(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を走査するガルバノスキャナと、前記レーザ光を集光しつつ加工対象物に向けて出射する光学系レンズと、を有するレーザマーカであって、
前記レーザ光の照射により加工対象物に対して行われる印字の印字タイミングを示す時間データと、印字位置を示す印字座標データとが示された印字データを読み出す印字データ読出部と、
前記印字データ読出部で読み出された前記印字データの印字座標データを、前記印字データの前記時間データと対応付けて、前記加工対象物に対する印字位置を表示する所定の表示部の表示特性に応じた表示座標データに変換する表示データ変換部と、
前記表示部に表示される印字位置を、前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データと前記時間データとに従って、印字の進行と同期させて、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で表示させる表示制御部を備え、
前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データが同一であり、且つ前記表示座標データに対応する前記時間データが異なる複数の同一表示座標データがあるか否かを判断する座標データ判断手段を備え、
前記表示制御部は、前記座標データ判断手段により、前記複数の同一表示座標データがあると判断されたとき、当該判断された前記複数の同一表示座標データを一つの共通表示座標データとし、前記共通表示座標データに基づいて、印字の進行と同期させて、前記印字位置を異なる表示態様で表示させること、を特徴とするレーザマーカ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の作業状況監視装置では、作業対象物で加工が行われている部分(位置)を撮像画像内の作業領域にて視認することができるものの、加工が行われている部分(位置)への投光が撮像画像にて行われるのみであった。
【0007】
また、下記特許文献2に記載のレーザマーキング装置では、印字必要時間が表示器に表示されるけれども、その表示内容から印字経過(印字の進みぐあい)を把握することはできなかった。
【0008】
さらに、レーザマーカでは、安全の観点から、遮蔽された空間内でレーザ光の加工による印字が行われる。そのため、印字中では、使用者は、加工対象物を直接に見ることができないことから、印字の進みぐあい(印字の進度)を知ることができなかった。
【0009】
つまり、使用者は、加工対象物において、レーザ光の加工による印字の進度(印字済の位置と未印字の位置との境界)を知ることができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、レーザ光の加工による印字の進行(印字済の位置と未印字の位置との境界)をリアルタイムに表示することが可能なレーザマーカを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、レーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を走査するガルバノスキャナと、前記レーザ光を集光しつつ加工対象物に向けて出射する光学系レンズと、を有するレーザマーカであって、前記レーザ光の照射により加工対象物に対して行われる印字の印字タイミングを示す時間データと、印字位置を示す印字座標データとが示された印字データを読み出す印字データ読出部と、前記印字データ読出部で読み出された前記印字データの印字座標データを、前記印字データの前記時間データと対応付けて、前記加工対象物に対する印字位置を表示する所定の表示部の表示特性に応じた表示座標データに変換する表示データ変換部と、前記表示部に表示される印字位置を、前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データと前記時間データとに従って、印字の進行と同期させて、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で表示させる表示制御部を備え
、前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データが同一であり、且つ前記表示座標データに対応する前記時間データが異なる複数の同一表示座標データがあるか否かを判断する座標データ判断手段を備え、前記表示制御部は、前記座標データ判断手段により、前記複数の同一表示座標データがあると判断されたとき、当該判断された前記複数の同一表示座標データを一つの共通表示座標データとし、前記共通表示座標データに基づいて、印字の進行と同期させて、前記印字位置を異なる表示態様で表示させること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項
2に係る発明は、請求項
1に記載するレーザマーカであって、所定領域に座標が存在する前記印字座標データと対応付けられた前記共通表示座標データの数を判断する共通データ判断手段を備え、前記表示制御部は、前記共通データ判断手段により判断された前記所定領域に座標が存在する前記共通表示座標データそれぞれを、前記共通データ判断手段により判断された数に分割し、印字の進行と同期させて表示させること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項
3に係る発明は、請求項1
又は請求項
2に記載するレーザマーカであって、前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データについて、前記表示座標データが示す印字位置に印字する印字時間が、所定の限定時間以上であるか否かを判断する時間判断手段を備え、前記表示制御部は、前記時間判断手段により、前記印字時間が、前記限定時間以上であると判断されたとき、前記表示座標データを、所定の基準時間に応じて分割し、印字の進行と同期させて表示させること、を特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、レーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を走査するガルバノスキャナと、前記レーザ光を集光しつつ加工対象物に向けて出射する光学系レンズと、を有するレーザマーカであって、前記レーザ光の照射により加工対象物に対して行われる印字の印字タイミングを示す時間データと、印字位置を示す印字座標データとが示された印字データを読み出す印字データ読出部と、前記印字データ読出部で読み出された前記印字データの印字座標データを、前記印字データの前記時間データと対応付けて、前記加工対象物に対する印字位置を表示する所定の表示部の表示特性に応じた表示座標データに変換する表示データ変換部と、前記表示部に表示される印字位置を、前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データと前記時間データとに従って、印字の進行と同期させて、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で表示させる表示制御部を備え、前記表示データ変換部により変換された前記表示座標データについて、前記表示座標データが示す印字位置に印字する印字時間が、所定の限定時間以上であるか否かを判断する時間判断手段を備え、前記表示制御部は、前記時間判断手段により、前記印字時間が、前記限定時間以上であると判断されたとき、前記表示座標データを、所定の基準時間に応じて分割し、印字の進行と同期させて表示させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
すなわち、請求項1
,4に係る発明であるレーザマーカでは、加工対象物に対する印字位置について、印字データの印字座標データが印字データの時間データと対応付けて変換させた表示座標データに基づいて、印字の進行と同期させながら、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で表示部に表示させる。
【0016】
よって、請求項1
,4に係る発明であるレーザマーカでは、レーザ光の加工による印字の進度(印字済の位置と未印字の位置との境界)をリアルタイムに表示することが可能である。
【0017】
また、請求項
1に係る発明であるレーザマーカでは、表示座標データが同一であり、且つ表示データに対応する時間データが異なる複数の同一表示座標データがある場合には、それらの複数の同一表示座標データを一つの共通表示座標データとして、印字の進行と同期させて、共通表示座標データに基づいて、印字位置を異なる表示態様で表示部に表示させる。
【0018】
よって、請求項
1に係る発明であるレーザマーカでは、表示座標データが同一であり、且つ表示データに対応する時間データが異なる複数の同一表示座標データが、一つの表示座標データとして扱われるので、重複して表示部に表示されることを防ぐことができる。
【0019】
また、請求項
2に係る発明であるレーザマーカでは、所定領域に座標が存在する共通表示座標データそれぞれを、所定領域に座標が存在する印字座標データと対応付けられた共通表示座標データの数に分割し、印字の進行と同期させて表示部に表示させる。
【0020】
よって、請求項
2に係る発明であるレーザマーカでは、複数の共通表示座標データが存在する所定領域について、印字の進行と同期させながら、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で印字位置を表示部に表示させることができる。
【0021】
また、請求項
3,4に係る発明であるレーザマーカでは、印字時間が所定の限定時間以上であると判断された表示座標データを、所定の基準時間に応じて分割し、印字の進行と同期させて表示部に表示させる。
【0022】
よって、請求項
3,4に係る発明であるレーザマーカでは、印字時間が所定の限定時間以上であると判断された表示座標データについて、印字の進行と同期させながら、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で表示部に表示させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るレーザマーカをレーザ加工システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
[1.レーザ加工システムの概略構成]
先ず、本実施形態に係るレーザ加工システム1の概略構成について
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るレーザ加工システム1は、パーソナルコンピュータ等から構成される印字情報作成装置2とレーザ加工装置3とから構成されている。
【0026】
印字情報作成装置2は、後述する
図2に示す印字情報作成装置2の全体を制御する制御部51、
図1に示すマウス52とキーボード53等から構成される入力操作部55、液晶ディスプレイ(LCD)56、CD−ROM57に各種データ、プログラム等を書き込み及び読み込むためのCD−R/W58等から構成されている。印字情報作成装置2には、入力操作部55により、文字、記号、図形などが入力操作される。また、入力操作部55により、液晶ディスプレイ56に表示される画像に従って、加工対象物7に対して、入力操作された文字、記号、図形などの配置位置が決定される。印字情報作成装置2は、入力操作部55による入力にしたがって、入力された文字、記号、図形などを示す画像を決定し、画像を構成する点の位置情報を示す印字情報を作成する。制御部51には、不図示の入出力インターフェースを介して入力操作部55、液晶ディスプレイ56、CD−R/W58等が接続されている。
【0027】
CD−R/W58は、
図4や
図5に示すフローチャートのプログラム等の各種アプリケーションソフトウェア等をCD−ROM57から読み込む、又は、CD−ROM57に対して書き込む。
【0028】
レーザ加工装置3は、レーザ加工装置本体部5とレーザコントローラ6とから構成されている。レーザ加工装置本体部5は、レーザ光Lを加工対象物7の加工面7Aを2次元走査して照射することによりマーキング(印字)加工を行う。
【0029】
レーザコントローラ6はコンピュータで構成され、印字情報作成装置2と双方向通信可能に接続されると共に、レーザ加工装置本体部5と電気的に接続されている。そして、レーザコントローラ6は、印字情報作成装置2から送信された印字情報、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工装置本体部5を駆動制御する。つまり、レーザコントローラ6は、レーザ加工装置3の全体を制御する。
【0030】
レーザ加工装置本体部5の概略構成について
図1に基づいて説明する。尚、レーザ加工装置本体部5の説明において、
図1の左方向、右方向、上方向、下方向が、それぞれレーザ加工装置本体部5の前方向、後方向、上方向、下方向である。そして、レーザ加工装置本体部5の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置本体部5の左右方向である。
【0031】
図1に示すように、レーザ加工装置本体部5は、本体ベース11と、レーザ光Lを出射するレーザ発振ユニット12と、光シャッター部13と、不図示の光ダンパーと、不図示のハーフミラーと、ガイド光部15と、反射ミラー16と、光センサ17と、ガルバノスキャナ18と、fθレンズ19等から構成され、不図示の略直方体形状の筐体カバーで覆われている。
【0032】
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22と、取付台23とから構成されている。レーザ発振器21は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成され、加工対象物7の加工面7Aにマーキング(印字)加工を行うためのレーザ光Lを出力する。ビームエキスパンダ22は、レーザ光Lのビーム径を調整する(例えば、ビーム径を拡大する。)ものであり、レーザ発振器21と同軸に設けられている。取付台23は、レーザ発振器21がレーザ光Lの光軸を調整可能に取り付けられ、各取付ネジ25で本体ベース11の前後方向中央位置よりも後側の上面に固定されている。
【0033】
光シャッター部13は、シャッターモータ26と、平板状のシャッター27とから構成されている。シャッターモータ26は、ステッピングモータ等で構成されている。シャッター27は、シャッターモータ26のモータ軸に取り付けられて同軸に回転する。シャッター27は、ビームエキスパンダ22から出射されたレーザ光Lの光路を遮る位置に回転された際には、レーザ光Lを光シャッター部13に対して右方向に設けられた不図示の光ダンパーへ反射する。一方、シャッター27がビームエキスパンダ22から出射されたレーザ光Lの光路上に位置しないように回転された場合には、ビームエキスパンダ22から出射されたレーザ光Lは、光シャッター部13の前側に配置された不図示のハーフミラーに入射する。
【0034】
不図示の光ダンパーは、シャッター27で反射されたレーザ光Lを吸収する。尚、不図示の光ダンパーは不図示の冷却装置によって冷却される。不図示のハーフミラーは、レーザ光Lの光路に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置される。不図示のハーフミラーは、後側から入射されたレーザ光Lのほぼ全部を透過する。また、不図示のハーフミラーは、後側から入射されたレーザ光Lの一部、例えば、レーザ光Lの1%を、反射ミラー16へ45度の反射角で反射する。反射ミラー16は、不図示のハーフミラーのレーザ光Lが入射される後側面の略中央位置に対して左方向に配置される。
【0035】
ガイド光部15は、可視可干渉光である可視レーザ光、例えば、赤色レーザ光を出射する可視半導体レーザ28(
図2参照)と、可視半導体レーザ28から出射された可視レーザ光を平行光に収束する不図示のレンズ群とから構成されている。可視レーザ光は、レーザ発振器21から出射されるレーザ光Lと異なる波長である。ガイド光部15は、不図示のハーフミラーのレーザ光Lが出射される略中央位置に対して右方向に配置されている。この結果、可視レーザ光は、不図示のハーフミラーのレーザ光Lが出射される略中央位置に、不図示のハーフミラーの前側面、つまり、反射面に対して45度の入射角で入射され、45度の反射角でレーザ光Lの光路上に反射される。
【0036】
ここで、不図示のハーフミラーの反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、不図示のハーフミラーは、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理をされており、可視レーザ光の波長に対して高い反射率を有し、レーザ光Lの波長の光はほとんど(99%)透過するように構成されている。
【0037】
反射ミラー16は、レーザ光Lの光路に対して平行な前後方向に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置され、不図示のハーフミラーの後側面において反射されたレーザ光Lの一部が、反射面の略中央位置に対して45度の入射角で入射される。そして、反射ミラー16は、反射面に対して45度の入射角で入射されたレーザ光Lを45度の反射角で前側方向へ反射する。
【0038】
光センサ17は、レーザ光Lの発光強度を検出するフォトディテクタ等で構成され、反射ミラー16のレーザ光Lが反射される略中央位置に対して、
図1中、前側方向に配置されている。この結果、光センサ17は、反射ミラー16で反射されたレーザ光Lが入射され、この入射されたレーザ光Lの発光強度を検出する。従って、光センサ17を介してレーザ発振器21から出力されるレーザ光Lの発光強度を検出することができる。
【0039】
ガルバノスキャナ18は、本体ベース11の前側端部に形成された貫通孔の上側に取り付けられ、レーザ発振ユニット12から出射されたレーザ光Lと、不図示のハーフミラーで反射された可視レーザ光とを下方へ2次元走査するものである。ガルバノスキャナ18は、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32とが、それぞれのモータ軸が互いに直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入されて本体部33に取り付けられ、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラーが内側で互いに対向している。そして、各モータ31、32の回転をそれぞれ制御して、各走査ミラーを回転させることによって、レーザ光Lと可視レーザ光とを下方へ2次元走査する。この2次元走査方向は、前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)である。
【0040】
fθレンズ19は、ガルバノスキャナ18によって2次元走査されたレーザ光Lと可視レーザ光とを下方に配置された加工対象物7の加工面7Aに集光する。従って、各モータ31、32の回転を制御することによって、レーザ光Lと可視レーザ光が、加工対象物7の加工面7A上において、所望の印字パターンで前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)に2次元走査される。
【0041】
次に、レーザ加工システム1を構成する印字情報作成装置2とレーザ加工装置3の回路構成について
図2に基づいて説明する。先ず、レーザ加工装置3の回路構成について
図2に基づいて説明する。
【0042】
図2に示すように、レーザ加工装置3は、レーザ加工装置3の全体を制御するレーザコントローラ6、ガルバノコントローラ35、ガルバノドライバ36、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38等から構成されている。レーザコントローラ6には、ガルバノコントローラ35、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、光センサ17、シャッターモータ26等が電気的に接続されている。また、レーザコントローラ6には、外部の印字情報作成装置2が双方向通信可能に接続され、印字情報作成装置2から送信された印字情報、レーザ加工装置本体部5の制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等を受信可能に構成されている。
【0043】
レーザコントローラ6は、レーザ加工装置3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、RAM42、ROM43、時間を計測するタイマ44等を備えている。また、CPU41、RAM42、ROM43、タイマ44は、不図示のバス線により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
【0044】
RAM42は、CPU41により演算された各種の演算結果や印字パターンのXY座標データ等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM43は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、印字情報作成装置2から送信された印字情報に示される画像の位置情報から、位置情報の連続する点を1本の直線または楕円弧の線とし、線ごとにXY座標データと、そのXY座標データに従って線をレーザ光Lにより加工対象物7に印字するタイミングを示す印字タイミングとが対応付けられた印字パターンを算出してRAM42に記憶する等の各種プログラムが記憶されている。ROM43には、フォントの種類別に、直線と楕円弧とで構成された各文字のフォントの始点、終点、焦点、曲率等のデータが記憶されている。例えば、印字パターンには、直線または楕円弧からなる線ごとに、各線について少なくとも印字開始点と印字終了点とを示すXY座標データが含まれる。各XY座標データには、加工順序が定められる。印字パターンは、ROM43に記憶されたデータに基づいて各種プログラムにより算出される。
【0045】
また、ROM43には、印字情報作成装置2から受信した印字情報に対応する印字パターンの太さ、深さ及び本数、レーザ発振器21のレーザ出力、レーザ光Lのレーザパルス幅、ガルバノスキャナ18によるレーザ光Lを走査する速度を表すガルバノ走査速度情報等の各種制御パラメータをRAM42に格納するプログラムが記憶されている。印字パターンの印字タイミングは、XY座標データにより構成される直線または楕円弧ごとに、ガルバノ走査速度情報に従って印字所要時間が求められる時間データである。
【0046】
そして、CPU41は、かかるROM43に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算及び制御を行なうものである。例えば、CPU41は、印字情報作成装置2から入力された印字情報に基づいて算出した印字パターンのXY座標データおよび印字タイミング、ガルバノ走査速度情報等をガルバノコントローラ35に出力する。また、CPU41は、印字情報作成装置2から入力された印字情報に基づいて設定したレーザ発振器21のレーザ出力、レーザ光Lのレーザパルス幅等のレーザ駆動情報をレーザドライバ37に出力する。CPU41は、光センサ17から入力されたレーザ光Lの発光強度に基づいて、レーザ発振器21のレーザ出力制御信号をレーザドライバ37に出力する。
【0047】
CPU41は、可視半導体レーザ28の点灯開始を指示するオン信号又は消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ38に出力する。CPU41は、シャッターモータ26に対して、シャッター27をレーザ光Lの光路を遮る位置に回転させるように指示する遮光指示信号、又は、シャッター27をレーザ光Lの光路を遮らない位置に回転させるように指示する開放指示信号を出力する。
【0048】
ガルバノコントローラ35は、レーザコントローラ6から入力された印字パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報をガルバノドライバ36へ出力する。ガルバノドライバ36は、ガルバノコントローラ35から入力された駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、レーザ光Lと可視レーザ光を2次元走査する。
【0049】
レーザドライバ37は、レーザコントローラ6から入力されたレーザ発振器21のレーザ出力、レーザ光Lのレーザパルス幅等のレーザ駆動情報と、レーザ発振器21のレーザ出力制御信号等に基づいて、レーザ発振器21を駆動する。また、半導体レーザドライバ38は、レーザコントローラ6から入力されたオン信号又はオフ信号に基づいて、可視半導体レーザ28を点灯駆動又は、消灯する。
【0050】
次に、印字情報作成装置2の回路構成について
図2に基づいて説明する。
図2に示すように、印字情報作成装置2の制御部51は、印字情報作成装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU61、RAM62、ROM63、時間を計測するタイマ65、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)66等を備えている。また、CPU61、RAM62、ROM63、タイマ65は、不図示のバス線により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。また、CPU61とHDD66は、不図示の入出力インターフェースを介して接続され、相互にデータのやり取りが行われる。
【0051】
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、
図4や
図5に示すフローチャートのプログラム等を記憶している。尚、
図4や
図5に示すフローチャートのプログラムは、HDD66に記憶されていてもよいし、CD−ROM57等の記憶媒体から読み込まれてもよいし、図示しないインターネットなどのネットワークからダウンロードされてもよい。
【0052】
また、HDD66は、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、各種データファイルを記憶するものであり、少なくとも記憶領域等が設けられている。
【0053】
[2.本発明の概要]
次に、上記のように構成されたレーザ加工システム1で実施可能な本発明の概要の一例について説明する。液晶ディスプレイ56上の編集画面では、
図3に示すように、マーキング(印字)加工後の「Laser Marking」の文字列を表した画像101と、マーキング(印字)加工中の「ABCDEFGHIJ」の文字列を表した画像102と、マーキング(印字)加工前の「abcdefghijklmn」の文字列を表した画像103とが表示される。画像101と、画像102と、画像103は、それぞれ、マーキング(印字)加工後、加工中、加工前のいずれの文字列であるかを識別可能に表示される。例えば、マーキング(印字)加工後、加工中、加工前の文字列により、文字列の表示濃度を異ならせて表示される。
【0054】
特に、マーキング(印字)加工中の「ABCDEFGHIJ」の文字列を表した画像102はエンハンス表示される。画像102は、エンハンス表示として例えば、画像101および画像103より、表示濃度が濃い色により強調表示される。これにより、マーキング(印字)加工の進行状態がリアルタイムで液晶ディスプレイ56上の編集画面に表示される。また、画像102は、「ABCDEFGHIJ」の文字列のうち、マーキング(印字)加工の進度に応じて、加工中の文字について加工の進行状態が順次更新されて表示される。
【0055】
[3.制御処理]
次に、上記のように構成されたレーザ加工システム1の印字情報作成装置2のCPU61が実行する制御処理を
図4と
図5に基づいて説明する。
【0056】
尚、
図3に示された液晶ディスプレイ56上の編集画面では、行毎のエンハンス表示でマーキング(印字)加工の進行状態がリアルタイムで表示されるが、
図4と
図5にフローチャートで示されるプログラムが実行された際は、文字列ブロック毎に行われるエンハンス表示でマーキング(印字)加工の進行状態がリアルタイムで表示される。
【0057】
図4に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU61は、1つの加工対象物7の加工面7Aに印字する処理を1加工処理として、1加工処理分の印字データの読み出しを行う。S11において読み出す印字データは、印字情報作成装置2の印字情報であり、印字情報作成装置2から読み出す。S11では、印字データが読み出されるとともに、液晶ディスプレイ56の解像度を、印字情報作成装置2から取得する。S11において読み出される1加工処理分の印字データには、少なくとも1つの文字列または図形ブロックを示す印字データが含まれる。1つの文字列または図形ブロックを示す印字データを、1つの印字データ(文字列ブロック)と定義して、以下を説明する。
【0058】
S12では、CPU61は、表示データ変換処理を行う。表示データ変換処理では、
図5のフローチャートに示された各処理が行われる。
【0059】
図5のフローチャートでは、先ず、S21において、1画面(1加工処理)中の1つの印字データ(文字列ブロック)を読み出しが、CPU61によって行われる。
【0060】
S22では、CPU61は、上記S21で読み出した印字データ(文字列ブロック)の座標を、各線ごとに基本表示データに変換する。基本表示データとは、印字データ(文字列ブロック)を、レーザ光Lの走査によるマーキング(印字)加工の進行状態を、液晶ディスプレイ56に、表示するためのデータである。S22では、印字データ(文字列ブロック)に基づいて、印字パターンのXY座標データを、液晶ディスプレイ56の解像度に合わせて変換する処理が行われる。具体的には、加工対象物7に照射されるレーザ光Lのビーム径と、液晶ディスプレイ56の解像度とを比較し、液晶ディスプレイ56において、レーザ光Lの走査軌跡を表現する場合に、液晶ディスプレイ56の1画素内に、何本のレーザ光Lを含んで表現されるかが算出される。例えば、レーザ光Lのビーム径が、約0.1mmであり、液晶ディスプレイ56の1画素の径が、約0.3mmである場合、液晶ディスプレイ56の1画素には、3本のレーザ光Lの走査軌跡を含んで表現される。
【0061】
S22では、レーザ光Lのビーム径と、液晶ディスプレイ56の解像度とが比較された結果を用いて、印字パターンの各線のXY座標が、液晶ディスプレイ56に表示される場合の液晶ディスプレイ56に表示するときの表示開始点から表示終了点までのXY座標に変換される。すなわち、前述のように、液晶ディスプレイ56の1画素には、3本のレーザ光Lの走査軌跡を含んで表現される場合、印字パターンにおける3本の線のXY座標が、液晶ディスプレイ56におけるXY座標が同一である3本の線に変換される。S22が実行されるとき、印字パターンにおいて各線のXY座標と対応付けられた印字タイミングは、そのまま、液晶ディスプレイ56におけるXY座標に対応する印字タイミングとして引き継がれる。すなわち、印字パターンにおける3本の線のXY座標が、液晶ディスプレイ56における座標が同一のXY座標に変換された場合、液晶ディスプレイ56におけるXY座標に変換された3本の線は、XY座標が同一であるが、それぞれ異なる印字タイミングが対応づけられている。S22において、印字パターンに対し、XY座標が、液晶ディスプレイ56におけるXY座標に変換され、且つそれぞれ異なる印字タイミングが対応付けられたデータが、基本表示データである。なお、S22では、S21において読み出された1つの印字データ(文字列ブロック)を構成するすべての線のXY座標を、基本表示データに変換する処理が行われる。
【0062】
S24では、CPU61は、XY座標が同じ基本表示データが連続しているか否かを判定する。具体的には、S24では、ステップS22において変換された1つの印字データ(文字列ブロック)を構成する基本表示データにより、加工順序が1番の線から、加工順序が連続する線であって、且つ、液晶ディスプレイ56におけるXY座標が同一の線が存在するか否かが判断される。液晶ディスプレイ56におけるXY座標が同一の線が連続して存在すると判断される間は、S24の処理が、繰り返し実行される。S24において、加工順序が1番の線から判断される過程において、液晶ディスプレイ56におけるXY座標が同一の線が連続して存在すると判断し、その後、加工順序が連続する線について、液晶ディスプレイ56におけるXY座標が異なる線が判断対象となったとき、S24のXY座標が同じ基本表示データが連続しているか否かの判定を完了し、S24においてYESと判断し、S25の処理を実行する。S24において、液晶ディスプレイ56におけるXY座標が同一の線が連続して存在すると判断しないとき、S24の処理はNOと判断し、ステップS28の処理を実行する。
【0063】
S25では、CPU61は、S24において、液晶ディスプレイ56におけるXY座標が同一の線が連続して存在すると判断した複数の基本表示データのすべてを1本化した第1表示データを作成する。第1表示データには、XY座標と、XY座標に対応付けられた印字タイミングとが含まれる。このとき、第1表示データにおいて、XY座標とともに対応付けられる印字タイミングとしては、作成された第1表示データの作成元となった複数の基本表示データに対応付けられた印字タイミングに示される印字所要時間の合計が対応付けられる。
【0064】
S26では、CPU61は、所定領域ごとに、第1表示データが所定数以上であるか否かを判定する。ここで、所定領域ごとの第1表示データが所定数以上でない場合(S26:NO)には、後述するS28に進む。これに対して、所定領域ごとの第1表示データが所定数以上である場合(S26:YES)には、S27に進む。
【0065】
S27では、CPU61は、S26において、所定領域ごとの第1表示データが所定数以上あると判断されたとき、判断された第1表示データを構成する線について、判断した第1表示データの数により、第1表示データの座標を分割した第2表示データを作成する。具体的には、第1表示データを構成する線について、XY座標のうち、表示開始点から表示終了点までのX座標を、判断された第1表示データの数により分割する。例えば、所定領域に第1表示データが3つあるとき、表示開始点から表示終了点までのX座標が3分割された第2表示データが作成される。作成された第2表示データには、XY座標と対応付けて、判断された第1表示データに対応付けられた印字所要時間の合計の3分の1の時間が、第2表示データの印字所要時間として対応付けられる。
【0066】
S28では、CPU61は、基本表示データ、またはS25において作成された第1表示データ、またはS27において第2表示データが作成された場合は第2表示データのいずれか判断対象の表示データの印字所要時間が、予め定められた限定時間以上であるか否かを判定する。ここで、表示データの所要時間が限定時間以上でない場合(S28:NO)には、後述するS30に進む。これに対して、表示データの所要時間が限定時間以上である場合(S28:YES)には、S29に進む。
【0067】
S29では、CPU61は、表示データを限定時間単位で分割した第3表示データを作成する。例えば、S28において判断される基本表示データ、第1表示データまたは第2表示データのいずれか判断対象の表示データの印字所要時間が9秒であり、限定時間が3秒と定められていたとき、判断対象の表示データは、3分割される。S28において判断される判断対象の表示データの印字所要時間が11秒であり、限定時間が3秒と定められていたとき、判断される判断対象の表示データは、4分割される。S28において、基本表示データ、第1表示データまたは第2表示データが分割されるとき、分割方法は、S27と同様である。例えば、判断対象の表示データが分割されるとき、判断対象の表示データのXY座標のうち、表示開始点から表示終了点までのX座標およびY座標の変化量が分割される。X座標及びY座標の変化量が分割されて作成される各表示データが、第3表示データとなる。第3表示データには、XY座標と対応付けて、限定時間または限定時間より短い時間が印字所要時間として対応付けられる。S28において判断される判断対象の表示データの印字所要時間が11秒であり、限定時間が3秒と定められていたときに、判断される判断対象の表示データは、4分割された場合は、印字所要時間が3秒の第3表示データが3つと、印字所要時間が2秒の第3表示データが1つ作成される。
【0068】
S30では、CPU61は、作成された1または複数の表示データを、1つの印字データ(文字列ブロック)を構成する最終表示データとする。基本表示データ、またはS25において作成された第1表示データ、またはS27において第2表示データが作成された場合は第2表示データ、またはS30において第3表示データが作成された場合は第3表示データが、最終表示データとされる。
【0069】
S31では、CPU61は、1つの印字データ(文字列ブロック)について、全ての基本表示データの判定が終了したか否かを判定する。ここで、1つの印字データ(文字列ブロック)について、全ての基本表示データの判定が終了していない場合(S31:NO)には、上記S23に戻って、上記S23以降の各処理が繰り返される。これに対して、1つの印字データ(文字列ブロック)について、全ての基本表示データの判定が終了している場合(S31:YES)には、S32に進む。
【0070】
S32では、CPU61は、1画面(1加工処理)分の印字データ(文字列ブロック)が全て判定終了したか否かを判定する。ここで、1画面(1加工処理)分の印字データ(文字列ブロック)が全て判定終了していない場合(S32:NO)には、上記S21に戻って、上記S21以降の各処理が繰り返される。これに対して、1画面(1加工処理)分の印字データ(文字列ブロック)が全て判定終了した場合(S32:YES)には、
図4に戻って、S13に進む。
【0071】
図4のS13では、CPU61は、印字情報を印字前を示す状態で液晶ディスプレイ56に表示する。
【0072】
S14では、決定された最終表示データのXY座標と、印字タイミングとがCPU61により読み出される。
【0073】
S15では、CPU61は、印字開始指示を行う。印字開始指示は、レーザコントローラ6に対して行われる。
【0074】
S16では、CPU61は、S14において読み出された最終表示データのXY座標と、印字タイミングとに従って、液晶ディスプレイ56に表示される画像を構成する各線の表示の更新を開始する表示開始指示を行う。表示開始指示が行われると、液晶ディスプレイ56に表示される画像の各線が、印字前状態から印字後状態に変更される。
【0075】
[4.まとめ]
すなわち、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、加工対象物7に対する印字位置について、印字データの印字座標データが印字データの時間データと対応付けて変換させた表示座標データに基づいて(S12)、印字の進行と同期させながら(S15)、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で液晶ディスプレイ56に表示させる(S13,S16)。
【0076】
よって、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、レーザ光Lのマーキング(印字)加工による印字の進行(印字済の位置と未印字の位置との境界)をリアルタイムに表示することが可能である。
【0077】
また、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、表示座標データが同一であり、且つ表示データに対応する時間データが異なる複数の同一表示座標データがある場合(S24:YES)には、それらの複数の同一表示座標データを一つの第1表示データ(共通表示座標データ)として(S25)、印字の進行と同期させて(S15)、共通表示座標データに基づいて液晶ディスプレイ56に表示させる(S16)。
【0078】
よって、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、表示座標データが同一であり、且つ表示データに対応する時間データが異なる複数の同一表示座標データが、一つの表示座標データとして扱われるので、重複して液晶ディスプレイ56に表示されることを防ぐことができる。
【0079】
また、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、所定領域に座標が存在する共通表示座標データそれぞれを、所定領域に座標が存在する印字座標データと対応付けられた共通表示座標データの数に分割し(S27)、印字の進行と同期させて(S15)、液晶ディスプレイ56に表示させる(S16)。
【0080】
よって、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、複数の共通表示座標データが存在する所定領域について、印字の進行と同期させながら(S15)、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で印字位置を液晶ディスプレイ56に表示させることができる(S13,S16)。
【0081】
また、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、印字時間が所定の限定時間以上であると判断された表示座標データを、所定の基準時間に応じて分割し(S29)、印字の進行と同期させて(S15)、液晶ディスプレイ56に表示させる(S16)。
【0082】
よって、本実施形態に係るレーザ加工システム1では、印字時間が所定の限定時間以上であると判断された表示座標データについて、印字の進行と同期させながら(S15)、印字済の位置と未印字の位置とを異なる表示態様で液晶ディスプレイ56に表示させることができる(S13,S16)。
【0083】
[5.その他]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、
図5のS26とS27において、所定領域ごとの第1表示データ(共通表示座標データ)が、1本であれば1分割(=分割なし)、2本であれば2分割・・・のように存在本数の数で分割して、第2表示データを作成してもよい。