特許第6036467号(P6036467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036467
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】自動ネジ離脱装置用ドライバービット
(51)【国際特許分類】
   B25B 15/00 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   B25B15/00 610C
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-64850(P2013-64850)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-188610(P2014-188610A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(72)【発明者】
【氏名】多田 竜佐
(72)【発明者】
【氏名】草▲なぎ▼ 昌之
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰治
(72)【発明者】
【氏名】新井 義明
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3109690(JP,U)
【文献】 特開2001−300860(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0112797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に、離脱対象のネジの頭部に形成された十字穴に嵌合する嵌合部を有し、電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置に用いられる自動ネジ離脱装置用ドライバービットであって、
前記嵌合部が、軸心から放射状に伸びかつ円周方向90度おきに形成された羽根と前記羽根の間にそれぞれ形成されたガイド溝とを有して正面視十字状に形成され、
対向位置に配置された前記羽根同士の先端の頂部間距離が1.45mm〜1.75mmの範囲に設定され、
対向位置に配置された前記ガイド溝の先端の底部間距離が1.15mm〜1.35mmの範囲に設定され、
前記ガイド溝の先端から基端側に向けて伸びる直線部分の長さが3.7mm以上に設定され、
前記ガイド溝の先端の幅寸法が、プラス側に0.2mm、マイナス側に0.1mmの許容差を有して1.102mmの値に設定され、
前記ドライバービットの軸線に対する前記ガイド溝の底部の延在する傾斜角度が、プラス側に0°、マイナス側に45′の許容差を有して5°45′の値に設定され、
隣接する前記羽根同士の互いの外側の角部の、それら前記羽根の間の前記ガイド溝の底部を中心とした開き角度が、プラス側に45′、マイナス側に0°の許容差を有して140°の値に設定され、
前記軸線に直交する面と先端部の傾斜面とがなす角度がプラス側に1°、マイナス側に1°の許容差を有して18°の値に設定されていることを特徴とする自動ネジ離脱装置用ドライバービット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジの締め付けや取り外しに用いられるドライバービットに係わり、特にテレビやパソコン等の電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置に好適に用いられるドライバービットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示されるように、ドライバービットは、回転工具のスピンドルに取り付けられて使用される。ドライバービットは種々のサイズが用意されており、離脱対象となるネジに応じて適宜サイズのものが選択されて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−205281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テレビ等のバックキャビネットには、主に、M3、M4のネジが使用されている。また、バックキャビネットに使用されるネジには、皿小ネジ、丸皿小ネジ、なべ小ネジ、トラス小ネジ等種々のタイプのものが使用されている。
これらのネジは、JIS(日本工業規格)によって、雄ネジ部の径や長さのほか、ネジ頭部の十字穴についても、その大きさが細かく定められている。
一方、ドライバービットについても、JIS(日本工業規格)によってサイズが定められている。そして、例えば、皿小ネジ、丸皿小ネジ、なべ小ネジのM4、M3のネジを取り外すには、通常、2番のドライバービットが使用される。
【0005】
ところが、トラスタイプのM3のネジの場合、頭部の十字穴が他のタイプのM3の十字穴よりも小さく設定されているため、2番のドライバービットでは取り外すことができない。このため、例えば、自動ネジ離脱装置のスピンドルに2番のドライバービットを組み付けて、トラスタイプのM3のネジを自動的に取り外そうとすると、ドライバービットの先端の嵌合部を、ネジ頭部の十字穴に嵌合させることができず、極端な場合十字穴を損傷させてしまうこともある。
このため、トラスタイプ以外のタイプのM4あるいはM3のネジを取り外した後、続いてトラスタイプのM3のネジを取り外す場合には、自動ネジ離脱装置のスピンドルの先端に組みつけてある2番のドライバービットを1番のドライバービットに取り替える必要がある。さらに、続いてトラスタイプとは異なる他のタイプのM3あるいはM4のネジを取り外す場合には、前記スピンドルの先端に組みつけてある1番のドライバービットを、2番のドライバービットに再度戻す必要がある。このようなライバービットの交換作業は、操作者に過大な負担を強いる。
【0006】
さらに、従前の2番のドライバービットを用いて皿小ネジ、丸皿小ネジ等のM4及びM3のネジを取り外す場合、ドライバービットをネジ頭部の十字穴にセットする際に、ドライバービットの先端の嵌合部がネジ頭部の十字穴に固着してしまい、緩めたネジをドライバービットの嵌合部から取り外すにはネジを離脱させる専用の工程が別途必要になる問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、交換することなく、タイプの異なるM3、M4のネジを1つのドライバービットで取り外すことができ、また、先端の嵌合部がネジの十字穴に固着するおそれが少なく、緩めたネジをドライバービットからスムーズに取り外すことができる当該ドライバービットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のドライバービットは、先端に、離脱対象のネジの頭部に形成された十字穴に嵌合する嵌合部を有し、電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置に用いられる自動ネジ離脱装置用ドライバービットであって、前記嵌合部が、軸心から放射状に伸びかつ円周方向90度おきに形成された羽根と前記羽根の間にそれぞれ形成されたガイド溝とを有して正面視十字状に形成され、対向位置に配置された前記羽根同士の先端の頂部間距離が1.45mm〜1.75mmの範囲に設定され、対向位置に配置された前記ガイド溝の先端の底部間距離が1.15mm〜1.35mmの範囲に設定され、前記ガイド溝の先端から基端側に向けて伸びる直線部分の長さが3.7mm以上に設定され、前記ガイド溝の先端の幅寸法が、プラス側に0.2mm、マイナス側に0.1mmの許容差を有して1.102mmの値に設定され、前記ドライバービットの軸線に対する前記ガイド溝の底部の延在する傾斜角度が、プラス側に0°、マイナス側に45′の許容差を有して5°45′の値に設定され、隣接する前記羽根同士の互いの外側の角部の、それら前記羽根間の前記ガイド溝の底部を中心とした開き角度が、プラス側に45′、マイナス側に0°の許容差を有して140°の値に設定され、前記軸線に直交する面と先端部の傾斜面とがなす角度がプラス側に1°、マイナス側に1°の許容差を有して18°の値に設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、対向位置に配置された羽根同士の先端の頂部間距離が1.45mm〜1.75mmの範囲に設定され、対向位置に配置されたガイド溝の先端の底部間距離が1.15mm〜1.35mmの範囲に設定されている。つまり、対向位置に配置された羽根同士の先端の頂部間距離と、対向位置に配置されたガイド溝の先端の底部間距離とを、1番のドライバービットの羽根同士の先端の頂部間距離及びガイド溝の先端の底部間距離、並びに2番のドライバービットの羽根同士の先端の頂部間距離及びガイド溝の先端の底部間距離の中間の値に設定されている。言い換えれば、本発明のドライバービットの先端の嵌合部は、1番のドライバービットの先端の嵌合部と2番のドライバービットの先端の嵌合部の中間サイズとなっている。
【0010】
このため、当該ドライバービットの先端の嵌合部を、トラスタイプとは異なるタイプのM3、M4のネジの頭部の十字穴に速やかに嵌合させることができ、しかも、同先端の嵌合部を、トラスタイプのM3、M4のネジの頭部に形成された十字穴にも速やかに嵌合させることができる。
従って、交換することなく、タイプの異なるM3、M4のネジを1つのドライバービットによって取り外すことができる。この結果、テレビやパソコン等の電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置に用いて好適である。
また、当該ドライバービットの先端の嵌合部が、何れのタイプのM4、M3のネジの十字穴にも固着すること少ないため、緩めたM4、M3のネジを当該ドライバービットからスムーズに取り外すことができる。このため、嵌合されたネジをドライバービットの先端から離脱させるための工程が不要になる。
【0011】
前記ガイド溝の先端から基端側に向けて伸びる直線部分の長さが3.7mm以上に設定されていることが好ましい。
このようにガイド溝の直線部分の長さを3.7mm以上に設定しているので、当該ドライバービットの先端の嵌合部を離脱対象のネジの頭部の十字穴に嵌合させる際に、ガイド溝によって良好なガイド性を発揮させることができ、同先端の嵌合部を離脱対象のネジの頭部の十字穴に、より速やかに嵌合させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交換することなく、タイプの異なるM3、M4のネジを1つのドライバービットで取り外すことができる。また、先端の嵌合部がネジの十字穴に固着することが少なく、緩めたネジをドライバービットからスムーズに取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態のドライバービットの先端部分の側面図である。
図2】本発明の実施形態のドライバービットの先端部分の正面図である。
図3図2のIII−III線に沿う断面図である。
図4図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図5】本発明の実施形態のドライバービットの先端の嵌合部の端面である。
図6】トラスタイプのM3のネジの十字穴の正面図である。
図7】なべタイプのM3のネジの十字穴の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図5に基づき説明する。図1は本発明の実施形態のドライバービットの先端部分の側面図、図2は同ドライバービットの先端部分の正面図、図3図2のIII−III線に沿う断面図、図4図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【0015】
本実施形態のドライバービット1は、テレビやパソコン等の電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置のスピンドルに組みつけられて使用される。
図1に示すように、ドライバービット1の先端には、離脱対象のネジの頭部に形成された十字穴に嵌合する嵌合部2が形成されている。嵌合部2は、ドライバービット1の軸心から放射状に伸びかつ円周方向90度おきに形成された4つの羽根3と、羽根3の間にそれぞれ形成されたガイド溝4とを有して正面視十字状に形成されている。
また、嵌合部2は、先端から円柱形状の軸部にかけて徐々に径方向外方へ傾斜する大略円錐形状に形成されている。具体的には、羽根3の先端外周がテーパーに切り欠かれることにより、大略円錐形状に形成されている。
【0016】
羽根3を構成する側壁5は、ドライバービット1の軸線に対する直角方向の断面において外周側の厚みが基部側の厚みよりも薄くなっている。このため、羽根3の間、つまり側壁5の間に形成されるガイド溝4はドライバービット1の先端から後方に向かうにつれて徐々に浅くなるように形成されている。ガイド溝4の底面は中心側が凹んで傾斜面が連続する直線状の面となっている。そして、このガイド溝4の直線状の面とネジの十字穴側の嵌合平面とが接触嵌合して、当該ドライバービット1とネジとの間でガタ付きのない喰い付きが行なえるようになっている。
【0017】
ここで、図1に示すように、このドライバービット1では、対向位置に配置された羽根3同士の先端の頂部間距離gが1.45mm〜1.75mmの範囲、具体的には±0.15mmの許容差を有して1.60mmの値に設定されている。
また、図2に示すように、対向位置に配置されたガイド溝4の先端の底部間距離bが1.15mm〜1.35mmの範囲、具体的には±0.1mmの許容差を有して1.25mmの値に設定されている。
さらに、隣接する羽根3同士の先端の互いに隣接する角部(エッジ)間距離、言い換えれば、ガイド溝4の先端の幅寸法eが、1.002mm〜1.302mmの範囲、具体的にはプラス側に0.2mm、マイナス側に0.1mmの許容差を有して1.102mmの値に設定されている。
【0018】
また、図3に示すように、ガイド溝4の先端から基端側に向けて伸びる直線部分の長さlが3.7mm以上に設定されている。
ドライバービット1の軸線に対するガイド溝4の底部の延在する傾斜角度αは5°〜5°45′の範囲、具体的にはプラス側に0°、マイナス側に45′の許容差を有して5°45′の値に設定されている。
【0019】
さらに、図4に示すように、隣接する羽根3同士の互いの外側の角部の、それら羽根3の間のガイド溝4の底部を中心とした開き角度βは、140°〜140°45′の範囲、具体的にはプラス側に45′、マイナス側に0°の許容差を有して140°の値に設定されている。
これらを表にしたものを下記表1に示す。なお、この表1では、比較のために、従前の1番から4番のドライバービットの主要部分の寸法も同時に記載してある。
【0020】
【表1】
【0021】
なお、この実施形態のドライバービット1において、対向位置に配置された羽根3同士の先端の頂部間距離g及び対向位置に配置されたガイド溝4の先端の底部間距離bを除けば、他の寸法は、従前の2番のドライバービットと同じ値に設定されている。
したがって、羽根3の先端外周のテーパー状に切り欠かれた傾斜角度θa(図1参照)、ガイド溝4の底部の先端から基端側に向けて伸びる直線部並びに円弧部の描くラインLa(図3参照)は、それぞれ従前の2番のドライバービットのそれと同じ値あるいは同じラインになる。
【0022】
本実施形態のドライバービット1では、対向位置に配置された羽根3同士の先端の頂部間距離gが1.45mm〜1.75mmの範囲に設定され、対向位置に配置されたガイド溝4の先端の底部間距離bが1.15mm〜1.35mmの範囲に設定されている。
一方、表1に示されているように、1番のドライバービットは、対向位置に配置された羽根同士の先端の頂部間距離gが基準寸法で1.270mm、対向位置に配置されたガイド溝の先端の底部間距離bが基準寸法で1.001mmに設定されている。また、2番のドライバービットは、対向位置に配置された羽根同士の先端の頂部間距離gが基準寸法で2.286mm、対向位置に配置されたガイド溝の先端の底部間距離bが基準寸法で1.539mmに設定されている。
【0023】
このように、本実施形態のドライバービット1は、先端の嵌合部2の主要寸法が、1番のドライバービットの先端の嵌合部の主要寸法より大きく、かつ、2番のドライバービットの先端の嵌合部の主要寸法より小さい値に設定されている。つまり、本実施形態のドライバービット1は、先端の嵌合部2の主要寸法が、1番のドライバービットの先端の嵌合部及び2番のドライバービットの先端の嵌合部の主要寸法の中間の値に設定されている。
【0024】
このため、本実施形態のドライバービット1によれば、先端の嵌合部2を、トラスタイプとは異なるタイプ、例えば、皿小ネジ、丸皿小ネジ、なべ小ネジのM3、M4のネジの頭部の十字穴に速やかに嵌合させることができ、しかも、同先端の嵌合部2を、トラスタイプのM3、M4のネジの頭部に形成された十字穴にも速やかに嵌合させることもできる。
ここで、図5に本発明の実施形態のドライバービットの先端の嵌合部の端面を示す。また、図6にトラスタイプのM3のネジの十字穴の正面図を、図7になべタイプのM3のネジの十字穴の正面図をそれぞれ示す。
【0025】
これらの図の比較からも分かるように、本実施形態のドライバービット1の対向位置に配置された羽根3同士の先端の頂部間距離gは基準寸法で1.6mmであり、なべタイプのM3のネジの十字穴の最小径である2.2mmより小で、かつトラスタイプのM3のネジの十字穴の最小径である1.8mmよりも小である。このため、本実施形態のドライバービット1は、先端の嵌合部2がなべタイプのM3のネジの十字穴SaあるいはトラスタイプのM3のネジの十字穴Saに挿入された初期の段階でも、該十字穴Sa内で自由に回転することが可能である。この結果、先端の嵌合部2を、なべタイプのM3のネジの十字穴Saには勿論、トラスタイプのM3のネジSの十字穴Saにも速やかに嵌合させることができる。
【0026】
加えて、本実施形態のドライバービット1の対向位置に配置されたガイド溝4の先端の底部間距離bは基準寸法で1.25mmであり、トラスタイプのM3のネジSの十字穴Saの、羽根3が挿入する溝の幅寸法である0.8mmよりも十分に大きいので、先端の嵌合部2がトラスタイプのM3のネジSの十字穴Saに嵌合した後に、該先端の嵌合部2が十字穴Sa内で空回りするのを未然に防止することができる。
【0027】
これらの結果、交換することなく、タイプの異なるM3、M4のネジを1つのドライバービット1で取り外すことができる。したがって、テレビやパソコン等の電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置に好適に用いられる。
また、当該ドライバービット1の先端の嵌合部2が、何れのタイプのM4、M3のネジSの十字穴Saにも固着することが少ないため、緩めたM4、M3のネジSを当該ドライバービット1からスムーズに取り外すことができる。このため、固着されたネジSをドライバービット1の先端から離脱させるための工程が不要になる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
前記実施形態では、テレビやパソコン等の電化製品からネジを自動的に離脱する自動ネジ離脱装置のスピンドルに組みつけられるドライバービットの例を挙げて説明したが、これに限られることなく、手動によってネジを離脱する工具にも、本発明のドライバービットは組みつけ可能である。
また、前記実施形態では、ガイド溝4の先端から基端側に向けて伸びる直線部分の長さlを3.7mm以上に設定しているが、これに限られることなく、同直線部分の長さlを3.7mm未満に設定しても良い。
【実施例】
【0029】
上記実施形態で説明したドライバービット、従前の1番及び2番のドライバービットをそれぞれ用い、バインドタイプ、なべタイプ、トラスタイプの3種類のネジのサイズM4とM3についてネジ取り外し試験、 並びに取り外したドライバービットのネジの十字穴への固着試験を行なった。
なお、サイズM4、M3のネジについて、材質、表面処理、ネジ締結材、ネジの締結力については以下の表に示すとおりの条件とした。
試験は、各条件のもと10回行なった。
その結果を下記表2、表3に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表2はネジサイズがM4について行なった結果を示し、表3は、ネジサイズがM3について行なった結果を示す。
表2に示すように、本発明のドライバービットによれば、バインド、なべ、トラスの各タイプのM4のネジにそれぞれについて、ネジ外し率、コネ固着率ともに何ら問題が生じなかった。
【0033】
一方、従前の2番のドライバービットを用い、バインドタイプ、なべタイプ、トラスタイプのM4のネジそれぞれについて試験を行なったところ、ネジ外し率に問題がなかったものの、ネジ固着率は90パーセント、100パーセントとそれぞれ高い値を示した。つまり、ドライバービットの先端の嵌合部が、ネジの十字穴に固着する事象がほとんどであった。
また、従前の1番のドライバービットを用い、バインドタイプ、なべタイプ、トラスタイプのM4のネジそれぞれについて試験を行なったところ、ネジ固着率の点ではなんら問題がなかったものの、ネジ外し率で80パーセント、70パーセントと100パーセントの結果が得られず、1番のドライバービットでは、M4のネジを外すことができない場合があることがわかった。
【0034】
また、表3に示すように、本発明のドライバービットによれば、バインド、なべ、トラスの各タイプのM3のネジにそれぞれについて、ネジ外し率に何ら問題が生じなかった。ネジ固着率については、トラスタイプのM3のネジについて、30パーセントの固着率が見られたものの、これらは通常のネジ離脱操作において大きな支障にはならない。
【0035】
一方、従前の2番のドライバービットを用い、バインドタイプ、なべタイプのM3のネジそれぞれについて試験を行なったところ、ネジ外し率に問題が生じなかったものの、ネジ固着率は90パーセント、60パーセントとそれぞれ高い値を示した。また、トラスタイプのM3のネジについては、ネジ外し率が0パーセントと、全くネジを外すことができなかった。
また、従前の1番のドライバービットを用い、バインドタイプ、なべタイプ、トラスタイプのM3のネジそれぞれについて試験を行なったところ、ネジ外し率の面では問題が生じなかったものの、トラスタイプのネジ固着率では90パーセントと高い固着率が見られた。
【0036】
すなわち、従前の1番あるいは2番のドライバービットを用いて、種々のタイプのM4、M3のネジを取り外したところ、ネジが外れない、あるいは、ネジ頭部の十字穴に先端の嵌合部が固着するといった不具合が生じた。一方、本発明に係るドライバービットによれば、バインドタイプ、なべタイプ、トラスタイプのM4、M3のネジについても、ネジ外し率の点においてなんら問題が生じなかった。なお、トラスタイプのM3のネジについては、支障が生じない程度に嵌合部のネジ頭部の十字穴への固着が見られることが確認できた。
【符号の説明】
【0037】
1…ドライバービット、2…嵌合部、3…羽根、4…ガイド溝、S…ネジ、Sa…十字穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7