(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による液体濃度測定装置を図面に基づいて説明する。なお、以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による液体濃度測定装置を
図1に示す。
図1に示すように、液体濃度測定装置1は、電極部10および制御部20を備える。
電極部10は、1対の電極板から構成され、被測定液に浸漬される。電極部10は、被測定液に浸漬された状態にて電圧が印加されると、被測定液を誘電体とするコンデンサとして機能する。
本実施形態の被測定液は、第1成分としてのガソリン、第2成分としてのエタノール、および、第3成分としてのメタノールが混合された混合燃料である。すなわち、本実施形態の液体濃度測定装置1は、ガソリン中に2種類のアルコール燃料が混合された混合燃料中の各成分の濃度測定に用いられる。
【0011】
制御部20は、静電容量計測回路30およびマイコン50を有し、電極部10の静電容量に基づき、被測定液中におけるガソリン、エタノールおよびメタノールの濃度を演算する。
静電容量計測回路30の詳細を
図2に示す。
図2に示すように、静電容量計測回路30は、正弦波発生回路31、オペアンプ32、抵抗33、および、サンプルホールド回路35を有する。
【0012】
正弦波発生回路31は、オペアンプ32の非反転入力端子に接続され、マイコン50からの指令に応じた周波数の交流電圧を、オペアンプ32を介して電極部10に印加する。電極部10は、オペアンプ32の反転入力端子に接続される。この回路により、電極部10に流れる電流を抵抗33が電圧へ変換し、出力される。
サンプルホールド回路35は、ピークホールド回路であり、オペアンプ32からの出力値の最大値を保持し、マイコン50へ出力する。本実施形態では、第1周波数f1の交流電圧を印加したときに出力される出力信号をVout1、第2周波数f2の交流電圧を印加したときに出力される出力信号をVout2、第3周波数f3の交流電圧を印加したときに出力される出力信号をVout3とする。なお、「計測周波数」である第1周波数f1、第2周波数f2および第3周波数f3の詳細については、後述する。
【0013】
図1に戻り、マイコン50は、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、および、これらを接続するバスライン等を備えている。マイコン50は、電極部10に印加する交流電圧の周波数の係る指令を静電容量計測回路30に出力する。また、マイコン50は、静電容量計測回路30から出力される出力信号Vout1〜3を取得し、当該出力信号Vout1〜3に基づき、電極部10の静電容量を演算する。そして、マイコン50は、電極部10の静電容量に基づき、被測定液におけるガソリン、エタノールおよびメタノールの濃度を演算する。
【0014】
ここで、エタノールおよびメタノールの周波数特性を
図3に基づいて説明する。
エタノールやメタノール等のアルコールに高周波領域(例えば100kHz以上)の交流電圧を印加すると、分極特性に起因して誘電率が変化する、所謂「誘電緩和現象」が生じる。
【0015】
図3に示すように、エタノールの誘電率ε
Eは、印加される交流電圧の周波数がfaより大きくなると、周波数の増加に伴って減衰する。また、メタノールの誘電率ε
Mは、印加される交流電圧の周波数がfbより大きくなると、周波数の増加に伴って減衰する。
図3で示す周波数領域におけるエタノールの減衰率α
Eとメタノールの減衰率α
Mとは、略等しく、周波数特性が近いといえる。本実施形態では、エタノールの減衰率α
Eとメタノールの減衰率α
Mとが等しいとみなす。
また、
図3に示す周波数領域において、ガソリンの誘電率ε
Gは、fc(
図4参照)以下の周波数領域では、印加される交流電圧の周波数によらず一定であり、減衰しない。すなわち、ガソリンと、エタノールおよびメタノールとは、周波数特性が異なっている。
【0016】
上述したとおり、エタノールとメタノールの周波数特性が近いので、エタノールの誘電率ε
Eまたはメタノールの誘電率ε
Mの一方が変化する周波数を特定することが困難である。また、エタノールの誘電率ε
Eまたはメタノールの誘電率ε
Mの一方が変化する周波数を特定できたとしても、一方の誘電率が変化する周波数を計測周波数とする場合、計測周波数の精度を高める必要がある。また、計測周波数の誤差に起因し、測定される濃度の精度が低下する。
【0017】
ここで、本実施形態におけるガソリン、エタノールおよびメタノールの濃度演算方法について、
図4に基づいて説明する。
図4に示す周波数領域は、例えば100kHz〜100MHz程度の高周波領域とする。
まず、電極部10に印加される交流電圧の周波数Fと被測定液の静電容量CPとの関係を説明する。本実施形態では、コンデンサとして機能する電極部10の電極板の面積や電極板の距離等は一定であるので、静電容量CPは、被測定液の誘電率に比例する。
【0018】
電極部10に印加する交流電圧の周波数Fがfa未満である場合(F<fa)、被測定液の静電容量CPは、交流電圧の周波数Fによらず略一定であり、減衰しない。本実施形態では、周波数fa以下の周波数領域を非減衰周波数帯域Sとする。非減衰周波数帯域Sは、後述の減衰周波数帯域Dよりも周波数が小さい領域である。
交流電圧の周波数Fがfa以上fb未満の場合(fa≦F<fb)、エタノールの誘電緩和現象により、交流電圧の周波数Fの増加に伴って静電容量CPが減衰する。このときの減衰率は、エタノールの濃度Eに応じた値となる。
【0019】
交流電圧の周波数Fがfb以上fc未満の場合(fb≦F<fc)、エタノールおよびメタノールの誘電緩和現象により、交流電圧の周波数Fの増加に伴って静電容量CPが減衰する。本実施形態では、エタノールおよびメタノールの誘電緩和現象により静電容量CPが減衰する周波数fb≦F<fcの周波数領域を、減衰周波数帯域Dとする。減衰周波数帯域Dにおける減衰率α
Aは、エタノールの濃度Eおよびメタノールの濃度Mとの合計である合計濃度に応じた値となる。以下、エタノールの濃度Eとメタノールの濃度Mの合計である合計濃度を、「アルコール濃度A」という。ここでいう「濃度」は、被測定液中の各成分の割合であり、100を乗じるとパーセント濃度となる値とする。
【0020】
交流電圧の周波数Fがfc以上の場合(F≧fc)、静電容量CPは減衰しない。本実施形態では、周波数Fがfc以上におけるエタノールおよびメタノールによる静電容量をゼロとみなし、周波数Fがfc以上のときの静電容量CPは、ガソリンによる静電容量CP
Gであるとみなす。
【0021】
本実施形態では、静電容量計測回路30は、非減衰周波数帯域Sの周波数である第1周波数f1の交流電圧を電極部10に印加し、このときの静電容量を第1静電容量CP1として計測する。
また、静電容量計測回路30は、減衰周波数帯域Dの周波数である第2周波数f2の交流電圧を電極部10に印加し、このときの静電容量を第2静電容量CP2として計測する。
さらにまた、静電容量計測回路30は、減衰周波数帯域Dの周波数であって、第2周波数f2と異なる周波数である第3周波数f3の交流電圧を電極部10に印加し、このときの静電容量を第3静電容量CP3として計測する。本実施形態では、f2<f3とする。
【0022】
第2周波数f2および第3周波数f3は、デジタル回路の分周比に基づいて設定される。デジタル回路の分周比に基づいて第2周波数f2および第3周波数f3を設定することにより、第2周波数f2と第3周波数f3との相対関係の精度を高めることができる。
【0023】
具体的には、マイコン50は、第1周波数f1の交流電圧を印加する旨の指令を静電容量計測回路30へ出力し、静電容量計測回路30からの出力信号Vout1に基づき、第1静電容量CP1を演算する。同様に、マイコン50は、第2周波数f2の交流電圧を印加する旨の指令を静電容量計測回路30へ出力し、静電容量計測回路30からの出力信号Vout2に基づき、第2静電容量CP2を演算する。また同様に、マイコン50は、第3周波数f3の交流電圧を印加する旨の指令を静電容量計測回路30へ出力し、静電容量計測回路30からの出力信号Vout3に基づき、第3静電容量CP3を演算する。
ここでは、静電容量計測回路30にて、電極部10の静電容量に応じた出力信号Vout1、Vout2、Vout3をマイコン50に出力することを、「静電容量を計測する」と捉える。
【0024】
本実施形態では、第2静電容量CP2および第3静電容量CP3に基づいてアルコール濃度Aを演算する。
アルコール濃度が1(すなわち100[%])であるときの減衰率をα
100、アルコール濃度がAであるときの減衰率をα
Aとすると、アルコール濃度Aは、以下の式(1)で表される。なお、「アルコール濃度100[%]」とは、被測定液中にガソリンが含まれないことを意味し、エタノール100[%]でもよいし、メタノール100[%]でもよいし、エタノールとメタノールとが任意の割合で混合されていてもよい。
A=E+M=α
A/α
100 ・・・(1)
【0025】
被測定液中のアルコール濃度が100[%]であるときの減衰率α
100は式(2)で表され、被測定液中のアルコール濃度がAであるときの減衰率をα
Aは式(3)で表される。式中(2)中のCP2aは、合計濃度が100[%]の被測定液に第2周波数f2の交流電圧を印加したときの静電容量であり、CP3aは、合計濃度が100[%]の非測定液に第3周波数f3の交流電圧を印加したときの静電容量である。
α
100=(CP3a−CP2a)/(f3−f2) ・・・(2)
α
A=(CP3−CP2)/(f3−f2) ・・・(3)
すなわち、減衰率α
100、α
Aは、減衰周波数帯域Dにおける静電容量の傾きと捉えることもできる。
【0026】
式(1)〜(3)より、アルコール濃度Aは、以下の式(4)で表される。
A=E+M=(CP2−CP3)/(CP2a−CP3a) ・・・(4)
また、減衰率α
100が既知であれば、式(3)により減衰率α
Aを演算し、式(1)によりアルコール濃度Aを演算してもよい。
【0027】
これにより、アルコール濃度Aは、第2静電容量CP2と第3静電容量CP3とから演算される減衰率α
Aに基づいて演算される。なお、式(4)は、式(1)〜(3)から導出されるものであるので、式(4)の演算も、「第2静電容量CP2と第3静電容量CP3とから演算される減衰率α
Aに基づく演算」の概念に含まれるものとする。
【0028】
本実施形態の被測定液は、ガソリン、エタノールおよびメタノールの3成分からなるので、ガソリンの濃度Gは、式(5)により演算される。
G=1−A ・・・(5)
【0029】
第1静電容量CP1中におけるガソリンによる静電容量CP
Gを式(6)により演算する。式(6)中のε
Gは、非減衰周波数帯域Sの交流電圧を印加したときのガソリンの誘電率とする。
CP
G=G×ε
G ・・・(6)
【0030】
第1静電容量CP1中におけるエタノールおよびメタノールによる静電容量CP
Aは、以下の式(7)で表される。
CP
A=CP1−CP
G ・・・(7)
【0031】
第1静電容量CP1中におけるエタノールおよびメタノールによる静電容量CP
Aは、第1周波数f1におけるエタノールの誘電率ε
E、および、メタノールの誘電率ε
Mを用い、以下の式(8)で表すこともできる。式(8)、(9)中のε
E、ε
Mは、非減衰周波数帯域Sの交流電圧を印加したときのエタノールまたはメタノールの誘電率とする。
CP
A=E×ε
E+M×ε
M ・・・(8)
【0032】
式(7)、(8)より、式(9)が導出される。
CP1−CP
G=E×ε
E+M×ε
M ・・・(9)
そして、式(4)および式(9)を用い、連立方程式を解くことにより、被測定液中のエタノール濃度Eおよびメタノール濃度Mを演算することができる。
なお、式(4)に替えて、以下の式(10)を用い、式(9)および式(10)を用いてエタノール濃度Eおよびメタノール濃度Mを演算してもよい。式(10)中のCP
GAは、被測定液中のガソリン濃度が100[%]の場合の静電容量である。
A=E+M=1−(CP
G/CP
GA) ・・・(10)
【0033】
すなわち、本実施形態では、第2静電容量CP2と第3静電容量CP3とから減衰率α
Aを演算し、減衰率α
Aに基づいてアルコール濃度Aおよびガソリン濃度Gを演算する。
また、ガソリン濃度Gとガソリンの誘電率ε
Gとから第1静電容量CP1中におけるエタノールおよびメタノールによる静電容量CP
Aを演算し、静電容量CP
Aをエタノールの誘電率ε
Eおよびメタノールの誘電率ε
Mで分配することにより、エタノールの濃度Eおよびメタノールの濃度Mを演算する。
これにより、第1静電容量CP1、第2静電容量CP2および第3静電容量CP3を計測することにより、被測定液中のガソリン濃度G、エタノール濃度Eおよびメタノール濃度Mを演算することができる。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態の液体濃度測定装置1は、電極部10と、制御部20と、を備える。
電極部10は、第1成分、第2成分および第3成分が混合された液体である被測定液に浸漬され、交流電圧が印加される。本実施形態では、第1成分がガソリン、第2成分がエタノール、第3成分がメタノールである。
制御部20は、静電容量計測回路30と、マイコン50と、を有する。
【0035】
静電容量計測回路30は、第1静電容量CP1、第2静電容量CP2、および、第3静電容量CP3を計測する。第1静電容量CP1は、ガソリン、エタノールおよびメタノールの誘電率が減衰しない非減衰周波数帯域Sの周波数である第1周波数f1の交流電圧を電極部10に印加したときの静電容量である。第2静電容量CP2は、ガソリンの誘電率が減衰せず、エタノールおよびメタノールの誘電率が周波数の増加に伴って減衰する減衰周波数帯域Dの周波数である第2周波数f2の交流電圧を電極部10に印加したときの静電容量である。第3静電容量CP3は、減衰周波数帯域Dの周波数であって、第2周波数f2とは異なる周波数である第3周波数f3の交流電圧を電極部10に印加したときの静電容量である。
減衰周波数帯域Dにてエタノールおよびメタノールの誘電率が減衰しており、エタノールとメタノールとは周波数特性が近い、といえる。
【0036】
マイコン50は、第1静電容量CP1、および、第2静電容量CP2と第3静電容量CP3とから演算される減衰率α
Aに基づき、ガソリン、エタノールおよびメタノールの濃度を演算する。
本実施形態では、被測定液の各成分の濃度演算に、第2静電容量CP2と第3静電容量CP3とから演算される減衰率α
Aを用いる。これにより、周波数特性が近い2成分を含む3成分の被測定液中における濃度を適切に演算することができる。
【0037】
また、減衰率α
Aは、第2静電容量CP2を測定する第2周波数f2と第3静電容量CP3を測定する第3周波数f3との相対関係の精度が必要であるが、第2周波数f2の絶対値および第3周波数f3の絶対値の精度は不要である。第2周波数f2と第3周波数との相対関係、すなわち第2周波数と第3周波数との比率は、例えばデジタル回路の分周比等を用いれば、誤差は小さい。そのため、第2周波数f2および第3周波数f3の絶対値に依存する演算方法と比べ、被測定液中のガソリンの濃度、エタノールの濃度およびメタノールの濃度を精度よく測定することができる。
【0038】
また、第2周波数f2および第3周波数f3の絶対値に依存する演算方法を用いる場合、精度を高めるためには、高価な装置が必要となる。本実施形態では、第2静電容量CP2と第3静電容量CP3とから演算される減衰率α
Aを被測定液の各成分の濃度演算に用いることにより、第2周波数f2および第3周波数f3の絶対値の精度を高めるための高価な装置を用いることなく、被測定液中のガソリン、エタノールおよびメタノールの濃度を精度よく測定することができる。
【0039】
マイコン50は、減衰率α
Aに基づき、エタノールとメタノールとのアルコール濃度A、および、ガソリンの濃度Gを演算する。またマイコン50は、第1静電容量CP1におけるエタノールおよびメタノールによる静電容量、および、アルコール濃度Aに基づき、エタノールの濃度Eおよびメタノールの濃度Mを演算する。これにより、減衰率α
Aに基づき、ガソリンの濃度G、エタノールの濃度Eおよびメタノールの濃度Mを適切に演算することができる。
【0040】
また、第2周波数f2と第3周波数f3との比率は、デジタル回路の分周比に基づいて設定される。これにより、第2周波数f2と第3周波数f3との比率を、簡素な構成で精度よく実現することができるので、減衰率α
Aの精度が高まり、ひいてはガソリンの濃度G、エタノールの濃度Eおよびメタノールの濃度Mを精度よく演算することができる。
【0041】
静電容量計測回路30は、正弦波発生回路31を含んで構成される。これにより、マイコン50からの指令に応じた周波数の正弦波状の交流電圧を電極部10に印加することができる。
本実施形態の被測定液は、本実施形態では、第1成分がガソリンであり、第2成分がエタノールであり、第3成分がメタノールである。
これにより、ガソリン中にエタノールおよびメタノールが混合された混合燃料中の各成分の濃度を適切に演算することができる。例えば、燃料として当該混合燃料を使用する車両の制御に演算された各成分の濃度を用いることにより、燃料噴射量等を適切に制御することができる。
本実施形態では、静電容量計測回路30が「計測手段」に対応し、マイコン50が「濃度演算手段」に対応する。
【0042】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を
図5に基づいて説明する。
本実施形態は、上記実施形態と静電容量計測回路が異なっているので、この点を中心に説明する。
図5に示すように、本実施形態による静電容量計測回路40は、自励発振回路41を含む。自励発振回路41は、抵抗42、43、44、スイッチ部45、および、シュミットトリガ回路46を有する。
【0043】
上記、第1実施形態では、正弦波発生回路31を用いることにより交流電圧を電極部10に印加する。本実施形態では、抵抗42、43、44およびシュミットトリガ回路46を用いた自励発振回路41により、交流電圧を電極部10に印加する。なお、自励発振回路41による交流電圧は、正弦波状とはならない。
【0044】
抵抗42の抵抗値R1は、スイッチ部45により接続されたときに電極部10に印加される交流電圧の周波数が第1周波数f1相当となるように設定される。抵抗43の抵抗値R2は、スイッチ部45が接続されたときに電極部10に印加される交流電圧の周波数が第2周波数f2相当となるように設定される。抵抗44の抵抗値R3は、スイッチ部45が接続されたときに電極部10に印加される交流電圧の周波数が第3周波数f3相当となるように設定される。本実施形態では、R1>R2>R3である。また、R2とR3との逆数の比は、誘電率の減衰がない場合、f2とf3の比と等しい。
【0045】
スイッチ部45は、マイコン50からの指令により切り替えられる。
スイッチ部45が抵抗42と接続されると、電極部10には第1周波数f1の交流電圧が印加され、シュミットトリガ回路46および波形整形回路47を経由することにより矩形波に整形された出力信号Vout5がマイコン50へ出力される。出力信号Vout5の周期は電極部10の静電容量に比例するので、マイコン50では、出力信号Vout5に基づき、第1静電容量CP1を演算する。
【0046】
スイッチ部45が抵抗43と接続されると、電極部10には第2周波数f2の交流電圧が印加され、シュミットトリガ回路46および波形整形回路47を経由することにより矩形波に整形された出力信号Vout6がマイコン50へ出力される。出力信号Vout6の周期は電極部10の静電容量に比例するので、マイコン50では、出力信号Vout6に基づき、第2静電容量CP2を演算する。
【0047】
スイッチ部45が抵抗44と接続されると、電極部10には第3周波数f3の交流電圧が印加され、シュミットトリガ回路46および波形整形回路47を経由することにより矩形波に整形された出力信号Vout7がマイコン50へ出力される。出力信号Vout7の周期は電極部10の静電容量に比例するので、マイコン50では、出力信号Vout7に基づき、第3静電容量CP3を演算する。
第1静電容量CP1、第2静電容量CP2および第3静電容量CP3に基づく被測定液中のガソリン濃度G、エタノール濃度Eおよびメタノール濃度Mの演算方法は、上記実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態の静電容量計測回路40は、自励発振回路41を含む。これにより、正弦波発生回路を用いることなく、比較的簡素な構成にて、所望の周波数の交流電圧を電極部10に印加することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、静電容量計測回路40が「計測手段」に対応する。
【0049】
(他の実施形態)
(ア)上記第1実施形態では、静電容量計測回路として正弦波発生回路を用いる。また第2実施形態では、静電容量計測回路として自励発振回路を用いる。他の実施形態では、静電容量計測回路をマイコンにより構成してもよい。換言すると、計測手段がマイコンにより構成されていてもよい。また、第2実施形態の自励発振回路のシュミットトリガ回路は、インバータ回路により構成されたが、他の回路にて構成してもよい。また、自励発振回路における波形整形回路を省略してもよい。
【0050】
(イ)上記実施形態では、第1成分がガソリンであり、第2成分がエタノールであり、第3成分がメタノールである。
他の実施形態では、第1成分は、第1成分および第2成分の誘電率が周波数の増加に伴って減衰する減衰周波数帯域において、周波数の増加によらず誘電率が減衰しない液体であれば、どのようなものであってもよい。
【0051】
第2成分および第3成分は、例えばエタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールのうちの2つとすることができる。また、これ以外のアルコール類から選択してもよい。
また、上記実施形態は、第2成分であるエタノールの誘電率の減衰率と第3成分であるメタノールの誘電率の減衰率とが等しいものとして説明した。ここで、分極特性の近しいアルコール類(例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等)の減衰率の差程度の誤差は、許容されるものとし、「第2成分の誘電率の減衰率と第3成分の誘電率の減衰率とが等しい」とみなす。
【0052】
また、第2成分および第3成分に応じて減衰周波数帯域は適宜設定可能であり、対応する減衰周波数帯域にて減衰率の近い2成分であれば、第2成分および第3成分は、アルコール類に限らず、どのようなものであってもよい。
また、被測定液は、混合燃料に限らず、どのような液体であってもよい。
【0053】
(ウ)上記実施形態では、第2周波数と第3周波数との比は、デジタル回路の分周比に基づいて設定される。他の実施形態では、第2周波数と第3周波数との比は、デジタル回路の分周比に基づいていなくてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。