特許第6036844号(P6036844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6036844プリプレグ、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036844
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】プリプレグ、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   C08J5/24CFC
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-549004(P2014-549004)
(86)(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公表番号】特表2015-515502(P2015-515502A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2012071641
(87)【国際公開番号】WO2013096968
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年10月28日
(31)【優先権主張番号】61/579,889
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/710,032
(32)【優先日】2012年10月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・シー・ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー・エー・サッターホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ノブユキ・アライ
(72)【発明者】
【氏名】アツヒト・アライ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・ピー・ハロ
(72)【発明者】
【氏名】ケンイチ・ヨシオカ
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−131920(JP,A)
【文献】 特開2010−126702(JP,A)
【文献】 特開2002−249605(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/037895(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/04−5/10,5/24
B29B 11/16,15/08−15/14
B29C 70/00−70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂中の強化繊維からなるプリプレグであって、真空バッグのみの条件下で硬化させた際に以下の条件式(1)および(2)を満たすプリプレグ:
(1)100≦t≦2000
(2)t<t20≦350
式中、t=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが30%減衰(超音波非破壊検査(NDI)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、
20=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが硬化度20%(示差走査熱量計(DSC)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、熱硬化性樹脂は、コンソリデーションの時間tを維持しつつt20を短縮させるための促進剤を含む。
【請求項2】
プリプレグの表面に局在する熱可塑性粒子をさらに含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
プリプレグの含浸率が約20%〜約95%である、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項4】
以下の条件式(1)および(2)を満たす、請求項1に記載のプリプレグ:
(1)100≦t≦2000
(2)80≦t20≦150。
【請求項5】
促進剤が、フェノール基および/またはスルホン酸エステル基を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項6】
促進剤の量が、熱硬化性樹脂100重量部当たり約0.5〜約10重量部である、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項7】
プリプレグが、スルホン酸基を含む成分からなる、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項8】
プリプレグが、ピロカテコール基を含む成分からなる、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項9】
プリプレグが、トシル基を含む成分からなる、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項10】
プリプレグが、芳香族スルホニウム塩を含む成分からなる、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項11】
熱硬化性樹脂の180℃で2時間硬化させた際のTgが180℃以上である、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項12】
プリプレグを180℃で2時間硬化させた際に促進剤によって熱硬化性樹脂のTgが180℃未満に下がることがない、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項13】
熱硬化性樹脂からなるプリプレグの処理方法であって、
プリプレグを真空バギングしてオーブン内で硬化させることによりコンソリデーション時間を決定すること、および
プリプレグの減衰損失を測定し、減衰損失が30%に達した時の時間を記録し、熱硬化性樹脂の硬化率が20%に達した時の時間を測定することを含む方法。
【請求項14】
プリプレグを真空バッグのみの条件下で硬化させた際に、プリプレグが以下の条件式(1)および(2)を満たす、請求項13に記載の方法:
(1)100<t<2000
(2)t<t20<350
ここで、熱硬化性樹脂は、コンソリデーションの時間tを維持しつつt20を短縮させるための促進剤を含み、
式中、t=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが30%減衰(超音波非破壊検査(NDI)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、t20=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが硬化度20%(示差走査熱量計(DSC)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、熱硬化性樹脂は、コンソリデーションの時間tを維持しつつt20を短縮させるための促進剤を含む。
【請求項15】
以下の条件式(1)および(2)を満たす、請求項14に記載の方法:
(1)100<t<2000
(2)80<t20<150。
【請求項16】
請求項1に記載のプリプレグを熱硬化して作製する硬化繊維強化複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
真空バッグのみの処理の際に硬化速度を調整して完全コンソリデーションを可能とすることにより処理時間を最短にし、さらに第2の保持温度に上昇する前に特定の割合まで硬化してプリプレグ中の揮発性物質からボイドが増大するのを抑えることができる、繊維強化複合材料を製造するためのプリプレグである。この方法はオートクレーブ処理にも適用できる。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合(FRC)材料は、軽量でありながら強度や剛性等の力学的特性に優れているため、航空機部材、宇宙船部材、自動車部材、鉄道車両部材、船舶部材、スポーツ用品、およびラップトップ用の筐体等のコンピューター部材として広く使用されており、その需要は年々高まっている。これらの分野のうち、航空機部材および宇宙船部材においては特に優れた力学的特性および耐熱性が必要とされるため、強化繊維として炭素繊維がもっともよく使用されている。ここで、宇宙船部材としては、人工衛星、ロケット、スペースシャトル等に用いられる部材が挙げられる。
【0003】
FRC材料は、プリプレグともいう、マトリックス成分を予備含浸した繊維を用いて製造することができる。プリプレグから複合部品を形成するためには、1層または複数層のプリプレグを型の中で組み合わせ、熱を加えてマトリックス樹脂が流れるようにし、プリプレグ層がコンソリデーションできるようにすればよい。加えた熱によって、さらにマトリックス成分が硬化したり、重合したりすることもある。
【0004】
しかしながら、このようにプリプレグをコンソリデーションさせて複合体を形成することは困難である。複合体製造の際に閉じ込められた気体をより確実に除去するための技術は開発されているが、課題は残っている。気体は、完全コンソリデーションの前の空気の流路の排気による空気の排出が不十分であることにより閉じ込められ得る。大きな構造、複雑な形状および積層配列のプリプレグを使用すると、プリプレグの一部分において外側の空気の流路と分断された状態になってしまい、揮発性物質の除去が妨げられる場合がある。また、オートクレーブ処理または真空バッグのみの処理の圧力が不十分であると、FRC材料のボイド率が高くなる場合がある。揮発性物質がマトリックスから発生したり、閉じ込められた気体からボイドが増大したりするのを抑制するには、低温硬化を使用することができる。しかしながら、硬化温度が低いとマトリックス樹脂の硬化時間が長くなるため、この方法では処理時間が長くなってしまう。層間強化系等の特定の系については、マトリックス樹脂を過度に急速に硬化するようにすると、プリプレグが完全にコンソリデーションするための十分な時間がなくなることがある。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態は、熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂中の強化繊維からなるプリプレグであって、真空バッグのみの条件下で硬化させた際に以下の条件式(1)および(2)を満たすプリプレグに関する。
(1)100≦t≦2000
(2)t<t20≦350
式中、t=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが30%減衰(超音波非破壊検査(NDI)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、
20=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが硬化度20%(示差走査熱量計(DSC)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、熱硬化性樹脂は、コンソリデーションの時間tを維持しつつt20を短縮させるための促進剤を含む。熱硬化性樹脂は、120℃における粘度範囲が120ポアズ〜300ポアズであることが好ましい。プリプレグは、プリプレグの表面に局在する熱可塑性粒子をさらに含んでもよい。プリプレグの含浸率は、約20%〜約95%であることが好ましい。プリプレグは、以下の条件式(1)および(2)を満たすことが好ましい。
100≦t≦2000
80≦t20≦150
【0006】
熱硬化性樹脂は、コンソリデーションの時間tを維持しつつt20を短縮させるための促進剤を含むことが好ましい。促進剤は、フェノール基および/またはスルホン酸エステル基を含むことが好ましい。促進剤の量は、熱硬化性樹脂100重量部当たり約0.5〜約10重量部であることが好ましい。プリプレグは、スルホン酸基を含む成分からなることが好ましい。プリプレグは、ピロカテコール基を含む成分からなることが好ましい。プリプレグは、トシル基を含む成分からなることが好ましい。熱硬化性樹脂は、180℃で2時間硬化させた際のTgが180℃以上であることが好ましい。プリプレグを180℃で2時間硬化させた際に、促進剤によって熱硬化性樹脂のTgが180℃未満には下がらないことが好ましい。
【0007】
別の実施形態は、熱硬化性樹脂からなるプリプレグの処理方法であって、熱硬化性樹脂を真空バギングしてオーブン内で硬化させることによりコンソリデーション時間を決定すること、およびプリプレグの減衰損失を測定し、減衰損失が30%に達した時の時間を記録し、熱硬化性樹脂の硬化率が20%に達した時の時間を測定することを含む方法に関する。
【0008】
別の実施形態は、熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂中の強化繊維からなるプリプレグの処理方法であって、熱硬化性樹脂がコンソリデーションの時間tを維持しつつt20を短縮させるための促進剤を含む方法に関する。
ここで、t=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが30%減衰(超音波非破壊検査(NDI)にて測定)に達するまでの時間(分)であり、
20=t+t(分)であり、tは、20℃から最初の保持温度120℃までの時間(分)であり、tは、120℃にてプリプレグが硬化度20%(示差走査熱量計(DSC)にて測定)に達するまでの時間(分)である。
【0009】
これらの条件式は、プリプレグが硬化のある特定の時点の前に中間保持温度にて完全なコンソリデーションに達し、その後最終硬化温度まで上昇させる前に熱硬化性樹脂がある特定の段階まで硬化できるための要件を満たしている。熱硬化性樹脂の硬化が20%に達する前に最終硬化温度への上昇を開始すると、揮発性物質が発生し、FRC中にボイドが発生してしまう。
【0010】
ある実施形態においては、熱可塑性の粒子または繊維は、プリプレグの表面付近に実質的に局所的に分布している。
【0011】
さらなる実施形態においては、プリプレグを熱硬化して作製する繊維強化複合材料も含まれる。
【0012】
さらに、本実施形態の繊維強化複合材料の製造方法は、プリプレグを積層し、真空ポンプおよびオーブンを用いてプリプレグを成形する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の典型的なプリプレグの断面図の一例である。
図2】一実施形態におけるプリプレグの固結過程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で用いる「およそ」、「約」および「ほぼ」という用語は、規定の量に近い量であるが、その量でも目的の機能が発揮される、または目的の結果が得られる量を表す。例えば、「およそ」、「約」および「ほぼ」という用語は、規定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内および0.01%未満以内の量を指す場合がある。
【0015】
本明細書で用いる「室温」という用語は、当業者には公知であるその通常の意味を有し、約15℃〜43℃の範囲内の温度を含み得る。
【0016】
本開示の実施形態には、高いTgを維持しながら真空バッグのみの方法で硬化した後に低ボイドの複合体を作成するため、かつ現在のOOAシステムよりも処理時間を短縮するために硬化が制御されたプリプレグが含まれる。現在のOOAシステムは、低ボイドのFRCを作成するように設計されているが、低温では迅速に硬化させることができないため、プリプレグの処理時間が大きく増加する。このような低温硬化では、最終硬化温度において樹脂中の揮発性物質が樹脂系から発生しないようにある一定の割合まで樹脂が硬化することが必要とされ、その結果FRCの最終ボイド率が低下する。低温硬化のもう1つの利点は、低コストの生産設備を使用することにより各部品の製造コストを大幅に低減できることである。
【0017】
本開示の実施形態は、完全なコンソリデーションが可能な速度で硬化し、コンソリデーション完了後には急速に硬化するように設計されており、そのため低ボイドのFRCを作成するための処理時間がOOA法よりも短縮されている。硬化速度が、マトリックス樹脂の完全なコンソリデーションが可能なように制御されていない場合、硬化が進行し過ぎる前のプリプレグ中の繊維の濡れが不完全なため、ボイド率が高くなる。また、硬化速度を調整しようとすると、Tg等の特定の特性に悪影響を及ぼすことがある。本開示のプリプレグは、Tgに影響することなく、必要とされる速度で硬化するように設計することができる。
【0018】
本実施形態の熱硬化性樹脂の硬化速度は、以下の方法でコンソリデーション時間を求めることにより設計する。
【0019】
本明細書中においてプリプレグとは、熱硬化性樹脂組成物および熱可塑性樹脂の粒子または繊維からなるマトリックス樹脂を強化繊維に含浸させた成形用中間基材を指す。このプリプレグにおいては、熱硬化性樹脂は未硬化状態にあり、単層または複数の層のプリプレグを積層し、オートクレーブ処理または真空バッグのみの処理の両方を用いて高温下でプリプレグを硬化させることにより、繊維強化複合材料を得ることができる。複数のプリプレグ層を積層して硬化させることにより作製した繊維強化複合材料では、プリプレグの表面部が繊維強化複合材料の層間形成層となり、プリプレグの内部が繊維強化複合材料の強化繊維層となる。
【0020】
本発明で使用する強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、グラファイト繊維またはボロン繊維等からなる。強化繊維の形状や配向としては、一方向に引き揃えた長繊維、二方向織物、多軸織物、不織布材料、マット、編物、組紐等が挙げられる。用途や使用領域によってこれらを自由に選択できる。
【0021】
本発明で用いる熱硬化性樹脂は特に制限されず、樹脂が熱により架橋反応を起こし少なくとも部分的な三次元架橋構造を形成するものであればよい。これらの熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の変形および2種以上のブレンドの樹脂を用いることもできる。また、これらの熱硬化性樹脂は熱により自己硬化する樹脂であってもよいし、硬化剤や硬化促進剤等とブレンドしてもよい。これらの熱硬化性樹脂の中でも、本明細書の実施例においてはエポキシ樹脂を使用する。
【0022】
本発明において、優れた耐衝撃性を得るためには熱可塑性樹脂の粒子または繊維が必須成分である。本発明で用いる粒子または繊維の素材は、熱硬化性樹脂にブレンドし溶解させる熱可塑性樹脂として先に例示した各種熱可塑性樹脂と同様であってもよい。中でも、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上させることから、ポリアミドが最も好ましい。熱硬化性樹脂との接着強度が特に良好な熱可塑性樹脂を用いることにより、繊維強化複合材料の層間剥離強度が増し、繊維強化複合体の耐衝撃性への効果が高まる。
【0023】
熱可塑性樹脂の粒子を用いる場合、熱可塑性樹脂粒子の形状は、球状、非球状、多孔質、針状、ウイスカー状、フレーク状のいずれであってもよい。
【0024】
熱可塑性樹脂繊維を用いる場合、熱可塑性樹脂繊維の形状は、短繊維でも長繊維でもよい。短繊維の場合、特開平02−69566号公報に示されるような繊維を粒子と同じように用いる方法、またはマットに加工する方法が可能である。長繊維の場合、特開平04−292634号公報に示されるような長繊維をプリプレグの表面に平行に配列させる方法、または国際公開番号94016003に示されるような繊維をランダムに配列させる方法を用いることができる。また、繊維を加工して、特開平02−32843号公報に示されるような織物または国際公開番号94016003に示されるような不織布材料もしくは編物等のシート型の基材として用いることもできる。また、短繊維チップ、チョップドストランド、ミルドファイバーおよび短繊維を糸に紡いだ後、平行またはランダムに配列させて織物や編物とする方法も用いることができる。
【0025】
熱可塑性樹脂の粒子または繊維は、プリプレグの表面部に局所的に設けられている。すなわち、その断面を観察した際に粒子または繊維が局在することが明確に確認できる上記粒子または繊維が豊富な層(以下、層間形成層と言うこともある)は、プリプレグの表面部分に形成されなければならない。これにより、プリプレグを積層してマトリックス樹脂を硬化させて繊維強化複合材料を形成した場合に、マトリックス樹脂の上記粒子または繊維が強化繊維層の間に局在した中間層が形成される。これにより、強化繊維層間の靭性が高められたことになり、得られる繊維強化複合材料は高度の耐衝撃性を発現することになる。
【0026】
いくつかの実施形態における、プリプレグ中の熱硬化性樹脂組成物の含浸率は10〜90%であり、別の実施形態においては20〜70%である。最適含浸量は、繊維の組成、繊維の面積重量および繊維の配置によって異なる。繊維の配置は、一方向に引き揃えられた配列、織物等であってもよい。織物に関しては、織り方の種類が最適含浸量を左右する。図1は、本発明の典型的なプリプレグの断面図の一例を示している。図1を用いて本発明をより具体的に説明する。
【0027】
図1に示す本発明のプリプレグは、強化繊維1と熱硬化性樹脂2とを含有する2つの強化繊維層3の間に、熱硬化性樹脂2と熱可塑性樹脂粒子4とを含有する層間形成層5を有する。強化繊維層間の靭性は、層間形成層5を形成することにより高められる。また、本発明のプリプレグは、強化繊維1に熱硬化性樹脂2を含浸させていない未含浸層6を有する。未含浸層6は、脱オートクレーブ成形の際に空気の流路となり、エポキシ樹脂からの揮発性成分および積層過程中に閉じ込められた空気をパネルの外側に放出する。未含浸層6は、連続した強化繊維層であってもよいし、熱硬化性樹脂を所々含浸させた不連続の強化繊維層であってもよい。また、従来の完全に含浸させたプリプレグでは、層間形成層5に含まれる熱硬化性樹脂1の重量分率が低いため、層間形成層5におけるマトリックス樹脂の流れが極めて少なくなる。一方、本発明のプリプレグでは、含浸率を高く制御することにより層間形成層5中の熱硬化性樹脂の重量分率が最適化され、積層の際に閉じ込められた空気とプリプレグからの揮発性成分とがマトリックス樹脂の流れによりプリプレグ外に放出されると同時に、プリプレグ中における未含浸層6への樹脂流れが確保され、その結果、マトリックス樹脂が未含浸層6に迅速に含浸可能となる。
コンソリデーション(Ti)の定義
【0028】
次に、樹脂含有量30〜37重量%の一方向繊維を使用した一実施形態、および樹脂含有量35〜46%の織物型構造体を使用した他の実施形態における本発明のプリプレグのコンソリデーション過程を、図2により説明する。本発明のプリプレグは未含浸層6を有する。このプリプレグでは、硬化の際に熱硬化性樹脂2が未含浸層6に含浸する。同時に、プリプレグの上部と下部が堅固に一体化しながらプリプレグの密度が増していく。本発明においては、この一連の過程をコンソリデーション過程と定義し、この過程が完了する時間をコンソリデーション時間と呼び、tと定義する。得られる繊維強化複合材料において低ボイドを達成するためには、熱硬化性樹脂が樹脂の流れが止まる硬化点に達する前にこのコンソリデーション過程を完了させなければならない。前述の粒子または繊維が豊富な層間形成層は、熱硬化性樹脂の重量分率が極めて低くなるため、前述の熱硬化性樹脂単独の場合に比べて樹脂流れがはるかに少なくなり、したがって特に脱オートクレーブ成形を行う場合にはコンソリデーション時間が長くなる。このため、特定の硬化率に達する前に完全なコンソリデーションが可能な速度で硬化するように硬化速度を設計するためには、コンソリデーションの時間を知ることが重要となる。以下、あるプリプレグ系におけるコンソリデーション時間の決定方法を説明する。
【0029】
12層のプリプレグをそれぞれ有する5枚のパネルを積層し、真空圧縮下で1分間全パネルをコンソリデーションさせる。各パネルを別々の当て板の上に置き、真空バギングする。各パネルを真空下で1時間保持した後、5枚中4枚の当て板を完全真空のオーブンに入れ、120℃の温度まで毎分1.7℃の標準昇温で硬化を開始する。所定の硬化量、例えば10%、20%、50%および完全硬化の時点で各パネルを取り出す。完全硬化パネルは、第1の保持まで昇温した後、第1の保持温度にて保持する完全硬化サイクルを経る。第1の保持温度の時間は、樹脂が硬化率およそ20%に達するまでの時間を求めることにより決定し、樹脂が20%硬化に達したら、毎分1.7℃の速度で177℃まで2時間かけて昇温してFRPの硬化を完了させる。パネルをオーブンから取り出したら、真空バッグから取り出す前に室温まで十分放冷する。各パネルを真空バッグから取り出したら、オーブンに入れなかったものも含め、各パネルを超音波非破壊検査(NDI)にかけ、ボイドが全くなく完全に硬化していることがわかっている対照パネルと比べる。対照パネルに比べて減衰損失が30%未満のパネルを、完全コンソリデーションしていると見なす。全てのパネルが完全コンソリデーションを示す場合は、時間を短く、かつ硬化率を低くして工程を繰り返して最短固結時間を求めてもよい。いずれかのパネルにおいて硬化の際に減衰損失の増加が見られた場合、マトリックス樹脂系から揮発性物質を解離させるのに必要な温度よりも保持温度のほうが高いということになる。当業者には公知であろうが、この実験は様々な硬化時間および様々な粘度をシミュレートするために様々な温度で繰り返してもよく、それによってコンソリデーション時間は増減する。典型的には、保持温度が高いほど粘度は低くなり、コンソリデーション時間は早くなる。
【0030】
一旦コンソリデーション時間(t)を決定すれば、20%硬化に達する時間がコンソリデーション固結tの後になるように熱硬化性樹脂の硬化時間を調整することができる。20%硬化は、樹脂流れが減少してコンソリデーションが実質的に停止しているようになる時点とする。また樹脂が20%硬化にあると、最終保持温度に達する前に高硬化状態に達し、それにより放出される揮発性物質の量が減少する。揮発性物質の量が減少することによって、完全硬化が完了した後に繊維強化複合体中に残る孔の総量が減少する。
【0031】
硬化率は、ティー・エイ・インスツルメンツ社の示差走査熱量計(DSC)により決定する。まず初めに、ASTM D3532/R2004の方法により120℃にてゲル化時間を求めることにより硬化温度を決定する。ゲル化時間を決定したら、樹脂の試料を数個オーブンに入れ、ゲル化時間とゲル化時間後の所定の時間の間硬化させることができる。次いで、これらの試料のそれぞれの硬化率をDSCにて調べることができる。20%硬化に近似していればよいが、20%硬化時間と一致するか超えることが好ましい。
【0032】
熱硬化性樹脂の反応速度は、樹脂中の硬化剤の量を増減させることにより調整できる。硬化速度を調整する別の方法は、触媒を添加することである。この触媒は、硬化中には消費されずにただ硬化の促進を助ける化学物質である。触媒は、反応が促進されて反応速度が上記定義で規定した基準を満たすような任意の量で使用する。
【0033】
好適な触媒は、材料の完全コンソリデーションが可能となるように反応速度を速めることができるいずれかの触媒である。特に好適な触媒は、硬化後の熱硬化性樹脂のTgに影響を及ぼさない触媒である。他の触媒を用いて硬化を促進させてもよいが、硬化した熱硬化性樹脂のTgに影響してしまう。通常これらの触媒は反応速度をより一層速め、低温硬化熱硬化性樹脂系に対して使用することができる。触媒の使用量は、各触媒が熱硬化性樹脂の反応速度をどれだけ速めるかによって異なる。
【0034】
いくつかの実施形態における熱硬化性樹脂系の促進に使用する好適な触媒としては、フェノール基、スルホン酸エステル基、スルホン酸基、ピロカテコール基、トシル基および/または尿素基を含む触媒がある。
【0035】
タック性およびドレープ性等のプリプレグの取り扱い性を良好なものとするためには、熱硬化性樹脂の50℃における粘度は、種々の実施形態において100〜10000Pa・sであってもよく、いくつかの実施形態においては200〜9000Pa・sであり、さらに別の実施形態においては300〜8000Pa・sである。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態における熱硬化性樹脂の最低粘度は、0.1〜200Pa・sであってもよく、他の実施形態においては0.3〜100Pa・sであってもよい。最低粘度が低過ぎると、マトリックス樹脂の流れが多くなり過ぎ、ボイドがまとまって移動しさらに大きなボイドとなってしまう。一方、最低粘度が高過ぎると、樹脂の流れの速さが十分ではなく、生産目的のためにはコンソリデーションが遅くなり過ぎる。ここで、50℃粘度および最低粘度は動的粘弾性測定装置(ARES、ティー・エイ・インスツルメンツ社製)により決定する。
【0037】
本発明のプリプレグは、リバースロールコーターやナイフコーター等を用いて離型紙の上に本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布して樹脂フィルムを形成し、次いで、この熱硬化性樹脂組成物フィルムを積層、加熱、圧縮して強化繊維の両面に含浸させることによって製造できる。また、片面のみがマトリックス樹脂で完全に被覆されたプリプレグは、熱硬化性樹脂組成物フィルムを強化繊維の片面のみに積層した後に加熱、圧縮して含浸させることにより製造できる。このプリプレグは、片面はマトリックス樹脂が含浸していない強化繊維を含有するため、この面が空気の流路となり、そのため得られる繊維強化複合材料のボイドを抑制する効果がある。ここで、部分含浸プリプレグは、強化繊維の一部に熱硬化性樹脂組成物が含浸しないように、例えば温度、圧力および時間を減少させるなどして含浸の際の条件を調節することにより製造できる。あるいは、特開平14−249605号公報に示されるように、部分含浸プリプレグは、離型紙に塗布された熱硬化性樹脂組成物が、縞模様等の、離型紙を完全には被覆していない形状であるフィルムを用いて製造することもできる。プリプレグの単位面積当たりの強化繊維の量は、70〜400g/mである。
【0038】
本発明の繊維強化複合材料は、前述のプリプレグを積層して熱硬化させることにより製造できる。当然のことながら、繊維強化複合材料は、単層プリプレグを硬化させることによって得ることもできる。加熱は、オーブン、オートクレーブまたはプレス等の装置で行う。低コストの観点からは、オーブンを代わりに用いる。本発明のプリプレグをオーブンで加熱して硬化させる場合は、以下の成形法を用いる。単層のプリプレグまたは複数の層を積層させた積層体を形成し、得られた積層体を、内部の真空度が11kPa以下の袋に包んで20〜50℃の温度で脱気し、真空度を11kPa以下に維持したまま中間保持温度まで昇温する。真空度が11kPaより高いと、プリプレグ中におけるマトリックス樹脂の流れが不十分となり、プリプレグの硬化の際に未含浸強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させることができないため、得られる繊維強化複合材料中に多数のボイドが発生する恐れがある。ここで、脱気は、真空度が0.1kPa〜11kPa、あるいは0.1kPa〜7kPaである条件で行う。ここで、本発明の種々の実施形態における中間保持温度は80〜200℃であってもよく、いくつかの実施形態においては88〜180℃であってもよい。中間保持温度が低過ぎると、いくつかの実施形態においてはコンソリデーション時間が長くなり過ぎることがあり、高コストにつながるおそれがあり、一方で硬化温度が高過ぎると、いくつかの実施形態においては、樹脂系中の揮発性物質からボイドが発生するおそれがある。本発明の種々の実施形態における最終硬化温度は100〜200℃であってもよく、いくつかの実施形態においては120〜180℃であってもよい。中間保持温度は、使用者の処理要件や使用するマトリックス樹脂によって決まる。最終硬化温度は、使用する特定の熱硬化性樹脂によって決まる。
【0039】
室温から硬化温度まで昇温する場合、硬化温度まで一定の速度で昇温してもよいし、中間保持温度で一定時間保持しその後硬化温度まで昇温してもよい。このように、中間温度を一定時間保持しその後硬化温度まで昇温する硬化法をステップキュアと呼ぶが、ステップキュアの際には温度を一定時間保持する。このように中間温度を一定時間保持すると、マトリックス樹脂の十分な流れによってプリプレグのコンソリデーションが確実なものとなり、プリプレグからの揮発性成分がマトリックス樹脂系から解離しないことが確実なものとなる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の材料を用いて各実施例のプリプレグを得た。
炭素繊維
・トレカ(登録商標)T800S−24K−10E(東レ株式会社製炭素繊維:繊維フィラメント数24,000、引張強度5.9GPa、引張弾性率2.90GPa、引張伸度2.0%)
エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アラルダイト(登録商標)LY1556(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EPON(登録商標)825(モメンティブ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、アラルダイト(登録商標)MY9655(EEW:126g/eq、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
熱可塑性樹脂
・末端水酸基ポリエーテルスルホン、スミカエクセル(登録商標)PES5003P(住友化学株式会社製)
硬化剤
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、Aradur(登録商標)9664−1(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
促進剤
DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)(シグマ・アルドリッチ・ケミカル社製)
p−トルエンスルホン酸エチル(シグマ・アルドリッチ・ケミカル社製)98%
4−tert−ブチルカテコール(シグマ・アルドリッチ・ケミカル社製)97%
ブチルヒドロキシアニソール(シグマ・アルドリッチ・ケミカル社製)
SAN−AID SI−150(三新化学工業株式会社製)
熱可塑性樹脂粒子
・TN微粒子(東レ株式会社製)
【0041】
以下の測定方法を用いて各実施例の熱硬化性樹脂組成物およびプリプレグを測定した。
【0042】
(1)熱硬化性樹脂の粘度測定
熱硬化性樹脂は、動的粘弾性測定装置(ARES、ティー・エイ・インスツルメンツ社製)により、パラレルプレートを用い、歪み100%、周波数0.5Hz、プレート間隔1mmにて、2℃/分の速度で50℃から170℃まで単純昇温しながら測定した。
(2)熱硬化性樹脂の硬化率測定
【0043】
熱硬化性樹脂の硬化率は、示差走査熱量計(DSC)(RCS(機械式冷凍冷却システム)付きQ2000、ティー・エイ・インスツルメンツ社製)を用いて、上昇速度は10℃/分で決定した。硬化率は、未硬化樹脂の発熱反応ピークと硬化樹脂の発熱反応ピークを比較することにより求める。ここで、熱硬化性樹脂組成物の硬化度は、示差走査熱量計(DSC、ティー・アイ・インスツルメンツ社製)を用いて、樹脂を調製した直後の熱硬化性樹脂組成物の硬化発熱量(H)および硬化樹脂組成物の残発熱量(H)を測定し、次の式により算出する。
DSC硬化度(%)=[(H−H)×100/H
(3)熱硬化性樹脂組成物の流れおよびゲル化時間
【0044】
マトリックス樹脂のゲル化時間は、ASTM D3S32/R2004またはJIS K−7071「炭素繊維及びエポキシ樹脂からなるプリプレグの試験方法」により測定した。
(4)プリプレグ中の熱硬化性樹脂組成物の含浸率の測定
【0045】
プリプレグを2枚の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板の表面の間に挟み、10日間40℃で徐々に硬化させて板状の硬化プリプレグを得た。硬化後、接着面と直交する方向に切断し、プリプレグの上下面が視野内に収まるように50倍以上に拡大して光学顕微鏡で断面の写真を撮影した。断面積に対する樹脂含浸部の表面積比を算出し、プリプレグ中における熱硬化性樹脂組成物の含浸率とした。
(5)繊維強化複合材料のボイド率測定
【0046】
[0°]構造の16層の一方向プリプレグを、25℃、真空度3kPaで脱気した後、真空度を3kPaに維持したまま1.5℃/分の速度で120℃の温度まで昇温して180分間保持し、その後1.5℃/分の速度で180℃の温度まで昇温して120分間保持し、プリプレグを硬化させて縦300mm×横150mmの積層体を得た。この積層体から縦10mm×横10mmのサンプル片を3個切り出し、その断面を研磨後、各サンプルにつき3枚、計9枚の写真を、積層体の上下面が視野内に収まるように50倍以上に拡大して光学顕微鏡で撮影した。断面積に対するボイドの表面積比を算出し、9箇所の平均ボイド率をボイド率とした。
【0047】
実施例1〜7
13重量部のPES5003Pを、ミキサー中の60重量部のアラルダイト(登録商標)MY9655および20重量部のEPON(登録商標)825に溶解させて混合物を得た。この混合物に20重量部のTN(登録商標)熱可塑性樹脂粒子を加えて均一に分散させた後、硬化剤として45重量部のARADUR(登録商標)9664−1を混合物に加えて熱硬化性樹脂組成物を得た。促進剤は、表1に記載のとおり様々な量で混合物に加えた。
【0048】
得られた熱硬化性樹脂組成物をナイフコーターで離型紙に塗布して、52.0g/mの樹脂フィルムを2枚作製した。次に、作製したこの2枚の樹脂フィルムを、密度1.8g/cmの一方向に配列されたシート状の炭素繊維(T800S−12K−10E)の両面に積層し、ローラー温度100℃、ローラー圧力0.07MPaで樹脂を含浸させて、炭素繊維の単位面積重量が190g/mでマトリックス樹脂の重量分率が35.4%の一方向プリプレグを得た。この一方向プリプレグの含浸レベルは約10〜70%である。
【0049】
前述のプリプレグを12層積層してFRCを作製し、真空バッグのみの方法を用い、以下のとおり、真空容器に入れて真空度3Kpaにて周囲温度で1時間脱気することにより作製した。脱気完了後、プリプレグを1.7℃/分の速度で周囲温度から120℃まで加熱して、120℃で60分間保持した。完全固結に達するまでの時間t、ならびに熱硬化性樹脂組成物およびプリプレグの20%硬化に達するまでの時間T20を測定し、表1に示した。熱硬化性樹脂については粘度も測定し、50℃における粘度および最低粘度を表1に記載する。最終硬化を176℃で120分間実施した後にFRC中の熱硬化性樹脂のボイド率を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
比較例1
促進剤を使用しなかったことを除き実施例1と同様の方法でプリプレグを作製した。このプリプレグを12層積層してFRCを作製し、真空容器に入れて真空度3Kpaにて周囲温度で1時間脱気した。脱気完了後、プリプレグを1.7℃/分の速度で周囲温度から120℃まで加熱して、120℃で60分間保持した。完全コンソリデーションに達するまでの時間t、ならびに熱硬化性樹脂組成物およびプリプレグの20%硬化に達するまでの時間T20を測定し、表1に示した。熱硬化性樹脂については粘度も測定し、50℃における粘度および最低粘度を表1に記載する。最終硬化を176℃で120分間実施した後にFRC中の熱硬化性樹脂のボイド率を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
比較例2〜7
実施例1と同様の方法でプリプレグを作製した。このプリプレグを12層積層してFRCを作製し、真空容器に入れて真空度3Kpaにて周囲温度で1時間脱気した。脱気完了後、プリプレグを1.7℃/分の速度で周囲温度から120℃まで加熱して、120℃で60分間保持した。完全コンソリデーションに達するまでの時間t、ならびに熱硬化性樹脂組成物およびプリプレグの20%硬化に達するまでの時間T20を測定し、表1に示した。熱硬化性樹脂については粘度も測定し、50℃における粘度および最低粘度を表1に記載する。最終硬化を176℃で120分間実施した後にFRC中の熱硬化性樹脂のボイド率を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
実施例10〜11、含浸レベル
実施例10のローラー温度を60℃とし、実施例11のローラー温度を120℃、ローラー圧力を0.14MPaとした以外は、実施例2と同様の方法でプリプレグを製造した。
【0053】
実施例12〜13、異なる目付け
実施例12の樹脂フィルムの目付けを44.7g/mとし、実施例13ではローラー圧力を0.1MPa、樹脂フィルムの目付けを58.22g/mとし、ローラー温度を120℃とした以外は、実施例2と同様の方法でプリプレグを製造した。プリプレグは実施例2と同様に硬化させた。結果を表1に示す。
【0054】
実施例14、両面織物プリプレグT800H−6K−40B
実施例2で得た熱硬化性樹脂組成物をナイフコーターで離型紙に塗布して、68.8g/mの樹脂フィルムを1枚作製した。次に、作製したこの樹脂フィルムのシートを、T800H−6K−40B製の平織物の片面に積層し、ローラー温度120℃、ローラー圧力0.1MPaで樹脂を含浸させて、炭素繊維の単位面積重量が190g/mでマトリックス樹脂の重量分率が42%の一方向プリプレグを得た。得られた平織物プリプレグを用いてプリプレグ中のエポキシ樹脂組成物含有率を測定したところ、結果は42%であった。繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度測定とボイド率を測定した結果、それぞれ286MPa、0.5%であった。
【0055】
予測例1、片面プリプレグ織物
実施例2で得た熱硬化性樹脂組成物を作製し、ナイフコーターで離型紙に塗布して137g/mの樹脂フィルムを1枚作製する。次に、作製したこの樹脂フィルムのシートを、T800H−6K−40B製の平織物の片面に積層し、ローラー温度120℃、ローラー圧力0.1MPaで樹脂を含浸させて、炭素繊維の単位面積重量が190g/mでマトリックス樹脂の重量分率が42%の一方向プリプレグを得る。得られた平織物プリプレグを用いてプリプレグ中のエポキシ樹脂組成物含有率を測定すると、結果は42%である。
【0056】
予測例2、両面織物プリプレグT700S−12K
実施例2で得た熱硬化性樹脂組成物を作製し、ナイフコーターで離型紙に塗布して68.8g/mの樹脂フィルムを1枚作製する。次に、作製したこの樹脂フィルムのシートを、T700S−12K製の平織物の両面に積層し、ローラー温度120℃、ローラー圧力0.1MPaで樹脂を含浸させて、炭素繊維の単位面積重量が190g/mでマトリックス樹脂の重量分率が42%の一方向プリプレグを得る。得られた平織物プリプレグを用いてプリプレグ中のエポキシ樹脂組成物含有率を測定する。
【0057】
【表1】
図1
図2