(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態にかかる複合ICカードを説明する。
【0013】
先ず、非接触伝達機構の基本的構成と基本原理について説明する。
【0014】
図10は、非接触伝達機構の原理を説明するための非接触結合回路の一例を示す等価回路図である。非接触型で用いられる外部の読み書き装置(読み取り装置)(図示せず)の送受信回路には、複合ICカードの非接触伝達機構への電力供給と情報の授受とを行う電磁結合器である送受信コイルが接続されている。
【0015】
複合ICカードの非接触伝達機構は、アンテナコイル7aと、アンテナコイル7aの両端に接続されて並列共振回路を構成する容量性素子8と、複合ICモジュール4に実装された複合ICチップ4bと、複合ICチップ4bに接続された第1結合コイル5aと、第2結合コイル6aと、を有する。アンテナコイル7aは、外部の読み書き装置の送受信アンテナと直接、電磁的に結合され電力の受信と情報の授受に関与する。第2結合コイル6aは、第1結合コイル5aにアンテナコイルで受信した信号を最大効率で伝送するために密結合配置され、並列共振回路を構成する容量性素子8に接続されている。
【0016】
第2結合コイル6aと容量性素子8とは、
図5,6,11A及び11Bに示されているように、接合ランド10において接続されている。図示例では、アンテナシート2の表面2aに形成された第2結合コイル6aと、容量性素子8から引き出されアンテナシート2の裏面2bに形成された配線8aとが、アンテナシート2の表面2aに形成された接合ランド10において接続されている。より具体的には、たとえば、アンテナシート2の表面2aに形成された接合ランド10を機械的に押圧することにより、アンテナシート2の表面2aに形成された第2結合コイル6aとアンテナシート2の裏面2bに形成された配線8aとを物理的に接続することができる。接合ランド10にレーザー光を照射して第2結合コイル6aと容量性素子8の配線8aとを溶接することもできる。その他、上記接続には、適宜の方法を採用することができる。
図示例において、第2結合コイル6aはアンテナシート2の表面2aに形成され、容量性素子8の配線8aはアンテナシート2の表面2aに形成されているが、これらの配置関係は、上記例に限られず、要求されるICカードの特性に応じて、適宜の配置をとることができる。
【0017】
容量性素子8とアンテナコイル7aとの接続は、
図5、6に示す例では直列であるが、アンテナコイル7aと第2の結合コイル6aとの間に並列に容量性素子8を接続することも好適である。また、線間容量を増大させることで容量性素子8を省略することも可能である。
【0018】
外部の読み書き装置から複合ICカードに電力および情報を伝達する方法及び、それに用いる各コイルの結合について以下に説明する。
外部読み書き装置の送受信回路で発生した図示しない高周波信号により、送受信コイルに高周波磁界が誘起される。この高周波信号は、磁気エネルギーとして空間に放射される。
【0019】
外部読み書き装置の送受信コイルにより発生し高周波磁界により、この高周波磁界中に位置する複合IC力一ドの、アンテナコイル7aと容量性素子8とで構成される並列共振回路に電流が流れる。このとき、複合ICチップ4bに直接接続された第1結合コイル5aと、アンテナコイル7aと容量性素子8とで構成される共振回路に接続され第1結合コイル5aに電力伝送する第2結合コイル6aと、に高周波磁界による電流が誘起される。第1結合コイル5aと第2結合コイル6aとに誘起される電流の量は、アンテナコイル7aに誘起される電流の量に比べて一桁以上小さいので、複合ICカードの受信感度はアンテナコイル7aの特性に大きく依存する。
【0020】
アンテナコイル7aと容量性素子8とで構成された共振回路で受信した信号は第2結合コイル6aに伝達される。その後、第2結合コイル6aと第1結合コイル5aとが最大伝達効率を示す密結合配置されているので、第2結合コイル6aと第1結合コイル5aとのトランス結合によって、複合ICチップ4bに信号が伝達される。第2結合コイル6aと第1結合コイル5aとのトランス結合の最大伝達効率は回路定数の選択によって決定される。
以上のように、受信特性の改善が達成される。上述の通り、アンテナコイル7aの特性が複合ICカードの受信感度を決定するため、アンテナコイル7aの面積は大きいほど受信感度の点で有利である。アンテナコイルの線幅(太さ)、間隔、巻数は、アンテナコイルの特性や配置による制限などに応じて適宜設定できる。
【0021】
本実施形態に係る複合ICカードは、ICモジュール4と第2結合コイル6aとアンテナコイル7aとを含むアンテナシート2を有するカード基材1を備える。
【0022】
複合ICモジュール4は、接触型伝達機能と非接触型伝達機能との双方の機能を有するICチップと、接触型伝達素子である外部端子が形成されたモジュール基板と、非接触伝達機構である第1の結合コイルとを備える。より具体的に、複合ICモジュール4は、接触型インターフェースと非接触型インタフェ一スとを内蔵した複合ICチップ4bと、接触型伝達部(外部端子)である端子電極(外部端子)4cと、非接触型伝達部の第1結合コイル5aと、を相異なる面にパターン形成したモジュール基板4aとを備える。
【0023】
第1結合コイル5a及びアンテナコイル7aには、金属薄膜のエッチングにより形成された金属薄膜パターンを用いてもよいし、絶縁被覆した導線を巻いたいわゆる巻線コイルを用いてもよいし、導電性インキを印刷したコイルを用いてもよい。複合ICチップ4は、モジュール基板4aの第1結合コイル5aが形成されている面に実装される。複合ICチップ4bとモジュール基板4aの端子電極4cとはスルーホールを介して接続される。
また、容量性素子8の配線をアンテナシート2の表面及び裏面に配置する場合には、エッチングにより容易に形成されるエッチングアンテナを第2結合コイル領域6及びアンテナコイル領域7のコイルとして用いることが好ましい。
また、上述のようなエッチング等の微細加工により形成されるコイルの線幅及び隣接するコイル間の間隔は、それぞれ0.1mm以上であることが好ましい。特に、第2結合コイル領域6の第2結合コイル6aには、コイルの線幅と隣接するコイル間の間隔との合計(line and space)が0.4〜0.5mm程度であるコイルを用いることができる。
【0024】
複合ICチップ4bと第1結合コイル5aの回路パターンとはワイヤボンドされて回路が形成されている。この複合ICチップ4bと第1結合コイル5aとの接続は、複合ICチップ4bの回路形成面とモジュール基板4aとを半田や導電性接着剤を用いて熱溶着することによっても実現される。
【0025】
複合ICチップ4bをモジュール基板4aに実装し、回路接続された後に、複合ICチップ4bは封止樹脂4dにより封止され複合ICモジュール4が完成する。
【0026】
本実施形態にかかる複合ICカード100は概略以下のようにして製作される。
まず、シート基材に金属薄膜のエッチング等により第2結合コイル6aとアンテナコイル7aと容量性素子8を形成したフレキシブルなアンテナシート2が準備される。第2結合コイル6aとアンテナコイル7aとは絶縁被覆した導線を巻いて形成してもよい。
アンテナシート2のシート基材には、例えば塩化ビニル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを用いることができる。
【0027】
次に、アンテナシート2とカード基材1とを貼り合わせる。カード基材1は複数の層を有する。
図1の例において、カード基材1は、1対のコア基材1aとコア基材1aの両側に配された1対の外装基材1bとを有する。コア基材1aの間にアンテナシート2が挟みこまれ、熱ラミネートによりそれらが一体化される。
カード基材1には、塩化ビニル、非晶質ポリエステル(PETG)、ポリカーボネートなど、十分な強度やエンボス性などのカードに必要な特性が得られるもので有れば何でも用いることができる。
【0028】
アンテナシート2を有するカード基材1を作製した後に、ミリング加工、切削加工等により複合ICモジュール4を埋設するための凹部3aを形成する。
次に、カード基材の凹部3aに複合ICモジュール4を埋設し接着することで、
図3A及び3Bに示したような複合ICカード100が完成する。
【0029】
本実施形態にかかる複合ICカード100では、アンテナシート2に形成されている第2結合コイル6aが、カード基材1に形成した凹部領域3の外側に配置されている。
切削工具を用いてカード基材1を削り凹部3aを形成するミリング加工、切削加工等の方法を用いる場合、凹部領域3内に第2結合コイル6aが配置されていると、加工装置の深さ方向の精度や横方向の精度によっては、切削工具が第2結合コイル6aに達して、第2結合コイル6aが断線する可能性や、断線しなくてもアンテナシートの歪みによる第2結合コイル6aの変形により所望の特性が得られなくなる可能性などがある。
本実施形態では、第2結合コイル6aが凹部領域3の外側に配置されているため、上述の断線やコイル変形を防ぐことができる。
【0030】
さらに、
図1に示されているように、アンテナシート2の端部2cが凹部領域3の外側に配置されていてもよい。この場合、カード基材1を削り凹部3aを形成するミリング加工、切削加工等による、アンテナシート2の端部2cの損傷や変形等を確実に防ぐことができる。すなわち、アンテナシート2の端部2cの損傷や変形等に伴う第2結合コイル6aの変形、及び、その結果もたらされる第2結合コイル6aの特性の劣化を確実に防ぐことができる。
【0031】
凹部領域3の凹部3aは、
図1に示すように、カード基材の表面近傍に形成された第一凹部3a1と、第一凹部3a1に連通し第一凹部3a1よりも狭い開口幅を有する第二凹部3a2と、から構成することができる。
図1の例では、第一凹部3a1の大きさが、
図2に示されているモジュール基板4aの大きさに対応し、第二凹部3a2の大きさが、
図2に示されている封止樹脂4dの大きさに対応している。
図1の例において、アンテナシート2は、第一凹部3a1の開口部の外側に配置されている。
また、
図1の例では、
図2に示されているICモジュール4に対応して、深さ方向について第一凹部3a1の中心軸と第二凹部3a2の中心軸とが実質的に一致するように、第一凹部3a1と第二凹部3a2とが形成されている。しかしながら、凹部3aの形状及び大きさは、上述に限られず、カード基材1に埋設されるICモジュール4の形状及び大きさに応じて適宜変更可能である。
【0032】
また、第2結合コイル6aは、
図9A及び9Bに示すように、凹部領域3に形成された凹部3aの深さ(すなわち、凹部3aの底面3b)よりも深い位置に形成することができる。
このような構成によれば、ミリング加工、切削加工が第2結合コイル6aに及ぼす影響が低減するため、第2結合コイル6aの断線、変形を防ぐことができる。
図9Aに示されているような、アンテナシート2の第2結合コイル6aが凹部領域3の外側に配置されている構成によれば、第2結合コイル6aの断線、変形をより確実に防ぐことができる。また、アンテナシート2の第2結合コイル6aが、凹部3aの底面3bよりも十分に深い位置に配置されていれば、
図9Bに示されているような第2結合コイル6aの一部が凹部領域3の内側に配置されている構成においても、第2結合コイル6aの断線、変形を防ぐことができる。
【0033】
図11A及び11Bに示すように、第2結合コイル6aと容量性素子8の配線8aとを接続する接続ランド10は、凹部領域3の内側に配置してもよい。
図11A及び11Bの例では、接続ランド10の一部が第一凹部3a1の側壁3a11と第二凹部3a2の側壁3a21との間に配置されている。すなわち、接続ランド10の一部は、平面視において、第一凹部3a1の内であって第二凹部の外に配置されている。接続ランド10の全体を平面視において、第一凹部3a1の内であって第二凹部の外に配置してもよい。
【0034】
接続ランド10は、上述のような第2結合コイル6aと容量性素子8との接続を確実に行うために、平面視において、第2結合コイル6aを形成するコイルの線幅よりも大きい幅を有するように形成されている。したがって、接続ランド10は、凹部領域3の内側に配置されていても、凹部領域3を形成するためのミリング加工や切削加工等による断線・変形が生じにくい。
また、接続ランド10を凹部領域3の内側に配置することにより、第2結合コイル6aを凹部領域3により近づけることができる。すなわち、第2結合コイル6aと、凹部領域3内に配置されるICモジュール4の第1結合コイル5aとの距離をより近づけることができる。その結果、第2結合コイル6aと第1結合コイル5aとの結合をより向上させることができる。
【0035】
接続ランド10における第2結合コイル6aと容量性素子8との接続には、かしめ加工、抵抗溶接加工、レーザー溶接加工等を用いることができる。
かしめ加工を用いる場合には、その加工領域がおおよそ直径1〜3mm程度であるため、加工のばらつきを考慮すると、接続ランド10は直径3〜5mm程度であることが好ましい。抵抗溶接加工を用いる場合には、その加工領域がおおよそ直径0.5〜1.5mm程度であるため、加工のばらつきを考慮すると、接続ランド10は、直径2〜4mm程度であることが好ましい。レーザー溶接加工を用いる場合には、その加工領域がおおよそ直径0.5〜1.5mm程度であるため、加工のばらつきを考慮すると、接続部ランド10は直径2〜4mm程度であることが好ましい。なお、レーザー溶接を用いる場合、第2結合コイル6aと容量性素子8との接続の信頼性を上げるために、接続ランド10の複数の箇所にレーザー照射して溶接をしてもよい。
【0036】
なお、接続ランド10の幅は、上述の加工上の理由から、隣接する第2結合コイル6aの線幅のたとえば数倍〜10数倍である。このため、接続ランド10の全体を凹部領域3の外に配置する場合には、接続ランド10を凹部領域3の内に配置する場合に比べて、接続ランド10に隣接する第2結合コイル6aと、凹部領域3内に配置されるICモジュール4の第1結合コイル5aとの距離が長くなり、その結果、第2結合コイル6aと第1結合コイル5aとの電磁的な結合が弱くなる。
【0037】
また、
図5に示すように第2結合コイル6aを有する第2結合コイル領域6は、アンテナコイル7aを含むアンテナコイル領域7の外側に配置してもよいし、
図6に示すように第2結合コイル領域6をアンテナコイル領域7の内側に配置してもよい。
ICモジュールの接触端子の位置はISOにより規定されているため、第2結合コイル領域6の巻き数に制限があり特性の向上が困難である。しかしながら、第2結合コイル領域6がアンテナコイル領域7の外側に配置された構成では、第2結合コイル領域6の巻き数の設計自由度を確保できる。なお、第2結合コイル領域6をアンテナコイル領域7の内側に配置する場合、第2結合コイル領域6の巻き数の設計自由度は下がるものの、アンテナコイルの面積は大きくなる。このため、アンテナとしての通信特性は向上できる。
【0038】
また、
図7に示すように、第2結合コイル6aの最内側のコイルの幅を、他のコイルの幅よりも太くすることができる。最内側のコイルの幅を太くすることで、凹部領域3の形成時の第2結合コイル6aの断線や変形を防ぐことができる。最内側のコイルの幅の太さは特に限定されないが、他のコイルの幅の1.2〜5倍程度が好ましい。最内側のコイルの幅が上記より細いと効果が低く、上記より太いとコイルの巻き数を増やすことができない。最内側のコイルの幅は、より好ましくは、他のコイルの幅の1.5〜3倍程度である。
【0039】
図11Aに示されているように、第2結合コイル6aの最内周に形成されたコイルのうち、下部に形成されたコイル6a1の線幅を他よりも太く形成することができる。複合ICカード100が曲げられた場合、凹部3aのエッジに応力が集中しやすいため、第2結合コイル6aの最内周に形成されたコイルに断線が生じやすい。特に、複合ICカード100の長手方向に沿って形成されて且つ、複合ICカード100の短手方向における中央に最も近いコイル6a1の近傍は、複合ICカード100が曲げられた場合に最も曲率が大きくなる。このため、製造のバラツキを考慮すると、コイル6a1の線幅を他よりも太く形成することが好ましい。
なお、第2結合コイル6aの最内周に形成されたコイルのうち、上部に形成されたコイルが、複合ICカード100の短手方向における中央により近い位置に設けられている場合には、その上部に形成されたコイルの線幅を他よりも太く形成してもよい。
【0040】
さらに、
図8A及び8Bに示すように、アンテナシート2の第2結合コイル6aや容量性素子8が形成されていない部分を打抜くことができる。この場合、カード基材1とアンテナシート2とを熱ラミネートにより貼り合わせる際に、アンテナシート2を挟んだ両側の基材同士がアンテナシート2の打抜き部9を介して融着できるため、強固に貼り合わせることができる。より具体的に、アンテナシート2の基材として用いられるPETやPENなどは、カード基材1と融着しにくいことがある。したがって、上述のような打ち抜き部9を有しないアンテナシート2とカード基材1とを熱ラミネートにより貼り合わせると、アンテナシート2とアンテナシート2に隣接する基材とが十分に融着せず、得られた複合ICカード100が曲げられた際に、アンテナシート2とカード基材1とが剥離することがある。
【0041】
また、図示しないが、本実施形態にかかる複合ICカード100には、磁気ストライプを形成したり、エンボス加工等を施すことができる。磁気ストライプを形成する領域やエンボス加工を施す領域はアンテナコイル7aと重ならないように配置することが好ましい。
さらに、本実施形態にかかる複合ICカード100には、絵柄層、ホログラムなどの機能性転写箔を転写した機能層などを設けることができる。
【0042】
なお、複合ICカード10の表面にエンボス加工を施して文字を印字する場合には、
図11Aに示されているように、たとえばコイル6a1の下方に形成されたコイル6a2,6a3,6a4,6a5の線幅を他よりも太く形成することができる。
この場合、文字が印字される領域に対応する位置に設けられるコイルの線幅を、エンボス加工により印字される文字の高さよりも大きく形成することが好ましい。より具体的には、複合ICカード10の表面に印字される文字の高さは、文字が形成される領域によって3mm又は5mmにすることが規格により定められている。したがって、文字が印字される領域に対応する位置に設けられるコイルの線幅は、その領域に応じて、3mm以上又は5mm以上であることが好ましい。
なお、第2結合コイル6aとして巻線コイルを用いる場合には、上述のような文字が印字される領域を避けるようにコイルを配置することが好ましい。
【実施例】
【0043】
基材として、両面にアルミニウム薄膜が形成されている厚み80μmのポリエチレンテレフタレートを用いた。基材の一方の面に第2結合コイル6a、アンテナコイル7a、および容量性素子8の一部をエッチングにより形成し、他方の面に容量性素子8の残りの部分とジャンパー線をエッチングにより形成してアンテナシート2を得た。第2結合コイル6a、アンテナコイル7aは線幅が1mmとなるように形成した。第2結合コイル領域6はアンテナコイル領域7の外側に設けた。第2結合コイル6aは巻き数が3ターンとなるように、アンテナコイル7aは巻き数が1ターンとなるように、それぞれ形成した。また、第2結合コイル領域6の最内周が、カード基材の凹部領域の外側に位置するように第2結合コイル6aを配置した。さらに、第2結合コイル領域6の最内周の線幅が2mmとなるように第2結合コイル6aを形成した。
また、第2結合コイル6aやアンテナコイル7a等が形成されていない部分に打抜き加工を施した。
厚み0.6mmのポリ塩化ビニル(PVC)からなる2層のコア基材1aと、コア基材の両面にそれぞれ厚み0.1mmの非晶質ポリエステルからなる外装基材1bとから構成されるカード基材1を準備した。コア基材1aの間に、上述のアンテナシート2を挟んで、温度100〜120℃で熱ラミネートによりこれらを貼り合わせて、カード基材1を作製した。
次に、カード基材1に、ミリング加工により、開口部が縦12mm×横15mmである2段形状の凹部3aを有する凹部領域3を形成した。この凹部3a内にピックアップ装置を用いてICモジュール4を配置し、熱圧プレスによりICモジュール4をカード基材1に実装して、複合ICカード100を得た。ICモジュール4として、第1結合コイル5aが形成された接触・非接触兼用のICモジュールを用いた。また、第1結合コイル5aは、巻き数が3ターンとなるように形成した。
【0044】
得られた複合ICカード100のICモジュール4を取り外し、第2結合コイル6aの最内周の状態を確認した。第2結合コイル6aの断線、変形等がないことが確認できた。