(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
浴槽内へ湯水を導入するふろ往き通路と、前記浴槽内から湯水を導出するふろ戻り通路と、前記ふろ往き通路に設けられ、気泡を発生する気泡導入装置と、熱交換器の導入口と接続するふろ戻り配管と、前記熱交換器の導出口と接続するふろ往き配管と、から成るふろ循環回路と、
前記浴槽から導出した湯水を前記ふろ戻り配管、前記熱交換器及び前記ふろ往き配管の順に循環させて前記浴槽に戻すふろ循環ポンプと、
前記ふろ循環回路の水流に応じた信号を発する水流検知手段と、
前記ふろ循環ポンプを作動させた後、前記水流検知手段によって検知される水流の脈動に基づいて、前記ふろ循環回路の接続状態が正常か否かを判定する制御部と、
を備える給湯装置。
前記制御部は、前記水流検知手段の信号に基づいて、水流が正常に発生していない状態が予め定められた回数以上に検知された場合に、前記ふろ戻り配管及び前記ふろ往き配管と前記ふろ戻り通路及び前記ふろ往き通路との接続状態が逆接続であることを判定する請求項1に記載の給湯装置。
前記制御部は、前記循環ポンプを作動してからの経過時間が予め定められた時間に達した後の前記水流検知手段の信号に基づいて、前記ふろ循環回路の接続状態を判定する請求項1乃至3の何れか1項に記載の給湯装置。
前記制御部により、前記ふろ循環回路の接続状態が正常ではないことが判定された場合に、使用者への報知を行う報知手段を更に備える請求項1乃至4の何れか1項記載の給湯装置。
浴槽内へ湯水を導入するふろ往き通路と、前記浴槽内から湯水を導出するふろ戻り通路と、前記ふろ往き通路に設けられ、気泡を発生する気泡導入装置と、熱交換器の導入口と接続するふろ戻り配管と、前記熱交換器の導出口と接続するふろ往き配管と、から成るふろ循環回路を備える給湯装置の異常検出方法であって、
前記浴槽から導出した湯水を前記ふろ戻り配管、前記熱交換器及び前記ふろ往き配管の順に循環させて前記浴槽に戻す循環ポンプを作動させる循環ステップと、
前記循環ステップの実行中に前記ふろ循環回路の水流に応じた信号を検知する水流検知ステップと、
前記水流検知ステップによって水流が正常に発生していない状態が予め定められた回数以上に検知された場合に、前記ふろ戻り配管及び前記ふろ往き配管と前記ふろ戻り通路及び前記ふろ往き通路との接続状態が逆接続であることを判定する判定ステップと、
を備える給湯装置の異常検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、本発明の実施の形態についての説明は、給湯装置を貯湯式給湯機として説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す全体構成図である。この図に示すように、本実施形態の貯湯式給湯機100は、貯湯タンクユニット1と、ヒートポンプサイクルを利用するように構成されたヒートポンプユニット60とを備えている。
【0015】
貯湯タンクユニット1とヒートポンプユニット60とは、ヒートポンプ入口配管41と、ヒートポンプ出口配管42とを介して接続されている。貯湯タンクユニット1には、制御部70が内蔵されている。制御部70には、貯湯式給湯機100の運転状態を表示するリモコン71が接続されている。貯湯タンクユニット1およびヒートポンプユニット60が備える各種の弁類、ポンプ類等の作動は、これらの機器と電気的に接続された制御部70により制御される。以下、貯湯式給湯機100の各構成要素について説明する。
【0016】
ヒートポンプユニット60は、貯湯タンクユニット1から導かれた低温水をヒートポンプサイクルにより加熱する(沸き上げる)ためのものである。ヒートポンプユニット60は、圧縮機61、沸き上げ用熱交換器62、膨張弁63及び空気熱交換器64を備えており、これらの機器を冷媒循環配管65により環状に接続した冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を搭載している。沸き上げ用熱交換器62は、冷媒循環配管65を流れる冷媒と、貯湯タンクユニット1から取出された低温水との間で熱交換を行うものである。ヒートポンプ出口側サーミスタ66は、沸き上げ用熱交換器62から流出した高温水の温度を検出する温度センサであり、ヒートポンプ出口配管42に設けられている。なお、ヒートポンプユニット60で高温水を得るためには、ヒートポンプサイクルは、冷媒として二酸化炭素を用い、臨界圧を越える圧力で運転することが好ましい。
【0017】
一方、貯湯タンクユニット1には、以下の各種部品や配管等が内蔵されている。貯湯タンク10は、湯水を貯留するためのものである。貯湯タンク10の下部には、市水を供給するための給水配管2が接続されており、貯湯タンク10の上部には、貯留した湯水を給湯機外部へ供給するための給湯配管3が第2のタンク上部配管44から分岐されて接続されている。尚、貯湯タンク10には、ヒートポンプユニット60を用いて加熱された高温水がタンク上部から流入されるとともに、給水配管2を介して低温水をタンク下部から流入させることにより、タンク内の上部と下部で温度差が生じるように湯水が貯留される。
【0018】
また、貯湯タンク10の表面には、取付高さを変えて貯湯タンク10内の湯水の温度分布を検知するための残湯サーミスタ11、12が取り付けられている。これらの残湯サーミスタ11、12により取得された温度分布に基づいて、貯湯タンク10内の残湯量が把握され、ヒートポンプユニット60による貯湯タンク10内の湯水の沸き上げ運転の開始および停止等が制御される。
【0019】
また、貯湯タンクユニット1内には、熱源ポンプ21および利用側熱交換器22が内蔵されている。熱源ポンプ21は、貯湯タンクユニット1内の後述する各種配管に湯水を循環させるためのポンプである。利用側熱交換器22は、貯湯タンク10やヒートポンプユニット60から供給される高温水を利用して、2次側の浴槽循環水を加熱するための熱交換器である。
【0020】
また、貯湯タンクユニット1は、第1の三方弁31、第2の三方弁32、四方弁33、及びふろ給湯電磁弁34を備えている。第1の三方弁31と第2の三方弁32は、それぞれ湯水が流入する2つの入口(aポート、bポート)と、湯水が流出する1つの出口(cポート)とを有し、a、bポートの何れか一方から湯水が流入するように湯水の経路を切り替え可能に構成されている。四方弁33は、湯水が流入する2つの入口(bポート、cポート)と、湯水が流出する2つの出口(aポート、dポート)とを有し、3つの経路、すなわち、a−b、b−d、c−dの間で流路形態を切り替え可能に構成されている。ふろ給湯電磁弁34は、貯湯タンク10の上部口とふろ往き配管57との間に接続されたふろ給湯配管35の途中に設けられており、貯湯タンク10内の高温水を浴槽50に供給する場合に開弁するものである。
【0021】
また、貯湯タンクユニット1は、タンク下部配管40、上記ヒートポンプ入口配管41、上記ヒートポンプ出口配管42、第1のタンク上部配管43、第2のタンク上部配管44、タンク戻し配管45、利用側熱交換器1次側(熱源側)入口配管46、利用側熱交換器1次側出口配管47、バイパス配管48及び上部戻し配管49を備えている。より詳しく説明すると、タンク下部配管40は、貯湯タンク10の下部に設けられた取り出し口(第1下部)と第2の三方弁32のaポートとを接続する流路である。ヒートポンプ入口配管41は、第1の三方弁31のcポートとヒートポンプユニット60の入口側とを接続する流路であり、ヒートポンプ出口配管42は、ヒートポンプユニット60の出口側と四方弁33のcポートとを接続する流路である。第1のタンク上部配管43は、貯湯タンク10の中央部から上部の間に設けられた取り出し口(第2上部)と第1の三方弁31のaポートとを接続する流路であり、第2のタンク上部配管44は、貯湯タンク10の第1上部と第1の三方弁31のbポートとを接続する流路である。タンク戻し配管45は、四方弁33のaポートと貯湯タンク10の中央部から下部の間に設けられた戻し口(第2下部)とを接続する流路である。また、利用側熱交換器1次側入口配管46は、第1の三方弁31のcポートと利用側熱交換器22の1次側入口に接続される流路であり、利用側熱交換器1次側出口配管47は、利用側熱交換器22の1次側出口と第1の三方弁31のbポートとを接続する流路である。更に、バイパス配管48は、ヒートポンプ入口配管41における第1の三方弁31とヒートポンプユニット60の入り口側との間から分岐し、四方弁33のbポートに接続される流路であり、上部戻し配管49は、四方弁33のdポートと第2のタンク上部配管44の途中とに接続される流路である。
【0022】
次に、貯湯式給湯機100に接続された浴槽50側の回路について説明する。浴槽50には、浴槽50の壁面に設置された浴槽アダプタ80と、利用側熱交換器22と、浴槽アダプタ80から浴槽水を導出して利用側熱交換器22の導入口に流入させるふろ戻り配管56と、利用側熱交換器22の導出口から流出した浴槽水を浴槽アダプタ80に流入させるふろ往き配管57と、ふろ循環ポンプ52と、浴槽出口側サーミスタ53と、気泡導入装置55と、フロースイッチ58と、が付設されている。
【0023】
より詳しくは、ふろ循環ポンプ52は、浴槽アダプタ80を介して浴槽50から導出された浴槽水をふろ戻り配管56、利用側熱交換器22、及びふろ往き配管57の順に流通させて再び浴槽アダプタ80を介して浴槽50に循環させるもので、ふろ戻り配管56の途中に設けられている。また、ふろ戻り配管56におけるふろ循環ポンプ52の上流側には、浴槽50から導出された浴槽水の温度を検知するための浴槽出口側サーミスタ53と、浴槽水の循環流量が所定以上となった場合にスイッチがONとなることで浴槽水の循環水流有無を検出する水流検知手段としてのフロースイッチ58と、が配設されている。気泡導入装置55は、浴槽アダプタ80を介して浴槽50に流入する浴槽水に気泡を混入させるもので、ふろ往き配管57と浴槽アダプタ80との接続部に設けられている。なお、気泡導入装置55への空気の導入は、空気チューブ37を介して接続される空気電磁弁36の開閉によって制御される。浴槽アダプタ80は、ふろ戻り配管56及びふろ往き配管57を浴槽50に接続するためのもので、気泡導入装置55の下流側(流出側)に配置され、例えば浴槽50の壁面部に設置されている。なお、浴槽アダプタ80の構成については、その詳細を後述する。
【0024】
次に、
図2及び
図3を参照して、貯湯式給湯機100の運転のうち浴槽50に関係する基本的な運転について説明する。
図2は、湯はり運転を示す回路構成図であり、
図3は、浴槽水循環運転を示す回路構成図である。まず、湯はり運転について説明すると、この運転では、
図2に示すように、ふろ給湯電磁弁34を開弁し、貯湯タンク10の上部に貯留された高温水をふろ戻り配管56及びふろ往き配管57に流入させる。これにより、浴槽50に高温水を張ることができる。
【0025】
一方、浴槽水循環運転は、例えば浴槽50中に気泡を発生させた状態で入浴する場合等に用いられるものである。浴槽水循環運転では、
図3に示すように、ふろ循環ポンプ52を作動させることにより、浴槽50とふろ戻り配管56及びふろ往き配管57との間で浴槽水を循環させる。そして、空気電磁弁36を開弁することにより、空気チューブ37を介して気泡導入装置55に空気を導入する。これにより、気泡導入装置55から微細気泡が発生し、この微細気泡が混入した浴槽水は、浴槽アダプタ80を介して浴槽50内に供給される。
【0026】
次に、
図4を参照して、浴槽アダプタ80の構造及びその機能について説明する。
図4は、浴槽アダプタを中心軸線を含む垂直面で破断して示す縦断面図である。この図に示すように、浴槽アダプタ80は、例えば浴槽50の壁面部に設置され、浴槽50とふろ戻り配管56及びふろ往き配管57とを接続する有極性のアダプタである。浴槽アダプタ80は、浴槽金具81、仕切板82、吐出ノズル83、及びアダプタカバー84により構成されている。仕切板82には、浴槽水を吸い込む吸込み口85が設けられている。浴槽金具81には、浴槽50へ浴槽水を導入するための管状のふろ往き通路87と浴槽50から浴槽水を導出するための管状のふろ戻り通路86とが設けられている。ふろ戻り通路86はふろ循環回路51のふろ戻り配管56に接続される。また、ふろ往き通路87は気泡導入装置55を挟んでふろ循環回路51のふろ往き配管57に接続される。以下、ふろ戻り通路86、ふろ戻り配管56、ふろ往き配管57、ふろ往き通路87から成る循環回路をふろ循環回路51と称する。
【0027】
ここで、浴槽アダプタ80のふろ戻り通路86及びふろ往き通路87と、ふろ戻り配管56及びふろ往き配管57とは、装置を設置する際に施工者によって接続される。このため、本来であれば浴槽アダプタ80のふろ戻り通路86
にふろ戻り配管56を、ふろ往き通路87にふろ往き配管57を接続しなければならないところを、誤ってこれらを逆接続してしまう事態も想定される。
【0028】
図5は、ふろ戻り配管及びふろ往き配管が浴槽アダプタに逆接続された状態を示す回路構成図である。また、
図6は、ふろ戻り通路及びふろ往き通路が逆接続された浴槽アダプタを中心軸線を含む垂直面で破断して示す縦断面図である。
図5に示すように、浴槽アダプタ80にふろ戻り通路86及びふろ往き通路87が逆接続されると、ふろ往き通路87から浴槽水が引き込まれて気泡導入装置55へと流れる。このため、気泡導入装置55には通常と逆となる方向から浴槽水が流れてしまう。その結果、気泡が混入した浴槽水がふろ循環ポンプ52に流れ込んでしまい、ふろ循環ポンプ52の空転が生じて循環不良に至る可能性がある。
【0029】
また、
図6に示すように、浴槽アダプタ80がふろ戻り通路86及びふろ往き通路87に逆接続されると、本来は湯水を吐出する吐出ノズル83から浴槽水が引き込まれ、ふろ往き通路87、気泡導入装置55を通ってふろ戻り配管56へ流れることとなる。そして、ふろ往き配管57から流れてきた浴槽水はふろ戻り通路86を通り、吸込み口85から浴槽50へ吐出される。したがって、この逆接続状態で気泡を発生させる浴槽水循環運転が行われた場合は、仮に浴槽水が循環したとしても気泡を含んだ浴槽水が吸込み口85から吐出されることとなるため、入浴者が気泡を含んだ浴槽水を満足に被浴することができない。
【0030】
そこで、本発明の実施の形態の貯湯式給湯機100では、前述の不具合を生じさせないために、フロースイッチ58の検出結果に基づいて、ふろ循環回路51の接続状態が逆接続となっていないか否かを判定することとしている。
図7は、浴槽アダプタとふろ戻り通路及びふろ往き通路とが逆接続された状態で浴槽水循環運転を行った場合のフロースイッチ出力の時間変化を示す図である。上述したとおり、ふろ戻り配管56及びふろ往き配管57が浴槽アダプタ80に逆接続された場合、気泡導入装置55によって生成された気泡が混入している浴槽水がふろ循環ポンプ52を通過することとなる。その結果、ふろ循環ポンプ52の空転が発生して循環流量が0L/minとなると、気泡導入装置55への湯水の流れもなくなるため気泡の導入が停止される。気泡導入の停止後、再度ふろ循環ポンプ52の運転により浴槽水の循環が起こり、浴槽水の循環が起こると、再び気泡導入装置55により生成された気泡が混入している浴槽水が生成され、ふろ循環ポンプ52の空転が発生する。つまり、ふろ戻り通路86及びふろ往き通路87が浴槽アダプタ80に逆接続された場合、気泡の混入した浴槽水がふろ循環ポンプ52に流入→ふろ循環ポンプ52が空転→気泡混入停止→循環再開→気泡の混入した浴槽水がふろ循環ポンプ52に流入→ふろ循環ポンプ52が空転→…という事象が繰返し発生する。このため、フロースイッチ58の出力は、
図7に示すようにONとOFFとを連続的に出力することとなる。したがって、フロースイッチ58の出力がONとOFFとを連続的に出力しているか否かを貯湯式給湯機100に内蔵された制御部70で判定することによって、ふろ循環回路51の接続状態を精度よく判定することができる。
【0031】
なお、ふろ循環回路51が正しく接続されている場合であっても、例えば、浴槽アダプタ80から浴槽50に吐出された気泡を多量に吸い込んだ場合等においては、フロースイッチ58がOFFを検出する可能性がある。そこで、逆接続の判定では、その判定精度を向上させるべく、フロースイッチ58のOFFを所定時間内に所定回数以上検出した場合に、ふろ戻り配管56とふろ往き配管57とが浴槽アダプタ80に逆接続されていると判定することが好ましい。
【0032】
所定時間及び所定回数は、配管長又はふろ循環ポンプ52の能力等を考慮して適宜設定すればよいが、例えば以下のように設定することができる。すなわち、気泡導入装置55を動作させて浴槽50に気泡を発生させる浴槽水循環運転が正常に動作するか否かを確認するため、試運転が必要となる場合がある。この際、確認者がその場に留まり気泡の吐出状態を確認する時間を1分程度に抑えたいと考えれば、所定時間を1分とする。また、所定回数に関しては、浴槽アダプタ80から浴槽50に吐出された気泡を吸い込み、フロースイッチ58がOFFを検出する1回に尤度1回を考慮すると、通常の循環においてもフロースイッチ58がOFFを2回検出する可能性があることとなる。この場合、3回以上のフロースイッチ58のOFFが検出された場合は接続異常であると考えられるので、ふろ戻り配管56とふろ往き配管57の逆接続と判定するフロースイッチ58のOFF検出回数は3回とする。
【0033】
また、浴槽アダプタ80から浴槽50に吐出された気泡を吸い込むことによりフロースイッチ58がOFFを検出する例以外にも、配管の形状によってはフロースイッチ58がOFFを検出する可能性がある。
図8は、発明の実施の形態1の貯湯式給湯機の他の例を示す全体構成図である。
図8に示すように、構造物を避けること等を目的としてふろ戻り配管56の一部が門形を呈するように立ち上がったいわゆる鳥居配管56aを備える装置では、鳥居配管56aの上部に空気が溜まることがある。鳥居配管56aに空気が溜まった状態で浴槽水を循環させると、配管は正常に接続されているにもかかわらず、溜まった空気が一気にふろ循環ポンプ52に流入することによりフロースイッチ58がOFFを検出する可能性がある。また、上記
図8に示す構成にかかわらず、ふろ循環ポンプ52の動作の初期は浴槽水の循環が安定せず、フロースイッチ58がOFFを検出する可能性もある。
【0034】
そこで、ふろ循環回路51と浴槽アダプタ80との逆接続の判定は、ふろ循環ポンプ52が作動した時点から所定時間が経過した後に、フロースイッチ58のOFF検出回数のカウントを開始することが好ましい。これにより、逆接続の判定精度を有効に高めることが可能となる。
【0035】
なお、フロースイッチ58のOFF検出回数をカウントし始めるまでの所定時間は、配管長又はふろ循環ポンプ52の能力等を考慮して適宜設定すればよいが、例えば以下のように設定することができる。すなわち、浴槽アダプタ80の吸込み口85からフロースイッチ58までの最大配管長をT[m]、ふろ戻り配管56の最大断面積をA[m
2]、フロースイッチ58がONを検出し制御部70が浴槽水の循環を判定することができる最低循環流量をQ[L/min]とすると、1000AT/Q[min]で浴槽アダプタ80の吸込み口85から吸い込んだ浴槽水がフロースイッチ58に到達する。つまり、1000AT/Q[min]後からフロースイッチ58のOFF検出回数をカウントし始めれば、ふろ戻り配管56や鳥居配管56aに残存していた空気はフロースイッチ58の2次側に流れ出ているため、逆接続によるフロースイッチ58のOFF検出回数を正確にカウントすることができる。
【0036】
また、ふろ循環回路51が逆接続されていると判定された場合には、給湯装置の状態を表示するリモコン71に施工不良を表すエラー表示を行うことが好ましい。なお、エラーの報知は、リモコン71への表示に限らず、例えば、音声による報知を行うこととしてもよい。
【0037】
ただし、初回の判定において配管が正常に接続されていることが判定されたにもかかわらず、2回目以降の判定において配管が逆接続されていると判定された場合には、配管の逆接続ではなく浴槽アダプタ80内でのショートサイクル(部品破損によりふろ往き通路87からふろ戻り通路86へ湯水が流れる)の発生が考えられる。そこで、このような場合には、リモコン71に部品不良を表すエラー表示を行うことが好ましい。
【0038】
次に、フローチャートを参照して、制御部70がふろ循環回路51の逆接続を判定する具体的処理について説明する。
図9は、制御部がふろ循環回路の逆接続を判定するルーチンを示すフローチャートである。なお、
図9に示すルーチンは、給湯装置の施工者等が配管の接続状態を確認する際に制御部70が実行する制御のルーチンであって、例えば、リモコン71の釦を押下することで開始される。
【0039】
図9に示すルーチンが開始されると、先ず、浴槽水循環運転が開始される(ステップS1)。ここでは、具体的には、ふろ循環ポンプ52が作動されるとともに空気電磁弁36が開弁される。これにより、浴槽50とふろ循環回路51との間で浴槽水が循環されるとともに、気泡導入装置55から浴槽水に気泡が混入される。次に、浴槽水循環運転の開始から所定時間が経過したか否かが判定される(ステップS2)。その結果、未だ所定期間が経過していない場合には、本ステップS2の処理が繰り返し実行される。一方、浴槽水循環運転の開始から所定時間が経過した場合には、次のステップに移行し、フロースイッチ58がOFFを検出する回数Nが所定時間カウントされる(ステップS3)。
【0040】
次に、上記ステップS3においてカウントされた回数Nが所定回数Ntよりも大きいか否かが判定される(ステップS4)。その結果、N>Ntの成立が認められない場合には、ふろ循環回路51と浴槽アダプタ80とが正常に接続されていると判定されて(ステップS5)、本ルーチンは終了される。一方、N>Ntの成立が認められた場合には、ふろ循環回路51と浴槽アダプタ80とが逆接続されていると判定される(ステップS6)。ステップS6において逆接続が判定されると、次に、エラー表示がリモコン71に施工不良のエラーが表示されて(ステップS7)、本ルーチンは終了される。
【0041】
このように、本実施の形態の給湯装置によれば、簡易な構成でふろ循環回路の接続状態を精度良く判定することが可能となる。
【0042】
ところで、上述した実施の形態1の給湯装置では、給湯装置としてヒートポンプユニット60を備える貯湯式給湯機100を用いているが、ヒートポンプ以外の加熱手段を備える給湯装置において本発明を適用してもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態1の給湯装置では、ふろ往き通路87とふろ往き配管57との間に気泡導入装置55を配設することとしている。しかしながら、気泡導入装置55の配置はこれに限られず、例えばふろ往き通路87の途中に配設されることとしてもよいし、また、ふろ往き通路87とふろ往き配管57との間に別途接続された配管の途中に配設されることとしてもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態1の給湯装置では、ふろ循環回路51の水流発生有無をフロースイッチ58を用いて検知することとしているが、水量をリニアに検知する流量センサ等、他の水流検知手段を用いることとしてもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態1の給湯装置では、貯湯式給湯機100の制御部70が
図9に示す制御ルーチンを実行することによりふろ循環回路51の接続状態を判定することとしているが、給湯装置の施工者等が別途テスター等を用いてふろ循環回路51の接続状態を判定することもできる。具体的には、先ず、施工者は循環ポンプ52を作動させてふろ循環回路51に浴槽水を循環させる。次に、フロースイッチ58の信号をテスター等で検出することでふろ循環回路51の水流の有無を検知する。次に、検出されたフロースイッチ58の信号から、水流が正常に発生していない状態が予め定められた回数以上に検知されたか否かを判定し、予め定められた回数以上に検知された場合にふろ循環回路51の接続状態に異常があることを判定する。このような手順で異常判定を行う事により、ふろ戻り配管56及びふろ往き配管57とふろ戻り通路86及びふろ往き通路87との接続が逆接続であるか否かを精度よく判定することが可能となる。
【0046】
実施の形態2.
上述した実施の形態1の貯湯式給湯機100では、浴槽水に気泡を導入させる装置を気泡導入装置55として説明をしたが、実施の形態2ではエジェクタ54を使用する。
図10はエジェクタを浴槽水の流れに沿った垂直面で破断して示す縦断面図である。この図に示すように、エジェクタ54の内部形状は、流路の1次側から徐々に内径が小さくなり、最縮径部からまた内径が大きくなる構造となっている。そのため、ふろ循環ポンプ52を運転することで浴槽水がふろ循環回路51内を循環し、エジェクタ54に湯水の流れが発生すると、エジェクタ54の内部において最縮径部の流速が最も大きくなり、最縮径部には大気圧よりも圧力の小さい負圧状態が形成される。これによりエジェクタ54内部に空気が吸気され、循環中の浴槽水に気泡が混入される。
【0047】
エジェクタ54がふろ循環回路51で使用されている場合に、ふろ戻り配管56とふろ往き配管57の逆接続が発生すると、ふろ循環ポンプ52の1次側にエジェクタ54が配置されることになる。ふろ循環ポンプ52の1次側にエジェクタ54が配置された場合、ふろ循環ポンプ52の吸い込み圧力によって、エジェクタ54が多量の空気を吸気する。そのため、ふろ循環ポンプ52にも多量の空気が流入し、ふろ循環ポンプ52の空転が起こり、エジェクタ54の吸気が停止する。そして、吸気が停止するとふろ循環ポンプ52が再度浴槽水を引き込み、エジェクタ54が再び多量の空気を吸気する。つまり、気泡導入装置55をエジェクタ54としてふろ循環回路51を構成すると、ふろ循環ポンプ52の1次側に配置されたエジェクタ54が多量の空気を吸気するため、フロースイッチ58のONとOFFとの繰返しが、より確実に出力されることになる。そのため、ふろ循環回路51の逆接続の判定をより確実に行うことができる。
【0048】
なお、気泡導入装置55は上述したエジェクタ54に限らず、空気ポンプを使用することとしてもよい。気泡導入装置55としての空気ポンプを用いた場合にふろ戻り配管56とふろ往き配管57とが浴槽アダプタ80に逆接続されると、空気ポンプの2次側にふろ循環ポンプ52が配置されることになる。この場合、空気ポンプを動作させてふろ循環回路51内に導入させた空気はふろ循環ポンプ52へと流れ込み、当該ポンプを空転させる。ふろ循環回路51の循環流量が0[L/min]となると、フロースイッチ58はOFFの状態を検出し続ける。ただし、ふろ循環ポンプ52が動作状態であるにもかかわらず、フロースイッチ58がOFFであった場合は、ふろ戻り配管56とふろ往き配管57の逆接続の可能性だけでなく、配管詰まり等による循環流量の低下の可能性も考えられる。この2つを切り分ける手段としては、空気ポンプを停止させた状態でふろ循環ポンプ52を動作させればよい。その結果、フロースイッチ58がOFFを検出したままであればと配管詰まり等による循環流量の低下と判定できる。一方、空気ポンプを停止させた状態でふろ循環ポンプ52を動作させた場合に、フロースイッチ58がONを検出することになれば、ふろ戻り配管56及びふろ往き配管57が浴槽アダプタ80に逆接続されていることを判定することができる。