特許第6036571号(P6036571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036571
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】出力装置及び負荷給電システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20161121BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B60R16/02 645C
   B60R16/03 S
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-128810(P2013-128810)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-3560(P2015-3560A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】谷口 知弘
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−240486(JP,A)
【文献】 特開2010−083178(JP,A)
【文献】 特開2001−119960(JP,A)
【文献】 特開2007−312543(JP,A)
【文献】 特開2000−194403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から印加された電圧を変圧する変圧部を備え、該変圧部が変圧した電圧を第1端子又は第2端子から出力する出力装置であって、
前記第1端子には、第1電線を介して、前記変圧部が変圧した電圧が供給される負荷が接続されており、前記第2端子は、第2電線を介して、前記負荷に接続されており、
前記第1端子及び前記第2端子の間に設けられたスイッチと、
前記第1端子の電圧値及び前記第2端子の電圧値を検出する検出部と、
該検出部が検出した電圧値が所定値未満である場合に前記スイッチをオンにする制御部と
を備えることを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記スイッチは半導体スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記スイッチは下流の電線を保護する第1保護手段を更に備えることを特徴とする請求項に記載の出力装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の出力装置と、
前記第1端子及び前記第2端子に接続されており、前記出力装置から前記変圧した電圧が印加される負荷及び蓄電池と、
を備えることを特徴とする負荷給電システム。
【請求項5】
下流の電線を保護する第2保護手段が前記第1端子に接続されていることを特徴とする請求項に記載の負荷給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷への給電を制御するために、印加電圧を変圧して出力する出力装置、及び該出力装置を備える負荷給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、HEV(Hybrid Electric Vehicle)又はEV(Electric Vehicle)等の車両が普及している。このような車両には、車両が減速する場合に車両の運動エネルギーを電力に変換することによって発電機に回生電力を発生させ、発生させた回生電力を負荷に供給する電源装置が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載のような従来の負荷給電システムの構成を示すブロック図である。従来の負荷給電システム5では、発電機10の出力端が、補助電源11の一端、及び、DC/DCコンバータ32の一端に接続されている。DC/DCコンバータ32の他端は、電線13を介して蓄電池14の一端に接続されている。また、蓄電池14の一端はスタータ18に接続されると共に、電線15を介して負荷16に接続されている。発電機10、補助電源11、蓄電池14、負荷16及びスタータ18は接地されている。
【0004】
発電機10は、車両が減速する場合に、車両の運動エネルギーを電力に変換することによって回生電力を発生する。回生電力発生時、発電機10は補助電源11に給電すると共に、発電機10の出力電圧はDC/DCコンバータ32の一端に印加される。DC/DCコンバータ32は、一端に印加された電圧を変圧し、変圧した電圧を、蓄電池14の一端に電線13を介して印加する。その後、蓄電池14に印加された電圧は電線15を介して負荷16に印加され、負荷16は給電される。このように、車両を減速させる場合に発電機10が車両の運動エネルギーから変換した電力は、補助電源11に蓄えられると共に、負荷16への給電に用いられる。このため、車両の運動エネルギーがタイヤと地面との摩擦で消費されることなく効率的に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−83178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3に示すような負荷給電システムの構成で電線13が断線した場合、発電機10によって発生された電圧はDC/DCコンバータ32を介して蓄電池14の一端に印加されないので、電線15を介して負荷16を給電することができない。同様に、発電機10によって充電された補助電源11から発生した電圧もDC/DCコンバータ32を介して蓄電池14の一端に印加されないので、電線15を介して負荷16を給電することができない。したがって、電線13が断線する前に蓄電池14に供給された電力量だけ負荷16に供給することで負荷16は動作できるが、蓄電池14に蓄えられた電力量が無くなった場合、負荷16の動作は停止する可能性がある。
【0007】
また、電線15が断線した場合、発電機10又は補助電源11の出力電圧はDC/DCコンバータ32を介して蓄電池14の一端に印加されるが、蓄電池14に印加された電圧は電線15を介して負荷16に印加されない。したがって、電線15が断線すると負荷16は給電できないので、負荷16の動作は停止する可能性がある。
【0008】
このように、図3の負荷給電システムの構成で電線13又は電線15が断線した場合、負荷16に給電するための給電経路が確保されずに負荷16の動作が停止する可能性がある。特に、負荷16が車両の動作のなかで、使用者の安全面で必要性が高い動作に関係する負荷である場合、電線13又は電線15が断線すると車両の使用者に危険を及ぼす可能性が高い。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断線によって負荷に給電ができなくなった場合でも負荷に給電するための給電経路を確保できる出力装置、及び該出力装置を備える負荷給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る出力装置は、外部から印加された電圧を変圧する変圧部を備え、該変圧部が変圧した電圧を第1端子又は第2端子から出力する出力装置であって、前記第1端子には、第1電線を介して、前記変圧部が変圧した電圧が供給される負荷が接続されており、前記第2端子は、第2電線を介して、前記負荷に接続されており、前記第1端子及び前記第2端子の間に設けられたスイッチと、前記第1端子の電圧値及び前記第2端子の電圧値を検出する検出部と、該検出部が検出した電圧値が所定値未満である場合に前記スイッチをオンにする制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、変圧部が変圧した外部電圧を第1端子又は第2端子から出力する出力装置で、検出部によって検出された第1端子の電圧値が所定値未満である場合に制御部が第1端子及び第2端子の間に設けられたスイッチをオンにする。
【0013】
本発明にあっては、検出部が第2端子の電圧値も検出する。
【0014】
本発明に係る出力装置は、前記スイッチは半導体スイッチであることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、スイッチが半導体スイッチである。
【0016】
本発明に係る出力装置は、前記スイッチは下流の電線を保護する第1保護手段を更に備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、スイッチは下流の電線を保護する第1保護手段を備えている。
【0018】
本発明に係る負荷給電システムは、前述のいずれかに記載の出力装置と、前記第1端子及び前記第2端子が接続されており、前記出力装置から前記変圧した電圧が印加される負荷及び蓄電池とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、出力装置と、出力装置から変圧電圧が印加される負荷及び蓄電池とを備える負荷給電システムで、負荷及び蓄電池が第1端子及び第2端子に接続されている。
【0020】
本発明に係る負荷給電システムは、下流の電線を保護する第2保護手段が前記第1端子に接続されていることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、下流の電線を保護する第2保護手段が第1端子に接続されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、断線によって負荷に給電できなくなった場合でも負荷に給電するための給電経路を確保することで負荷に対する電力の供給不足によって生じる負荷の動作が停止することを減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る負荷給電システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る負荷に電力を供給する処理手順を示すフローチャートである。
図3】従来の負荷給電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の実施の形態に係る負荷給電システムの構成を示すブロック図である。負荷給電システム1は、車両に好適に搭載され、発電機10、補助電源11、出力装置12、蓄電池14、負荷16, 17及びスタータ18を備える。出力装置12は、制御部22、DC/DCコンバータ32、スイッチ42、検出部52、報知部62及びヒューズ72を有する。発電機10の出力端が、補助電源11の一端、及び、出力装置12の一端に接続されている。出力装置12の出力端子である第1端子T1は、電線13を介して蓄電池14の一端に接続されている。また、出力装置12の出力端子である第2端子T2は、電線19を介して負荷16に接続されている。そして、蓄電池14の一端はスタータ18に接続されると共に、電線15を介して負荷16に接続されている。更に、蓄電池14の一端は負荷17に接続されている。発電機10、スタータ18及び負荷16, 17夫々の一端と、補助電源11及び蓄電池14の負極端子とは接地されている。
【0025】
発電機10は、負荷給電システム1が搭載してある車両の図示しないエンジンと連動して電力を発生すると共に、車両が減速する場合に車両の運動エネルギーを電力に変換することによって回生電力を発生する。具体的には、発電機10は、エンジンと連動して電力を発生する場合、及び、回生電力を発生する場合の両方において、交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に整流する。発電機10が発生する電力、電圧及び電流夫々は、整流後の電力、電圧及び電流である。発電機10の出力端は、補助電源11の一端、及び、出力装置12のDC/DCコンバータ32の一端に接続されている。発電機10は、回生電力を発生する場合、つまり、車両が減速する場合、負荷16,17に回生電力を供給するために、補助電源11の一端、及び、DC/DCコンバータ32の一端に発生した電圧を印加する。
【0026】
補助電源11の一端に発電機10の出力電圧が印加され、補助電源11は発電機10が出力した電力を蓄える。そして、補助電源11は、回生電力を発生しない場合、つまり、車両が減速せずに定速走行又は加速する場合、補助電源11が蓄えた電力を負荷16,17に供給するために、DC/DCコンバータ32の一端に出力電圧を印加する。補助電源11は電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン電池等である。
【0027】
蓄電池14は、例えば、鉛電池である。蓄電池14にはDC/DCコンバータ32が変圧した電圧が電線13を介して印加され、蓄電池14は、DC/DCコンバータ32が変圧した電圧の印加によって蓄電する。
【0028】
また、蓄電池14は、DC/DCコンバータ32と接続する端子の他にも負荷16, 17及びスタータ18と接続する端子を有する。DC/DCコンバータ32の他端からの出力電圧は電線15を介して負荷16に印加され、負荷16は給電される。更に、蓄電池14に印加された電圧によって負荷17及びスタータ18が給電される。スタータ18はエンジンを始動するためのモータである。
【0029】
負荷16は、走る、曲がる、止まる等の車両の動作の内、未動作では車両の使用者に危険を及ぼす可能性が高い負荷に相当する。例えば、負荷16は、エンジンのECU(Electronic Control Unit)、エンジンに関連するセンサ(O2センサ、A/Fセンサ)、インジェクション、イグニッションコイル、ストップランプ、無段変速機(CVT)、スロットルモータ又はメーター等の車載機器である。
【0030】
負荷17は車両の動作の内、未動作でも車両の使用者に危険を及ぼす可能性が低い負荷に相当する。例えば、負荷17は、A/Cコンプレッサ、フォグランプ、リヤデフォッガ、シートヒータ、ルームランプ、カーナビゲーションシステム又はオーディオ機器等の車載機器である。
【0031】
発電機10が発生した電圧、又は、補助電源11からの出力電圧がDC/DCコンバータ32に印加され、DC/DCコンバータ32によって印加電圧が変圧された後、変圧された電圧が蓄電池14及び負荷16,17に印加されることで負荷16,17は給電されて動作する。負荷16,17のいずれも複数で構成されても良い。
【0032】
DC/DCコンバータ32は、一端から入力された発電機10又は補助電源11の出力電圧を変圧する。このようにDC/DCコンバータ32は、発電機10又は補助電源11の出力電圧を選択的に変圧する変圧部として動作する。DC/DCコンバータ32は、発電機10又は補助電源11の出力電圧の昇圧及び降圧を行うことによって変圧し、変圧によって得られた一定の電圧を他端から蓄電池14の一端に電線13を介して印加する。
【0033】
制御部22は、DC/DCコンバータ32の動作、及び、スイッチ42のオン/オフを制御する。具体的には、制御部22は、DC/DCコンバータ32が図示しないコイルと共に有する図示しない複数のスイッチ夫々のオン/オフを繰り返すことによってDC/DCコンバータ32に電圧を変換させる。制御部22は、図示しない複数のスイッチ夫々のオン/オフを操作することによってDC/DCコンバータ32の動作を停止させることが可能である。さらに、制御部22は、図示しない一又は複数のスイッチ夫々におけるオン/オフのデューティを変更することによって、DC/DCコンバータ32の昇圧幅又は降圧幅を調整することも可能である。
【0034】
スイッチ42はDC/DCコンバータ32に接続され、一端は電線19を介して負荷16に接続されている。スイッチ42は半導体スイッチであり、FET(Field Effect Transistor)又はバイポーラトランジスタである。スイッチ42は制御部22によってオン/オフされる。電線13又は電線15が断線等の不具合が生じていない場合、制御部22はスイッチ42がオフの状態を維持するように制御する。
【0035】
スイッチ42に直列接続するようにヒューズ72を設けている。ヒューズ72は下流の電線19を保護する保護手段として機能する。後述するように、電線13又は電線15の不具合に起因してスイッチ42がオンになった場合、DC/DCコンバータ32によって変圧された電圧がスイッチ42及び電線19を介して負荷16に印加されて、負荷16は給電される。スイッチ42にヒューズ72を接続していると、電線19が短絡して多量の電流が流れた場合にヒューズ72が溶断する。したがって、負荷16を過電流による損傷から保護できる。本実施形態では保護手段としてヒューズを使用しているが、PTC(Positive Temperature Coefficient)等を用いても良い。また、保護手段を電子回路で構成しても良く、電流を測定して電線19を保護出来ない場合に保護手段から制御部22に異常信号を送り、スイッチ42が制御部22からの制御信号によってオフされる。更に、このような電子回路の機能を半導体スイッチに組み込むことも可能で、この場合は制御部22による制御信号によらず、保護手段の検出結果に基づいてスイッチ42をオフにできる。尚、ヒューズ72は本発明における第1保護手段である。
【0036】
また、電線13にヒューズ73を接続している。ヒューズ73は第1端子T1に接続されている。ヒューズ73は下流の電線13を保護する保護手段として機能する。電線13にヒューズ73を設けると、電線13が短絡して多量の電流が流れた場合にヒューズ73が溶断する。したがって、蓄電池14及び負荷16, 17を短絡によって生じる過電流による損傷から保護できる。前述したように、本実施形態では保護手段としてヒューズを使用しているがPTC等を用いても良い。尚、ヒューズ73は本発明における第2保護手段である。
【0037】
出力装置12によって、発電機10又は補助電源11の電圧が変圧され、変圧された電圧が蓄電池14、負荷16,17及びスタータ18に給電される。電線13又は電線15が断線した場合、出力装置12によって負荷16は電線19を介して給電される。最初に、電線13による断線を検出した後に負荷16に電力を供給する方法を以下に述べる。
【0038】
検出部52は第1端子T1の電圧値を検出する。第1端子T1はDC/DCコンバータ32と蓄電池14との間に接続された端子であって出力装置12の出力端子である。電線13に断線等の不具合が生じた場合、第1端子T1の電圧値はDC/DCコンバータ32の出力電圧として想定される所定値より低くなる。例えば、電線13に断線が生じた場合、第1端子T1の電圧値は0Vである。したがって、検出部52が第1端子T1の電圧値が所定値より低いことを検出した場合、制御部22は検出部52の検出結果に基づいて電線13に断線等の不具合が生じたことを判定する。検出部52は検出結果を制御部22に通知する。
【0039】
例えば、電線13が断線した場合、回生電力の発生時の発電機10の出力電圧、又は、回生電力の非発生時の補助電源11の出力電圧がDC/DCコンバータ32によって変圧され、変圧された電圧が電線13を介して蓄電池14に印加されない。したがって、負荷16に電力を供給するために、制御部22が検出部52の検出結果に基づいて電線13の断線を判定した場合、制御部22はスイッチ42をオンにするようにスイッチ42を制御する。スイッチ42がオンにされると、スイッチ42を介して発電機10、補助電源11、負荷16及び蓄電池14が接続状態になる。また、スイッチ42がオンにされると、報知部62によって図示しないランプを点灯して図示しない表示部にメッセージを表示して、電線13が断線していることを車両の使用者に通知する。
【0040】
回生電力の発生時、補助電源11に発電機10からの出力電圧が印加されて、補助電源11は発電機10が出力した電力を蓄えている。したがって、補助電源11からの出力電圧をDC/DCコンバータ32を介して変圧し、スイッチ42及び電線19を介して負荷16に変圧電圧を印加することによって、補助電源11に蓄えられた電力を負荷16に供給する。
【0041】
補助電源11に蓄えられた電力が無くなった場合、発電機10はエンジンと連動して電力を発生する。発電機10からの出力電圧をDC/DCコンバータ32を介して変圧し、スイッチ42及び電線19を介して負荷16に変圧された電圧を印加することによって、発電機10から電力を負荷16に供給する。
【0042】
制御部22が検出部52の検出結果に基づいて電線13の断線を判定した場合、発電機10又は補助電源11からの出力電圧をDC/DCコンバータ32によって変圧し、スイッチ42及び電線19を介して負荷16に変圧された電圧を印加して負荷16に電力を供給する。したがって、負荷16の動作が電力供給不足によって停止することはないので車両の動作に問題は生じない。また、負荷16、蓄電池14及び負荷17は接続状態であるので、上述したような負荷16に電力を供給した経路を使って、電線15及び蓄電池14を介して負荷17にも電力を供給できる。
【0043】
次に、電線15の断線を検出した後に負荷16に電力を供給する方法を以下に述べる。検出部52は第2端子T2の電圧値を検出する。第2端子T2はDC/DCコンバータ32と負荷16との間に接続された端子であって出力装置12の出力端子である。
【0044】
電線15に断線等の不具合が生じた場合、第2端子T2の電圧値はDC/DCコンバータ32の出力電圧として想定される所定値より低くなる。例えば、電線15に断線が生じた場合、第2端子T2の電圧値は0Vである。したがって、検出部52が第2端子T2の電圧値が所定値より低いことを検出した場合、制御部22は検出部52の検出結果に基づいて電線15に断線等の不具合が生じたことを判定する。検出部52は検出結果を制御部22に通知する。
【0045】
例えば、電線15が断線した場合、回生電力の発生時の発電機10の出力電圧、又は、回生電力の非発生時の補助電源11の出力電圧がDC/DCコンバータ32によって変圧され、変圧された電圧が蓄電池14に印加されるが、電線15を介して負荷16に印加されない。つまり、負荷16に電力が全く供給されない。したがって、負荷16に電力を供給するために、制御部22が電線15の断線を判定した場合、制御部22はスイッチ42をオンにするように制御する。スイッチ42がオンにされると、スイッチ42を介して発電機10、補助電源11及び負荷16が接続状態になる。そして、報知部62によって電線15が断線していることを車両の使用者に通知する。
【0046】
スイッチ42がオンにされた後、電線13が断線した場合と同様に、発電機10又は補助電源11からの出力電圧をDC/DCコンバータ32を介して変圧し、スイッチ42及び電線19を介して負荷16に変圧された電圧を印加して負荷16に電力を供給する。したがって、負荷16の動作が電力供給不足によって停止しないので車両の動作に問題は生じない。また、電線13及び蓄電池14を介して負荷17に電力を供給できる。
【0047】
図2は本発明の実施の形態に係る負荷に電力を供給する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、蓄電池14に充電された電力を使用してスタータ18によってエンジンが作動されている状態中の動作である。まず、検出部52は第1端子T1の電圧値を第1電圧値として検出する(ステップS1)。次に、検出部52は第2端子T2の電圧値を第2電圧値として検出する(ステップS2)。
【0048】
制御部22が第1電圧値又は第2電圧値が所定値より低いか否かを判定する(ステップS3)。制御部22が第1電圧値又は第2電圧値が所定値より低いことを判定した場合、制御部22は電線13又は電線15が断線していることを判定する。
【0049】
制御部22が第1電圧値又は第2電圧値が所定値以上であることを判定した場合(ステップS3:NO)、制御部22は、電線13及び電線15が断線していないことを判定する。制御部22の制御によって、回生電力の発生時の発電機10の出力電圧、又は、回生電力の非発生時の補助電源11の出力電圧をDC/DCコンバータ32に印加し、DC/DCコンバータ32によって変圧された電圧を電線13を介して蓄電池14に印加し、蓄電池14に印加された電圧を電線15を介して負荷16に印加することによって電力が負荷16に供給される。つまり、制御部22はシステム内に断線が生じていない正常の状態と判断しているので、スイッチ42はオフされている状態を維持する。スイッチ42はオフされているので、発電機10又は補助電源11の出力電圧に基づく電力はスイッチ42及び電線19を介して負荷16に供給されない。また、負荷16に供給されるように電力が負荷17に供給される。
【0050】
制御部22が第1電圧値又は第2電圧値が所定値より低いことを判定した場合(ステップS3:YES)、制御部22は電線13又は電線15が断線していることを判定する。制御部22は、電線13及び電線15のどちらが断線されていたとしても負荷16に電力を供給するために、スイッチ42をオンにする(ステップS4)。そして、報知部62によって電線13又は電線15が断線していることを車両の使用者に報知する(ステップS5)。よって、発電機10又は補助電源11からの出力電圧をDC/DCコンバータ32を介して変圧し、スイッチ42及び電線19を介して負荷16に変圧された電圧を印加することによって負荷16を給電する。
【0051】
以上のように構成された負荷給電システムでは、電線13又は電線15が断線した場合でも、負荷16に対して給電する給電経路を優先的に確保できるので、負荷16に対する電力の供給不足によって負荷16の動作が停止する確率が低い。したがって、負荷16が、車両の動作内、使用者の安全面で必要性が高い動作に関係する負荷である場合、車両の使用者に危険を及ぼす可能性が低い。
【0052】
本実施形態では、検出部52が第1電圧値及び第2電圧値を検出しているが制御部22が電圧値を検出しても良い。また、ステップS3で電線が断線したことを判定する際に、第1電圧値又は第2電圧値が所定値より低い状態が所定期間継続するか否かで断線の有無を判断しても良い。所定値は電線における電圧降下に基づいて決定され、所定期間はノイズ等の影響に基づいて決定され得る。このような構成によって断線の有無を判断すると、断線の判定精度が上がる。
【0053】
開示された本実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 負荷給電システム
10 発電機
11 補助電源
13、15、19 電線
14 蓄電池
16、17 負荷
22 制御部
32 DC/DCコンバータ
42 スイッチ
52 検出部
72、73 ヒューズ
T1 第1端子
T2 第2端子
図1
図2
図3