特許第6036706号(P6036706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6036706繊維強化ポリマー組成物、プリプレグ、複合物を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036706
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】繊維強化ポリマー組成物、プリプレグ、複合物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20161121BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20161121BHJP
   B29B 11/16 20060101ALI20161121BHJP
   B29B 15/08 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   C08J5/04
   C08J5/24
   B29B11/16
   B29B15/08
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-555590(P2013-555590)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公表番号】特表2014-506845(P2014-506845A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】US2012026463
(87)【国際公開番号】WO2012116261
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年1月30日
(31)【優先権主張番号】61/446,126
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/585,930
(32)【優先日】2012年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・エヌ・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ケンイチ・ヨシオカ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・ピー・ハロ
(72)【発明者】
【氏名】荒井 信之
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0280151(US,A1)
【文献】 特開2010−189561(JP,A)
【文献】 特開平09−025393(JP,A)
【文献】 特開2009−280669(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119467(WO,A1)
【文献】 特表2008−532726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
B29B 15/08−15/14
C08J 5/04−5/10
C08J 5/24
C08K 3/00−13−08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維および接着性組成物を含む繊維強化ポリマー組成物であって、該接着性組成物が、熱硬化性樹脂、硬化剤、移行剤および界面材料を少なくとも含み、移行剤/界面材料の比率が1.2〜30であり、該界面材料がコア−シェルゴム粒子を含み、該移行剤がポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニルホルマールまたはそれらの組合せを含み、該強化繊維が、該強化繊維と該接着性組成物との間の界面領域に該界面材料を集中させるのに好適であり、該界面領域が該界面材料を含み、界面材料が界面領域において濃度勾配を有するように、該界面材料が熱硬化性樹脂の硬化の間に該界面領域においてインサイチュで集中し、該界面材料が該強化繊維の遠くより近くにおいて、より高い濃度を有する、繊維強化ポリマー組成物。
【請求項2】
促進剤をさらに含む、請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物。
【請求項3】
強靭化剤、充填剤またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物。
【請求項4】
100μm以下の粒度を有する熱可塑性粒子をさらに含み、接着性組成物の硬化後に、該熱可塑性粒子が複数の強化繊維を含む繊維層の外側に配置される、請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物。
【請求項5】
界面材料の量が、熱硬化性樹脂100重量部当たり0.5〜25重量部である、請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物。
【請求項6】
移行剤の量が、熱硬化性樹脂100重量部当たり1〜30重量部である、請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物を含むプリプレグ。
【請求項8】
複合物を製造する方法であって、請求項1に記載の繊維強化ポリマー組成物を得、該繊維強化ポリマー組成物を硬化させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、接着剤接合継手および繊維強化ポリマー複合材料の分野に適用可能な、革新的な接合構造物を提供する。接合構造物は、被着体、ならびに熱硬化性樹脂、硬化剤、移行剤および界面材料を少なくとも含む接着組成物を含む。接着組成物の硬化時に、界面材料が被着体と接着組成物との界面領域に集中し、それによって接合構造物の引張強度と破壊靭性の両方が実質的に向上する。
【背景技術】
【0002】
被着体は、大きさ、形および多孔度に関係なく、固形体である。2つの固形体を接合する場合、硬化時に被着体表面と化学的に相互作用することができる適切な接着剤(最初は液体であり、硬化した際に凝固する)を選択することが望ましい。さらに、その接合は、環境および/または不良条件に曝された際に耐久性である必要がある。(硬化)接着剤と被着体とを分離するのに必要とされる界面面積単位当たりの接合強度または力が、接着力の測度である。接着剤と被着体との接着破壊に対するものとして、接着剤もしくは被着体または両方の凝集破壊が主に観察される場合に、最大接着力が得られる。
【0003】
前記の要求を満たすために、接着剤と被着体との間の界面に空隙があってはならず、即ち、硬化時にそれらの間に充分な分子レベルでの接触が存在すべきである。多くの場合、この界面は、体積的領域または界面相と考えられる。被着体表面の化学組成、ならびに被着体表面上の、バルク接着剤の、および硬化中に界面に移動する他の化学成分からの、官能基間の化学的相互作用に依存して、界面相は、被着体表面から数ナノメートルまたは数十マイクロメートルまで伸長することができる。したがって、界面相は、極めて独特な組成を有し、その特性は接着剤および被着体の組成とかなり異なる。
【0004】
接着剤と被着体との弾性率不一致により、高応力集中が界面相に一般に存在する。界面破壊に導くこの応力集中の破壊的作用は、被着体によって誘発される接着剤の化学的脆化、および熱膨張率の違いによる局所残留応力により、補助されうる。これらの理由により、界面相は最高応力領域となり、亀裂開始を受けやすく、後に、負荷が加えられた際に突発的破壊を生じる。したがって、接着剤と被着体との間に、中間弾性率を有する材料または延性材料を適合させることによって、これらの応力集中を減少させることが有意義である。前者は、任意の2つの隣接成分の弾性率比を減少させることに関与し、傾斜弾性率界面相と呼ばれる場合もある。後者において、局所変形能力が界面領域に生じ、それによって応力集中が少なくとも部分的に抑えられる。いずれの場合も、界面材料は、硬化時に被着体および接着剤の両方と化学的に相互作用する必要があり、即ち、接着促進剤として作用する必要がある。
【0005】
強化被着体を接合するために構造用接着剤が使用される最も重要な用途の1つは、繊維強化ポリマー複合材料である。この場合の接着促進剤材料は、サイズ剤、または単にサイジングもしくはサイズと呼ばれることが多い。他の場合に、表面仕上げ剤と呼ばれることもある。接着促進剤は、用途に依存して、良好な、中程度の、または充分な接着が必要とされるかによって一般に選択される。ガラス繊維複合材料に関しては、繊維表面が多くの活性結合部位を有するので、シランカップリング剤が最も広く使用され、表面に容易に適用することができる。シランは、その有機官能基がポリマーマトリックスと化学的に相互作用しうるように特に選択され、したがって接着が向上する。他の繊維表面、例えば、炭素質材料(例えば、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブまたはCNT、CNT繊維)、他の無機繊維および有機繊維(例えば、Kevlar(登録商標)、Spectra(登録商標))に関しては、表面を、プラズマ、コロナ放電または湿式電気化学処理のような方法によって酸化して、酸素官能基密度を増加させることを必要とする場合があり、それによって、ポリマーに適合性および/または反応性のサイジング材料であるシランまたは単純サイジング組成物を溶媒支援被覆工程において定着させることができる。そのようなサイジング組成物および方法の例は、US5298576(Sumidaら、東レ株式会社、1994)およびUS5589055(Kobayashiら、東レ株式会社、1996)に記載されている。
【0006】
接着を劇的に促進するか、または加わった応力をポリマーマトリックスから繊維に伝達することができる経路を効果的に提供するように、従来の接着促進剤材料を調整することができる。しかし、それらは、得られる界面相の不充分な強度/靭性、または厚い界面相の形成の難しさのいずれかにより、最終的にバルクマトリックスにおける不連続を解決できない。前者は革新的なサイジング組成物に依存し、後者は、後の繊維/マトリックス製造工程のための繊維被覆法もしくは繊維取扱目的のいずれかまたはそれらの両方によって制限される。
【0007】
一般に、不充分な接着は、亀裂エネルギーを繊維/マトリックス界面に沿って散逸させるが、界面相を通って接着剤から繊維へ向かう応力伝達能力をかなり犠牲にする。一方、強い接着は、多くの場合、界面マトリックス脆化の増加を生じ、この領域で亀裂を開始させ、樹脂リッチ領域に伝播させる。さらに、繊維切れ口における亀裂エネルギーは、繊維/マトリックス界面に沿って開放することができず、隣接繊維を本質的に破断することによってそれらの中に転送される。これを解決するために、1つの可能な方法は、接着剤を強靭化して複合材料の破壊靭性を実質的に増加させることであり、これは、亀裂が樹脂リッチ領域を通って伝播する際に亀裂先端を鈍くするのを助けうる。しかし、この方法は、界面マトリックス脆化を解決することができず、したがって、引張または引張関連特性が一般に変化しないかまたは減少する。他の方法は、非従来型のサイジング配合物によって界面相を直接的に強化することである。しかも、この強化界面相は、強くかつ強靭化された界面材料を必要とし、該材料は硬化後に樹脂との厚い界面相を形成し、それによって、応力解放および応力伝達の両方がこの界面相に生じることができ、破壊靭性および引張/引張関連特性を最大にし、他の特性の損失を最小にする。それにもかかわらず、その課題に対処するために問題が生じることが多い。
【0008】
繊維複合材料の破壊靭性、特にI型層間破壊靭性GICを増加させるための従来の方法は、マイクロメートル未満またはより小さい軟質ポリマー強靭化剤でマトリックスを強靭化することである。複合材料の硬化時に、強靭化剤が、2層間の樹脂リッチ領域(層間と呼ばれる)に対するものとして、繊維層/マトリックス領域の内側(層内と呼ばれる)に空間的に見出される可能性が最も高い。強靭化剤の均一分布は、多くの場合、GICを最大にすると考えられる。そのような樹脂組成物の例は下記を包含する:US6063839(Oosedoら、東レ株式会社,2000)、EP2256163A1(Kamaeら、東レ株式会社,2009)(ゴム状軟質コア/硬質シェル粒子を有する)、US6878776B1(Pascaultら、Cray Valley S.A.,2005)(反応性ポリマー粒子用)、US6894113B2(Courtら、Atofina,2005)(ブロックコポリマー用)、およびUS20100280151A1(Nguyenら、東レ株式会社,2010)(反応性硬質コア/軟質シェル粒子用)。これらの場合、軟質材料が重量または容量において多量に樹脂に組み込まれたので、GICが実質的に増加し、潜在的に、繊維切れ口から亀裂エネルギーを効果的に散逸させる。それにもかかわらず、US20100280151A1の場合を除いて、樹脂の弾性率が実質的に減少したので、マトリックスから繊維への応力伝達能力の実質的減少を合理的に説明できる。したがって、引張および引張関連特性は、せいぜい変化しないままであるか、または少なくとも有意な程度に減少する。さらに、樹脂の弾性率の実質的減少によって示される複合材料の圧縮特性の大きい損失があると考えられる。
【0009】
現在まで、強化界面相を設計する多くの試みが見られる。例えば、US20080213498A1(Drzalら、Michigan State University,2008)は、3wt%までの黒鉛ナノプレートレットで炭素繊維を首尾よく被覆することができ、層間剪断強度(ILSS)によって測定される接着力の約40%の向上、およびそれに相応して、複合材料の曲げ強度の約35%の増加を示した。破壊靭性は考察されなかったが、剛性および脆性(非強靭化)界面相に関して有意な低下が生じ、したがって低い破壊靭性が観測されると予想された。他の炭素質ナノ材料、例えば、カーボンナノチューブも、電気泳動または化学蒸着(CVD)または当業者に既知の類似方法によって、繊維表面に直接的に導入された。例えば、Bekyarovaら(Langmuir 23,3970,2007)は、カーボンナノチューブ被覆炭素繊維織物を使用して強化界面相を導入した。ILSSによって測定される接着力は増加したが、引張強度は同じままであった。破壊靭性データは提供されなかった。WO2007130979A2(Kruckenbergら、Rohr,Inc.およびGoodrich Corporation,2007)は、そのような炭素質材料等を有する炭素繊維を特許請求している。WO2010096543A2(Kissounkoら、University of Delaware/Arkema Inc.,2010)は下記のことを示した:ガラス繊維を、2つのシランカップリング剤の組合せおよびヒドロキシル官能化ゴム状ポリマーまたはブロックコポリマーの溶液混合物中でサイズ処理した場合に、シングルファイバー/マトリックス複合材料系のミクロ液滴試験によって測定される接着力(界面剪断応力またはIFSS)は増加しなかったが、靭性(破壊靭性に対するものとしての応力/歪曲線下面積、亀裂成長抵抗性の測度)は有意に増加した。これは、得られた界面相が応力を伝達するのに充分に硬くないが、この強靭化界面相はエネルギーを吸収しうることを示している。一方、シリカナノ粒子をゴム状ポリマーの代わりに使用した場合、界面相の剛性が回復すると共にIFSSの有意な増加が観測されたが、靭性は減少した。結果として、有機および無機成分を含むサイジング組成物が、接着力および靭性の同時増加を達成するために提示された。特に、シングルファイバー/マトリックス複合材料の観測特性を確認するための、破壊靭性および引張および引張関連特性に関する複合材料データが示されなかった。さらに、硬化複合材料におけるポリマーの形態は硬化条件およびポリマーの量に依存しうるので、サイジング配合物中のゴム状ポリマー成分は、一貫した複合材料を与えない場合がある。Leonardら(Journal of Adhesion Science and Technology 23,2031,2009)は粒子被覆法を提示し、該方法において、アミン反応性コア−シェル粒子を水に分散させ、ガラス繊維をその溶液に浸漬させている。繊維切断試験によって測定された接着力は、繊維を従来のアミノシラン系で処理した系と比較して、シングル/ならびにバンドルファイバー/ポリビニルブチラール(PVB)複合物において増加を示した。シングル・トウ・ファイバー/PVB複合材料は、引張強度および靭性の増加も示した。しかし、破壊靭性は測定されなかった。
【0010】
前記の全てのサイジング適用、および現在までの他の既知の適用は、サイジング配合物を繊維表面に組み込むための湿式化学処理(即ち、溶媒を含む)または乾式化学処理(例えば、CVD、粉末被覆)における直接的方法を含む。そのような方法は、サイジング組成物に依存してある程度の複雑な要素を一般に有するが、均一被覆を与えない場合があり、より重大なことに、生じる被覆層が、通常より厚いので、含浸工程(該工程において、樹脂マトリックスが乾燥繊維の層に染み込む)の間の繊維取扱(即ち、繊維延展)ならびに貯蔵所でのそれらの保管を困難にし、即ち、それらの貯蔵寿命を短くする可能性がある。さらに、繊維取扱および貯蔵寿命の問題は、必要とされる界面厚さが増すと共により深刻になる。より重大なことに、現在まで、強化界面相が一般に考えられ求められてきたが、その形成は従来の方法では極めて困難であることが分かっており、したがって、複合物材料におけるこの界面相の有効性が理解されず、多くの場合、見過ごされるかまたは無視されてきた。
【0011】
同様の問題は接着剤接合継手にも見られ、強化界面相を形成するための研究が強く求められている。例えば、Ramrusら(Colloids Surfaces A 273,84,2006およびJournal of Adhesion Science and Technology 20,1615,2006)は、下記のことを示した:接着促進/減少シランパターン化アルミニウム表面/PVB系におけるスティック−スリップ亀裂成長は、界面応力集中を解放し、それによって接着促進シランだけで被覆された非パターン化表面と比較して接着を有意に向上させるための重要なメカニズムである。残念ながら、エポキシを代わりに使用した場合、その脆性により、接合強度が、接着破壊の上部のエポキシの弱い凝集破壊から生じるので、パターン化の場合の接着が向上しなかった。強靭化界面相設計の他の例は、Dodiukらによってなされ、超分岐(HB)およびデンドリマーポリアミドアミン(PAMAM)ポリマーが導入された(Composite Interfaces 11,453,2004およびJournal of Adhesion Science and Technology 18,301,2004)。この界面材料組成物は、アルミニウム、マグネシウムおよびプラスチック(PEI Utem 1000)表面に適用された場合に、エポキシまたはポリウレタンへの接合強度の実質的増加を可能にした。しかし、PAMAMの量が1wt%より多い場合、可塑化によって接着力が減少した。特に、該材料は極めて高価であった。他の例は、Liuらによって示され、Boegel(登録商標)(The Boeing Companyによって開発された特許のシラン架橋ジルコニウムゲルネットワーク)を、エポキシ系との接合のためにアルミニウム表面に適用している(Journal of Adhesion 82,487,2006およびJournal of Adhesion Science and Technology 20,277,2006)。脆性ゲルネットワーク(界面相)における凝集破壊が観察されたので、予期された接着力の向上は得られなかった。US20080251203A1(Lutzら、Dow Chemical,2008)およびEP2135909(Malone,Hankel Corp.,2009)は、ゴム状材料、例えばコア−シェルゴム状粒子を使用して、接着性被覆配合物を配合した。接着力が向上し、凝集破壊が時折観察されたが、多量のゴム状材料が存在し、接着剤層全体に分散されたので、接着剤の強度および弾性率が充分でなく、接合強度が接着剤強度に影響され、したがって最適でなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
ある実施形態は、強化繊維および接着性組成物を含む繊維強化ポリマー組成物に関し、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤および界面材料を少なくとも含み、強化繊維は、接着性組成物の硬化時に、強化繊維と接着性組成物との間の界面領域において界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有する。接着性組成物は、移行剤、強靭化剤、充填剤および層間強靭化剤をさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態は、被着体および接着性組成物を含む構造物に関し、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、界面材料および移行剤を少なくとも含み、被着体は、接着性組成物の硬化時に、被着体と樹脂組成物との間の界面領域において界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有し、界面領域は、界面材料の少なくとも1つの層を含み、層は、バルク接着性組成物より高い濃度の界面材料を含む。接着性組成物の硬化時の界面材料は、被着体の表面から100マイクロメートル(100μm)の半径方向距離の界面領域に実質的に集中しうる。被着体は、強化繊維、炭素質基材、金属基材、金属合金基材、被覆金属基材、アロイ基材、木材基材、酸化物基材、プラスチック基材、複合物基材またはそれらの組合せを含む。
【0015】
ある実施形態は、強化繊維および接着性組成物を含む繊維強化ポリマー組成物に関し、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、移行剤および界面材料を少なくとも含み、強化繊維は、繊維強化ポリマー組成物の硬化時に、強化繊維と接着性組成物との間の界面領域において界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有し、界面領域は、界面材料の少なくとも1つの層を含み、界面材料は、バルク接着性組成物より界面領域においてより多く集中する。繊維強化ポリマーの硬化時の界面材料は、繊維表面から1繊維半径の距離の半径方向領域に実質的に存在しうる。界面材料は、下記を含む:ポリマー、直鎖ポリマー、分岐ポリマー、超分岐ポリマー、デンドリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、無機材料、金属、酸化物、炭素質材料、有機−無機ハイブリッド材料、ポリマーグラフト無機材料、有機官能化無機材料、それらの組合せ。界面材料の量は、熱硬化性樹脂100重量部当たり0.5〜25重量部でありうる。移行剤は、ポリマー、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、下記を含む:ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビニルアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリーレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、それらの誘導体、またはそれらの組合せ。移行剤の量は、熱硬化性樹脂100重量部当たり1〜30重量部でありうる。移行剤/界面材料の比率は、0.1〜30でありうる。
【0016】
他の実施形態は、繊維強化ポリマー組成物を含むプリプレグに関し、繊維強化ポリマー組成物は、強化繊維および接着性組成物を含み、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、移行剤および界面材料を少なくとも含み、強化繊維は、繊維強化ポリマー組成物の硬化時に、強化繊維と接着性組成物との間の界面領域において界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有し、界面領域は、界面材料の少なくとも1つの層を含み、界面材料は、バルク接着性組成物より界面領域においてより多く集中する。
【0017】
他の実施形態は、繊維強化ポリマー組成物から複合材料を製造することを含む製造法に関し、繊維強化ポリマー組成物は、強化繊維および接着性組成物を含み、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、移行剤および界面材料を少なくとも含み、強化繊維は、繊維強化ポリマー組成物の硬化時に、強化繊維と接着性組成物との間の界面領域において界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有し、界面領域は、界面材料の少なくとも1つの層を含み、界面材料は、バルク接着性組成物より界面領域においてより多く集中する。
【0018】
他の実施形態は、被着体および接着性組成物を含む接着剤接合継手構造物に関し、被着体は、強化繊維、炭素質基材、金属基材、金属合金基材、被覆金属基材、アロイ、木材、酸化物基材、プラスチック基材またはこれらを組み合わせた基材を含み、硬化時に接着性組成物の1つ以上の成分が、被着体の遠くより近くにおいて、より多く集中する。
【0019】
他の実施形態は、接着性組成物を、2つ以上の異種被着体の1つの表面に適用し、接着性組成物を硬化させて、被着体間に接着結合を形成する方法に関し、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤、移行剤および界面材料を少なくとも含み、被着体は、強化繊維、炭素質基材、金属基材、金属合金基材、被覆金属基材、アロイ、木材、酸化物基材、プラスチック基材またはこれらを組み合わせた基材を含み、界面材料は、被着体の遠くより近くにおいて、より多く集中する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、接合構造物の90°断面模式図を示す。不溶性または部分可溶性の界面材料が、被着体の近くに集中している。界面領域または界面相は、被着体表面から破線までにほぼ境界づけられ、破線において、界面材料の濃度はバルク接着性樹脂組成物より実質的に高くない。界面材料の1つの層も示されている。
図2図2は、硬化接合構造物の0°断面模式図を示す。不溶性または部分可溶性の界面材料が、(硬化)接着剤によって、被着体の表面に集中している。この図は、良好な粒子移動の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
熱硬化性樹脂および硬化剤/任意促進剤
ある実施形態は、被着体および接着性組成物を少なくとも含む構造物に関し、接着性組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤および界面材料を少なくとも含み、被着体は、被着体と接着性組成物との間の界面領域において界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有し、界面領域は、界面材料の少なくとも1つの層を含む。接着性組成物は、促進剤、移行剤、強靭化剤、充填剤および層間強靭化剤をさらに含むことができる。
【0022】
熱硬化性樹脂は、外部エネルギー、例えば、熱、光、電磁波、例えばマイクロ波、UV、電子線、または3次元架橋網状構造を形成する他の好適な方法によって、硬化剤で硬化させることができる任意の樹脂として定義される。硬化剤は、樹脂と反応する活性基を少なくとも有する任意の化合物として定義される。硬化促進剤は、樹脂と硬化剤との架橋反応を促進するために使用することができる。
【0023】
熱硬化性樹脂は下記から選択されるが、それらに限定されない:エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾキサジン樹脂、ポリウレタン、およびそれらの混合物。
【0024】
前記の熱硬化性樹脂の中で、二官能化以上のエポキシ樹脂を包含するエポキシ樹脂を使用しうる。これらのエポキシは、下記のような前駆物質から製造される:アミン(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノールおよびトリグリシジルアミノクレゾールおよびそれらの異性体)、フェノール(例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノール−ノボラックエポキシ樹脂、クレゾール−ノボラックエポキシ樹脂、およびレソルシノールエポキシ樹脂)、および炭素−炭素二重結合を有する化合物(例えば、脂環式エポキシ樹脂)。エポキシ樹脂は前記の例に限定されないことに留意すべきである。これらのエポキシ樹脂をハロゲン化することによって製造されるハロゲン化エポキシ樹脂も使用することができる。さらに、2つ以上のこれらのエポキシ樹脂の混合物、およびモノエポキシ化合物、例えばグリシジルアニリンを、熱硬化性樹脂マトリックスの配合物に使用することができる。
【0025】
エポキシ樹脂用の好適な硬化剤の例は、下記を包含するが、それらに限定されない:ポリアミド、ジシアンジアミド、アミドアミン、芳香族ジアミン(例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン)、アミノベンゾエート(例えば、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートおよびネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエート)、脂肪族アミン(例えば、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン)、脂環式アミン(例えば、イソホロンジアミン)、イミダゾール誘導体、テトラメチルグアニジン、カルボン酸無水物(例えば、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)、カルボン酸ヒドラジド(例えば、アジピン酸ヒドラジド)、フェノール−ノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ポリスルフィドおよびメルカプタン、ならびにルイス酸および塩基(例えば、ボロントリフルオリドエチルアミン、トリス−(ジエチルアミノメチル)フェノール)。
【0026】
繊維強化エポキシ複合材料のような硬化接合構造物の所望特性に依存して、好適な硬化剤が前記に列挙したものから選択される。例えば、ジシアンジアミドが使用された場合、それは、良好な高温特性、良好な耐化学薬品性、および引張強度と剥離強度との良好な組合せを製品に与える。一方、芳香族ジアミンは、中程度の耐熱および化学薬品性、ならびに高弾性率を与える。アミノベンゾエートは、優れた引張伸びを与えるが、芳香族ジアミンと比較して劣った耐熱性を有する。酸無水物は、樹脂マトリックスに、低粘性および優れた加工性、次には、硬化後の高耐熱性を与える。フェノール−ノボラック樹脂またはクレゾール−ノボラック樹脂は、優れた耐加水分解性を有するエーテル結合の形成により、耐湿性を与える。特に、2つ以上の芳香環を有する硬化剤、例えば4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)は、高耐熱性、耐化学薬品性および高弾性率を与え、エポキシ樹脂用の硬化剤となりうる。
【0027】
エポキシ樹脂用の好適な促進剤/硬化剤の組合せの例は、下記の組合せである:DDSのような芳香族アミン用の、ボロントリフルオリドピペリジン、p−t−ブチルカテコール、またはスルホネート化合物;ジシアンジアミド用の、尿素またはイミダゾール誘導体;およびカルボン酸無水物またはポリフェノール化合物用の、第三級アミンまたはイミダゾール誘導体。尿素誘導体が使用される場合、尿素誘導体は、第二級アミンとイソシアネートとの反応によって得られる化合物であってよい。そのような促進剤は、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)および2,4−トルエン−ビス−ジメチルウレアの群から選択される。それは比較的低い温度で硬化するが、硬化材料の高耐熱性および耐水性が得られる。
【0028】
強靭化剤および充填剤
本発明の接着性組成物に加えてポリマーおよび/または無機強靭化剤を使用して、樹脂の破壊靭性をさらに強化することができる。強靭化剤は、硬化接合構造物に均一に分散されうる。粒子は、直径5ミクロン未満、またはさらには1ミクロン未満でありうる。最も短い粒子直径は、300nm未満でありうる。そのような強靭化剤は、下記を包含するが、それらに限定されない:分岐ポリマー、超分岐ポリマー、デンドリマー、ブロックコポリマー、コア−シェルゴム粒子、コア−シェル(デンドリマー)粒子、硬質コア−軟質シェル粒子、軟質コア−硬質シェル粒子、酸化物、または表面改質を有するかまたは有さない無機材料、例えば、クレー、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、炭素質材料(例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン)、セラミックおよびシリコンカーバイド。
【0029】
所望であれば、特に接着剤接合継手に関して、充填剤、流動性調節剤および/または顔料が、接着性組成物に存在しうる。これらは、下記のようないくつかの機能を果たすことができる:(1)接着剤の流動性を所望されるように調節し、(2)単位重量当たりの総原価を減少させ、(3)接着剤またはそれが適用された基材から、湿分または油を吸収し、かつ/または(4)接着剤と被着体との間の界面における接着破壊ではなく、(硬化)接着剤における凝集破壊を促進する。これらの材料の例は、下記を包含する:炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、コールタール、カーボンブラック、紡織繊維、ガラス粒子または繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、珪酸塩鉱物、雲母、粉末石英、水和酸化アルミニウム、ベントナイト、ウォラストナイト、カオリン、ヒュームドシリカ、シリカエーロゲルまたは金属粉末、例えば、アルミニウム粉末または鉄粉末。これらの中で、炭酸カルシウム、タルク、酸化カルシウム、ヒュームドシリカおよびウォラストナイトは、所望の凝集破壊モードを促進することが多いので、単独で、またはいくつかの組合せで使用しうる。
【0030】
移行剤および界面材料
本発明の接着性組成物中の移行剤は、接着性組成物の硬化時に、接着性組成物中の1つ以上の成分を、被着体と接着性組成物との間の界面領域により多く集中させる任意の材料である。この現象は、以下に、被着体の近くへの界面材料の移行過程と呼び、これは以下に粒子移動と呼ぶ。被着体の遠くより近くにおいてより多く集中するのが見出されるか、または被着体の表面から硬化接着性組成物への規定距離までの間の界面領域または界面相に存在する、任意の材料が、本発明の接着性組成物における界面材料を構成する。接着性組成物の硬化時に、1つの界面材料が、第二界面材料を被着体の遠くより近くにおいてより高い濃度を有するようにできる場合、その界面材料は他の界面材料の移行剤としての役割を果たしうることに留意すべきである。
【0031】
接着性組成物に存在する移行剤は、熱可塑性ポリマーでありうる。一般に、熱可塑性添加剤は、加工のために熱硬化性樹脂の粘度を調節し、かつ/またはその靭性を強化するために選択されるが、接着性組成物における界面材料の分散にある程度影響を及ぼしうる。熱可塑性添加剤は、存在する場合に、熱硬化性樹脂100重量部当たり50重量部(50phr)までか、または35phrまでの任意の量で、加工を容易にするために使用しうる。
【0032】
下記のような熱可塑性材料を使用しうるが、それらに限定されない:ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリーレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、それらの誘導体およびそれらの混合物。
【0033】
樹脂の高耐熱性および高弾性率を低下させない芳香族熱可塑性添加剤を使用しうる。選択される熱可塑性添加剤は、樹脂にかなり可溶性であって、均質混合物を形成しうる。熱可塑性添加剤は、下記から成る群からの芳香族骨格を有する化合物でありうる:ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルホルマール、それらの誘導体、同等または類似物、およびそれらの混合物。
【0034】
本発明の接着性組成物中の界面材料は、被着体表面の化学的物質とともに移行剤とも適合性でないと考えられる材料または材料の混合物であり、したがって、両方がある比率で接着性組成物に存在する場合、被着体と接着性組成物との間の界面領域に集中して留まりうる。適合性とは、化学的に類似の分子、または化学的に同等の分子、または化学構造が類似原子または構造を含んでいる分子、または互いに類似し、互いの近くで快適であり、互いに化学的に相互作用する可能性のある分子に関する。適合性は、1つの成分の、他の成分への溶解性および/または反応性を意味する。「適合性でない/不適合性」または「合わない」とは、移行剤が、接着性組成物中にある特定量で存在する場合、硬化後に接着性組成物に均一に分散されたであろう界面材料を、ある程度、均一分散させないようにする現象に関する。接着性組成物の粘度が充分に低い場合、被着体表面への粒子移動を促進するために、接着性組成物における界面材料の均一分散が必要でないこともある。接着性組成物の粘度がある程度増加した場合、接着性組成物における界面材料の均一分散が、被着体表面への粒子移動を向上させるのを補助しうる。
【0035】
界面材料は、直鎖ポリマー、分岐ポリマー、超分岐ポリマー、デンドリマー、コポリマーまたはブロックコポリマーから選択されるが、それらに限定されないポリマーを含みうる。予備形成ポリマー粒子(例えば、コア−シェル粒子、軟質コア−硬質シェル粒子、硬質コア−軟質シェル粒子)、ポリマーグラフト無機材料(例えば、金属、酸化物、炭素質材料)、および有機官能化無機材料を含むそのようなポリマーの誘導体も使用しうる。界面材料は、硬化後の接着性組成物において不溶性または部分可溶性である。接着性組成物中の界面材料は、35phrまで、または約1〜約25phrでありうる。
【0036】
他の実施形態において、繊維強化ポリマー組成物は、強靭化剤、または移行剤と不適合性の1つ以上の成分を含有する強靭化剤混合物でありうる。そのような強靭化剤は、下記を包含するが、それらに限定されない:エラストマー、分岐ポリマー、超分岐ポリマー、デンドリマー、ゴム状ポリマー、ゴム状コポリマー、ブロックコポリマー、コア−シェル粒子、酸化物、または無機材料、例えば、クレー、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、炭素質材料(例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン)、セラミックおよびシリコンカーバイド(それらは表面改質を有するかまたは有さない)。US6894113(Courtら、Atofina,2005)に組成が記載されているブロックコポリマーの例は、「Nanostrength(登録商標)」SBM(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメタクリレート)、およびMBM(ポリメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメタクリレート)を包含し、両方ともArkemaによって製造されている。他のブロックコポリマーは、Fortegra(登録商標)および両親媒性ブロックコポリマー(ダウケミカル社によるUS7820760B2に記載されている)を包含する。既知のコア−シェル粒子の例は、下記の粒子である:コア−シェル(デンドリマー)粒子[その組成はUS20100280151A1(Nguyenら、東レ株式会社,2010)に記載されており、不飽和炭素−炭素結合を有する重合性モノマーから重合されたコアポリマーに、アミン分岐ポリマーがシェルとしてグラフトされている];コア−シェルゴム状粒子[その組成は株式会社カネカによるEP1632533A1およびEP2123711A1に記載されている]、およびそのような粒子/エポキシブレンドの「カネエース MX」製品系列であって、その粒子は、重合性モノマー、例えば、ブタジエン、スチレン、他の不飽和炭素−炭素結合モノマーまたはそれらの組合せから重合されたポリマーコア、およびエポキシと適合性のポリマーシェル、一般に、ポリメチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリロニトリルまたは同等物および類似物を有する。JSR株式会社によって製造されているカルボキシル化ポリスチレン/ポリジビニルベンゼンの「JSR SX」シリーズ。「クレハ Paraloid」EXL−2655(株式会社クレハによって製造)であって、これはブタジエンアルキルメタクリレートスチレンコポリマーであり;「Stafiloid」AC−3355およびTR−2122(両方とも武田薬品工業株式会社によって製造)であって、それぞれアクリレートメタクリレートコポリマーであり;「PARALOID」EXL−2611およびEXL−3387(両方ともロームアンドハース社によって製造)であって、それぞれ、ブチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマーである。既知の酸化物粒子の例は、ナノレジン社によって製造されているNanopox(登録商標)を包含する。これは、官能化ナノシリカ粒子とエポキシとのマスターブレンドである。
【0037】
界面材料として使用される強靭化剤は、下記のようなゴム状材料でありうる:株式会社カネカによるカネエース MX製品系列に見出すことができるコア−シェル粒子(例えば、MX416、MX125、MX156);または、カネエース MX材料に類似したシェル組成または表面化学を有する材料;または、被着体の表面化学に適合性の表面化学(これは、材料が被着体の近くに移動し、バルク接着性組成物より高い濃度を有することを可能にする)を有する材料。これらのコア−シェル粒子は、一般に、25%の典型的添加量においてエポキシベース材料に充分に分散され、被着体への高性能接合用の接着性組成物にすぐに使用できる。
【0038】
移行剤および界面材料の両方が接着性組成物に存在する場合、移行剤/界面材料の比率は約0.1〜約30、または約0.1〜約20でありうる。
【0039】
層間強靭化剤
特に繊維強化ポリマー複合材料について、他の実施形態は、複合材料の損傷許容性および耐性を最大にするために、本発明の強靭化剤を他の層間強靭化材料と共に使用している。この場合の実施態様において、材料は、熱可塑性樹脂、エラストマー、またはエラストマーと熱可塑性樹脂との組合せ、またはエラストマーと無機物質、例えばガラスとの組合せでありうる。層間強靭化剤の大きさは、硬化後にそれらを層間に保持するために、100μm以下、または10〜50μmでありうる。そのような粒子は、約30wt%まで、または約15wt%までの量(複合組成物中の全樹脂含有量に基づく)で一般に使用される。
【0040】
熱可塑性材料の例は、ポリアミドを包含する。既知のポリアミド粒子は、東レ株式会社によって製造されているSP−500、アトケム社によって製造されている「Orgasole」、およびエムス社によって製造されているGrilamid TR−55、ナイロン−6、ナイロン−12、ナイロン6/12、ナイロン6/6、およびエボニック社によるTrogamid CXを包含する。
【0041】
他の実施形態は、繊維織物、マット、リフォームから成る繊維層の外側に、移行剤を集中させることに関し、繊維層は次に接着性組成物によって浸潤される。この配置は、移行剤を、衝撃および損傷抵抗性のための層間強靭化剤にすることを可能にし、同時に、界面材料を層間から層内に移動させ、繊維表面に集中することを可能にする。50μm未満の大きさを有する熱可塑性粒子を使用しうる。熱可塑性材料の例は、下記を包含するが、それらに限定されない:ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルホルマール、それらの誘導体、同等物または類似物、およびそれらの混合物。
【0042】
被着体
使用される被着体は、大きさ、形および多孔度に関係なく、固形体である。それらは下記のものでありうるが、それらに限定されない:強化繊維、炭素質基材(例えば、カーボンナノチューブ、炭素粒子、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブファイバー)、金属基材(例えば、アルミニウム、鋼、チタン、マグネシウム、リチウムニッケル、黄銅、およびそれらの合金)、被覆金属基材、木材基材、酸化物基材(例えば、ガラス、アルミナ、チタニア)、プラスチック基材(成形熱可塑性材料、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフェニルスルフィド、または成形熱硬化性材料、例えば、エポキシ、ポリウレタン)、または複合基材(即ち、充填剤強化ポリマー複合材料であって、充填剤は、シリカ、繊維、クレー、金属、酸化物、炭素質材料であり、ポリマーは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である)。
【0043】
被着体は、その接合能力を強化するために表面化学が変更または改質される方法によって、本発明の接着性組成物との接合用に調製される。表面の表面化学は、一般に、表面エネルギーによってアクセスされる。一般に、表面エネルギーは、2つの主成分、分散性(非極性、LW)成分および酸/塩基(極性、AB)成分の合計である。表面エネルギーの簡単な説明は、Sun and Bergの刊行物(Advances in Colloid and Interface Science 105(2003)151−175)、およびJournal of Chromatography A,969(2002)59−72)に見出すことができ、下記のパラグラフに示す。
【0044】
固体の表面自由エネルギーは、広範囲の状況および用途における重要な特性である。それは、粉砕(切断、圧縮、磨砕等)によって、または核生成および成長による溶液または気体混合物からの凝固によって、固体粒子を形成する際に重要な役割を果たす。それは、液体によるそれらの湿潤性および被覆性、ならびに液体における微粒子としてのそれらの分散性を支配する。それは、それらの焼結性および接着剤とそれらとの相互作用において重要である。それは、隣接流体相から化学種を吸着するそれらの傾向を制御し、それらの触媒活性に影響を及ぼす。
【0045】
さらに、表面は、接合強度をさらに強化するために粗面にされる。この粗面化法は、多くの場合、表面の酸素官能基も増加させる。そのような方法の例は、金属および合金基材についての陽極酸化、プラスチック表面についてのコロナ放電、炭素繊維および他の繊維についてのプラズマ、UV処理、プラズマ支援マイクロ波処理および湿式化学−電気酸化を包含する。さらに、処理または改質された表面を、有機材料または有機/無機材料、例えば、シランカップリング剤、またはシラン網状構造、または樹脂マトリックスに適合性および/または化学的反応性のポリマー組成物でグラフトして、接合強度または中間生成物の加工容易性またはその両方を向上させうる。そのような処理は、表面に酸性または塩基性の性質を与え、表面が接着性組成物から界面材料を誘引することを可能し、界面材料は、移行剤が存在する接着性組成物中に存在するより、表面の近くに、より適合的に留まるので、硬化の間に界面材料を表面の近くに集中させる。そのような場合、被着体は、被着体と接着性組成物との間の界面領域に界面材料を集中させるのに好適な表面エネルギーを有すると言われる。
【0046】
表面の酸性または塩基性の特性は、下記のような現在使用可能ないずれかの方法によって決定しうる:酸塩基滴定、赤外(IR)分光法、逆ガスクロマトグラフィー(IGC)、およびX線光電子顕微鏡検査法(XPS)、または類似法および同等法。IGCは、固体表面の間で酸/塩基特性を評価するために使用することができ、これはSun and Bergの刊行物に記載されている。概要を下記のパラグラフに記載する。
【0047】
既知液体プローブの蒸気を、未知表面エネルギーの固体材料を装填した試験管に入れ、表面と相互作用させる。気体が試験を移動する時間に基づいて、吸着の自由エネルギーを測定することができる。したがって、表面エネルギーの分散成分は、一連のアルカンプローブから決定することができ、表面エネルギーの酸/塩基成分の相対値は、2〜5酸/塩基プローブを使用して、各表面の酸/塩基定数の比率を比較することによって、検査表面間で評価することができる。
【0048】
特定の酸塩基特性および表面エネルギーを有する被着体、移行剤および界面材料の組合せの適切な選択は、所望の強化界面相を形成するために必要とされうる。
【0049】
一実施形態において、被着体は強化繊維である。使用される繊維は、任意の下記の繊維およびそれらの組合せであることができるが、それらに限定されない:炭素繊維、有機繊維、例えばアラミド繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維(例えば、アルミナ繊維)、ホウ素繊維、炭化タングステン繊維、ガラス繊維、および天然/バイオ繊維。これらの繊維の中で、炭素繊維、特に黒鉛繊維を使用しうる。2000MPa以上の強度、0.5%以上の伸び率、および200GPa以上の弾性率を有する炭素繊維を使用しうる。
【0050】
使用される強化繊維の形態および位置は、特に限定されない。繊維の任意の形態および空間配置、例えば、一方向長繊維、ランダム配向短繊維、シングルトウ、細トウ、織物、マット、編物、および組紐を使用することができる。特に高い比強度および比弾性率が要求される用途に関しては、強化繊維が一方向に配置された複合物構造を使用しうるが、容易に取り扱うことができる布(織物)構造物を使用してもよい。
【0051】
接合構造物の製造法
任意の慣用的な現在既知の方法によって、接着性組成物を前記の被着体に適用することができる。接着剤接合継手の場合、所望であれば、冷間適用または温間適用することができる。例えば、接着性組成物は、機械的適用法、例えばコーキングガン、または任意の他の手動適用手段を使用して適用することができ;当業者に周知の装置、例えば、ポンプ、制御システム、供給ガンアセンブリ、遠隔供給装置および塗布ガンを使用する渦巻法を使用して適用することができ;流動法を使用して適用することもできる。一般に、接着性組成物は、一方または両方の基材に適用される。接合される基材の間に接着剤が存在するように、基材を接触させる。
【0052】
適用後、構造用接着剤を、硬化剤が接着性組成物の硬化を開始させる温度に加熱することによって硬化させる。一般に、この温度は、約80℃以上、または約100℃以上である。その温度は、約220℃以下、または約180℃以下でありうる。一段硬化サイクルまたは多段硬化サイクル(各段階がある特定温度である時間にわたって行なわれる)を使用して、約220℃またはさらには180℃以下の硬化温度に達しうる。熱以外のエネルギー源、例えば、電子線、伝導法、電子オーブンまたはプラズマ支援電子オーブンを使用する他の硬化法も適用しうることに留意すべきである。
【0053】
繊維強化ポリマー複合材料について、一実施形態は、繊維と樹脂マトリックスとを組み合わして、硬化性繊維強化ポリマー組成物またはプリプレグを製造し、次に、硬化して、複合材料を製造する方法に関する。メチルエチルケトンまたはメタノールのような溶媒に溶解させた樹脂マトリックスの浴に繊維を浸し、浴から引き上げて溶媒を除去する湿式法を使用することができる。
【0054】
他の方法はホットメルト法であり、該方法において、エポキシ樹脂組成物を加熱してその粘度を減少させ、強化繊維に直接的に適用して、樹脂含浸プリプレグを得るか、または、他の方法として、エポキシ樹脂組成物を離型紙に塗布して、薄膜を得る。薄膜を、熱および圧力によって、強化繊維シートの両面に固定させる。
【0055】
プリプレグから複合材料品を製造するために、例えば、1つ以上の層をツール表面またはマンドレルに適用する。この方法は、テープラッピングと呼ばれることが多い。層を積層するには熱と圧力が必要である。ツールは、折りたたみ可能であるか、または硬化後に除去される。硬化法、例えば、オートクレーブ、および真空ラインを取り付けたオーブン中の真空バッグを使用しうる。一段硬化サイクルまたは多段硬化サイクル(各段階がある特定温度である時間にわたって行なわれる)を使用して、約220℃またはさらには180℃以下の硬化温度に達しうる。しかし、他の好適な方法、例えば、伝導加熱、マイクロ波加熱、電子線加熱、および類似のまたは同等の方法も使用することができる。オートクレーブ法においては、圧力を加えて層を圧縮し、真空バッグ法は、部品をオーブンで硬化させる際にバッグに導入される真空圧に頼る。オートクレーブ法は、高品質複合材料部品に使用しうる。
【0056】
プリプレグを形成せずに、所望の部品の形状のためにツールまたはマンドレルに順応させた強化繊維に、接着性組成物を直接的に適用し、熱で硬化させうる。該方法は、フィラメント巻き、引抜成形、樹脂射出成形および樹脂トランスファー成形/樹脂注入を包含するが、それらに限定されない。樹脂トランスファー成形、樹脂注入、樹脂射出成形、真空支援樹脂トランスファー成形、または同等のもしくは類似の方法を使用しうる。
【0057】
硬化接合構造物における強化界面相および接合強度の調査
機械的試験において、接合構造物を破断点まで負荷する。破壊の性質(接着破壊、凝集破壊、基材破壊またはこれらの組合せ)は、接合の質および何らかの潜在的製造エラーについての情報を与える。接着剤接合継手について、接合強度は、重ね剪断試験、剥離試験またはくさび試験から測定することができる。繊維強化ポリマー複合材料については、短梁剪断試験または三点曲げ(屈曲)試験が、繊維と接着剤との接着レベルを記録するための一般的な試験である。前記の試験は一般的なものであることに留意すべきである。関心対象の系および幾何学に依存して、それらの試験の改変形、または接着を記録するための他の適用可能な試験を使用しうる。
【0058】
接着破壊は、被着体と接着性組成物との間の界面における破壊損傷を指し、被着体表面を暴露させ、表面に接着剤がほとんどまたは全く見出されない。凝集破壊は、接着性組成物において生じる破壊損傷を指し、被着体の表面は接着性組成物で大部分が被覆されている。被着体における凝集破壊も生じうるが、本発明の実施形態においては言及されないことに留意すべきである。被覆率は、約50%以上、または約70%以上でありうる。特に繊維強化ポリマー複合材料の場合、表面被覆率の定量的記録は必要とされないことに留意すべきである。混合モード破壊は、接着破壊と凝集破壊との組合せを指す。接着破壊は弱い接着を指し、凝集破壊は強い接着であり、混合モード破壊はその中間の接着を生じる。
【0059】
目視検査のために、高倍率光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM)を使用して、破壊モードおよび界面材料の位置/分布を記録しうる。接合構造物の破壊後に、界面材料が、接着性組成物と共に被着体の表面に見出されうる。その場合、混合モード破壊、または接着性組成物の凝集破壊の可能性がある。良好な粒子移動は、被着体表面における粒子の約50%以上の被覆率を指し、無粒子移動は、約5%未満の被覆率を指し、若干の粒子移動は約5〜50%を指す。
【0060】
全厚さにおける界面材料の存在を検査し位置決めするいくつかの方法が当業者に既知である。一例は、被着体の主方向に対して90°、45°または関心が持たれる他の角度で接合構造物を切って、断面を得る方法である。繊維強化ポリマー複合材料について、主方向は繊維方向でありうる。他の接合構造物について、任意の方向を主方向とみなすことができる。切った断面を、機械的に、またはアルゴンのようなイオンビームで磨き、任意の高倍率光学顕微鏡または電子顕微鏡下に検査する。SEMは1つの可能な方法である。下記のことに留意すべきである:SEMが界面相を観測できない場合、他の使用可能な最新の器具を使用して、他の電子走査法、例えばTEM、化学分析(例えば、X線光電子分光法(XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)、赤外(IR)分光法、ラマン、それらの同等法または類似法)または機械的特性(例えば、ナノインデンテーション、原子間力顕微鏡検査法(AFM)、それらの同等法または類似法)によって、界面相の存在およびその厚さを記録しうる。
【0061】
界面材料が集中している界面領域または界面相を観測し、記録しうる。界面相は一般に、被着体表面から、周囲樹脂リッチ領域と比較して界面材料が集中していないある一定距離までであった。2つの被着体の間に見出される硬化接着剤の量または接着剤層厚さに依存して、界面相は、100マイクロメートルまで伸長でき、1種類以上の界面材料の1つ以上の層を含みうる。
【0062】
繊維強化ポリマー複合材料について、接着剤層厚さは、繊維体積に依存する。繊維体積は、20〜85%、30〜70%、または45〜65%でありうる。界面相厚さは、約1繊維直径までであることができ、1種類以上の界面材料の1つ以上の層を含みうる。厚さは、繊維直径の約1/2まででありうる。
【実施例】
【0063】
【表A】
【0064】
MX繊維は、T800S繊維と同様の紡糸法において、同様のPAN先駆物質を使用して作製された。しかし、より高い弾性率を得るために、2500℃の最大炭化温度が適用された。表面処理およびサイジング適用のために、同様の方法を使用した。
【0065】
実施例1〜2および比較例17〜18
実施例1〜2および比較例17〜18(比較例17〜18は対照である)は、界面材料CSR1が接着性組成物中に移行剤PES1と共に存在する場合の界面材料の作用、および粒子添加量の作用を示す。使用した繊維はT800S−10であった。
【0066】
組成物1〜2における適量のエポキシ、界面材料CSR1、移行剤PES1を、100℃で予熱したミキサーに装填した。装填後、混合物を撹拌しながら温度を160℃に上げ、1時間維持した。次に、混合物を70℃に冷却し、4,4−DDSを装填した。最終樹脂混合物を1時間撹拌し、次に、吐出し、いくらかを冷凍庫に保存した。
【0067】
いくらかの熱い混合物を、15000rpmで合計20分間回転する遊星形ミキサーで脱気し、厚さ0.25inのテフロンインサートの付いた金属鋳型に注入した。樹脂を、1.7℃/分の傾斜速度で180℃に加熱し、2時間保持して充分に硬化させ、最後に、室温に冷却した。樹脂プレートを、曲げ試験用のASTM D−790、破壊靭性試験用のASTM D−5045にしたがって試験するために調製した。硬化樹脂Tを、Alpha Technologies Model APA 2000計測器で、動的機械分析(DMA)によって測定した。
【0068】
プリプレグを作製するために、離型紙上でナイフコーターを使用して、熱い樹脂を先ず圧延してフィルムにした。フィルムを、熱および圧縮圧力によって、繊維層の両面に固定させた。約190g/mの炭素繊維面積重量、および約35%の樹脂含有量を有するUDプリプレグを得た。プリプレグをカットし、ASTM法に従った各種の機械的試験のために、表2に列挙されている配列でハンドレイアップした。試験片を、1.7℃/分の傾斜速度、および0.59MPaの圧力で、180℃において2時間オートクレーブで硬化させた。
【0069】
樹脂混合に関する手順を、組成物17〜18の対照に関して繰り返した。これらの場合、移行剤PES1だけか、または界面材料CSR1だけが、接着性組成物に存在した。プリプレグを組成物17に関して作製し、機械的試験を複合材料に関して行なった。しかし、組成物18の樹脂の低い粘性により、樹脂を離型紙に先ず圧延せずに繊維に樹脂を直接的に塗布することによって、プリプレグを作製して硬化させ、接着破壊モードだけを観測した。
【0070】
樹脂組成物18と17を比較すると、CSR1の存在が樹脂の破壊靭性KICを増加させたが、その曲げ弾性率は減少した。しかし、両方の場合に、破壊試料のSEM観測下に界面材料が繊維表面に見出されず、即ち、接着破壊が生じていた。これは、樹脂と繊維との弱い接着を示す。
【0071】
意外にも、CSR1およびPES1の両方が組成物1〜2に存在する場合、繊維方向に0度の破壊表面を検査したところ、相当量のCSR1材料および硬化樹脂が繊維表面に層を形成しているのが見出された。これは、樹脂における凝集破壊が生じたことを示している。90度断面は、CSR1粒子の量が2.5〜5phrに増加すると共に、CSR1材料が繊維の周りから、それぞれ約0.1〜約0.5μmの距離まで集中していることを示した。これらの場合の引張強度は、対照比較例17〜18と比較して、約10%増加し、GICは約1.5倍増加した。GICと引張強度の両方の同時増加は、他の従来系において現在まで見られていない。引張強度の向上は、多層界面相または強化界面相によって説明しうると考えられ、界面相において、従来の界面相に見られるような繊維上の樹脂およびサイジング剤によって形成された薄い内層がCSR1材料によるかなり厚い強靭化外層によって保護され、繊維切れ口における亀裂エネルギーをこの界面相内に散逸させることを可能にする。しかし、樹脂弾性率がこの軟質界面材料によって減少したので、圧縮強度が減少した。一方、ILSSは、樹脂弾性率減少と接着向上との反対効果により、予想通り変化しなかった。界面材料添加量の減少は、実施例1〜2に示されるように、圧縮特性の損失を最小限にし、ILSSをおそらく増加させると考えられる。
【0072】
実施例1、3および比較例17、19
これらの実施例において、PES1の添加量の作用を調査した。樹脂、プリプレグおよび複合材料の機械的試験を、実施例1〜2のように行なった。対照は、比較例17、19である。
【0073】
意外にも、良好な粒子移動が達成されたが、より多い量のPES1は室温におけるTS(Tensile Strength:引張強度)をわずかに向上させただけであり、GICは実質的に向上した。しかし、−75FにおけるTSの実質的増加が見出された。
【0074】
実施例4〜6および比較例20〜22(ただし、実施例5は参考例である。)
樹脂、プリプレグおよび複合材料の機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。対照は、比較例20〜22である。
【0075】
下記のことに留意すべきである:これらの実施例について、タイプ5サイジング仕上げを、異なる表面形態を有する3つの繊維T800G−51,MX−50およびM40J−50において使用したので(T800G−51およびMX−50は平滑表面および異なる表面処理を有し、T800G−51は塩基で処理され、他の2つは酸で処理されている)、おそらく各繊維の表面エネルギーは異なると考えられる。T800G−51およびMX−50系の両方について、良好な粒子移動が見出され、いくらの粒子移動(粒子移動がほとんどない〜全くない)がM40J−50系において見出された。少しの粒子移動がM40J−50系に見出されたので、両TSの向上が見出されなかったが、他の場合についてはTSの良好な向上が観測された。この事例は、強化界面相の形成における表面エネルギーの重要性を意味し、これが次にTSに影響を及ぼす。M40J−50の表面エネルギーがMX−50の表面エネルギーと同様に改質されていたら、良好な粒子移動が生じ、TS向上が達成されたであろうと予想された。
【0076】
実施例7および比較例23(ただし、実施例7は参考例である。)
樹脂、プリプレグおよび複合材料の機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。対照は、比較例22である。タイプ1サイジング処理した炭素繊維を使用して強化界面相を形成する可能性を確認するために、使用した繊維はMX−10であった。
【0077】
実施例7において、良好な粒子移動、ならびにそれに対応してTSおよびGICの両方の良好な向上が見出された。
【0078】
実施例8〜9および比較例24〜26
樹脂、プリプレグおよび複合材料機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。対照は、比較例24〜26である。これらの実施例は、繊維表面を変化させ、PES1を低分子量のPES2に変更し、CSR1をCSR2に変更することによって、強化界面相の形成を検査した。さらに、T800G−31系への粒子添加量の作用を記録した。
【0079】
良好な粒子移動および実施例1〜2と同様の傾向が、T800G−31系で観測された。興味深いことに、室温および−75Fにおける両TSが、実施例8において実質的に増加した。測定されなかったが、実施例9における−75FでのTSも増加すると予想された。
【0080】
しかし、繊維表面をT800G−31からT800G−91およびMX−50に変更した場合に、粒子移動が見出されなかった。これらの事例により、粒子移動に好適な表面エネルギーの重要性が再確認された。これらの場合について、機械的特性が測定されなかった。
【0081】
実施例10および比較例27
樹脂、プリプレグおよび機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。対照は、比較例27である。この実施例は、T800G−31系において、強化界面相の形成に加えて層間強靭化剤の作用を調査した。
【0082】
良好な粒子移動が見出され、したがって、TSが向上した。層間強靭化剤を使用したので、CAIおよびGIICが有意に向上した。
【0083】
実施例11および比較例28
樹脂、プリプレグおよび機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。対照は、比較例28である。この実施例は、おそらく先の実施例と異なる表面エネルギーを誘発すると考えられるタイプ4サイジングを有するT700G−41を調査した。
【0084】
この実施例において、良好な粒子移動が見出され、TSが向上し、良好な粒子移動を有する他の場合と同様の傾向であった。
【0085】
実施例12〜15および比較例29〜32
樹脂、プリプレグおよび機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。実施例12〜15に対して、対照は、それぞれ、比較例29〜32である。これらの場合、EPON825をGANに、4,4−DDSを3,3−DDSに、PES1またはPES2をPEIおよびPVFに変更した場合の、強化界面相の形成を調査した。T800G−31の表面エネルギーが良好な粒子移動を促進しうるので、T800G−31を全ての場合に使用した。
【0086】
これらの実施例において、良好な粒子移動が見出され、したがってTSが向上し、良好な粒子移動を有する他の場合と同様の傾向であった。
【0087】
実施例16および比較例33(ただし、実施例16は参考例である。)
対照は、比較例33である。この場合、促進剤を使用した場合の強化界面相の形成を調査した。T800G−31を使用した。樹脂、プリプレグおよび機械的試験を、実施例1〜2と同様の手順で行なった。
【0088】
これらの実施例において、良好な粒子移動が見出され、したがってTSが向上し、良好な粒子移動を有する他の場合と同様の傾向であった。
【0089】
前記の説明は、当業者が本発明を製造し使用することを可能にするために記載され、特定の用途およびその要求事項に関して記載されている。好ましい実施形態の種々の改変が当業者に容易に明らかであり、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、本明細書において規定されている一般原理を他の実施形態および用途に適用しうる。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示されている原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0090】
本出願は、いくつかの数値範囲限定を開示している。本発明は開示されている数値範囲全体にわたって実施できるので、正確な範囲限定は逐語的に本明細書に記載されていないが、開示されている数値範囲は、本質的に、開示されている数値範囲内のあらゆる範囲を支持する。最後に、本出願において参照されている特許および刊行物の全開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
図1
図2