特許第6036538号(P6036538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036538
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20161121BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20161121BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20161121BHJP
   B62D 121/00 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D5/04
   B62D101:00
   B62D119:00
   B62D121:00
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-103240(P2013-103240)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-223832(P2014-223832A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】玉泉 晴天
(72)【発明者】
【氏名】益 啓純
(72)【発明者】
【氏名】喜多 政之
(72)【発明者】
【氏名】並河 勲
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 純
(72)【発明者】
【氏名】西村 昭彦
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/133590(WO,A1)
【文献】 特開2006−151360(JP,A)
【文献】 特開2009−090953(JP,A)
【文献】 特開2002−369565(JP,A)
【文献】 特開2008−213643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 101/00−137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵機構にモータのアシストトルクを付与するアシスト機構と、
前記アシストトルクの目標値に対応するアシスト指令値に基づいて前記モータの駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
車両のステアリング操作に伴い前記操舵機構に付与される操舵トルクに基づいて前記アシストトルクの基礎成分である第1アシスト成分を演算する基本アシスト成分演算部と、
前記操舵トルク及び前記第1アシスト成分の加算値を基礎とする基本駆動トルクに基づいて前記操舵トルクの目標値であるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部と、
前記操舵トルクを前記トルク指令値に追従させるトルクフィードバック制御の実行によりアシスト補償成分を演算するトルクフィードバック制御部と、
前記基本駆動トルク及び前記アシスト補償成分の加算値に基づいて車両の転舵輪の転舵角の目標値に対応する転舵角指令値を演算する転舵角指令値演算部と、
前記転舵輪の実際の転舵角を前記転舵角指令値に追従させる転舵角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する転舵角フィードバック制御部と、
前記第1アシスト成分及び前記第2アシスト成分の加算値を基礎として前記アシスト指令値を演算するアシスト指令値演算部と、を有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御部は、
車両に設けられた検出部を通じて検出される検出値に基づいて前記トルク指令値の補償値を演算するトルク指令値補償部を更に有し、
前記トルクフィードバック制御部は、
前記補償値を用いて補償されたトルク指令値に前記操舵トルクを追従させるトルクフィードバック制御の実行により前記アシスト補償成分を演算することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記検出部は、
前記転舵輪に作用する路面反力に対応したパラメータを検出する路面反力検出部であり、
前記トルク指令値補償部は、
前記路面反力に対応したパラメータに基づいて前記補償値を演算することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の操舵機構にモータからのアシストトルクを付与することにより運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置が知られている。従来、この種の電動パワーステアリング装置としては特許文献1に記載の装置がある。
【0003】
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、操舵トルク及び操舵角に基づいて入力トルクを演算する入力トルク生成部と、入力トルク演算部で演算された入力トルクに基づいて目標操舵角(目標転舵角)を設定する仮想ステアリングモデルとを備えている。そして、この電動パワーステアリング装置は、仮想ステアリングモデルにより設定された目標操舵角に実際の操舵角(転舵角)を追従させるフィードバック制御の実行を通じてモータの駆動を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−151360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、車両の運転状態に関わらず車両の実際の転舵角が目標転舵角に追従するため、運転者は運転状態に応じた操舵感を得ることができない。このことが操舵感の悪化を招く一つの要因となっている。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、転舵角フィードバック制御を実行しつつ、運転者の操舵感を向上させることのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動パワーステアリング装置は、車両の操舵機構にモータのアシストトルクを付与するアシスト機構と、前記アシストトルクの目標値に対応するアシスト指令値に基づいて前記モータの駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、車両のステアリング操作に伴い前記操舵機構に付与される操舵トルクに基づいて前記アシストトルクの基礎成分である第1アシスト成分を演算する基本アシスト成分演算部と、前記操舵トルク及び前記第1アシスト成分の加算値を基礎とする基本駆動トルクに基づいて前記操舵トルクの目標値であるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部と、前記操舵トルクを前記トルク指令値に追従させるトルクフィードバック制御の実行によりアシスト補償成分を演算するトルクフィードバック制御部と、前記基本駆動トルク及び前記アシスト補償成分の加算値に基づいて車両の転舵輪の転舵角の目標値に対応する転舵角指令値を演算する転舵角指令値演算部と、前記転舵輪の実際の転舵角を前記転舵角指令値に追従させる転舵角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する転舵角フィードバック制御部と、前記第1アシスト成分及び前記第2アシスト成分の加算値を基礎として前記アシスト指令値を演算するアシスト指令値演算部と、を有する。
【0008】
この構成によれば、トルク指令値演算部は、基本駆動トルクに対する適切なトルク指令値を、すなわち適切な操舵トルクの目標値を設定することができる。したがってトルクフィードバック制御の実行を通じて生成されるアシスト補償成分は、運転者の操舵トルクを、基本駆動トルクに応じた適切な操舵トルクに維持させるようなアシストトルクに対応した値となる。一方、上記構成のように、転舵角指令値演算部の入力情報である基本駆動トルクに対してアシスト補償成分を加算する補正を施した場合、転舵角指令値演算部で演算される転舵角指令値をトルク指令値に対応させた値にすることができる。また、転舵角指令値は、基本駆動トルクに対するアシスト補償成分の補正分だけ変化することになる。この転舵角指令値の変化により転舵角フィードバック制御部で演算される第2アシスト成分が変化し、これによりアシスト指令値が変化する。すなわちアシスト補償成分の変化はアシスト指令値の変化として表れることになる。結果的に、アシスト補償成分に対応するアシストトルク、換言すれば運転者の操舵トルクを、基本駆動トルクに応じた適切な操舵トルクに維持させるようなアシストトルクが操舵機構に付与されることになる。そのため運転者の操舵感を向上させることができる。
【0009】
そして上記電動パワーステアリング装置について、前記制御部は、車両に設けられた検出部を通じて検出される検出値に基づいて前記トルク指令値の補償値を演算するトルク指令値補償部を更に有し、前記トルクフィードバック制御部は、前記補償値を用いて補償されたトルク指令値に前記操舵トルクを追従させるトルクフィードバック制御の実行により前記アシスト補償成分を演算することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、検出部が例えば車両の状態量を検出するものである場合、検出部の検出対象である車両の状態量が変化すると、補償値が変化し、その変化分だけトルク指令値が変化する。すなわち操舵トルクの目標値が変化する。またトルク指令値の変化に伴いアシスト補償成分が変化するため、結局、アシスト指令値が変化する。このように、上記構成によれば、車両の状態量の変化に伴いアシスト指令値が変化する。すなわち操舵機構に付与されるアシストトルクは車両の状態量に応じて変化するため、このアシストトルクの変化を通じて運転者は車両の状態に応じた操舵感を得ることができる。そのため運転者の操舵感を向上させることができる。
【0011】
また上記電動パワーステアリング装置について、前記検出部は、前記転舵輪に作用する路面反力に対応したパラメータを検出する路面反力検出部であり、前記トルク指令値補償部は、前記路面反力に対応したパラメータに基づいて前記補償値を演算することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、運転者は、車両の状態に応じた操舵感として、路面状態に応じた操舵感を得ることができるため、路面状態を把握し易くなる。そのため運転者の操舵感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この電動パワーステアリング装置によれば、転舵角フィードバック制御を実行しつつ、運転者の操舵感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電動パワーステアリング装置の第1実施形態についてその概略構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態の電動パワーステアリング装置についてその制御装置の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態の制御装置の制御ブロック図。
図4】操舵トルクThと第1アシスト成分Ta1*との関係を示すマップの一例を示すグラフ。
図5】基本駆動トルクTcとトルク指令値Th*との関係を示すマップの一例を示すグラフ。
図6】第1実施形態の比較例である電動パワーステアリング装置の制御装置の制御ブロック図。
図7】電動パワーステアリング装置の第2実施形態についてその制御装置の制御ブロック図。
図8】第2実施形態の制御装置についてそのトルク指令値補償部の制御ブロック図。
図9】第2実施形態のトルク指令値演算部についてそのフィルタ部の通過周波数帯域の一例を示すグラフ。
図10】電動パワーステアリング装置の変形例についてその制御装置の制御ブロック図。
図11】電動パワーステアリング装置の他の変形例についてそのトルク指令値補償部の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、図1図6を参照して、電動パワーステアリング装置の第1実施形態について説明する。
【0016】
図1に示すように、この電動パワーステアリング装置は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づき転舵輪3を転舵させる操舵機構1、及び運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構2を備えている。
【0017】
操舵機構1は、ステアリングホイール10の回転軸となるステアリングシャフト11を備えている。ステアリングシャフト11の下端部にはラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13が連結されている。操舵機構1では、運転者のステアリング操作に伴いステアリングシャフト11が回転すると、その回転運動がラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13の軸方向の往復直線運動に変換される。このラックシャフト13の往復直線運動がその両端に連結されたタイロッド14を介して転舵輪3に伝達されることにより転舵輪3の転舵角θtが変化し、車両の進行方向が変更される。
【0018】
アシスト機構2は、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与するモータ20を備えている。モータ20はブラシレスモータからなる。このモータ20の回転が減速機構21を介してステアリングシャフト11に伝達されることによりステアリングシャフト11にモータトルクが付与され、ステアリング操作が補助される。
【0019】
この電動パワーステアリング装置には、ステアリングホイール10の操作量や車両の状態量を検出する各種センサが設けられている。例えばステアリングシャフト11には、運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト11に付与されるトルク(操舵トルク)Thを検出するトルクセンサ5が設けられている。車両には、その走行速度Vを検出する車速センサ6が設けられている。モータ20には、その回転角θmを検出する回転角センサ7が設けられている。これらのセンサの出力は制御装置(制御部)4に取り込まれる。制御装置4は各センサの出力に基づいてモータ20の駆動を制御する。
【0020】
図2に示すように、制御装置4は、車載バッテリ等の電源(電源電圧「+Vcc」)から供給される直流電力を三相(U相、V相、W相)の交流電力に変換するインバータ回路40、及びインバータ回路40をPWM(パルス幅変調)駆動するマイコン41を備えている。
【0021】
インバータ回路40は、マイコン41からのPWM駆動信号に基づいて三相交流電力を生成する。この三相交流電力は給電線WLを介してモータ20に供給される。給電線WLには、同給電線WLを流れる各相電流値Iを検出する電流センサ42が設けられている。なお図2では、便宜上、各相の給電線WL及び各相の電流センサ42をそれぞれ一つにまとめて図示している。電流センサ42の出力はマイコン41に取り込まれる。
【0022】
マイコン41には、トルクセンサ5、車速センサ6、及び回転角センサ7のそれぞれの出力も取り込まれる。マイコン41は、各センサにより検出される操舵トルクTh、車速V、モータ回転角θm、及び各相電流値Iに基づいてPWM駆動信号を生成する。マイコン41は、このPWM駆動信号をインバータ回路40に出力することによりインバータ回路40をPWM駆動し、モータ20の駆動を制御する。
【0023】
次に、マイコン41によるモータ20の駆動制御について詳述する。
図3に示すように、マイコン41は、操舵トルクTh、車速V、及びモータ回転角θmに基づいてアシスト指令値Tas*を演算するアシスト指令値演算部50を有している。なおアシスト指令値Tas*は、モータ20からステアリングシャフト11に付与されるアシストトルクの目標値に対応するパラメータである。
【0024】
アシスト指令値演算部50は、アシスト指令値Tas*の基礎成分である第1アシスト成分Ta1*を演算する基本アシスト成分演算部51を有している。基本アシスト成分演算部51は、例えば図4に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて操舵トルクThの絶対値が大きくなるほど、また車速Vが遅くなるほど第1アシスト成分Ta1*の絶対値をより大きな値に設定する。なお、操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1*のそれぞれの正負の符号は、ステアリングホイール10の右操舵時の方向を正に、左操舵時の方向を負にそれぞれ設定されている。そして図3に示すように、基本アシスト成分演算部51は、演算した第1アシスト成分Ta1*を加算器52に出力する。加算器52は、基本アシスト成分演算部51で演算された第1アシスト成分Ta1*と操舵トルクThとを加算することで基本駆動トルクTc(=Ta1*+Th)を求め、求めた基本駆動トルクTcをトルク指令値演算部53に出力する。
【0025】
トルク指令値演算部53は、基本駆動トルクTcに基づいてトルク指令値Th*を演算する。トルク指令値Th*は、操舵トルクThの目標値に対応するパラメータである。具体的には、トルク指令値演算部53は、例えば図5に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて基本駆動トルクTcの絶対値が大きくなるほど、トルク指令値Th*の絶対値をより大きい値に設定する。そして図3に示すように、トルク指令値演算部53は、演算したトルク指令値Th*をトルクフィードバック制御部54に出力する。
【0026】
トルクフィードバック制御部54には、トルク指令値演算部53からのトルク指令値Th*と共に、操舵トルクThが取り込まれる。トルクフィードバック制御部54は、トルク指令値Th*に操舵トルクThを追従させるべく、それらの偏差に基づくフィードバック制御を行うことによりアシスト補償成分Tacを演算する。トルクフィードバック制御部54は、演算したアシスト補償成分Tacを加算器55に出力する。加算器55は、加算器52で演算された基本駆動トルクTcに、トルクフィードバック制御部54で演算されたアシスト補償成分Tacを加算することで基本駆動トルクTcに補正を施し、補正後の基本駆動トルクTcc(=Tc+Tac)を転舵角指令値演算部56に出力する。
【0027】
転舵角指令値演算部56は、補正後の基本駆動トルクTccから理想モデルに基づいて転舵角指令値θt*を演算する。転舵角指令値θt*は、転舵輪3の転舵角θtの目標値に対応するパラメータである。理想モデルは、基本駆動トルクTcに応じた理想的な転舵角を予め実験などにより測定し、その測定結果をモデル化したものである。転舵角指令値演算部56は、理想モデルに基づいて演算した転舵角指令値θt*を転舵角フィードバック制御部57に出力する。
【0028】
一方、アシスト指令値演算部50は、モータ回転角θmに基づいて転舵輪3の実際の転舵角(実転舵角)θtを演算する転舵角演算部58を有している。図1に示すように、モータ20は減速機構21を介してステアリングシャフト11に連結されているため、モータ回転角θmとステアリングシャフト11の回転角との間には相関関係がある。したがってモータ回転角θmと転舵輪3の転舵角θtとの間にも相関関係がある。図3に示す転舵角演算部58は、こうした相関関係を利用した演算によりモータ回転角θmから実転舵角θtを求め、求めた実転舵角θtを転舵角フィードバック制御部57に出力する。
【0029】
転舵角フィードバック制御部57は、転舵角演算部58で演算された転舵角θtを、転舵角指令値演算部56で演算された転舵角指令値θt*に追従させるべく、それらの偏差に基づくフィードバック制御を行うことにより第2アシスト成分Ta2*を演算する。転舵角フィードバック制御部57は、演算した第2アシスト成分Ta2*を加算器59に出力する。加算器59は、基本アシスト成分演算部51で演算された第1アシスト成分Ta1*と、転舵角フィードバック制御部57で演算された第2アシスト成分Ta2*とを加算することでアシスト指令値Tas*(=Ta1*+Ta2*)を求める。そしてアシスト指令値演算部50は、加算器59で演算されたアシスト指令値Tas*を演算結果として電流指令値演算部60に出力する。
【0030】
電流指令値演算部60はアシスト指令値Tas*に基づいてd/q座標系におけるq軸上の電流指令値Iq*を演算し、このq軸電流指令値Iq*を制御信号生成部70に出力する。なお本実施形態では、d軸上の電流指令値Id*が「0」に設定されており、電流指令値演算部60は、このd軸電流指令値Id*も制御信号生成部70に出力する。
【0031】
制御信号生成部70には、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*と共に、各相電流値I及びモータ回転角θmが取り込まれる。制御信号生成部70は、モータ回転角θmに基づいて各相電流値Iをd/q座標上に写像することにより、d/q座標系におけるモータ20の実際の電流値であるd軸電流値及びq軸電流値を演算する。そして制御信号生成部70は、d軸電流値をd軸電流指令値Id*に追従させるべく、またq軸電流値をq軸電流指令値Iq*に追従させるべく、それぞれの偏差に基づく電流フィードバック制御を行うことによりPWM駆動信号を生成する。このPWM駆動信号がマイコン41からインバータ回路40に出力されることによりモータ20にPWM駆動信号に応じた駆動電力が供給され、アシスト指令値Tas*に応じたアシストトルクがモータ20からステアリングシャフト11に付与されるアシスト制御が実行される。
【0032】
次に本実施形態の電動パワーステアリング装置の作用について説明する。
本実施形態では、図3に示すように、転舵角フィードバック制御により生成される第2アシスト成分Ta2*がアシスト指令値Tas*に含まれているため、アシスト指令値Tas*に基づくアシストトルクがステアリングシャフト11に付与されると、実転舵角θtが転舵角指令値θt*に維持される。そのため路面状態やブレーキングなどに起因して操舵機構1に発生する逆入力振動を抑制することができる。すなわち転舵輪3から操舵機構1に逆入力振動が伝達される場合であれ、実転舵角θtが転舵角指令値θt*に維持されるように第2アシスト成分Ta2*が調整される。その結果、操舵機構1に対して逆入力振動を打ち消す方向に操舵補助が行われる。これにより操舵機構1の振動を抑制することができるため、運転者の操舵感を向上させることができる。
【0033】
また本実施形態では、転舵角指令値演算部56の理想モデルに基づいて転舵角指令値θt*が定まる。すなわち運転者の操舵感が理想モデルに基づいて定まる。したがって理想モデルを適宜調整すれば、所望の操舵感を実現することができる。
【0034】
さらに本実施形態のトルク指令値演算部53は、図5に示すマップに基づいて、基本駆動トルクTcに対する適切な操舵トルクThの目標値を設定する。したがってトルクフィードバック制御を通じて生成されるアシスト補償成分Tacは、運転者の操舵トルクThを、基本駆動トルクTcに応じた適切な操舵トルクに維持させるようなアシストトルクに対応した値となる。一方、本実施形態では、転舵角指令値演算部56の入力情報である基本駆動トルクTcに対してアシスト補償成分Tacを加算する補正を施している。これにより転舵角指令値演算部56で演算される転舵角指令値θt*は、基本駆動トルクTcに対するアシスト補償成分Tacの補正分だけ変化することになる。この転舵角指令値θt*の変化により、転舵角フィードバック制御部57で演算される第2アシスト成分Ta2*が変化し、アシスト指令値Tas*が変化する。すなわちアシスト指令値Tas*はアシスト補償成分Tacの変化に応じて変化することになる。結果的に、アシスト補償成分Tacに対応するアシストトルク、換言すれば運転者の操舵トルクThを、基本駆動トルクTcに応じた適切な操舵トルクに維持させるようなアシストトルクがステアリングシャフト11に付与されることになる。そのため運転者の操舵感を向上させることができる。
【0035】
ところで、図6に示すように、アシスト指令値Tas*として、基本アシスト成分演算部51で演算される第1アシスト成分Ta1*、転舵角フィードバック制御部57で演算される第2アシスト成分Ta2*、及びトルクフィードバック制御部54で演算されるアシスト補償成分Tacの総和を用いるという方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、転舵角指令値θt*及びトルク指令値Th*がそれぞれとは関係なく独立に設定されてしまう。そのため、図6に示されるアシスト指令値Tas*に基づきアシスト制御を行ったとしても、実転舵角θtを目標値である転舵角指令値θt*に追従させるための第2アシスト成分Ta2*の影響により、操舵トルクThを目標値であるトルク指令値Th*に追従させることが困難となる。また、逆に、操舵トルクThを目標値であるトルク指令値Th*に追従させるためのアシスト補償成分Tacの影響により、実転舵角θtを目標値である転舵角指令値θt*に追従させることが困難となる。また、このようにアシスト指令値Tas*に第2アシスト成分Ta2*及びアシスト補償成分Tacの両者が含まれている場合、アシスト制御系が不安定になるおそれがある。すなわち、転舵角フィードバック制御系から見れば、アシスト指令値Tas*に含まれるアシスト補償成分Tacが外乱となって収束性を確保できない可能性がある。また、トルクフィードバック制御系からみれば、アシスト指令値Tas*に含まれる第2アシスト成分Ta2*が外乱となって収束性を確保できない可能性がある。そして、こうした各フィードバック制御の干渉がアシスト制御系の不安定化を招く要因となる。
【0036】
この点、本実施形態では、図3に示すように、トルクフィードバック制御部54の制御量であるアシスト補償成分Tacを、転舵角指令値演算部56の入力値である基本駆動トルクTcに加算しているため、転舵角フィードバック制御部57は、トルクフィードバック制御の制御量を踏まえたかたちで転舵角フィードバック制御を行うことになる。すなわち、転舵角指令値θt*がトルク指令値Th*に対応するように設定される。そのため、図3に示されるアシスト指令値Tas*に基づきアシスト制御を行うことにより、操舵トルクThを目標値であるトルク指令値Th*に追従させるとともに、実転舵角θtを目標値である転舵角指令値θt*に追従させることが可能になる。また、これによりトルクフィードバック制御と転舵角フィードバック制御との干渉を回避することができるため、各フィードバック制御の収束性を確保することができる。そのためアシスト制御系の安定性を確保することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば以下の効果が得られる。
(1)制御装置4には、操舵トルクTh及び車速Vに基づいて第1アシスト成分Ta1*を演算する基本アシスト成分演算部51を設けた。また制御装置4には、操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1*の加算値からなる基本駆動トルクTcに基づいてトルク指令値Th*を演算するトルク指令値演算部53、及び操舵トルクThをトルク指令値Th*に追従させるトルクフィードバック制御の実行によりアシスト補償成分Tacを演算するトルクフィードバック制御部54を設けた。さらに制御装置4には、基本駆動トルクTcとアシスト補償成分Tacとの加算値に基づいて転舵角指令値θt*を演算する転舵角指令値演算部56、及び実転舵角θtを転舵角指令値θt*に追従させる転舵角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分Ta2*を演算する転舵角フィードバック制御部57を設けた。そして制御装置4では、第1アシスト成分Ta1*及び第2アシスト成分Ta2*を加算することによりアシスト指令値Tas*を求めることとした。これにより運転者の操舵トルクThを、基本駆動トルクTcに応じた適切な操舵トルクに維持することができるため、運転者の操舵感を向上させることができる。
【0038】
<第2実施形態>
次に、図1及び図2、並びに図7図9を参照して、電動パワーステアリング装置の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
図1に破線で示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置には、転舵輪3の路面反力に起因してラックシャフト13の軸方向に作用する力(軸力)Faを検出する軸力センサ8が設けられている。すなわち本実施形態では、この軸力センサ8が、転舵輪3に作用する路面反力に起因したパラメータを検出する路面反力検出部となっている。なお軸力Faの正負の符号は、操舵トルクThの正の方向を正とし、操舵トルクThの負の方向を負として設定されている。軸力センサ8の出力は制御装置4に取り込まれる。図2に破線で示すように、マイコン41は、軸力センサ8の検出軸力Faに基づいてPWM駆動信号を生成する。
【0040】
詳しくは、図7に示すように、マイコン41は、軸力Faに基づいて補償値Th1*を演算するトルク指令値補償部80を備えている。図8に示すように、トルク指令値補償部80は、軸力センサ8の検出軸力Faが入力されるフィルタ部81を有している。フィルタ部81は、軸力センサ8の検出軸力Faに対してフィルタリング処理を施すことにより、路面状態に起因してラックシャフト13に作用する軸力Frを抽出する。
【0041】
ところで、軸力センサ8の検出軸力Faには、路面状態に起因した軸力Frの他、例えば車両振動に起因してラックシャフト13に作用する軸力などの各種外乱が含まれている。そこで本実施形態では、検出軸力Faから、路面状態に起因した軸力Frのみを抽出すべく、検出軸力Faにフィルタリング処理を施している。具体的には、路面状態に起因した軸力Frに対応した周波数帯域frを実験などにより予め測定する。そして、図9に示すような周波数帯域frを通過周波数帯域とするバンドパスフィルタによりフィルタ部81を構成する。これにより検出軸力Faをフィルタ部81に通すことで、検出軸力Faから、路面状態に起因した軸力Frが抽出される。フィルタ部81は、抽出した軸力Frを補償値演算部82に出力する。
【0042】
補償値演算部82は、路面状態に起因した軸力Frに基づいて補償値Th1*を演算する。具体的には、補償値演算部82は、例えば図8に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて路面状態に起因した軸力Frの絶対値が大きくなるほど、補償値Th1*の絶対値をより大きい値に設定する。この補償値演算部82で演算された補償値Th1*がトルク指令値補償部80の演算結果となる。
【0043】
図7に示すように、トルク指令値補償部80は、演算結果である補償値Th1*を加算器83に出力する。加算器83は、トルク指令値演算部53で演算されたトルク指令値Th*に、トルク指令値補償部80で演算された補償値Th1*を加算することでトルク指令値Th*を補償し、補償後のトルク指令値Th**をトルクフィードバック制御部54に出力する。
【0044】
次に本実施形態の電動パワーステアリング装置の作用について説明する。
図1に示した電動パワーステアリング装置において、例えば路面状態の変化に応じた軸力がラックシャフト13に作用すると、軸力センサ8の検出軸力Faが変化する。これによりトルク指令値補償部80で演算される補償値Th1*が変化し、その変化分だけトルクフィードバック制御部54の入力値であるトルク指令値Th*に補償が施される。すなわち操舵トルクThの目標値が補正される。そして、このトルク指令値Th*の変化によりアシスト補償成分Tacが変化するため、結果的にアシスト指令値Tas*が変化する。このように本実施形態では、路面状態に応じてアシスト指令値Tas*が変化する。すなわちステアリングシャフト11に付与されるアシストトルクが路面状態に応じて変化するため、このアシストトルクの変化を通じて運転者が路面状態に応じた操舵感を得ることができる。そのため運転者の操舵感を向上させることができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、第1実施形態による(1)の効果に加え、以下の効果が得られる。
(2)制御装置4には、軸力センサ8により検出されるラックシャフト13の軸力Faに基づいて補償値Th1*を演算するトルク指令値補償部80を設けた。そして制御装置4では、補償値Th1*を用いてトルク指令値Th*を補償することとした。また制御装置4では、補償後のトルク指令値Th**に操舵トルクThを追従させるトルクフィードバック制御の実行によりアシスト補償成分Tacを演算することとした。これにより路面状態に応じた操舵感を運転者に与えることができるため、運転者は路面状態をより的確に把握することができる。そのため運転者の操舵感を向上させることができる。
【0046】
<他の実施形態>
なお、各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第1実施形態では、トルク指令値演算部53の入力情報として、操舵トルクThと第1アシスト成分Ta1*との加算値からなる基本駆動トルクTcを用いた。これに代えて、図10に示すように、基本駆動トルクTcにアシスト補償成分Tacを加算した補正後の基本駆動トルクTccをトルク指令値演算部53の入力情報として用いてもよい。また同様の構成を第2実施形態で採用してもよい。
【0047】
・第2実施形態では、トルク指令値補償部80がラックシャフト13の軸力Faに基づいて補償値Th1*を演算したが、補償値Th1*の演算方法は適宜変更可能である。例えば図11に示すように、トルク指令値補償部80は操舵トルクTh、アシスト指令値Tas*、及びモータ回転角θmに基づいて補償値Th1*を演算してもよい。具体的には、トルク指令値補償部80は、モータ回転角θmの経時的な変化に基づいてモータ20の角速度ωを演算する角速度演算部84を有している。角速度演算部84は、演算したモータ角速度ωを摩擦トルク演算部85に出力する。摩擦トルク演算部85は、モータ角速度ωに基づいて摩擦トルクTfを演算する。摩擦トルクTfは、操舵機構1の駆動に際して操舵機構1に作用する各種摩擦に起因する反力トルクである。ここで、操舵機構1に作用する摩擦トルクTfは、ステアリングシャフト11の角速度と比例関係にある。またステアリングシャフト11の角速度とモータ20の角速度ωとの間には相関関係がある。すなわちモータ20の角速度ωと摩擦トルクTfとは比例関係にある。摩擦トルク演算部85は、このようなモータ20の角速度ωと摩擦トルクTfとの関係を示したマップを有しており、このマップに基づいてモータ角速度ωから摩擦トルクTfを演算する。一方、トルク指令値補償部80は、操舵トルクThとアシスト指令値Tas*とを加算することにより、操舵機構1に入力されるトルクTin(=Th+Tas*)を求める。ところで、この入力トルクTinは、操舵機構1に作用する反力トルクとつり合いの関係にある。操舵機構1に作用する反力トルクは、大きくは、路面反力に起因して転舵輪3から操舵機構1伝達される路面反力トルクTr、及び上記の摩擦トルクTfからなる。すなわち入力トルクTinは、路面反力トルクTr及び摩擦トルクTfの加算値と略等しい。これを利用し、トルク指令値補償部80は、入力トルクTinから摩擦トルクTfを減算することにより路面反力トルクTrを求める。またトルク指令値補償部80は、路面反力トルクTrに対してフィルタリング処理を施すフィルタ部86を有している。フィルタ部86は、路面反力トルクTrから車両振動などに起因した外乱成分を除去することにより、路面状態に起因した反力トルク成分Tr1を抽出し、抽出した反力トルク成分Tr1を補償値演算部87に出力する。補償値演算部87は、図中に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて反力トルク成分Tr1から補償値Th1*を演算する。このような構成であっても、路面状態に起因した補償値Th1*を演算することは可能である。
【0048】
・第2実施形態では、トルク指令値補償部80が、路面状態に応じて変化する補償値Th1*を演算したが、これに代えて、車両のスリップ度合いに応じて変化する補償値Th1*を演算してもよい。具体的には、車両には、ステアリングホイール10の操舵角を検出する舵角センサ、及び車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサを設ける。そしてトルク指令値補償部80は、各センサにより検出されるステアリングホイール10の操舵角及び車速Vに基づいて車両のヨーレートの理想値を演算する。またトルク指令値補償部80は、このヨーレートの理想値と、センサにより検出される車両の実際のヨーレートとの偏差に基づいて車両のスリップ度合いを演算し、演算した車両のスリップ度合いに応じた補償値Th1*を演算する。これにより、車両のスリップ度合いに応じてアシストトルクが変化するため、運転者は操舵感の変化を通じて車両のスリップ状態を感知することができる。またトルク指令値補償部80が、車両に搭載されたカメラなどを通じて運転者が居眠りをしているか否かを監視し、車両の走行中に運転者の居眠り状態を検出したときに補償値Th1*を変化させてもよい。これにより、車両の走行中に運転者が居眠りをしたときにアシストトルクが変化するため、操舵感の変化を通じて運転者に警報を発することができる。要は、トルク指令値補償部80は、車両に搭載された検出部を通じて検出される検出値に基づいて補償値Th1*を演算するものであればよい。
【0049】
図4に例示した第1アシスト成分Ta1*を演算するためのマップの形状は適宜変更可能である。また、図5に例示したトルク指令値Th*を演算するためのマップ、並びに図8及び図11に例示した補償値Th1*を演算するためのマップについても、それぞれのマップ形状を適宜変更してもよい。
【0050】
・転舵角指令値演算部56は、理想モデルに基づいて転舵角指令値θt*を演算するものに限らない。例えば基本アシスト成分演算部51のように、マップ演算により転舵角指令値θt*を演算するものであってもよい。
【0051】
・各実施形態では、転舵角θtを検出する検出部として回転角センサ7及び転舵角演算部58を用いたが、転舵角θtを検出する検出部はこれに限定されない。例えばステアリングシャフト11の回転角を検出する舵角センサや、転舵角θtを直接検出するセンサ等を用いてもよい。
【0052】
・転舵角フィードバック制御は、例えばステアリングシャフト11の回転角など、転舵角θtに換算可能な適宜のパラメータを用いて行ってもよい。
・基本アシスト成分演算部51では、操舵トルクTh及び車速Vに基づいて第1アシスト成分Ta1*を設定したが、例えば操舵トルクThのみに基づいて第1アシスト成分Ta1*を設定してもよい。また操舵トルクThに対する第1アシスト成分Ta1*の変化率(アシスト勾配)に基づいてトルクセンサ5の検出操舵トルクThの位相を変化させる、いわゆる位相補償制御を実行してもよい。さらに第1アシスト成分Ta1*の微分値が大きいほど第1アシスト成分Ta1*を大きくする、いわゆるトルク微分制御など、第1アシスト成分Ta1*を補償する各種補償制御を実行してもよい。この場合、操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1*の加算値に、さらに各種補償制御で演算された補償値を加算した値を基本駆動トルクTcとして用いれば、各種補償制御の効果を得ることができる。なおこの場合、トルク指令値演算部53は、操舵トルクTh、第1アシスト成分Ta1*、及び各種補償制御の補償値の総和に基づいてトルク指令値Th*を演算することになる。
【0053】
・各実施形態の電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置に限らず、例えばラックシャフト13にアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…操舵機構、2…アシスト機構、3…転舵輪、4…制御装置(制御部)、8…軸力センサ(路面反力検出部)、20…モータ、50…アシスト指令値演算部、51…基本アシスト成分演算部、53…トルク指令値演算部、54…トルクフィードバック制御部、56…転舵角指令値演算部、57…転舵角フィードバック制御部、80…トルク指令値補償部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11