(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るクランプ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置を示す。
【0024】
このクランプ装置10は、
図1〜
図3に示されるように、ボディ12と、該ボディ12に対して回動自在に軸支される第1及び第2クランプアーム14、16と、前記ボディ12に固定される駆動部18と、前記駆動部18の駆動力を第1及び第2クランプアーム14、16へとそれぞれ伝達する駆動力伝達機構20とを含む。
【0025】
ボディ12は、例えば、平板状に形成され水平方向に沿って配置されるベース22と、前記ベース22の両側面に対してそれぞれ連結され、互いに所定間隔離間して配置された一組の第1及び第2プレート体24、26と、前記第1プレート体24と第2プレート体26との間に設けられる中間プレート体28(
図2参照)からなる。第1及び第2プレート体24、26、中間プレート体28は、ベース22に対して直交し上方(矢印A方向)に向かって所定高さで形成され、中間プレート体28は、前記第1及び第2プレート体24、26より低く、且つ、第1プレート体24と第2プレート体26との間において中央となる位置に設けられる(
図2参照)。
【0026】
また、ベース22は、例えば、床面等に載置され、図示しないボルト等によって固定されることにより、クランプ装置10が固定される。
【0027】
一方、ボディ12の上部には、一組の第1及び第2プレート体24、26の端部同士を接続するように天井部30が設けられ、該天井部30は、前記第1及び第2プレート体24、26の延在方向(矢印A、B方向)に対して直交し、且つ、ボディ12における幅方向(矢印C方向)の略中央部に配置される。すなわち、天井部30は、ベース22と略平行に設けられる。
【0028】
この天井部30の側部には、後述する第1及び第2クランプアーム14、16と対向する側面にそれぞれストッパ32が設けられ、第1及び第2クランプアーム14、16に設けられた位置決め部34が当接する。そして、クランプ装置10によってワーク(
図3中、W1参照)を把持する際、天井部30の上面に該ワークが載置される。
【0029】
また、天井部30の下面には、駆動部18を構成する第1及び第2シリンダ36、38が連結され、該第1及び第2シリンダ36、38は前記天井部30と直交する鉛直下方向(矢印B方向)に延在するように設けられ、且つ、
図4に示されるように、第1シリンダ36が第1プレート体24側(矢印D1方向)、第2シリンダ38が第2プレート体26側(矢印D2方向)となるように略平行に配置される。
【0030】
さらに、天井部30には、図示しない圧力流体供給源に接続された一組の第1配管40a、40bがそれぞれ接続される(
図2及び
図4参照)。そして、第1配管40a、40bの端部は、
図4に示されるように、天井部30の内部に形成された第1及び第2通路42、44とそれぞれ連通している。
【0031】
この第1通路42は、第1プレート体24に臨む天井部30の一側面から第2プレート体26側(矢印D2方向)に向かって一直線状に延在し、その先端部に第1配管40aが接続され、長手方向に沿った略中央部に連通孔46が開口し、第1シリンダ36の内部と連通している。
【0032】
第2通路44は、第2プレート体26に臨む天井部30の他側面から第1プレート体24側(矢印D1方向)に向かって一直線状に延在し、その先端部に第1配管40bが接続され、長手方向に沿った略中央部に連通孔46が開口し、第2シリンダ38の内部と連通している。
【0033】
そして、第1配管40a、40bに供給された圧力流体は、第1及び第2通路42、44、連通孔46を通じて第1及び第2シリンダ36、38の一端部側(矢印A方向)へと供給される。
【0034】
なお、第1通路42と第2通路44は、天井部30の幅方向(矢印C方向)に所定間隔離間して略平行に形成されている。
【0035】
第1クランプアーム14は、
図1及び
図3に示されるように、例えば、略対称形状に形成された一対の第1アーム部48からなり、後述する駆動部18の軸線を中心とするボディ12の中心に対して幅方向(矢印C方向)において対称となるように配置される。そして、一対の第1アーム部48は、第1プレート体24と第2プレート体26との間において、該第1プレート体24側(矢印D1方向)に近接して略平行に設けられる(
図4参照)。
【0036】
そして、第1アーム部48の長手方向に沿った略中央部に一組のアームピン50がそれぞれ挿通され、該アームピン50の両端部が前記第1及び第2プレート体24、26に軸支されることで前記第1アーム部48がボディ12に対してそれぞれ回動自在に支持される。また、アームピン50には、一組の第1スプリング52がそれぞれ挿通され、その一端部が中間プレート体28の上部に、他端部が第1クランプアーム14にそれぞれ係合されている。
【0037】
そのため、第1クランプアーム14は、第1スプリング52の弾発力によってアームピン50を支点として互いの第1把持部54が離間する方向(矢印E1方向)に回動するように付勢されている。
【0038】
換言すれば、第1スプリング52は、第1クランプアーム14の他端部側をボディ12の幅方向外側(矢印C1方向)に押圧することで、アームピン50を支点として第1把持部54を互いに離間する方向(
図3中、矢印E1方向)に回動させアンクランプ状態とする方向に付勢している。
【0039】
また、第1アーム部48には、ベース22側(矢印B方向)に配置される一端部(端部)の互いに向かい合う側面に一対の第1カム部材56がそれぞれ装着される。
【0040】
この第1カム部材56は、例えば、ブロック状に形成され、第1アーム部48の一端部の側面に形成された凹部に装着される。第1カム部材56には、その取付面とは反対側に第1アーム部48の一端部側(矢印B方向)に向かって徐々に幅広状となるように所定角度で傾斜したカム面58を備える。
【0041】
なお、一対の第1アーム部48において、一方の第1カム部材56と他方の第1カム部材56とが、それぞれのカム面58が互いに対向するように駆動部18(第1シリンダ36)を挟んで略対称に配置される(
図3参照)。
【0042】
一方、第1アーム部48の他端部には、第1ワークW1をクランプするための第1把持部54が形成され、前記第1把持部54は、断面略長方形状で互いに向かい合う把持面が該第1アーム部48の長手方向と略平行な鉛直面となるように形成される。
【0043】
第2クランプアーム16は、
図1〜
図3に示されるように、例えば、略対称形状に形成された一対の第2アーム部60からなり、ボディ12の中心に対して幅方向(矢印C方向)において対称となるように配置される。そして、一対の第2アーム部60は、第1プレート体24と第2プレート体26との間において、該第2プレート体26側(
図4中、矢印D2方向)に近接して略平行に設けられる。この第2クランプアーム16は、第1及び第2プレート体24、26の間において、第1クランプアーム14と所定間隔離間して略平行に設けられる。
【0044】
そして、第2アーム部60には、長手方向に沿った略中央部に対して他端部側(矢印A方向)となる位置にアームピン50がそれぞれ挿通され、該アームピン50の両端部が前記第1及び第2プレート体24、26に軸支されることでボディ12に対してそれぞれ回動自在に支持される。また、アームピン50には一組の第2スプリング62がそれぞれ挿通され、その一端部が中間プレート体28の上部に、他端部が第2クランプアーム16にそれぞれ係合されている。そのため、第2クランプアーム16は、第2スプリング62の弾発力によってアームピン50を支点として互いの第2把持部68が互いに離間する方向(矢印E1方向)に回動するように付勢されている。
【0045】
換言すれば、第2スプリング62は、第2クランプアーム16の他端部側をボディ12の幅方向外側(矢印C1方向)に押圧することで、アームピン50を支点として第2把持部68を互いに離間する方向(
図3中、矢印E1方向)に回動させアンクランプ状態とする方向に付勢している。
【0046】
この第2アーム部60は、それぞれ第1アーム部48と同一のアームピン50が挿通されており、前記第1アーム部48と前記アームピン50の軸方向に沿って所定間隔離間して平行に配置される。
【0047】
なお、第2クランプアーム16を構成する第2アーム部60は、第1クランプアーム14を構成する第1アーム部48と略同一形状に形成される。
【0048】
また、第2アーム部60には、ベース22側(矢印B方向)に配置される一端部(端部)の互いに向かい合う側面に一対の第2カム部材64がそれぞれ装着される。この第2カム部材64は、
図6に示されるように、例えば、第1カム部材56と同一形状となるブロック状に形成され、第2アーム部60の一端部の側面に形成された凹部に装着される。
【0049】
第2カム部材64には、その取付面とは反対側に第2アーム部60の一端部側(矢印B方向)に向かって徐々に幅広状となるように所定角度で傾斜したカム面66を備える。そして、一対の第2アーム部60において、一方の第2カム部材64と他方の第2カム部材64とが、それぞれのカム面66が互いに対向するように駆動部18(第2シリンダ38)を挟んで略対称に配置される(
図6参照)。
【0050】
なお、第1クランプアーム14に装着される第1カム部材56と、第2クランプアーム16に装着される第2カム部材64とを異なる形状としてもよい。
【0051】
一方、第2アーム部60の他端部には、
図1〜
図3に示されるように、第1ワークW1と幅寸法の異なる第2ワークW2(
図7参照)をクランプするための第2把持部68が形成され、前記第2把持部68は、断面略長方形状で互いに向かい合う把持面が該第2クランプアーム16の長手方向と略平行な鉛直面となるように形成される。そして、第2把持部68には、例えば、所定厚さを有し金属製材料から板状に形成されたアタッチメント70がボルト72によって固定される。
【0052】
このアタッチメント70は、例えば、把持面と略平行となる平面を有し、該平面によって第2ワークW2を把持可能に形成される。また、アタッチメント70は、ボルト72を螺回させ固定状態を解除することで着脱自在に設けられる。
【0053】
さらに、第1アーム部48及び第2アーム部60において、第1及び第2把持部54、68の下方には、
図4に示されるように、それぞれ前記第1アーム部48及び第2アーム部60の長手方向と直交するように突出した位置決め部34がそれぞれ設けられる。
【0054】
そして、第1アーム部48の第1把持部54及び第2アーム部60の第2把持部68が互いに接近して第1及び第2ワークW1、W2を把持したクランプ時において、位置決め部34がそれぞれ天井部30に設けられたストッパ32にそれぞれ当接する。これにより、第1アーム部48及び第2アーム部60による第1及び第2ワークW1、W2のクランプ時における幅寸法L1、L2が規定される。
【0055】
駆動部18は、
図1〜
図4に示されるように、第1プレート体24と第2プレート体26との間に配置され、且つ、天井部30の下面に対して連結される第1及び第2シリンダ36、38を有し、前記第1及び第2シリンダ36、38は、ベース22に向かって鉛直下方向(矢印B方向)に延在するように設けられる。
【0056】
第1及び第2シリンダ36、38は、
図3及び
図6に示されるように、同一の構成で形成され、筒状のシリンダチューブ74と、シリンダチューブ74の内部に変位自在に設けられるピストン76と、前記ピストン76に連結されるピストンロッド78と、前記シリンダチューブ74の開口部に設けられ、該ピストンロッド78を変位自在に支持するロッドカバー80とをそれぞれ含む。
【0057】
なお、第1及び第2シリンダ36、38は、その他端部側に設けられたロッドカバー80が下方(矢印B方向)となるように設けられる。
【0058】
シリンダチューブ74は、天井部30に対して鉛直下方向(矢印B方向)に向かって立設するように図示しないボルトで固定され、その内部に軸方向(矢印A、B方向)に沿ったシリンダ孔82を有する。そして、シリンダチューブ74の一端部は、天井部30によって閉塞されると共に、
図4〜
図5Bに示されるように、前記天井部30に形成された第1及び第2通路42、44を通じてシリンダ孔82が第1配管40a、40bとそれぞれ連通し、該第1配管40a、40bを通じて圧力流体がシリンダ孔82へそれぞれ供給される。
【0059】
ピストン76は、例えば、円盤状に形成され、その外周面がシリンダ孔82の内周面に摺接すると共に、その中心にはピストンロッド78が一体的に連結され、該ピストンロッド78は前記ピストン76に対してシリンダチューブ74の他端部側(矢印B方向)に所定長さで延在している。
【0060】
このピストンロッド78は、シリンダチューブ74の他端部側(矢印B方向)を閉塞するように装着されたロッドカバー80のロッド孔に挿通されることで軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に支持される。また、
図5A及び
図5Bに示されるように、ロッドカバー80の側面には、シリンダチューブ74の軸方向(矢印A、B方向)と直交方向に貫通した流体ポート84がそれぞれ形成され、前記流体ポート84には図示しない圧力流体供給源と接続された第2配管86a、86bがそれぞれ接続される。
【0061】
そして、第1配管40a、40bから天井部30の第1及び第2通路42、44を通じて第1及び第2シリンダ36、38のシリンダ孔82へそれぞれ圧力流体を供給することで、ピストン76及びピストンロッド78が下降する。一方、第2配管86a、86bを通じて流体ポート84に圧力流体を供給することで、ピストン76及びピストンロッド78が上昇する。
【0062】
すなわち、第1及び第2シリンダ36、38には、それぞれ図示しない圧力流体供給源に接続された第1配管40a、40b及び第2配管86a、86bが接続され、図示しない切換装置による切換作用下にシリンダチューブ74の一端部側(矢印A方向)、他端部側(矢印B方向)のいずれか一方に選択的に圧力流体が供給される。
【0063】
駆動力伝達機構20は、
図1〜
図3に示されるように、第1及び第2シリンダ36、38におけるピストンロッド78の他端部にそれぞれ連結されるブロック体88a、88bと、該ブロック体88a、88bの両端部近傍にそれぞれ軸支される一対のローラ(押圧部)90と、前記ローラ90をそれぞれ軸支する一対のローラピン92とを含む。
【0064】
そして、第1シリンダ36に接続されるブロック体88aが、
図3に示されるように、第1クランプアーム14の一端部に臨むように配置され、第2シリンダ38に接続されるブロック体88bが、
図7に示されるように、第2クランプアーム16の一端部に臨むように配置される。
【0065】
ブロック体88a、88bは、例えば、ピストンロッド78の軸方向(矢印A、B方向)と直交方向(矢印C方向)に延在し、その中心部には前記ピストンロッド78
に連結される軸部(図示せず)が形成されている。
そして、軸部の端部が、ブロック体88a、88b
の溝部に係合されることでピストンロッド78の軸方向と直交した状態で連結され、該ピストンロッド78と共に一体的に変位する。
【0066】
また、ブロック体88a、88bには、第1及び第2プレート体24、26、中間プレート体28に臨む両側面にそれぞれ鉛直方向に延在する一対のガイド溝94(
図1参照)が形成され、この断面矩形状に窪んだガイド溝94には、前記第1及び第2プレート体24、26、中間プレート体28に装着されたガイドレール96がそれぞれ挿入される(
図1〜
図3参照)。これにより、ブロック体88a、88bがピストンロッド78と共に変位する際、ガイドレール96によって鉛直方向(矢印A、B方向)に案内される。
【0067】
さらに、ブロック体88a、88bは、駆動部18の軸方向と直交する水平方向(矢印C方向)に所定幅を有し、その両端部がピストンロッド78の軸線を中心として均等な距離となるように形成されると共に、前記両端部には一対のローラピン92が支持され、該ローラピン92を介して一対のローラ90が回転自在に軸支される。
【0068】
このローラ90は、ブロック体88a、88bにおいて第1及び第2クランプアーム14、16に臨む位置に設けられ、第1及び第2アーム部48、60の一端部側(矢印B方向)に向かって突出し、第1カム部材56及び第2カム部材64にそれぞれ当接する。
【0069】
そして、駆動部18の駆動作用下にブロック体88a、88bが下降することにより、ローラ90が第1及び第2カム部材56、64のカム面58、66に当接した状態で回転し、且つ、該カム面58、66を介して第1及び第2クランプアーム14、16の一端部を所定の押圧力で互いに離間させる方向(矢印C1方向)に押圧する。
【0070】
これにより、第1及び第2アーム部48、60は、その一端部側を幅方向内側に付勢している第1及び第2スプリング52、62の弾発力に抗して第1及び第2把持部54、68が互いに接近する方向(
図3中、矢印E2方向)へと回動する。
【0071】
一方、ブロック体88a、88bが上昇することにより、ローラ90による第1及び第2カム部材56、64に対する幅方向外側(矢印C1方向)への押圧力がなくなるため、第1及び第2クランプアーム14、16は、第1及び第2スプリング52、62の弾発力によって第1及び第2把持部54、68がそれぞれ離間する方向(
図3中、矢印E1方向)へと回動する。
【0072】
本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明においては、
図3に示す第1及び第2クランプアーム14、16の第1及び第2把持部54、68がそれぞれ互いに離間したアンクランプ状態を初期位置として説明する。
【0073】
先ず、このアンクランプ状態である初期位置について説明する。この初期位置においては、
図3に示されるように、駆動部18を構成する第1及び第2シリンダ36、38に対して圧力流体が供給されず、第1及び第2クランプアーム14、16の他端部が第1及び第2スプリング52、62の弾発力によって互いに離間する方向(矢印E1方向)へと付勢された状態にあり、ピストン76及びピストンロッド78が上昇し、ブロック体88a、88bに軸支されたローラ90が第1及び第2カム部材56、64のカム面58、66から離間した状態にある。
【0074】
すなわち、第1及び第2クランプアーム14、16の一端部がローラ90によって幅方向外側(矢印C1方向)へ押圧されておらず、第1及び第2スプリング52、62の弾発力によって第1及び第2把持部54、68が互いに離間する方向(矢印E1方向)に回動している。
【0075】
次に、ここで、上述したクランプ装置10によって把持される第1ワークW1について
図3を参照しながら簡単に説明する。この第1ワークW1は、例えば、車両のフレームを構成する断面U字状の第1フレームW1aと、該第1フレームW1aに組み合わせられる断面U字状の第2フレームW1bとからなる。
【0076】
第1フレームW1aは、下方(矢印B方向)に向かって開口した状態で第1クランプアーム14における第1把持部54の間に配置され、一方、第2フレームW1bは、その側壁が開口部側に向かって徐々に拡幅するように傾斜して形成され、該開口部が上方(矢印A方向)となるように配置される。
【0077】
そして、第2フレームW1bの内部に第1フレームW1aが挿入された状態で天井部30に対して載置される。
【0078】
換言すれば、第1フレームW1aに対して第2フレームW1bが外側に配置され、該第2フレームW1bの側壁が、第1クランプアーム14側(
図3中、矢印C1方向)に向かって広がるように傾斜している。
【0079】
次に、第1クランプアーム14を回動させ、所定幅寸法L1(
図6参照)を有した第1ワークW1をクランプする場合について、
図3及び
図6を参照しながら説明する。先ず、上述した初期位置から駆動部18を構成する第1シリンダ36に対して第1配管40aを通じて圧力流体を供給することで、ピストン76及びピストンロッド78を軸方向(矢印B方向)に沿って下降させる。なお、この場合、
図5A及び
図5Bに示される第1シリンダ36の流体ポート84は大気開放状態とすると共に、第2シリンダ38には圧力流体を供給しない。
【0080】
この第1シリンダ36の駆動作用下にピストンロッド78と共にブロック体88aが下降し、一対のローラ90が第1カム部材56のカム面58に当接し始める。そして、ローラ90がカム面58に沿って下降することで、第1カム部材56を介して第1クランプアーム14の一端部を互いに離間する方向(矢印C1方向)へと押圧する。
【0081】
これにより、第1クランプアーム14は、その他端部に付与される第1スプリング52の弾発力に抗してアームピン50を支点として第1把持部54が互いに接近する方向(矢印E2方向)に回動し始め、ローラ90によるカム面58への押圧力が略一定となる。そのため、第1クランプアーム14は、第1アーム部48が略一定の回動力で回動して第1把持部54によって第2フレームW1bをクランプし始める。
【0082】
そして、駆動部18の駆動作用下にさらにブロック体88aが下降することによって第1クランプアーム14の一端部が互いに離間する方向(矢印C1方向)へとさらに大きな力で押圧され、それに伴って、前記第1クランプアーム14の第1把持部54が、アームピン50を支点としてさらに互いに接近する方向へと大きな力で回動する。この第1把持部54が第2フレームW1bの側壁を互いに接近させる方向、すなわち、第1フレームW1a側(矢印E2方向)に向かって押圧して変形させていく。
【0083】
図6に示されるように、第1クランプアーム14に設けられた位置決め部34がそれぞれストッパ32に当接し、第1クランプアーム14によって押圧された第2フレームW1bの側壁が第1フレームW1aの側壁に当接し、且つ、略平行となった状態で第1ワークW1のクランプが完了したクランプ状態となる。
【0084】
この際、第2クランプアーム16は、第2シリンダ38に対する圧力流体の供給がなされていないため、
図3に示される初期位置から回動することがなくアンクランプ状態のままで維持される。
【0085】
そして、第1クランプアーム14によって第1及び第2フレームW1a、W1bがクランプされた状態で、例えば、図示しない溶接装置によって前記第1及び第2フレームW1a、W1bの側壁同士が溶接される。
【0086】
このように、駆動部18を構成する第1シリンダ36の駆動作用下に駆動力伝達機構20のブロック体88aが下降することで、一対のローラ90によって第1カム部材56を押圧し、それに伴って、第1クランプアーム14の一端部を互いに離間する方向(矢印C1方向)に略一定の力で押圧することで、該第1クランプアーム14をアームピン50を支点として回動させることができるため、所定のクランプ力で第1ワークW1をクランプすることが可能となる。
【0087】
一方、第1クランプアーム14による第1ワークW1のクランプ状態を解除する場合には、図示しない切換装置の切換作用下に第1配管40aから第1シリンダ36へと供給されていた圧力流体を第2配管86aから流体ポート84へと供給する。これにより、ピストン76が圧力流体による押圧作用下に上昇し、それに伴って、ピストンロッド78及びブロック体88aが一体的に上昇する。
【0088】
そして、ピストンロッド78の端部に当接することでピストン76の上昇が停止し、ブロック体88aが第1カム部材56のカム面58から離間した位置へと復帰することで、第1クランプアーム14の一端部側への押圧力が滅勢され第1スプリング52の弾発力によって第1把持部54が互いに離間する方向へと回動した
図3に示されるアンクランプ状態となる。
【0089】
次に、第2クランプアーム16を回動させ、上述した第1ワークW1より幅狭な幅寸法L2を有した第2ワークW2をクランプする場合について、
図3及び
図7を参照しながら説明する。この第2クランプアーム16は、その第2把持部68にアタッチメント70が装着されているため、第1クランプアーム14に対して該アタッチメント70の厚さ分だけ幅狭なワーク(第2ワークW2)をクランプ可能である。
【0090】
先ず、上述した初期位置から駆動部18を構成する第2シリンダ38に対して第1配管40bを通じて圧力流体を供給することで、ピストン76及びピストンロッド78を軸方向(矢印B方向)に沿って下降させる。なお、この場合、第2シリンダ38の流体ポート84を大気開放状態とし、第1シリンダ36には圧力流体を供給しない。
【0091】
この第2シリンダ38の駆動作用下にピストンロッド78と共にブロック体88bが初期位置より下降し、一対のローラ90が第2カム部材64のカム面66に当接し始める。そして、ローラ90がカム面66に沿って下降することで、第2カム部材64を介して第2クランプアーム16の一端部を互いに離間する方向(矢印C1方向)へと押圧する。
【0092】
これにより、第2クランプアーム16は、その他端部に付与されている第2スプリング62の弾発力に抗してアームピン50を支点として第2把持部68が互いに接近する方向(矢印E2方向)に回動し始め、ローラ90によるカム面66への押圧力が略一定となるため、前記第2クランプアーム16は略一定の回動力で回動して、第2フレームW2bをクランプし始める。
【0093】
そして、第2シリンダ38の駆動作用下にさらにブロック体88bが下降することによってローラ90がカム面66へと移行し、第2カム部材64を介して前記第2クランプアーム16の一端部が互いに離間する方向(矢印C1方向)へとさらに大きな力で押圧され、それに伴って、前記第2クランプアーム16の第2把持部68が、アームピン50を支点として互いに接近する方向へとさらに大きな力で回動する。
【0094】
これにより、第2把持部68が、アタッチメント70によって第2フレームW2bの側壁を互いに接近させる方向、すなわち、第1フレームW2a側(矢印E2方向)に向かって押圧して変形させていく。そして、
図7に示されるように、第2クランプアーム16に設けられた位置決め部34がそれぞれストッパ32に当接し、前記第2クランプアーム16によって押圧された第2フレームW2bの側壁が第1フレームW2aの側壁に当接し、且つ、略平行となった状態で第2ワークW2のクランプが完了したクランプ状態となる。
【0095】
この際、第1クランプアーム14は、第1シリンダ36に対する圧力流体の供給がなされていないため、
図3に示される初期位置から回動することがなくアンクランプ状態のままで維持される。
【0096】
そして、第2クランプアーム16によって第1及び第2フレームW2a、W2bがクランプされた状態で、例えば、図示しない溶接装置によって前記第1及び第2フレームW2a、W2bの側壁同士が溶接される。
【0097】
このように、駆動部18を構成する第2シリンダ38の駆動作用下に駆動力伝達機構20のブロック体88bが下降することで、一対のローラ90によって第2カム部材64を押圧し、それに伴って、第2クランプアーム16の一端部を互いに離間する方向(矢印C1方向)に略一定の力で押圧する。その結果、第2クランプアーム16の第2アーム部60がアームピン50を支点として回動し、第1ワークW1とは幅寸法の異なる第2ワークW2を第2把持部68に装着されたアタッチメント70を介して所定のクランプ力でクランプすることが可能となる。
【0098】
なお、第2クランプアーム16による第2ワークW2のクランプ状態を解除する場合については、第1クランプアーム14による第1ワークW1のクランプ状態を解除する場合と略同様であるため、その詳細な説明については省略する。
【0099】
以上のように、第1の実施の形態では、二組の第1及び第2クランプアーム14、16を有したクランプ装置10において、駆動部18には前記第1及び第2クランプアーム14、16をそれぞれ独立して駆動させることが可能な第1及び第2シリンダ36、38を有し、前記第1及び第2シリンダ36、38を選択的に駆動させ、該駆動部18の駆動作用下にブロック体88a、88bに設けられたローラ90を第1及び第2クランプアーム14、16に設けられた第1及び第2カム部材56、64に対して当接させ幅方向外側(矢印C1方向)へと押圧することで、前記第1及び第2クランプアーム14、16のいずれか一方を回動させ所望の幅寸法(L1、L2)を有したワーク(W1、W2)をクランプすることができる。
【0100】
そのため、クランプ幅の異なる第1及び第2クランプアーム14、16を、幅寸法の異なる第1及び第2ワークW1、W2に応じて選択的に回動させることで、単一のクランプ装置10によって形状の異なる複数種類のワークを確実且つ安定的にクランプできる。その結果、例えば、形状の異なるワーク毎にそれぞれ別のクランプ装置10を準備する場合と比較し、設備コストを抑制できると共に、複数種類のクランプ装置10を設置するためのスペースも削減できるため、自動組立ラインにおける省スペース化に寄与することが可能となる。
【0101】
また、第2クランプアーム16における第2把持部68に装着されたアタッチメント70は、ボルト72を介して着脱自在に設けられているため、例えば、前記第2クランプアーム16でクランプする第2ワークW2の幅寸法に応じ、厚さや形状の異なる別のアタッチメント70へと容易に交換して対応することが可能となる。
【0102】
なお、上述した第1の実施の形態では、第2クランプアーム16のみにアタッチメント70が装着される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1クランプアーム14における第1把持部54にも、第2クランプアーム16に装着されたアタッチメント70とは厚さや形状の異なる別のアタッチメント70を装着するようにしてもよい。これにより、形状の異なるアタッチメント70のそれぞれ装着された第1クランプアーム14と第2クランプアーム16によって幅寸法の異なるワークを選択的にクランプすることが可能となる。また、アタッチメント70を交換することで、様々な形状の異なるワークに対して容易に対応させクランプすることが可能となる。
【0103】
さらに、第1及び第2把持部54、68にアタッチメント70を装着せずに、該第1及び第2把持部54、68の幅寸法をそれぞれ異なるように形成することにより、前記第1及び第2把持部54、68によって幅寸法の異なる第1及び第2ワークW1、W2を直接クランプすることが可能となる。
【0104】
さらにまた、上述した第1の実施の形態においては、二組の第1及び第2クランプアーム14、16によって形状の異なる2種類のワーク(W1、W2)をクランプ可能な構成について説明したが、二組以上であれば、特にクランプアームの数量は限定されるものではなく、例えば、三組のクランプアームを設けてそれぞれ独立して回動可能な構成とすることで形状の異なる3種類のワークをクランプ可能としてもよい。
【0105】
次に、第2の実施の形態に係るクランプ装置100を
図8〜
図14に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るクランプ装置10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0106】
この第2の実施の形態に係るクランプ装置100では、例えば、何らかの原因で第1クランプアーム14又は第2クランプアーム16が第1ワークW1又は第2ワークW2のクランプ状態でロックして第1及び第2スプリング52、62によってアンクランプ動作できない場合に、前記第1及び第2スプリング52、62の弾発力に加えて前記アンクランプ動作をアシストするアシスト機構102を備えている点で、第1の実施の形態に係るクランプ装置10と相違している。
【0107】
このアシスト機構102は、
図8〜
図11に示されるように、例えば、第1及び第2クランプアーム14、16の一端部とブロック体88a、88bとをそれぞれ接続するように設けられ、前記第1クランプアーム14、前記第2クランプアーム16に対してそれぞれ設けられると共に、
図9に示されるように、前記第2クランプアーム16に臨む前記第1クランプアーム14の内側面、前記第1クランプアーム14に臨む前記第2クランプアーム16の内側面にそれぞれ設けられる。
【0108】
換言すれば、アシスト機構102は、クランプ装置100の内側に設けられ、第1クランプアーム14側に設けられたアシスト機構102と、第2クランプアーム16側に設けられたアシスト機構102とが互いに対向するように配置されている。
【0109】
なお、アシスト機構102は、クランプ装置100において第1及び第2クランプアーム14、16の内側に設けられる場合に限定されるものではなく、前記第1及び第2クランプアーム14、16における外側の側面にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0110】
そして、アシスト機構102は、一対のリンクプレート104と、該リンクプレート104の一端部に設けられた一組のリンクピン106と、前記第1及び第2クランプアーム14、16の一端部に装着されたブラケット108に形成され前記リンクピン106の挿入される一対のピン溝110とを含む。
【0111】
リンクプレート104は、例えば、所定長さを有した板状に形成され、第1及び第2クランプアーム14、16とそれぞれ略平行に設けられている。そしてリンクプレート104の長手方向に沿った一端部には、該長手方向と直交するようにリンクピン106が挿通され、他端部にローラピン92の端部が挿通される。
【0112】
また、リンクプレート104には、その表面に抜け止めプレート114が装着され、
図10及び図11に示されるように、その端部がそれぞれリンクピン106及びローラピン92の外周面に形成された係合溝112a、112bに係合される。そして、抜け止めプレート114は、一組の固定ボルト116によってリンクプレート104に対して固定される。すなわち、リンクピン106及びローラピン92は、リンクプレート104の一端部及び他端部に挿通された状態で、抜け止めプレート114によって抜け止めがなされ軸方向に脱抜することがない。
【0113】
これにより、リンクプレート104は、その一端部が第1及び第2クランプアーム14、16の一端部に対してリンクピン106を介してそれぞれ回動自在に支持され、他端部が、ローラピン92を介してブロック体88a、88bの両端部に回動自在に支持される。
【0114】
ブラケット108は、例えば、略矩形状のプレートからなり、第1及び第2クランプアーム14、16における一端部の側面にそれぞれ装着され、該ブラケット108には前記第1及び第2クランプアーム14、16の延在方向と略直交方向に延在するピン溝110が形成される(
図8及び
図12参照)。すなわち、ピン溝110は、
図12に示されるように、第1及び第2クランプアーム14、16のクランプ状態において略水平方向に所定長さで延在する。
【0115】
そして、ピン溝110には、それぞれリンクプレート104の他端部に支持されたリンクピン106が挿入され、前記他端部を前記ピン溝110に沿って第1及び第2クランプアーム14、16の延在方向と略直交方向に移動自在に支持している。
【0116】
次に、上述したアシスト機構102を有したクランプ装置100において、第2クランプアーム16で第2ワークW2をクランプしたクランプ状態からアンクランプ動作させる場合について
図8、
図12〜
図14を参照しながら説明する。なお、ここでは、第2クランプアーム16の第2把持部68に、第2ワークW2の形状に応じたアタッチメント118が装着されて用いられる場合について説明する。
【0117】
先ず、このアタッチメント118について簡単に説明する。アタッチメント118は、
図8及び
図9に示されるように、第2把持部68に装着される平板状のベース部120と、前記ベース部120の上端部に形成され略直交方向に突出したフック部122とを有し、前記フック部122の下面が第2クランプアーム16の延在方向に対して略直交した平面状に形成されている。換言すれば、アタッチメント118は、ベース部120に対してフック部122が鉤状に形成されている。
【0118】
このアタッチメント118の装着された第2クランプアーム16で第2ワークW2をクランプした状態では、
図12に示されるように、前記アタッチメント118のベース部120が前記第2ワークW2における第2フレームW2bの側壁を把持し、フック部122の下面が前記第2ワークW2における第1フレームW2aの上面を把持している。この場合、アシスト機構102は、そのリンクプレート104が他端部側が若干だけ一端部側より下方となるように傾斜した状態となり、前記一端部側のリンクピン106はピン溝110の長手方向に沿った略中央部に位置している。
【0119】
先ず、第2クランプアーム16による第2ワークW2のクランプ状態を解除してアンクランプ状態とする場合には、第2シリンダ38への圧力流体の供給状態を切り換えることで、ピストン76が圧力流体による押圧作用下に上昇し、それに伴って、ピストンロッド78及びブロック体88bが一体的に上昇すると共に、ブロック体88bのローラ90が第2カム部材64に沿って上昇する。これにより、第2クランプアーム16の一端部側への押圧力が滅勢され第2スプリング62の弾発力によって第2把持部68が互いに離間する方向へと回動する。
【0120】
また、同時に、アシスト機構102のリンクプレート104は、その他端部側がブロック体88bと共に上昇しながら回動し始める。これにより、リンクプレート104は、その他端部側が一端部側に対して上方(矢印A方向)に配置されると共に、一端部側のリンクピン106がピン溝110に沿って幅方向内側へと移動し始める。この場合、リンクピン106は、まだピン溝110における内側端部110aまでは到達していない。
【0121】
上述したように第2クランプアーム16をアンクランプ動作させようとした際、例えば、アタッチメント118のフック部122が第2ワークW2の上面に付着した塵埃等(例えば、スパッタ)を噛み込んでしまい、第2スプリング62の弾発力だけでは前記第2クランプアーム16をアンクランプ動作させることができない場合がある。
【0122】
このような場合でも、
図13に示されたアンクランプ動作できない状態から、第2シリンダ38に対して継続的に圧力流体を供給することで、ピストン76と共にブロック体88bを上昇さ、リンクプレート104をさらに直立するように回動させることで、リンクピン106がピン溝110の幅方向内側(矢印C2方向)へとさらに移動し、
図14に示されるように、前記リンクピン106が前記ピン溝110の内側端部110aまで移動してさらに移動することで、該内側端部110aを幅方向内側(矢印C2方向)へと押圧する。換言すれば、アシスト機構102によって第2クランプアーム16の一端部同士を互いに接近させる方向(矢印C2方向)へと引っ張る。
【0123】
これにより、第2クランプアーム16の一端部に対してそれぞれ幅方向内側(矢印C2方向)への押圧力が付与され、前記一端部同士を互いに接近する方向(矢印C2方向)へと移動させることができる。その結果、第2クランプアーム16には、第2スプリング62の弾発力に加え、リンクプレート104の回動動作によって付与されたリンクピン106からの押圧力が付与されることで、クランプ状態が解除されアンクランプ動作させることが可能となる。
【0124】
換言すれば、第2クランプアーム16をアンクランプ動作させる場合の推力が、第2スプリング62の弾発力とリンクプレート104による押圧力との合力となるため、前記第2クランプアーム16のクランプ状態でスタックしてしまった場合でも、弾発力よりも大きな推力を付与することで抵抗に打ち勝って確実に解除することが可能となる。
【0125】
また、このアシスト機構102は、第2スプリング62の弾発力のみで第2クランプアーム16をアンクランプ動作可能な場合には機能せず、前記第2スプリング62のみで動作不可能な場合にのみ補助的に機能するように設けられている。
【0126】
なお、上述した説明では、第2クランプアーム16で第2ワークW2をクランプした状態でアンクランプ動作させることができず、アシスト機構102を用いてアンクランプ動作させる場合について説明したが、第1クランプアーム14をアンクランプ動作させることができない場合についても、前記第1クランプアーム14に設けられたアシスト機構102を用いることで同様にアンクランプ動作させることができる。その動作については、第2クランプアーム16の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0127】
以上のように、第2の実施の形態では、クランプ装置100において、第1及び第2クランプアーム14、16の一端部とブロック体88a、88bに軸支されたローラ90との間にアシスト機構102のリンクプレート104を回動自在に設け、前記第1及び第2クランプアーム14、16をアンクランプ動作させる際、何らかの原因で負荷が大きく第1及び第2スプリング52、62の弾発力のみでアンクランプ動作させることが不可能な場合に、前記リンクプレート104を回動させることによって前記第1及び第2クランプアーム14、16の一端部にリンクピン106を介して幅方向内側への押圧力を付与することができる。
【0128】
その結果、第1及び第2スプリング52、62の弾発力によって第1及び第2クランプアーム14、16のアンクランプ動作を行うクランプ装置100において、何らかの原因で前記アンクランプ動作させることができない場合でも、駆動部18の駆動作用下にアシスト機構102のリンクプレート104を回動させ第1及び第2クランプアーム14、16の一端部同士が互いに接近する方向(矢印C2方向)へと押圧することで、前記第1及び第2クランプアーム14、16を確実にアンクランプ動作させ、第1及び第2ワークW1、W2のクランプ状態を解除することが可能となる。
【0129】
また、アシスト機構102は、一対のリンクプレート104、該リンクプレート104の一端部に支持されたリンクピン106、前記リンクピン106の挿通されるピン溝110を有したブラケット108とから簡素な構成であるため、アシスト機構102を有していない既存のクランプ装置10に対して比較的容易に装着することも可能である。
【0130】
次に、第3の実施の形態に係るクランプ装置150を
図15〜
図17に示す。なお、上述した第2の実施の形態に係るクランプ装置100と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0131】
この第3の実施の形態に係るクランプ装置150では、例えば、設置された製造ラインの緊急停止時に駆動部18への圧力流体の供給が停止した場合に、
図15〜
図17に示されるように、第1及び第2クランプアーム14、16によってクランプ状態にある第1及び第2ワークW1、W2のクランプ状態を、手動で強制解除可能な手動解除機構152を備えている点で、第2の実施の形態に係るクランプ装置100と相違している。
【0132】
この手動解除機構152は、例えば、第1クランプアーム14側、第2クランプアーム16側にそれぞれ設けられ、ボディ12の第1及び第2プレート体24、26にそれぞれ回動自在に設けられた解除レバー154と、前記解除レバー154を保持するホルダ156と、駆動力伝達機構20を構成するローラピン92に連結され前記解除レバー154によって押圧される連結ピン158とを含む。
【0133】
なお、連結ピン158は、別体でローラピン92に対して連結される構成に限定されるものではなく、例えば、前記ローラピン92と一体的に形成されていてもよい。
【0134】
解除レバー154は、例えば、所定厚さを有した板材からなり、第1及び第2プレート体24、26の側面に対して回動自在に設けられ、その下端部が固定ボルト160によって第1及び第2プレート体24、26に対して支持された支持部162と、該支持部162の上端部に形成され該支持部162に対して略直交して作業者の操作する操作部164と、前記支持部162の下端部から断面略円弧状に延在して後述する連結ピン158を押圧する押圧部166とを備える。なお、押圧部166は、支持部162に対して操作部164とは反対方向に延在するように形成される。
【0135】
そして、操作部164は第1及び第2プレート体24、26より幅方向外側(矢印C1方向)に突出するように配置され、一方、押圧部166は、下方(矢印B方向)に向かって凸状となるように湾曲して形成されている。
【0136】
この連結ピン158は、ローラピン92の端部から突出し、且つ、同軸となるように設けられ、第1及び第2プレート体24、26に開口した一組の挿通溝168にそれぞれ挿通されることで、該第1及び第2プレート体24、26の外側へと所定長さだけ突出している。この挿通溝168は、鉛直方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで延在している。
【0137】
ホルダ156は、
図15及び
図16に示されるように、例えば、弾性変形可能な板材等から断面略U字状に形成され、第1及び第2プレート体24、26の側面にボルト170(
図17参照)で固定されると共に、前記第1及び第2プレート体24、26の幅方向外側が開口するように設けられる。そして、ホルダ156の内部には、解除レバー154の支持部162が挿入可能であり、該ホルダ156の開口部近傍に設けられた係止突起部172によって係止され回動動作が規制される。
【0138】
次に、上述したクランプ装置150において、第1クランプアーム14による第1ワークW1のクランプ状態で駆動部18への圧力流体の供給が停止した場合について説明する。なお、
図15に示されるこのクランプ状態においては、駆動部18のピストン76及びピストンロッド78が下降し、それに伴って、ブロック体88a及びローラ90が下降しているため、連結ピン158が挿通溝168の下端近傍に位置している状態にある。
【0139】
例えば、製造ラインの緊急停止時において、駆動部18への圧力流体の供給が停止した状況では、第1クランプアーム14による第1ワークW1のクランプ状態でロックしてしまい解除することができない。
【0140】
このような場合、先ず、
図15に示される状態で図示しない作業者が解除レバー154の操作部164を把持し下方(矢印B方向)へと押圧することで、支持部162の支持部位を支点として反時計回り(矢印F1方向)に回動させ、それに伴って、支持部162がホルダ156の係止突起部172に当接して弾性変形させることで該係止突起部172を乗り越えて開口部から前記ホルダ156の外側へと移動する。そして、解除レバー154がホルダ156の外部へと完全に離脱することで回動動作の規制状態が解除される。
【0141】
また、操作部164の下方(矢印B方向)への押圧によって押圧部166が支持部162を支点として上方(矢印A方向)へと回動し、それに伴って、
図17に示されるように、前記押圧部166が連結ピン158に当接した後、上方へと押し上げる。これにより、連結ピン158に連結されたローラピン92、ブロック体88a、ピストンロッド78及びピストン76が一体的に上方へと押圧される。
【0142】
その結果、ローラ90が第1カム部材56のカム面58に沿って上昇し、第1クランプアーム14はそれぞれ第1スプリング52の弾発力によって第1把持部54が互いに離間するように回動してアンクランプ状態となる(
図17参照)。
【0143】
このように手動解除機構152によってアンクランプ状態とすることで、製造ラインの緊急停止時においても第1ワークW1のクランプ状態を解除して容易に取り出すことが可能となる。
【0144】
そして、手動解除機構152の解除レバー154によるクランプ状態の解除を行った後、図示しない作業者が操作部164を把持して上方(矢印A方向)へと押し上げることで、解除レバー154が支持部162を支点として時計回り(矢印F2方向)に回動させる。そして、支持部162をホルダ156の内部へと挿入して係止突起部172へと係止させることで再び解除レバー154を回動できないロック状態としてクランプ状態の解除作業が完了する。
【0145】
また、上述した説明では、第1クランプアーム14による第1ワークW1のクランプ状態を手動解除機構152によって解除する場合について説明したが、第2クランプアーム16による第2ワークW2のクランプ状態で駆動部18への圧力流体の供給が停止した場合のクランプ解除方法についても前記第1クランプアーム14の場合と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0146】
以上のように、第3の実施の形態では、例えば、ボディ12を構成する第1及び第2プレート体24、26の外側に回動自在に手動解除機構152を構成する解除レバー154を設け、駆動部18への圧力流体の供給が停止して第1ワークW1及び/又は第2ワークW2のクランプ状態でロックしてしまった場合でも、前記解除レバー154を操作することでローラピン92に連結された連結ピン158を押し上げることを可能としている。そのため、第1及び第2カム部材56、64に当接して第1及び第2クランプアーム14、16を幅方向外側へと押圧しているローラ90を容易且つ確実にカム面58、66に沿って上方(矢印A方向)へと移動させることで、第1及び第2クランプアーム14、16を第1及び第2スプリング52、62の弾発力によって容易且つ確実にアンクランプ動作させることが可能となる。
【0147】
また、解除レバー154、連結ピン158及び挿通溝168という簡素な構成で、手動でクランプ状態を解除可能な手動解除機構152を構成できるため、例えば、前記手動解除機構152を前記クランプ装置150に対して選択的に取り付けることで容易にクランプ時における手動解除を行うことができる。さらに、クランプ装置150の設置環境に応じて、解除レバー154の装着する位置を、ボディ12の幅方向に沿った両端部のいずれか一方から選択することができて好適であり、前記両端部に設けるようにしてもよい。
【0148】
なお、本発明に係るクランプ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。