(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記長手方向決定部によって決定された前記有効領域の長手方向と、前記入力検出領域の長手方向とが異なっている場合に、前記入力データを、前記有効領域の長手方向と前記入力検出領域の長手方向とがなす角度だけ回転させるデータ回転部
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷装置1の外観斜視図であり、
図2は、この印刷装置1に使用するテープカセット21の外観及び印刷装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。印刷装置1は、表面に印刷面を備え裏面が粘着面とされた印刷テープと、粘着面に貼付される剥離テープと、が積層されて形成されたテープ部材31(印刷媒体)に文字、図形、画像等を印刷する装置である。
【0014】
印刷装置1は、
図1に示すように、筐体2の上面に矩形状のタッチパネルからなる入力部4を有し、タッチペン64による手書き入力を容易とするために、装置高さが手前側が低く、奥側が高くして傾斜を付けているものである。尚、入力部は手前側から見て左右方向が長手方向、上下方向が短手方向とされた矩形状となす。
【0015】
具体的には、印刷装置1は、
図1に示したように、筐体2の上面に各モードのメニュー表示をしたり、ソフトウェアキーボード機能により仮想のキーボードを表示する、液晶表示装置から構成された表示部3を備える。また、表示部3である液晶表示装置の表示画面の上面には、透明な加圧スイッチである、文字入力装置としての入力部4が重ねて配設されている。
【0016】
そして、テープカセット21を装填させるために装置の背面に用意された開閉蓋の内側には、
図2に示すように、テープ部材31を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。カセット装填部8内には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド11及び搬送ローラ12からなるプリンター部110と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。
【0017】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印刷テープ及び剥離テープを幅方向に沿って切断する第1切断手段としてのフルカット機構17及びテープ部材31の印刷テープのみを切断する第2切断手段としてのハーフカット機構18とされた切断機構19が組み込まれている。なお、切断機構19は、フルカット機構のみを備え、ハーフカット機構を備えない場合もある。
【0018】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されている
【0019】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。そして、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されている。また、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された際にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別する、テープ幅検出スイッチ16が形成されている。
【0020】
そして、印刷装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ幅検出スイッチの幾つか或いは全部が係合し、係合したテープ幅検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ幅検出スイッチ16の組み合わせによってテープ部材31の幅等の種類を判別できるようになっている。
【0021】
これによって、この印刷装置1は、判別したテープ部材31の幅等の種類に応じて、制御部40が、該幅等に適合した印刷データを作成することができるようになっている。
【0022】
そして、この印刷装置1は、印刷の指示がされると、テープ部材31がテープカセット21から繰り出され、印刷手段とされる印刷ヘッド11により、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド11のノズルから各色を噴射することにより印刷テープに印刷が行われ、印刷が終了するとフルカット機構17又はハーフカット機構18が作動してテープ部材31が幅方向に切断され、1枚のラベルが作成される。
【0023】
次に、印刷装置1の回路構成について述べる。この印刷装置1は、
図3に示すように、制御部40を備える。そして、この制御部40には、ROM41や、RAM42等の記憶部が接続されている。また、制御部40には入力部4が接続され、表示部3は表示制御部である表示部駆動回路63を介して、制御部40によって制御可能となっている。
【0024】
制御部40は、CPUであって、入力部4からのキー入力に基づいて、又は、ROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどに基づいて、RAM42をワークメモリとして、回路各部の動作を制御する。
【0025】
そして、この制御部40には、印刷用の印刷ヘッド11を駆動するヘッド駆動回路とテープを搬送させるステップモータを駆動するステップモータ駆動回路とを有するプリンター部110を駆動するプリンター制御部109と、テープを切断するカッターモータからなる切断機構19を駆動するカッター制御部20と、が接続されている。
【0026】
また、ROM41は、印刷に供する文字列データ等を表示しこれを印刷するためのプログラムや、印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等を、制御部40によって読み取り可能に記憶する記録媒体として機能する。
【0027】
そして、ROM41は、表示用のフォントのパターンデータを記憶する表示用CG(キャラクタージェネレータ)41aを有する。また、ROM41は、印刷用のパターンデータを記憶する印刷用CG(キャラクタージェネレータ)41bを有する。
【0028】
RAM42は、印刷に供する文字列データ等が展開されたパターンデータが記憶される印刷データメモリ領域や、表示部3に表示させるパターンデータが記憶される表示データメモリ領域などが確保される記憶部とされる。また、RAM42には、印刷処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなども設けられている。
【0029】
そして、印刷装置1は、制御部40がプリンター制御部109およびカッター制御部20を制御することによってプリンター部110および切断機構19を駆動することにより、文字等の印刷に供されたデータをテープ部材31に印刷し、適宜切断することで、ラベルを作成することができる。
【0030】
入力部4は、右辺に沿って設けられアイコン表示部66、該アイコン表示部66を除く大部分である描画入力検出領域65、描画入力検出領域65の四辺に沿って設けられた分割ライン位置検出領域56〜59とを有する。
【0031】
制御部40は、印刷に供する文字列データ等を入力するための描画モードにおいて、
図4に示すように、アイコン表示部66に、描画用の鉛筆アイコン53、描画消去用の消しゴムアイコン54及び現在の入力内容をすべて消去するゴミ箱アイコン55を表示させる。描画モードでは、ユーザーはこれらのアイコンにタッチすることによって、入力部4上においてラベル作成用のデータの描画や編集を行うことができる。また描画モードでは、動作モードを分割モードに移行させるための分割アイコン51や、印刷モードに移行させるための印刷アイコン52なども同時に表示させる。
【0032】
ユーザーがタッチペン64を用いて手書き入力を行うと、制御部40は、タッチペン64によるタッチ入力位置を検出して該タッチ位置を着色表示し、タッチペン64の移動に伴って文字や図形等を、入力部4の描画入力検出領域65上に表示する。
【0033】
分割ライン位置検出領域56〜59は、描画入力検出領域65の各辺に平行な方向を長手方向、各辺に直交する方向を短手方向とする矩形の領域である。
【0034】
制御部40は、入力部4に入力されたデータの入力位置を検出する検出部として機能すると共に、入力部4に入力されたデータに基づいて表示部駆動回路63を制御して表示部3に種々の表示をさせる。
【0035】
ユーザーによって分割アイコン51がタッチされると、制御部40は、動作モードを、ユーザーによる分割指定ラインの入力を許容する分割モードへと変更する。
【0036】
ここで、本発明の第1の実施形態における印刷装置1でラベルを作成する流れについてフローチャートを用いて詳細に説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る印刷装置1によるラベル作成の流れを示すフローチャートである。
【0037】
制御部40は、描画モードとされて、
図6に示すように、作成するラベルの文字等を入力部4上において、「押印してください」と手書きで入力されると入力処理(ステップS101)を実行する。
【0038】
なお、文字入力は、
図6及び
図7(a)に示す横書きに限定されず、
図7(b)に示すように、2つのラベルに分けて印刷するために、「販売企画書(改行)半年保存!」などと縦書きされていても構わない。
【0039】
次に、ユーザーが分割アイコン51にタッチすると、制御部40は、描画モードから分割モードへとモードを切り替える処理(ステップS105)を実行する。
【0040】
分割モードにおいては、
図7(a)に示した横書きの場合、文字を挟んで左方の分割ライン位置検出領域58と右方の分割ライン位置検出領域59との間を結ぶようにかつ該文字の上側に一本の連続した手書き線(分割指定ライン)がユーザーによって入力されると、制御部40は、この手書き線を分割指定ラインとして描画入力検出領域65に表示する。また、描画入力検出領域65の左右方向をX軸、上下方向をY軸としたとき、制御部40は、
図8(a)に示すように、タッチ開始点とタッチ終了点のY座標の平均値ym1を算出し、Y=ym1となる直線を分割ライン81として、描画入力検出領域65に破線表示する。また同様に、文字を挟んで左方の分割ライン位置検出領域58と右方の分割ライン位置検出領域59との間を結ぶようにかつ該文字の下側に一本の連続した手書き線がユーザーによって入力されると、制御部40は、タッチ開始点とタッチ終了点のY座標の平均値ym2を算出し、Y=ym2となる直線を分割ライン82として、描画入力検出領域65に破線表示する。このとき、ym1−ym2がラベル幅YWとなる。
【0041】
一方、
図7(b)に示すように、2行に縦書きした文字の場合、この2行の文字列を区切るように、上方の分割ライン位置検出領域56と下方の分割ライン位置検出領域57との間を結ぶようにかつ2行の文字の間または左側の文字の左側に、手書き線がユーザーによって入力されると、制御部40は、この手書き線に基づいて、上述と同様にして、分割ライン81または分割ライン82を描画入力検出領域65に破線表示する。この場合、ラベル幅はそれぞれX1w、X2wとなっている。上述した一連の処理が、分割ラインの描画処理(ステップS110)である。
【0042】
尚、ステップS110において、上述の平均値に基づいて分割ラインを描画するのではなく、上方の分割ライン位置検出領域56または下方の分割ライン位置検出領域57へのタッチ位置を通り、かつ分割ライン位置検出領域56または分割ライン位置検出領域57に直交する直線を分割ラインとして描画する、あるいは、左方の分割ライン位置検出領域58または右方の分割ライン位置検出領域59へのタッチ位置を通り、かつ分割ライン位置検出領域58または分割ライン位置検出領域59に直交する直線を分割ラインとして描画するようにしてもよい。
【0043】
このように、分割モードでは、制御部40は、入力部4への入力がラベルに印刷されるデータ(ラベル印刷用データ)の入力ではなく、分割ライン設定のための入力であるとみなす。
【0044】
次に、ユーザーが分割アイコン51に再度タッチすると、制御部40は、分割モードから描画モードへとモードを切り替える。即ち、ユーザーは分割アイコン51にタッチすることによって、描画モードと分割モードとをトグル切替えすることができる。描画モードと分割モードのどちらにおいても、印刷アイコン52にタッチ(印刷実行操作;ステップS120)すれば、動作モードが印刷モードに移行し、制御部40は印刷処理を開始する。
【0045】
印刷処理が開始されると、制御部40は、まず、設定された分割ラインの方向を検出し、分割ラインが左右方向のときには、隣接する分割ライン間、又は、分割ラインと上部の分割ライン位置検出領域56との間、又は、分割ラインと下部の分割ライン位置検出領域57との間のどの領域にラベル印刷用データが入力されているかを検出し、ラベル印刷用データが入力されている領域を有効領域に設定する。この場合、有効領域は複数あってもよい。この処理が、データ検出処理(ステップS135)である。このようにして、本実施の形態において、制御部40は有効領域設定部として機能する。
【0046】
そして、制御部40は、例えば、
図8(a)に示したように、2本の分割ライン81,82の間を有効領域に設定し、有効領域内の「押印してください」の文字が1つのラベルに印刷される対象であるとしてセットする印刷対象セット処理(ステップS140)を行う。このようにして、本実施の形態において、制御部40は区画領域設定部として機能する。
【0047】
次に、制御部40は、分割ライン81,82が左右方向であることから、左右方向を長手方向であるとみなす長手方向決定処理(ステップS142)を行う。また、制御部40は、有効領域のアスペクト比に基づいて、該有効領域の長手方向を決定するようにしてもよい。このようにして、本実施の形態において、制御部40は長手方向決定部として機能する。
【0048】
次に、制御部40は、
図8(a)に示した印刷領域のラベル幅Ywが印刷媒体である装着されたテープ部材31のテープ幅に合うように、アスペクト比を維持しながら、ラベル印刷用データ全体を拡大または縮小する際の倍率を決定する倍率決定処理(ステップS145)を実行する。このようにして、本実施の形態において、制御部40は倍率決定部として機能する。
【0049】
ここで、
図8(a)に示した例では、長手方向決定処理において検出した長手方向が左右方向であるので、制御部40は、有効領域内のラベル印刷用データの回転処理は行わない。そして、制御部40は、プリンター制御部109を制御して、倍率決定処理において決定した倍率に従って拡大または縮小されたラベル印刷用データを印刷媒体にプリンター部110によって印刷させる、印刷処理(ステップS150)を行う。これによって、例えばラベル印刷用データが横書きの場合に、描画入力検出領域65内のラベル印刷用データの上下に、データが入力されていない大きな余白部があった場合でも、ユーザーの操作に基づいて該余白部が印刷データに含まれないようにして印刷することで、
図9に示すように、ラベル印刷用データを、ラベル幅に対して適正な大きさの文字としてラベル上に印刷することができる。
【0050】
一方、上述のデータ検出処理において、検出した分割ラインの方向が上下方向であった場合について説明する。この場合、制御部40は、隣接する分割ライン間、又は、分割ラインと左方の分割ライン位置検出領域58との間、又は、分割ラインと右方の分割ライン位置検出領域59との間のどの領域にラベル印刷用データが入力されているかを検出し、ラベル印刷用データが入力されている領域を有効領域に設定する。(データ検出処理、ステップS135)
【0051】
図8(b)に示したように、分割ラインで区画された領域が複数ある場合、制御部40は、各領域毎に上述のデータ検出処理を行う。すなわち、制御部40は、2本の分割ライン81,82の間を一つ目の有効領域に設定し、この一つ目の有効領域内の「半年保存!」の文字が1つのラベルに印刷される対象であるとしてセットするとともに、分割ライン81と右方の分割ライン位置検出領域59との間を二つ目の有効領域に設定し、この二つ目の有効領域内の「販売企画書」の文字が別の1つのラベルに印刷される対象であるとしてセットする(印刷対象セット処理、ステップS140)。
【0052】
次に、制御部40は、分割ライン81,82が上下方向であることから、上下方向を長手方向であるとみなす長手方向決定処理(ステップS142)を行う。また、制御部40は、有効領域のアスペクト比に基づいて、該有効領域の長手方向を決定するようにしてもよい。このようにして、本実施の形態において、制御部40は長手方向決定部として機能する。
【0053】
次に、制御部40は、
図8(b)に示した印刷領域の幅X1wが印刷媒体である装着されたテープ部材31のテープ幅に合うように、アスペクト比を維持しながら、ラベル印刷用データ全体を拡大または縮小する際の倍率を決定する倍率決定処理(ステップS165)を実行する。このようにして、本実施の形態において、制御部40は倍率決定部として機能する。
【0054】
図8(b)に示した例では、長手方向決定処理において検出した長手方向が左右方向ではないので、次に、制御部40は、2つの有効領域内のラベル印刷用データを、そのアスペクト比を維持したまま、反時計方向に90度回転したデータを印刷バッファ内に展開するデータ回転処理(ステップS170)を実行する。この場合、回転方向は時計方向であってもよい。また、回転角度は90度に限らず、有効領域の長手方向と入力検出領域の長手方向とがなす角度だけ回転させるものであってよい。
【0055】
そして、制御部40は、プリンター制御部109を制御して、倍率決定処理において決定した倍率に従って拡大または縮小されたラベル印刷用データを印刷媒体にプリンター部110によって印刷させる、印刷処理(ステップS150)を行う。これによって、例えばラベル印刷用データが縦書きの場合に、ラベル印刷用データをラベル幅方向に沿って印刷するのではなく、またユーザーの操作に基づいてラベル印刷用データの左右の余白部が印刷データに含まれないようにして、かつ該ラベル印刷用データ全体を90度回転してから印刷することで、
図9に示すように、ラベル印刷用データを、ラベル幅に対して適正な大きさの文字としてラベル上に印刷することができる。
【0056】
尚、上述の第1の実施形態では、
図8(b)に示したように、複数列のラベル印刷用データを複数のラベルに分けて印刷したい場合に、右側のラベル印刷用データの右側の分割指定ラインを書かずに省略し、また左右のラベル印刷用データの間の分割指定ラインを1本だけ書いた。しかし、各ラベル印刷用データの左右に手書きの分割指定ラインをそれぞれ1本ずつ、即ち、各ラベル印刷用データに対して2本ずつ、手書きの分割指定ラインを引くようにしてもよい。
【0057】
尚、分割モードにおいて、分割指定ラインは、上下の分割ライン位置検出領域56,57又は左右の分割ライン位置検出領域58,59を結ぶ手書きの分割指定ラインに基づいて分割ラインを決定するものであるとしたが、これに限らない。例えば、制御部40は、入力部4の周縁に表示される分割ライン位置検出領域56,57,58,59内のどこかにユーザーがタッチすることにより、該タッチ位置を通り上下方向に平行な直線や、又は左右方向に平行な直線を描画し、これをそのまま分割ラインとするようにしてもよい。
【0058】
この場合、分割ライン位置検出領域を四方に設けるのではなく、例えば、描画入力検出領域65の上方及び左方など、入力部4の隣接する二辺に対応する2か所のみに分割ライン位置検出領域を設けるようにしてもよい。また、ユーザーの使い勝手上等の観点から、入力部4の隣接する三辺に対応する3か所に分割ライン位置検出領域を設けるようにしてもよい。
【0059】
さらに、この変形例において、分割ライン位置検出領域や既に描画された分割ラインを再びタッチすることにより分割ラインを移動可能とし、分割ラインの位置を上下方向や左右方向に微調整できるようにしてもよい。
【0060】
また、有効領域を設定するに際し、上述の第1の実施形態では、分割ラインが直線であったが、これに限らない。以下に、分割ラインが曲線でる場合の第2の実施形態について説明する。
【0061】
この第2の実施形態では、
図10(a)に示すように、横書きでラベル用の2段の文字列が書きこまれるときに一つの文字列の文字の大きさに変化を持たせている。そして、文字列を分けるように曲線で分割指定ラインを描いた場合に、曲線の分割指定ラインで区画された範囲全体を有効領域としつつ、有効領域の分割指定ラインが上下方向に沿って最も大きく突出する部分の幅がテープ幅に合うように、アスペクト比を維持しながら、ラベル印刷用データ全体を拡大または縮小する際の倍率を決定するものである。
【0062】
この場合、分割モードにおいて、ユーザーは、
図10(a)に示したように、左方の分割ライン位置検出領域58にタッチ開始点を有し、右方の分割ライン位置検出領域59にタッチ終了点を有する手書きの曲線を手書き分割指定ライン71,72,73として入力する。これによって、描画入力検出領域65は4個の領域に区画され、そのうちの文字入力がされた区画である2か所が、制御部40によって有効領域77,78として設定される。
【0063】
一方の有効領域77の上部境界を画定する手書分割指定ライン71のうちの最も上方に突出した点を通り左右方向に平行な直線、即ち、当該点のY座標をymaxとしたときにY=ymaxとなる直線を分割ライン81として設定する。同様に、有効領域77の上部境界を画定する手書分割指定ライン72のうちの最も下方に突出した点を通り左右方向に平行な直線、即ち、当該点のY座標をyminとしたときにY=yminとなる直線を分割ライン82として設定する。これによって、
図10(c)に示すように、手書き分割指定ライン71,72に挟まれた領域に描かれた文字をラベル印刷用データとして、かつその上下に余白を有する、上下方向の幅がY1である矩形のラベル領域が、制御部40によって設定される。これによって、有効領域77全体を含む矩形領域、即ち、
図10(c)において、左右の分割ライン位置検出領域58,59および分割ライン81,82に囲まれた領域がラベル領域に設定される。
【0064】
他方の有効領域78についても同様に、上方および下方の手書き分割ライン72,73に基づいて、分割ライン83,84が設定される。これによって、
図10(c)に示すように、手書き分割指定ライン72,73に挟まれた領域に描かれた文字をラベル印刷用データとして、かつその上下に余白を有する、上下方向の幅がY2である矩形のラベル領域が、制御部40によって設定される。これによって、有効領域78全体を含む矩形領域、即ち、
図10(c)において、左右の分割ライン位置検出領域58,59および分割ライン83,84に囲まれた領域がラベル領域に設定される。
【0065】
次に、制御部40は、
図10(c)に示した印刷領域のラベル幅Y1、Y2が印刷媒体である装着されたテープ部材31のテープ幅にそれぞれ合うように、アスペクト比を維持しながら、各ラベル印刷用データ全体を拡大または縮小する際の倍率を決定する倍率決定処理を実行する。さらに、制御部40は、プリンター制御部109を制御して、倍率決定処理において決定した倍率に従って拡大または縮小されたラベル印刷用データを印刷媒体にプリンター部110によって印刷させる、印刷処理を行う。
【0066】
本第2の実施形態では、2つのラベル印刷用データの描画範囲のY座標が部分的に重複する場合であっても、分割ライン位置検出領域および手書きの分割指定ラインによって囲まれた領域内に描画されたデータのみをラベル印刷用データとしながら、かつその上下に余白を有するラベルを作成することができる。
【0067】
尚、第1の実施形態と同様、各ラベル印刷用データの上方および下方に1本ずつ、即ち、各ラベル印刷用データに対して2本ずつ、手書きの分割指定ラインを引くようにしてもよい。
【0068】
以上のように、本発明によれば、例えばラベル印刷用データが横書きの場合に、描画入力検出領域内のラベル印刷用データの上下に、データが入力されていない大きな余白部があった場合でも、ユーザーの操作に基づいて該余白部が印刷データに含まれないようにして印刷することで、ラベル印刷用データを、ラベル幅に対して適正な大きさの文字としてラベル上に印刷することができる。
【0069】
さらに、本発明によれば、例えばラベル印刷用データが縦書きの場合に、ラベル印刷用データをラベル幅方向に沿って印刷するのではなく、またユーザーの操作に基づいてラベル印刷用データの左右の余白部が印刷データに含まれないようにして、かつ該ラベル印刷用データ全体を90度回転してから印刷することで、ラベル印刷用データを、ラベル幅に対して適正な大きさの文字としてラベル上に印刷することができる。
【0070】
そして、本発明によれば、上方の分割ライン位置検出領域56または下方の分割ライン位置検出領域57へのタッチ位置を通り、かつ分割ライン位置検出領域56または分割ライン位置検出領域57に直交する直線を分割ラインとして描画する、あるいは、左方の分割ライン位置検出領域58または右方の分割ライン位置検出領域59へのタッチ位置を通り、かつ分割ライン位置検出領域58または分割ライン位置検出領域59に直交する直線を分割ラインとして描画することにより、分割指定ラインの入力を容易とすることができる。
【0071】
さらに、本発明によれば、描画入力検出領域の隣接する二辺または三辺に沿って分割ライン位置検出領域を設けることにより、分割ラインを入力可能とするとともに描画入力検出領域を広く確保することができる。
【0072】
また、本発明によれば、2つのラベル印刷用データの描画範囲のY座標が部分的に重複する場合であっても、分割ライン位置検出領域および手書きの分割指定ラインによって囲まれた領域内に描画されたデータのみをラベル印刷用データとしながら、かつその上下に余白を有するラベルを作成することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0074】
さらに、本実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行なうCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
入力検出領域を有する入力部と、
前記入力部の前記入力検出領域への入力位置を検出する検出部と、
前記入力部の前記入力検出領域を1つ以上の区画領域に区画する区画領域設定部と、
前記区画領域設定部によって区画された1つ以上の区画領域のうち、入力が検出された区画領域を有効領域とする有効領域設定部と、
該有効領域の長手方向を決定する長手方向決定部と、
前記入力検出領域への前記入力位置のデータである入力データのうち、前記有効領域に入力された前記入力データの、前記長手方向に対し直交する方向に沿った幅を、印刷媒体の短手方向に沿った幅に合せるように、前記入力データを拡大又は縮小する倍率を決定する倍率決定部と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
[請求項2]
前記長手方向決定部によって決定された前記有効領域の長手方向と、前記入力検出領域の長手方向とが異なっている場合に、前記入力データを、前記有効領域の長手方向と前記入力検出領域の長手方向とがなす角度だけ回転させるデータ回転部
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
[請求項3]
前記入力部は、前記入力検出領域の周縁に、前記分割ラインの起点が入力される領域である分割ライン位置検出領域をさらに有し、
前記区画領域設定部は、前記分割ライン位置検出領域への入力位置を通ってかつ前記入力検出領域の周縁と直交する直線を、前記分割ラインとして設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
[請求項4]
前記入力部の前記入力検出領域は矩形状であり、
前記入力検出領域の隣接する二辺に沿って前記分割ライン位置検出領域が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のデータ処理装置。
[請求項5]
前記入力部の前記入力検出領域は矩形状であり、
前記区画領域設定部は、前記入力検出領域の対向する一組の辺のうち一方の辺から他方の辺にかけて入力された手描き入力線によって少なくとも一部が画定されるように、前記区画領域を設定し、
前記有効領域設定部は、前記区画領域設定部によって設定された1つ以上の区画領域のうち、入力が検出された前記区画領域を有効領域とし、前記有効領域全体を含む矩形領域をラベル領域とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
[請求項6]
入力検出領域を有する入力部と、
前記入力部の前記入力検出領域への入力位置を検出する検出部と、
前記入力部の前記入力検出領域を1つ以上の区画領域に区画する区画領域設定部と、
前記区画領域設定部によって区画された1つ以上の区画領域のうち、入力が検出された区画領域を有効領域とする有効領域設定部と、
該有効領域の長手方向を決定する長手方向決定部と、
前記入力検出領域への前記入力位置のデータである入力データのうち、前記有効領域に入力された前記入力データの、前記長手方向に対し直交する方向に沿った幅を、印刷媒体の短手方向に沿った幅に合せるように、前記入力データを拡大又は縮小する倍率を決定する倍率決定部と、
前記倍率に応じて拡大又は縮小された前記入力データを前記印刷媒体に印刷するプリンター部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
[請求項7]
入力検出領域を有する入力部と、前記入力部の前記入力検出領域への入力位置を検出する検出部と、を備えるデータ入力装置のデータ処理方法であって、
前記入力部の前記入力検出領域を1つ以上の区画領域に区画し、
前記区画された1つ以上の区画領域のうち、入力が検出された区画領域を有効領域とし、
前記有効領域の少なくとも一部を画定する分割ラインの方向か、または、該有効領域の長手方向或いは短手方向を検出し、
前記入力検出領域への前記入力位置のデータである入力データのうち、前記有効領域に入力された前記入力データの、前記長手方向に対し直交する方向に沿った幅を、印刷媒体の短手方向に沿った幅に合せるように、前記入力データを拡大又は縮小する倍率を決定する、
ことを特徴とするデータ処理方法。
[請求項8]
入力検出領域を有する入力部と、前記入力部の前記入力検出領域への入力位置を検出する検出部と、を備えるデータ入力装置を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記入力部の前記入力検出領域を1つ以上の区画領域に区画させ、
前記区画させた1つ以上の区画領域のうち、入力を検出させた区画領域を有効領域とさせ、
前記有効領域の少なくとも一部を画定する分割ラインの方向か、または、該有効領域の長手方向或いは短手方向を検出させ、
前記入力検出領域への前記入力位置のデータである入力データのうち、前記有効領域に入力された前記入力データの、前記長手方向に対し直交する方向に沿った幅を、印刷媒体の短手方向に沿った幅に合せるように、前記入力データを拡大又は縮小する倍率を決定させる、
ことを特徴とするデータ処理プログラム。