは、前記減算値に基づき、目標転舵角加速度、目標転舵角速度及び前記目標転舵角を演算し、前記理想車両モデルは、前記理想EPSモデルからの目標転舵角、目標転舵角度速度及び目標転舵角加速度に基づきばね成分を演算し、そのばね成分を前記減算器に出力し、前記変更手段は、前記傾斜度合いに応じてゼロ点移動トルクを決定し、この決定したゼロ点移動トルクを前記理想車両モデルから前記減算器へのばね成分に足し合わせることで、前記入力トルクに対する前記目標転舵角を調整することをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、ばね成分にゼロ点移動トルクを足し合わせることで、入力トルクがゼロのときの目標転舵角を中立転舵角からゼロ点移動トルクに応じた角度だけ変化させることができる。本構成においては、ゼロ点移動トルクは理想車両モデルに入力されない。従って、変更手段からの出力(ゼロ点移動トルク)が理想車両モデルを介することに伴う位相遅れを抑制することができる。よって、入力トルクがゼロのときの目標転舵角を、より迅速にバンク路又はカント路に適した状態とすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、前記走行路検出手段は、横加速度センサを通じて検出された車両幅方向に作用する横加速度から、ヨーレートセンサを通じて検出されたヨーレートと車速センサを通じて検出された車速とを乗じて得た車両に作用する遠心力を差し引いて得た、車両の幅方向に作用する路面勾配による重力成分に基づき前記傾斜度合いを検出することをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、一般的に車両に搭載されるヨーレートセンサ、車速センサ及び横加速度センサの検出結果を使用することにより路面勾配による重力成分が得られる。この路面勾配による重力成分は、車両がバンク路等の車両の幅方向に傾斜した傾斜路面に位置するとき、その傾斜度合いに応じて大きくなる。よって、車両に新たな構成を追加することなく、路面勾配による重力成分を通じて、車両がバンク路等の傾斜路及び平坦な通常路の何れを走行しているかを検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電動パワーステアリング装置において、入力トルクに応じた目標舵角に実舵角を追従させる構成において、バンク路にあっても適切な操舵フィーリングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態における電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図。
図2】第1の実施形態におけるモータ制御装置等の構成を示すブロック図。
図3】第1の実施形態におけるマイコンの構成を示すブロック図。
図4】第1の実施形態における操舵トルク及び基本アシストトルクの関係を示すグラフ。
図5】第1の実施形態における目標転舵角演算部の構成を示すブロック図。
図6】第1の実施形態における車両に作用する力を示した説明図。
図7】第1の実施形態における(a)はヨーレートがしきい値以上の場合の路面勾配に伴う重力成分及びゼロ点移動角(ゼロ点移動力)の関係を示すグラフ、(b)はヨーレートがしきい値未満の場合の路面勾配に伴う重力成分及びゼロ点移動角(ゼロ点移動力)の関係を示すグラフ。
図8】第1の実施形態における合計トルク及び舵角の関係を示したグラフ。
図9】第2の実施形態における目標転舵角演算部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる電動パワーステアリング装置を具体化した第1の実施形態について図1図8を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1は、運転者によって操舵されるステアリング2と、そのステアリング2とともに回動するステアリングシャフト3と、そのステアリングシャフト3にラックアンドピニオン機構4を介して連結されるラック軸5と、を備える。
【0024】
ステアリング2の回動操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によってラック軸5の往復直線運動に変換される。そして、このラック軸5の往復直線運動によってタイヤ7の実転舵角θpsが変更される。
【0025】
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力付与手段としてのEPSアクチュエータ10と、このEPSアクチュエータ10の動作を制御するモータ制御装置11とを備える。
【0026】
EPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12と、減速機構13とを備える。モータ12としては、例えばブラシレスモータが採用されている。
そして、モータ12の駆動力は、減速機構13を通じて減速されたうえでステアリングシャフト3に伝達される。これにより、操舵系(ステアリング2及びステアリングシャフト3等)にアシストトルクが付与される。
【0027】
また、モータ制御装置11には、車速センサ26と、横Gセンサ25と、ヨーレートセンサ27と、トルクセンサ24とが接続されている。
車速センサ26は、車速Vを検出し、その検出結果をモータ制御装置11に出力する。横Gセンサ25は、車両幅方向に作用する横加速度LAを検出し、その検出結果をモータ制御装置11に出力する。ヨーレートセンサ27は、車両の旋回方向への回転角の変化速度(ヨーレートYR)を検出し、その検出結果をモータ制御装置11に出力する。
【0028】
トルクセンサ24は、そのステアリングシャフト3の途中に設けられたトーションバー15の捻れに基づいてステアリングシャフト3に伝達される操舵トルクThを検出し、その検出結果をモータ制御装置11に出力する。
【0029】
図2に示すように、モータ制御装置11は、モータ駆動信号を出力するマイコン31と、モータ駆動信号に基づきモータ12に駆動電力を供給するインバータ回路30と、備える。
【0030】
インバータ回路30及びモータ12間には実電流値Iを検出する電流センサ35が設けられる。
また、モータ12にはモータ回転角θmを検出する回転角センサ17が設けられる。回転角センサ17は検出したモータ回転角θmをマイコン31に出力する。
【0031】
図3に示すように、マイコン31は、アシストトルク演算部40と、電流指令値演算部28と、モータ駆動信号生成部29と、を備える。なお、マイコン31における各制御ブロックは、マイコン31が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。
【0032】
アシストトルク演算部40は、操舵トルクTh及び車速Vに基づいてモータ12に発生させるべきアシストトルクTasを演算し、その演算結果を電流指令値演算部28に出力する。電流指令値演算部28はアシストトルクTasに対応した電流指令値Icを演算し、その演算結果をモータ駆動信号生成部29に出力する。
【0033】
モータ駆動信号生成部29は、電流指令値Icに実電流値Iを追従させる電流フィードバック制御を実行することでモータ駆動信号を生成する。インバータ回路30は、モータ駆動信号生成部29からのモータ駆動信号に基づき駆動する。
【0034】
図3に示すように、アシストトルク演算部40は、基本アシストトルク演算部41と、目標転舵角演算部44と、転舵角フィードバック制御部45と、転舵角演算部43と、加算器46とを備える。
【0035】
基本アシストトルク演算部41は、トルクセンサ24により検出される操舵トルクTh、及び車速センサ26により検出される車速Vに基づいて基本アシストトルクTabを演算し、その演算結果を目標転舵角演算部44及び加算器46に出力する。
【0036】
詳しくは、図4に示すように、基本アシストトルク演算部41は、操舵トルクThが大きいほど基本アシストトルクTabを大きくする。また、車速Vが速いほど基本アシストトルクTabを小さくする。
【0037】
目標転舵角演算部44は、操舵トルクTh及び基本アシストトルクTabの総和からなる合計トルクTtに応じた理想的なタイヤの切れ角(転舵角)である目標転舵角θpを演算し、その演算結果を転舵角フィードバック制御部45に出力する。
【0038】
転舵角演算部43は、回転角センサ17を通じて検出されたモータ回転角θmに基づき実転舵角θpsを演算し、その演算結果を転舵角フィードバック制御部45に出力する。
転舵角フィードバック制御部45は、実転舵角θpsが目標転舵角θpに追従するようにフィードバック制御を実行することにより、アシストトルク補正値ΔTabを出力する。加算器46は、基本アシストトルクTabに対してアシストトルク補正値ΔTabを加算することでアシストトルクTasを演算した後、その演算結果を電流指令値演算部28に出力する。これにより、実転舵角θpsが目標転舵角θpとなるようにアシストトルクTasの大きさが制御される。このため、転舵輪側から操舵系に入力される逆入力振動を抑制することにより、より安定した操舵フィーリングが得られる。
【0039】
次に、目標転舵角演算部44の具体的な制御ブロックについて説明する。
図5に示すように、目標転舵角演算部44は、理想EPSモデル50と、理想車両モデル60と、ゼロ点変更部70と、加算器56,59、減算器58と、を備える。
【0040】
加算器56は、操舵トルクTh及び基本アシストトルクTabを足し合わせて合計トルクTtを演算し、その演算結果を減算器58に出力する。
減算器58は、合計トルクTtに対して、理想車両モデル60からのばね成分Tspを減算することで減算値Tpを演算し、その演算結果を理想EPSモデル50に出力する。
【0041】
理想EPSモデル50は、ステアリングシャフト3やモータ12等のEPS1を構成する各要素の特性に応じて設定され、理想車両モデル60はサスペンションやホイールアライメントの仕様、及び転舵輪のグリップ力等のEPS1が搭載される車両側の特性に応じて設定される。
【0042】
ここで、合計トルクTtと目標転舵角θpとの間には、以下のような式が成り立つ。
Tt=Jθp´´+Cθp´+Kθp・・・・(1)
すなわち、合計トルクTtは、目標転舵角θpの2階時間微分値θp´´に慣性モーメントJを乗じたものと、目標転舵角θpの1階時間微分値θp´に粘性係数Cを乗じたものと、目標転舵角θpにばね係数Kを乗じたものとを加算することによって得られる。
【0043】
理想EPSモデル50及び理想車両モデル60は、上記式(1)に基づき、合計トルクTtから目標転舵角θpを算出するように構成されている。
詳しくは、理想EPSモデル50は、慣性項に対応する慣性制御演算部51と、粘性項に対応する粘性制御演算部52と、減算器57と、一対の積分器54,55とを備えている。また、理想車両モデル60は、ばね項に対応するばね特性制御演算部61を備えている。
【0044】
減算器57は減算値Tpに対して、粘性制御演算部52からの粘性成分Tviを減算することで減算値Tp*を演算し、その演算結果を慣性制御演算部51に出力する。
慣性制御演算部51は、減算器57からの減算値Tp*を慣性モーメントJで除することで目標転舵角加速度αpを演算し、その演算結果を積分器54及びばね特性制御演算部61に出力する。積分器54は目標転舵角加速度αpを積分することで目標転舵角速度ωpを演算し、その演算結果を積分器55、ばね特性制御演算部61及び粘性制御演算部52に出力する。
【0045】
積分器55は目標転舵角速度ωpを積分することで目標転舵角θpを演算し、その演算結果を転舵角フィードバック制御部45及び加算器59(ひいてはばね特性制御演算部61)に出力する。
【0046】
粘性制御演算部52は、目標転舵角速度ωpに基づき粘性成分Tviを演算し、その演算結果を減算器57に出力する。
ばね特性制御演算部61は、目標転舵角加速度αp、目標転舵角速度ωp、目標転舵角θpに基づきばね成分Tspを演算し、その演算結果を減算器57に出力する。
【0047】
ゼロ点変更部70は、ゼロ点変更モデル71と、減算器72と、乗算器73とを備える。ゼロ点変更部70は、車両がバンク路を走行する際に、ステアリング2の舵角θsをバンク路に応じた位置とするために設けられている。バンク路とは、旋回外側に向かって上り勾配となる道路をいう。
【0048】
図6に示すように、路面勾配があるバンク路において、車両には幅方向に路面勾配による重力成分Gaが加わる。路面勾配による重力成分Gaは、路面の傾斜角度をαとし、重力加速度をGbとすると「GbSinα」で算出される値である。ゼロ点変更部70は、路面勾配による重力成分Gaを以下の式から算出する。
【0049】
路面勾配による重力成分Ga=横加速度LA−車速V×ヨーレートYR・・・・(2)
上記式(2)は横加速度LAが、遠心加速度α(車速V×ヨーレートYR)及び路面勾配による重力成分Gaを足し合わせた値となることから導出される。
【0050】
具体的には、図5に示すように、乗算器73は、車速センサ26からの車速Vと、ヨーレートセンサ27からのヨーレートYRとを乗じて遠心加速度αを演算し、その演算した遠心加速度αを減算器72に出力する。
【0051】
減算器72は、横Gセンサ25からの横加速度LAに対して乗算器73からの遠心加速度αを引き算することで路面勾配による重力成分Gaを演算し、その演算した重力成分Gaをゼロ点変更モデル71に出力する。また、ヨーレートセンサ27によって検出されたヨーレートYRがゼロ点変更モデル71に出力される。
【0052】
図7(a),(b)のグラフに示すように、ゼロ点変更モデル71は、路面勾配による重力成分Gaに応じてゼロ点移動角θzを決め、そのゼロ点移動角θzを加算器59に出力する。
【0053】
具体的には、ゼロ点変更モデル71はヨーレートYRがしきい値以上の場合には図7(a)のグラフを利用してゼロ点移動角θzを決定し、ゼロ点変更モデル71はヨーレートYRがしきい値未満の場合には図7(b)のグラフを利用してゼロ点移動角θzを決定する。
【0054】
このしきい値は、車両が走行しているのがバンク路及びカント路の何れであるかを区別するために設定されている。カント路は車両の幅方向に傾斜した路面を有するとともに、その路面が直線状に延びている道路をいう。すなわち、しきい値は、車両がバンク路を走行しているときのヨーレートYRより小さく、かつ車両がカント路を走行しているときのヨーレートYRより大きく設定される。
【0055】
ゼロ点変更モデル71はヨーレートYRがしきい値以上の場合には、図7(a)に示すように路面勾配による重力成分Gaが大きくなるにつれてゼロ点移動角θzを大きく設定する。また、ゼロ点変更モデル71はヨーレートYRがしきい値未満の場合には、図7(b)に示すように路面勾配による重力成分Gaが大きくなるにつれてマイナスの一定値P1に収束するようにゼロ点移動角θzを設定する。
【0056】
図5に示すように、加算器59は、積分器55からの目標転舵角θpに対してゼロ点移動角θzを足し合わせて得た補正目標転舵角θp*をばね特性制御演算部61に出力する。
【0057】
次に、上記構成において、車両が走行する道路に応じたアシストトルク演算部40の作用について説明する。
例えば、車両がその幅方向に傾斜がない道路を走行する場合、路面勾配による重力成分Ga、ひいてはゼロ点移動角θzがゼロとなる。この場合、ゼロ点変更部70がない従来構成と同様となる。すなわち、図8における実線の通常直線L1に示すように、ステアリングシャフト3に加わる合計トルクTtがゼロのとき、上記のように実転舵角θpsが目標転舵角θpとされることを通じて、ステアリング2の舵角θsが中立角θc(0°)とされる。このステアリング2の舵角θsは実転舵角θpsに対応している。ステアリング2の舵角θsが中立角θcにあるとき、実転舵角θpsは車両の直進時に対応する中立転舵角となる。
【0058】
また、車両がバンク路を走行する場合、上記図7(a)のグラフに従って、路面勾配による重力成分Ga、ひいてはゼロ点移動角θzが増加する。この場合、ばね特性制御演算部61へ入力される補正目標転舵角θp*、ひいてはばね特性制御演算部61から出力されるばね成分Tspが増大する。これにより、減算器58を通じて理想EPSモデル50に出力される減算値Tpが減少する。理想EPSモデル50における入力(減算値Tp)が変化することで出力(目標転舵角θp)も変化する。例えば、ゼロ点移動角θzの増加に伴うばね成分Tspの増加量が所定値A1の場合には、合計トルクTtがゼロであっても、減算値Tpがゼロとならないことから、目標転舵角θpが所定値A1に対応した角度θxとなる。すなわち、図8における一点鎖線のバンク路直線L2に示すように、ステアリングシャフト3に加わる合計トルクTtがゼロのとき、ステアリング2の舵角θsが角度θxとなる。この角度θxは、路面勾配による重力成分Gaに応じて変化する。これは、路面勾配による重力成分Gaが大きいほど、バンク路直線L2が上側に移動するためである。よって、バンク路走行中には、操舵トルクThが加わっていない状態であっても、ステアリング2はバンク路に沿って、その内側(傾斜面が下っていく側)に保持される。この結果、運転者がステアリング2を操作しなくても、車両はバンク路のカーブに沿って曲がっていく。上記のバンク路走行時におけるゼロ点変更部70(変更手段)の制御はバンク路対応制御である。
【0059】
また、車両がカント路を走行する場合、上記図7(b)のグラフに従って、路面勾配による重力成分Ga、ひいてはゼロ点移動角θzが一定値P1に収束する。この場合、ばね特性制御演算部61へ入力される補正目標転舵角θp*、ひいてはばね特性制御演算部61から出力されるばね成分Tspが減少する。これにより、減算器58を通じて理想EPSモデル50に出力される減算値Tpが増加する。ここで、ゼロ点移動角θzの減少に伴うばね成分Tspの減少量が所定値A2の場合には、合計トルクTtがゼロであっても、減算値Tpがゼロとならないことから、目標転舵角θpが所定値A2に対応した角度θyとなる。すなわち、図8における二点鎖線のカント路直線L3に示すように、ステアリングシャフト3に加わる合計トルクTtがゼロのとき、ステアリング2の舵角θsが角度θyとなる。両角度θx,θyは、中立角θc(0°)を挟んで正負の符合が異なる。
【0060】
よって、カント路走行中には、操舵トルクThが加わっていない状態であっても、ステアリング2はカント路の傾斜面が上っていく側に保持される。この結果、運転者がステアリング2を操作しなくても、車両はカント路の傾斜面に応じて自然に曲がることなく直進する。上記のカント路走行時におけるゼロ点変更部70の制御はカント路対応制御である。
【0061】
なお、基本アシストトルク演算部41は第1の制御手段に相当し、目標転舵角演算部44及び転舵角フィードバック制御部45は第2の制御手段に相当する。また、合計トルクTtは入力トルクに相当する。
【0062】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)車両がバンク路を走行しているとき、ゼロ点変更モデル71を通じて、合計トルクTtがゼロのときの目標転舵角θpが中立転舵角からバンク路の路面が下がっていく側にずらされる(バンク路対応制御)。よって、例えば車両がバンク路を走行する際に、たとえ操舵トルクThが加えられていなくても、バンク路に応じたステアリング2の舵角θsが実現される。よって、合計トルクTtに応じた目標転舵角θpを実現する構成においても、バンク路において適切な操舵フィーリングが実現される。
【0063】
(2)カント路は、バンク路と同様に路面が傾斜しているものの、バンク路と異なって路が直進している。よって、バンク路走行時における車両のヨーレートYRはカント路走行時のヨーレートYRより大きくなる。このヨーレートYRの違いに着目して、ヨーレートYRがしきい値以上のときバンク路対応制御が行われ、ヨーレートYRがしきい値未満のときカント路対応制御が行われる。
【0064】
カント路対応制御とは、傾斜角度βの増加に伴い合計トルクTtがゼロのときの目標転舵角θpを中立転舵角から傾斜した路面が上っていく側に変化させる制御である。この制御により、車両がカント路を走行する際に、たとえ操舵トルクThが加えられていなくても、カント路に沿って直進する。よって、上記バンク路対応制御を実行可能な構成にあっても、カント路において適切な操舵フィーリングが実現される。
【0065】
(3)目標転舵角θpにゼロ点移動角θzを足し合わせることで、合計トルクTtがゼロのときの目標転舵角θpを中立転舵角からゼロ点移動角θzに応じた角度だけ変化させることができる。ゼロ点移動角θz及び目標転舵角θpの単位が同一であるため、設計者は路面勾配による重力成分Gaに対するゼロ点移動角θzの調整を通じてバンク路等に対応する目標転舵角θpの設定を感覚的に行うことができる。従って、目標転舵角θpの設定が容易となる。
【0066】
(4)一般的に車両に搭載されるヨーレートセンサ27、車速センサ26及び横Gセンサ25の検出結果を通じて路面勾配による重力成分Gaが得られる。この路面勾配による重力成分Gaは、車両がバンク路等の車両の幅方向に傾斜した傾斜路面に位置するとき、その傾斜角度βに応じて大きくなる。よって、車両に新たな構成を追加することなく、路面勾配による重力成分Gaを通じて、車両がバンク路等の傾斜路及び平坦な通常路の何れを走行しているかを検出することが可能となる。
【0067】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる電動パワーステアリング装置を具体化した第2の実施形態について、図9を参照して説明する。この実施形態のゼロ点変更モデルの接続位置が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
図9に示すように、加算器59がばね特性制御演算部61及び減算器58間に設けられる。本実施形態におけるゼロ点変更モデル75は、第1の実施形態と同様に図7(a),(b)のグラフを利用して路面勾配による重力成分Gaに応じてゼロ点移動力Fz(単位が力)を決定する。図7(a),(b)のグラフの勾配は第1の実施形態と同様である。ゼロ点変更モデル75は、そのゼロ点移動力Fzをトルク変換したゼロ点移動トルクTzを加算器59に出力する。加算器59は、ばね成分Tsp及びゼロ点移動トルクTzを足し合わせた補正ばね成分Tsp*を減算器58に出力する。
【0069】
本実施形態においても、バンク路、カント路等の車両が走行する道路に応じて、合計トルクTtから差し引かれる補正ばね成分Tsp*が変化する。よって、バンク路及びカント路に適した合計トルクTtに対するステアリング2の舵角θs(実転舵角θps)を実現することができる。
【0070】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)の効果に加え、特に以下の効果を奏することができる。
(5)ばね成分Tspにゼロ点移動トルクTzを足し合わせることで、合計トルクTtがゼロのときの目標転舵角θpを中立転舵角からゼロ点移動トルクTzに応じた角度だけ変化させることができる。本構成においては、ゼロ点移動トルクTzは理想車両モデル60に入力されない。従って、ゼロ点変更モデル75からの出力(ゼロ点移動トルクTz)が理想車両モデル60を介することに伴う位相遅れを抑制することができる。よって、合計トルクTt及び目標転舵角θpの関係を、より迅速にバンク路又はカント路に適した状態とすることができる。
【0071】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記両実施形態においては、ヨーレートYRがしきい値以上であるか否かに基づき、利用されるグラフが図7(a),(b)間で異なっていた。しかし、ゼロ点移動角θz(ゼロ点移動力Fz)、路面勾配による重力成分Ga及びヨーレートYRの3軸を有する1つのグラフを利用してもよい。
【0072】
・また、ゼロ点変更モデル71,75は、ヨーレートYRを考慮せずに、ゼロ点移動角θz(ゼロ点移動力Fz)を決定してもよい。この場合には、バンク路に対応した図7(a)のグラフが利用される。
【0073】
・上記両実施形態においては、目標転舵角演算部44は、合計トルクTtに基づき目標転舵角θpを演算していたが、操舵トルクThのみ、又は基本アシストトルクTabのみに基づき、目標転舵角θpを演算してもよい。
【0074】
・上記両実施形態においては、走行路検出手段である減算器72及び乗算器73を通じて傾斜角度βに応じた値となる路面勾配による重力成分Gaが演算されていた。しかし、路面の傾斜の度合いが検出可能であれば、例えば、傾斜角センサを車両に設け、その傾斜角センサの検出結果に基づき、傾斜角度βを検出してもよい。この場合、路面勾配による重力成分Gaの演算が不要となる。
【符号の説明】
【0075】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、4…ラックアンドピニオン機構、5…ラック軸、17…回転角センサ、10…EPSアクチュエータ、11…モータ制御装置、12…モータ、13…減速機構、15…トーションバー、24…トルクセンサ、25…横Gセンサ、26…車速センサ、27…ヨーレートセンサ、28…電流指令値演算部、29…モータ駆動信号生成部、30…インバータ回路、31…マイコン、35…電流センサ、40…アシストトルク演算部、41…基本アシストトルク演算部、43…転舵角演算部、44…目標転舵角演算部、45…転舵角フィードバック制御部、46…加算器、50…理想EPSモデル、51…慣性制御演算部、52…粘性制御演算部、54,55…積分器、56…加算器、57,58…減算器、59…加算器、60…理想車両モデル、61…ばね特性制御演算部、70…ゼロ点変更部、71…ゼロ点変更モデル、72…減算器、73…乗算器、75…ゼロ点変更モデル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9