(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送信用アンプの出力から受信側装置の受信用アンプの出力までの間の伝送品質に基づく指標に基づき送信用アンプの平均光入力パワーの目標値を決定する送信用アンプ制御部と、
前記目標値及び前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づき、波長毎に送信光パワーの調整量を決定するプリエンファシス制御部と、
を備える伝送装置。
前記送信用アンプ制御部は、前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づきチルト量を算出し、前記チルト量が現在のプリエンファシス制御が可能な量より大きい場合に、前記目標値を現在の送信用アンプの平均光入力パワーより低い値に決定する、請求項1に記載の伝送装置。
前記送信用アンプ制御部は、前記指標が示す前記伝送品質が悪いほど、前記目標値を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<ネットワーク構成>
図1を参照して本発明の実施形態を適用できる例示的なネットワーク構成を説明する。
【0010】
図1の(a)は、ROADM装置A〜Gを用いたネットワーク構成図を示す。各ROADM装置間は光ファイバにより接続されている。各ROADM装置間、つまりA−B間、C−D間、D−E間、E−F間及びF−G間では、各々の区間の光ファイバ長に応じてスパンロスが増大し、WDLに起因するチルトが生じる。これらのチルトは、各ROADM装置間で後述のプリエンファシス制御を行うことにより補償されて零になるので、各ROADM装置間で生じるチルトが累積されることはなく、A−G間では光信号の良好な伝送が保証される。
【0011】
図1の(a)のROADM装置B、C、E、Fをそれぞれ安価なILAb、c、e、fに置き換えることにより、(b)のように安価なネットワーク構成に変更することができる。
【0012】
(b)では、ROADM装置A−D間、つまりROADM装置AからILAb及びcを介してROADM装置Dまでの間では、ILAb、cを含む光ファイバ長に応じてチルトが生じる。このチルトは、ROADM装置A−D間でプリエンファシス制御を行うことにより補償される。同様に、ROADM装置D−G間、つまりROADM装置DからILAe及びfを介してROADM装置Gまでの間も、ILAe、fを含む光ファイバ長に応じてチルトが生じる。このチルトは、ROADM装置D−G間でプリエンファシス制御を行うことにより補償される。したがって、(a)と同様に、各ROADM装置間で生じるチルトが累積されることなく、A−G間では光信号の良好な伝送が保証される。
【0013】
ここで、各区間で発生するチルト量は各区間の光ファイバ長に応じたスパンロスに比例して増大するので、各装置間の光ファイバ長が同じならば、ROADM装置A−D間、D−G間で発生する各チルト量は、(b)の構成では(a)の約3倍に増大してしまう。これは、従来のプリエンファシス制御の許容量を超えてしまう可能性がある。このような場合には、チルト補償のみを目的としてILAの代わりにROADM装置を設置しなければならなかった。
【0014】
本発明の実施形態を適用することにより、このような場合にもROADM装置の代わりにILAを設置することができ、ネットワークを安価に構成することが可能になる。
【0015】
<ROADM装置間のプリエンファシス制御>
図2を参照してROADM装置間のプリエンファシス制御を説明する。
図2の上段に示すように、例として、ROADM装置AがILAbを介してROADM装置Cに接続されているネットワーク構成について説明する。ILAbは挿入されなくても良く、或いは複数挿入されても良い。
【0016】
図2の(a)〜(d)は、縦軸に光信号パワー、横軸に光信号の波長を示す。
【0017】
(a)は、ROADM装置Aから送信される光信号パワーを示し、全ての波長において、光信号は後述する送信用アンプの平均入力パワーと同じパワーを有する。光信号は、ROADM装置Aから光ファイバ及びILAbを伝搬し、ROADM装置Cで受信される。
【0018】
(b)は、ROADM装置Cで受信された光信号の強度を示し、光信号パワーは、波長によって後述する受信用アンプの平均出力パワーの上下にばらつきを示す。(b)における最大強度と最小強度の差が、ROADM装置A−C間で生じたチルト量(Δt)である。このチルト量Δtは、ROADM装置A−C間のプリエンファシス制御により補償することができる。
【0019】
プリエンファシス制御を行うために、先ず、ROADM装置Cは自身がモニタした波長単位の受信光パワーをROADM装置Aに通知する。次に、ROADM装置Aは、ROADM装置Cから通知された波長単位の受信光パワーに基づき、波長毎に送信光パワーを調整する。例えば、ROADM装置Cから(b)に示すような波長毎の受信光パワーが通知された場合、ROADM装置Aは、(c)に示すように波長毎に送信光パワーを予め調整して送信する。
【0020】
受信側のROADM装置Cで受信光パワーの高い波長は、送信側のROADM装置Aで送信光パワーを低くする。これにより、光ファイバの非線形効果による波形劣化を防ぐことができる。また、受信側のROADM装置Cで受信光パワーの低い波長は、送信側のROADM装置Aで送信光パワーを高くすることにより、光信号対雑音比(Optical Signal Noise Ratio:OSNR)の劣化を防ぐことができる。
【0021】
このように、送信側のROADM装置Aで送信光パワーを波長毎に調整することにより、(d)に示すように受信側のROADM装置Cにおいてモニタされる受信光パワーは、(b)と比べて波長間のばらつきが少なく均一化される。
【0022】
このとき、ROADM装置Aの送信用アンプの平均入力パワーは、波長毎に送信光パワーを調整することにより、ROADM装置Cの受信用アンプの出力パワーの波長毎のばらつきを均一化する処理を行うため、(a)と(c)の平均出力パワー値は変わらず、同じ値となる。
【0023】
上述のように、プリエンファシス制御は、送信側のROADM装置が波長毎に減衰量を調整することにより、受信側のROADM装置で検出されるチルト量(Δt)を補償する。よって、送信側のROADM装置の最大可変減衰量をプリエンファシス制御量(ΔPE)と表すと、プリエンファシス制御を実現するためにはΔPE≧Δtでなければならない。
【0024】
<ROADM装置内のプリエンファシス制御>
次に、上述のプリエンファシス制御がROADM装置内でどのように実行されるかを説明する。
【0025】
図3は、ROADM装置内における平均光パワーの変化を説明する図である。
【0026】
図3の上側は、ROADM装置の概略ブロック図を示す。ROADM装置301は、受信用アンプ(PreAMP)302、スプリッタ(SPL)303、波長選択スイッチ(Wave Selection Switch:WSS)304、送信用アンプ(PostAMP)305、2つの光チャネルモニタ(Optical Channel Monitor:OCM)306、307、及びプリエンファシス制御部308を有する。
【0027】
ROADM装置301が受信した光信号は、PreAMP302により増幅され、SPL303により光信号がドロップされ、WSSにより波長単位で光信号がアッドされ、そしてPostAMP305により増幅された後に送信される。
【0028】
OCM306は、
図2の(b)及び(d)に関して説明したように、PreAMP302から出力された受信光のパワーを波長単位でモニタする。受信側のROADM装置は、OCM306によりモニタした波長単位の受信光パワーを、送信側のROADM装置へ、例えば光監視チャネル(Optical Supervisory Channel:OSC)を介して通知する。
【0029】
OCM307は、
図2の(a)及び(c)に関して説明したように、PostAMP305へ入力される送信光のパワーを波長単位でモニタできる。
【0030】
プリエンファシス制御部308は、受信側のROADM装置から通知された波長単位の受信光パワーと(送信側のROADM装置の)OCM307によりモニタした波長単位の光信号パワーとに基づき、送信側で光信号に加えるべき減衰量を波長毎に決定する。
【0031】
WSS304は、プリエンファシス制御部308により決定された波長毎の減衰量に従って、波長毎に送信光パワーを減衰させる。
図2を参照して説明したプリエンファシス制御量(ΔPE)は、このWSS304により加えることのできる減衰量の最大値と最小値の差に相当する。
【0032】
このような構成のROADM装置内における平均光パワーの変化を、
図3の下側のグラフ310を参照して説明する。グラフの縦軸は全ての波長の光信号の平均光パワーを示し、横軸は上側に示したROADM装置内の位置に対応する。
【0033】
ROADM装置301が受信した光信号の平均光パワーは、先ず、PreAMP302のゲイン分だけ上昇する(311)。
【0034】
平均光パワーは、光信号がPreAMP302から出力されSPL303に入力されるまでの間に伝搬により僅かながら減衰し、SPL303を通過することによりSPL部のロス分だけ更に減少する(312)。
【0035】
平均光パワーは、WSS304において、WSS部の固定ロス分(313)に加えて、WSS部による減衰(ATT)ロス分、つまりプリエンファシス制御部308により決定された波長毎の減衰量だけ更に減衰する(314)。
【0036】
最後に、PostAMP305により増幅されるため、平均光パワーはPostAMPのゲイン分だけ上昇する(315)。
【0037】
図3のグラフ310において、受信側で波長毎の受信光パワーを減少させるためには、WSS304による減衰量を増加させる。この場合、矢印322で示すように、PostAMP305の平均入力パワーは減少する。
【0038】
反対に、受信側で波長毎の受信光パワーを増大させるためには、WSS304による減衰量を減少させる。この場合、矢印321で示すように、PostAMP305の平均入力パワーは増大する。
【0039】
ここで、PostAMPの平均入力パワーは、PostAMPのOSNRを大きく(良く)するために、通常、高い値に決められている。また、WSS304の固定ロスはWSSデバイス固定の一定値のため、WSS部ATTロスを0にしても、PostAMP305の入力パワー値は、WSS部固定ロスを加えた入力パワー値よりも、上げることはできない。そのため、PostAMP305の平均入力パワー値は、WSS部ATTロスによって定められているので、WSS304による減衰量を減少できる量には限度がある。WSS304による減衰量を減少できる量は、
図3では矢印321により示す範囲だけである。WSS304の最大可変減衰量がプリエンファシス制御量ΔPEなので、プリエンファシス制御量ΔPEはPostAMPの平均入力パワーにより制限される。
【0040】
<プリエンファシス制御量ΔPEの増加>
本発明の実施形態では、
図3を参照して説明したPostAMPの平均入力パワーを下げることにより、プリエンファシス制御量ΔPEを増加させることができる。これについて以下に詳細に説明する。
【0041】
図4は、PostAMPの平均入力パワーを下げた場合のROADM装置内における平均光パワーの変化を示す図である。
【0042】
図4の上側は、ROADM装置の概略ブロック図を示す。ROADM装置401は、受信用アンプ(PreAMP)402、スプリッタ(SPL)403、波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch:WSS)404、送信用アンプ(PostAMP)405、及び2つの光チャネルモニタ(Optical Channel Monitor:OCM)406、407、プリエンファシス制御部408を有する。構成要素402〜407は
図3の構成要素302〜307と同様である。
【0043】
プリエンファシス制御部408は、PostAMP405の平均入力パワーも考慮して波長毎の減衰量を決定する点が
図3のプリエンファシス制御部308と異なる。
【0044】
図4の下側のグラフ410はROADM装置内における平均光パワーの変化を示す。
図3のグラフ310と同様に、縦軸は全ての波長の光信号の平均光パワーを示し、横軸は上側に示したROADM装置内の位置に対応する。参照符号411〜422は、
図3の311〜322に対応する。また、PostAMP405の平均入力パワー1は
図3のPostAMP305の平均入力パワー1に対応する。
【0045】
図3と同様に、受信側で波長毎の受信光パワーを減少させるためには、WSS404による減衰量を増加させる。この場合、矢印422の方向にWSS404のATT減衰量を増加させることで、該当波長の受信光パワーを減少させることができる。
【0046】
図3と同様に、
図4のグラフ410において、受信側で波長毎の受信光パワーを増大させるためには、WSS404による減衰量を減少させる。この場合、矢印421の方向にWSS404のATT減衰量を減少させることで、該当波長の受信光パワーを増加させることができる。このとき、矢印421の方向の減衰量が不足する場合には、PostAMP405の平均入力パワー1を平均入力パワー2に下げることにより、矢印423に示すように、WSS404のATT減衰量の減少可能な値を大きくすることができる。
【0047】
したがって、WSS404による可変減衰量の範囲を広げることができるので、プリエンファシス制御量ΔPEも増大させることができる。プリエンファシス制御量ΔPEが大きいほど、チルト補償できる量が大きくなるため、ROADM装置をILA装置に置き換えて、ROADM装置間の伝送距離を長くできるので、ネットワークを安価に構成することが可能になる。
【0048】
<各区間のOSNR>
上述のように、PostAMPの平均入力パワーを下げることにより、プリエンファシス制御量ΔPEは増大する。しかし、PostAMPのOSNRは低下してしまうので、従来はPostAMPの平均入力パワーを下げることができなかった。
【0049】
本発明の実施形態では、ROADM装置間のスパンロスが大きい場合に、PostAMPの平均入力パワーの低下がROADM装置間のOSNRに与える影響が小さいことに着目する。
【0050】
以下に、
図5を参照して各区間のOSNRを説明する。
図5では、ROADM装置AとGの間にILAb〜fが配置されている。
【0051】
ROADM装置AのPostAMPのOSNRをOSNR(A)とし、ROADM装置GのPreAMPのOSNRをOSNR(G)とする。また、ROADM装置AのPostAMPの出力から光ファイバを含みILAbの出力までの区間のOSNRをOSNR(b)とする。同様に光ファイバとILAを含む各区間のOSNRをOSNR(c)〜OSNR(f)により表す。ROADM装置A−G間のOSNRをROADM区間のOSNRと呼び、OSNR(A−G)と表す。
【0052】
OSNR(A)は、次式のようにROADM装置AのPostAMPの平均入力パワーにより決定されるため、一定である。
OSNR(A)=P
post−NF+C (1)
ここで、P
postはPostAMPの平均入力パワー[dBm]、NFはPostAMPの雑音指数[dB]、Cは光ファイバを伝搬する光信号の波長帯域により決まる定数値である。
【0053】
OSNR(b−G)は、ILA区間のOSNRを表し、次式で計算できる。
OSNR(b−G)=1/(1/OSNR(b)+1/OSNR(c)+1/OSNR(d)+1/OSNR(e)+1/OSNR(f)+1/OSNR(G)) (2)
OSNR(A−G)は次式により得られる。
OSNR(A−G)=1/(1/OSNR(A)+1/OSNR(b−G)) (3)
<PostAMPの平均入力パワーとROADM区間のOSNRの関係>
図6は、以上のように計算した
図5の各区間のOSNRとILA区間の合計スパンロスとの関係を示す。
図6の縦軸はOSNR[dB]を示し、横軸はILA区間の合計スパンロス[dB]を示す。縦軸及び横軸に示した数値は単なる例であり、本発明を限定しない。
【0054】
曲線601、602、603は、それぞれ
図5のOSNR(A)、OSNR(b―G)、OSNR(A−G)に対応する。
【0055】
曲線602により示されるように、OSNR(b−G)はILA区間の合計スパンロスの増加に伴い低下する。OSNR(b−G)がOSNR(A)よりもある程度小さくなった場合、例えば両矢印で示すように10dBだけ低くなった場合、OSNR(A)がOSNR(A−G)に与える影響は非常に小さくなる。
【0056】
よって、このような場合には、PostAMPの平均入力パワーを下げたとしても、ROADM区間の伝送品質に与える影響は無視できる程度である。したがって、ROADM装置間の伝送品質を良好に維持しつつ、PostAMPの平均入力パワーを制御して、プリエンファシス制御量ΔPEを増大させることができる。
【0057】
<PostAMPのOSNRの算出>
図6のROADM区間のOSNRがΔdだけ劣化した場合、式(3)のOSNR(A−G)は{OSNR(A−G)−Δd}で置き換えられるので、PostAMPのOSNRは次式で表される。
OSNR(A)=10*log[{OSNR(A−G)−Δd}
−1−OSNR(b−G)
−1] (4)
図7に、式(4)により計算されたOSNR(A)を示す。
図7は、ROADM装置AのPostAMPの平均入力パワーを下げた場合の
図5のILA区間の合計スパンロスと各区間のOSNRとの関係を示す。
図6と同様に、
図7の縦軸はOSNR[dB]を示し、横軸はILA区間の合計スパンロス[dB]を示す。縦軸及び横軸に示した数値は単なる例であり、本発明を限定しない。
【0058】
図7ではΔd=0.2dBとして計算したが、Δdの値は単なる例であり、他の値が用いられても良い。Δdの値は、WDMネットワークの光回線を設計する際に、予め決定するOSNRマージンに含まれる小さい値であることが望ましい。
【0059】
図7の曲線701は式(4)により計算されたOSNR(A)を表す。比較のため、
図6の曲線601に対応する曲線704を示す。曲線702は、
図5のOSNR(b―G)及び
図6の曲線602に対応する。曲線703は、
図6の曲線603で示したOSNR(A−G)からΔdを引いたものに対応する。
【0060】
図7では、ILA区間の合計スパンロスの増加に伴いOSNR(A)の劣化も大きくなっている。しかし、
図7の曲線703と
図6の曲線603を比較すると、両曲線はほぼ同じである。よって、ILA区間の合計スパンロスの増加に伴いOSNR(A)の劣化が増大しても、OSNR(A−G)の劣化は非常に小さいことが分かる。
【0061】
特に、ILA区間のOSNRがPostAMPのOSNRよりもある程度低くなるILA区間の合計スパンロスの範囲では、PostAMPのOSNRの劣化がROADM区間のOSNRに与える影響が少ないことが分かる。
【0062】
<PostAMPの平均入力パワーの目標値の算出>
上述のように算出したPostAMPのOSNRから、PostAMPの平均入力パワーを得ることができる。
図8は、
図7のグラフをILA区間のOSNRとPostAMPの平均入力パワーとの関係に変換したグラフである。
図8の縦軸はPostAMPの平均入力パワー[dBm]を示し、横軸はILA区間のOSNR[dB]を示す。縦軸及び横軸に示した数値は単なる例であり、本発明を限定しない。
【0063】
図8の曲線801は、上述の式(1)に
図7のPostAMPのOSNR(曲線701により示したOSNR(A))を代入することにより得たPostAMPの平均入力パワーP
postに対応する。したがって、曲線801は、ROADM区間のOSNRの劣化をΔdだけ許容した場合のPostAMPの平均入力パワーの目標値(下限値)を示す。
【0064】
図8では、PostAMPの平均入力パワーの初期値を−20.0dBmとして直線802に示すが、この値は単なる例であり本発明を限定しない。
【0065】
両矢印803〜807はPostAMPの平均入力パワーの目標値(下限値)と初期値との差を示す。ILA区間のOSNRが小さい(劣化する)ほど、PostAMPの平均入力パワーを初期値(直線802)から大きく下げることができる。一方、ILA区間のOSNRが大きい(良好な)場合は、PostAMPの平均入力パワーを下げることができる量は小さい。
【0066】
したがって、ILA区間のOSNRに応じてPostAMPの平均入力パワーを
図8の曲線801のように制御することにより、
図4を参照して説明したようにプリエンファシス制御量ΔPEを増大させることができる。
【0067】
図8ではILA区間のOSNRの低下に従ってPostAMPの平均入力パワーを徐々に下げるようにした。代替として、
図8でILA区間のOSNRが所定範囲、例えば19〜26dBのときのみ、又は
図6で合計スパンロスが所定範囲、例えば24dB以上のときのみ、
図8から得たPostAMPの平均入力パワーになるよう制御しても良い。更に代替として、
図8でILA区間のOSNRが所定範囲内のときのみ、又は
図6で合計スパンロスが所定範囲内のときのみ、PostAMPの平均入力パワーを所定値に下げるよう制御しても良い。
<ROADM装置の構成>
図9を参照して、ROADM装置の構成を説明する。
図9のROADM装置900は、受信用アンプ(PreAMP)901、スプリッタ(SPL)902、波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch:WSS)903、送信用アンプ(PostAMP)904、及び2つの光チャネルモニタ(Optical Channel Monitor:OCM)906、907を有する。これらの構成要素は、
図3の構成要素302〜307と同様なので、説明を省略する。
【0068】
ROADM装置900は、光検出器(PD)905を更に有する。PD905は、ROADM装置900が受信したWDM信号の総入力パワーと自然放出雑音(Amplified Spontaneous Emission:ASE)の光パワーをモニタし、ASE算出部911に渡す。
【0069】
ROADM装置900は、プリエンファシス制御部908、PostAMP制御部909、OSNR算出部910、ASE算出部911、スパンロス算出部912及びインタフェース913を更に有する。
【0070】
プリエンファシス制御部908は、PostAMP制御部909から供給されるチルト量ΔtとPostAMP904の平均入力パワーの目標値により、波長毎の減衰量を算出する。そして、プリエンファシス制御部908は、算出した波長毎の減衰量をWSS903に通知する。
【0071】
PostAMP制御部909は、対向するROADM装置から受信した波長単位の受信光パワーからチルト量Δtを決定する。次に、PostAMP制御部909は、現在のPostAMPの平均入力パワーに基づくプリエンファシス制御量ΔPEとチルト量Δtを比較する。ΔPE<Δtの場合には、
図8を参照して、OSNR算出部910から供給されたILA区間のOSNRに対応するPostAMP904の平均入力パワーの下限値を得る。
図8から得た下限値は、PostAMP904の平均入力パワーの目標値に設定される。PostAMP制御部909は、チルト量ΔtとPostAMP904の平均入力パワーの目標値をプリエンファシス制御部908に通知する。
【0072】
代替として、PostAMP制御部909は、ILA区間のOSNRの代わりに、スパンロス算出部912から供給される合計スパンロスを用いてPostAMP904の平均入力パワーの下限値を得ても良い。
【0073】
OSNR算出部910は、受信側のROADM装置との間のILA区間に存在する全装置からOSNRを収集し、上述の式(2)によりILA区間のOSNR[dB]を算出する。式(2)は
図5のネットワーク構成に基づくが、
図5よりも多数の又は少数のILAがROADM装置間に存在しても良く、式(2)はILAの個数に応じて変更される。
【0074】
代替として、OSNR算出部910は、ASE算出部911から累積ASEを受信し、次式によりILA区間のOSNR[dB]を算出しても良い。
(ILA区間のOSNR)=−(累積ASE) (5)
OSNR算出部910は、算出したILA区間のOSNRをPostAMP制御部909に通知する。
【0075】
ASE算出部911は、受信側のROADM装置との間のILA区間に存在する全装置からASEを収集し、累積ASEを算出する。ASE算出部911は、算出した累積ASEをOSNR算出部910に通知する。
【0076】
ASE算出部911は、さらに、受信側のROADM装置として使用されるとき、PD905から供給された受信WDM信号の総入力パワーとASEの光パワーに基づき、1つ上流の装置から自装置までの区間のASEを算出する。ASE算出部911は、算出したASEを1つ上流の装置から転送されたASEに加算し、送信側のROADM装置にフィードバックする。
【0077】
スパンロス算出部912は、受信側のROADM装置との間のILA区間に存在する全装置からスパンロスを収集し、合計スパンロスを算出する。スパンロス算出部912は、算出した合計スパンロスをPostAMP制御部909に通知する。
【0078】
インタフェース913は、ROADM装置900内の各構成要素間の通信及びROADM装置900に光ファイバ等を介して接続される他の装置との間の通信を可能にする。
【0079】
<ILAの構成>
図10を参照して、ILAの構成を説明する。
図10のILA1000は、アンプ(AMP)1001、光検出器(PD)1002、ASE算出部1003、スパンロス算出部1004及びインタフェース1005を有する。
【0080】
AMP1001は、ILAが受信した光信号を増幅し、光ファイバを介して他の装置へ送信する。
【0081】
PD1002は、ILA1000が受信したWDM信号の総入力パワーとASEの光パワーをモニタし、ASE算出部1003に渡す。
【0082】
ASE算出部1003は、PD1002から供給された受信WDM信号の総入力パワーとASEの光パワーに基づき、ASEを算出する。ASE算出部1003は、算出したASEを上流若しくは下流の装置、ROADM装置又はネットワーク監視装置へ送信する。
【0083】
スパンロス算出部1004は、1つ上流の装置の送信光パワーと自装置の受信光パワーとの差分を計算することにより、スパンロスを算出する。或いは、ASE算出部1003から得たASEとOSC光とに基づきスパンロスを算出しても良い。スパンロスの算出方法は、これらに限定されず、知られている種々の方法から選択されて良い。スパンロス算出部1004は、算出したスパンロスを送信側のROADM装置へ送信する。
【0084】
インタフェース1005は、ILA1000内の各構成要素間の通信及びILA1000に光ファイバ等を介して接続される他の装置との間の通信を可能にする。
【0085】
<波長単位の受信光パワーの伝達>
送信側のROADM装置は、プリエンファシス制御を実施するために、受信側のROADM装置における波長単位の受信光パワーを知る必要がある。
図11を参照して、受信側(
図11の右側)のROADM装置が送信側(
図11の左側)のROADM装置へ波長単位の受信光パワーを伝達する方法を説明する。
【0086】
図11は、波長単位の受信光パワーを伝達する実施例を説明する図である。
図11では、送信側のROADM装置から送信された光信号は、光ファイバ及びILAを介して受信側のROADM装置で受信される。
【0087】
受信側のROADM装置は、PreAMP901からの出力を受信光に含まれる波長λ
1,...,λ
kの各々についてOCM906によりモニタし、インタフェース913を介して波長単位の受信光パワーP(λ
1),...,P(λ
k)を1つ上流の装置へフィードバックする。波長単位の受信光パワーはILA1000により中継され、送信側のROADM装置まで伝達される。
【0088】
送信側のROADM装置では、インタフェース913を介して受信した受信光パワーP(λ
1),...,P(λ
k)はPostAMP制御部909及びプリエンファシス制御部908に通知される。PostAMP制御部909及びプリエンファシス制御部908の動作は上述の通りである。
【0089】
上述の受信光パワーの伝達は、OSC回線を介して行われる。
【0090】
<累積ASEを用いたPostAMPの平均入力パワーの目標値の算出>
上述のように、プリエンファシス制御においてPostAMPの平均入力パワーの目標値を決定するために、ILA区間のOSNRを求める必要がある。以下に、
図12〜14を参照して、累積ASEを用いてPostAMPの平均入力パワーの目標値を算出する方法を説明する。
【0091】
図12は、PostAMPの平均入力パワーの目標値を算出する第1の実施例を説明する図である。
図12では、送信側(
図12の左側)のROADM装置は、PostAMP904に入力される光信号パワーをOCM907によりモニタして得たASEの量を表すASE
0をASE=ASE
0として下流の装置へ転送する。
【0092】
ILAでは、AMP1001に入力される光信号パワーをPD1002によりモニタする。ASE算出部1003は、PD1002により得たASEの量を表すASE
1を送信側のROADM装置から転送されたASEに加算し、ASE=ASE
0+ASE
1として、インタフェース1005を介して下流の装置へ転送する。以降同様に増幅器を通過する度にASEが加算され、下流の装置へ転送される。
【0093】
受信側(
図12の右側)のROADM装置は、PreAMP901に入力される光信号パワーをPD905によりモニタする。ASE算出部911は、PD905により得たASEの量を表すASE
Nを1つ上流の装置から転送されたASEに加算し、ASE=ASE
0+ASE
1+・・・+ASE
Nとして、インタフェース913を介して送信側のROADM装置へフィードバックする。このように加算されたASEを累積ASEと称する。
【0094】
送信側のROADM装置において、OSNR算出部910は、ASE算出部911から累積ASEを受信し、上述の式(5)によりILA区間のOSNRを算出する。
【0095】
図13は、PostAMPの平均入力パワーの目標値を算出する第2の実施例を説明する図である。
図13はASEの伝達方法が
図12と異なる。
図13に示した各装置及び各ブロックの機能は
図12と同様である。
【0096】
図13では、先ず、受信側のROADM装置がASE
Nを算出し、ASE=ASE
Nとして、上流のILAへ転送する。
【0097】
ILAは、自装置において算出したASEを下流の装置から受信したASEに加算し、ASE=ASE
N+ASE
N−1として更に上流の装置へ転送する。以降同様に増幅器を通過する度にASEが加算され、上流の装置へ転送される。
【0098】
送信側のROADM装置は、自装置において算出したASE
0を下流のILA1000から転送されたASE=ASE
1+・・・+ASE
Nに加算することにより累積ASEを得る。送信側のROADM装置は、この累積ASEを用いてOSNR算出部910によりILA区間のOSNRを算出する。
【0099】
図14は、PostAMPの平均入力パワーの目標値を算出する第3の実施例を説明する図である。
図14は各装置と接続されたネットワーク監視装置(NMS)1401を有する点が
図12と異なる。
図14では、送信側のROADM装置の代わりにNMS1401がOSNR算出部1402を有する。
【0100】
図14では、送信側のROADM装置、受信側のROADM装置、及びILAのそれぞれがASEを算出し、NMS1401に通知する。
【0101】
NMS1401のOSNR算出部1402は、各装置から通知されたASE
0,ASE
1,・・・,ASE
Nを加算することにより累積ASEを算出し、送信側のROADM装置に通知する。
【0102】
送信側のROADM装置は、NMS1401から通知された累積ASEを用いてOSNR算出部910によりILA区間のOSNRを算出する。
【0103】
送信側のROADM装置のPostAMP制御部909は、OSNR算出部910又はNMS1404のOSNR算出部1402から得たILA区間のOSNRに基づき
図8からPostAMPの平均入力パワーの目標値を決定する。
【0104】
上述のASEの転送は、OSC回線を介して行われる。
【0105】
<スパンロスを用いたPostAMPの平均入力パワーの目標値の算出>
プリエンファシス制御においてPostAMPの平均入力パワーの目標値を決定するために、OSNRの代わりにスパンロスを用いても良い。以下に、
図15を参照して、スパンロスを用いてPostAMPの平均入力パワーの目標値を算出する方法を説明する。
【0106】
図15は、各装置がスパンロス算出部912、1004を有し、ASE算出部及びOSNR算出部を有しない点が
図12と異なる。
【0107】
図15では、先ず、受信側のROADM装置がスパンロスL
Nを算出し、L=L
Nとして上流のILAへ転送する。
【0108】
ILAは、自装置において算出したスパンロスL
N−1を下流の装置から受信したスパンロスに加算し、L=L
N+L
N−1として更に上流の装置へ転送する。以降同様に装置を通過する度にスパンロスが加算され、上流の装置へ転送される。
【0109】
送信側のROADM装置のスパンロス算出部912は、自装置において算出したL
0を下流のILA1000から転送されたスパンロスに加算することにより合計スパンロスL=L
N+L
N−1+・・・+L
0を得る。スパンロス算出部912は、この合計スパンロスをPostAMP制御部909に通知する。
【0110】
PostAMP制御部909は、合計スパンロスが大きいほど、PostAMPの平均入力パワーの目標値を低い値に決定する。代替として、PostAMP制御部909は、合計スパンロスが所定値以上の場合に、PostAMPの平均入力パワーの目標値を所定値に決定しても良い。
【0111】
<PostAMPの平均入力パワーを制御する方法>
図16を参照して、PostAMPの平均入力パワーを制御する方法を説明する。
図16に示した方法は、送信側のROADM装置により行われる。
【0113】
S2で、PostAMP制御部909は、PostAMP904の平均入力パワーの初期値をPostAMPの平均入力パワーの目標値に設定する。初期値は、ILA区間のOSNRが大きい(良好な)場合の値を用い、例えば−20dBmであって良い。
【0114】
S3で、ROADM装置は、ROADM装置間で送受信されるWDM信号回線のアラームを監視する。アラームがある場合には、アラームが検出されなくなるまで監視を続ける。アラームが無ければS4へ進む。
【0115】
S4で、ROADM装置は、ROADM装置間の立ち上げが完了したか否かを判断する。ROADM装置は、遠端のROADM装置との間でOSC回線の送受信が正常に実施されたと確認できた場合に、立ち上げが完了したと判断する。完了していない場合は、S3へ戻りアラームを監視する。完了した場合にはS5へ進む。
【0116】
S5で、PostAMP制御部909は、チルト量Δt及びプリエンファシス制御量ΔPEを決定する。
【0117】
S6で、PostAMP制御部909は、プリエンファシス制御量ΔPEとチルト量Δtを比較する。ΔPE<Δtの場合にはS7へ進み、その他の場合はS8へ進む。
【0118】
S7で、PostAMP制御部909は、上述のように累積ASEから算出したOSNR又は合計スパンロスを用いてPostAMP904の平均入力パワーの目標値を決定する。
【0119】
S8で、プリエンファシス制御部908は、現在のPostAMPの平均入力パワーに基づき又はS7で設定されたPostAMPの平均入力パワーの目標値に基づき、プリエンファシス制御を実行する。
【0120】
S9で、ROADM装置は、再びROADM装置間で送受信されるWDM信号回線のアラームを監視する。アラームが無い場合には、S5に戻り、ΔPEとΔtを算出して処理を繰り返す。アラームがある場合には、S10へ進む。
【0121】
S10で、S1へ戻り、PostAMPの平均入力パワーを再び初期値に設定して処理を繰り返す。
【0122】
<プリエンファシス制御量及びチルト量の算出>
図17を参照して、プリエンファシス制御量及びチルト量を算出する処理を説明する。
図17は、
図16のS5を詳しく記載したフローチャートである。
図17に示した処理は、送信側のROADM装置により行われる。
【0124】
S12で、
図11を参照して説明したように、送信側のROADM装置は受信側のROADM装置から波長単位の受信光パワーを受信する。
【0125】
S13で、PostAMP制御部909は、S12で受信した波長単位の受信光パワーの最大値と最小値の差を計算することによりチルト量Δtを算出する。
【0126】
S14、PostAMP制御部909は、現在のPostAMPの平均入力パワーに基づきプリエンファシス制御量ΔPEを算出する。
【0128】
<PostAMPの平均入力パワーの目標値の決定>
図18を参照して、PostAMPの平均入力パワーの目標値を決定する処理を説明する。
図18は、
図16のS7を詳しく記載したフローチャートである。
図17に示した処理は、送信側のROADM装置により行われる。代替として、
図14を参照して説明したように、
図17に示した処理の少なくとも一部、例えばS22〜S24はネットワーク監視装置(NMS)1401のOSNR算出部1402により行われても良い。
【0130】
S22で、
図12〜
図14を参照して説明したように、OSNR算出部910は、WDM信号が通過する経路にある全装置のASEを加算することにより、累積ASEを算出する。
【0131】
S23で、
図12〜14を参照して説明したように、OSNR算出部910は、S22で得た累積ASEを用い、上述の式(5)によりILA区間のOSNRを算出する。
【0132】
S24で、PostAMP制御部909は、
図8を用いて、S23で得たILA区間のOSNRに対応するPostAMPの平均入力パワーを決定する。
【0133】
S25で、PostAMP制御部909は、S24で得たPostAMPの平均入力パワーを目標値に設定し、プリエンファシス制御部908に通知する。
【0135】
図18では、累積ASEからOSNRを求めたが、代替として、
図15を参照して説明したようにILA区間の合計スパンロスからPostAMPの平均入力パワーを求めても良い。
【0136】
<プリエンファシス制御の実行>
図19を参照して、プリエンファシス制御を実行する処理を説明する。
図19は、
図16のS8を詳しく記載したフローチャートである。
【0138】
S32で、プリエンファシス制御部908は、
図18のS25で決定した目標値と
図17のS12で得た波長単位の受信光パワーに基づき、
図17のS13で算出したチルト量が0になるように波長毎の減衰(ATT)量を決定する。
【0139】
S33で、プリエンファシス制御部908は、S32で決定した波長毎のATT量に基づき、WSS903を制御して波長毎に適用する減衰量を調整させる。
【0141】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 送信用アンプの出力から受信側装置の受信用アンプの出力までの間の伝送品質に基づく指標に基づき送信用アンプの平均光入力パワーの目標値を決定する送信用アンプ制御部と、
前記目標値及び前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づき、波長毎に送信光パワーの調整量を決定するプリエンファシス制御部と、
を備える伝送装置。
(付記2) 前記送信用アンプ制御部は、前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づきチルト量を算出し、前記チルト量が現在のプリエンファシス制御が可能な量より大きい場合に、前記目標値を現在の送信用アンプの平均光入力パワーより低い値に決定する、付記1に記載の伝送装置。
(付記3) 前記送信用アンプ制御部は、前記指標が所定の範囲の場合に、前記目標値を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、付記1又は2に記載の伝送装置。
(付記4) 前記送信用アンプ制御部は、前記指標が示す前記伝送品質が悪いほど、前記目標値を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、付記1乃至3のいずれか一項に記載の伝送装置。
(付記5) 前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間の累積自然放出雑音(ASE)を算出するASE算出部と、
前記累積ASEに基づき前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間の光信号対雑音比(OSNR)を算出するOSNR算出部と、
を更に備え、
前記送信用アンプ制御部は、前記OSNRを前記指標として用いる、付記1乃至4のいずれか一項に記載の伝送装置。
(付記6) 前記伝送装置と前記受信側装置とその間に配置された中継装置の各々が、上流の装置から受信したASEに自装置の算出したASEを加算して下流の装置に転送し、前記ASE算出部は、前記受信側装置から転送されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記5に記載の伝送装置。
(付記7) 前記伝送装置と前記受信側装置とその間に配置された中継装置の各々が、下流の装置から受信したASEに自装置の算出したASEを加算して上流の装置に転送し、前記ASE算出部は、自装置の1つ上流の装置から転送されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記5に記載の伝送装置。
(付記8) ネットワーク監視装置が、前記伝送装置と前記受信側装置とその間に配置された中継装置の各々が算出したASEを加算して前記ASE算出部に通知し、前記ASE算出部は、前記ネットワーク監視装置から通知されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記5に記載の伝送装置。
(付記9) 前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間のスパンロスを加算することにより合計スパンロスを算出するスパンロス算出部、
を更に備え、
前記送信用アンプ制御部は、前記合計スパンロスを前記指標として用いる、付記1乃至5のいずれか一項に記載の伝送装置。
(付記10) 前記ASE又は前記スパンロスは、光監視チャネル(OSC)を介して通知される、付記5又は6に記載の伝送装置。
(付記11) 送信側装置と受信側装置とその間に配置された1以上の中継装置とを有する伝送システムであって、
前記受信側装置は、受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーをモニタして前記送信側装置に通知し、
前記送信側装置は、
送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間の伝送品質に基づく指標に基づき送信用アンプの平均光入力パワーの目標値を決定する送信用アンプ制御部と、
前記目標値及び前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づき、波長毎に送信光パワーの調整量を決定するプリエンファシス制御部と、
を備える、伝送システム。
(付記12) 前記送信用アンプ制御部は、前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づきチルト量を算出し、前記チルト量が現在のプリエンファシス制御が可能な量より大きい場合に、前記目標値を現在の送信用アンプの平均光入力パワーより低い値に決定する、付記11に記載の伝送システム。
(付記13) 前記送信用アンプ制御部は、前記指標が所定の範囲の場合に、前記目標値(801)を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、付記11又は12に記載の伝送システム。
(付記14) 前記送信用アンプ制御部は、前記指標が示す前記伝送品質が悪いほど、前記目標値を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、付記11乃至13のいずれか一項に記載の伝送システム。
(付記15) 前記送信側装置は、
前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間の累積自然放出雑音(ASE)を算出するASE算出部と、
前記累積ASEに基づき前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間の光信号対雑音比(OSNR)を算出するOSNR算出部と、
を更に備え、
前記送信用アンプ制御部は、前記OSNRを前記指標として用いる、付記11乃至14のいずれか一項に記載の伝送システム。
(付記16) 前記送信側装置と前記受信側装置と前記中継装置の各々が、上流の装置から受信したASEに自装置の算出したASEを加算して下流の装置に転送し、前記送信側装置の前記ASE算出部は、前記受信側装置から転送されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記15に記載の伝送システム。
(付記17) 前記送信側装置と前記受信側装置と前記中継装置の各々が、下流の装置から受信したASEに自装置の算出したASEを加算して上流の装置に転送し、前記送信側装置の前記ASE算出部は、前記送信側装置の1つ上流の装置から転送されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記15に記載の伝送システム。
(付記18) ネットワーク監視装置を更に備え、
前記伝送装置と前記受信側装置と前記中継装置の各々は、前記ネットワーク監視装置に各装置の算出したASEを通知し、
前記ネットワーク監視装置は、通知されたASEを加算して前記送信側装置のASE算出部に通知し、
前記ASE算出部は、前記ネットワーク監視装置から通知されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記15に記載の伝送システム。
(付記19) 前記送信側装置は、
前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間のスパンロスを加算することにより合計スパンロスを算出するスパンロス算出部、
を更に備え、
前記送信用アンプ制御部は、前記合計スパンロスを前記指標として用いる、付記11乃至15のいずれか一項に記載の伝送システム。
(付記20) 前記ASE又は前記スパンロスは、光監視チャネル(OSC)を介して通知される、付記15又は16に記載の伝送システム。
(付記21) 伝送装置の送信用アンプの平均光入力パワーを制御する方法であって、前記伝送装置の送信用アンプ制御部により、前記送信用アンプの出力から受信側装置の受信用アンプの出力までの間の伝送品質に基づく指標に基づき前記送信用アンプの平均光入力パワーの目標値を決定し、
前記目標値及び前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づき、波長毎に送信光パワーの調整量を決定する、
ことを特徴とする制御方法。
(付記22) 前記送信用アンプ制御部により、前記受信用アンプの出力における波長単位の受信光パワーに基づきチルト量を算出し、
前記目標値の決定は、前記送信用アンプ制御部により、前記チルト量が現在のプリエンファシス制御が可能な量より大きい場合に、前記目標値を現在の送信用アンプの平均光入力パワーより低い値に決定する、付記21に記載の方法。
(付記23) 前記目標値の決定は、前記送信用アンプ制御部により、前記指標が所定の範囲の場合に、前記目標値を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、付記21又は22に記載の方法。
(付記24) 前記目標値の決定は、前記送信用アンプ制御部により、前記指標が示す前記伝送品質が悪いほど、前記目標値を現在の平均光入力パワーより低い値に決定する、付記21乃至23のいずれか一項に記載の方法。
(付記25) 前記伝送装置の前記自然放出雑音(ASE)算出部により、前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間の累積ASEを算出し、
前記伝送装置の光信号対雑音比(OSNR)算出部により、前記累積ASEに基づき前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間のOSNRを算出し、
前記送信用アンプ制御部は、前記OSNRを前記指標として用いる、付記21乃至24のいずれか一項に記載の方法。
(付記26) 前記伝送装置と前記受信側装置とその間に配置された中継装置の各々が、上流の装置から受信したASEに自装置の算出したASEを加算して下流の装置に転送し、
前記ASE算出部は、前記受信側装置から転送されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記25に記載の方法。
(付記27) 前記伝送装置と前記受信側装置とその間に配置された中継装置の各々が、下流の装置から受信したASEに自装置の算出したASEを加算して上流の装置に転送し、
前記ASE算出部は、自装置の1つ上流の装置から転送されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記25に記載の方法。
(付記28) ネットワーク監視装置が、前記伝送装置と前記受信側装置とその間に配置された中継装置の各々が算出したASEを加算して前記ASE算出部に通知し、
前記ASE算出部は、前記ネットワーク監視装置から通知されたASEを前記累積ASEとして用いる、付記25に記載の方法。
(付記29) 前記伝送装置のスパンロス算出部により、前記送信用アンプの出力から前記受信側装置の受信用アンプの出力までの間のスパンロスを加算することにより合計スパンロスを算出し、
前記送信用アンプ制御部は、前記合計スパンロスを前記指標として用いる、付記21乃至25のいずれか一項に記載の方法。
(付記30) 前記ASE又は前記スパンロスは、光監視チャネル(OSC)を介して通知される、付記25又は26に記載の方法。