特許第6036758号(P6036758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036758
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】通行人誘導装置及び通行人誘導方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 11/00 20060101AFI20161121BHJP
   G09F 25/00 20060101ALI20161121BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   E01F11/00
   G09F25/00 J
   G09B21/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-152995(P2014-152995)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-30932(P2016-30932A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2014年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】井出 充
(72)【発明者】
【氏名】池谷 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 実江
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐三
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−025618(JP,A)
【文献】 特開2004−133701(JP,A)
【文献】 特開2007−204227(JP,A)
【文献】 特開2008−190120(JP,A)
【文献】 特開平08−221025(JP,A)
【文献】 特開2005−143892(JP,A)
【文献】 特開平11−306481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
G09B 21/00
G09F 25/00
A61F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行路に沿って埋設された通行人誘導装置であって、
通行する物体が前記通行人誘導装置に達したことを検出する検出部と、
前記検出部からの信号に基づき、前記通行する物体が誘導対象となる通行人であるか否かを判断し、通行人の場合には駆動指令信号を出力する制御部と、
前記駆動指令信号に基づき、進行方向を示す振動パターンを発生する複数の振動発生部と、
複数の前記振動発生部と連結されて、前記歩行路の路面と同一面をなす誘導体と、
を備えることを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通行人誘導装置であって、
前記検出部は、
通行する物体の重さを検出する荷重検出器と、
前記物体の温度を検出する生体検出器と、
を備えることを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通行人誘導装置であって、
前記制御部は、前記荷重検出器からの信号強度が予め設定された荷重閾値より大きく、
かつ、前記生体検出器からの信号強度が予め設定された生体判断閾値より大きい場合に、通行する物体は誘導対象の通行人であると判断することを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通行人誘導装置であって、
前記通行人誘導装置が設置された位置の通行路が、直進路、左折路、直進・左折路、右折路、直進・右折路、十字路、行止り路の何れであるかを示す振動パターンが前記制御部に予め登録されて、該制御部が誘導対象の通行人であると判断した場合に、登録されている前記振動パターンを内容とする前記駆動指令信号を出力することを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通行人誘導装置であって、
通行人の目的地を目的地情報として格納した情報提供器を有して、当該通行人が歩行携帯するICカードと、
前記情報提供器と通信して前記目的地情報を取得して、前記制御部に出力する情報読取器と、を備え、
前記制御部は、前記目的地情報に基づき前記通行人を目的地に誘導するための前記駆動指令信号を前記振動発生部に出力することを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通行人誘導装置であって、
目的地を案内する案内図を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記情報提供器から取得した前記目的地情報に含まれる目的地に該当する前記案内図を前記表示部に表示させることを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の通行人誘導装置であって、
前記制御部は、前記情報提供器から取得した前記目的地情報により、前記通行人が進行方向を変更する必要が有ると判断した場合、現時点より一歩先の前記通行人誘導装置で進路変更誘導がされることを予告する前記駆動指令信号を出力することを特徴とする通行人誘導装置。
【請求項8】
歩行路に沿って埋設された誘導方法であって、
通行する物体が前記誘導方法に達したことを検出部が検出するステップと、
前記検出部からの信号に基づき、前記通行する物体が誘導対象となる通行人であるか否かを判断し、通行人の場合には駆動指令信号を制御部が出力するステップと、
前記駆動指令信号に基づき、進行方向を示す振動パターンを複数の振動発生部が発生して、前記歩行路の路面と同一面をなす誘導体を振動させるステップと、
を含むことを特徴とする誘導方法。
【請求項9】
請求項8に記載の誘導方法であって、
前記検出部は、
通行する物体の重さを検出する荷重検出器と、
前記物体の温度を検出する生体検出器と、
を含むことを特徴とする誘導方法。
【請求項10】
請求項9に記載の誘導方法であって、
前記検出部の通行する物体の重さを検出する荷重検出器からの信号強度が予め設定された荷重閾値 より大きく、かつ、前記物体の温度を検出する生体検出器からの信号強度が予め設定された生体判断閾値 より大きい場合に、通行する物体は誘導対象の通行人であると判断するステップを含むことを特徴とする誘導方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の誘導方法であって、
予め登録された、前記誘導する位置の通行路が、直進路、左折路、直進・左折路、右折路、直進・右折路、十字路、行止り路の何れであるかを示す振動パターンを内容とする前記駆動指令信号を出力するステップを含むことを特徴とする誘導方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載の誘導方法であって、
通行人の目的地を目的地情報として格納した情報提供器と通信して前記目的地情報を取得するステップと、
前記目的地情報に基づき前記通行人を目的地に誘導するための前記駆動指令信号を前記制御部に出力させるステップと、を含むことを特徴とする誘導方法。
【請求項13】
請求項12に記載の誘導方法であって、
目的地を案内する案内図を表示する表示部に、前記目的地情報に含まれる目的地に該当する前記案内図を表示させるステップを含むことを特徴とする誘導方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の誘導方法であって、
前記目的地情報により、前記通行人が進行方向を変更する必要が有ると判断した場合に、現時点より一歩先の前記誘導方法で進路変更誘導がされることを予告する前記駆動指令信号を出力するステップを含むことを特徴とする誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行人誘導装置及び通行人誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚障害者の歩行を助けるために、点字ブロックが敷設されている。この場合、視覚障害者は、白杖により点字ブロックの凸部を感知して、歩行進路を判断する。
【0003】
しかし、点字ブロックは、例えばハイヒールを履いた人(視覚障害者であるか健常者であるかを問わない)、足の不自由な人等には、却って障害となることがある。また、乳母車、車イス、キャリーバック等の通行を阻害する場合がある。
【0004】
即ち、点字ブロックには凸部が設けられているため、接地面積の小さいハイヒールが凸部に乗ると、不安定となってしまう。また、足を高く上げることが困難な足の不自由な人等は、足が凸部に引っ掛かって転倒したりすることがある。さらには、乳母車、車イス、キャリーバック等の車輪が凸部に当たると、スムースな移動が困難となることがある。
【0005】
このように点字ブロックは、視覚障害者にとって有益な設備であるものの、上述したような種々の問題を抱えている。
【0006】
このような問題に対して、例えば特開平9−25618号公報には、図10に示すような、凸部を排除した視覚障害者用保安装置が開示されている。この視覚障害者用保安装置は、防水型の可聴音発生装置101が地面に埋設されて、送信機127を視覚障害者が携帯する構成となっている。そして、送信機127の指令に応答して可聴音発生装置101が情報音を発生して、この音により視覚障害者が進路を判断するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−25618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開平9−25618号公報にかかる視覚障害者用保安装置は、視覚障害者の誘導に音を利用する構成であるため、例えば雑踏等では騒音に紛れて聞き取り難い問題があると共に、夜間等の静かなときには、他の人に無用な音として聞こえてしまう問題がある。
【0009】
そこで、本発明の主目的は、視覚障害者以外の人に対しても不便にならないように通行人誘導装置及び通行人誘導方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、歩行路に沿って埋設されて通行人を誘導する通行人誘導装置にかかる発明は、通行する物体が通行人誘導装置に達したことを検出する検出部と、検出部からの信号に基づき、通行する物体が誘導対象となる通行人であるか否かを判断し、通行人の場合には駆動指令信号を出力する制御部と、駆動指令信号に基づき振動を発生する複数の振動発生部と、複数の振動発生部と連結されて、通行路面と同一面をなす誘導体と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、歩行路に沿って埋設されて通行人を誘導する誘導方法にかかる発明は、通行する物体が誘導方法に達したことを検出部が検出するステップと、検出部からの信号に基づき、通行する物体が誘導対象となる通行人であるか否かを判断し、通行人の場合には駆動指令信号を制御部が出力するステップと、駆動指令信号に基づき振動を複数の振動発生部が発生して、通行路面と同一面をなす誘導体を振動させるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、振動により通行人に進路を案内するので、視覚障害者で有るか否かにかかわらず、かつ、歩行に障害を発生させることなく歩行誘導できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態にかかる通行人誘導装置の利用形態の模式図である。
図2】通行人誘導装置の構成を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。
図3】通行人誘導装置のブロック図である。
図4】誘導処理を示すフローチャートである。
図5】歩行路の態様及び振動パターンを例示した図で、(a)は直線路、(b)は左折路、(c)は直進・左折路、(d)は右折路、(e)は直進・右折路、(f)は十字路、(g)は停止路を示す図である。
図6】第2実施形態にかかる通行人誘導装置のブロック図である。
図7】案内面を表示する様子を例示した図で、(a)は表示できる案内図を全て表示した状態、(b)は案内図を全て非表示にした状態(通常状態)、(c)は誘導に関する案内図のみを表示した状態(誘導状態)である。
図8】誘導処理手順を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態にかかる通行人誘導装置の利用形態を例示した模式図である。
図10】関連技術の説明に適用される視覚障害者用保安装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態にかかる通行人誘導装置2Aの利用形態の模式図である。図1においては、歩行路に沿って複数の通行人誘導装置2Aが埋設されている。図2は、通行人誘導装置2Aの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。図3は、通行人誘導装置2Aのブロック図である。
【0015】
通行人誘導装置2Aは、点字ブロックと概ね同一寸法の直方体からなる構造体の筐体10を備えて、歩行路に埋設される。筐体10は気密状態に形成されて、筐体10の上部には誘導体12が歩行路の路面と同一平面をなすように設けられている。また、筐体10の内部には検出部20、振動発生部30、制御部40が設けられている。
【0016】
誘導体12は、剛性の大きい材料(例えば金属板、コンクリート板、硬質樹脂板)により形成された板状部材で、振動発生部30と連結されている。
【0017】
振動発生部30は、圧電素子等から形成されたデバイスで、マトリックス状に複数配置されている。そして、制御部40からの振動指令信号に基づき振動発生部30は振動して、誘導体12を振動させる。なお、複数の振動発生部30は、支持台11を介して筐体10に固定載置されている。
【0018】
検出部20は、通行人(人、動物、無機物であるかを問わない)の重さを検出して荷重信号を制御部40に出力する圧力センサ等の荷重検出器21、通行人の温度等の生態情報を検出して生体信号を出力する人感センサ等の生体検出器22を備える。
【0019】
荷重検出器21(21a〜21d)は、図2(a)に示すように、通行人誘導装置2Aの4方の辺近傍で、かつ、辺中央位置に設けられている。これにより、通行人の進入方向に対応した荷重検出器21が、他の荷重検出器21より時間的に早く通行人を検出することができる。即ち、4つの荷重検出器21の出力信号の時間的変化から通行人の進行方向が判断できる。例えば、図2(a)で、通行人が矢印Daの方向に歩行しているとする。このとき荷重検出器21cは他の荷重検出器21b〜21dより先(時間的に先)に、荷重を検出することになるので、制御部40は、通行人の進行方向を判断することが可能になる。
【0020】
制御部40は、荷重信号や生体信号を受信して、これらに基づき振動指令信号を生成して、振動発生部30に出力する。図4は、制御部40における誘導処理を示すフローチャートである。以下の説明では、図1に示すように、交差点に設けられている通行人誘導装置2Aが行う誘導処理を例に説明する。このとき、通行人の歩行方向は、矢印Dの方向として、ハッチングで示した通行人誘導装置2Aに達したとする。
【0021】
ステップSA1、SA2: 通行人誘導装置2Aの各荷重検出器21は荷重信号を制御部40に出力する。制御部40は、各荷重検出器21からの荷重信号を予め格納している荷重閾値と比較して、荷重信号が荷重閾値より大きい場合には、通行人を検出したと判断する。このとき、通行人は、保護者と共に歩いている幼児、犬、一時的に置かれた手荷物等の非誘導対象である場合がある。そこで、荷重閾値を幼児の体重(例えば、20kg)のように設定する。これにより、制御部40は、荷重信号が荷重閾値より大きい場合には、誘導対象の通行人であると判断し、荷重信号が荷重閾値より小さい場合には、非誘導対象の通行人と判断する。
【0022】
ステップSA3: 次に、制御部40は、生体信号が予め格納されている生体判断閾値以上であるか否かを判断する。荷重信号が荷重閾値より大きい場合でも、例えば自転車が通行したり、キャリアバックが通行したりすることがある。このような通行人は非誘導対象である。そこで、生体判断閾値を体温(例えば、33度)のように設定する。これにより、制御部40は、生体信号が生体判断閾値以上であるか否かを判断し、生体信号が生体判断閾値以上の場合には、通行人が体温のある歩行者であると判断する。
【0023】
ステップSA4: 荷重信号が荷重閾値より小さい場合や生体信号が生体判断閾値より低い場合は、通行人が通過したとして、ステップSA4に進み、振動発生部30による振動の発生が停止される。無論、振動発生部30が停止しているときは、停止状態が継続される。
【0024】
ステップSA5: 以上により、制御部40は、通行人が誘導対象の通行人であると判断したことになる。図5は、歩行路の態様(左側の図)及び振動パターン(右側の図)を例示した図で、(a)は直線路、(b)は左折路、(c)は直進・左折路、(d)は右折路、(e)は直進・右折路、(f)は十字路、(g)は停止路を示している。このとき、紙面上側を北、下側を南、右側を東、左側を西とし、進行路の態様を左側に、振動パターンを右側に示している。
【0025】
図5(a)の直線路における振動パターン(直線路振動パターン)は、W−E方向列の振動発生部30が同期して振動し、この振動がN方向に進行する。図5(b)の左折路における振動パターン(左折路振動パターン)は、W−E方向列の振動発生部30が同期して振動し、この振動がE−W方向に進行する。図5(c)の直進・左折路における振動パターン(直進・左折路振動パターン)は、SW−NE方向列の振動発生部30が同期して振動し、この振動がES−WN方向に進行する。図5(d)の右折路における振動パターン(右折振動パターン)は、N−S方向列の振動発生部30が同期して振動し、この振動がW−S方向に進行する。図5(e)の直進・右折路における振動パターン(直進・右折振動パターン)は、WN−ES方向列の振動発生部30が同期して振動し、この振動がWN−ES方向に進行する。図5(f)の十字路における振動パターン(十字路振動パターン)は、全ての振動発生部30が同期して振動する。図5(g)の停止路における振動パターン(停止振動パターン)は、W−E方向列の振動発生部30が同期して振動し、この振動がN−S方向に進行する。なお、上記振動パターンはサイクリックに繰り返すサイクル振動である。また、各図における矢印は、振動の進行方向を示している。
【0026】
ステップSA5: そこで、制御部40は、予め設定された振動パターンに応じて振動発生部30を駆動する。即ち、例えば図5(b)に示す右折路のコーナに設けられた通行人誘導装置2Aの制御部40には、右折路パターンが予め登録されている。そこで、制御部40は通行人を検出すると、右折路パターンの駆動指令信号を振動発生部30に出力する。振動発生部30の振動は誘導体12に伝達される。通行人は、誘導体12から伝わる振動パターンを感じることにより、右折路であることを知る(誘導される)。
【0027】
振動(誘導)が開始されると、ステップSA1に戻り、荷重閾値以上の荷重信号が検出され、生体判断閾値以上の生体信号(例えば、温度)が検出されなくなるまで、上述した処理が継続される。
【0028】
以上説明したように、凸部を備えない通行人誘導装置なので、ハイヒールを履いた人、足の不自由な人、乳母車、車イス、キャリーバック等を携えた人等に対して、不便を感じさせることがない。また、振動により進路を誘導するので、視覚障害の有無に関わらす、通行人を誘導することが可能になる。
【0029】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一構成に関しては同一符号を用い説明を適宜省略する。
【0030】
第1実施形態における通行人誘導装置2Aは、右折する場合には右折路パターンの振動を発生させ、十字路のときは十字路振動パターンを発生させる等により、通行人に右折地点、十字路地点等であることを知らせた。これに対し、本実施形態にかかる通行人誘導装置2Bは、誘導体12に進行路矢線やイラスト等の案内図を表示する表示機能を備えている。
【0031】
図6は、本実施形態にかかる通行人誘導装置2Bのブロック図である。この通行人誘導装置2Bは第1実施形態にかかる通行人誘導装置2Aに対し、表示部50、情報読取器60を備えると共に、通行人が携帯するカード70に埋め込まれた情報提供器71を備える。情報提供器71には通行人の目的地が目的地情報として記憶されている。なお、情報読取器60は、通行人誘導装置2Bの本体と別の場所に設けても良い。例えば、この通行人誘導装置2Bが立屋内の廊下等に埋設されている場合には、壁や天井に設けることが可能である。
【0032】
これにより、通行人が分岐点に至ったとき、情報読取器60は、情報提供器71から目的地情報を読み取り、制御部40に送る。制御部40には、予め誘導先情報が格納されている。そこで、制御部40は、目的地情報から目的地を抽出し、抽出した目的地に基づき誘導先情報を検索して進路方向を決定する。そして、制御部40は、判断結果に基づき表示指令信号を表示部50に出力する。
【0033】
以下、オリンピック競技を観戦に来た観客を例に説明する。オリンピックの場合、複数の競技(例えばレスリング、体操、水泳)が同一地域内で行われることがあり、観客は観戦したい競技が行われる競技会場への道を迷うことがある。即ち、歩行誘導が必要となる。そこで、一般には立て看板等により競技会場への誘導が行われるが、立て看板では見落しが発生しやすく、また画一的な誘導であるため誤認識や誤判断することがある。
【0034】
観客は、通常チケットを携帯している。そして、このチケットには観戦する競技に関する会場情報が文字情報や電子情報として格納されていることが多い。電子情報は、チケットに埋め込まれた情報提供器等により格納され、これを専用の機械で読み取ることで、入場確認が行われているようである。
【0035】
そこで、本実施形態では、チケット(カード70に対応)を携帯する観客が通行人誘導装置2Bに達すると、情報読取器60が情報提供器71から会場情報(目的地情報に対応)を読み取る。
【0036】
制御部40には、誘導先情報が格納されている。ここで誘導先情報は、「北方向:ウエイトリフティング競技会場、東方向:体操競技会場、南方向:水泳競技会場、西方向:新体操競技会場」であったとする。そして、観客は「ウエイトリフティング競技」を観戦したいとする。即ち、目的地は「ウエイトリフティング競技会場」である。
【0037】
制御部40は、目的地情報から「ウエイトリフティング競技会場」を取得すると、誘導先情報に取得した「ウエイトリフティング競技会場」が含まれているか否かを判断する。目的地が誘導先情報に含まれている場合は、該当する振動パターン及び案内図を選定して、振動指令信号及び表示指令信号を出力する。一方、目的地が誘導先情報に含まれていない場合は、通行人に目的地が登録されていないことを示す振動パターンを選定する。このような場合として、通行人が進路を間違っているような場合が想定される。
【0038】
図7は、案内面を表示する様子を例示した図で、(a)は表示できる案内図を全て表示した状態、(b)は案内図を全て非表示にした状態(通常状態)、(c)は誘導に関する案内図のみを表示した状態(誘導状態)である。
【0039】
なお、図7においてはイラストと進行路矢線とが共に行える場合を示しているが、いずれか一方でも良い。また、図7においては左右前後に対して1つの案内図しか登録されていない場合(以下、目的地固定表示という)を例示しているが、液晶パネルのように表示情報が変更できるデバイスを表示部50に用いることにより、複数の案内図を選択して表示(以下、目的地選択表示という)させることも可能である。例えば、現在地から見て同一方向に柔道競技会場とウエイトリフティング競技会場とがある場合、目的地固定表示の場合には2つの競技会場を表示することができないので、進行路矢線で進路が案内される。しかし、目的地選択表示の場合には、目的地情報に応じて柔道競技会場やウエイトリフティング競技会場を選択して表示できる。
【0040】
このような、通行人誘導装置2Bの誘導処理を説明する。図8は、誘導処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
ステップSB1〜SB4: ステップSB1〜ステップSB3は、図4におけるステップSA1〜ステップSA3と同じなので説明を省略する。これらの処理により、通行人に対して誘導処理が必要と判断される。
【0042】
ステップSB5、SB6: 制御部40は通行人が携帯しているチケット等のカード70に埋め込まれている情報提供器71から、目的地情報を取得する。そして、この目的地情報に基づき誘導する方向を判断する。
【0043】
ステップSB7: 制御部40は、判断した誘導方向に応じた振動指令信号を振動発生部30に出力し、また表示指令信号を表示部50に出力する。振動発生部30は振動指令信号に応じた振動パターンで誘導体12を振動させ、表示部50は表示指令信号に応じたイラストや進行路矢線を表示する。通行人は、靴を介して伝わってきた振動パターンにより触覚的に進行方向を知り(誘導される)、また案内図により視覚的に誘導される。
【0044】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。なお、上述した各実施形態と同一構成に関しては同一符号を用い説明を適宜省略する。
【0045】
これまでの各実施形態においては、通行人が通行人誘導装置を踏みこんだとき、その通行人誘導装置が歩行路を判断して誘導する構成であった。これに対し、本実施形態にかかる通行人誘導装置2Cは、実際に進行路を変える位置より一歩手前の通行人誘導装置2Cで進行路の変更を案内するようにした。
【0046】
図9は、本実施形態にかかる通行人誘導装置2Cの利用形態を例示した模式図である。通行人は通行人誘導装置2C_a→通行人誘導装置2C_b→通行人誘導装置2C_dと進む場合を考える。このとき、通行人が通行人誘導装置2C_cを踏みこんだとき、通行人誘導装置2C_cの制御部40は、情報読取器60からの目的地情報に基づき進路を判断し、通行人誘導装置2C_bの位置で左方向に誘導すべきと判断する。
【0047】
そこで、通行人誘導装置2C_cの制御部40は、一歩先で進路変更を行うことを知らせる振動パターン(予告振動パターン)の駆動指令信号を振動発生部30に出力する。通行人誘導装置2C_cの振動発生部30は、予告振動パターンの駆動指令信号を受信すると、全ての振動発生部30が同期して振動するが、その振動強度が時間的に徐々に変化(減少又は増大)する振動パターンを予告振動パターンとして、誘導体12を振動させる。
【0048】
これにより通行人は、一歩先で進路変更の誘導が行われることが分かり、急に進路変更を誘導される場合に比べて、余裕を持って誘導を受けることが可能になる。
【符号の説明】
【0049】
2A〜2C 通行人誘導装置
10 筐体
11 支持台
12 誘導体
20 検出部
21(21a〜21d) 荷重検出器
22 生体検出器
30 振動発生部
40 制御部
50 表示部
60 情報読取器
70 カード
71 情報提供器
図1
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