(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、長期間屋外に置かれた車両においては、降雨時に付着した雨滴が原因で窓が酷く汚れた状態になる場合がある。この場合、運転者は、視界を確保するために、又は、汚れによる不快感を解消するために、ウォッシャースイッチを操作する等して、車両の窓に付着した汚れを除去することができる。しかしながら、この作業は運転者にとって煩わしい。
【0005】
本発明は、こうした点に鑑みなされたものであり、窓に付着した雨滴が放置されることにより窓が汚れるのを抑制可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明は、車両の窓に付着する雨滴を払拭する窓払拭装置を制御する制御装置であって、検知手段と、作動制御手段とを備える。
検知手段は、雨が止んだことを検知する。作動制御手段は、検知手段により雨が止んだことが検知されると、窓払拭装置を作動させる。作動制御手段は、車両が駐車している状態で、検知手段により雨が止んだことが検知されると、窓払拭装置を作動させる構成にされ得る。
【0007】
この制御装置によれば、降雨により車両の窓に付着した雨滴を、雨が止んだ後、雨滴が乾く前に窓から除去することができる。従って、駐車時などにおいて車両の窓に付着した雨滴が放置されることで、雨滴に吸着された汚れが窓に留まり、これが原因で窓が汚れるのを抑えることができる。
【0008】
ところで、検知手段は、窓に付着する雨滴量を検出するレインセンサの出力に基づき、雨が止んだことを検知する構成にされ得る。この検知手段によれば、外部装置から通信等によって気象情報を取得しなくても、雨が止んだことを検知することができる。
【0009】
例えば、検知手段は、レインセンサが検出する雨滴量の変化が基準未満となったことを条件に、雨が止んだことを検知する構成にされ得る。降雨時には雨の強弱が時々刻々と変化することや窓に付着する雨滴の動きに起因して、レインセンサが検出する雨滴量が変動しやすい。一方、雨が止んだ後においては、窓に付着する雨滴の変化が小さく、レインセンサが検出する雨滴量の変化が小さい。従って、上述した手法によれば、レインセンサを用いて、雨が止んだことを精度よく検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1に示す本実施例の車載システム1は、窓払拭装置10と、レインセンサ20と、制御装置30と、操作スイッチ40とを備える。窓払拭装置10は、
図2に示すように、車両の窓50に付着する雨滴を払拭する装置(所謂ワイパー装置)である。車載システム1には、窓払拭装置10として、周知の窓払拭装置を用いることができる。
【0012】
この窓払拭装置10は、後端が窓50の下方において回動可能に設けられたワイパーアーム11と、ワイパーアーム11の先端に設けられたワイパーブレード13と、ワイパーブレード13に装着されたワイパーラバー(図示せず)と、ワイパーアーム11を駆動する駆動装置(図示せず)とを備える。
【0013】
本実施例の窓払拭装置10は、例えば、車両の窓50としてのフロントウインドシールドに付着する雨滴を、ワイパーアーム11を回動して払拭する構成にされる。この窓払拭装置10は、フロントウインドシールドに代えて又は加えて、リアウインドシールドに付着する雨滴を払拭する構成にされ得る。
【0014】
レインセンサ20は、車両の窓50に付着する雨滴の量を検出するセンサである。車載システム1には、レインセンサ20として、周知のレインセンサを用いることができる。
周知のレインセンサとしては、窓50の裏面(車内側の面)から表面(車外側の面)に向けて光を発射し、その反射光を受光することにより、雨滴量を検出するものが知られている。窓50の表面に雨滴が付着している場合には、窓50の表面と外気との間に雨滴の層が存在することで、光の反射量が低下する。この種のレインセンサでは、発射光に対する反射光の受光量を計測し、雨滴量を検出する。
【0015】
車載システム1では、窓50における窓払拭装置10による雨滴の払拭範囲(
図2に示すハッチング領域)に対応する車室内側の面に、レインセンサ20が設けられる。レインセンサ20は、窓50における自己が装着された範囲の表面に付着する雨滴量を検出し、この検出値を表す検出信号を、制御装置30に入力する。
【0016】
この他、制御装置30は、レインセンサ20による雨滴量の検出値や操作スイッチ40から入力される操作信号に基づき、窓払拭装置10を制御するものである。操作スイッチ40は、所謂ワイパースイッチであり、車内の運転者が操作可能な部位に設けられる。
【0017】
制御装置30は、
図1に示すように、CPU31と、ROM33と、RAM35とを備える。CPU31は、ROM33が記憶するプログラムに従う処理を実行する。これにより窓払拭装置10を制御する。RAM35は、CPU31による処理実行時にワークメモリとして使用される。以下では、説明を簡単にするために、CPU31がROM33に記憶されたプログラムに従って実行する処理の内容を、制御装置30が実行する処理の内容として説明する。
【0018】
制御装置30は、周知のワイパーシステムと同様に、操作スイッチ40が操作されると、窓払拭装置10を制御して、その操作信号に従う間隔で窓払拭装置10を間欠動作させる。この他、制御装置30は、操作スイッチ40によりオートワイパー機能がオンに設定されている場合には、レインセンサ20による雨滴量の検出値に基づき降雨を検知すると、降雨中、雨滴量の検出値に応じた時間間隔で窓払拭装置10を間欠動作させる。制御装置30は、車両の運転時(イグニションスイッチ又はアクセサリスイッチがオンに設定されているときに)、上述した良く知られる窓払拭装置10の制御を行う。
【0019】
また、制御装置30は、常時電源による電力供給を受けて、車両の駐車中(イグニションスイッチ及びアクセサリスイッチがオフに設定されている非運転時)にも動作する。そして、雨が止んだ際には、窓払拭装置10を作動させる処理を実行する。
【0020】
具体的に、制御装置30は、
図3に示す駐車時払拭処理を繰り返し実行することにより、駐車中において雨が止んだ際にも、窓払拭装置10を作動させる。これにより、屋外に車両が置かれている環境で降雨により車両の窓50に付着した雨滴を、雨が止んだ後、雨滴が乾く前に窓50から除去する。この処理において特徴的な点は、降雨の開始後ではなく、降雨の終了を契機に、窓払拭装置10を作動させる点である。
【0021】
駐車時払拭処理を開始すると、制御装置30は、自車両が駐車中であるか否かを判断する(S110)。S110では、イグニションスイッチ及びアクセサリスイッチがオフであり、常時電源による電力供給を受けて動作しているとき、自車両が駐車中であるとして肯定判断し、それ以外の場合には、駐車中ではないとして否定判断することができる。
【0022】
別例として、制御装置30は、シフトレバー位置等の車両状態を表す情報を、この情報を保持する装置から車内ネットワーク等を介して取得し、この情報に基づき、自車両が駐車中であるか否かを判断することができる。この他、制御装置30は、自車両の位置情報を取得し、自宅等の予め登録された地点に自車両が位置し、且つ、駐車中であるときに限って、S110で肯定判断する構成にされてもよい。
【0023】
制御装置30は、S110での判断を、肯定判断するまで繰り返し実行する。そして、肯定判断すると(S110でYes)、S120に移行し、レインセンサ20による雨滴量の検出値を取得する。レインセンサ20は、少なくとも制御装置30が動作しているときには、電力供給を受けて動作する。
【0024】
S120での処理を終えると、制御装置30は、上記取得した雨滴量の検出値の時間変化に基づき、雨が止んだ後であるか否かを判断する(S130)。
図4に示すように、レインセンサ20による雨滴量の検出値は、車外が晴れており窓50に雨滴が付着していないとき、略ゼロを示す。
【0025】
一方、雨の降り始めの段階では、窓50に付着する雨滴が増加するために、雨滴量の検出値が大きくなる。更に、雨が降り続いている段階では、雨の強さが時々刻々と変化する現象や、雨滴が窓50を流れる現象に起因して、雨滴量の検出値が絶え間なく変動する。レインセンサ20は、窓50の限られた範囲の雨滴を検出しているため、その検出値は、雨滴の流れの影響を受けやすい。
【0026】
更に、雨が止んだ段階では、窓50に雨滴が付着しているため、雨滴量の検出値は、ゼロより十分大きい値を示す一方、窓50に付着する雨滴に大きな変化がないため、あまり変動せずに安定する。S130では、このような現象を利用して、雨滴量の検出値の時間変化に基づき、雨が止んだ後であるか否かを判断する。
【0027】
S130において、制御装置30は、今回の雨滴量の検出値が予め定められたゼロより十分に大きい基準値以上であり、且つ、雨滴量の前回検出値と今回の検出値との差が予め定められた範囲内であるとき、雨が止んだ後であるとして肯定判断し、それ以外の場合には、否定判断することができる。
【0028】
別例として、制御装置30は、現在から所定時間前までの各回における雨滴量の検出値の前回検出値からの差の絶対値を累積し、その累積値が予め定められた範囲内にあり、且つ、今回における雨滴量の検出値が予め定められたゼロより十分に大きい基準値以上であるとき、雨が止んだ後であるとして肯定判断し、それ以外の場合には、否定判断することができる。S130では、上述したようにして、雨滴量の検出値の時間変化が基準未満であるとき、雨が止んだ後であると肯定判断する。
【0029】
S130で否定判断すると、制御装置30は、S110に移行する。一方、S130で肯定判断すると、制御装置30は、窓払拭装置10に対する制御を開始し(S140)、窓払拭装置10を連続動作させる。即ち、ワイパーアーム11を繰り返し往復動させる。
【0030】
更に、この連続動作中において、制御装置30は、レインセンサ20による雨滴量の検出値を取得し(S150)、その検出値に基づき、雨滴の払拭が完了したか否かを判断する(S160)。
【0031】
S160では、レインセンサ20による雨滴量の検出値が、予め定められた完了判定値未満であるか否かを判断し、雨滴量の検出値が完了判定値未満であるときには、雨滴の払拭が完了したとして肯定判断し、雨滴量の検出値が完了判定値以上であるときには、雨滴の払拭が完了していないとして否定判断することができる。
【0032】
制御装置30は、雨滴の払拭が完了していないと判断した場合(S160でNo)、S170に移行して、S140による窓払拭装置10の作動開始時から所定時間が経過したか否かを判断する(S170)。ここでの所定時間は、異常のない環境でS140の処理実行時から雨滴の払拭が完了したと判断されるまでの所要時間よりも長い時間に定めることができる。そして、所定時間が経過していないと判断した場合には(S170でNo)、S150に移行して、再度S150以降の処理を実行する。
【0033】
制御装置30は、このような処理を繰り返し実行し、雨滴の払拭が完了したと判断するか(S160でYes)、所定時間が経過したと判断すると(S170でYes)、S180に移行して、窓払拭装置10に対する制御を終了し、窓払拭装置10の動作を停止させる。その後、駐車時払拭処理を一旦終了する。
【0034】
以上、本実施例の車載システム1について説明したが、この車載システム1によれば、駐車中において、レインセンサ20による雨滴量の検出値が高い値を示し、且つ、検出値の変化が基準未満である事象の発生を検知することで、雨が止んだことを検知する(S130)。そして、雨が止んだことを検知すると、窓払拭装置10を作動させて(S140)、窓50に付着した雨滴を除去する。
【0035】
従って、本実施例によれば、降雨により車両の窓50に付着した雨滴が放置されることで、雨滴に吸着された汚れが窓50に留まり、これが原因で窓50が汚れるのを抑えることができる。
【0036】
また、本実施例によれば、雨が止んだことを契機に窓払拭装置10を作動させ(S140)、その後、レインセンサ20による雨滴量の検出値に基づき、窓に付着する雨滴の払拭が完了したことを契機に(S160でYes)、窓払拭装置10の動作を停止させる(S180)。従って、バッテリの消耗を抑えて、効率よく駐車中に窓50の雨滴を除去することができる。
【0037】
この他、本実施例によれば、窓払拭装置10が所定量動作した場合にも(S170でYes)、窓払拭装置10の動作を停止させる(S180)。従って、雨が止んだと誤検知された場合や、何らかの理由により雨滴量の検出値が下がらないケースにおいても、窓払拭装置10が過剰に連続動作するのを抑えることができる。
【0038】
以上、本発明の実施例について説明したが、用語間の対応関係は、次の通りである。制御装置30(CPU31)が実行するS120,S130によって実現される機能は、検知手段により実現される機能の一例に対応する。
【0039】
また、制御装置30(CPU31)が実行するS110,S140,S180によって実現される機能は、作動制御手段により実現される機能の一例に対応する。この他、制御装置30(CPU31)が実行するS150,S160によって実現される機能は、完了検知手段によって実現される機能の一例に対応する。
【0040】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。上記実施例によれば、レインセンサ20による雨滴量の検出値に基づき、雨が止んだことを検知したが、雨が止んだことは、例えば、外部のサーバ装置から広域ネットワークを介して気象情報を取得することにより検知することも可能である。
【0041】
別例として、制御装置30は、利用者の自宅に設置されたホームエネルギーマネージメントシステム(HEMS)から気象を直接又は間接的に表す情報(日照情報等)を取得し、この情報に基づき、雨が止んだことを検知する構成にされてもよい。
【0042】
この他、
図3に示す駐車時払拭処理は、S160において常に否定判断するのと等価な処理に変更されてもよい。即ち、制御装置30は、S140による窓払拭装置10の動作開始後、レインセンサ20の検出値に依らず、窓払拭装置10を所定時間動作させると、窓払拭装置10を停止させる構成にされてもよい。また、制御装置30は、所定時間に代えてワイパーアーム11を所定回往復動させると、窓払拭装置10を停止させる構成にされてもよい。この他、制御装置30は、S180で窓払拭装置10を停止させた後、しばらくの間、駐車時払拭処理を実行しないように構成され得る。