特許第6036859号(P6036859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036859
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/407 20060101AFI20161121BHJP
   H04L 12/40 20060101ALI20161121BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H04L12/407
   H04L12/40 D
   H04B3/54
【請求項の数】4
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-6402(P2015-6402)
(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公開番号】特開2015-165652(P2015-165652A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-22952(P2014-22952)
(32)【優先日】2014年2月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】武 正行
【審査官】 大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−051344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/407
H04B 3/54
H04L 12/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理部および送信回路を含む第1の通信部と、
データ処理部および送信回路を含み、前記第1の通信部と通信方式が異なる第2の通信部とを備え、
前記第1の通信部の前記データ処理部および前記第2の通信部の前記データ処理部は、それぞれ独立して決定される送信タイミングにおいてデータを出力し、
前記第1の通信部の前記送信回路および前記第2の通信部の前記送信回路は、対応の前記データ処理部から前記データを受けて、前記データを含む信号である通信信号を送信し、
前記第1の通信部の前記データ処理部は、対応の前記送信回路に前記通信信号を送信させるための送信制御信号を出力する場合、他の前記送信回路による信号の送信動作を停止するための停止制御信号を前記第2の通信部へ出力する、通信装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、他の前記データ処理部から前記停止制御信号が出力されている期間において、自己に対応する前記送信回路への前記データの出力を継続する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、送信すべきデータを複数の分割データに分割して対応の前記送信回路へ出力し、かつ出力前の前記分割データを保持するバッファを含み、
前記データ処理部は、前記停止制御信号を他の前記データ処理部へ出力し、
前記他のデータ処理部は、前記停止制御信号を受けて、対応の前記送信回路による信号の送信動作を停止するとともに、前記バッファに保持されているデータのうち、一部の前記分割データが前記送信回路へ出力された残りの前記分割データを前記バッファから削除する、請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信回路は、受けた信号を増幅して出力するアンプを含み、
信号の前記アンプへの出力が停止されるか、または前記アンプの動作が停止されることにより前記送信回路による信号の送信動作が停止される、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、特に、複数の送信回路を備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LAN(Local Area Network)において利用される通信方式の1つに、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)がある。
【0003】
CSMA/CD方式における技術として、たとえば、特開2001−144789号公報(特許文献1)には、以下のような通信装置が開示されている。すなわち、複数のデータ送信が衝突した場合に待ち状態とし、その後再送信する通信装置において、複数のデータ送信における基準となる基準時刻と、ランダムに発生させたずらし時間とを取得し、時刻問い合わせに対して、前記基準時刻を前記ずらし時間を用いて変更した時刻を返す送信衝突制御手段と、時刻問い合わせの応答として前記送信衝突制御手段から受けた時刻が一定の周期を経過した旨を示す場合に、一定の周期ごとに繰り返されるデータ送信を実行する送信手段とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−144789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信装置には、複数の送信回路を備えるものがあり、複数の送信回路が同時に信号を送信する場合、当該通信装置の消費電力が大きくなる。
【0006】
そして、これらの送信回路が共通の伝送路へ信号を出力する場合、CSMA/CD方式を利用すれば、各送信回路による同時送信は基本的には発生しない。
【0007】
しかしながら、CSMA/CD方式を利用する場合でも、伝送路上での信号の衝突を検出した後の送信待ち時間がランダムに決定されるため、各送信回路による同時送信が発生してしまう可能性がある。
【0008】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、複数の送信回路を備える構成において、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することが可能な通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信装置は、それぞれ独立して決定される送信タイミングにおいてデータを出力する複数のデータ処理部と、前記複数のデータ処理部にそれぞれ対応して設けられ、対応の前記データ処理部から前記データを受けて、前記データを含む信号である通信信号を送信する複数の送信回路とを備え、前記データ処理部は、対応の前記送信回路へ前記データを出力する期間において、他の前記送信回路による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。
【0010】
本発明は、このような特徴的な処理部を備える通信装置として実現できるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、通信装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の送信回路を備える構成において、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の適用例である電力情報収集システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電力情報収集システムにおけるスマートメータの構成を示す図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートメータにおける各通信部による電力線への信号出力の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の変形例の構成を示す図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の変形例における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図9図9は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図13図13は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の変形例の構成を示す図である。
図15図15は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の変形例における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
図16図16は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の変形例の構成を示す図である。
図17図17は、本発明の第4の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図18図18は、本発明の第5の実施の形態に係る通信装置の適用例である電力情報収集システムの構成を示す図である。
図19図19は、本発明の第5の実施の形態に係る電力情報収集システムにおけるスマートメータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0014】
(1)本発明の実施の形態に係る通信装置は、それぞれ独立して決定される送信タイミングにおいてデータを出力する複数のデータ処理部と、前記複数のデータ処理部にそれぞれ対応して設けられ、対応の前記データ処理部から前記データを受けて、前記データを含む信号である通信信号を送信する複数の送信回路とを備え、前記データ処理部は、対応の前記送信回路へ前記データを出力する期間において、他の前記送信回路による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。
【0015】
このように、ある送信回路の送信動作を、他の送信回路の送信状態に基づいて制御する構成により、各送信回路による通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができ、通信装置における消費電力の増大を防ぐことができる。したがって、複数の送信回路を備える構成において、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0016】
また、通信装置における各データ処理部の送信タイミングは、排他的ではなく、送信期間の重複があり得るように設定される、すなわち、各データ処理部の送信タイミングの設定において、送信期間の重複が許容されている。
【0017】
本発明の実施の形態に係る通信装置は、たとえば複数の通信回路が接続されたバスの調停を行なう構成とは異なり、データ処理部が、自己がデータを送信したいタイミングに同期して他のデータ処理部のデータ送信を停止する、すなわち、他の送信系統の送信状態に関わらず、当該他の送信系統の送信を停止させる構成である。そして、これら複数の送信系統が1つの通信装置に具備されており、各送信系統の同時送信による消費電力の増大を抑制する構成である。
【0018】
このように、本発明の実施の形態に係る通信装置は、複数の送信先への送信タイミングが時間的に重複することを防ぐことを主目的とするのではなく、各送信タイミングの重複がある場合において、通信装置における複数の送信回路の同時送信による消費電力の増大、すなわち瞬時的な消費電力を低減することを主目的としている。そして、このような目的を達成することにより、たとえば、通信装置に要求される最大許容消費電力を低い値に設定することが可能となる。
【0019】
このような送信タイミングの重複例としては、たとえば、CSMA/CD方式においてランダムに決定される各送信系統の待機時間が同じ長さに設定される場合がある。
【0020】
本発明の実施の形態に係る通信装置は、データ処理部が、送信回路による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する構成により、バス調停のようにバス上の制御情報の通信を保障する必要が無く、簡易な構成で、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0021】
さらに、通信装置における複数の送信系統において異なる通信メディアを使用する場合、複数の送信先への送信タイミングが時間的に重複することをバス調停のように防ぐことは困難であり、また、CSMA/CDの採用も困難である。このような場合でも、本発明の実施の形態に係る通信装置では、簡易な構成で、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0022】
(2)好ましくは、前記データ処理部は、他の前記データ処理部から前記制御信号が出力されている期間において、自己に対応する前記送信回路への前記データの出力を継続する。
【0023】
このように、データ処理部自体は自己の送信タイミングでデータを出力する、すなわちデータ処理部間で送信タイミングの調停は行われず、送信期間の重複による送信の失敗が許容されているという前提の構成において、データ処理部の後段の送信回路で強制的に送信を停止して、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0024】
(3)好ましくは、前記データ処理部は、送信すべきデータを複数の分割データに分割して対応の前記送信回路へ出力し、かつ出力前の前記分割データを保持するバッファを含み、前記データ処理部は、前記制御信号を他の前記データ処理部へ出力し、前記他のデータ処理部は、前記制御信号を受けて、対応の前記送信回路による信号の送信動作を停止するとともに、前記バッファに保持されているデータのうち、一部の前記分割データが前記送信回路へ出力された残りの前記分割データを前記バッファから削除する。
【0025】
このような構成により、一部しか送信されないデータの残りの分割データの無駄な送信を防ぐことができるため、通信効率を高めることができ、また、消費電力を抑制することができる。
【0026】
(4)好ましくは、前記通信装置は、さらに、前記複数の送信回路のうちの少なくともいずれか1つの前記送信回路である優先送信回路へ対応の前記データ処理部から前記データが出力される期間において、前記対応のデータ処理部から前記制御信号を受けて、前記優先送信回路以外の前記送信回路による信号の送信動作を停止するプライオリティ処理回路を備える。
【0027】
このような構成により、優先すべき送信回路を介した通信相手への情報伝達を行なうことができるとともに、他の送信回路において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、通信装置における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0028】
(5)より好ましくは、前記プライオリティ処理回路は、前記優先送信回路の設定に関する情報を取得し、前記優先送信回路の設定内容は変更可能である。
【0029】
このような構成により、通信信号の送信を優先すべき送信回路を、通信装置の用途等に応じて柔軟に設定することができる。
【0030】
(6)好ましくは、前記複数の送信回路は、共通の伝送路へ信号を出力する。
【0031】
このような構成により、特に、各送信回路からの通信信号が伝送路において衝突し、通信装置から他の装置への情報伝達に失敗してしまうような状況において、各送信回路において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、通信装置における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0032】
(7)より好ましくは、前記データ処理部は、前記通信装置において、他の前記送信回路または他の装置から前記伝送路へ信号が送信されていないと判断された場合に対応の前記送信回路へ前記データを出力し、前記伝送路において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、対応の前記送信回路への前記データの再送を行なう。
【0033】
このような構成により、複数の送信回路が共通の伝送路へ信号を出力する場合において、各送信回路へのデータの同時出力を基本的には発生しないようにしながら、特に、伝送路上での信号の衝突を検出した後の各データ処理部等における送信待ち時間が同じ値になる場合でも、各送信回路による通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができ、通信装置における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0034】
(8)好ましくは、前記送信回路は、受けた信号を増幅して出力するアンプを含み、信号の前記アンプへの出力が停止されるか、または前記アンプの動作が停止されることにより前記送信回路による信号の送信動作が停止される。
【0035】
このような構成により、通信装置の総消費電力において消費電力の占める割合の大きいアンプの動作を大幅に抑制することができるため、通信装置における消費電力の増大をより効果的に防ぐことができる。
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0037】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の適用例である電力情報収集システムの構成を示す図である。
【0038】
図1を参照して、電力情報収集システム201は、複数のスマートメータ群121A,121B,121C,121Dと、コンセントレータ102と、ヘッドエンド103とを備える。
【0039】
電力情報収集システム201は、節電等の目的から家庭および職場における消費電力量を測定し、測定した消費電力量を示す電力情報を収集して電力会社等のサーバへ送信する。
【0040】
電力情報収集システム201において、スマートメータ群121Aは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Aを含み、スマートメータ群121Bは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Bを含む。また、スマートメータ群121Cは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Cを含み、スマートメータ群121Dは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Dを含む。
【0041】
各スマートメータ101は、電力線161を介してコンセントレータ102と接続され、また、電力線161を介してHGW104A,104B,104C,104Dと接続される。
【0042】
電力情報収集システム201は、たとえば集合住宅151に使用される。スマートメータ101Aは、たとえば集合住宅151の1階から5階までの各階に設けられ、スマートメータ101Bは、たとえば集合住宅151の6階から10階までの各階に設けられ、スマートメータ101Cは、たとえば集合住宅151の11階から15階までの各階に設けられ、スマートメータ101Dは、たとえば集合住宅151の16階から20階までの各階に設けられている。また、コンセントレータ102は、たとえば集合住宅151の1階に設けられている。
【0043】
以下、スマートメータ101A,101B,101C,101Dの各々をスマートメータ101とも称する。また、スマートメータ群121A,121B,121C,121Dの各々をスマートメータ群121とも称する。また、HGW104A,104B,104C,104Dの各々をHGW104とも称する。
【0044】
なお、図1では、スマートメータ群121として4つのスマートメータ群121A,121B,121C,121Dを代表的に示しているが、電力情報収集システム201は、少数またはさらに多数のスマートメータ群を備えてもよい。
【0045】
電力情報収集システム201では、たとえば電力線通信(PLC:Power Line Communications)を利用して、子機である各スマートメータからの電力情報が、親機であるコンセントレータ102において集約され、電力会社等のサーバであるヘッドエンド103へ送信される。
【0046】
電力線161は、たとえば、集合住宅151において上下階に縦方向に配設されており、階ごとに子機であるスマートメータ101が接続されている。各スマートメータ101は、電力線161を介して親機であるコンセントレータ102に接続されている。
【0047】
スマートメータ101およびコンセントレータ102は、電力線161を用いた電力線通信により、各種情報を含む信号の送受信を行なう。コンセントレータ102およびヘッドエンド103は、有線通信または無線通信により、各種情報を含む信号の送受信を行なう。
【0048】
具体的には、スマートメータ101は、通信機能付きの電力計測器であり、計測結果である電力情報をコンセントレータ102へ送信する(図1に示す「Aルート」)。
【0049】
コンセントレータ102は、複数のスマートメータ101に電力線161を介して接続された集約装置であり、各スマートメータ101から受信した電力情報をヘッドエンド103へ送信する。
【0050】
また、各スマートメータ101は、電力線161を介してHGW104のような電力需要家ネットワークの通信装置に接続されている。HGW104は、宅内の1または複数の電気機器と宅内ネットワーク(Home Area Network)を構築することができる。
【0051】
スマートメータ101は、計測結果である電力情報を電力線161経由でHGW104へ送信する(図1に示す「Bルート」)。そして、HGW104は、スマートメータ101から受信した電力情報をたとえば宅内の表示機器において表示させる等、受信した電力情報を用いた宅内電力管理を行なう。
【0052】
ここで、たとえば同一のスマートメータ群121に含まれるスマートメータ101間では、CSMA/CD方式を採用し、他のスマートメータ101が信号を送信しているか否かを互いに判断し、他のスマートメータ101が信号を送信していないと判断した場合に信号の送信を行なう。そして、スマートメータ101は、電力線161において信号の衝突が発生したことを検知すると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、信号の再送を行なう。
【0053】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電力情報収集システムにおけるスマートメータの構成を示す図である。
【0054】
図2を参照して、スマートメータ101は、通信部91と、通信部92と、制御部13と、電力情報記憶部15と、電力計測部16とを含む。
【0055】
通信部91および通信部92は、電力線161に接続される。通信部91は、電力線161を介してコンセントレータ102との間で信号を送受信する。通信部92は、電力線161を介してHGW104との間で信号を送受信する。なお、通信部91および通信部92は、信号を送受信する通信相手を変更可能であってもよい。
【0056】
スマートメータ101は、コンセントレータ102およびHGW104との間で情報をやり取りする。
【0057】
具体的には、たとえば、電力計測部16は、電力需要家の総消費電力量を計測する。そして、電力計測部16は、計測結果である電力情報を電力情報記憶部15へ出力する。電力情報記憶部15は、電力計測部16から出力された電力情報を保持する。
【0058】
制御部13は、電力情報記憶部15に保持されている電力情報を読み出し、読み出した電力情報を通信部91および電力線161経由でコンセントレータ102へ送信する(図2に示す「Aルート」)。
【0059】
また、制御部13は、電力情報記憶部15に保持されている電力情報を読み出し、読み出した電力情報を通信部92および電力線161経由でHGW104へ送信する(図2に示す「Bルート」)。
【0060】
なお、制御部13は、電力情報以外の情報を取得または作成し、当該情報を通信部91および通信部92経由でコンセントレータ102およびHGW104へそれぞれ送信することも可能である。
【0061】
通信部91および通信部92は、電力線161への信号の送信について、前述のようなCSMA/CD方式を採用している。
【0062】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートメータにおける各通信部による電力線への信号出力の一例を示す図である。
【0063】
図3を参照して、時刻t1において、通信部91および通信部92は、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。通信部91および通信部92では、それぞれ待機時間TWAおよびTWBがランダムに決定される。ここでは、待機時間TWBの方が待機時間TWAより長い時間に設定されている。
【0064】
次に、通信部91は、待機時間TWAが経過すると(時刻t2)、コンセントレータ102宛の情報を含む通信信号SAを電力線161へ出力する。
【0065】
次に、通信部91が通信信号SAの電力線161への出力を完了した後、待機時間TWBが経過し、通信部92は、HGW104宛の情報を含む通信信号SBを電力線161へ出力する(時刻t3)。
【0066】
次に、時刻t4において、通信部91および通信部92は、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定されている。
【0067】
次に、通信部91および通信部92は、同じ長さの待機時間TWAおよびTWBが経過すると(時刻t5)、コンセントレータ102宛の情報を含む通信信号SAおよびHGW104宛の情報を含む通信信号SBをそれぞれ電力線161へ出力する。
【0068】
このとき、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ101からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうとともに、通信部91および通信部92による通信信号の送信動作が同時に行われることにより、スマートメータ101における消費電力が増大してしまう。
【0069】
たとえば、スマートメータ101の要求仕様として最大消費電力が定められている場合、上記のような通信部91および通信部92による通信信号の同時送信が行われると、スマートメータ101の消費電力が最大消費電力を超えてしまう場合がある。あるいは、これを防ぐために、上記のような同時送信が行われても最大消費電力を超えないような製品設計が必要となってしまう。
【0070】
そこで、本発明の実施の形態に係る通信装置では、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0071】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【0072】
図4を参照して、通信部91は、データ処理部11Aと、送信回路12Aとを含む。通信部92は、データ処理部11Bと、送信回路12Bとを含む。データ処理部11Aおよび11Bの各々は、PLC MAC処理部21と、PLC PHY処理部22とを含む。送信回路12Aおよび12Bの各々は、DAC(Digital to Analog Converter)23と、アナログスイッチ24と、アンプ25とを含む。なお、通信部91および通信部92が、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置に相当する。
【0073】
以下、データ処理部11Aおよび11Bの各々をデータ処理部11とも称する。送信回路12Aおよび12Bの各々を送信回路12とも称する。
【0074】
データ処理部11は、たとえば制御部13から受けた、送信すべきデータを出力する。
【0075】
送信回路12は、データ処理部11Aおよび11Bに対応して複数、ここでは2つ設けられている。送信回路12は、対応のデータ処理部11からデータを受けて、当該データを含む信号である通信信号を送信する。各送信回路12は、共通の伝送路たとえば電力線161へ信号を出力する。
【0076】
より詳細には、データ処理部11において、PLC MAC処理部21は、所定の通信プロトコルにおけるMACレイヤの処理として、制御部13から受けた電力情報等に通信用の情報を付加する等の処理を行ない、処理後のデータをPLC PHY処理部22へ出力する。
【0077】
PLC PHY処理部22は、所定の通信プロトコルにおけるMACレイヤの処理として、PLC MAC処理部21から受けたデータに通信用の情報を付加する等の処理を行ない、処理後のデータを送信データとしてDAC23へ出力する。
【0078】
送信回路12において、DAC23は、PLC PHY処理部22から受けたデジタル信号である送信データをアナログ信号に変換し、アナログスイッチ24を介してアンプ25へ出力する。
【0079】
アンプ25は、アナログスイッチ24を介してDAC23から受けたアナログ信号を増幅する。より詳細には、送信回路12Aにおけるアンプ25は、アナログスイッチ24を介してDAC23から受けたアナログ信号を増幅し、通信信号SAとして電力線161へ出力する。送信回路12Bにおけるアンプ25は、アナログスイッチ24を介してDAC23から受けたアナログ信号を増幅し、通信信号SBとして電力線161へ出力する。
【0080】
たとえば、送信回路12は、スマートメータ101において、他の送信回路12または他の装置から電力線161へ信号が送信されていないと判断された場合に電力線161へ信号を送信し、電力線161において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、電力線161への信号の再送を行なう。この判断および検知は、たとえば、データ処理部11が行なってもよいし、送信回路12が行なってもよい。
【0081】
すなわち、データ処理部11は、スマートメータ101において、他の送信回路12または他の装置から電力線161へ信号が送信されていないと判断された場合に対応の送信回路12へデータを出力し、電力線161において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、対応の送信回路12へのデータの再送を行なう。
【0082】
また、PLC PHY処理部22は、送信制御部として、送信回路12による信号の送信動作を制御する。具体的には、PLC PHY処理部22は、自己のデータ処理部11から対応の送信回路12へデータが出力される期間において、他の送信回路12による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。たとえば、PLC PHY処理部22は、送信制御部として、信号のアンプ25への出力を停止することにより他の送信回路12による信号の送信動作を停止する。
【0083】
より詳細には、PLC PHY処理部22は、送信データを対応の送信回路12へ出力するデータ出力期間を示すフラグ信号を生成して出力する。より詳細には、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、フラグ信号faを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する。データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22は、フラグ信号fbを送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する。
【0084】
たとえば、フラグ信号は、データ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。なお、フラグ信号は、データ出力期間の前および後の少なくともいずれか一方に所定時間のマージンを含んだ期間において論理ハイレベルとなってもよい。
【0085】
アナログスイッチ24は、DAC23の出力端に接続された第1端と、アンプ25の入力端に接続された第2端と、接地電圧の供給される接地ノードに接続された第3端とを有する。アナログスイッチ24は、PLC PHY処理部22から受けたフラグ信号が論理ローレベルの場合に第1端および第2端を接続し、論理ハイレベルの場合に第1端および第3端を接続する。
【0086】
すなわち、送信回路12では、他方の送信回路12のデータ出力期間以外において、DAC23から出力されたアナログ信号がアンプ25へ入力され、信号の送信動作が行われる。一方、送信回路12では、他方の送信回路12のデータ出力期間において、接地電圧がアンプ25へ入力され、信号の送信動作が停止される。
【0087】
接地電圧がアンプ25へ入力されている場合、アンプ25の消費電力は大幅に小さくなり、送信回路12の消費電力を低減することができる。
【0088】
このように、スマートメータ101では、各通信部の送信状態を互いに認識可能とし、他の通信部の送信状態に基づいて自己の通信部の送信動作を制御する。
【0089】
具体的には、たとえば、スマートメータ101では、信号送信の際において消費電流の大部分を占めるアンプ25の入力端の手前にアナログスイッチ24を挿入する。
【0090】
アナログスイッチ24は、異なる系の送信状態を示すフラグ信号で制御し、異なる系において通信信号が送信されているときにはアンプ25の入力端を終端させるようにアナログスイッチ24を切り替える。
【0091】
これにより、いずれか1つの系が通信信号を送信しているときには他の系のアンプ25への入力信号が遮断される。すなわち、通信信号の送信動作が同時に発生する状況において、アンプ25への入力信号を遮断することにより、消費電力を抑制することができる。
【0092】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
【0093】
図5を参照して、時刻t11において、フラグ信号faおよびfbの論理レベルはローである。そして、時刻t11において、データ処理部11Aおよび11Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定されている。
【0094】
次に、データ処理部11Aおよび11BにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWAおよびTWBが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t12)、論理ハイレベルのフラグ信号faおよびfbを送信回路12Bおよび12Aにおけるアナログスイッチ24へそれぞれ出力する。そして、各アナログスイッチ24は、論理ハイレベルのフラグ信号を受けて、DAC23からアンプ25への信号経路を遮断し、接地電圧をアンプ25の入力端に供給する。
【0095】
次に、データ処理部11Aおよび11Bは、同じ長さの待機時間TWAおよびTWBが経過すると(時刻t13)、送信データを送信回路12Aおよび12BにおけるDAC23へそれぞれ出力する。このとき、DAC23からアンプ25への信号経路が遮断されていることから、通信信号SAおよびSBの電力線161への出力が停止される。
【0096】
次に、データ処理部11Aおよび11BにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t14)、フラグ信号faおよびfbの論理レベルをローに変更する。そして、各アナログスイッチ24は、論理ローレベルのフラグ信号を受けて、DAC23からアンプ25への信号経路の遮断を解除する。
【0097】
このように、スマートメータ101では、送信回路12Aおよび12Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ101からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうような状況において、通信部91および通信部92において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ101における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0098】
なお、データ処理部11Aおよび11Bは、それぞれ、送信データを送信回路12Aおよび12Bへ出力してから所定時間経過しても、通信相手となるコンセントレータ102およびHGW104から応答が返ってこない場合、同じ送信データを再び送信回路12Aおよび12Bへ出力してもよい。これにより、送信データの消失を防ぐことができる。
【0099】
また、PLC PHY処理部22は、待機時間が経過するタイミングの所定時間前に論理ハイレベルのフラグ信号を出力する構成に限らず、待機時間が経過したタイミングにおいて論理ハイレベルのフラグ信号を出力する構成であってもよい。
【0100】
また、PLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後にフラグ信号の論理レベルをローに変更する構成に限らず、データ出力期間の終了タイミングにおいてフラグ信号の論理レベルをローに変更する構成であってもよい。
【0101】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の変形例の構成を示す図である。
【0102】
図6を参照して、この変形例では、図4に示す通信装置と比べて、データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22が、送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へフラグ信号fbを出力しない点が異なる。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置の変形例における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
【0103】
図7を参照して、時刻t21において、フラグ信号faの論理レベルはローである。そして、時刻t21において、データ処理部11Aおよび11Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定されている。
【0104】
次に、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWAが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t22)、論理ハイレベルのフラグ信号faを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する。そして、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24は、論理ハイレベルのフラグ信号を受けて、DAC23からアンプ25への信号経路を遮断し、接地電圧をアンプ25の入力端に供給する。
【0105】
次に、データ処理部11Aおよび11Bは、同じ長さの待機時間TWAおよびTWBが経過すると(時刻t23)、送信データを送信回路12Aおよび12BにおけるDAC23へそれぞれ出力する。このとき、送信回路12Bにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路が遮断されていることから、通信信号SBの電力線161への出力が停止される。一方、送信回路12Aにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路は遮断されていないことから、通信信号SAの電力線161への出力が行われる。
【0106】
次に、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t24)、フラグ信号faの論理レベルをローに変更する。そして、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24は、論理ローレベルのフラグ信号を受けて、DAC23からアンプ25への信号経路の遮断を解除する。
【0107】
このように、スマートメータ101では、送信回路12Aおよび12Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ101からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうことを防ぐことができる。また、通信部91からコンセントレータ102への情報伝達を行なうことができるとともに、通信部92において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ101における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0108】
なお、他の変形例として、図4に示す通信装置と比べて、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22が、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へフラグ信号faを出力しない構成とすることも、上記と同様に可能である。
【0109】
ところで、通信装置には、複数の送信回路を備えるものがあり、複数の送信回路が同時に信号を送信する場合、当該通信装置の消費電力が大きくなる。そして、これらの送信回路が共通の伝送路へ信号を出力するシステムにおいてCSMA/CD方式を利用する場合でも、伝送路上での信号の衝突を検出した後の送信待ち時間がランダムに決定されるため、各送信回路による同時送信が発生してしまう可能性がある。
【0110】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、各データ処理部11は、送信すべきデータを出力する。送信回路12は、複数のデータ処理部11にそれぞれ対応して設けられている。送信回路12は、対応のデータ処理部11からデータを受けて、当該データを含む信号である通信信号を送信する。そして、データ処理部11は、送信制御部として、対応の送信回路12へデータを出力する期間において、他の送信回路12による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。
【0111】
このように、ある送信回路の送信動作を、他の送信回路の送信状態に基づいて制御する構成により、送信回路12Aおよび12Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができ、スマートメータ101における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0112】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、複数の送信回路を備える構成において、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0113】
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、各送信回路12は、共通の伝送路たとえば電力線161へ信号を出力する。
【0114】
このような構成により、特に、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ101からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうような状況において、通信部91および通信部92において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ101における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0115】
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、データ処理部11は、スマートメータ101において、他の送信回路12または他の装置から電力線161へ信号が送信されていないと判断された場合に対応の送信回路12へデータを送信し、電力線161において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、対応の送信回路12へのデータの再送を行なう。
【0116】
このような構成により、複数の送信回路が共通の伝送路へ信号を出力する場合において、各送信回路へのデータの同時出力を基本的には発生しないようにしながら、特に、伝送路上での信号の衝突を検出した後の各データ処理部11等における送信待ち時間が同じ値になる場合でも、各送信回路による通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができ、スマートメータ101における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0117】
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、アンプ25は、受けた信号を増幅して出力する。そして、PLC PHY処理部22は、送信制御部として、信号のアンプ25への出力を停止することにより他の送信回路12による信号の送信動作を停止する。
【0118】
このような構成により、スマートメータ101の総消費電力において消費電力の占める割合の大きいアンプ25の動作を大幅に抑制することができるため、スマートメータ101における消費電力の増大をより効果的に防ぐことができる。
【0119】
なお、本発明の第1の実施の形態に係るスマートメータ101では、データ処理部11A,11Bは、コンセントレータ102およびヘッドエンド103等の他の装置へ送信すべきデータを送信回路12A,12Bへそれぞれ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。データ処理部11A,11Bは、他方の通信部である通信部92,91へ送信すべきデータを送信回路12A,12Bへそれぞれ出力する構成であってもよい。
【0120】
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、送信回路12による信号の送信動作を停止する場合、アナログスイッチ24を用いてアンプ25の入力端に接地電圧を供給する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、DAC23への入力データの論理レベルを固定することにより、送信回路12による信号の送信動作を停止してもよい。
【0121】
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信装置では、PLC PHY処理部22がフラグ信号を出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、PLC MAC処理部21または制御部13が、送信制御部としてフラグ信号を出力する構成であってもよい。
【0122】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る通信装置と比べて通信部のプライオリティ処理を追加した通信装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る通信装置と同様である。
【0123】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【0124】
図8を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るスマートメータ111は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートメータ101と比べて、さらに、プライオリティ処理回路14を備える。通信部91、通信部92およびプライオリティ処理回路14が、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置に相当する。
【0125】
プライオリティ処理回路14は、送信制御部として、複数の送信回路12のうちの少なくともいずれか1つの送信回路12である優先送信回路へ対応のデータ処理部11からデータが出力される期間において、対応のデータ処理部11からフラグ信号を受けて、優先送信回路以外の送信回路12による信号の送信動作を停止する。たとえば、プライオリティ処理回路14は、複数の送信回路12の中から優先送信回路を設定する。プライオリティ処理回路14による優先送信回路の設定内容は、たとえば制御部13から受ける情報に応じて変更可能である。すなわち、プライオリティ処理回路14は、優先送信回路の設定に関する情報を取得する。
【0126】
より詳細には、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、フラグ信号faをプライオリティ処理回路14へ出力する。データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22は、フラグ信号fbをプライオリティ処理回路14へ出力する。
【0127】
制御部13は、通信信号の送信に関する優先順位等の優先制御情報をプライオリティ処理回路14へ出力する。この優先制御情報の内容は、たとえば、ユーザにより設定変更可能である。
【0128】
プライオリティ処理回路14は、制御部13から受けた優先制御情報に従い、フラグ信号faおよびfbに基づいて制御フラグ信号facおよびfbcを生成し、送信回路12Bおよび12Aにおけるアナログスイッチ24へそれぞれ出力する。
【0129】
送信回路12Aおよび12Bにおけるアナログスイッチ24は、それぞれ、プライオリティ処理回路14から受けた制御フラグ信号fbcおよびfacに基づいて、DAC23およびアンプ25の接続と接地ノードおよびアンプ25の接続とを切り替える。
【0130】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
【0131】
この例では、プライオリティ処理回路14が、通信部91の通信信号の送信を優先させる旨を示す優先制御情報を制御部13から受けていると仮定する。
【0132】
図9を参照して、時刻t31において、フラグ信号fa,fbおよび制御フラグ信号fac,fbcの論理レベルはローである。そして、時刻t31において、データ処理部11Aおよび11Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定されている。
【0133】
次に、データ処理部11Aおよび11BにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWAおよびTWBが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t32)、論理ハイレベルのフラグ信号faおよびfbをプライオリティ処理回路14へそれぞれ出力する。
【0134】
そして、プライオリティ処理回路14は、論理ハイレベルの制御フラグ信号facを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する。一方、プライオリティ処理回路14は、論理ローレベルの制御フラグ信号fbcを送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する状態を維持する。そして、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24は、論理ハイレベルの制御フラグ信号facを受けて、DAC23からアンプ25への信号経路を遮断し、接地電圧をアンプ25の入力端に供給する。
【0135】
次に、データ処理部11Aおよび11Bは、同じ長さの待機時間TWAおよびTWBが経過すると(時刻t33)、送信データを送信回路12Aおよび12BにおけるDAC23へそれぞれ出力する。このとき、送信回路12Bにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路が遮断されていることから、通信信号SBの電力線161への出力が停止される。一方、送信回路12Aにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路は遮断されていないことから、通信信号SAの電力線161への出力が行われる。
【0136】
次に、データ処理部11Aおよび11BにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t34)、フラグ信号faおよびfbの論理レベルをそれぞれローに変更する。これにより、プライオリティ処理回路14は、論理ローレベルの制御フラグ信号facを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する。そして、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24は、論理ローレベルの制御フラグ信号facを受けて、DAC23からアンプ25への信号経路の遮断を解除する。
【0137】
このように、スマートメータ111では、送信回路12Aおよび12Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ111からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうことを防ぐことができる。また、通信部91からコンセントレータ102への情報伝達を行なうことができるとともに、通信部92において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ111における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0138】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
【0139】
この例では、プライオリティ処理回路14が、通信信号を先に送信している通信部を優先させる旨を示す優先制御情報を制御部13から受けていると仮定する。
【0140】
図10を参照して、時刻t41において、フラグ信号fa,fbおよび制御フラグ信号fac,fbcの論理レベルはローである。そして、時刻t41において、データ処理部11Aおよび11Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAの方が待機時間TWBより長い時間に設定されている。
【0141】
次に、データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWBが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t42)、論理ハイレベルのフラグ信号fbをプライオリティ処理回路14へ出力する。プライオリティ処理回路14は、フラグ信号fbを受けて、論理ハイレベルの制御フラグ信号fbcを送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する。そして、送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24は、論理ハイレベルの制御フラグ信号fbcを受けて、DAC23からアンプ25への信号経路を遮断し、接地電圧をアンプ25の入力端に供給する。
【0142】
次に、データ処理部11Bは、待機時間TWBが経過すると(時刻t43)、送信データを送信回路12BにおけるDAC23へ出力する。このとき、送信回路12Bにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路は遮断されていないことから、通信信号SBの電力線161への出力が行われる。
【0143】
次に、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWAが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t44)、論理ハイレベルのフラグ信号faをプライオリティ処理回路14へ出力する。プライオリティ処理回路14は、フラグ信号faを受けて、現在、制御フラグ信号fbcが論理ハイレベルであることから、論理ハイレベルのフラグ信号faを無視して、論理ローレベルの制御フラグ信号facを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する状態を維持する。
【0144】
次に、データ処理部11Aは、待機時間TWAが経過すると(時刻t45)、送信データを送信回路12AにおけるDAC23へ出力する。このとき、送信回路12Aにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路が遮断されていることから、通信信号SAの電力線161への出力が停止される。一方、送信回路12Bにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路は遮断されていないことから、通信信号SBの電力線161への出力が継続される。
【0145】
次に、データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t46)、フラグ信号fbの論理レベルをローに変更する。そして、プライオリティ処理回路14は、論理ローレベルのフラグ信号fbを受けて、論理ローレベルの制御フラグ信号fbcを送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する。そして、送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24は、論理ローレベルのフラグ信号を受けて、DAC23からアンプ25への信号経路の遮断を解除する。
【0146】
次に、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t47)、フラグ信号faの論理レベルをローに変更する。プライオリティ処理回路14は、論理ローレベルの制御フラグ信号facを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する状態を維持する。
【0147】
このように、スマートメータ111では、送信回路12Bが通信信号の送信動作を開始した後にデータ処理部11Aから送信回路12Aへ送信データが出力されても、送信回路12Aおよび12Bによる通信信号の送信動作が並行して行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ111からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうことを防ぐことができる。また、通信部92からHGW104への情報伝達を行なうことができるとともに、通信部91において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ111における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0148】
なお、通信部91は、送信データを送信回路12Aへ出力する前に、通信部92から電力線161へ通信信号が出力されていることを検知した場合には、データ処理部11Aから送信回路12Aへの送信データの出力自体を停止することも可能である。
【0149】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
この例では、プライオリティ処理回路14が、先に通信信号を送信しているか否かに関わらず、通信部91を優先させる旨を示す優先制御情報を制御部13から受けていると仮定する。
【0150】
図11を参照して、時刻t51において、フラグ信号fa,fbおよび制御フラグ信号fac,fbcの論理レベルはローである。そして、時刻t51において、データ処理部11Aおよび11Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAの方が待機時間TWBより長い時間に設定されている。
【0151】
次に、データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWBが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t52)、論理ハイレベルのフラグ信号fbをプライオリティ処理回路14へ出力する。プライオリティ処理回路14は、フラグ信号fbを受けて、論理ハイレベルの制御フラグ信号fbcを送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する。そして、送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24は、論理ハイレベルの制御フラグ信号fbcを受けて、DAC23からアンプ25への信号経路を遮断し、接地電圧をアンプ25の入力端に供給する。
【0152】
次に、データ処理部11Bは、待機時間TWBが経過すると(時刻t53)、送信データを送信回路12BにおけるDAC23へ出力する。このとき、送信回路12Bにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路は遮断されていないことから、通信信号SBの電力線161への出力が行われる。
【0153】
次に、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、待機時間TWAが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t54)、論理ハイレベルのフラグ信号faをプライオリティ処理回路14へ出力する。プライオリティ処理回路14は、論理ハイレベルのフラグ信号faを受けたことから、論理ハイレベルの制御フラグ信号facを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力するとともに、制御フラグ信号fbcの論理レベルをローに変更する。そして、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24は、論理ハイレベルの制御フラグ信号facを受けて、DAC23からアンプ25への信号経路を遮断し、接地電圧をアンプ25の入力端に供給する。一方、送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24は、論理ローレベルの制御フラグ信号facを受けて、DAC23からアンプ25への信号経路の遮断を解除する。
【0154】
次に、データ処理部11Aは、待機時間TWAが経過すると(時刻t55)、送信データを送信回路12AにおけるDAC23へ出力する。このとき、送信回路12Aにおいて、DAC23からアンプ25への信号経路は遮断されていないことから、通信信号SAの電力線161への出力が行われる。
【0155】
次に、データ処理部11BにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t56)、フラグ信号fbの論理レベルをローに変更する。プライオリティ処理回路14は、論理ローレベルの制御フラグ信号fbcを送信回路12Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する状態を維持する。
【0156】
次に、データ処理部11AにおけるPLC PHY処理部22は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t57)、フラグ信号faの論理レベルをローに変更する。そして、プライオリティ処理回路14は、論理ローレベルのフラグ信号faを受けて、論理ローレベルの制御フラグ信号facを送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する。そして、送信回路12Bにおけるアナログスイッチ24は、論理ローレベルのフラグ信号を受けて、DAC23からアンプ25への信号経路の遮断を解除する。
【0157】
このように、スマートメータ111では、データ処理部11Aから送信回路12Aへの送信データの出力が開始されるときに送信回路12Bが通信信号の送信動作を開始済みであっても、送信回路12Aの送信動作を優先させ、送信回路12Aおよび12Bによる通信信号の送信動作が並行して行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部91からの通信信号SAおよび通信部92からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ111からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうことを防ぐことができる。また、通信部91からコンセントレータ102への情報伝達を行なうことができるとともに、通信部92において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ111における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0158】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置では、プライオリティ処理回路14は、複数の送信回路12のうちの少なくともいずれか1つの送信回路12である優先送信回路へ対応のデータ処理部11からデータが出力される期間において、対応のデータ処理部11から制御信号すなわちフラグ信号を受けて、優先送信回路以外の送信回路12による信号の送信動作を停止する。
【0159】
このような構成により、優先すべき送信回路を介した通信相手への情報伝達を行なうことができるとともに、他の送信回路において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ111における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0160】
また、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置では、プライオリティ処理回路14は、優先送信回路の設定に関する情報を取得する。プライオリティ処理回路14による優先送信回路の設定内容は変更可能である。
【0161】
このような構成により、通信信号の送信を優先すべき送信回路を、通信装置の用途等に応じて柔軟に設定することができる。
【0162】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る通信装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0163】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る通信装置と比べて制御信号および制御対象を変更した通信装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る通信装置と同様である。
【0164】
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【0165】
図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るスマートメータ113は、本発明の第1の実施の形態に係るスマートメータ101と比べて、通信部91,92の代わりに、通信部93,94をそれぞれ備える。
【0166】
通信部93は、データ処理部31Aと、送信回路32Aとを含む。通信部94は、データ処理部31Bと、送信回路32Bとを含む。データ処理部31Aおよび31Bの各々は、PLC MAC処理部21と、PLC PHY処理部22と、制御信号生成部26とを含む。送信回路32Aおよび32Bの各々は、DAC(Digital to Analog Converter)23と、アンプ25とを含む。なお、通信部93および通信部94が、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置に相当する。
【0167】
以下、データ処理部31Aおよび31Bの各々をデータ処理部31とも称する。送信回路32Aおよび32Bの各々を送信回路32とも称する。
【0168】
データ処理部31は、たとえば制御部13から受けた、送信すべきデータを出力する。
【0169】
送信回路32は、データ処理部31Aおよび31Bに対応して複数、ここでは2つ設けられている。送信回路32は、対応のデータ処理部31からデータを受けて、当該データを含む信号である通信信号を送信する。各送信回路32は、共通の伝送路たとえば電力線161へ信号を出力する。
【0170】
より詳細には、データ処理部31において、PLC MAC処理部21は、所定の通信プロトコルにおけるMACレイヤの処理として、制御部13から受けた電力情報等に通信用の情報を付加する等の処理を行ない、処理後のデータをPLC PHY処理部22へ出力する。
【0171】
PLC PHY処理部22は、所定の通信プロトコルにおけるMACレイヤの処理として、PLC MAC処理部21から受けたデータに通信用の情報を付加する等の処理を行ない、処理後のデータを送信データとしてDAC23へ出力する。
【0172】
送信回路32において、DAC23は、PLC PHY処理部22から受けたデジタル信号である送信データをアナログ信号に変換してアンプ25へ出力する。
【0173】
アンプ25は、DAC23から受けたアナログ信号を増幅する。より詳細には、送信回路32Aにおけるアンプ25は、DAC23から受けたアナログ信号を増幅し、通信信号SAとして電力線161へ出力する。送信回路32Bにおけるアンプ25は、DAC23から受けたアナログ信号を増幅し、通信信号SBとして電力線161へ出力する。
【0174】
たとえば、送信回路32は、スマートメータ112において、他の送信回路32または他の装置から電力線161へ信号が送信されていないと判断された場合に電力線161へ信号を送信し、電力線161において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、電力線161への信号の再送を行なう。この判断および検知は、たとえば、データ処理部31が行なってもよいし、送信回路32が行なってもよい。
【0175】
すなわち、データ処理部31は、スマートメータ112において、他の送信回路32または他の装置から電力線161へ信号が送信されていないと判断された場合に対応の送信回路32へデータを出力し、電力線161において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、対応の送信回路32へのデータの再送を行なう。
【0176】
また、データ処理部31は、送信回路32による信号の送信動作を制御する。具体的には、データ処理部31は、対応の送信回路32へデータを出力する期間において、他の送信回路32による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。たとえば、データ処理部31は、他の送信回路32におけるアンプ25への電力供給を遮断する等によりアンプ25の動作を停止し、他の送信回路32による信号の送信動作を停止する。
【0177】
より詳細には、データ処理部31AにおけるPLC PHY処理部22は、送信データを対応の送信回路32Aへ出力するデータ出力期間を示す出力期間信号を生成して制御信号生成部26へ出力する。たとえば、出力期間信号は、データ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。
【0178】
データ処理部31Aにおいて、制御信号生成部26は、PLC PHY処理部22から受けた出力期間信号をイネーブル信号eaとして対応の送信回路32Aにおけるアンプ25へ出力し、かつ当該出力期間信号をディスエーブル信号daとして他の送信回路32Bにおけるアンプ25へ出力する。
【0179】
同様に、データ処理部31BにおけるPLC PHY処理部22は、送信データを対応の送信回路32Bへ出力するデータ出力期間を示す出力期間信号を生成して制御信号生成部26へ出力する。たとえば、出力期間信号は、データ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。
【0180】
データ処理部31Bにおいて、制御信号生成部26は、PLC PHY処理部22から受けた出力期間信号をイネーブル信号ebとして対応の送信回路32Bにおけるアンプ25へ出力し、かつ当該出力期間信号をディスエーブル信号dbとして他の送信回路32Aにおけるアンプ25へ出力する。
【0181】
すなわち、スマートメータ112では、データ処理部31Aおよび送信回路32Aを含む送信系統Aへの制御信号およびデータ処理部31Bおよび送信回路32Bを含む送信系統Bへの制御信号を同期させている。具体的には、イネーブル信号ea,ebは、各々の送信系統におけるデータ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。また、ディスエーブル信号da,dbは、各々の送信系統におけるデータ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。なお、イネーブル信号ea,ebは、データ出力期間の前および後の少なくともいずれか一方に所定時間のマージンを含んだ期間において論理ハイレベルとなってもよい。また、ディスエーブル信号da,dbは、データ出力期間の前および後の少なくともいずれか一方に所定時間のマージンを含んだ期間において論理ハイレベルとなってもよい。
【0182】
ここで、データ処理部31は、たとえば、他のデータ処理部31から制御信号すなわち論理ハイレベルのディスエーブル信号が出力されている期間において、自己に対応する送信回路32へのデータの出力を継続する。
【0183】
その一方で、送信回路32は、対応のデータ処理部31以外のデータ処理部31から論理ハイレベルのディスエーブル信号を受けて送信動作を停止する。
【0184】
より詳細には、アンプ25は、制御信号生成部26から受けたイネーブル信号が論理ハイレベルの場合かつディスエーブル信号が論理ローレベルの場合に動作し、制御信号生成部26から受けたイネーブル信号が論理ローレベルの場合またはディスエーブル信号が論理ハイレベルの場合に動作を停止する。
【0185】
すなわち、送信回路32では、自己の送信回路32のデータ出力期間、かつ他方の送信回路32のデータ出力期間以外において、アンプ25が動作し、信号の送信動作が行われる。一方、送信回路32では、自己の送信回路32のデータ出力期間以外、または他方の送信回路32のデータ出力期間において、アンプ25の動作が停止され、信号の送信動作が停止される。これにより、アンプ25の消費電力がゼロになり、送信回路32の消費電力を低減することができる。
【0186】
このように、スマートメータ112では、各通信部の送信状態を互いに認識可能とし、他の通信部の送信状態に基づいて自己の通信部の送信動作を制御する。
【0187】
具体的には、たとえば、スマートメータ112では、信号送信の際において消費電流の大部分を占めるアンプ25の動作を制御する。
【0188】
アンプ25の動作は、異なる系の送信状態を示すディスエーブル信号で制御し、異なる系において通信信号が送信されているときにはアンプ25の動作を停止する。
【0189】
これにより、いずれか1つの系が通信信号を送信しているときには他の系のアンプ25の動作が停止される。すなわち、通信信号の送信動作が同時に発生する状況において、アンプ25の動作が停止することにより、消費電力を抑制することができる。
【0190】
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
【0191】
図13を参照して、時刻t11において、イネーブル信号eaおよびebの論理レベルはローであり、ディスエーブル信号daおよびdbの論理レベルはローである。各アンプ25は、論理ローレベルのイネーブル信号を受けて動作を停止している。そして、時刻t11において、データ処理部31Aおよび31Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定されている。
【0192】
次に、データ処理部31Aおよび31Bにおける制御信号生成部26は、待機時間TWAおよびTWBが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t12)、論理ハイレベルのイネーブル信号eaおよびebを送信回路32Aおよび32Bにおけるアンプ25へそれぞれ出力するとともに、論理ハイレベルのディスエーブル信号daおよびdbを送信回路32Bおよび32Aにおけるアンプ25へそれぞれ出力する。そして、各アンプ25は、論理ハイレベルのディスエーブル信号を受けて、動作の停止を継続する。
【0193】
次に、データ処理部31Aおよび31Bは、同じ長さの待機時間TWAおよびTWBが経過すると(時刻t13)、送信データを送信回路32Aおよび32BにおけるDAC23へそれぞれ出力する。このとき、アンプ25の動作が停止していることから、通信信号SAおよびSBの電力線161への出力が停止される。
【0194】
次に、データ処理部31Aおよび31Bにおける制御信号生成部26は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t14)、イネーブル信号eaおよびebの論理レベルをローに変更するとともに、ディスエーブル信号daおよびdbの論理レベルをローに変更する。そして、各アンプ25は、論理ローレベルのイネーブル信号を受けて、動作の停止を継続する。
【0195】
このように、スマートメータ112では、送信回路32Aおよび32Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部93からの通信信号SAおよび通信部94からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ112からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうような状況において、通信部93および通信部94において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ112における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0196】
なお、データ処理部31Aおよび31Bは、それぞれ、送信データを送信回路32Aおよび32Bへ出力してから所定時間経過しても、通信相手となるコンセントレータ102およびHGW104から応答が返ってこない場合、同じ送信データを再び送信回路32Aおよび32Bへ出力してもよい。これにより、送信データの消失を防ぐことができる。
【0197】
また、制御信号生成部26は、待機時間が経過するタイミングの所定時間前に論理ハイレベルのイネーブル信号および論理ハイレベルのディスエーブル信号を出力する構成に限らず、待機時間が経過したタイミングにおいて論理ハイレベルのイネーブル信号および論理ハイレベルのディスエーブル信号を出力する構成であってもよい。
【0198】
また、制御信号生成部26は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後にイネーブル信号の論理レベルをローに変更し、かつディスエーブル信号の論理レベルをローに変更する構成に限らず、データ出力期間の終了タイミングにおいてイネーブル信号の論理レベルをローに変更し、かつディスエーブル信号の論理レベルをローに変更する構成であってもよい。
【0199】
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の変形例の構成を示す図である。
【0200】
図14を参照して、この変形例では、図12に示す通信装置と比べて、データ処理部31Bにおける制御信号生成部26が、送信回路32Aにおけるアンプ25へディスエーブル信号dbを出力しない点が異なる。
【0201】
図15は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の変形例における通信信号の送信制御の一例を示す図である。
【0202】
図15を参照して、時刻t21において、イネーブル信号eaおよびebの論理レベルはローであり、ディスエーブル信号daの論理レベルはローである。各アンプ25は、論理ローレベルのイネーブル信号を受けて動作を停止している。そして、時刻t21において、データ処理部31Aおよび31Bは、電力線161における信号の衝突が発生したことを検知した等により、信号送信の待機を開始する。ここでは、待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定されている。
【0203】
次に、データ処理部31Aおよび31Bにおける制御信号生成部26は、待機時間TWAおよびTWBが経過するタイミングの所定時間前に(時刻t22)、論理ハイレベルのイネーブル信号eaおよびebを送信回路32Aおよび32Bにおけるアンプ25へそれぞれ出力する。また、データ処理部31Aにおける制御信号生成部26は、論理ハイレベルのディスエーブル信号daを送信回路32Bにおけるアンプ25へ出力する。そして、送信回路32Aにおけるアンプ25は、論理ハイレベルのイネーブル信号eaを受けて動作を開始する。また、送信回路32Bにおけるアンプ25は、論理ハイレベルのディスエーブル信号daを受けて、動作の停止を継続する。
【0204】
次に、データ処理部31Aおよび31Bは、同じ長さの待機時間TWAおよびTWBが経過すると(時刻t23)、送信データを送信回路32Aおよび32BにおけるDAC23へそれぞれ出力する。このとき、送信回路32Bにおいて、アンプ25の動作が停止していることから、通信信号SBの電力線161への出力が停止される。一方、送信回路32Aにおいて、アンプ25が動作していることから、通信信号SAの電力線161への出力が行われる。
【0205】
次に、データ処理部31Aおよび31Bにおける制御信号生成部26は、データ出力期間の終了タイミングから所定時間経過後に(時刻t24)、イネーブル信号eaおよびebの論理レベルをローにそれぞれ変更する。また、データ処理部31Aにおける制御信号生成部26は、ディスエーブル信号daの論理レベルをローに変更する。そして、送信回路32Aにおけるアンプ25は、論理ローレベルのイネーブル信号eaを受けて動作を停止する。また、送信回路32Bにおけるアンプ25は、論理ローレベルのイネーブル信号ebを受けて、動作の停止を継続する。
【0206】
このように、スマートメータ112では、送信回路32Aおよび32Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができる。すなわち、通信部93からの通信信号SAおよび通信部94からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ112からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうことを防ぐことができる。また、通信部93からコンセントレータ102への情報伝達を行なうことができるとともに、通信部94において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ112における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0207】
なお、他の変形例として、図12に示す通信装置と比べて、データ処理部31Aにおける制御信号生成部26が、送信回路32Bにおけるアンプ25へディスエーブル信号daを出力しない構成とすることも、上記と同様に可能である。
【0208】
図16は、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置の変形例の構成を示す図である。
【0209】
図16を参照して、この変形例では、図12に示す通信装置と比べて、送信回路32Aおよび32Bの各々が、さらに、アナログスイッチ24を含む。
【0210】
送信回路32において、DAC23は、PLC PHY処理部22から受けたデジタル信号である送信データをアナログ信号に変換し、アナログスイッチ24を介してアンプ25へ出力する。
【0211】
アンプ25は、アナログスイッチ24を介してDAC23から受けたアナログ信号を増幅する。より詳細には、送信回路32Aにおけるアンプ25は、アナログスイッチ24を介してDAC23から受けたアナログ信号を増幅し、通信信号SAとして電力線161へ出力する。送信回路32Bにおけるアンプ25は、アナログスイッチ24を介してDAC23から受けたアナログ信号を増幅し、通信信号SBとして電力線161へ出力する。
【0212】
データ処理部31は、送信回路32による信号の送信動作を制御する。具体的には、データ処理部31は、対応の送信回路32へデータを出力する期間において、他の送信回路32による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。たとえば、データ処理部31は、他の送信回路32における信号のアンプ25への出力を停止することにより他の送信回路32による信号の送信動作を停止する。
【0213】
より詳細には、データ処理部31Aにおいて、制御信号生成部26は、PLC PHY処理部22から受けた出力期間信号をイネーブル信号eaとして対応の送信回路32Aにおけるアナログスイッチ24へ出力し、かつ当該出力期間信号をディスエーブル信号daとして他の送信回路32Bにおけるアナログスイッチ24へ出力する。
【0214】
同様に、データ処理部31Bにおいて、制御信号生成部26は、PLC PHY処理部22から受けた出力期間信号をイネーブル信号ebとして対応の送信回路32Bにおけるアナログスイッチ24へ出力し、かつ当該出力期間信号をディスエーブル信号dbとして他の送信回路32Aにおけるアナログスイッチ24へ出力する。
【0215】
アナログスイッチ24は、DAC23の出力端に接続された第1端と、アンプ25の入力端に接続された第2端と、接地電圧の供給される接地ノードに接続された第3端とを有する。アナログスイッチ24は、制御信号生成部26から受けたフラグ信号が論理ローレベルの場合に第1端および第2端を接続し、論理ハイレベルの場合に第1端および第3端を接続する。
【0216】
すなわち、送信回路32では、他方の送信回路32のデータ出力期間以外において、DAC23から出力されたアナログ信号がアンプ25へ入力され、信号の送信動作が行われる。一方、送信回路32では、他方の送信回路32のデータ出力期間において、接地電圧がアンプ25へ入力され、信号の送信動作が停止される。
【0217】
接地電圧がアンプ25へ入力されている場合、アンプ25の消費電力は大幅に小さくなり、送信回路32の消費電力を低減することができる。
【0218】
このように、スマートメータ112では、各通信部の送信状態を互いに認識可能とし、他の通信部の送信状態に基づいて自己の通信部の送信動作を制御する。
【0219】
具体的には、たとえば、スマートメータ112では、信号送信の際において消費電流の大部分を占めるアンプ25の入力端の手前にアナログスイッチ24を挿入する。
【0220】
アナログスイッチ24は、異なる系の送信状態を示すフラグ信号で制御し、異なる系において通信信号が送信されているときにはアンプ25の入力端を終端させるようにアナログスイッチ24を切り替える。
【0221】
これにより、いずれか1つの系が通信信号を送信しているときには他の系のアンプ25への入力信号が遮断される。すなわち、通信信号の送信動作が同時に発生する状況において、アンプ25への入力信号を遮断することにより、消費電力を抑制することができる。
【0222】
ところで、通信装置には、複数の送信回路を備えるものがあり、複数の送信回路が同時に信号を送信する場合、当該通信装置の消費電力が大きくなる。そして、これらの送信回路が共通の伝送路へ信号を出力するシステムにおいてCSMA/CD方式を利用する場合でも、伝送路上での信号の衝突を検出した後の送信待ち時間がランダムに決定されるため、各送信回路による同時送信が発生してしまう可能性がある。
【0223】
これに対して、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置では、各データ処理部31は、送信すべきデータを出力する。送信回路32は、複数のデータ処理部31にそれぞれ対応して設けられている。送信回路32は、対応のデータ処理部31からデータを受けて、当該データを含む信号である通信信号を送信する。そして、データ処理部31は、対応の送信回路32へデータを出力する期間において、他の送信回路32による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する。
【0224】
このように、ある送信回路の送信動作を、他の送信回路の送信状態に基づいて制御する構成により、送信回路32Aおよび32Bによる通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができ、スマートメータ112における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0225】
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置では、複数の送信回路を備える構成において、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0226】
また、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置では、各送信回路32は、共通の伝送路たとえば電力線161へ信号を出力する。
【0227】
このような構成により、特に、通信部93からの通信信号SAおよび通信部94からの通信信号SBが電力線161において衝突し、スマートメータ112からコンセントレータ102およびHGW104への情報伝達に失敗してしまうような状況において、通信部93および通信部94において通信信号の送信動作が無駄に行われることを防ぐことができ、スマートメータ112における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0228】
また、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置では、データ処理部31は、スマートメータ112において、他の送信回路32または他の装置から電力線161へ信号が送信されていないと判断された場合に対応の送信回路32へデータを出力し、電力線161において信号の衝突が発生したことが検知されると、ランダムに決定される待機時間が経過した後、対応の送信回路32へのデータの再送を行なう。
【0229】
このような構成により、複数の送信回路が共通の伝送路へ信号を出力する場合において、各送信回路へのデータの同時出力を基本的には発生しないようにしながら、特に、伝送路上での信号の衝突を検出した後の各データ処理部31等における送信待ち時間が同じ値になる場合でも、各送信回路による通信信号の送信動作が同時に行われることを防ぐことができ、スマートメータ112における消費電力の増大を防ぐことができる。
【0230】
また、本発明の第3の実施の形態に係る通信装置では、アンプ25は、受けた信号を増幅して出力する。そして、データ処理部31は、アンプ25の動作を停止することにより他の送信回路32による信号の送信動作を停止する。
【0231】
このような構成により、スマートメータ112の総消費電力において消費電力の占める割合の大きいアンプ25の動作を停止することができるため、スマートメータ112における消費電力の増大をより効果的に防ぐことができる。
【0232】
なお、本発明の第3の実施の形態に係るスマートメータ112では、データ処理部31A,31Bは、コンセントレータ102およびヘッドエンド103等の他の装置へ送信すべきデータを送信回路32A,32Bへそれぞれ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。データ処理部31A,31Bは、他方の通信部である通信部94,93へ送信すべきデータを送信回路32A,32Bへそれぞれ出力する構成であってもよい。
【0233】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る通信装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0234】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第3の実施の形態に係る通信装置と比べて制御信号の使用方法を変更した通信装置に関する。以下で説明する内容以外は第3の実施の形態に係る通信装置と同様である。
【0235】
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【0236】
図17を参照して、本発明の第4の実施の形態に係るスマートメータ113は、本発明の第3の実施の形態に係るスマートメータ112と比べて、データ処理部31が、バッファ27をさらに含み、制御信号生成部26の代わりに、制御信号生成部28を含む。
【0237】
データ処理部31は、送信すべきデータを複数の分割データに分割して対応の送信回路32へ出力する。
【0238】
バッファ27は、送信回路32へ出力される前の分割データを保持する。
【0239】
より詳細には、データ処理部31において、PLC MAC処理部21は、所定の通信プロトコルにおけるMACレイヤの処理として、制御部13から受けた電力情報等に通信用の情報を付加する等の処理を行ない、処理後のデータをバッファ27へ出力する。
【0240】
PLC PHY処理部22は、所定の通信プロトコルにおけるMACレイヤの処理として、バッファ27に保持された上記処理後のデータを分割した分割データを取り出し、取り出した分割データに通信用の情報を付加する等の処理を行ない、処理後の分割データを送信データとしてDAC23へ出力する。
【0241】
具体的には、たとえば、PLC MAC処理部21から出力されるデータである1つのフレームから、PLC PHY処理部22によって複数のフレームが作成され、送信データとしてDAC23へ出力される。すなわち、バッファ27は、PLC PHY処理部22によって処理される前のフレームの全部または残りの分割データを保持する。
【0242】
データ処理部31は、送信回路32による信号の送信動作を制御する。具体的には、データ処理部31は、対応の送信回路32へデータを出力する期間において、他の送信回路32による信号の送信動作を停止するための制御信号を他のデータ処理部31へ出力する。たとえば、データ処理部31は、当該制御信号を用いて、他の送信回路32におけるアンプ25への電力供給を遮断する等によりアンプ25の動作を停止し、他の送信回路32による信号の送信動作を停止する。
【0243】
より詳細には、データ処理部31AにおけるPLC PHY処理部22は、送信データを対応の送信回路32Aへ出力するデータ出力期間を示す出力期間信号を生成して制御信号生成部28へ出力する。たとえば、出力期間信号は、データ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。
【0244】
データ処理部31Aにおいて、制御信号生成部28は、PLC PHY処理部22から受けた出力期間信号をイネーブル信号eaとして対応の送信回路32Aにおけるアンプ25へ出力し、かつ当該出力期間信号をディスエーブル信号daとして他の送信回路32Bにおける制御信号生成部28へ出力する。
【0245】
データ処理部31Bにおける制御信号生成部28は、データ処理部31Aにおける制御信号生成部28から論理ハイレベルのディスエーブル信号daを受けている状態において、論理ローレベルのイネーブル信号ebを対応の送信回路32Bにおけるアンプ25へ出力する。
【0246】
同様に、データ処理部31BにおけるPLC PHY処理部22は、送信データを対応の送信回路32Bへ出力するデータ出力期間を示す出力期間信号を生成して制御信号生成部28へ出力する。たとえば、出力期間信号は、データ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。
【0247】
データ処理部31Bにおいて、制御信号生成部28は、PLC PHY処理部22から受けた出力期間信号をイネーブル信号ebとして対応の送信回路32Bにおけるアンプ25へ出力し、かつ当該出力期間信号をディスエーブル信号dbとして他の送信回路32Aにおける制御信号生成部28へ出力する。
【0248】
データ処理部31Aにおける制御信号生成部28は、データ処理部31Bにおける制御信号生成部28から論理ハイレベルのディスエーブル信号dbを受けている状態において、論理ローレベルのイネーブル信号ebを対応の送信回路32Aにおけるアンプ25へ出力する。
【0249】
すなわち、スマートメータ113では、データ処理部31Aおよび送信回路32Aを含む送信系統Aへの制御信号およびデータ処理部31Bおよび送信回路32Bを含む送信系統Bへの制御信号を同期させている。具体的には、イネーブル信号ea,ebは、各々の送信系統におけるデータ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。また、ディスエーブル信号da,dbは、各々の送信系統におけるデータ出力期間において論理ハイレベルとなり、データ出力期間以外において論理ローレベルとなる。なお、イネーブル信号ea,ebは、データ出力期間の前および後の少なくともいずれか一方に所定時間のマージンを含んだ期間において論理ハイレベルとなってもよい。また、ディスエーブル信号da,dbは、データ出力期間の前および後の少なくともいずれか一方に所定時間のマージンを含んだ期間において論理ハイレベルとなってもよい。
【0250】
そして、イネーブル信号ea,ebは、それぞれ、ディスエーブル信号db,daが論理ハイレベルである場合には、データ出力期間であるか否かに関わらず論理ローレベルとなる。
【0251】
ここで、データ処理部31は、たとえば、他のデータ処理部31から制御信号すなわち論理ハイレベルのディスエーブル信号が出力されている期間において、自己に対応する送信回路32へのデータの出力を継続する。
【0252】
その一方で、送信回路32は、対応のデータ処理部31から論理ローレベルのイネーブル信号を受けて送信動作を停止する。
【0253】
アンプ25は、制御信号生成部28から受けたイネーブル信号が論理ハイレベルの場合に動作し、制御信号生成部28から受けたイネーブル信号が論理ローレベルの場合に動作を停止する。
【0254】
すなわち、送信回路32では、自己の送信回路32のデータ出力期間、かつ他方の送信回路32のデータ出力期間以外において、アンプ25が動作し、信号の送信動作が行われる。一方、送信回路32では、自己の送信回路32のデータ出力期間以外、または他方の送信回路32のデータ出力期間において、アンプ25の動作が停止され、信号の送信動作が停止される。これにより、アンプ25の消費電力がゼロになり、送信回路32の消費電力を低減することができる。
【0255】
このように、スマートメータ113では、各通信部の送信状態を互いに認識可能とし、他の通信部の送信状態に基づいて自己の通信部の送信動作を制御する。
【0256】
具体的には、たとえば、スマートメータ113では、信号送信の際において消費電流の大部分を占めるアンプ25の動作を制御する。
【0257】
アンプ25の動作は、異なる系の送信状態を示すディスエーブル信号で制御し、異なる系において通信信号が送信されているときにはアンプ25の動作を停止する。
【0258】
これにより、いずれか1つの系が通信信号を送信しているときには他の系のアンプ25の動作が停止される。すなわち、通信信号の送信動作が同時に発生する状況において、アンプ25の動作が停止することにより、消費電力を抑制することができる。
【0259】
また、スマートメータ113では、データ処理部31は、他のデータ処理部31から制御信号すなわち論理ハイレベルのディスエーブル信号を受けて、論理ローレベルのイネーブル信号を出力することにより対応の送信回路32による信号の送信動作を停止するとともに、バッファ27に保持されているデータのうち、一部の分割データが送信回路32へ出力された残りの分割データをバッファ27から削除する。
【0260】
具体的には、制御信号生成部28は、他のデータ処理部31における制御信号生成部28から論理ハイレベルのディスエーブル信号を受けて、自己のデータ処理部31におけるバッファ27に保持されている、PLC PHY処理部22によって処理される前のフレームの残りの分割データを削除する。
【0261】
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係る通信装置では、データ処理部31は、送信すべきデータを複数の分割データに分割して対応の送信回路32へ出力する。バッファ27は、送信回路32へ出力される前の分割データを保持する。データ処理部31は、制御信号を他のデータ処理部31へ出力する。そして、当該他のデータ処理部31は、制御信号を受けて、対応の送信回路32による信号の送信動作を停止するとともに、バッファ27に保持されているデータのうち、一部の分割データが送信回路32へ出力された残りの分割データをバッファ27から削除する。
【0262】
このような構成により、一部しか送信されないデータの残りの分割データの無駄な送信を防ぐことができるため、通信効率を高めることができ、また、消費電力を抑制することができる。
【0263】
なお、本発明の第1の実施の形態〜第3の実施の形態に係るデータ処理部が、バッファ27を含む構成であってもよい。また、本発明の第4の実施の形態に係るデータ処理部が、バッファ27を含まない構成であってもよい。
【0264】
その他の構成および動作は第3の実施の形態に係る通信装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0265】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る通信装置と比べて通信メディアを変更した通信装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る通信装置と同様である。
【0266】
図18は、本発明の第5の実施の形態に係る通信装置の適用例である電力情報収集システムの構成を示す図である。
【0267】
図18を参照して、電力情報収集システム202は、複数のスマートメータ群121A,121B,121C,121Dと、無線基地局装置105と、ヘッドエンド103とを備える。
【0268】
電力情報収集システム202は、節電等の目的から家庭および職場における消費電力量を測定し、測定した消費電力量を示す電力情報を収集して電力会社等のサーバへ送信する。
【0269】
電力情報収集システム202において、スマートメータ群121Aは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Aを含み、スマートメータ群121Bは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Bを含む。また、スマートメータ群121Cは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Cを含み、スマートメータ群121Dは、複数のスマートメータ(電力情報取得装置)101Dを含む。
【0270】
各スマートメータ101は、無線伝送路を介して無線基地局装置105と接続され、また、電力線161を介してHGW104A,104B,104C,104Dと接続される。
【0271】
電力情報収集システム202は、たとえば集合住宅151に使用される。スマートメータ101Aは、たとえば集合住宅151の1階から5階までの各階に設けられ、スマートメータ101Bは、たとえば集合住宅151の6階から10階までの各階に設けられ、スマートメータ101Cは、たとえば集合住宅151の11階から15階までの各階に設けられ、スマートメータ101Dは、たとえば集合住宅151の16階から20階までの各階に設けられている。また、無線基地局装置105は、たとえば集合住宅151の外に設けられている。
【0272】
以下、スマートメータ101A,101B,101C,101Dの各々をスマートメータ101とも称する。また、スマートメータ群121A,121B,121C,121Dの各々をスマートメータ群121とも称する。また、HGW104A,104B,104C,104Dの各々をHGW104とも称する。
【0273】
なお、図18では、スマートメータ群121として4つのスマートメータ群121A,121B,121C,121Dを代表的に示しているが、電力情報収集システム202は、少数またはさらに多数のスマートメータ群を備えてもよい。
【0274】
電力情報収集システム202では、たとえば3GPP(Third Generation Partnership Project)において規格化されたLTE(Long Term Evolution)等の通信方式に従う移動体通信システムを利用して、子機である各スマートメータからの電力情報が、親機である無線基地局装置105において集約され、電力会社等のサーバであるヘッドエンド103へネットワーク106経由で送信される。
【0275】
各スマートメータ101は、アンテナを含む無線機を備え、無線伝送路を介して親機である無線基地局装置105に接続されている。
【0276】
スマートメータ101および無線基地局装置105は、無線通信により、各種情報を含む信号の送受信を行なう。無線基地局装置105およびヘッドエンド103は、有線通信または無線通信により、各種情報を含む信号の送受信を行なう。
【0277】
具体的には、スマートメータ101は、通信機能付きの電力計測器であり、計測結果である電力情報を無線基地局装置105へ送信する(図18に示す「Aルート」)。
【0278】
無線基地局装置105は、複数のスマートメータ101と無線通信を行なうことが可能な集約装置であり、各スマートメータ101から受信した無線信号に含まれる電力情報をヘッドエンド103へ送信する。
【0279】
また、各スマートメータ101は、電力線161を介してHGW104のような電力需要家ネットワークの通信装置に接続されている。HGW104は、宅内の1または複数の電気機器と宅内ネットワーク(Home Area Network)を構築することができる。
【0280】
スマートメータ101は、計測結果である電力情報を電力線161経由でHGW104へ送信する(図18に示す「Bルート」)。そして、HGW104は、スマートメータ101から受信した電力情報をたとえば宅内の表示機器において表示させる等、受信した電力情報を用いた宅内電力管理を行なう。
【0281】
図19は、本発明の第5の実施の形態に係る電力情報収集システムにおけるスマートメータの構成を示す図である。
【0282】
図19を参照して、スマートメータ101は、通信部91と、通信部92と、制御部13と、電力情報記憶部15と、電力計測部16とを含む。
【0283】
通信部91は、アンテナ19を含む。通信部91は、無線伝送路を介して無線基地局装置105との間で信号を送受信する。通信部92は、電力線161に接続される。通信部92は、電力線161を介してHGW104との間で信号を送受信する。
【0284】
スマートメータ101は、無線基地局装置105およびHGW104との間で情報をやり取りする。
【0285】
具体的には、たとえば、電力計測部16は、電力需要家の総消費電力量を計測する。そして、電力計測部16は、計測結果である電力情報を電力情報記憶部15へ出力する。電力情報記憶部15は、電力計測部16から出力された電力情報を保持する。
【0286】
制御部13は、電力情報記憶部15に保持されている電力情報を読み出し、読み出した電力情報を通信部91経由で無線基地局装置105へ送信する(図19に示す「Aルート」)。
【0287】
また、制御部13は、電力情報記憶部15に保持されている電力情報を読み出し、読み出した電力情報を通信部92および電力線161経由でHGW104へ送信する(図19に示す「Bルート」)。
【0288】
なお、制御部13は、電力情報以外の情報を取得または作成し、当該情報を通信部91および通信部92経由で無線基地局装置105およびHGW104へそれぞれ送信することも可能である。
【0289】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る通信装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0290】
本発明の実施の形態に係る通信装置では、データ処理部11A,11Bは、それぞれ独立して決定される送信タイミングにおいてデータを出力する。また、データ処理部31A,31Bは、それぞれ独立して決定される送信タイミングにおいてデータを出力する。言い換えれば、通信装置における各データ処理部の送信タイミングは、排他的ではなく、送信期間の重複があり得るように設定される、すなわち、各データ処理部の送信タイミングの設定において、送信期間の重複が許容されている。
【0291】
本発明の実施の形態に係る通信装置は、たとえば複数の通信回路が接続されたバスの調停を行なう構成とは異なり、データ処理部が、自己がデータを送信したいタイミングに同期して他のデータ処理部のデータ送信を停止する、すなわち、他の送信系統の送信状態に関わらず、当該他の送信系統の送信を停止させる構成である。そして、これら複数の送信系統が1つの通信装置に具備されており、各送信系統の同時送信による消費電力の増大を抑制する構成である。
【0292】
このように、本発明の実施の形態に係る通信装置は、複数の送信先への送信タイミングが時間的に重複することを防ぐことを主目的とするのではなく、各送信タイミングの重複がある場合において、通信装置における複数の送信回路の同時送信による消費電力の増大、すなわち瞬時的な消費電力を低減することを主目的としている。そして、このような目的を達成することにより、たとえば、通信装置に要求される最大許容消費電力を低い値に設定することが可能となる。
【0293】
このような送信タイミングの重複例としては、たとえば、前述のようなCSMA/CD方式においてランダムに決定される待機時間TWAおよびTWBが同じ長さに設定される場合がある。
【0294】
本発明の実施の形態に係る通信装置は、データ処理部が、フラグ信号、イネーブル信号およびディスエーブル信号等の、送信回路による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力する構成により、バス調停のようにバス上の制御情報の通信を保障する必要が無く、簡易な構成で、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0295】
さらに、本発明の第5の実施の形態に係る電力情報収集システムのように、異なる通信メディアを使用する場合、複数の送信先への送信タイミングが時間的に重複することをバス調停のように防ぐことは困難であり、また、CSMA/CDの採用も困難である。このような場合でも、本発明の実施の形態に係る通信装置では、簡易な構成で、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0296】
また、本発明の実施の形態に係る通信装置では、データ処理部11は、たとえば、他のデータ処理部11から制御信号すなわち論理ハイレベルのフラグ信号が出力されている期間において、自己に対応する送信回路12へのデータの出力を継続する。また、データ処理部31は、たとえば、他のデータ処理部31から制御信号すなわち論理ハイレベルのディスエーブル信号が出力されている期間において、自己に対応する送信回路32へのデータの出力を継続する。
【0297】
このように、データ処理部自体は自己の送信タイミングでデータを出力する、すなわちデータ処理部間で送信タイミングの調停は行われず、送信期間の重複による送信の失敗が許容されているという前提の構成において、データ処理部の後段の送信回路で強制的に送信を停止して、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制することができる。
【0298】
なお、本発明の実施の形態に係る通信装置は、電力情報収集システムにおけるスマートメータであるとしたが、これに限定するものではない。本発明の実施の形態に係る通信装置は、CSMA/CD方式を採用しない通信システム等、他の各種システムに広く適用することが可能である。
【0299】
また、本発明の実施の形態に係るスマートメータは、2つの通信部を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。スマートメータは、3つ以上の通信部を備える構成であってもよい。この場合、ある通信部におけるデータ処理部から送信回路へのデータ出力期間において、他の少なくともいずれか1つの通信部における送信回路による信号の送信動作を停止すれば、各送信回路の同時送信による消費電力の増大を抑制するという本発明の目的を達成することが可能である。また、このスマートメータがプライオリティ処理回路14を備える場合、複数の送信回路のうち、優先送信回路として送信回路を複数設定することも可能である。
【0300】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0301】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0302】
[付記1]
それぞれ独立して決定される送信タイミングにおいてデータを出力する複数のデータ処理部と、
前記複数のデータ処理部にそれぞれ対応して設けられ、対応の前記データ処理部から前記データを受けて、前記データを含む信号である通信信号を送信する複数の送信回路とを備え、
前記データ処理部は、対応の前記送信回路へ前記データを出力する期間において、他の前記送信回路による信号の送信動作を停止するための制御信号を出力し、
前記データ処理部は、対応の前記送信回路へ前記データを出力する期間に基づいて、前記制御信号として、他の送信系統へフラグ信号を出力するか、または、自己の送信系統へイネーブル信号を出力するとともに他の送信系統へディスエーブル信号を出力し、
前記イネーブル信号および前記ディスエーブル信号は同期している、通信装置。
【符号の説明】
【0303】
11A,11B,31A,31B データ処理部
12A,12B,32A,32B 送信回路
13 制御部
14 プライオリティ処理回路
15 電力情報記憶部
16 電力計測部
21 PLC MAC処理部
22 PLC PHY処理部
23 DAC
24 アナログスイッチ
25 アンプ
27 バッファ
26,28 制御信号生成部
91,92,93,94 通信部
101,111,112,113 スマートメータ
102 コンセントレータ
103 ヘッドエンド
121A,121B,121C,121D スマートメータ群
201,202 電力情報収集システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19