特許第6036628号(P6036628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036628
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】リレーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01H 45/04 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H01H45/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-196801(P2013-196801)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-64946(P2015-64946A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】アンデン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博久
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貢
(72)【発明者】
【氏名】島上 聡
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 僚三
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 二郎
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−151070(JP,A)
【文献】 特開2005−093118(JP,A)
【文献】 実開昭60−175441(JP,U)
【文献】 実開平01−107836(JP,U)
【文献】 実開昭55−045108(JP,U)
【文献】 特開2000−164098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点(72)と可動接点(71)を有する複数のリレーユニット(70)を一面に搭載したベース部材(30、40)と、前記複数のリレーユニットが搭載された前記ベース部材を収容するケース(10)と、を備えたリレーモジュールであって、
前記ベース部材の一面には、前記ケース内に配置された前記複数のリレーユニットの間を仕切るしきり部材(60)が設けられ、
前記ベース部材には、前記しきり部材により仕切られた前記ベース部材の一面側の各空間(1)と、前記ベース部材の一面と反対側の他面側の空間(3、4)との間を連通する複数の穴部(30a、40a)が形成されており、
前記しきり部材により仕切られた前記ベース部材の一面側の個々の空間(1)は、前記ベース部材に形成された前記穴部を介して前記ベース部材の他面と前記ケースにより形成される空間(3、4)と連通していることを特徴とするリレーモジュール。
【請求項2】
前記ベース部材の他面に形成された前記複数の穴部の周囲には、当該複数の穴部の全体の周囲を囲むように前記複数の穴部が形成された領域よりも高さの高い突起部(30c、40c)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリレーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリレーユニットを一面に搭載したベース部材と、当該ベース部材を収容するケースと、を備えたリレーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な電磁リレーは、固定接点、可動接点及び電磁コイル等を有するリレーユニットを、カバー内の空間に収納している。また、固定接点、可動接点及び電磁コイルは、金属製の板材により外部の電気回路用配線に接続されている。
【0003】
このような電磁リレーにおいては、例えば、車両駐車中にカバー内の空間の温度が低下したときに、カバー内の空間の相対湿度が上昇して結露する恐れがある。しかも、固定接点及び可動接点は、金属製の板材を介して外部の電気回路用配線に接続されるようになっているため、外部の電気回路用配線の温度が低下したときに、リレーユニットの他の部位よりも低温になりやすく、従って、固定接点及び可動接点の部位で結露ひいては氷結するという問題がある。
【0004】
そこで、バスバーの樹脂層とカバーとによって形成された空間に、リレーユニットが収納された電磁リレーにおいて、バスバーの表面を上記空間に露出させる露出窓を樹脂層に形成し、固定接点及び可動接点の部位で結露するよりも早く、バスバーにおいて露出窓によって空間の露出した部位で結露させるようにして、電磁リレーの周囲の温度が低下したような場合に電磁リレーの固定接点及び可動接点の部位で発生する結露を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−31095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、カバー内の空間に複数のリレーユニットを配置したリレーモジュールが増加しつつある。このようなリレーモジュールにおいては、一部のリレーユニットが作動して、他のリレーユニットが作動していないといった状況が生じる。このような状況では、作動中のリレーユニットはコイルに流れる電流によって自身が発熱し、周囲の空気も暖められるが、作動していないリレーユニットは発熱しないため周囲の空気も低温のままとなる。したがって、収納空間の温度が低下したときに、収納空間において作動中のリレーユニットと作動していないリレーユニットとの温度差が大きくなり、特に、作動していないリレーユニットの固定接点及び可動接点の部位で結露や氷結が発生し、接点の導通ができなくなるといった問題が生じる。
【0007】
なお、カバー内の空間に複数のリレーユニットを配置したリレーモジュールにおいては、隣り合うリレーユニットの固定接点及び可動接点の部位間の距離が短い場合、上記特許文献1に記載されたリレーモジュールのように露出窓を形成しても、結露を防止する効果が十分に得られないという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みたもので、隣り合うリレーユニットの固定接点及び可動接点の部位間の距離が短い場合でも、リレーユニットの固定接点及び可動接点の部位に生じる結露を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、固定接点(72)と可動接点(71)を有する複数のリレーユニット(70)を一面に搭載したベース部材(30、40)と、複数のリレーユニットが搭載されたベース部材を収容するケース(10)と、を備えたリレーモジュールであって、ベース部材の一面には、ケース内に配置された複数のリレーユニットの間を仕切るしきり部材(60)が設けられ、ベース部材には、しきり部材により仕切られたベース部材の一面側の各空間(1)と、ベース部材の一面と反対側の他面側の空間(3、4)との間を連通する複数の穴部(30a、40a)が形成されており、しきり部材により仕切られたベース部材の一面側の個々の空間(1)は、ベース部材に形成された穴部を介してベース部材の他面とケースにより形成される空間(3、4)と連通していることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、ベース部材の一面には、ケース内に配置された複数のリレーユニットの間を仕切るしきり部材(60)が設けられ、ベース部材には、しきり部材により仕切られたベース部材の一面側の各空間(1)と、ベース部材の一面と反対側の他面側の空間(3、4)との間を連通する複数の穴部(30a、40a)が形成されており、しきり部材により仕切られたベース部材の一面側の個々の空間は、ベース部材に形成された穴部を介してベース部材の他面とケースにより形成される空間と連通しているので、例えば、作動しているリレーユニットと作動していないリレーユニットがあり、作動しているリレーユニットと作動していないリレーユニットの間に温度差が生じたとしても、作動していないリレーユニットの固定接点と可動接点の部位で結露する前に、作動していないリレーユニットの周囲の空気は、ベース部材に形成された穴部を介してベース部材の他面とケースにより形成される空間へ誘導されケース内面で冷却されケース内面に結露する。すなわち、隣り合うリレーユニットの固定接点及び可動接点の部位間の距離が短い場合でも、リレーユニットの固定接点及び可動接点の部位に生じる結露を防止することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、ベース部材の他面に形成された複数の穴部の周囲には、当該複数の穴部の全体の周囲を囲むように複数の穴部が形成された領域よりも高さの高い突起部(30c、40c)が形成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、ベース部材の他面に形成された複数の穴部の周囲には、当該複数の穴部の全体の周囲を囲むように複数の穴部が形成された領域よりも高さの高い突起部(30c、40c)が形成されているので、この突起部により、ベース部材の他面とケース(10)により形成される空間(3、4)を十分に確保することが可能である。
【0013】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るリレーモジュールの斜視図である。
図2】本リレーモジュールの分解斜視図である。
図3図1中の矢印A方向から見た図である。
図4図3中に示したIV−IV線に沿った概略断面図である。
図5図3中に示したV−V線に沿った概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るリレーモジュールの斜視図を図1に示す。本リレーモジュールは、例えば、ヘッドランプやワイパーモータ等の車両用電気機器の制御用リレーとして用いられる。
【0016】
本リレーモジュールは、ケース10とハウジング20を備えている。本リレーモジュールの裏面側にハウジング20が配置され、本リレーモジュールの表面側にケース10が配置されている。なお、ケース10およびハウジング20は、それぞれ樹脂を用いて構成されている。ハウジング20には、外部の電気回路用配線の一端に設けられたコネクタケース(図示せず)を挿入するための複数のコネクタ挿入部20bが形成されている。
【0017】
本リレーモジュールの分解斜視図を図2に示す。本リレーモジュールは、ケース10、ハウジング20、第1ベース部材30、第2ベース部材40、ターミナル50およびしきり部材60を備えている。
【0018】
第1ベース部材30、第2ベース部材40およびしきり部材60は、それぞれ樹脂を用いて構成されており、ターミナル50は、金属製部材を用いて構成されている。なお、第1ベース部材30、第2ベース部材40、ターミナル50およびしきり部材60は、ケース10内に収容される。
【0019】
第1ベース部材30における第2ベース部材40と対向する面には、5つのリレーユニット70を含む回路部品が搭載されている。また、第1ベース部材30には、複数の穴部30aが形成されている。
【0020】
また、第1ベース部材30におけるハウジング20側の側面には、リレーユニット70の制御等を行うための複数の外部導出端子30bが露出するように設けられている。なお、各外部導出端子30bは、外部の電気回路用配線の一端に設けられたコネクタケース内の各端子(図示せず)と接続される。
【0021】
一方、図2中には示されていないが、第2ベース部材40における第1ベース部材30と対向する面にも、5つのリレーユニット70を含む回路部品が搭載されている。また、第2ベース部材40にも、複数の穴部40aが形成されている。
【0022】
また、第2ベース部材40には、金属製の固定接点ホルダ41および金属製のバスバー(板材)がインサート成型(一体成形)により設けられている。なお、バスバーは、後述するリレーユニット70の固定接点72と外部導出端子40bの間の電気的接続や、リレーユニット70の可動接点71と、外部導出端子40bの間の電気的接続を行うものである。また、上記した各外部導出端子30bは、バスバーの一部により構成されている。
【0023】
また、図2中には示されていないが、第1ベース部材30においても、第2ベース部材40と同様に、金属製の固定接点ホルダおよび金属製のバスバー(板材)がインサート成型により設けられている。
【0024】
なお、第1、第2ベース部材30、40に形成された各穴部30a、40aには、第1、第2ベース部材30、40の本体に金属製の固定接点ホルダおよびバスバーをインサート成型するための打抜き穴として形成されたものや、第1、第2ベース部材30、40に形成された固定接点ホルダ31、41を折り曲げ加工することによりできるもの等が含まれる。なお、固定接点ホルダ31、41の折り曲げ加工の詳細については後で説明する。
【0025】
また、第2ベース部材40における各リレーユニット70の搭載面の反対面には、第2ベース部材40に形成された複数の穴部40aの全体を囲むように、複数の穴部40aが形成された領域よりも高さの高い突起部40cが形成されている。
【0026】
同様に、図2中には示されてないが、第1ベース部材30における各リレーユニット70の搭載面の反対面には、第1ベース部材30に形成された複数の穴部30aの全体を囲むように、複数の穴部30aが形成された領域よりも高さの高い突起部30cが形成されている。
【0027】
また、第2ベース部材40におけるリレーモジュールの裏面側の側面にも、リレーユニット70の制御等を行うための複数の外部導出端子40bが露出するように設けられている。
【0028】
第1ベース部材30と第2ベース部材40に挟まれた空間には、第1ベース部材30に搭載された5つのリレーユニット70と、第2ベース部材40に搭載された5つのリレーユニット70の合計10個のリレーユニット70が配置されている。
【0029】
また、第1ベース部材30と第2ベース部材40に挟まれた空間には、当該空間に配置された10個のリレーユニット70に対し、隣り合うリレーユニット70の間を仕切るしきり部材60が設けられている。
【0030】
ターミナル50は、第1ベース部材30および第2ベース部材40に搭載された各リレーユニット70と各ヒューズ80との電気的接続を行うものである。
【0031】
次に、図2を参照して、本リレーモジュールの組み付けについて説明する。まず、第1ベース部材30を用意し、この第1ベース部材30に搭載された各リレーユニット70の間を仕切るように、第1ベース部材30における各リレーユニット70の搭載面にしきり部材60を配置する。次に、第2ベース部材40における各リレーユニット70が搭載された面を、第1ベース部材30の各リレーユニット70の搭載面に対向させるように、第2ベース部材40を第1ベース部材30の上に配置する。次に、第2ベース部材40における各リレーユニット70が搭載された面と反対側の面にターミナル50を固定する。次に、これらの各部材30、40、50、60をケース10の開口部10aより挿入してケース10内に収納する。次に、ケース10の開口部10aにハウジング20を嵌合させる。最後に、各ヒューズ80を図示しないヒューズ挿入部に嵌め込んで本リレーモジュールが完成する。
【0032】
図3に、図1中の矢印A方向から見た図を示す。なお、この図3は、第2ベース部材40の位置におけるケース10と、第2ベース部材40の中央部(太線Xで囲んだ領域)を透過して見た図となっている。
【0033】
図中、本リレーモジュールの裏面側に配置された5つのリレーユニット70は第1ベース部材30に搭載されたもので、本リレーモジュールの表面側に配置された5つのリレーユニット70は第2ベース部材40に搭載されたものである。
【0034】
しきり部材60は、上述したように、隣り合うリレーユニット70の間を仕切るものである。このしきり部材60により、第1ベース部材30に搭載された5つのリレーユニット70と第2ベース部材40に搭載された5つのリレーユニット70が個々の空間1に仕切られている。
【0035】
リレーユニット70は、可動接点71、固定接点72、コイル73、板バネ74、可動鉄片75を有している。リレーユニット70に設けられた突起部(図示せず)が第1、第2ベース部材30、40に形成された穴部(図示せず)に圧入され、各リレーユニット70の本体が第1ベース部材30または第2ベース部材40に固定されている。
【0036】
また、固定接点72は、第1、第2ベース部材30、40に設けられた固定接点ホルダ31、41の一端部にカシメ固定されている。この固定接点ホルダ31、41は、平板状の固定接点ホルダ31、41の長手方向の中央部で直角に折り曲げ加工されて、固定接点72が固定された一部が起立している。このように、各固定接点ホルダ31、41を折り曲げ加工することにより、固定接点72が可動接点71と対向するようになってる。
【0037】
なお、固定接点72が固定された固定接点ホルダ31、41の一部を折り曲げ加工することにより、第1、第2ベース部材30、40の近くに穴部30a、40aが形成される。
【0038】
また、第1、第2ベース部材30、40には、リレーユニット70の可動接点71の移動範囲を制限するためのストッパー76が設けられている。
【0039】
個々のリレーユニット70において、可動接点71、固定接点72、コイル73、板バネ74、可動鉄片75等を密閉するようなケースは設けられていない。このようなケースを設けていないのは、上記した空間に空気の出入りがないと、上記した空間の空気に含まれる水分によって自己の可動接点71および固定接点72の部位に結露や氷結が発生するためである。
【0040】
コイル73に電流が流れておらず、コイル73が励磁されていない状態では、板バネ74により可動接点71と固定接点72は開離しており、可動接点71と固定接点72の間は非導通状態となる。また、コイル73に電流が流れてコイル73が励磁されると、可動接点71が固定接点72側に移動して可動接点71と固定接点72の間は導通状態となる。
【0041】
図4に、図3中に示したIV−IV線に沿った概略断面図を示す。また、図5に、図3中に示したV−V線に沿った概略断面図を示す。なお、図4、5において、リレーユニット70の断面のハッチングは省略してある。
【0042】
図4図5に示すように、第1ベース部材30には、ケース10およびしきり部材60により仕切られた第1ベース部材30の一面側の各空間1と当該第1ベース部材30の一面と反対側の他面側の空間3、4との間を連通する複数の穴部30aが形成されている。
【0043】
同様に、第2ベース部材40についても、ケース10およびしきり部材60により仕切られた第2ベース部材40の一面側の各空間1と当該第2ベース部材40の一面側の空間1と反対側の他面側の空間3、4との間を連通する複数の穴部40aが形成されている。
【0044】
図4に示すように、しきり部材60により仕切られたケース10内の個々の空間1は、図中の矢印Bに示すように、第1ベース部材30に形成された複数の穴部30aと、第1ベース部材30の他面とケース10により形成される空間3と連通している。更に、しきり部材60により仕切られたケース10内の個々の空間1は、図中の矢印Cに示すように、第2ベース部材40に形成された複数の穴部40aおよび第2ベース部材40の他面とケース10により形成される空間4と連通している。
【0045】
また、図5に示すように、しきり部材60により仕切られたケース10内の個々の空間1は、図中の矢印Dに示すように、第1ベース部材30に形成された複数の穴部30aと、第1ベース部材30の他面とケース10により形成される空間3と連通している。更に、しきり部材60により仕切られたケース10内の個々の空間1は、図中の矢印Eに示すように、第2ベース部材40に形成された複数の穴部40aおよび第2ベース部材40の他面とケース10により形成される空間4と連通している。
【0046】
ところで、図3に示した各リレーユニット70の可動接点71および固定接点72は、それぞれ図2中に示した外部導出端子30b、40bを介して外部の電気回路用配線(図示せず)に接続されるようになっている。このため、可動接点71および固定接点72は、外部の電気回路用配線の温度が低下したときに、リレーユニット70の他の部位よりも低温になりやすい。したがって、可動接点71および固定接点72の部位には結露が発生しやすい。
【0047】
また、本リレーモジュールのように、ケース10内に複数のリレーユニット70が収納されている場合、一部のリレーユニット70が作動して、他のリレーユニット70が作動していないといった状況が生じる。このような状況では、作動中のリレーユニット70はコイルに流れる電流によって自身が発熱し、周囲の空気も暖められるが、作動していないリレーユニット70は発熱しないため低温のままとなる。
【0048】
したがって、収納空間の温度が低下したときに、収納空間において作動中のリレーユニット70と作動していないリレーユニット70との温度差が大きくなり、特に、作動していないリレーユニット70の可動接点70と固定接点72の部位で結露や氷結が発生しやすくなる。
【0049】
しかし、本リレーモジュールにおいては、第1、第2ベース部材30、40の一面に、ケース内に配置された複数のリレーユニット70の間を仕切るしきり部材60が設けられ、更に、第1、第2ベース部材30、40には、しきり部材60により仕切られた第1、第2ベース部材30、40の一面側の空間1と、第1、第2ベース部材30、40の一面と反対側の他面側の空間3、4との間を連通する複数の穴部30a、40aが形成されており、しきり部材60により仕切られた第1、第2ベース部材30、40の一面側の個々の空間1は、第1、第2ベース部材30、40に形成された穴部30a、40aを介して第1、第2ベース部材30、40の他面とケース10により形成される空間3、4と連通しているので、例えば、作動しているリレーユニット70と作動していないリレーユニット70があり、作動しているリレーユニット70と作動していないリレーユニット70の間に温度差が生じたとしても、作動していないリレーユニット70の固定接点と可動接点の部位で結露する前に、作動していないリレーユニット70の周囲の空気は、第1、第2ベース部材30、40に形成された穴部30a、40aを介して第1、第2ベース部材30、40の他面とケース10により形成される空間3、4へ誘導されケース内面で冷却されケース内面に結露する。すなわち、隣り合うリレーユニットの固定接点及び可動接点の部位間の距離が短い場合でも、リレーユニットの固定接点及び可動接点の部位に生じる結露を防止することができる。
【0050】
更に、作動していないリレーユニット70の周囲を仕切っているしきり部材60の温度は、作動中のリレーユニット70を周囲を仕切っている部材60の温度よりも低く、作動していないリレーユニット70の周囲の空気は、作動していないリレーユニット70の周囲を仕切っているしきり部材60の表面に当たって冷却される。すなわち、作動していないリレーユニット70の周囲の空気は、表面積の大きなしきり部材60の表面に当たって冷却され、このしきり部材60の表面においても結露が発生するので、更に、リレーユニットの固定接点及び可動接点の部位に生じる結露を防止することができる。
【0051】
また、第1、第2ベース部材30、40の他面に形成された複数の穴部30a、40aの周囲には、当該複数の穴部30a、40aの全体の周囲を囲むように複数の穴部30a、40aが形成された領域よりも高さの高い突起部30c、40cが形成されているので、この突起部30c、40cにより、ベース部材30、40の他面とケース10により形成される空間3、4を十分に確保することが可能である。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0053】
例えば、上記実施形態では、複数のリレーユニット70を搭載した第1のベース部材30と複数のリレーユニット70を搭載した第2のベース部材40を対向させるようにケース10に収納する例を示したが、第1のベース部材30と第2のベース部材40のいずれか一方をケース10に収納するような構成とすることもできる。
【0054】
また、上記実施形態では、例えば、ケース10およびハウジング20の材質について、それぞれ樹脂を用いて構成した例を示したが、上記実施形態に示した各部材の材質等について、上記実施形態に示したものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
10 ケース
20 ハウジング
30 第1ベース部材
30a 穴部
40 第2ベース部材
40a 穴部
60 しきり部材
70 リレーユニット
71 可動接点
72 固定接点
73 コイル
74 板バネ
75 可動鉄片
図1
図2
図3
図4
図5