(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のホイルは、前記光線束の主光線方向に直交する方向から見たとき、前記光線束の光線方向に伸びるように放射状に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のデブリトラップ装置。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められている。次世代の半導体露光用光源としては、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光ともいう)を放射する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置ともいう)の開発が進められている。
波長13.5nmのEUVに対して透明な光学材料は存在しないため、EUVを用いる露光光学系は反射投影光学系となる。この光学系に用いられるマスクは、例えば、低熱膨張ガラス基板上にモリブデン(Mo)膜とシリコン(Si)膜とを交互に積層してなるEUV反射用の多層膜が形成されたマスクブランクス上に、EUVを吸収する材料からなる吸収体パターンが形成される反射型マスクとなる。このような反射型マスクにおいて、マスクブランクスを構成する基板(低熱膨張ガラス基板)上に微粒子やピットが存在したり多層膜(例えば、Mo/Si膜)中に微粒子が介在したりしてしまうと、位相欠陥となる。
【0003】
そのため、高精度なEUV露光を実現するためには露光用原版である反射型マスクの無欠陥化が重要となり、その実現のために高精度のマスク検査技術が求められている。
マスクブランクスを検査するための検査光として深紫外光(Deep UV:DUV)を使用した場合、マスクブランクスの表面状態検出は可能であるが、多層膜内部や多層膜底面の基板に存在する欠陥の検出は難しい。一方、検査光としてEUV光を使用した場合には、多層膜内部の欠陥や基板欠陥からのEUV散乱光を検出することが可能である。すなわち、EUV露光用の反射型マスクのマスクブランクスの検査は、検査光として露光光(EUV)を使用するアクティニック(Actinic)検査となる。
このように、EUV光源装置は、マスクブランクスの検査用光源として使用される。また、EUV光源装置は、マスクブランクスの検査以外に、マスク上に施されているパターン欠陥の有無を検査するマスクパターンの検査等にも使用される。
【0004】
EUV光源装置において、EUV光を発生させる方法はいくつか知られているが、そのうちの一つに極端紫外光放射種(以下、EUV放射種)を加熱して励起することにより高温プラズマを発生させ、その高温プラズマからEUV光を取り出す方法がある。
このようなEUV光源装置では、高温プラズマから種々のデブリが発生するため、当該デブリを捕捉するために、ホイルトラップ(フォイル・トラップ)を用いるのが一般的である。
ホイルトラップとしては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。この技術は、回転機能を有するホイルトラップ(回転式ホイルトラップ)と、回転せず固定型のホイルトラップ(固定式ホイルトラップ)とを備えるものである。
回転式ホイルトラップは、中央に配置された回転軸を中心として、半径方向に放射状に配置された複数のホイル(薄膜や薄い平板)を備え、上記回転軸を中心に複数のホイルを回転させることでプラズマから飛来するデブリを捕捉する。ここで、上記回転軸は、例えば、プラズマの略中心を貫通する軸である。
【0005】
固定式ホイルトラップは、回転式ホイルトラップにより捕捉しきれなかった高速で進行するデブリを捕捉する。固定式ホイルトラップは、回転式ホイルトラップの回転軸と同一軸上に中心軸を有し、当該中心軸から半径方向に放射状に配置された複数のホイル(薄膜
や薄い平板)を備える。固定式ホイルトラップの複数のホイルは、配置された空間を細かく分割することにより、その部分のコンダクタンスを下げて圧力を上げる働きをする。すなわち、回転式ホイルトラップで捕捉しきれなかった高速のデブリは、固定式ホイルトラップにおける圧力が上がった領域で衝突確率が上がるために速度が低下し、固定式ホイルトラップのホイルやホイルの支持体によって捕捉されやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マスク検査用のEUV光源装置の場合、露光用光源として用いるものと比較すると、EUV光は、ワーク(例えば、マスクブランク上)のかなり小さな照射領域にのみ照射すればよい。したがって、マスク検査用に使用するためにプラズマから取り出すEUV光の取出立体角は、露光用光源として用いる場合と比較して小さく設定される。
このようなマスク検査用EUV光源装置にも、高温プラズマから発生するデブリがマスク検査部に到達することを抑制したり、高温プラズマから発生するEUV光をマスク検査部に導くための凹面ミラーのスパッタリングを抑制したりするために、高温プラズマと上記検査システム(又は凹面ミラー)との間にデブリトラップを配置する必要がある。
【0008】
この場合、マスク検査用EUV光源装置に、例えば上記特許文献1に記載のホイルトラップを搭載することが考えられる。しかしながら、上述したように、マスク検査用にプラズマから取り出すEUV光の取出立体角は、露光用のEUV光と比較して小さいため、露光用のEUV光源装置に採用されているホイルトラップをマスク検査用EUV光源装置に適用すると、デブリトラップ部が必要以上に大型化してしまい、コストが嵩む。
そこで、本発明は、必要以上に大型化することなく、適切にデブリを捕捉することができるホイルトラップ、及びそれを備えたマスク検査用極端紫外光光源装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る
デブリトラップ装置の一態様は、プラズマの近傍に配置され、前記プラズマから放射される光を通過
させ、当該プラズマから発生するデブリを捕捉するホイルトラップであって
、複数のホイルと
、前記複数のホイルを固定する固定部材と、を有する固定式ホイルトラップを備え
るホイルトラップと、
前記プラズマと前記固定式ホイルトラップとの間に配設され、開口を有し、前記プラズマから放射される放射光の一部を、前記開口を介して所定の立体角で取り出すアパーチャ部材と、を備え、前記固定式ホイルトラップの前記複数のホイルは、
前記アパーチャ部材により取り出された光の光線束の通過領域に相当する大きさを有し、当該光線束の主光線上に配置されている。
このように、固定式ホイルトラップのホイルを、プラズマから放射される光の一部を取り出した光線束(取出光)の通過領域に相当する大きさとするので、固定式ホイルトラップが必要以上に大きくなるのを抑制することができる。そのため、その分のコストを削減することができる。
【0010】
また、上記のホイルトラップにおいて、前記複数のホイルは、前記光線束の主光線方向に直交する断面において、それぞれ等間隔に配置されていてもよい。
このように、固定式ホイルトラップのホイルを等間隔に配置することで、固定式ホイルトラップにおけるデブリの透過率(デブリの捕捉確率)及び取出光の透過率を、当該取出光の通過領域において均一化することができる。
さらに、上記のホイルトラップにおいて、前記複数のホイルは、前記光線束の主光線方向に直交する方向から見たとき、前記光線束の光線方向に伸びるように放射状に配置されていてもよい。
これにより、固定式ホイルトラップにおける取出光の透過率を高め、光の取出効率を向上させることができる。
【0011】
また、上記のホイルトラップにおいて、前記複数のホイルは、前記プラズマを通る仮想軸から放射状に配置されていてもよい。これにより、固定式ホイルトラップにおける取出光の透過率を確保しつつ、デブリを適切に捕捉することができる。
さらにまた、上記のホイルトラップにおいて、前記プラズマを通る軸を回転軸として回転可能な複数の回転ホイルと、前記回転軸上に配置され前記回転ホイルを支持する支持部材と、を有し、前記固定式ホイルトラップに対して前記回転軸方向に並設される回転式ホイルトラップをさらに備え、前記仮想軸は、前記回転軸と一致していてもよい。これにより、固定式ホイルトラップの設計を容易に行うことができる。
【0012】
さらに、上記のホイルトラップにおいて、前記プラズマを通る軸を回転軸として回転可能な複数の回転ホイルと、前記回転軸上に配置され前記回転ホイルを支持する支持部材と、を有し、前記固定式ホイルトラップに対して前記回転軸方向に並設される回転式ホイルトラップをさらに備え、前記仮想軸は、前記光線束の主光線を挟んで前記回転軸と対向する位置に設定されていてもよい。
このように、回転軸側のホイル間隔が仮想軸側のホイル間隔に比べて小さい回転式ホイルトラップと、回転軸側のホイル間隔が仮想軸側のホイル間隔に比べて大きい固定式ホイルトラップとを並設した構成とする。すなわち、回転式ホイルトラップと固定式ホイルトラップとで、ホイル間隔の不均一さを相殺した構成とする。したがって、回転式ホイルトラップと固定式ホイルトラップの両方を考慮したデブリの透過率(デブリの捕捉確率)及び取出光の透過率を、当該取出光の通過領域において均一化することができる。
【0013】
また、本発明に係るマスク検査用極端紫外光光源装置の一態様は、マスク検査用の極端紫外光を放射するマスク検査用極端紫外光光源装置であって、前記極端紫外光を放射する原料を励起し、プラズマを発生させるプラズマ発生部と
、上記いずれかの
デブリトラップ装置と、を備える。
このように、アパーチャ部材によって、容易にマスク検査に適した立体角を有する極端紫外光(EUV光)を取り出すことができる。また、アパーチャ部材の光取出側にホイルトラップを配置するので、EUV取出光を入射するマスク検査装置等にデブリが到達しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のホイルトラップでは、固定式ホイルトラップのホイルを、プラズマから放射される光の一部を、所定の立体角で取り出した光線束の通過領域に相当する大きさとし、当該光線束の主光線上に配置する。したがって、デブリを捕捉する固定式ホイルトラップを必要以上に大型化することがなく、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の極端紫外光光源装置を示す概略構成図である。
極端紫外光光源装置(EUV光源装置)100は、マスク検査装置用の光源装置であり、例えば、EUV光を用いた半導体露光に用いられるマスクの欠陥を検査するためのマスク検査装置に対して検査光を放出する。当該マスク検査装置の検査対象は、例えば、低熱膨張ガラス基板上にモリブデン(Mo)膜とシリコン(Si)膜とを交互に積層してなるEUV反射用の多層膜が形成されたマスクブランクス上に、EUVを吸収する材料からなる吸収体パターンが形成される反射型マスクである。マスク検査装置は、EUV光源装置100から放出される光を検査光として、上記マスクのブランクス検査やパターン検査を行う。
【0017】
EUV光源装置100は、例えば波長13.5nmの極端紫外光(EUV光)を放出する。
本実施形態のEUV光源装置100は、DPP方式のEUV光源装置である。より具体的には、EUV光源装置100は、放電を発生させる電極表面に供給された高温プラズマ原料に対してレーザビーム等のエネルギービームを照射して当該高温プラズマ原料を気化し、その後、放電によって高温プラズマを発生するLDP方式のEUV光源装置である。
EUV光源装置100は、
図1に示すように、放電容器であるチャンバ11を有する。チャンバ11は、開口を有する隔壁11aによって、大きく2つの空間に分割されている。一方の空間は放電空間11bであり、他方の空間は集光空間11cである。
【0018】
放電空間11bには、各々独立して回転可能な一対の放電電極21a,21bが互いに離間して対向配置されている。放電電極21a,21bは、EUV放射種を含む高温プラズマ原料を加熱して励起するためのものである。
放電空間11bの圧力は、高温プラズマ原料を加熱励起するための放電が良好に発生するように、真空雰囲気に維持されている。
集光空間11cには、凹面鏡12と、デブリトラップ13と、アパーチャ部材14とが配置されている。
【0019】
凹面鏡12は、例えば楕円面鏡や放物面鏡であり、高温プラズマ原料が加熱励起されることで放出されるEUV光を、チャンバ11に設けられたEUV取出部11dから、例えばマスク検査装置のマスク検査部へ導くものである。
凹面鏡12の基体材料は、例えば、ニッケル(Ni)等である。波長が非常に短いEUV光を反射させるため、凹面鏡12の反射面は、非常に良好な平滑面として構成される。この平滑面に施される反射材は、例えば、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、およびロジウム(Rh)などの金属膜である。凹面鏡12の反射面には、このような金属膜が緻密にコーティングされている。
デブリトラップ13は、放電によるプラズマ生成の結果生じるデブリを捕捉し、EUV光のみを通過させるような働きをするものである。デブリトラップ13の具体的構成につ
いては後で詳述する。
【0020】
アパーチャ部材14は、高温プラズマ原料から放出されるEUV光の一部を取り出すための開口部を有する。具体的には、アパーチャ部材14は、高温プラズマ原料から放出されるEUV光の一部を所定の立体角で取り出す。具体的には後で述べる回転式ホイルトラップ30の回転軸(
図1におけるZ方向)に対して傾斜角度をもって所定の立体角で取り出す。ここで、上記傾斜角度は、例えば20°〜30°程度であり、EUV光の取出角度は、例えば14°〜16°程度である。このアパーチャ部材14は、高温プラズマの近傍に配置されるため、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の高融点材料から構成する。
なお、凹面鏡12はEUV光源装置内には必ずしも設置する必要はなく、アパーチャ部材14の開口部を通過したEUV光を直接マスク検査装置のマスク検査部に導光してもよい。但し、この場合にも、上記マスク検査部にデブリが到達しないように、高温プラズマとマスク検査部との間にはデブリトラップ13が配置される。
【0021】
放電空間11bに配置された一対の放電電極21a,21bは、金属製の円盤状部材である。放電電極21a,21bは、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル等の高融点金属からなる。ここで、2つの放電電極21a,21bのうち、一方の放電電極21aがカソードであり、他方の放電電極21bがアノードである。
放電電極21aは、その一部が高温プラズマ原料22aを収容するコンテナ23aの中に浸されるように配置される。放電電極21aの略中心部には、モータ24aの回転軸25aが取り付けられている。すなわち、モータ24aが回転軸25aを回転させることにより、放電電極21aは回転する。モータ24aは、制御部29によって駆動制御される。
【0022】
また、回転軸25aは、例えば、メカニカルシール26aを介してチャンバ11内に導入される。メカニカルシール26aは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸25aの回転を許容する。
放電電極21bも、放電電極21aと同様に、その一部が高温プラズマ原料22bを収容するコンテナ23bの中に浸されるように配置される。放電電極21bの略中心部には、モータ24bの回転軸25bが取り付けられている。すなわち、モータ24bが回転軸25bを回転させることにより、放電電極21bは回転する。モータ24bは、制御部29によって駆動制御される。
【0023】
また、回転軸25bは、例えば、メカニカルシール26bを介してチャンバ11内に導入される。メカニカルシール26bは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸25bの回転を許容する。
放電電極21a,21bの表面上に乗った液体状の高温プラズマ原料22a,22bは、放電電極21a,21bが回転することで放電領域に輸送される。
ここで、放電領域とは、両電極21a,21b間の放電が発生する空間であり、両電極21a,21bの周縁部のエッジ部分間距離が最も短い部分である。
高温プラズマ原料22a,22bとしては、溶融金属、例えば液体状のスズ(Sn)を用いる。この高温プラズマ原料22a,22bは、放電電極21a,21bに電力を供給する給電用の導電体としても働く。
【0024】
コンテナ23a,23bは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持可能な絶縁性の電力導入部11f,11gを介して、パルス電力供給部27に接続されている。コンテナ23a及び23b、並びにスズ22a及び22bは導電性である。放電電極21aの一部及び放電電極21bの一部はそれぞれスズ22a,22bに浸漬しているので、コンテナ23a,23b間にパルス電力供給部27からパルス電力を印加することで、放電電極21a,
21b間にパルス電力を印加することができる。
なお、特に図示しないが、コンテナ23a及び23bには、スズ22a,22bを溶融状態に維持する温度調節機構が設けられている。
【0025】
パルス電力供給部27は、コンテナ23a及び23b間、すなわち放電電極21a及び21b間にパルス幅の短いパルス電力を印加する。パルス電力供給部27は、制御部29によって駆動制御される。
レーザ源28は、放電領域に輸送された放電電極21a上のスズ22aに対してレーザ光(エネルギービーム)を照射するエネルギービーム照射部である。レーザ源28は、例えばNd:YVO
4レーザ装置(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate レーザ装置)である。
このレーザ源28が放出するレーザ光Lは、レーザ光集光部等を介してチャンバ11の窓部11gに入射し、放電電極21a上に導かれる。レーザ源28によるレーザ光の照射タイミングは、制御部29が制御する。
【0026】
パルス電力供給部27により放電電極21a,21bにパルス電力を印加した状態で、放電領域に輸送された高温プラズマ原料に対してレーザ光が照射されると、当該高温プラズマ原料が気化し、両電極21a,21b間でパルス放電が開始される。その結果、高温プラズマ原料によるプラズマPが形成される。そして、放電時に流れる大電流によりプラズマPが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマPからEUV光が放射される。
なお、上述したように放電電極21a,21b間にはパルス電力を印加するため、上記放電はパルス放電となり、放射されるEUV光はパルス状に放射されるパルス光となる。
【0027】
次に、デブリトラップ13の具体的構成について説明する。
EUV光源装置100では、例えば、高温プラズマPと接する金属(例えば、一対の放電電極21a,21b)が上記プラズマPによってスパッタされて生成する金属粉等のデブリや、高温プラズマ原料であるスズ(Sn)に起因するデブリが発生する。
これらのデブリは、プラズマの収縮・膨張過程を経て、大きな運動エネルギーを得る。すなわち、高温プラズマPから発生するデブリは高速で移動するイオンや中性原子であり、このようなデブリは凹面鏡12にぶつかって反射面を削ったり、反射面上に堆積したりして、EUV光の反射率を低下させるおそれがある。
【0028】
そこで、EUV光源装置100では、放電空間11bと集光空間11cに収容された凹面鏡12との間に、上記デブリによる凹面鏡12のダメージを防ぐためのデブリトラップ13を配置する。デブリトラップ13は、デブリを捕捉してEUV光のみを通過させる働きをする。
図2は、デブリトラップ13の後で述べる光軸Oを含むY−Z断面図である。デブリトラップ13は、回転機能を有するホイルトラップ(回転式ホイルトラップ)30と、回転せず固定型のホイルトラップ(固定式ホイルトラップ)40とを備える。
回転式ホイルトラップ30は、
図3に当該回転式ホイルトラップ30をプラズマ側から眺望した図を示すように、回転軸から半径方向に放射状に伸びる複数のホイル(回転ホイル)31を備える。なお、ホイル31は、薄膜(ホイル)または薄い平板(プレート)により構成されており、本明細書では薄膜と平板を併せて「ホイル」と呼ぶ。
【0029】
ホイル31は、半径方向内側端部を同心円状に配置された中心支柱(支持部材)32よって支持され、半径方向外側端部をリング状支持体である外側リング33によって支持されている。これら複数のホイル31は、支持体(中心支柱32と外側リング33)に支持された状態で、中心支柱32の回転軸を中心に回転可能となっている。
また、ホイル31は、その平面が回転軸に対して平行になるように配置され支持されている。そのため、回転式ホイルトラップ30を極端紫外光源(高温プラズマP)側から見
ると、
図3に示すように、中心支柱32及び外側リング33によって構成される支持体を除けば、ホイル31の厚みしか見えない。
【0030】
アパーチャ部材14には、
図4に示すように、回転式ホイルトラップ30の回転軸から偏心した位置に、任意の形状(例えば、円形)の開口部14aが形成されている。そして、回転式ホイルトラップ30は、アパーチャ部材14の開口部14aを通過したEUV光の光線束(以下、「EUV取出光」ともいう。)の主光線(光軸O)上にホイル31が位置するように配置される。なお、この
図4では、回転式ホイルトラップ30のホイル31のみ図示している。
ここで、回転式ホイルトラップ30の回転軸は、中心支柱32によってEUV取出光が遮光されないように当該回転式ホイルトラップ30を回転させる軸であって、かつ、プラズマPを通過する軸である。
このような構成により、回転式ホイルトラップ30の複数のホイル31は、中心支柱32の回転軸を中心に回転することで、高温プラズマPからのデブリを捕捉する。このとき、回転式ホイルトラップ30は、上記デブリのうち比較的低速のデブリを捕捉する。
【0031】
固定式ホイルトラップ40は、高温プラズマPからのデブリのうち、回転式ホイルトラップ30で捕捉しきれなかった高速で進行するデブリを捕捉する。
図2に示すように、固定式ホイルトラップ40は、EUV取出光の光軸O上に配置する。
図5は、EUV取出光と固定式ホイルトラップ40との位置関係を示す図である。この
図5に示すように、固定式ホイルトラップ40は、EUV取出光の光線束が通過する領域に相当する大きさを有する。このように、固定式ホイルトラップ40は、回転式ホイルトラップ30の回転軸に直交する平面において、当該回転軸に対してアパーチャ部材14の開口部14aが形成された側(
図2では回転軸の上側)のみに配置される。
【0032】
固定式ホイルトラップ40は、複数のホイル41と、ホイル41を支持する固定枠(固定部材)42とを備える。
ホイル41は、
図6に固定式ホイルトラップ40の正面図(主光線方向から見た図)を示すように、上述した回転式ホイルトラップ40のホイル31のように回転式ホイルトラップ30の回転軸と一致する仮想軸を中心として半径方向に放射状に配置されたホイルについて、その一部を切り取った形状を有する。すなわち、複数のホイル41は、上記回転軸に一致する仮想軸から放射状に伸びる形状を有する。また、固定枠42は、
図6に示す正面図において、例えば、上記仮想軸を中心とした円弧を有する扇形である。なお、固定枠42の外形は任意の形状であってよい。
【0033】
さらに、複数のホイル41は、仮想軸に直交する方向から見ると、
図7に示すように、仮想軸に対して平行となっている。
固定式ホイルトラップ40の複数のホイル41は、配置された空間を細かく分割することにより、その部分のコンダクタンスを下げて圧力を上げる働きをする。本実施形態では、固定式ホイルトラップ40に対して透明なガスを供給することにより、固定式ホイルトラップ40における圧力を上げるようにする。言い換えると、チャンバ11内においてガスを局在化させて圧力が比較的高い部分を設定する。ここで、固定式ホイルトラップ40に供給するガスは、EUV光に対して透過率の高いガスが望ましく、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや、水素(H
2)等が用いられる。
【0034】
回転式ホイルトラップ30で捕捉しきれなかった高速のデブリは、固定式ホイルトラップ40における圧力が上がった領域で衝突確率が上がるために速度が低下する。固定式ホイルトラップ40は、このようにして速度が低下したデブリを、ホイル41やホイル41の支持体(固定枠42)により捕捉する。
また、回転式ホイルトラップ30及び固定式ホイルトラップ40は、高温プラズマPの
近くに配置されるため、これらホイルトラップを構成するホイルや支持体は、例えば、モリブデン(Mo)などの高耐熱材料から形成するものとする。
このように、本実施形態における固定式ホイルトラップ40は、アパーチャ部材14の開口部14aにより進行方向が制限されたEUV光が通過する領域にのみ対応させた構造とする。したがって、形状がコンパクトであり、チャンバ11内でのガスの局在化も容易に行うことができる。
【0035】
ところで、一般に露光用光源として用いるEUV光源装置の場合、EUV光源装置から放出されるEUV光は、ワーク(ウエハ)上の比較的大きい照射領域に照射される。露光のスループットはEUV光のdose量に依存するので、高温プラズマから立体角4πで放出されるEUV光をできるだけ多く利用することが望ましい。すなわち、露光に使用するためプラズマから取り出すEUV光の取出立体角はある程度大きくする必要がある。よって、上記EUV光のエタンデュ(高温プラズマの大きさとプラズマからのEUV光の取出立体角との積)もある程度大きくなる。
【0036】
一方、マスク検査用EUV光源装置の場合、露光用光源として用いるEUV光源装置と比較すると、EUV光源装置から放出されるEUV光は、ワーク(例えば、マスクブランク上)のかなり小さな照射領域に照射される。よって、マスク検査用に使用するためにプラズマから取り出すEUV光の取出立体角は、露光用光源として用いる場合と比較して小さくなる。上述したように、マスク検査用の場合、例えばEUV光の取出角は14°〜16°程度である。
【0037】
図8は、露光用光源として用いるEUV光源装置に適用されるホイルトラップを、マスク検査用EUV光源装置に適用した場合の概略構成図である。
露光用EUV光源装置に適用される回転式ホイルトラップ130は、回転軸を中心として半径方向に放射状に配置された複数のホイル131と、当該ホイル131を支持する中心支柱132及び外側リング133とを備える。ホイル131は、半径方向内側端部を同心円状に配置された中心支柱132よって支持され、半径方向外側端部をリング状支持体である外側リング133によって支持されている。これら複数のホイル131は、支持体(中心支柱132と外側リング133)に支持された状態で、中心支柱132の回転軸を中心に回転可能となっている。
【0038】
また、露光用EUV光源装置に適用される固定式ホイルトラップ140も、回転式ホイルトラップ130と同様に、回転軸を中心として半径方向に放射状に配置された複数のホイル141と、当該ホイル141を支持する中心支柱142及び外側リング143とを備える。そして、ホイル141は、半径方向内側端部を同心円状に配置された中心支柱142よって支持され、半径方向外側端部をリング状支持体である外側リング143によって支持されている。但し、固定式ホイルトラップ140は、回転式ホイルトラップ130のように回転せず、固定されている。
【0039】
露光用EUV光源装置に適用される固定式ホイルトラップ140は、露光用のEUV光取出立体角に応じて、比較的大きな形状を有する。マスク検査用のEUV光取出立体角は、上述したように露光用よりも小さく設定されるため、露光用EUV光源装置に適用される固定式ホイルトラップ140をそのままの形状でマスク検査用EUV光源装置に適用すると、固定式ホイルトラップ140においてEUV光が通過しない領域が存在する。つまり、固定式ホイルトラップ140において不要な領域が存在してしまう。
このように、露光用EUV光源装置に適用される固定式ホイルトラップ140をそのままの形状でマスク検査用EUV光源装置に適用すると、必要以上に固定式ホイルトラップ140が大型化すると共に、固定式ホイルトラップ140への供給ガスにもロスが生じる。したがって、その分コストが増大してしまう。
【0040】
これに対して、本実施形態では、固定式ホイルトラップ40を、EUV取出光が通過する領域にのみ対応させた構造とする。これにより、露光用と比較して固定式ホイルトラップを小型化することができ、マスク検査用EUV光源装置自体の小型化を図ることができる。また、固定式ホイルトラップ40に対して選択的にガスを供給することができるので、供給ガスのロスを低減することができる。したがって、コストダウンを図ることができる。
【0041】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態においては、デブリトラップ13として回転式ホイルトラップ30と固定式ホイルトラップ40とを両方用いる場合について説明したが、例えば、放電材料がキセノン(Xe)等のガスの場合には、固定式ホイルトラップ40のみでもよい。
また、上記第1の実施形態においては、固定式ホイルトラップ40の仮想軸を回転式ホイルトラップ30の回転軸に一致させる場合について説明したが、特に、回転式ホイルトラップ30を用いず、固定式ホイルトラップ40のみを用いる場合には、上記仮想軸は、プラズマPを通る軸であれば、任意に設定可能である。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、固定式ホイルトラップを通過するEUV光の透過率を、当該固定式ホイルトラップのEUV光通過領域において均一化するようにしたものである。
図9は、第2の実施形態のデブリトラップ13を回転式ホイルトラップ30の回転軸に直交する方向から見た断面図である。この
図9において、
図2に示すデブリトラップ13と同一構成を有する部分には同一符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
【0043】
デブリトラップ13は、回転機能を有するホイルトラップ(回転式ホイルトラップ)30と、回転せず固定型のホイルトラップ(固定式ホイルトラップ)50とを備える。
固定式ホイルトラップ50は、
図9に示すように、EUV取出光の光軸O上に配置する。
図10は、EUV取出光と固定式ホイルトラップ50との関係を示す図である。この
図10に示すように、固定式ホイルトラップ50は、EUV取出光の光線束が通過する領域に相当する大きさを有する。このように、固定式ホイルトラップ50は、回転式ホイルトラップ30の回転軸に直交する平面において、当該回転軸に対してアパーチャ部材14の開口部14aが形成された側(
図9では回転軸の上側)のみに配置される。
【0044】
固定式ホイルトラップ50は、複数のホイル51と、ホイル51を支持する固定枠(固定部材)52とを備える。
ホイル51は、
図11に固定式ホイルトラップ50の正面図(主光線方向から見た図)を示すように、EUV取出光の主光線方向に直交する断面において、それぞれ等間隔に配置されている。また、固定枠52は、例えば、
図11に示す正面図において矩形状となっている。なお、固定枠52の外形は任意の形状であってよい。
さらに、複数のホイル51は、主光線方向に直交する方向から見ると、
図12に示すように、EUV取出光の光線方向に伸びるように放射状に配置されている。
【0045】
上述した第1の実施形態における固定式ホイルトラップ40の場合、
図6に示すように、プラズマ側から臨むと、上側(回転式ホイルトラップ30の回転軸から遠い側)のホイル間隔が広く、下側(回転式ホイルトラップ30の回転軸から近い側)のホイル間隔が狭い。
上記したように、固定式ホイルトラップは、ホイル間の圧力が上がった領域で高速で進
行するデブリを捕捉するものである。そして、その捕捉確率は、ホイル間隔、ホイルの奥行(高速デブリの進行方向における奥行)、ガス圧力に依存する。すなわち、ホイル間隔が大きいほど圧力は下がり、その分、デブリがホイルトラップを通過してしまう確率が高い。
【0046】
図6に示す第1の実施形態における固定式ホイルトラップ40の場合、上側のホイル間隔が広く、下側のホイル間隔が狭いので、当該固定式ホイルトラップ40の上側におけるデブリの透過率は、下側のデブリ透過率よりも高くなる。すなわち、デブリの捕捉確率は、固定式ホイルトラップ40の上側の方が、下側と比べて低くなる。
また、
図6に示すホイルトラップ40の場合、上側のホイル間隔が広く、下側のホイル間隔が狭いので、該固定式ホイルトラップ40の下側におけるEUV光の透過率は、上側のEUV光透過率よりも小さくなる。このように、デブリの透過率やEUV光の透過率がEUV光通過領域において不均一となる。
【0047】
これに対して、本実施形態における固定式ホイルトラップ50は、
図11に示すように、EUV取出光の主光線方向に直交する断面において、各ホイル51が等間隔となるように配置されている。すなわち、プラズマ側からEUV取出光の主光線方向に固定式ホイルトラップ50を臨んだとき、各ホイル51のプラズマ側の辺が等間隔に見えるので、固定式ホイルトラップ50におけるデブリの捕捉確率の場所的分布は均一となる。また、固定式ホイルトラップ50におけるEUV光の透過率も均一となる。したがって、本実施形態におけるマスク検査用EUV光源装置100は、マスク検査装置のマスク検査部に対して、均一な検査光を入射することができる。
【0048】
(変形例)
なお、上記第2の実施形態においては、デブリトラップ13として回転式ホイルトラップ30と固定式ホイルトラップ50とを両方用いる場合について説明したが、例えば、放電材料がキセノン(Xe)等のガスの場合には、固定式ホイルトラップ50のみでもよい。
また、上記第2の実施形態においては、固定式ホイルトラップ50のホイル51を、
図11に示すように、EUV取出光の光軸方向(主光線方向)に直交する断面において、上下方向に伸びる配置とする場合について説明したが、ホイル51の伸びる方向は任意に設定可能である。また、固定式ホイルトラップ40のみを設けるようにしてもよい。
【0049】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、回転式ホイルトラップと固定式ホイルトラップとを通過するEUV光の透過率を、これらホイルトラップのEUV光通過領域において均一化するようにしたものである。
図13は、第3の実施形態のデブリトラップ13を回転式ホイルトラップ30の回転軸に直交する方向から見た断面図である。この
図13において、
図2に示すデブリトラップ13と同一構成を有する部分には同一符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
【0050】
デブリトラップ13は、回転機能を有するホイルトラップ(回転式ホイルトラップ)30と、回転せず固定型のホイルトラップ(固定式ホイルトラップ)60とを備える。
固定式ホイルトラップ60は、
図13に示すように、EUV取出光の光軸O上に配置する。また、固定式ホイルトラップ60は、
図5に示す固定式ホイルトラップ40と同様に、EUV取出光の光線束が通過する領域に相当する大きさを有する。
【0051】
固定式ホイルトラップ60は、複数のホイル61と、ホイル61を支持する固定枠(固定部材)62とを備える。
ホイル61は、
図14に固定式ホイルトラップ60の正面図(主光線方向から見た図)を示すように、所定の仮想軸を中心として半径方向に放射状に配置されたホイルの一部を切り取った形状を有する。ここで、上記仮想軸は、回転式ホイルトラップ30の回転軸から垂直方向に離間した位置、より具体的には、EUV取出光の光軸Oを挟んで、回転式ホイルトラップ30の回転軸と対向する位置に設定される。
【0052】
また、固定枠62は、
図14に示す正面視において、例えば、上記仮想軸を中心とした円弧を有する扇形である。なお、固定枠62の外形は任意の形状であってよい。さらに、複数のホイル61は、主光線方向に直交する方向から見ると、
図15に示すように、仮想軸に対して平行となっている。
回転式ホイルトラップ30は、回転軸から放射状にホイル31が延びている構造であるため、ホイル間隔は、回転軸から離れるにつれ大きくなる。すなわち、回転式ホイルトラップ30の各ホイル31は、プラズマ側から臨むと、上側のホイル間隔が広く、下側のホイル間隔が狭い。そのため、高温プラズマPから発生したデブリが回転式ホイルトラップ30を通過する確率は、回転式ホイルトラップ30の上側の方が高い。すなわち、デブリの捕捉確率は、回転式ホイルトラップ30の上側の方が、下側と比べて低い。また、回転式ホイルトラップ30を通過するEUV光の透過率は、回転式ホイルトラップ30の下側の方が、上側と比べて低い。
【0053】
一方、本実施形態における固定式ホイルトラップ60のホイル61は、EUV取出光の光軸Oを挟んで、回転式ホイルトラップ30の回転軸と対向する位置に設定された仮想軸から放射状に延びた構造である。つまり、回転式ホイルトラップ60の各ホイル61は、プラズマ側から臨むと、上側のホイル間隔が狭く、下側のホイル間隔が広い。そのため、高温プラズマPから発生したデブリが固定式ホイルトラップ60を通過する確率は、固定式ホイルトラップ60の下側の方が高くなる。すなわち、デブリの捕捉確率は、固定式ホイルトラップ60の下側の方が、上側と比べて低くなる。また、固定式ホイルトラップ60を通過するEUV光の透過率は、回転式ホイルトラップ60の上側の方が低くなる。
このように、本実施形態では、固定式ホイルトラップ60を、プラズマ側からEUV取出光の光軸方向(主光線方向)に臨んだ場合のホイルの間隔の不均一さが、回転式ホイルトラップ30と固定式ホイルトラップ60とで相殺されるように配置する。
【0054】
したがって、高温プラズマPから発生したデブリが、回転式ホイルトラップ30を通過してさらに固定式ホイルトラップ60を通過する確率は、デブリトラップ13の上側と下側とで同程度とすることができる。すなわち、高温プラズマPから発生したデブリの捕捉確率の場所的分布を一様にすることができる。また、EUV光の透過率についても、場所的分布を均一化することができる。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について詳述したが、どの固定式ホイルトラップを採用するかは、デブリの捕捉確率の場所的分布の均一度やEUV光の透過率の観点から、マスク検査装置で要求されるEUV光の仕様に応じて適宜決定することが好ましい。
【0055】
上記したように、高速で移動するデブリは、固定式ホイルトラップによって圧力が上がった領域を通過することにより移動速度が低下し、捕捉される。つまり、高速で移動するデブリは、回転式ホイルトラップよりも固定式ホイルトラップの方でより効果的に捕捉される。
例えば、高速で移動するデブリの捕捉確率について着目した場合、第2の実施形態の固定式ホイルトラップ50と第3の実施形態の固定式ホイルトラップ60とを比較すると、第2の実施形態の固定式ホイルトラップ50の方が、プラズマ側からEUV取出光の主光線方向に臨んだ場合のホイルの間隔が等間隔である分、当該デブリの捕捉確率の場所的分布はより均一となる。
【0056】
第3の実施形態のデブリトラップ13は、プラズマ側からEUV取出光の主光線方向に臨んだ場合のホイルの間隔の不均一さが、回転式ホイルトラップ30と固定式ホイルトラップ60とで相殺されるように配置されている。しかしながら、固定式ホイルトラップの方が回転式ホイルトラップよりも高速で移動するデブリの捕捉機能が大きいことを考えると、高速で移動するデブリの捕捉確率の場所的分布の均一度は、第2の実施形態の固定式ホイルトラップ50を使用した場合と比較すると、第3の実施形態の固定式ホイルトラップ60の方がやや劣るものと考えられる。
したがって、例えば、高速で移動する移動するデブリの捕捉確率の場所的分布の均一度を重視した場合には、第2の実施形態の固定式ホイルトラップ50を採用する方が好ましいといえる。
【0057】
一方、EUV光の透過率について着目すると、第2の実施形態の固定式ホイルトラップ50のホイル間隔を、第3の実施形態の固定式ホイルトラップ60におけるホイル間隔が狭い側のホイル間隔と同じとした場合、第2の実施形態の固定式ホイルトラップ50を通過するEUV光の透過率は、第3の実施形態の固定式ホイルトラップ60を通過するEUV光の透過率よりも低くなる。そのため、第2の実施形態のデブリトラップ13(回転式ホイルトラップ30+固定式ホイルトラップ50)を通過するEUV光の透過率は、第3の実施形態のデブリトラップ13(回転式ホイルトラップ30+固定式ホイルトラップ60)を通過するEUV光の透過率よりも低くなる。
したがって、例えば、EUV光の透過率を重視した場合には、第3の実施形態の固定式ホイルトラップ60を採用する方が好ましいといえる。
但し、ホイル間隔を調節することで、いずれの配置方式によらずEUV光の透過率を増減させることは可能である。
【0058】
(応用例)
上記各実施形態においては、高温プラズマ原料に照射するエネルギービームとしてレーザを用いる場合について説明したが、レーザに代えてイオンビームや電子ビーム等を用いることもできる。
また、上記各実施形態においては、DPP方式のEUV光源装置に適用する場合について説明したが、LPP方式のEUV光源装置にも適用可能である。なお、LPP方式とは、プラズマ生成用ドライバレーザをターゲット材料に照射し、当該ターゲット材料を励起させてプラズマを生成する方式である。