特許第6036412号(P6036412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6036412-収音装置 図000002
  • 特許6036412-収音装置 図000003
  • 特許6036412-収音装置 図000004
  • 特許6036412-収音装置 図000005
  • 特許6036412-収音装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036412
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】収音装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H04R1/02 106
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-41971(P2013-41971)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-171108(P2014-171108A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】林 康司
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 訓史
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 安生
(72)【発明者】
【氏名】鬼束 博文
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−245250(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/049638(WO,A1)
【文献】 実開平07−043015(JP,U)
【文献】 特開昭63−221799(JP,A)
【文献】 実開昭57−185283(JP,U)
【文献】 実開昭57−096582(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースの上に平行に回路基板が支持されるとともに、前記ベースの外周部に、前記ベースと前記回路基板との間の高さの範囲内に配置されるように指向性マイクロホンが取り付けられ、これら指向性マイクロホン及び前記回路基板を前記ベースとの間で覆うカバー部材が設けられてなり、前記カバー部材は、剛性部材からなる側壁部が前記ベースの外周部に沿って設けられ、前記側壁部の少なくとも前記回路基板よりも下方位置に、前記指向性マイクロホンの収音面より後方側で開口する開放孔が形成されていることを特徴とする収音装置。
【請求項2】
前記開放孔は、複数形成されるとともに、前記指向性マイクロホンを中心として左右非対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の収音装置。
【請求項3】
前記開放孔は、複数形成されるとともに、前記ベースの中心に対して非回転対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の収音装置。
【請求項4】
前記開放孔は、複数形成されるとともに、各開放孔における前記側壁部の長さ方向に沿う幅寸法がそれぞれ異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の収音装置。
【請求項5】
前記指向性マイクロホンの後方における前記ベースと回路基板との間に吸音材が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の収音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンを筐体内に収容し、筐体周囲の空間の収音を行う収音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話会議システム等においては、マイクロホンを筐体内に収容した収音装置を卓上に載置し、筐体周囲の空間の収音を行うようにしている。
この種の収音装置として、特許文献1及び特許文献2記載のものがある。
特許文献1記載の収音装置は、ベースの上に、収音面が略垂直になるように配置された指向性のマイクロホンと、その後方に配置された回路基板とが取り付けられ、全体がカバー部材で覆われている。そのカバー部材は、多数の孔を形成したパンチングプレートにより構成され、その中央部がベース上の支持ボスの上端にねじで固定されている。
特許文献2記載の収音装置も、ベースの上に、回路基板に実装されたマイクロホンが取り付けられ、これらがカバー部材により覆われている。そのカバー部材として、パンチングプレートや金網体が用いられ、特許文献1記載のものと同様、中央部がベース上のボスの上端にねじによって固定されている。
その他にも、回路基板とマイクロホンを覆うカバー部材を樹脂や金属板により形成し、マイクロホン付近に孔をあけた構成のものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2515812号公報
【特許文献2】特開2005−333180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、卓上で使用される収音装置においては、机の表面からの反射音による音質劣化を避ける設計が必要である。両特許文献記載の収音装置においては、マイクロホンが装置の中央部付近に配置されており、これにより、机の表面からの反射音が到達しにくい構造としていると考えられるが、その分、ベースの面積が大きくなり、小型化を損なう。
この場合、特許文献1記載のように回路基板とマイクロホンとを並べて配置する場合は特に顕著になる。特許文献2記載のように回路基板の上にマイクロホンを配置すれば、スペース効率が良くなると考えられるが、マイクロホンの位置が高くなる分、机の表面からの反射を収音し易くなるため、ベースをさらに広くする必要があり、小型化は難しい。
【0005】
一方、卓上で使用する場合、落下や衝撃に対する機械的強度も必要であるが、両特許文献記載のようにパンチングプレートで全体を覆うだけでは、落下や衝撃に対する強度が弱く、変形が生じ易い。強度を高めるために、パンチングプレートを複数枚重ねて使用することも考えられるがコスト増を招く。
これに対して、樹脂等によりカバー部材を形成した場合は、その壁を剛構造として高い強度を得ることができるが、音の反射によりマイクロホンの周波数特性にピークやディップが生じる。特に単一指向性のマイクロホンは、マイクロホン周囲の障害物からの反射音を敏感に拾ってしまい、ピークディップが生じ易い。また、指向性も損なわれる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、机からの反射音による音質劣化を低減するとともに、強度の向上とフラットな周波数特性、指向性との両方の要求を満足する収音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収音装置は、ベースの上に平行に回路基板が支持されるとともに、前記ベースの外周部に、前記ベースと前記回路基板との間の高さの範囲内に配置されるように指向性マイクロホンが取り付けられ、これら指向性マイクロホン及び前記回路基板を前記ベースとの間で覆うカバー部材が設けられてなり、前記カバー部材は、剛性部材からなる側壁部が前記ベースの外周部に沿って設けられ、前記側壁部の少なくとも前記回路基板よりも下方位置に、前記指向性マイクロホンの収音面より後方側で開口する開放孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
ベースと回路基板との間にマイクロホンを配置したので、マイクロホンの設置高さを低くすることができ、これにより、マイクロホンをベースの外周部に設置しても直接音と机の表面からの反射音との位相差が生じず、音質を劣化することがなくなる。したがって、ベースの面積を小さくすることが可能で、小型化を図ることができる。
反面、ベースと回路基板との間にマイクロホンが配置されることから、マイクロホンの後方でベースと回路基板との間の空間がカバー部材により覆われた状態となり、これが箱状の閉空間となると、カバー部材の内部で音が反射して、その反射音をマイクロホンが拾ったり、特定の周波数の共鳴が発生したりし、収音特性を劣化させる可能性がある。本発明の収音装置は、カバー部材の側壁部にマイクロホンの収音面より後方側で開口する開放孔が設けられているため、マイクロホンの後方側での反射音を少なくすることができる。特に、ベースと回路基板との間の高さの範囲内にマイクロホンが設けられていることから、これらベースと回路基板との間で音が反響し易くなるが、開放孔により音を速やかに外部に放出することができ、マイクロホンの周囲が開放されているのと等価な状況となり、収音特性の劣化が防止できる。
また、カバー部材の側壁部を剛性部材により形成し、開放孔を形成する構成としたので、カバー部材としての強度を確保することができ、落下や衝撃等の外力による変形を防止することができる。
【0009】
本発明の収音装置において、前記開放孔は、複数形成されるとともに、前記指向性マイクロホンを中心として左右非対称となる位置に配置されているとよい。
当該マイクロホンに対して側壁部からの反射成分が同相化することで生じるマイクロホンの収音周波数特性のピークやディップが抑制され、マイクロホンの収音特性の劣化を防止できる。
【0010】
本発明の収音装置において、前記開放孔は、複数形成されるとともに、前記ベースの中心に対して非回転対称となる位置に配置されているとよい。
それぞれの開放孔と合わせて配置することになる壁面による反射に起因する共鳴が抑制され、マイクロホンの収音周波数特性にピークやディップが生じにくくなる。
【0011】
本発明の収音装置において、前記開放孔は、複数形成されるとともに、各開放孔における前記側壁部の長さ方向に沿う幅寸法がそれぞれ異なっているとよい。
それぞれの開放孔及び壁面にて決定される側壁の反射周波数特性が異なることにより、特定の周波数での共鳴を抑制でき、マイクロホンの収音周波数特性にピークやディップが生じにくくなる。
【0012】
本発明の収音装置において、前記指向性マイクロホンの後方における前記ベースと回路基板との間に吸音材が配置されているとよい。
指向性マイクロホンの後方に回り込む音は、吸音材により吸収されるため、反射音の発生をより少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の収音装置によれば、マイクロホンの設置高さが低く机の表面からの反射音の影響を受けにくいので、ベースを小さくし得て、小型化を図ることができ、しかも、指向性マイクロホンを覆うカバー部材の側壁部の少なくとも回路基板よりも下方位置に、収音面より後方側で開口する開放孔が形成されていることにより、マイクロホンの後方での反射音を少なくすることができ、ピークディップを解消して、フラットな周波数特性、指向性を有する収音装置を提供することができる。また、カバー部材の側壁部を剛性部材により形成したので、落下や衝撃等による変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の収音装置を示す斜視図である。
図2図1の収音装置において収音孔の一つを開放した状態の正面図である。
図3図2のA−A線に沿う矢視断面図である。
図4】本発明の第2実施形態の収音装置を示す図2同様の正面図である。
図5図4のB−B線に沿う矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1図3は第1実施形態の収音装置を示している。この収音装置1は、3個の単一指向性マイクロホン(以下、単にマイクロホンという)2を備えており、平面視が全体として正三角形状に形成した筐体3内に、三角形の頂点部に1個ずつマイクロホン2が配置され、各マイクロホン2により、120°間隔をあけて異なる3方向に向けて収音できるようになっている。
筐体3は、平板状のベース4と、このベース4の上に被せられるように取り付けられるカバー部材5とを備えている。
ベース4は、三角形の頂点を面取りした形状をなし、その頂点部にそれぞれマイクロホン2が取り付けられるとともに、これらマイクロホン2に接続された回路基板6が、3個のマイクロホン2に囲まれた中央位置に固定されている。
【0016】
マイクロホン2は、円柱ブロック状の外形に形成され、その一端面が収音面2aとされている。そして、ベース4上に固定された一対のばね部材7の間に、収音面2aを三角形の頂点部から外方に向け、かつベース4の上面から離間した状態として着脱可能に装着されている。
回路基板6は、ベース4の表面と平行に設けられ、インピーダンス変換器、音質調整回路、出力回路(いずれも図示略)等が実装されており、マイクロホン2に電気的に接続された状態で固定されている。また、ベース4と回路基板6とが平行に設けられることから、これらの間に一定高さの空間部が形成される。マイクロホン2は、このベース4と回路基板6との間の高さの範囲内に設置される。
また、ベース4と回路基板6との間の空間部には、3個のマイクロホン2の間に配置されるように、発泡ウレタン等の多孔質樹脂からなる吸音材8が設けられている。この吸音材8は、後述する音波の反射による影響を抑制するためのものであり、各マイクロホン2の設置位置を頂点とする三角形に対して、若干小さい相似形の平面視三角形状に形成され、その頂点をそれぞれマイクロホン2に向けた姿勢で配置されている。
【0017】
カバー部材5は、側壁部11とこの側壁部により囲まれた空間を覆う天蓋部12とが一体に形成され、全体として三角形の頂点部を切除した平面形状をなしており、ベース4の上面に固定されることにより、その切除した部分により収音孔13が開口されている。そして、各マイクロホン2は収音面2aを収音孔13から外方に向けて配置されている。
また、このカバー部材5において、収音孔13の間の側壁部11は、ベース4の表面に対して垂直に形成されるが、外部への接続部14が設けられる側壁部を除き、複数の開放孔15が形成されている。これら開放孔15は、各側壁部11において回路基板6とベース4との間の高さの範囲程度に形成され、いずれも矩形に形成されているが、その側壁部11の長さ方向(水平方向)に沿う幅寸法Wが個々の開放孔15で異なっている。
【0018】
また、これら開放孔15は、これらが所属する側壁部11内において相互に異なる幅寸法Wに形成されているだけでなく、三角形の各辺に配置される各側壁部11間においても相互に異なる幅寸法Wに形成されている。さらに、これら開放孔15の位置も異なった配置とされ、三角形の頂点からの垂線を中心線X(図3参照)とした場合に、その両側の側壁部11間で左右非対称となる配置とされ、また、三角形の図形中心Pを中心とした場合に、各側壁部11で各開放孔15が非回転対称となるように配置されている。
また、このカバー部材5は、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂、あるいは金属板等の剛性の高い材料が用いられている。
【0019】
そして、カバー部材5の3個の収音孔13及び側壁部11の各開放孔15を覆うように多数の孔を有するパンチングプレートからなる外装部材16,17が設けられている。これら外装部材のうち、収音孔13を覆う外装部材16は、プレス加工により成形されたもので、カバー部材5の切欠部5aから天蓋部12を延長するように延びる上板部16aと、切欠部5aに露出するベース4の周縁部から立設する立ち上げ部16bとから構成される。また、カバー部材5の側壁部11における開放孔15を覆う外装部材17は、1個の側壁部11のすべての開放孔15を覆うことができる長尺な帯板状に形成され、側壁部11の外面に取り付けられている。
【0020】
このように構成した収音装置1は、電話会議システム等の端末として会議者が集う机の中央等に載置され、会議者が発する音声を収音する。マイクロホン2は収音面2aを外方に向けており、周囲の会議者の音声を適確に拾うことができる。この場合、マイクロホン2を回路基板6よりも下方に配置していることから、マイクロホン2の設置高さが低くなり、この収音装置1が載置される机の表面からの反射音と直接音との位相差が生じにくくなる。したがって、机上面からの反射によるマイクロホンの収音周波数特性にピークやディップが発生する周波数が高くなるとともに、マイクロホン2をベース4の外周部に設置することができ、ベース4の面積を小さくして、小型化を図ることができる。
一方、収音孔13から入射する音波はマイクロホン2の周囲の空間を通ってマイクロホン2の収音面2aよりも後方の筐体3内に進入する。
この音波がマイクロホン2の収音面2aよりも後方に進入した場合、筐体3内では、カバー部材5の側壁部11の内面に達するが、この側壁部11には複数の開放孔15が形成されているので、音波は、その大部分が開放孔15から筐体3の外部に放散し、側壁部11の内面で反射することが抑制される。また、開放孔15の間に残る側壁部11のブリッジ部分で若干の反射が生じたとしても、他の側壁部11にも開放孔15が形成されているので、乱反射を繰り返すうちに大部分がいずれかの開放孔15から外部に放出され、筐体3の内部からマイクロホン2の収音面2aにまで到達する音波を極めて少なくすることができる。
【0021】
この場合、1個のマイクロホン2を中心として両側に配置される両側壁部11において開放孔15が左右非対称(図3の中心線Xに対して非対称)に配置されているので、当該マイクロホン2に対して両側壁部11からの反射成分が同相で入射してマイクロホン2への影響が強調されることが抑制される。また、各側壁部11において、各開放孔15が回転非対称(図3の中心Pに対して回転非対称)となるように配置されているので、それぞれの開放孔15に起因する共鳴が同相で入射してマイクロホン2への影響が強調されることが抑制される。さらに、すべての開放孔15の大きさがそれぞれ異なっているので、これら開放孔15に起因する共通の共鳴周波数がないようにされている。
【0022】
また、各マイクロホン2の間に設置されている吸音材8は、筐体3内に入射した音波を吸収することができ、側壁部11に達する音波を低減して、その反射音を少なくすることができる。特に、他の機器の設置等により側壁部11への開放孔15の形成に制限が生じる場合に、その側壁部11とマイクロホン2との間を吸音材8により遮断するように配置するとよい。
【0023】
以上の相乗作用により、この収音装置1は、この収音装置1が載置される机の表面からの反射音の影響を受けにくいとともに、各マイクロホン2の後方での反射音をも少なくすることができ、周波数特性上のピークやディップの発生を少なくして、フラットな周波数特性で単一指向性を有することができる。
この収音装置1は、電話会議システム等の端末として人の声を収音するものであるから、人の声の周波数帯域である約10kHz以下の音を対象としており、その場合、側壁部11の開放孔15により残る側壁部11の全体幅が波長の半分以下であれば、側壁部11からの反射の影響はほとんど生じない。側壁部11の全体幅が10cmであるとすると、開放孔15により残る壁の幅が前記周波数帯域の最短波長(約4cm以下)の半分の2cm以下であれば、反射の影響を少なくすることができる。
【0024】
なお、筐体3内に回路基板6が水平に設けられていることにより、その上下の空間の音響振動が異なることになるが、マイクロホン2が配置されている下側空間に開放孔15がある方が音の放散効果が高い。
また、収音孔13及び開放孔15とも外装部材17により覆われるが、パンチングプレートからなる外装部材17であり、多数の孔により面積の半分以上は開口しているため、音響特性的には存在しないものとして差し支えない。
さらに、本実施形態のマイクロホン2は、ばね部材7によりベース4の上面から離間した状態に支持されているので、ベース4からの振動も伝わりにくく、より音響特性を高めることができる。
【0025】
ところで、この種の収音装置1は、電話会議等において卓上に設置して用いられ、その取り扱い等の際に衝撃等の外力が作用しても、変形などにより内部の回路基板6やマイクロホン2を損傷させないだけの強度が必要であるが、この収音装置1はカバー部材5をポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂、あるいは金属板等の剛性の高い材料により形成しているので、落下や衝撃等による変形を防止することができ、従来のパンチングプレートからなるカバー部材に比べて大幅に強度向上することができる。
なお、落下、衝撃以外にも、例えば会議参加者が椅子から立ち上がる際に収音装置1に手をついて荷重をかけてしまうことによる外力が想定されるが、その場合でも、十分な機械的強度を発揮することができる。
また、回路基板6よりも下方に開放孔15が形成されていることから、衝撃時の偏応力が小さく、強度的に有利である。
【0026】
図4及び図5は本発明の第2実施形態の収音装置を示している。第1実施形態では、筐体3が平面視三角形状に形成されていたが、第2実施形態の収音装置21では筐体22が平面視円形に形成されている。
この収音装置21は、筐体22が、円形板状のベース23と、このベース23に被せられるカバー部材24とからなり、カバー部材24に120°間隔をあけて3個の収音孔13が形成され、これら収音孔13にマイクロホン2が取り付けられている。この場合、ベース23の上には回路基板6が平行に固定され、ベース23と回路基板6との間の高さ範囲内にマイクロホン2が設置されている。カバー部材24は、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂、あるいは金属板等の剛性の高い材料が用いられる。
【0027】
また、カバー部材24の側壁部25には、外部への接続部14が設けられる側壁部を除き、複数の開放孔15が形成されている。これら開放孔15は、幅寸法Wが個々に異なっているとともに、各側壁部25間においても相互に異なる幅寸法Wに形成されている。また、これら開放孔15の位置も異なった配置とされ、収音孔13を通る中心線Yに対して、その両側の側壁部25間で左右非対称となる配置とされ、また、円の中心Qに対して非回転対称となるように配置されている。
その他、回路基板6とベース23との間に、各マイクロホン2を頂点とする三角形の相似形の平面形状を有する吸音材8が設けられる点等、第1実施形態の構成と共通する。
なお、開放孔15を覆うパンチングプレート等の外装部材26は、カバー部材24の側壁部25だけでなく全体を覆う形状に形成されている。
【0028】
この収音装置21においても、第1実施形態のものと同様、各マイクロホン2の後方での反射音による影響を低減でき、マイクロホンの収音周波数特性のピークやディップを解消して、フラットな周波数特性、指向性を有することができる。また、カバー部材24が剛性部材により形成されているので、落下や衝撃等の外力に対する変形を防止することができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
マイクロホンの数も実施形態の3個に限らず、1個でも可能であるとともに、4個以上設けたものにも適用することができ、その個数は限定されない。
【符号の説明】
【0030】
1…収音装置、2…マイクロホン、2a…収音面、3…筐体、4…ベース、5…カバー部材、5a…切欠部、6…回路基板、7…ばね部材、8…吸音材、11…側壁部、12…天蓋部、13…収音孔、14…接続部、15…開放孔、16…外装部材、17…外装部材、21…収音装置、22…筐体、23…ベース、24…カバー部材、25…側壁部、26…外装部材
図1
図2
図3
図4
図5