特許第6036624号(P6036624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036624
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】慣性センサ
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   G01P15/08 102Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-193678(P2013-193678)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59829(P2015-59829A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 拓也
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−281362(JP,A)
【文献】 特開2002−365095(JP,A)
【文献】 特開2006−064701(JP,A)
【文献】 特開2009−133625(JP,A)
【文献】 特開2013−016894(JP,A)
【文献】 特開2004−79703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/08
H01L 29/84
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板(24)が積層された板状であって、表面(21)及び側面(22)を有しており、特定の方向に物理量を検出する検出軸が設定されたセンサチップ(30)が前記表面(21)に実装された積層基板(20)と、
壁部(13)及び底部(14)で構成された穴部(11)を有し、前記穴部(11)の底部(14)に前記積層基板(20)が配置されたケース(10)と、
を備え、
前記積層基板(20)は、前記側面(22)のうち前記検出軸に対して平行な方向に面する側面(22a、22b)の一部が、前記表面(21)に平行な面方向のうち前記検出軸に対して垂直な方向に凹んだ切り欠き部(25)を有し、
前記ケース(10)は、前記穴部(11)の壁部(13)の一部が前記面方向のうち前記検出軸に対して垂直な方向に突出すると共に、前記切り欠き部(25)に嵌め込まれるリブ(15)を有し、
前記切り欠き部(25)は、前記側面(22)のうち前記検出軸に対して平行な方向に面する一対の側面(22a、22b)に対応して一対として設けられていると共に、前記複数の基板(24)のうちの一つの基板(24a)に形成されたサイズが他の基板(24b)に形成されたサイズよりも小さくなっており、
前記リブ(15)は、前記一対の切り欠き部(25)に対応して一対として前記ケース(10)に設けられていると共に、前記一対の切り欠き部(25)において前記一つの基板(24a)に形成された部分のうち前記検出軸に対して平行な方向に接触していることを特徴とする慣性センサ。
【請求項2】
前記積層基板(20)は、前記表面(21)の平面形状が四角形状をなしており、
前記切り欠き部(25)は、前記側面(22)のうち前記一対の側面(22a、22b)に隣接する他の一対の側面(22c、22d)にも対応して一対として設けられていることを特徴とする請求項1に記載の慣性センサ。
【請求項3】
前記一対の切り欠き部(25)は、それぞれ異なる形状で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の慣性センサ。
【請求項4】
前記ケース(10)は、前記穴部(11)に設けられたゲル部材(60)を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の慣性センサ。
【請求項5】
前記一対のリブ(15)は、前記積層基板(20)の側面(22)に対向する部分が、前記積層基板(20)の表面(21)に平行な方向の断面を取ったときの形状がR形状になっていると共に、前記積層基板(20)の表面(21)に垂直な方向に断面を取ったときの前記表面(21)側の形状がR形状になっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の慣性センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の方向に物理量を検出する検出軸が設定された慣性センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の方向にだけ物理量を検出する検出軸が設定されたセンサと、このセンサを収容するケースと、を含んだセンサモジュールが、例えば特許文献1で提案されている。具体的には、センサは一対の側壁の両端部にキャスタレーションとしての凹部を有している。一方、ケースはセンサを収容する収容部を有すると共に、収容部のうちセンサの凹部に対応する位置に突出する段部を有している。そして、収容部の段部にセンサの凹部が合うように、センサがケースの収容部に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、センサが特定の方向に対して検出軸が傾いた状態でケースに固定される可能性がある。このため、センサがケースに収容されたときに特定の方向に対して検出軸の傾きが小さくなるようにセンサを特定の方向に予め大きくしなければならない。したがって、センサを小型化することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、特定の方向に物理量を検出する検出軸が設定された慣性センサを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の基板(24)が積層された板状であって、表面(21)及び側面(22)を有しており、特定の方向に物理量を検出する検出軸が設定されたセンサチップ(30)が表面(21)に実装された積層基板(20)を備えている。また、壁部(13)及び底部(14)で構成された穴部(11)を有し、穴部(11)の底部(14)に積層基板(20)が配置されたケース(10)を備えている。
【0007】
そして、積層基板(20)は、側面(22)のうち検出軸に対して平行な方向に面する側面(22a、22b)の一部が、表面(21)に平行な面方向のうち検出軸に対して垂直な方向に凹んだ切り欠き部(25)を有している。ケース(10)は、穴部(11)の壁部(13)の一部が面方向のうち検出軸に対して垂直な方向に突出すると共に、切り欠き部(25)に嵌め込まれるリブ(15)を有している。
【0008】
また、切り欠き部(25)は、側面(22)のうち検出軸に対して平行な方向に面する一対の側面(22a、22b)に対応して一対として設けられていると共に、複数の基板(24)のうちの一つの基板(24a)に形成されたサイズが他の基板(24b)に形成されたサイズよりも小さくなっている。
【0009】
さらに、リブ(15)は、一対の切り欠き部(25)に対応して一対としてケース(10)に設けられていると共に、一対の切り欠き部(25)において一つの基板(24a)に形成された部分のうち検出軸に対して平行な方向に接触していることを特徴とする。
【0010】
これによると、一対のリブ(15)が一対の切り欠き部(25)に嵌め込まれたときにサイズが小さくされた部分に接触することでセンサチップ(30)の検出軸に対して平行な方向に固定される。このため、センサチップ(30)の検出軸が特定の方向に対して回転しないように積層基板(20)をケース(10)に固定することができる。特に、積層基板(20)のうちの一つの基板(24a)の切り欠き部(25)のサイズが小さくされていると共にリブ(15)が当該一つの基板(24a)に接触しているので、センサチップ(30)の検出軸に対する積層基板(20)の回転を確実に抑制することができる。
【0011】
このように、特定の方向に対するセンサチップ(30)の検出軸の回転が規制されるので、積層基板(20)を特定の方向に大きくする必要がなく、ひいては積層基板(20)を小さくすることができる。したがって、積層基板(20)が収容されたケース(10)も小さくすることができ、ひいては慣性センサを小型化することができる。
【0012】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る慣性センサの平面図である。
図2】積層基板の一部斜視図である。
図3】ケースの穴部のうち積層基板が配置された部分を拡大した平面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る積層基板の平面図及び側面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るケースの穴部の断面斜視図である。
図6】ゲル部材が設けられた穴部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る慣性センサは、加速度や角速度等のように検出軸が設定された物理量を検出するセンサである。図1に示されるように、慣性センサ1は、ケース10と、積層基板20と、を備えて構成されている。
【0016】
ケース10は、慣性センサ1の外観をなすものであり、例えば樹脂材料が成形されたものである。ケース10は、穴部11及びターミナル12を有している。穴部11は、ケース10の外壁面の一部が凹んだ部分であり、壁部13及び底部14で構成されている。ターミナル12は、一端が穴部11の底部14に露出すると共に、他端がケース10に設けられた図示しないコネクタ部に露出するようにケース10にインサート成形されている。なお、ケース10の穴部11には図示しない蓋部が設けられる。
【0017】
積層基板20は、表面21及び側面22を有する板状のものである。本実施形態では、積層基板20は表面21の平面形状が四角形状をなしている。積層基板20は、表面21側が穴部11の開口側に向けられた状態で穴部11の底部14に配置されている。また、積層基板20は、センサチップ30及び回路チップ40が表面21に実装されている。
【0018】
センサチップ30は、特定の方向に物理量を検出する検出軸が設定されたセンシング部を有するセンサデバイスである。本実施形態では、図1のX方向を特定の方向とする。センシング部は、例えば櫛歯状の可動電極と固定電極とを有して構成されている。このような構成により、可動電極に加速度等の物理量が印加されることで可動電極と固定電極との間の静電容量が変化する。これにより、当該静電容量の変化に応じた加速度等の物理量が検出されるようになっている。
【0019】
回路チップ40は、センサチップ30のセンサ出力に対して信号変換機能等を有する電子部品である。このため、回路チップ40はセンサチップ30に対してワイヤ50を介して電気的に接続されている。
【0020】
さらに、積層基板20は、表面21に複数のパッド23を有している。そして、センサチップ30は所定のパッド23に対してワイヤ51を介して電気的に接続され、ターミナル12は所定のパッド23に対してワイヤ52を介して電気的に接続されている。以上が、本実施形態に係る慣性センサ1の構成である。
【0021】
次に、積層基板20をケース10の穴部11に配置する構造について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図3では、積層基板20上のセンサチップ30等は省略している。
【0022】
まず、図2に示されるように、積層基板20は、複数の基板24が積層されて構成されている。基板24は例えばセラミック基板である。すなわち、積層基板20は、積層セラミック基板である。積層基板20は、各基板24の貼り合わせ部に図示しない配線パターンを有している。配線パターンは積層基板20の表面21に設けられたパッド23に電気的に接続されている。
【0023】
また、図2及び図3に示されるように、積層基板20は外縁部の一部が切り取られた切り欠き部25を有している。言い換えると、切り欠き部25は積層基板20の外縁部のうちの一部が内側に凹んだ凹部であり、いわゆるキャスタレーションである。なお、切り欠き部25は積層基板20の厚み方向に貫通しており、スリット状になっている。
【0024】
具体的には、切り欠き部25は、積層基板20の側面22のうちセンサチップ30の検出軸に対して平行な方向(X方向)に面する側面22a、22bの一部が、積層基板20の表面21に平行な面方向のうち検出軸に対して垂直な方向に凹んだ部分である。すなわち、切り欠き部25は、側面22のうち検出軸に対して平行な方向に面する一対の側面22a、22bに対応して一対として設けられている。なお、面方向はX−Y平面に平行な方向であると言える。
【0025】
本実施形態では、1つの側面22aに2個の切り欠き部25が設けられている。この側面22aに対して反対側の側面22bには、側面22aに設けられた切り欠き部25に対して対となる切り欠き部25が2個設けられている。つまり、「一対」とは、側面22aに形成された1個の切り欠き部25と、側面22bに形成された1個の切り欠き部25と、を指している。
【0026】
さらに、本実施形態では、切り欠き部25は、側面22のうち一対の側面22a、22bに隣接する他の一対の側面22c、22dにも対応して一対として設けられている。各側面22c、22dには1個の切り欠き部25がそれぞれ形成されている。したがって、本実施形態では、積層基板20は4つの側面22の全てに切り欠き部25を有している。
【0027】
そして、図2に示されるように、切り欠き部25は、複数の基板24のうちの一つの基板24aに形成されたサイズが他の基板24bに形成されたサイズよりも小さくなっている。本実施形態では、複数の基板24のうち最も穴部11の底部14側に位置する基板24aの切り欠き部25のサイズが小さくなっている。これにより、積層基板20の表面21に垂直な方向に当該表面21を見たとき、切り欠き部25において他の基板24bから一つの基板24aの一部が突出している。
【0028】
上記の積層基板20は、例えば配線パターンが形成された焼成前のセラミック板が複数積層されると共に、プレス機によって積層基板20のサイズにプレスされることで形成される。このプレスの際に、1層だけ切り欠き部25のサイズが小さくなるようにセラミック板が切断される。この後、生の状態の積層セラミック基板が焼成されることで積層基板20が完成する。
【0029】
一方、図3に示されるように、ケース10はリブ15を有している。リブ15は、穴部11の壁部13の一部が積層基板20の表面21に平行な面方向のうちセンサチップ30の検出軸(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)に突出した部分である。このリブ15が、積層基板20の切り欠き部25に嵌め込まれることで、ケース10の穴部11において積層基板20の位置が固定される。
【0030】
リブ15は、一対の切り欠き部25に対応して一対としてケース10に設けられている。また、一対のリブ15は、側面22a、22bに設けられた一対の切り欠き部25に嵌め込まれている。また、一対の切り欠き部25において一つの基板24aに形成された部分のうちセンサチップ30の検出軸に対して平行な方向に接触している。すなわち、リブ15は切り欠き部25のうちサイズが小さくなっている基板24aに接触している。言い換えると、一つの基板24aに形成された切り欠き部25のサイズは、センサチップ30の検出軸に対して平行な方向にリブ15を規制するサイズになっている。つまり、一つの基板24aに形成された切り欠き部25のサイズは、リブ15のうちセンサチップ30の検出軸に対して平行な方向のサイズと同じになっている。
【0031】
また、一対のリブ15は、積層基板20の側面22に対向する部分すなわち先端部分が、積層基板20の表面21に平行な方向の断面を取ったときの形状がR形状になっている。さらに、一対のリブ15は、センサチップ30の検出軸に対して平行な方向であって積層基板20の表面21に垂直な方向に断面を取ったときの表面21側の形状がR形状になっている。これによると、切り欠き部25及びリブ15の寸法が厳しく管理されていたとしても、切り欠き部25に対してリブ15を挿入しやすくすることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態では、積層基板20を構成する一つの基板24aの切り欠き部25のサイズを小さくすると共に、当該切り欠き部25に嵌め込まれたリブ15を接触させる構造が特徴となっている。これにより、積層基板20をセンサチップ30の検出軸に対して平行な方向(X方向)に固定することができる。このため、センサチップ30の検出軸が特定の方向(X方向)に対して移動しないように積層基板20をケース10に固定することができる。特に、積層基板20の表面21に垂直な回転軸を中心とした積層基板20の回転を確実に抑制することができる。
【0033】
このように、積層基板20の回転が抑制されるため、積層基板20の回転を考慮して積層基板20を特定の方向に大きくする必要がない。つまり、積層基板20のサイズを小さくすることができる。これに伴い、積層基板20が収容されたケース10を小さくすることができる。したがって、慣性センサ1を小型化することができる。
【0034】
また、本実施形態では、積層基板20の4つの側面22の全てに切り欠き部25が設けられていることが特徴となっている。これによると、切り欠き部25はプレス等によっての全ての側面22に形成されるが、切り欠き部25のうち一つの基板24aは他の基板24bよりもサイズが小さくなっているので、バリ等が発生しない。このため、がたつきの無い治具で積層基板20を加工することができるので、積層基板20を固定するための固定エリアを小さくすることができる。したがって、積層基板20を小型化した上で積層基板20の実装エリアを広くすることができる。
【0035】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図4に示されるように、側面22のうち側面22a、22bに形成された一対の切り欠き部25は、側面22c、22dに形成された一対の切り欠き部25と異なる形状で形成されている。本実施形態では、側面22a、22bに形成された一対の切り欠き部25の幅が側面22c、22dに形成された一対の切り欠き部25の幅よりも狭くなっている。なお、「切り欠き部25の幅」とは、側面22の長手方向の幅である。
【0036】
また、側面22a、22bに形成された切り欠き部25では複数の基板24のうちの一層の基板24aのサイズが他の基板24bよりも小さく形成されている。一方、側面22c、22dに形成された切り欠き部25では複数の基板24のうちの二層の基板24aのサイズが小さく形成されている。
【0037】
以上のように、側面22に形成された切り欠き部25の形状が異なっているので、切り欠き部25にリブ15が嵌め込まれることで積層基板20が正常にケース10の穴部11に配置される。したがって、ケース10に対する積層基板20の誤組み付けを防止することができる。
【0038】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図5に示されるように、積層基板20は、表面21とは反対側の裏面26にチップコンデンサ等の電子部品27が実装されている。
【0039】
また、穴部11は底部14の一部が凹んだ溝部16を有している。溝部16は、積層基板20の裏面26に搭載された電子部品27が配置される収容部17と、この収容部17と積層基板20の切り欠き部25とを繋ぐ通路部18と、によって構成されている。
【0040】
このような穴部11の構成において、図6に示されるように、ケース10は、穴部11に設けられたゲル部材60を有している。ゲル部材60は、底部14の溝部16に充填されている。本実施形態では、ゲル部材60は、溝部16の上端すなわち積層基板20の裏面26まで充填されている。
【0041】
上述のように、積層基板20には切り欠き部25が設けられているので、この切り欠き部25を介して穴部11の溝部16にゲル部材60を注入することが可能となっている。したがって、穴部11へのゲル部材60の注入速度が向上する構造を提供することができる。
【0042】
なお、図5及び図6では、ワイヤ50、51を省略している。また、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、穴部11及び溝部16が特許請求の範囲の「穴部」に対応する。
【0043】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された慣性センサ1の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、ケース10は図1に示された形状に限らず他の形状でも良い。
【0044】
上記各実施形態では、リブ15に対応した側面22a、22bには切り欠き部25が2個設けられていたが、1個で良い。また、側面22c、22dに一対の切り欠き部25が設けられていなくても良い。すなわち、切り欠き部25は側面22の全てに設けられていなくても良い。
【0045】
上記各実施形態では、積層基板20は表面21が四角形状の板状に構成されていたが、これは積層基板20の平面形状の一例であり、他の形状でも良い。
【0046】
第2実施形態では、側面22a、22bに形成された一対の切り欠き部25と側面22c、22dに形成された一対の切り欠き部25とは幅が異なっていたが、これは切り欠き部25の形状を異ならせる方法の一例である。したがって、例えば、側面22を基準とした切り欠き部25の深さを変更する等の方法で各切り欠き部25を異形状としても良い。
【0047】
第3実施形態では、ゲル部材60は溝部16の上端まで充填されていたが、これはゲル部材60の充填方法の一例である。よって、穴部11のどこにゲル部材60を設けるかは適宜決めれば良い。また、穴部11の底部14に溝部16が設けられていたが、これは穴部11の構造の一例であり、溝部16が設けられていなくても良い。すなわち、穴部11にゲル部材60が配置される構造であれば良い。
【符号の説明】
【0048】
10 ケース
11 穴部
13 壁部
14 底部
15 リブ
20 積層基板
21 表面
22、22a、22b 側面
24、24a、24b 基板
25 切り欠き部
30 センサチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6