(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、電子キーシステム100の概略的な構成の一例を示す図である。
図1に示す電子キーシステム100は、車両に搭載されるボディコントロールモジュール(以下、BCM)10と、ユーザに携帯される電子キー20とを含む。BCM10が請求項の車載装置に相当し、電子キー20が請求項の携帯機に相当する。電子キーシステム100は、一般的な電子キーシステムと同様に、スマート機能及びトランスポンダ機能を有している。
【0014】
スマート機能は、BCM10と電子キー20との間で無線通信によってコード照合を行い、照合が成立した場合に、車両のドアの施錠制御及び解錠制御や始動許可を行う機能を指している。
【0015】
また、トランスポンダ機能とは、電子キー20の電池が切れている場合に、LF帯の誘導結合による電力でBCM10と電子キー20との無線通信を可能にし、この無線通信によってコード照合を行い、照合が成立した場合に車両の始動許可を行う機能を指している。以降では、スマート機能の実行時の無線通信をスマート通信、トランスポンダ機能の実行時の無線通信をトランスポンダ通信と呼ぶ。
【0016】
BCM10は、
図1に示すように、トランスポンダ送信部11、トランスポンダ受信部12、スマート送信部13、スマート受信部14、及び車側制御部15を備えている。
【0017】
トランスポンダ送信部11には、トランスポンダ通信を行うための送信アンテナとして第1LF送信アンテナ11aが接続されている。トランスポンダ送信部11は、車側制御部15から入力される信号をLF帯の電波にのせて第1LF送信アンテナ11aから送出させる。一例として、125kHz帯の電波にのせて信号を送出させる構成とすればよい。また、トランスポンダ送信部11は内部に給電機能を有しており、給電機構としても機能する。
【0018】
トランスポンダ受信部12には、トランスポンダ通信を行うための受信アンテナとしてLF受信アンテナ12aが接続されている。トランスポンダ受信部12は、LF受信アンテナ12aによって受信された信号に対する増幅、復調等の処理を行う。
【0019】
第1LF送信アンテナ11a及びLF受信アンテナ12aは、一例として、車室内のエンジンスイッチやキーシリンダに電子キー20を近づけた場合にのみトランスポンダ通信が可能となるように、エンジンスイッチやキーシリンダの近傍に配置される構成とすればよい。
【0020】
スマート送信部13には、スマート通信を行うための送信アンテナとして第2LF送信アンテナ13aが接続されている。
図1では、便宜上、第2LF送信アンテナ13aを1つだけ示しているが、サイドドア近傍やトランク内などに複数の第2LF送信アンテナ13aが配置される。スマート送信部13は、車側制御部15から入力される信号をLF帯の電波にのせて第2LF送信アンテナ13aから送出させる。一例として、125kHz帯の電波にのせて信号を送出させる構成とすればよい。
【0021】
スマート受信部14には、スマート通信を行うための受信アンテナとしてRF受信アンテナ14aが接続されている。スマート受信部14は、RF受信アンテナ14aによって受信された信号に対する増幅、復調等の処理を行う。
【0022】
車側制御部15は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、I/O等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。車側制御部15には、トランスポンダ送信部11、トランスポンダ受信部12、スマート送信部13、スマート受信部14、ドアスイッチ31、ドア開閉検出部32、ドア施錠検出部33、及びドア施解錠部34が接続されている。
【0023】
図2に示すように、車側制御部15は、機能ブロックとして、車側第1送信処理部151、車側第1受信処理部152、車側第2送信処理部153、車側第2受信処理部154、車側秘密鍵生成部155、車側第1暗号化部156、車側第1復号部157、車側一致判定部158、登録許可部159、車側登録部160、スマート駆動指示部161、及び車側第2復号部162を備えている。
【0024】
ドアスイッチ31は、車両のドアを開閉するためのドアノブの近くに設けられたタッチスイッチや車両のトランクドアのドアノブ付近に設けられたタッチスイッチである。ユーザのドアスイッチ31に対する操作に応じた信号が車側制御部15へ出力されるようになっている。
【0025】
ドア開閉検出部32は、車両のドアやトランクドアの開閉状態を検出するためのスイッチである。ドア開閉検出部32から車側制御部15へ、車両のドアやトランクドアの開閉状態を示す信号が出力されるようになっている。
【0026】
ドア施錠検出部33は、車両のドアやトランクドアの施錠状態を検出するスイッチである。ドア施錠検出部33から車側制御部15へ、車両のドアやトランクドアの施錠状態を示す信号が出力されるようになっている。
【0027】
ドア施解錠部34は、車両のドアやトランクドアの施解錠を行うためのアクチュエータを有し、各アクチュエータを駆動することにより車両のドアやトランクドアの施解錠を行う。
【0028】
次に、
図3を用いて電子キー20についての説明を行う。電子キー20はユーザに携帯されるものである。ここで言うところの「ユーザに携帯される」とは、ユーザが実際に携帯している場合に限られるものではなく、ユーザが携帯することが可能であるが実際には携帯していない場合も含んでいる。
【0029】
図3に示すように、電子キー20は、第1LF受信アンテナ21a、トランスポンダ受信部21、LF送信アンテナ22a、トランスポンダ送信部22、第2LF受信アンテナ23a、スマート受信部23、RF送信アンテナ24a、スマート送信部24、及びキー側制御部25を備えている。電子キー20は、他にも電池やスイッチやエマージェンシーキー等の一般的な電子キーが備える構成を備えているが、便宜上、本発明の説明に不要な構成については説明を省略する。
【0030】
トランスポンダ受信部21には、トランスポンダ通信を行うための受信アンテナとして第1LF受信アンテナ21aが接続されている。トランスポンダ受信部21は、第1LF受信アンテナ21aによって受信された信号に対する増幅、復調等の処理を行う。
【0031】
トランスポンダ送信部22には、トランスポンダ通信を行うための送信アンテナとしてLF送信アンテナ22aが接続されている。トランスポンダ送信部22は、キー側制御部25から入力される信号をLF帯の電波にのせてLF送信アンテナ22aから送出させる。一例として、125kHz帯の電波にのせて信号を送出させる構成とすればよい。
【0032】
スマート受信部23には、スマート通信を行うための受信アンテナとして第2LF受信アンテナ23aが接続されている。スマート受信部23は、第2LF受信アンテナ23aによって受信された信号に対する増幅、復調等の処理を行う。第2LF受信アンテナ23aは、例えば水平2方向及び垂直方向の3軸アンテナとすればよい。
【0033】
スマート送信部24には、スマート通信を行うための送信アンテナとしてRF送信アンテナ24aが接続されている。スマート送信部24は、キー側制御部25から入力される信号をUHF帯の電波にのせてRF送信アンテナ24aから送出させる。一例として、315MHz帯の電波にのせて信号を送出させる構成とすればよい。
【0034】
キー側制御部25は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、I/O等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。キー側制御部25には、トランスポンダ受信部21、トランスポンダ送信部22、スマート受信部23、スマート送信部24が接続されている。
【0035】
図4に示すように、キー側制御部25は、機能ブロックとして、キー側第1送信処理部251、キー側第1受信処理部252、キー側第2送信処理部253、キー側第2受信処理部254、キー側秘密鍵生成部255、キー側第1暗号化部256、キー側第1復号部257、キー側一致判定部258、キー側一時記憶部259、キー側登録部260、及びキー側第2暗号化部261を備えている。
【0036】
電子キーシステム100のスマート機能におけるコード照合では、電子キー20からBCM10に送信されるIDコードがBCM10に登録されている場合に認証が成立するようになっている。電子キーシステム100では、使用者の増加に対応可能とするために、BCM10に登録されるIDコードを追加して電子キー20の登録ができるように構成されている。
【0037】
ここで、
図5のシーケンス図を用いて、実施形態1における電子キー20の登録に関連する処理(登録関連処理)の一例について説明を行う。
図5の例では、一例として、既に登録済みの電子キー20を用いて登録の許可がなされているものとして説明を行う。なお、登録の許可は、ディーラ等で専用のツールを用いて行うなど、他の方法を用いて行う構成としてもよい。また、
図5で示す登録関連処理は、電子キー20を追加登録する場合に限らず、初期登録する場合にも適用できる。
【0038】
まず、BCM10の車側第1送信処理部151が、トランスポンダ送信部11及び第1LF送信アンテナ11aを介して、リクエスト信号(以下、第1リクエスト信号)をLF帯の電波にのせて送信する(t1)。電子キー20のキー側第1受信処理部252は、第1LF受信アンテナ21a及びトランスポンダ受信部21を介して、第1リクエスト信号を受信する(t2)。
【0039】
キー側第1受信処理部252で第1リクエスト信号を受信すると、キー側第1送信処理部251が、トランスポンダ送信部22及びLF送信アンテナ22aを介して、Acknowledge(以下、Ack)をLF帯の電波にのせて送信する(t3)。BCM10の車側第1受信処理部152は、LF受信アンテナ12a及びトランスポンダ受信部12を介して、Ackを受信する(t4)。
【0040】
車側第1受信処理部152でAckを受信すると、車側第1送信処理部151が、BCM10に固有のIDコード(以下、第1コード)を、LF帯の電波にのせて送信する(t5)。よって、第1コードが請求項の車載装置固有コード及び車載コードに相当し、このt5の処理が請求項の車載コード送信部に相当する。第1コードは、例えば車側制御部15の不揮発性メモリに記憶されているものを読み出して用いる構成とすればよい。キー側第1受信処理部252は、この第1コードを受信する(t6)。よって、このt6の処理が請求項の車載コード受信部に相当する。
【0041】
キー側第1受信処理部252で受信した第1コードは、電子キー20のキー側一時記憶部259に一時的に記憶される。よって、キー側一時記憶部259が請求項の一時記憶部に相当する。キー側一時記憶部259は、例えばRAM等の揮発性メモリとすればよい。
【0042】
キー側第1受信処理部252で第1コードを受信すると、キー側第1送信処理部251が、AckをLF帯の電波にのせて送信する(t7)。車側第1受信処理部152は、このAckを受信する(t8)。車側第1受信処理部152でこのAckを受信すると、車側第1送信処理部151が、リクエスト信号(以下、第2リクエスト信号)をLF帯の電波にのせて送信する(t9)。キー側第1受信処理部252は、第2リクエスト信号を受信する(t10)。
【0043】
キー側第1受信処理部252で第2リクエスト信号を受信すると、キー側第1送信処理部251が、電子キー20に固有のIDコード(以下、第2コード)を、LF帯の電波にのせて送信する(t11)。よって、第2コードが請求項の携帯機コードに相当し、このt11の処理が請求項の携帯機コード送信部に相当する。第2コードは、例えばキー側制御部25の不揮発性メモリに記憶されているものを読み出して用いる構成とすればよい。車側第1受信処理部152は、この第2コードを受信する(t12)。よって、このt12の処理が請求項の携帯機コード受信部に相当する。
【0044】
車側第1受信処理部152で第2コードを受信すると、BCM10の車側秘密鍵生成部155が、車側第1受信処理部152で受信した第2コードと、車側制御部15の不揮発性メモリに記憶されている第1コードとから、共通鍵暗号方式で用いる秘密鍵を生成する(t13)。ここでの秘密鍵の生成は、電子キー20と共通の暗号化アルゴリズム(以下、第1暗号化アルゴリズム)を用いて行う。よって、車側秘密鍵生成部155が請求項の車載側鍵生成部に相当する。
【0045】
また、電子キー20のキー側秘密鍵生成部255は、キー側一時記憶部259に一時的に記憶されている第1コードと、キー側制御部25の不揮発性メモリに記憶されている第2コードとから、共通鍵暗号方式で用いる秘密鍵を生成する(t14)。ここでの秘密鍵の生成は、BCM10と共通の第1暗号化アルゴリズムを用いて行う。よって、キー側秘密鍵生成部255が請求項の携帯機側鍵生成部に相当する。
【0046】
図6に示すように、BCM10と電子キー20との両方で、BCM10に固有の第1コードと電子キー20に固有の第2コードとを用い、共通の第1暗号化アルゴリズムによって秘密鍵が生成される。
図6は、実施形態1におけるBCM10と電子キー20とでの秘密鍵の生成の一例について模式的に示す図である。
【0047】
車側秘密鍵生成部155で秘密鍵を生成すると、車側第1暗号化部156が、検証用とするための所定のコード(以下、第1検証用コード)を、車側秘密鍵生成部155で生成した秘密鍵を用いて暗号化する。そして、第1検証用コードを暗号化したデータ(以下、第1暗号化データ)及び第1検証用コードを、車側第1送信処理部151がLF帯の電波にのせて送信する(t15)。キー側第1受信処理部252は、この第1検証用コード及び第1暗号化データを受信する(t16)。
【0048】
よって、第1検証用コードが請求項の第1のデータに相当し、第1暗号化データが請求項の第1の暗号データに相当する。また、t15の処理が請求項の車載側暗号データ送信部に相当し、t16の処理が請求項の車載側暗号データ受信部に相当する。なお、第1検証用コードは、任意のコードとすればよい。
【0049】
キー側第1受信処理部252で第1検証用コード及び第1暗号化データを受信すると、キー側第1暗号化部256が、受信した第1検証用コードを、キー側秘密鍵生成部255で生成した秘密鍵を用いて暗号化する(t17)。そして、電子キー20のキー側一致判定部258が、キー側第1暗号化部256で第1検証用コードを暗号化したデータと、キー側第1受信処理部252で受信した第1暗号化データとが一致するか否か判定する(t18)。よって、キー側一致判定部258が請求項の携帯機側一致判定部に相当する。
【0050】
キー側一致判定部258で一致しないと判定した場合(t18でNO)には、t1の処理に戻って処理を繰り返す。一例として、キー側一致判定部258で一致しないと判定した場合には、キー側第1送信処理部251から車側第1受信処理部152へ、キー側一致判定部258で一致しないと判定したことを示す信号を送信する構成とすればよい。そして、この信号をもとに、車側制御部15でt1の処理に戻って処理を繰り返す構成とすればよい。
【0051】
一方、キー側一致判定部258で一致すると判定した場合(t18でYES)には、キー側第1暗号化部256が、検証用とするための所定のコード(以下、第2検証用コード)を、キー側秘密鍵生成部255で生成した秘密鍵を用いて暗号化する。そして、第2検証用コードを暗号化したデータ(以下、第2暗号化データ)及び第2検証用コードを、キー側第1送信処理部251がLF帯の電波にのせて送信する(t19)。車側第1受信処理部152は、この第2検証用コード及び第2暗号化データを受信する(t20)。
【0052】
よって、第2検証用コードが請求項の第2のデータに相当し、第2暗号化データが請求項の第2の暗号データに相当する。また、t19の処理が請求項の携帯機側暗号データ送信部に相当し、t20の処理が請求項の携帯機側暗号データ受信部に相当する。なお、第2検証用コードは、任意のコードとすればよく、第1検証用コードと同じであってもよい。
【0053】
車側第1受信処理部152で第2検証用コード及び第2暗号化データを受信すると、車側第1暗号化部156が、受信した第2検証用コードを、車側秘密鍵生成部155で生成した秘密鍵を用いて暗号化する(t21)。そして、BCM10の車側一致判定部158が、車側第1暗号化部156で第2検証用コードを暗号化したデータと、車側第1受信処理部152で受信した第2暗号化データとが一致するか否か判定する(t22)。よって、車側一致判定部158が請求項の車載側一致判定部に相当する。
【0054】
車側一致判定部158で一致しないと判定した場合(t22でNO)には、t1の処理に戻って処理を繰り返す。一方、車側一致判定部158で一致すると判定した場合(t22でYES)には、BCM10の登録許可部159が、正規のユーザの電子キー20として、この電子キー20の登録を許可する(t23)。
【0055】
登録許可部159で登録を許可すると、車側第1送信処理部151が、登録が許可されたことを示す信号(以下、登録許可通知)をLF帯の電波にのせて送信する(t24)。キー側第1受信処理部252は、この登録許可通知を受信する(t25)。また、登録許可部159で登録を許可すると、BCM10の車側登録部160が登録処理を行い(t26)、処理を終了する。
【0056】
t26の登録処理では、一例として、車側秘密鍵生成部155で生成した秘密鍵を、登録を許可した電子キー20とBCM10との無線通信時に用いる秘密鍵として車側制御部15の不揮発性メモリに記憶する。また、BCM10の車側登録部160が、車側第1受信処理部152で受信した第2コードを、登録を許可した電子キー20のIDコードとして車側制御部15の不揮発性メモリに記憶する。
【0057】
なお、登録を許可した電子キー20のIDコードとして、第2コード以外のコードを記憶する構成としてもよい。車側制御部15の不揮発性メモリに第2コードが記憶された電子キー20は、BCM10に正規のユーザの電子キー20として登録されたことになる。
【0058】
一方、キー側第1受信処理部252で登録許可通知を受信すると、電子キー20のキー側登録部260が登録処理を行い(t27)、処理を終了する。t27の登録処理では、一例として、キー側秘密鍵生成部255で生成した秘密鍵を、登録を許可した電子キー20とBCM10との無線通信時に用いる秘密鍵としてキー側制御部25の不揮発性メモリに記憶する。t27の登録処理が完了したときに、キー側一時記憶部259に一時的に記憶しておいた第1コードを消去する構成とすればよい。なお、キー側一時記憶部259に記憶した第1コードは、キー側一致判定部258での判定が終わった後であれば、t27の登録処理が完了する前に消去する構成としてもよい。
【0059】
続いて、
図7のフローチャートを用いて、電子キーシステム100でのスマート機能に関連する処理の一例について説明を行う。
図7のフローチャートは、一定時間おきに開始する構成としてもよいし、電子キー20でスマート機能に関するスイッチが操作された際に送信される信号を受信したことをもとに開始する構成としてもよい。
【0060】
ステップS31では、LF帯の電波にのせて送信する信号(つまり、LFコマンド)を、BCM10の車側第1暗号化部156が、車側登録部160で登録した秘密鍵を用い、第1暗号化アルゴリズムによって暗号化し、ステップS32に移る。一例として、LFコマンドは、電子キー20にIDコードの送信を要求する信号とする。
【0061】
ステップS32では、BCM10の車側第2送信処理部153が、スマート送信部13及び第2LF送信アンテナ13aを介して、ステップS31で暗号化したLFコマンドをLF帯の電波にのせて送信し、ステップS33に移る。
【0062】
ステップS33では、電子キー20のキー側第2受信処理部254が、第2LF受信アンテナ23a及びスマート受信部23を介して、ステップS32で送信されたLFコマンドを受信し、ステップS34に移る。
【0063】
ステップS34では、ステップS33で受信したLFコマンドを、電子キー20のキー側第1復号部257が、キー側登録部260で登録した秘密鍵を用い、第1暗号化アルゴリズムによって復号し、ステップS35に移る。
【0064】
ステップS35では、ステップS34で復号したLFコマンドの要求に従って処理を行う。具体的には、キー側第1暗号化部256が、キー側登録部260で登録した秘密鍵を用い、UHF帯の電波にのせて送信する電子キー20のIDコード(つまり、RFコマンド)を、第1暗号化アルゴリズムによって暗号化し、ステップS36に移る。本実施形態では、一例として、IDコードとして前述の第2コードを用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0065】
ステップS36では、電子キー20のキー側第2送信処理部253が、スマート送信部24及びRF送信アンテナ24aを介して、ステップS35で暗号化したRFコマンドをUHF帯の電波にのせて送信し、ステップS37に移る。
【0066】
ステップS37では、BCM10の車側第2受信処理部154が、RF受信アンテナ14a及びスマート受信部14を介して、ステップS36で送信されたRFコマンドを受信し、ステップS38に移る。
【0067】
ステップS38では、ステップS37で受信したRFコマンドを、BCM10の車側第1復号部157が、車側登録部160で登録した秘密鍵を用い、第1暗号化アルゴリズムによって復号し、ステップS39に移る。
【0068】
ステップS39では、ステップS38で復号したRFコマンドとしてのIDコードが、車側登録部160で登録された電子キー20のIDコードと一致するか否かを、車側一致判定部158が判定する。本実施形態の例では、RFコマンドとしての第2コードが、車側登録部160で登録された電子キー20の第2コードと一致するか否かを判定する。
【0069】
そして、一致すると判定した場合(ステップS39でYES)には、ステップS40に移る。一方、一致しないと判定した場合(ステップS39でNO)には、ステップS32に戻って処理を繰り返す。ステップS32に戻って処理を繰り返す場合には、繰り返す回数が所定回数を超えた場合に処理を終了する構成としてもよい。
【0070】
また、複数の電子キー20がBCM10に登録されており、複数の電子キー20の各秘密鍵が車側登録部160で登録されていた場合には、各秘密鍵で暗号化したLFコマンドを逐次送信する構成とすればよい。電子キー20は、送信されてくるLFコマンドのうち、キー側登録部で登録した秘密鍵で復号できたものを用いて処理を行う構成とすればよい。そして、BCM10は、電子キー20から送信されてくるRFコマンドのうち、車側登録部160で登録した秘密鍵で復号できたものを用いて処理を行う構成とすればよい。
【0071】
ステップS40では、スマート駆動指示部161がスマート駆動を行わせて、フローを終了する。一例としては、ドアスイッチ31に対する操作に応じた信号が車側制御部15に入力されてから一定時間内である場合には、ドア施解錠部34に対してドアの解錠を指示する。ドア施解錠部34は、このドアの解錠の指示に応じて車両のドアの施錠を行うためのアクチュエータを駆動し、車両のドアの施錠を行う。なお、車両のドアの解錠だけでなく、車両のエンジン等の始動許可等を行う構成としてもよい。
【0072】
実施形態1の構成によれば、電子キー20に固有の第2コードとBCM10に固有の第1コードとの両方を用いて秘密鍵を生成するので、第1コードと第2コードとの両方が揃わなければ秘密鍵を知ることができない。また、電子キー20からは、第1コードと第2コードとのうちの第2が送信されるだけなので、
図8に示すように、電子キー20から送信される第2コードを不正な利用者がアタックツールで取得した場合であっても、第1コードは取得できない。よって、不正な利用者がアタックツールを用いたとしても、第2コードしか取得できないので秘密鍵を手に入れることができず、不正な電子キー20の登録を行うことができない。
【0073】
また、電子キー20のキー側一時記憶部259に第1コードを記憶しておくのは、遅くともキー側登録部260で登録処理が行われるまでなので、電子キー20の登録後には電子キー20から第1コードを取得することはできない。この点によっても、電子キーシステム100のセキュリティ性を向上させることができる。
【0074】
さらに、実施形態1の構成によれば、電子キー20がBCM10から第1コードを取得するのに、既存のトランスポンダ通信を利用可能である。また、第1コードと第2コードとの両方を用いて秘密鍵を生成する構成は、従来の構成に対してBCM10と電子キー20とのソフトウェア変更を行うことで容易に対応可能である。よって、電子キー20の部品変更を抑えながらもセキュリティ性を向上させることが可能になる。
【0075】
また、さらにセキュリティ性を向上させるために、以下のような構成(以下、変形例1)としてもよい。変形例1では、前述のt11の処理において、キー側一時記憶部259に記憶されている第1コードを秘密鍵として用いて、電子キー20のキー側第2暗号化部261が第2コードを暗号化する構成とすればよい。ここでの暗号化は、第1暗号化アルゴリズムとは異なる暗号化アルゴリズム(以下、第2暗号化アルゴリズム)を用いて行う。よって、第2暗号化アルゴリズムが請求項の別アルゴリズムに相当し、キー側第2暗号化部261が請求項の暗号化部に相当する。そして、暗号化した第2コードをキー側第1送信処理部251が送信する構成とすればよい。
【0076】
また、変形例1では、前述のt12の処理において受信した、暗号化された第2コードを、BCM10の車側第2復号部162が、自装置の第1コードを秘密鍵として用いて、第2暗号化アルゴリズムによって復号する構成とすればよい。よって、車側第2復号部162が請求項の復号部に相当する。
【0077】
変形例1の構成によれば、第2コードを電子キー20からBCM10に送信する場合に、第2コードを暗号化して送信することができるので、セキュリティ性がさらに向上する。
【0078】
(実施形態2)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、実施形態2について図面を用いて説明を行う。
図9は、本発明が適用された電子キーシステム200の概略的な構成の一例を示す図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態1の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
実施形態2の電子キーシステム200は、秘密鍵の生成に、BCM10の第1コードと電子キー20の第2コードに加え、BCM10以外の車載装置のコードを利用する点を除けば、実施形態1の電子キーシステム100と同様の構成である。
【0080】
図9に示す電子キーシステム200は、BCM10と電子キー20とに加え、車両に搭載されるエンジンコントロールユニット(以下、ECM)40を含む。
【0081】
ECM40は、一例として車載LANでBCM10と電気的に接続されており、ECM制御部41を備える。ECM制御部41は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、I/O等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。ECM40が請求項の他機器に相当する。
【0082】
また、ECM制御部41のROMやバックアップRAMといった不揮発性メモリには、ECM40に固有のIDコード(以下、第3コード)を記憶している。よって、ECM制御部41が請求項の他機器側記憶部42に相当する。
【0083】
実施形態2のBCM10は、実施形態1の車側制御部15の代わりに車側制御部15aを備えている。
図10に示すように、車側制御部15aは、コード取得部163を備えている点を除けば、車側制御部15と同様である。
【0084】
ここで、
図11のシーケンス図を用いて、実施形態2における登録関連処理の一例について説明を行う。
図11の例でも、登録の許可が、既に登録済みの電子キー20を用いてなされていたり、専用のツールを用いて行われていたりするものとして説明を行う。
図11で示す登録関連処理も、電子キー20を追加登録する場合に限らず、初期登録する場合にも適用できる。
【0085】
t51〜t62までの処理については、前述のt1〜t12の処理と同様である。よって、t55の処理も請求項の車載コード送信部に相当し、t56の処理も請求項の車載コード受信部に相当する。続いて、車側第1受信処理部152で第2コードを受信すると、コード取得部163がリクエスト信号(以下、第3リクエスト信号)を、車載LANを介してECM40に送信する(t63)。ECM40のECM制御部41は、第3リクエスト信号を受信する(t64)。
【0086】
第3リクエスト信号を受信すると、ECM制御部41は、ECM40に固有のIDコードである第3コードを自装置の不揮発性メモリから読み出し、車載LANを介してBCM10に送信する(t65)。コード取得部163は、この第3コードを受信して第3コードを取得する(t66)。よって、コード取得部163が請求項の他機器固有コード取得部に相当する。
【0087】
コード取得部163で第3コードを受信すると、車側第1送信処理部151が、t66の処理で受信した第3コードを、LF帯の電波にのせて送信する(t67)。よって、第3コードが請求項の他機器固有コード及び車載コードに相当し、このt67の処理も請求項の車載コード送信部に相当する。キー側第1受信処理部252は、この第3コードを受信する(t68)。よって、このt68の処理も請求項の車載コード受信部に相当する。
【0088】
キー側第1受信処理部252で受信した第3コードは、電子キー20のキー側一時記憶部259に一時的に記憶される。
【0089】
車側第1送信処理部151で第3コードを送信すると、車側秘密鍵生成部155が、車側第1受信処理部152で受信した第2コードと、t66の処理で取得した第3コードと、車側制御部15の不揮発性メモリに記憶されている第1コードとから、第1暗号化アルゴリズムを用いて秘密鍵を生成する(t69)。
【0090】
また、電子キー20のキー側秘密鍵生成部255は、キー側一時記憶部259に一時的に記憶されている第1コード及び第3コードと、キー側制御部25の不揮発性メモリに記憶されている第2コードとから、第1暗号化アルゴリズムを用いて秘密鍵を生成する(t70)。
【0091】
図12に示すように、BCM10と電子キー20との両方で、BCM10に固有の第1コードと電子キー20に固有の第2コードに加え、ECM40に固有の第3コードも用い、共通の第1暗号化アルゴリズムによって秘密鍵が生成される。
図12は、実施形態2におけるBCM10と電子キー20とでの秘密鍵の生成の一例について模式的に示す図である。
【0092】
また、t71〜t83までの処理については、前述のt15〜t26の処理と同様である。実施形態2の構成によれば、ECM40に固有の第3コードも用いて秘密鍵を生成するので、実施形態1の構成よりもさらにセキュリティ性が向上する。
【0093】
実施形態2では、BCM10とECM40とが車載LANで接続されている構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、BCM10と、秘密鍵の生成にコードを利用するBCM10以外の車載装置とが、ジカ線で接続されている構成としてもよい。
【0094】
実施形態2では、秘密鍵の生成にコードを利用するBCM10以外の車載装置として、1つの車載装置を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、2つ以上の車載装置のコードを利用する構成としてもよい。
【0095】
実施形態2では、BCM10に固有のIDコード(つまり、第1コード)を秘密鍵の生成に用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1コードは用いず、第1コードの代わりにECM40に固有のIDコード(つまり、第3コード)を秘密鍵の生成に用いる構成としてもよい。この場合、第2コードと第3コードとから秘密鍵が生成されることになる。また、この場合、BCM10は自装置に固有のIDコード持たない構成としてもよい。
【0096】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。