特許第6036503号(P6036503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036503
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】コネクタカバーおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20161121BHJP
   H01R 43/24 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H01R4/70 B
   H01R43/24
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-83200(P2013-83200)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2014-207099(P2014-207099A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−019201(JP,A)
【文献】 特開2005−340059(JP,A)
【文献】 特開2002−321233(JP,A)
【文献】 特開昭60−105118(JP,A)
【文献】 特開昭59−001365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/70
H01R 43/24
B29C 41/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスにおける電線群の各端末に取り付けられるコネクタカバーであって、
所定の内径寸法を有する貫通孔が浸漬方向に形成された金型を熱可塑性樹脂の溶液中に浸漬させて引き上げるディッピングによる成形がなされ
前記ディッピング時に前記金型の前記貫通孔の内面に付着して成形されることで前記金型からの離型後の外径が規定された外面を有していることを特徴とするコネクタカバー。
【請求項2】
大径のコネクタ被覆部と、小径の電線被覆部と、前記電線被覆部および前記コネクタ被覆部を連続して一体的に連結する連結部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタカバー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタカバーを製造する方法であって、
前記金型を予熱し、
前記金型を前記熱可塑性樹脂の溶液中に浸漬させ、前記金型の外面と前記貫通孔の内面とに前記樹脂を付着させて引き上げ、
前記付着した前記樹脂をゲル化処理して成形される前駆体を前記金型より離型し、
前記前駆体のうちの余分を切離することによって前記コネクタカバーを製造することを特徴とするコネクタカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスのコネクタなどを保護するためのコネクタカバーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤーハーネスにおけるコネクタや端子を保護するために使用されているカバー類を製造する方法として、雄形の成形金型を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、予熱した雄形成形金型を、発泡剤を添加した熱可塑性樹脂のペーストゾルに浸漬し、そのペーストゾルを雄形成形金型の表面に一様に付着させて引き上げるとともに、雄形成形金型を加熱して付着したペーストゾルをゲル化させると同時に発砲させ、しかる後、冷却し、離型し、前駆体である成形物を成形する。そして、離型した成形物から余分を切離することで、所望の形状を有するコネクタカバーを得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−105118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の製造方法では、金型の表面(外周面)に熱可塑性樹脂のペーストゾルを付着させることで、所望の成形物を成形するものであるため、得られるコネクタカバーの内側の面(金型と接する内表面)については金型の寸法そのままに成形されるものの、カバーの外側の面(外表面)の寸法についてはゾルが付着する量に応じてばらつきが出るという問題があった。
【0006】
すなわち、上記した文献1に記載の方法により得られるコネクタカバーは、内表面側の寸法(内径寸法)は金型の寸法に応じた寸法で出来上がるが、外表面側の寸法(外径寸法)は付着するゾルの量に左右されるため、肉厚のばらつきなどによって、一定の寸法を出すのが難しいという問題があった。
【0007】
特に、車輌の電気接続などに使用されるワイヤーハーネスにおいては、狭い空間などに配索する場合に、コネクタカバーの外径寸法を高精度に制御することが今後はますます重要になってくる。
【0008】
また、上記した文献1に記載の方法において、熱可塑性樹脂のペーストゾルとしてPVC(ポリ塩化ビニル)を用いるようにした場合、得られるコネクタカバーの外表面は光沢面となる。このようなコネクタカバーを、例えば、車輌の見える部位に使用するようにした場合、光沢面が"テカリ"となって目立つため、車輌用としてはあまり好まれないという問題があった。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、外径寸法を高精度に制御することができるとともに、外表面のテカリを抑制することが可能なコネクタカバーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコネクタカバーは、ワイヤーハーネスにおける電線群の各端末に取り付けられるコネクタカバーであって、所定の内径寸法を有する貫通孔が浸漬方向に形成された金型を熱可塑性樹脂の溶液中に浸漬させて引き上げるディッピングによる成形がなされ前記ディッピング時に前記金型の前記貫通孔の内面に付着して成形されることで前記金型からの離型後の外径が規定された外面を有している
【0011】
この構成により、本発明に係るコネクタカバーにおいては、その外径寸法を金型の貫通孔の所定の内径寸法に対応したものとすることができるとともに、外表面を梨地面(シボ面)または艶消し面とすることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るコネクタカバーは、大径のコネクタ被覆部と、小径の電線被覆部と、前記電線被覆部および前記コネクタ被覆部を連続して一体的に連結する連結部と、を有する構成としてもよい。
【0013】
この構成により、本発明に係るコネクタカバーにおいては、貫通孔の形状に応じて、所望の形状とすることができ、ワイヤーハーネスにおいて、コネクタなどを保護するためのコネクタカバーとして好適となる。
【0014】
また、本発明に係るコネクタカバーの製造方法は、請求項1または2に記載のコネクタカバーを製造する方法であって、前記金型を予熱し、前記金型を前記熱可塑性樹脂の溶液中に浸漬させ、前記金型の外表面部と前記貫通孔の内表面部とに前記樹脂を付着させて引き上げ、前記付着した前記樹脂をゲル化処理して成形される前駆体を前記金型より離型し、前記前駆体のうちの余分を切離することによって前記コネクタカバーを製造する構成とされている。
【0015】
この構成により、本発明に係るコネクタカバーの製造方法においては、コネクタカバーの外径寸法を金型の貫通孔の所定の内径寸法に対応させることができるとともに、コネクタカバーの外表面を梨地面または艶消し面とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外径寸法を高精度に制御することができるとともに、外表面のテカリを抑制することが可能なコネクタカバーおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタカバーを示す断面図である。
図2図1に示したコネクタカバーの製造方法について説明するために示す図である。
図3】本発明の他の実施の形態に係るコネクタカバーを示す断面図である。
図4図3に示したコネクタカバーの製造方法について説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係るコネクタ(DIP)カバーを示すものである。
【0020】
図1に示すように、コネクタカバー10は、図示していないワイヤーハーネスの電線群の各端末に接続された端子を挿入係止したコネクタに被覆される大径のコネクタ被覆部10aと、電線群に被覆される小径の電線被覆部10bと、コネクタ被覆部10aおよび電線被覆部10bを連続して一体的に連結する連結部10cと、を有している。
【0021】
このコネクタカバー10は、後述する成形金型21を用いて製造されることにより、その外径寸法が該金型21の貫通孔22の所定の内径寸法に対応したものとされるとともに、外周部の表面(外周面)がシボのかかった梨地面または艶消し面となっている。
【0022】
このような構成により、コネクタカバー10は、その外径寸法を高精度に制御することが容易に可能となるため、例えば車輌の電気接続などに使用されるワイヤーハーネスを狭い空間に配索する場合などに用いて好適となる。
【0023】
また、コネクタカバー10は、例えばPVCを用いて製造するようにした場合にも、その外周面が光沢面となるのを防ぐことができるため、特に、車輌の見える部位への使用に際しても"テカリ"を抑えることが可能となる。
【0024】
図2は、図1に示したコネクタカバー10の製造方法を説明するために示すものである。なお、同図(a)は本実施の形態に係るコネクタカバー10の製造に用いる成形金型21の斜視図であり、同図(b)は該成形金型21の断面図、同図(c)は成形金型21および前駆体110の断面図、同図(d)は前駆体110の断面図である。
【0025】
図2(a)および図2(b)に示すように、まず、雌型(凹型)の成形金型21を用意する。この成形金型21には、略中心部にディッピングの際の浸漬方向に沿って予め貫通孔22が形成されている。
【0026】
貫通孔22は、製造するコネクタカバー10の外径寸法に対応する所定の内径寸法を有している。すなわち、本実施の形態において、貫通孔22は、コネクタ被覆部10aの外径寸法に対応する内径寸法を有する貫通孔部22aと、電線被覆部10bの外径寸法に対応する内径寸法を有する貫通孔部22bと、連結部10cの外径寸法に対応する内径寸法を有する貫通孔部22cと、を備えている。
【0027】
また、貫通孔22の内周部の表面(内表面)には、例えば艶消し処理または梨地面を形成するためのシボ加工が施されている。
【0028】
このような成形金型21を所定の温度で予熱しておき、例えば熱可塑性樹脂であるPVCの溶液中に、予熱された成形金型21を下方より貫通孔22の開孔方向(浸漬方向)に所定の深さまでディッピングする。
【0029】
これにより、溶液中から引き上げられた成形金型21の周辺部、つまり、該金型21の外表面部および貫通孔22の内表面部には一様に所定の厚さを有して、コネクタカバー10の前駆体110となる樹脂が付着しており、該金型21を加熱して付着した樹脂をゲル化処理した後、冷却する(図2(c)参照)。
【0030】
こうして、成形された前駆体110を成形金型21より離型させ(図2(d)参照)、しかる後、切離部40に沿って前駆体110のうちの余分(図示破線部分)111を切離することにより、最終的に、図1に示したコネクタカバー10を製造する。
【0031】
本実施の形態に係るコネクタカバー10は、成形金型21の貫通孔22の内表面22fの寸法(内径寸法)によって、外径寸法が規制されることになる。すなわち、上記した方法によって製造されるコネクタカバー10は、その外径寸法を成形金型21の貫通孔22の所定の内径寸法に対応させることができるため、コネクタカバー10の外径寸法を高精度に制御することが可能となる。
【0032】
これにより、たとえ樹脂の自重などによって肉厚が部分的に異なったとしても、製造条件によらず、製造されるコンタクトカバー10の外径寸法を常に一定に維持することができる。
【0033】
したがって、該コネクタカバー10は、車輌の電気接続などに使用されるワイヤーハーネスを狭い空間などに配索する場合において、コネクタなどを保護するためのカバーとして特に好適となる。
【0034】
また、コネクタカバー10は、製造時、樹脂が成形金型21の貫通孔22の内表面部に接するので、樹脂にPVCを用いるようにした場合にも、コネクタカバー10の外表面10fを梨地面または艶消し面とすることができ、"テカリ"を防ぐことが可能となる。
【0035】
すなわち、該コネクタカバー10は、成形金型21の貫通孔22の内表面部に樹脂が付着することで形成されるものであるため、貫通孔22の内表面部に艶消し処理またはシボ加工を施しておくことにより、例えば特殊な材料(樹脂)や後工程を必要とすることなく、車輌の見える部位に使用するようにした場合にも好適である。
【0036】
なお、製造されるコネクタカバーとしては、上記した実施の形態として示したコネクタカバー10に限定されるものではなく、用意された成形金型21における貫通孔22の個数、貫通孔22の内径寸法、あるいは、貫通孔22の形状などに応じて、各種のコネクタカバーを製造することができる。
【0037】
図3および図4は、本実施の他の形態に係るコネクタカバーおよびその製造方法について示すものである。
【0038】
ここでは、サイズの異なる二種類のコネクタカバーを同時に製造するようにした場合を例に説明する。なお、図3および図4において、上記した図1および図2と同一部分については同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0039】
因みに、図3(a)は本実施の他の形態に係るコネクタカバー10の断面図であり、上記した本実施の形態に係るコネクタカバー10(図1参照)と同一のものである。同図(b)は、同じく本実施の他の形態に係るコネクタカバー11の断面図である。図4(a)は、本実施の他の形態に係るコネクタカバー10,11の製造に用いる成形金型31の斜視図であり、同図(b)は該成形金型31の断面図、同図(c)は成形金型31および前駆体110の断面図、同図(d)は成形金型31および前駆体110の斜視図、同図(e)は前駆体110の断面図である。
【0040】
すなわち、本実施の他の形態において、成形金型31は、図2に示した雌型の成形金型21の外周面部を、コネクタカバー10とはサイズの異なるコネクタカバー11を製造するための雄型(凸型)金型として利用するようにしたものであって、該成形金型31を用いることによって、コネクタカバー10,11を同時に製造することが可能となる。
【0041】
より具体的には、成形金型31には、図4(a)および図4(b)に示すように、略中心部にディッピングの際の浸漬方向に沿って予め上記した貫通孔22が形成されている。また、成形金型31の外表面部には、製造するコネクタカバー11のコネクタ被覆部11aの内径寸法に対応する外径寸法を有する外周面部32aと、電線被覆部11bの内径寸法に対応する外径寸法を有する外周面部32bと、連結部11cの内径寸法に対応する外径寸法を有する外周面部32cと、が設けられている。
【0042】
このような成形金型31を所定の温度で予熱しておき、例えば熱可塑性樹脂であるPVCの溶液中に、予熱された成形金型31を下方より貫通孔22の開孔方向(浸漬方向)に所定の深さまでディッピングする。
【0043】
これにより、溶液中から引き上げられた成形金型31の外表面部および貫通孔22の内表面部に一様に所定の厚さを有して付着する、コネクタカバー10,11の前駆体110となる樹脂をゲル化処理した後、冷却する(図4(c)および図4(d)参照)。
【0044】
こうして、成形された前駆体110を成形金型31より離型させ(図4(e)参照)、しかる後、切離部40に沿って前駆体110のうちの余分(図示破線部分)111を切離することにより、最終的に、図3(a)に示したコネクタカバー10と図3(b)に示したコネクタカバー11とを同時に製造する。
【0045】
本実施の他の形態によれば、車輌の電気接続などに使用されるワイヤーハーネスにおいて、コネクタなどを保護するためのカバーとして好適なコネクタカバー10と、このコネクタカバー10よりも大型サイズのコネクタカバー11と、を同時に得ることが可能である。
【0046】
なお、上記した本実施の形態および他の形態においては、コネクタカバーの製造に限定されるものでないことは勿論である。
【0047】
以上説明したように、本発明に係るコネクタカバーおよびその製造方法は、外径寸法を高精度に制御することができるとともに、外表面のテカリを抑制することができるという効果を有し、ワイヤーハーネスのコネクタなどを保護するためのコネクタカバーおよびその製造方法の全般に有用である。
【符号の説明】
【0048】
10,11 コネクタカバー
10a,11a コネクタ被覆部
10b,11b 電線被覆部
10c,11c 連結部
10f 外表面(外面)
21,31 成形金型
22 貫通孔
22a,22b,22c 貫通孔部
22f 内表面(貫通孔の内面)
32a,32b,32c 外周面部
40 切離部
110 前駆体
111 余分
図1
図2
図3
図4