(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
なお、第1遊技状態および第2遊技状態とは、大当たり状態や、この大当たり状態よりも遊技者に付加価値を与える確変状態のことを言う。なお,確変状態とは、例えば、始動口に遊技球が入球することを検出手段により検出した結果に基づいて、乱数による抽選で取得した各種カウンタ値により、表示手段における表示演出の識別変動が所定の絵柄で停止して大当たりになると、以後、所定の条件の下で大当たりとなる確率が高くなる状態のことを言う。
【0012】
(0) 始動口に遊技球が入球したことを検出手段が検出すると、その検出結果に基づいて制御手段において記録された乱数から各種カウンタ値を抽選し、所定のカウンタ値を取得したときに表示手段に表示演出される識別変動表示が所定の絵柄で停止すると遊技に対する付加価値を遊技者に与える第1遊技状態と、前記第1遊技状態とは異なる付加価値を与える第2遊技状態となる遊技機において、
前記第2遊技状態に移行するまでの第1経緯と、前記第1経緯とは異なる経緯で第2遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段を備えたことを特徴とする遊技機。
前記(0)に記載の発明によれば、第2遊技状態移行手段は、第2遊技状態に移行するまでの第1経緯と、この第1経緯とは異なる経緯で同じ第2遊技状態へと移行させる。つまり、第1経緯とは異なる経緯で第2遊技状態へと移行させることができるので、遊技者は、いずれの経緯が第2遊技状態に移行するのかを容易、かつ、明確に判断することができない。例えば、識別変動表示が所定絵柄で停止するときに、または停止以前に、第2遊技状態への移行の判定が行なわれ、第2遊技状態に移行することが判定されて大入賞口の開放・閉鎖動作を繰り返す動作の経緯を経て、従来通りに第2遊技状態へと移行するが、この経緯以外に大入賞口が開放・閉鎖動作を繰り返さない場合などにおいても、第2遊技状態へと移行する場合などがある。
すなわち、遊技者は、第2遊技状態への移行の有無を特定することが困難となり、突然に第2遊技状態に移行したものと錯覚する。その結果、遊技者にとっては突然の第2遊技状態の移行により遊技に対する面白みが増すので、遊技に対する興趣性の向上を図ることのできる遊技機を提供することができる。
【0013】
(1)
前記(0)に記載の遊技機において、
前記第2遊技状態移行手段は、第2遊技状態に移行させる複数個の経緯を有し、これら経緯のうちの少なくとも1個が視認しづらいことを特徴とする遊技機。
【0014】
前記(1)に記載の発明によれば、第2遊技状態移行手段は、第2遊技状態に移行させるための複数個の経緯を有し、これら経緯のうちの少なくとも1個が視認しづらくなっている。そのため、視認しづらい1個の経緯を経て第2遊技状態に移行すると、遊技者はその経緯を経たことに、さらに気付きづらくなる。すなわち、複数あるうちの所定の経緯から第2遊技状態に移行したにも関わらす、突然に第2遊技状態に移行したもであると遊技者は錯覚するので、
前記(0)に記載の遊技機を好適に実施することができる。
【0015】
(2)
前記(0)または前記(1)に記載の遊技機において、
前記第2遊技状態移行手段は、
遊技球の入球を検出する入球検出手段と、
前記入球検出手段が遊技球の入球を検出すると第2遊技状態に移行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により第2遊技状態に移行すると判定されたとき、第2遊技状態への移行を示すための動作をする複数個の動作部材とから構成され、
かつ、前記複数個の動作部材のうちの少なくとも1個の動作部材が視認しづらいことを特徴とする遊技機。
【0016】
前記(2)に記載の発明によれば、第2遊技状態移行手段は、入球検出手段、判定手段、おおび複数個の動作部材とから構成されている。入球検出手段は、遊技球の入球を検出する。判定手段は、入球検出手段が遊技球の入球を検出すると、その検出結果に基づいて、第2遊技状態に移行するか否かを判定する。複数個の動作部材は、判定手段の判定結果において、第2遊技状態に移行すると判定した場合に動作する。これら動作部材のうちの少なくとも1個の動作部材は、遊技者にとって視認しづらいものである。
【0017】
したがって、判定手段の判定結果に基づいて第2遊技状態に移行するとき、視認しづらい動作部材が動作した場合は、遊技者にとってその動作部材が動作したことを、より気付きづらくすることができる。その結果、突然に第2遊技様態に移行したと錯覚させるのに有効となる。したがって、
前記(0)および前記(1)の発明を好適に実施することができる。
【0018】
なお、この発明において、「視認しづらい」とは、動作部材の形状、動作部材の動作、およびこれらの組み合わせによるものである。例えば、動作部材の形状が小さい物や、動作部材の動的変化が小さい場合や動作が速い場合、およびこれらの組み合わせであって、形状が小さくて動的変化が小さい場合、および動作が速い場合がある。
【0019】
(3) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記動作部材は、
同時に複数個の遊技球の入賞を可能とするように前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作を繰り返す大入賞口と、
前記大入賞口よりも小形で遊技球の入賞なしに、または入賞するように前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作をする小入賞口であることを特徴とする遊技機。
【0020】
前記(3)に記載の発明によれば、動作部材は、大入賞口と小入賞口である。大入賞口は、判定手段が第2遊技状態に移行すると判定したとき、同時に複数個の遊技球の入賞を可能とするように開放・閉鎖の動作を繰り返す。小入賞口は、大入賞口よりも小形であって、判定手段が第2遊技状態に移行すると判定したとき、遊技球の入賞なしに、または入賞するように開放・閉鎖の動作をする。つまり、一方の大入賞口はその形状が大きく、かつ、大きい動作を繰り返すので遊技者にとって視認しやすい。他方の小入賞口は形状が大入賞口よりも小さく、動作も小さいので視認しづらい。したがって、視認しやすい大入賞口と視認しづらい小入賞口とにより、第2遊技状態に移行する経緯に対する遊技者の意識が分散されるとともに、小入賞口の形状および動作が視認しづらいことから、遊技者はその経緯を見落としがちとなる。その結果、第2遊技状態に突然に移行したものと遊技者を錯覚させるの有効となる。
【0021】
(4) 前記(2)または(3)に記載の遊技機に
前記複数個の動作部材のうちの少なくとも1個が、遊技盤面上で動作するように配設した装飾部材の一部であることを特徴とする遊技機。
【0022】
前記(4)に記載の発明によれば、複数個の動作部材のうちの少なくとも1個が遊技盤面上に配設した装飾部材の一部である。つまり、装飾部材の全体または一部分が動作するものである。従来のパチンコ機では、大入賞口が動作することにより、第2遊技状態に移行することから、所定の装飾部材が動作して第2遊技状態へ移行することは予期できないものとなる。したがって、所定の装飾部材が動作して第2遊技状態に移行したとき、遊技者がその経緯を知ることができないので、突然に第2遊技状態に移行したものと遊技者を錯覚させるのに有効となる。
【0023】
(5)
前記(0)に記載の遊技機、または前記(1)から(4)のいずれかに一つに記載の遊技機において、
前記表示手段は、絵柄の変動表示演出を表示する識別情報変動表示手段であることを特徴とする遊技機。
【0024】
前記(5)に記載の発明によれば、識別情報変動表示手段は、始動条件が成立することに基づいて表示演出である識別情報としての絵柄を変動表示し、かつ、その変動停止結果を表示することを含む変動表示演出を表示する。したがって、始動条件が成立することに基づいて識別情報を変動表示し、その変動停止結果を表示するという変動表示演出を実施する遊技機の場合に、遊技者は所定の絵柄で停止したときに第2遊技状態に移行するのではないかと期待させることができる。しかしながら、複数個の経緯で第2遊技状態に移行する第2遊技状態移行手段を備えることで、従来の第2遊技状態に移行させる第1経緯とは異なる経緯で第2遊技状態に移行させることができるので、
前記(0)および前記(1)から(7)に記載の遊技機を実施するの有効である。
【0025】
なお、本明細書中の「識別情報」とは、数字絵柄、絵柄またはそれらを組み合わせた絵柄などの表示情報またはその他の表示情報であって、遊技者にとって有利な第2遊技状態への移行の成立・不成立を遊技者に視覚を通じて認識させるための表示情報のことである。
【0026】
(6)
前記(0)に記載の遊技機、または前記(1)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記絵柄は、数字、文字、図形、キャラクタの絵柄であることを特徴とする遊技機。
【0027】
前記(6)に記載の発明によれば、絵柄を数字、文字、図形、またはキャラクタの絵柄に分けることにより、判定手段による判定の結果に基づいて、いずれか1つの絵柄で変動表示が停止し、所定の動作部材を動作させることができる。つまり、絵柄の種類を多くすることで、いずれの絵柄のときに第2遊技状態へ移行するか否かの判断をしづらくすることができるともに、第2遊技状態に移行したときに複数個の動作部材のうちのいずれか1個が動作する。したがって、遊技者に対して第2遊技状態に移行する経緯をより一層に判断しづらくすることができる。すなわち、
前記(0)、前記(1)から(5)に記載の遊技機を好適に実施することができる。
【0028】
(7) 前記(6)に記載の遊技機において、
前記絵柄は、絵柄ごとに複数の組からなり、
前記表示手段に表示される前記絵柄の変動表示を制御する表示制御手段と、
さらに、変動表示後の停止絵柄が所定絵柄の組み合わせで揃っていないにも関わらず、所定絵柄の組み合わせで揃って停止し、第2遊技状態となったときに行われる表示演出と同じ表示演出を擬似的に行うように前記表示制御手段に指示する擬似表示指示手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0029】
前記(7)に記載の発明によれば、表示制御手段は、表示手段に表示される絵柄の変動表示を制御する。擬似表示指示手段は、変動表示後の停止絵柄が所定絵柄の組み合わせで揃っていないにも関わらず、その後に、所定絵柄の組み合わせで揃って第2遊技状態となったときに行われる表示演出と同じ表示演出を擬似的に行うように表示制御手段に指示をする。例えば、所定絵柄で停止して大当たりである第1遊技状態にも関わらず、そのときに表示手段に表示される表示演出が第2遊技状態のときに行われる表示演出と同じものが行われる。そのため、遊技者は、遊技機がどのような状態になったときに第2遊技状態になったかを明確に判断することができなくなる。
【0030】
したがって、動作部材が動作するときに表示手段に所定絵柄以外の絵柄の組み合わせが揃って表示されても、このときに動作部材が動作していることに意識が向かなくなる。その結果、なんらかの絵柄の組み合わせが揃って動作部材が動作して第2遊技状態になったことに遊技者は気付かずに遊技を継続していると、突然に大当たりが連続して第2遊技状態となったことに気付くので、遊技者は、遊技に対してより一層に面白みを抱くことができる。すなわち、遊技に対する興趣性の向上を図れる遊技機を実現することができる。
【0031】
なお、表示演出としては、絵柄の変動表示以外に次のようなものが挙げられる。例えば、数字や絵柄(図形)絵柄以外の背景絵柄の変動表示や、この背景の色を変更または、背景色を切り換えて点滅表示させるなどの表示演出が挙げられる。
【0032】
(8)
前記(0)に記載の遊技機、または前記(1)から(7)のいずれかに一つに記載の遊技機において、
さらに、遊技進行中または表示演出に連動して音または音楽を出力する発音手段と、
前記発音手段を制御する音声制御手段と、
変動表示後の停止絵柄が所定絵柄で停止していないにも関わらず、所定絵柄で停止して第2遊技状態となったときに前記発音手段から出力される音または音楽と同じものを擬似的に出力するように前記音声制御手段に指示する擬似音声指示手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0033】
前記(8)に記載の発明によれば、発音手段は、遊技進行中または表示演出に連動して音または音楽を出力する。音声制御手段は、発音手段が出力する音声などを制御する。擬似音声指示手段は、変動表示後の停止絵柄が所定絵柄で停止していないにも関わらず、所定絵柄で停止して第2遊技状態となったときに発音手段から出力される音または音楽と同じものを擬似的に出力するように音声制御手段に指示する。つまり、第2遊技状態に移行していない通常状態または大当たりの第1遊技状態にも関わらず発音手段から出力される音または音楽が第2遊技状態のときに発音手段から出力される音などと同じものが出力されるので、遊技者は、遊技機がどのような状態になったときに第2遊技状態になったかを明確に判断することができなくなる。
【0034】
したがって、所定絵柄で停止して動作部材が動作したにも関わらず、第2遊技状態になるときに出力されるべき音声が通常状態のときに出力されていたことで、第2遊技状態に移行することに気付きづらくすることができる。このとき、遊技者は、動作部材が動作していることに対しても意識が向かなくなる。その結果、第2遊技状態になったことに遊技者は気付かずに遊技を継続していると、突然に大当たりが連続して第2遊技状態となったことに気付くので、遊技者は、遊技に対して、より一層に面白みを抱くことができる。すなわち、遊技に対する興趣性の向上を図ることができる遊技機を実現することができる。
【0035】
なお、発音手段としては、例えば、スピーカ、ブザーなどの音を発生することのできるものをいう。また、第2遊技状態に移行するときに出力されるべき音声などは、通常状態で擬似的に出力される確率を低く設定している。
【0036】
(9)
前記(0)に記載の遊技機、または前記(1)から(8)のいずれかに一つに記載の遊技機において、
さらに、遊技進行中または表示演出に連動して装飾用の照明手段の点滅による照明演出を制御する照明演出制御手段と、
変動表示後の停止絵柄が所定絵柄で停止していないにも関わらず、所定絵柄で停止して第2遊技状態となったときに行われる点灯または点滅の照明演出と同じ照明演出を擬似的に行うように前記照明演出制御手段に指示する擬似照明演出指示手段と、
を備えたこと特徴とする遊技機。
【0037】
前記(9)に記載の発明によれば、照明演出制御手段は、遊技進行中または表示演出に連動して装飾用の照明手段の点灯、点滅による照明演出を制御する。擬似照明演出指示手段は、変動表示後の停止絵柄が所定絵柄で停止していないにも関わらず、所定絵柄で停止して第2遊技状態となったときに行われる点灯、点滅の照明演出と同じ照明演出を擬似的に行うように照明演出制御手段に指示する。つまり、通常の遊技状態にも関わらず照明手段の点灯または点滅による照明演出が第2遊技状態のときと同じ照明演出が行われるので、遊技者は、遊技機がどのような状態になったときに第2遊技状態になったかを明確に判断することができなくなる。
【0038】
したがって、所定絵柄で停止し動作部材が動作したにも関わらず、第2遊技状態になるときに演出される照明手段の点灯または点滅が、通常状態または大当たりとなった第1遊技状態のときに演出されることで、実際に第2遊技状態に移行することに気付きづらくすることができる。つまり、このとき遊技者は、動作部材が動作していることに対しても意識が向かなくなる。その結果、第2遊技状態になったことに遊技者は気付かずに遊技を継続していると、突然に大当たりが連続して第2遊技状態となったことに気付くので、遊技者は、遊技に対してより一層に面白みを抱くことができる。
【0039】
(10) 始動口に遊技球が入球したことを検出手段が検出すると、その検出結果に基づいて主制御手段において記録された乱数から各種カウンタ値を抽選し、所定のカウンタ値を取得したときに表示手段に表示演出される識別変動表示が所定の絵柄で停止すると遊技に対する付加価値を遊技者に与える第1遊技状態と、前記第1遊技状態とは異なる付加価値を与える第2遊技状態となる遊技機において、
遊技球を発射させる発射手段と、
前記発射手段により発射された遊技球に挙動を与えながら流下させる遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技盤上で動作する動作部材と、
前記主制御手段による抽選の結果、前記第1遊技状態と第2遊技状態を含む所定の条件が成立したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記動作部材を作動制御させる作動制御手段を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【0040】
前記(10)に記載の発明によれば、発射手段は、遊技球を発射させる。遊技盤は、発射手段により発射された遊技球に挙動を与えながら流下させる遊技領域を有する。動作部材は、遊技盤上で動作する。判定手段は、主制御手段による抽選の結果、第1遊技状態と第2遊技状態を含む所定の条件が成立したか否かを判定する。作動制御手段は、判定手段の判定結果に基づいて、前記動作部材を作動制御させる。
【0041】
すなわち、この構成によれば、第1遊技状態と第2遊技状態を含む所定の条件が成立した場合に動作部材が動作するので、第2遊技状態への移行が分かりづらい。つまり、遊技者は、突然に第2遊技状態に移行して遊技に対する付加価値を得ることができたものと錯覚する。その結果、遊遊技に対する面白みが増し、遊技に対する興趣性が向上させられる。
【0042】
なお、第1遊技状態および第2遊技状態とは、大当たり状態や、この大当たり状態よりも遊技者に付加価値を与える確変状態のことを言う。なお,確変状態とは、例えば、始動口に遊技球が入球することを検出手段により検出した結果に基づいて、乱数による抽選で取得した各種カウンタ値により、表示手段における表示演出の識別変動が所定の絵柄で停止して大当たりになると、以後、所定の条件の下で大当たりとなる確率が高くなる状態のことを言う。
【0043】
(11) 前記(10)に記載の遊技機において、
さらに、前記遊技盤には、同時に複数個の遊技球の入賞を可能とするように前記遊技盤の前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作を繰り返す大入賞口と、
前記大入賞口よりも小形で遊技球の入賞を可能とするように前記遊技盤の前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作をする小入賞口とが形成されており、
前記動作部材は、前記遊技盤面に配備された装飾部材の一部であって、
前記装飾部材は、前記遊技球の上部から下部に向けて流下可能な複数本に分岐された誘導路が形成されており、
前記誘導路のうちの1本は、上部から入球した遊技球を前記小入賞口に誘導するように形成されるとともに、当該誘導路が小入賞口の手前で、小入賞口側とは異なる方向に分岐されており、
前記所定条件が成立したとき、前記作動制御手段は、前記動作部材を前記小入賞口の手前の分岐位置に移動させて小入賞口側にある一方の誘導路に遊技球が流下するのを妨げるように閉塞し、当該遊技球を他方に誘導するように構成した
ことを特徴とする遊技機。
【0044】
前記(11)に記載の発明によれば、遊技盤には、大入賞口と小入賞口とが形成されている。大入賞口は、同時に複数個の遊技球の入賞を可能とするように遊技盤の前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作を繰り返す。小入賞口は、大入賞口よりも小形で遊技球の入賞を可能とするように遊技盤の前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作をする。動作部材は、遊技盤面に配備された装飾部材の一部である。装飾部材は、遊技球の上部から下部に向けて流下可能な複数本に分岐された誘導路が形成されており、当該誘導路のうちの1本は、上部から入球した遊技球を前記小入賞口に誘導するように形成されるとともに、当該誘導路が小入賞口の手前で、小入賞口側とは異なる方向に分岐されている。また、作動制御手段は、所定条件が成立したとき、動作部材を小入賞口の手前の分岐位置に移動させて小入賞口側にある一方の誘導路に遊技球が流下するのを妨げるように閉塞し、当該遊技球を他方に誘導する。
【0045】
すなわち、所定条件が成立しない場合以外は、小入賞口に遊技球が入球しない。つまり、特定の場合にしか第2遊技状態に移行しないように保ったまま、動作部材を適時に動作させるので、実際に第2遊遊技状態に移行することを分かりづらくすることができる。その結果、第2遊技状態に移行する状態が不明確な状態で遊技者は遊技を継続するので、第2遊技状態への移行は突然に発生したものと錯覚し、遊遊技に対する面白みが増し、遊技に対する興趣性が向上させられる。
【0046】
(12) 前記(10)または(11)に記載の遊技機において、
前記所定条件は、第1遊技状態および第2遊技状態への条件の成立以外に前記表示手段に所定の表示演出が表示された場合であり、
当該表示演出は、遊技者の遊技に対して付加価値を与える第1遊技状態および第2遊技状態となるときの示唆表示演出、または/および第1遊技状態および第2遊技状態となりそうであると疑わせる擬似表示演出である
ことを特徴とする遊技機。
【0047】
前記(12)に記載の発明によれば、所定条件は、第1遊技状態および第2遊技状態への条件の成立以外に表示手段に所定の表示演出が表示された場合であることが好ましい。示唆表示演出は、遊技者の遊技に対して付加価値を与える第1遊技状態および第2遊技状態となることを示唆する表示演出である。擬似表示演出は、第1遊技状態および第2遊技状態となりそうであると疑わせる表示演出である。すなわち、この構成によれば、第1遊技状態または/および第2遊技状態に移行する表示演出と実際には移行しない表示演出も含ませることにより、第2遊技状態に移行するのを、より分かりづらくすることができる。その結果、第2遊技状態に移行する状態が不明確な状態で遊技者は遊技を継続するので、第2遊技状態への移行は突然に発生したものと錯覚し、遊遊技に対する面白みが増し、遊技に対する興趣性が向上させられる。
【0048】
(13) 始動口に遊技球が入球したことを検出手段が検出すると、その検出結果に基づいて主制御手段において記録された乱数から各種カウンタ値を抽選し、所定のカウンタ値を取得したときに表示手段に表示演出される識別変動表示が所定の絵柄で停止すると遊技に対する付加価値を遊技者に与える第1遊技状態と、前記第1遊技状態とは異なる付加価値を与える第2遊技状態となる遊技機において、
遊技球を発射させる発射手段と、
前記発射手段により発射された遊技球に挙動を与えながら流下させる遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技盤面上で動作する動作部材と、
前記主制御手段により抽選の結果、前記第1遊技状態および第2遊技状態となることの条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定の結果、第2遊技状態となる条件が成立している場合、前記動作部材を作動制御する作動制御手段と、
前記主制御手段による抽選の結果、前記第1遊技状態となる条件が成立している場合、前記動作部材を作動制御する副制御手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0049】
前記(13)に記載の発明によれば、発射手段は、遊技球を発射させる。遊技盤は、発射手段により発射された遊技球に挙動を与えながら流下させる遊技領域を有する。動作部材は、遊技盤面上で動作する。判定手段は、主制御手段により抽選の結果、第1遊技状態および第2遊技状態となることの条件が成立しているか否かを判定する。作動制御手段は、判定手段の判定の結果、第2遊技状態となる条件が成立している場合、動作部材を作動制御する。副制御手段は、主制御手段による抽選の結果、前記第1遊技状態となる条件が成立している場合、前記動作部材を作動制御する。
【0050】
すなわち、この構成によれば、第1遊技状態となる条件が成立した場合に、副制御手段が動作部材を作動制御して動作させるので、第2遊技状態に移行する場合に動作部材が動するとして特定することができない。つまり第2遊技状態に移行するのか否かを不明確にすることができる。したがって、第2遊技状態への移行の分かりづらい状態で、突然に第2遊技状態に移行したものと遊技者は錯覚する、その結果、遊技者は、突然に遊技に対する付加価値を得ることができるので、遊技に対する面白みが増し、遊技に対する興趣性が向上させられる。
【0051】
(14) 前記(13)に記載の遊技機において、
さらに、前記遊技盤には、同時に複数個の遊技球の入賞を可能とするように前記遊技盤の前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作を繰り返す大入賞口と、
前記大入賞口よりも小形で遊技球の入賞を可能とする小入賞口とが形成されており、
前記動作部材は、前記小入賞口への遊技球の入球の許可および阻止する両位置に移動可能に配備され、
かつ、前記主制御手段による抽選の結果、前記第1遊技状態の条件が成立した場合、前記作動制御手段が、前記大入賞口の扉を開放・閉鎖の動作を繰り返す動作をさせるとともに、副制御手段が前記動作部材を阻止位置と許可位置とにわたって移動させ、
前記主制御手段による抽選の結果、前記第2遊技状態の条件が成立した場合、前記作動制御手段が、阻止位置と許可位置とにわたって前記動作部材を移動させる
ことを特徴とする遊技機。
【0052】
前記(14)に記載の発明によれば、遊技盤には、大入賞口と小入賞口とが形成されている。大入賞口は、同時に複数個の遊技球の入賞を可能とするように遊技盤の前面側に備わった扉の開放・閉鎖の動作を繰り返す。小入賞口は、記大入賞口よりも小形で遊技球の入賞を可能とする。動作部材は、小入賞口への遊技球の入球の許可および阻止する両位置に移動可能に配備されている。また、前記主制御手段による抽選の結果、第1遊技状態の条件が成立した場合、作動制御手段が、大入賞口の扉を開放・閉鎖の動作を繰り返す動作をさせるとともに、副制御手段が動作部材を阻止位置と許可位置とにわたって移動させる。さらに、主制御手段による抽選の結果、第2遊技状態の条件が成立した場合、作動制御手段が、阻止位置と許可位置とにわたって動作部材を移動させる。
【0053】
すなわち、この構成によれば、特定の場合にしか第2遊技状態に移行しないように保ったまま、動作部材を適時に動作させるので、実施に第2遊遊技状態に移行することを分かりづらくすることができる。その結果、第2遊技状態に移行する状態が不明確な状態で遊技者は遊技を継続するので、第2遊技状態への移行は突然に発生したものと錯覚し、遊技に対する面白みが増し、遊技に対する興趣性が向上させられる。
【0054】
(15) 前記(14)に記載の遊技機において、
前記動作部材は、前記遊技盤面に配備される装飾部材の一部であって、
前記装飾部材は、前記遊技球が上部から下部に向けて流下可能な複数本に分岐された誘導路が形成されており、
前記誘導路のうちの1本は、上部から入球した遊技球を前記小入賞口に誘導するように形成されるとともに、当該誘導路が小入賞口の手前で、小入賞口側とは異なる方向に分岐されており、
前記動作部材は、作動条件が成立していない場合、前記誘導路の分岐点で小入賞口への遊技球の流下を阻止し、小入賞口とは異なる誘導路に遊技球を流下させるように待機し、
作動条件が成立した場合は、小入賞口への遊技球の入球を許可するように前記待機している位置から許可する位置に移動するように構成された
ことを特徴とする遊技機。
【0055】
前記(15)に記載の発明によれば、動作部材は、遊技盤面に配備される装飾部材の一部である。装飾部材は、遊技球が上部から下部に向けて流下可能な複数本に分岐された誘導路が形成されており、当該誘導路のうちの1本は、上部から入球した遊技球を小入賞口に誘導するように形成されるとともに、当該誘導路が小入賞口の手前で、小入賞口側とは異なる方向に分岐されている。また、動作部材は、作動条件が成立していない場合、誘導路の分岐点で小入賞口への遊技球の流下を阻止し、小入賞口とは異なる誘導路に遊技球を流下させるように待機し、作動条件が成立した場合は、小入賞口への遊技球の入球を許可するように待機している位置から許可する位置に移動する。
【0056】
すなわち、動作部材は、開口状態にある小入賞口への入球の許可と阻止する扉としの機能する。
【0057】
(16)
前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(15)のいずれか一つに記載の遊技機において、
左右一側部側を中心に左右他側部側が開閉可能となるように構成され、遊技盤を支持した遊技機本体と、
前記遊技盤の前面に設けられたレール部材により略円形状に区画された遊技領域と、
前記遊技機本体の前面側にて前記左右一側部側を中心に前記左右他側部が開閉可能となるように支持され、閉鎖状態において前記遊技領域を視認可能な視認窓を有した前面扉とを備え、
前記遊技機本体の前記左右一側部には長尺状の補強部材を上下方向へ延びるように設けられるとともに、前記遊技機本体の前記左右他側部には前記遊技機本体及び前面扉の開放を禁止するように旋錠する旋錠装置を設け、
該旋錠装置は前記遊技機本体の前記左右他側部に上下方向へ延びるようにかつ上下方向へ移動可能となるように設けられた長尺状の連動部材と、前記遊技機本体の前記左右他側部のうち前記遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられ前記連動部材を上側又は下側への移動により前記遊技機本体の旋錠が解除されるとともに、前記連動部材の上下他方への移動により前記前面扉の旋錠が解除されるように構成し、
前記遊技盤を前記遊技機本体の幅内において前記補強部材及び連動部材を左右に振り分けて配置するための領域を残した幅となるように形成するとともに、前記遊技盤の左右両側部には前記遊技機本体の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように部分的に凹部を形成し、さらに、前記レール部材のうち、前記遊技領域の最大幅となる位置を、前記遊技盤の左右端位置に至るように配設することにより、遊技領域を拡張したことを特徴とする遊技機。
【0058】
前記(16)に記載の発明によれば、遊技盤の左右両側部は、遊技機本体の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように部分的に凹部を形成している。レール部材のうち遊技領域の最大幅となる位置を、遊技盤の左右端位置に至るように配設する。したがって、遊技領域が広くなり、遊技領域の自由度を向上させることができる。その結果、興趣性の向上を図ることができる。
【0059】
(17)
前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(16)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
【0060】
前記(17)に記載の遊技機によれば、興趣性に優れたパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態(第2遊技状態)の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口または大入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0061】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はパチンコ機10の正面図であり、
図2は、外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、
図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
【0062】
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に詳細に説明する。
【0063】
外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。
【0064】
内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(
図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。例えば、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(
図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できない。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
【0065】
内枠12の構成を
図3も用いて詳細に説明する。
図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、
図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。
【0066】
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0067】
下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を
図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と後述するセットハンドル228と発射モータ229(
図6参照)などで構成されている。なお、上述した遊技球発射装置38が本発明における遊技球発射手段に相当する。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片持ち支持されている。
【0068】
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃え難くなっている。
【0069】
また、前面枠セット14は、
図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(
図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のもの)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
【0070】
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
【0071】
ここで、前面枠セット14は、少なくとも遊技球発射ハンドル18に干渉しないようにして本パチンコ機10の下方に拡張して設けられており、具体的な数値を示すと、パチンコ機10の下端から前面枠セット14の下端までの寸法(
図1のH1)は、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機10の下端から上皿19までの寸法(
図1のH2)も小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では261mmとなっている。かかる構成では、上皿19の位置を下げたことにより、球貸し装置のノズル部と上皿19との距離が大きくなって貸し出される遊技球のこぼれ落ちなどが懸念されるが、本実施例では、当該ノズル部からの遊技球を受ける部分(向かって左側部分)で上皿19の周囲壁の一部を高くした(
図1の高壁部19a)。これにより、上皿19の位置を下げた構成にあっても貸し遊技球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。なお、高壁部19aの高さ寸法は、上皿19の下げ寸法に見合うものであればよく、本実施例では25mmとした。
【0072】
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。
【0073】
次に、
図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。
図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、作動口スイッチ224等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
【0074】
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33への入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置42と、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41とを備えている。
【0075】
第2図柄表示装置41は、第2図柄用の表示部43と保留ランプ44とを有し、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部43による表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。なお、表示部43は、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成の他、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であっても良い。保留ランプ44も同様に、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。なお、上述した第2図柄表示装置41が本発明における普通識別情報変動表示手段に相当する。
【0076】
第1図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第1図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして第1図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第1図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。なお、上述した第1図柄表示装置42が本発明における識別情報変動表示手段に相当し、上述した表示制御装置45が本発明における表示制御手段に相当する。
【0077】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1の始動口33に対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0078】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、
図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0079】
内レール51の先端部分(
図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(
図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
【0080】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。この実施例では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることができ、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
【0081】
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
【0082】
内レール51及び外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(
図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(
図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(
図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
【0083】
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0084】
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
【0085】
従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0086】
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
【0087】
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
【0088】
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
【0089】
なお、可変表示装置ユニット35の両側に位置する第2の始動口34は、該第2の始動口34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の第1の始動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。さらには、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、風車37、第2の始動口34、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、可変表示装置ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに風車37、第2の始動口34、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
【0090】
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
【0091】
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置38から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置38の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
【0092】
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
【0093】
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになる。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0094】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置した。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果がある。
【0095】
なお、
図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている。前面枠セット14を内枠12から開放した状態(
図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(
図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
【0096】
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(
図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
【0097】
また、
図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
【0098】
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、
図5に示す前面枠セット14の金属製の補強板132,131が
図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
【0099】
ここで、前述した前面枠セット14について、
図1,
図5を参照しつつより詳細に説明する。
図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の可変表示装置ユニット35も比較的上方に配置することができるようになっている。前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
【0100】
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:
図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、
図1及び
図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
【0101】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
【0102】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0103】
また、
図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(
図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることができる。
【0104】
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、
図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。また、
図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(
図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
【0105】
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(
図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
【0106】
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
【0107】
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール52,53により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置38より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
【0108】
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール52のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
【0109】
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した
図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0110】
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ
図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール52にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
【0111】
また、前面枠セット14の
図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(
図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
【0112】
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。
図6はパチンコ機10の背面図であり、
図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
【0113】
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0114】
また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0115】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0116】
実際には、
図8の概略図に示すように各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお
図8において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
【0117】
詳しくは、第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0118】
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0119】
さらに、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0120】
この場合、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
【0121】
一方、
図9は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図である。また、
図10は内枠12を後方より見た斜視図であり、
図11は遊技盤30を後方より見た斜視図である。ここでは
図9〜
図11を用いて内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
【0122】
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り換えることができるよう構成されており、
図9にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
【0123】
遊技盤30の中央には可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム47(
図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
【0124】
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(それぞれ
図3参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、
図9に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(
図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
【0125】
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
【0126】
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(
図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
【0127】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、特定領域スイッチ222とカウントスイッチ223とが設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり状態で可変入賞装置32に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ223は入賞球をカウントするスイッチである。また、第1の始動口33に対応する位置には作動口スイッチ224が設けられ、第2の始動口34に対応する位置にはゲートスイッチ225が設けられている。なお、上述した作動口スイッチ224が本発明における入賞検出手段に相当する。
【0128】
入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置)に接続されている。また、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続され、さらにこの大入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。これに対し、作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
【0129】
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、第1の始動口33には、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。なお、
図9において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。
【0130】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
【0131】
また、裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の右下部において符号232は上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)であり、同左上部において符号233は係止爪片である。
【0132】
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を
図12に示す。
図12に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
【0133】
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構部352より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。
図10,20に示すように、遊技球分配部245は、その上方位置に位置する後述の払出機構部352とは別体としている。
図10に示すように、遊技球分配部245は、内枠12にネジで締結固定されており、パチンコ機10の上皿19の排出口67(
図3参照)から異物を挿入操作するなどしても動かない、つまり遊技球分配部245が奥側に押されて遊技球分配部245と内枠12との間に隙間が空くようなことが無いし、この隙間に異物を挿入するなどによる不正を防止できる。
【0134】
また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカの背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
【0135】
次に、第1制御基板ユニット201を、
図13〜
図16を用いて説明する。
図13は第1制御基板ユニット201の正面図、
図14は同ユニット201の斜視図、
図15は同ユニット201の分解斜視図、
図16は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
【0136】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0137】
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは
図14等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0138】
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
【0139】
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
【0140】
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、
図14等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
【0141】
図15及び
図16に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は、裏パックユニット203を軸線Cを軸心として開き、第1制御基板ユニット201を軸線Aを軸心として開いた後に、この第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
【0142】
取付台251には、
図14等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を
図9等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を
図9等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に
図9等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。なお、支持金具231及び支軸256が前記
図8の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
【0143】
次に、第2制御基板ユニット202を、
図17〜
図19を用いて説明する。
図17は第2制御基板ユニット202の正面図、
図18は同ユニット202の斜視図、
図19は同ユニット202の分解斜視図である。但し、
図18では便宜上、カードユニット接続基板314が取付台301から取り外された状態を示している。
【0144】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120(
図1参照)及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
【0145】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
【0146】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0147】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0148】
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
【0149】
また、取付台301には、
図17等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を
図9等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を
図9等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記
図8の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
【0150】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、裏パックユニット203の正面図を
図20に示し、分解斜視図を
図21に示す。
【0151】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0152】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は
図21に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
【0153】
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化となるようにユニット化されている。つまり、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0154】
タンクレール356の構成について詳述すると、
図22に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
【0155】
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、さらにその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。なお、レール本体361が黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
【0156】
図20,21の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0157】
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0158】
また、裏パック351には、
図20等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を
図9等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を
図9等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に
図9等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。このとき、
図9等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記
図8の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
【0159】
なお、
図6,
図20に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。
【0160】
なお、
図9に示すように、裏パックユニット203は、被締結孔240及びナイラッチ386と、固定具241,242とによって、内枠12の裏面に着脱自在に取り付けられている。このように固定具241,242も用いているので、タンク355に供給される遊技球の重みで裏パックユニット203が内枠12から外れてしまうことを防止している。
【0161】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、
図23を用いて説明する。
図23は、本パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。本パチンコ機10は、主制御装置261と、払出制御装置311と、発射制御装置312と、表示制御装置45と、電源装置313などを備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。
【0162】
パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0163】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0164】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI割込み処理(
図33参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、
図33の停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0165】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路643、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
【0166】
また、払出制御装置311は、払出モータにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0167】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0168】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理(
図33参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0169】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0170】
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0171】
表示制御装置45は、第1図柄表示装置42における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力には主制御装置261の出力が接続され、入力ポート527の出力には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して一方の出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力には第2図柄表示装置41(表示部43)や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置である第1図柄表示装置42が接続されている。
【0172】
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261から送信される表示コマンドに基づいて第1図柄表示装置42及び第2図柄表示装置41の表示を制御する。0264
ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0173】
ビデオRAM524は、第1図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第1図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置42に表示させるものである。
【0174】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆部するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0175】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541で交流5ボルトの電圧を監視し、この電圧が5ボルト未満になった時間が例えば20ミリ秒を超えた場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(
図33のNMI割込み処理)を実行する。
【0176】
なお、電源部541は、電源部541で監視している交流5ボルトが5ボルト未満となった時間が20ミリ秒を越えた後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0177】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,613のデータがクリアされる。
【0178】
ところで、第1図柄表示装置(液晶表示装置)42には、
図24に示すように、左・中・右の3つの図柄列L,M,Rが設定されており、図柄列L,M,R毎に上図柄、中図柄、下図柄の3個ずつの図柄(第1図柄:例えば特別図柄)が変動表示される。本実施の形態では、一連の図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主図柄が表示されると共に各主図柄の間に副図柄が配されて一連の図柄列L,M,Rが構成されている。そして、周期性を持って主図柄と副図柄が上から下へと変動表示されるようになっている。
【0179】
かかる場合、左図柄列Lにおいては、上記一連の図柄が降順(すなわち、主図柄の番号が減る順)に表示され、中図柄列M及び右図柄列Rにおいては、同じく上記一連の図柄が昇順(すなわち、主図柄の番号が増える順)に表示される。そして、左図柄列L→右図柄列R→中図柄列Mの順に変動表示が停止し、その停止時に第1図柄表示装置42上の5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかで主図柄が大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている。
【0180】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
【0181】
本実施の形態では、主制御装置261内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて第1図柄表示装置42の抽選(大当たり抽選)や図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、
図25に示すように、第1図柄表示装置42の大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置42の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置42が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置42の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。上述した各カウンタは、CPU501で実行されるプログラムにより構成されている。
【0182】
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度、前回値に「1」が加算され(以下、「更新」という)、最大値に達した後「0」に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。また、RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1の始動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
【0183】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば「0」〜「676」の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値(つまり「676」)に達した後「0」に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で綴り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の個数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の個数は10で、その値は 「67,131,199,289,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、予め定められた確率変動図柄によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる「確変」の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。
【0184】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置42の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、第1図柄表示装置42において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されていることから、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0185】
また、リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽通は、第1図柄表示装置42の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0186】
また、2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
【0187】
変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してCS1,CS2のバッファ値が取得される。
【0188】
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、第1図柄表示装置42の大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の停止図柄(外れ図柄)を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
【0189】
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算給果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
【0190】
各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0191】
また図示は省略するが、第2図柄表示装置41の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2の始動口34を通過した時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
【0192】
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理を
図26〜
図37のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上ここでは、先ずタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
【0193】
図31は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
【0194】
図31において、先ずステップS601では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
【0195】
その後、ステップS602では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、続くステップS603では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0196】
その後、ステップS604では、第1の始動口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。この始動入賞処理を
図32のフローチャートにより説明すると、ステップS701では、遊技球が第1の始動口33に入賞したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が第1の始動口33に入賞したと判別されると、続くステップS702では、第1図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。第1の始動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS703に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。
【0197】
また、続くステップS704では、第1図柄の当落に関わる乱数を取得する。具体的には、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。このように始動入賞処理をした後、CPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
【0198】
図33は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。
【0199】
すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号S1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断して
図33のNMI割込み処理を開始する。
図33のNMI割込み処理は、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号S1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込み処理が実行される。
【0200】
図33のNMI割込み処理において、先ずステップS801では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し、続くステップS802では、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する。さらに、ステップS803では、電源断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し、ステップS804では、電源が速断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する。
【0201】
ステップS805ではRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。ステップS806では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
【0202】
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、停電の発生等による電源断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号S1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号S1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して
図33のNMI割込み処理を開始する。その内容は
図33で説明した通りである(但し、この払出制御装置311のNMI割込み処理ではステップS804の電源断通知コマンドの送信はない)。
【0203】
次に、メイン処理について説明する。
図26は、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0204】
先ず、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウエイト処理を実行する。また、ステップS102では、払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信し、続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
【0205】
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS105では、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS106ではRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0206】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期化処理を実行する。また、ステップS116では割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0207】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に複帰させるためのコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。さらに、ステップS112,S113では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻り、それから後述する通常処理(
図27参照)に移行する。例えば、通常処理のステップS202まで実行されて電源断となった場合には、電源断前の番地へ戻り、通常処理のステップS203から実行されることになる。
【0208】
次に、通常処理の流れを
図27のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0209】
図27において、先ずステップS201では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置45に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パ夕ーンコマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドが送出され、変動時間経過のタイミングで確定コマンドが送出されるようになっている。
【0210】
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
【0211】
各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を詳しく説明すると、
図28に示すように、ステップS301では、左図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し、ステップS302では、中図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。そして、左図柄列の更新時期(ステップS301がYES)であればステップS303に進み、左図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中図柄列の更新時期(ステップS302がYES)であればステップS304に進み、中図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、右図柄列の更新時期(ステップS301,S302が共にNO)であればステップS305に進み、右図柄例の外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS303〜S305の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。
【0212】
上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
【0213】
その後、ステップS306では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせがリーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、リーチ図柄の組み合わせである場合、さらにステップS307では、それが前後外れリーチであるか否かを判別する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチの組み合わせである場合、ステップS306に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カタンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせである場合には、ステップS309に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。
【0214】
また、リーチ図柄以外の組み合わせである場合、ステップS310では、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが外れ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し、外れ図柄の組み合わせになっていれば、ステップS311に進み、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の外れ図柄バッファに格納する。なお、ステップS306,S310が共にNOの場合は、左・中・右で図柄が揃っている、すなわち大当たりの状態に相当するが、かかる場合、外れ図柄カウンタCL,CM,CRをバッファに格納することなくそのまま本処理を終了する。
【0215】
外れ図柄カウンタの更新処理の後、
図27のステップS204では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込む。その後、ステップS205では、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。但し、第1図柄変動処理の詳細は後述する。
【0216】
その後、ステップS206では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0217】
また、ステップS207では、第2図柄表示装置41による第2図柄の表示制御を実行する。簡単に説明すると、遊技球が第2の始動口34を通過したことを条件に、その都度の第2図柄乱数カウンタC4が取得されると共に第2図柄表示装置41の表示部43にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2図柄乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると第1の始動口33が所定時間開放される。なお説明は省略したが、第2図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、
図31に示すタイマ割込処理にて更新されるようになっている。
【0218】
その後、ステップS208では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS209,S210)。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0219】
また、ステップS210では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(前記ステップS202と同様)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0220】
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができるようになる。
【0221】
次に、前記ステップS205の第1図柄変動処理を
図29のフローチャートを参照して説明する。
【0222】
図29において、ステップS401では、今現在大当たり中であるか否かを判別する。なお、大当たり中には、大当たりの際に第1図柄表示装置42で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。続くステップS402では、第1図柄表示装置42による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別する。そして、大当たり中でなくさらに第1図柄の変動表示中でもない場合、ステップS403に進み、第1図柄表示装置42の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。このとき、大当たり中であるか、又は作動保留球数Nが0である場合、そのまま本処理を終了する。
【0223】
また、大当たり中、第1図柄の変動表示中の何れでもなく且つ作動保留球数N>0であれば、ステップS404に進む。ステップS404では、作動保留球数Nを1減算する。ステップS405では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2ユリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0224】
その後、ステップS406では、変動開始処理を実行する。ここで、
図30のフローチャートを用いて変動開始処理の詳細を説明すると、ステップS501では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。具体的には、大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別され、前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
【0225】
大当たりであると判別された場合、ステップS502では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、すなわち大当たり図柄を図示しないテーブル(大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表すテーブル)に基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち予め定められた特定図柄で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(非特定図柄〉で揃った場合には確変状態に移行しない。
【0226】
次に、ステップS503では、大当たり時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄〉が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。
【0227】
一方、ステップS501で大当たりではないと判別された場合には、ステップS504で、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し、リーチ発生の場合、さらにステップS505で、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
【0228】
前後外れリーチ発生の場合、ステップS506に進み、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS507では、前後外れリーチ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、前記ステップS503と同様に、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
【0229】
また、前後外れ以外リーチ発生の場合、ステップS508に進み、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS509では、前後外れ以外リーチ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのは前記ステップS503等と同様である。
【0230】
大当たりでなくリーチでもない場合、ステップS510に進み、RAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する。また、ステップS511では、完全外れ時における変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する。このとき、リーチ発生しないことで、遊技者の興味は薄れ、多様な図柄変動態様は要求されない。そこで本実施の形態では、ステップS511において、第1変動種別カウンタCS1だけを用いて(すなわち第2変動種別カウンタCS2を使わずに)図柄変動種別を決定する。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のそれぞれで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
【0231】
図29の説明に戻り、ステップS402がYES、すなわち第1図柄の変動表示中である場合には、ステップS407に進み、変動時間が経過したか否かを判別する。このとき、第1図柄の変動パターンに応じて当該第1図柄の変動時間が決められており、この変動時間が経過した時にステップS407が肯定判別される。そして、ステップS408では、変動の停止命令を確定コマンドとして設定し、その後本処理を終了する。
【0232】
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。
図34は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0233】
先ず、ステップS901では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。また、ステップS902では、主制御装置261から送信される払出許可コマンドを受信するまで待機する。そして、払出許可コマンドを受信した時点でステップS903に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS904で外部割込みベクタの設定を行う。
【0234】
その後、CPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS905では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS906では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS907ではRAM判定値を算出し、続くステップS908では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0235】
RAM消去スイッチ523がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS915等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM513の初期化処理(ステップS915等)に移行する。つまり、ステップS915ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS916ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS917ではCPU周辺デバイスの初期設定を行うと共に、ステップS918では割込み許可を設定し、後述する払出制御処理に移行する。
【0236】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS909では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS910では、電源断の発生情報をクリアする。また、ステップS911では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS912では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS913,S914では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻る。
【0237】
次に、払出制御処理の流れを
図35のフローチャートを参照しながら説明する。
【0238】
図35において、ステップS1001では、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する。ステップS1002では、発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。また、ステップS1003では、状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
【0239】
その後、ステップS1004では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS1005では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
【0240】
その後、ステップS1006では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
【0241】
ステップS1007〜S1009では、賞球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つ前記ステップS1001で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS1007,S1008が共にNO)、ステップS1009に進み、賞球制御処理(後述する
図36)を開始する。また、賞球の払出不可状態、又は総賞球個数が0であれば(ステップS1007,S1008の何れかがYES)、貸球払出の処理に移行する。
【0242】
その後、ステップS1010〜S1012では、貸球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(ステップS1010がNO、S1011がYES)、ステップS1012に進み、貸球制御処理(後述する
図37)を開始する。また、貸球の払出不可状態、又は貸球払出要求を受信していなければ(ステップS1010がYES又はS1011がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
【0243】
ステップS1013では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1014では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
【0244】
ここで、
図36に示す賞球制御処理において、ステップS1101では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1102では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1103に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、
図35の払出制御処理に戻る。
【0245】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、
図35の払出制御処理に戻る。
【0246】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1107で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、
図35の払出制御処理に戻る。
【0247】
また、
図37に示す貸球制御処理において、ステップS1201では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1202では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1203に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、
図35の払出制御処理に戻る。
【0248】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1204に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1205に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、
図35の払出制御処理に戻る。
【0249】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1206に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1207で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、
図35の払出制御処理に戻る。
【実施例1】
【0250】
次に、本発明のパチンコ機10のさらなる特徴部分の構成について説明する。
なお、本実施例では、第1図柄表示装置に表示される絵柄が変動表示の後に、所定絵柄の組み合わせで揃って停止したときに開口の前面に備わった扉の開放・閉鎖動作を所定時間内に所定回数繰り返す大入賞口と、他の絵柄の組み合わせで揃って停止したときに開口の前面に備わった扉の開放・閉鎖動作を所定時間内に所定回数繰り返す小入賞口とを備えた構成を例にとって説明する。大入賞口および小入賞口は、本発明の動作部材に相当する。
【0251】
図4はパンチン機の正面図、
図38は本実施例に係るパチンコ機の可変表示ユニットの正面図である。
【0252】
先ず、遊技盤30の構成について説明する。
図4に示すように、遊技盤30の略中央下部に可変入賞装置32と、略中央に可変表示ユニット35とを備えている。可変入賞装置32は、大入賞口32Aを備えている。
【0253】
可変表示装置ユニット35は、
図38に示すように、第1図柄表示装置42と、装飾物品450と、センターフレーム47とを備えている。また、装飾物品450とセンターフレーム47とは、
図38に示すように一体化されたものである。センターフレーム47は、識別情報(第1図柄)等を表示画面に変動表示するための第1図柄表示装置42の所定部分を覆うように配設されている。
【0254】
第1図柄表示装置42は、液晶表示装置などから構成されており、その表示画面には、0〜9の数字の絵柄を10個、および●、▲、■、…などの図形の絵柄を10個、回転方向に交互に整列して組み合わせ表示するようになっている。
【0255】
装飾物品450は、遊技盤30の右側の遊技領域に配設されており、遊技球通路空間451が形成されている。この遊技球通路空間451は、ガラス137と装飾物品450の窪み部とにより形成された、遊技球Baを通過させるための空間である。つまり、装飾物品450の表面側に形成された窪み部とガラス137の裏面側との間を遊技球Baが通過できるようになっている。
【0256】
また、遊技球通路空間451は、遊技球Baが入力される2箇所の入口I1,I2から遊技球Baが出力される3箇所の出口O1,O2,O3までの範囲に形成されている。3箇所の出口O1,O2,O3のうちの1箇所の出口O1には、大当たり絵柄が第1図柄表示装置42に表示されたときに開口の前面に備わった扉の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をし、1個の遊技球Baが入賞(入球)可能な小入賞口430が設けられている。遊技球通路空間451の装飾物品450の窪み部の断面形状は、「V」字状の溝になっており、この溝に沿いながら遊技球Baは遊技球通路空間451の入口I1,I2から出口O1,O2,O3へ案内されるようになっている。なお、遊技球通路空間451の装飾物品450の窪み部の断面形状は、「U」字状、凹型の溝など種々の形状であってもよい。
【0257】
次に、上記実施例のパチンコ機10に係る制御系のついて具体的に説明する。
図39は本実施例のパチンコ機10に係る制御系の概略構成を示したブロック図である。
【0258】
前述したように、主制御装置261は、パチンコ機10の遊技を統括制御するものであり、
図39に示すように、第1図柄表示装置42での第1図柄の変動表示結果が予め設定した特定の図柄の組合せ(大当り図柄)となったことを必要条件に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる機能を有するものである。要するに、主制御装置261は、「0」〜「676」までの値をとり得る大当たり乱数カウンタC1(特別遊技状態となるか否かを決定するための第1乱数群)の値(第1乱数)に基づいて特別遊技状態を発生させているのである。
【0259】
具体的には、
図23に示す主制御装置261のCPU501は、大当たり乱数カウンタC1を発生させる第1乱数発生部400(第1乱数群発生機能)を有している。主制御装置261のRAM503は、第1の始動口33に遊技球が入賞する毎に、このRAM503の保留球格納エリアのうちの大当たり乱数カウンタC1の値を記憶するエリア(第1乱数記憶部402)を備えている。また、主制御装置261のCPU501は、この保留球格納エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が当り値であるか否かを判定する第1判定部404(判定機能)をも有している。
【0260】
なお、第1の始動口33に設けられた作動口スイッチ224での遊技球の入賞検出のタイミングで、第1乱数発生部400での大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)がRAM503の保留球格納エリア(第1乱数記憶部402)に記憶されるようになっている。また、低確率時においては、第1判定部404は、第1乱数記憶部402に記憶された大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)が2個の値「337,673」であれば大当りと判定し、そうでなければ外れと判定する。また、高確率時においては、第1判定部404は、第1乱数記憶部402に記憶された大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)が10個の値「67,131,199,289,337,401,463,523,601,661」であれば大当りと判定し、そうでなければ外れと判定する。上述の第1乱数発生部400,第1判定部404は、CPU501に所定のプログラムを実行させることで実現されている。なお、第1判定部404は、本発明の判定手段に相当する。
【0261】
そして、CPU501で大当たり乱数カウンタC1の値が当り値であると判定した場合には、主制御装置261から可変入賞装置32に特別遊技状態とするための信号が出力される。可変入賞装置32は、主制御装置261からの当該指示に基づいて、遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動するという大当たり動作を実行する。
【0262】
また、主制御装置261は、
図39に示すように、第1の始動口33での遊技球の入賞検出に基づいて、第1図柄表示装置42に表示させるべき変動表示演出を決定し、この決定した変動表示演出の実行を表示制御装置45に指示する。具体的には、主制御装置261は、第1の始動口33への遊技球の入賞検出時における各種のカウンタ値(例えば、リーチ乱数カウンタC3や変動種別カウンタCS1やその他のカウンタなど)に基づいて、第1図柄表示装置42に表示させるべき変動表示演出を決定し、この決定した変動表示演出の実行を示唆する各種のコマンド(例えば、変動パターンコマンドや停止図柄コマンドや確定コマンドなど)を表示制御装置45に出力指示する。つまり、主制御装置261は、第1図柄の変動表示における変動の態様を指示する変動パターンをコード化した変動パターン指令としての変動パターンコマンドと、変動停止時の第1図柄を示す停止識別情報指令としての停止図柄コマンドとを表示制御装置45に送信し、その後に、第1図柄を停止させるタイミングを示す識別情報確定指令としての確定コマンドを所定のタイミングで表示制御装置45に送信する構成となっている。
【0263】
さらに、主制御装置261のCPU501は、
図39に示すように、遊技状態切換部405、第1作動制御部406、擬似表示演出指示部407、擬似音声指示部408、および擬似照明演出指示部409を備えている。以下各部について、具体的に説明する。
【0264】
なお、上述した第1の始動口33、第1判定部404、遊技状態切換部405、第1作動制御部406、大入賞口32A、および小入賞口430は、本発明の第2遊技状態移行手段に相当し、擬似表示演出指示部407は擬似表示演出指示手段に、擬似音声指示部408は擬似音声指示手段に、擬似照明演出指示部409は擬似照明演出指示手段にそれぞれ相当する。
【0265】
遊技状態切換部405は、第1の始動口33に設けられた作動口スイッチ224での遊技球の入賞検出のタイミングで、第1乱数発生部400での大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)がRAM503の保留球格納エリア(第1乱数記憶部402)に記憶されたときの大当たり乱数カウンタC1の値が第1判定部404の判定により、大当たりであると判定した場合に、この大当たりが、通常の確率で発生する大当たりの設定条件(第1遊技状態)であるか、第1遊技状態よりも高い確率で大当たりとなる確率の設定条件(第2遊技状態)であるかを選択して切り換える。この切り換えたこによる指示を後述する第1作動制御部406に送信する。
【0266】
また、大当たりであって、そのときの大当たり図柄の組み合わせに応じて、大入賞口32Aまたは小入賞口430の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第1作動制御部406に指示する。具体的には、大当たり絵柄が数字図柄0〜9のいずれかで、
図40に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ数字図柄の組み合わせで揃った状態(
図40ではL5で数字図柄1が揃っている)で、第1図柄表示装置42に表示されたとき、その絵柄の停止と略同時に大入賞口32Aの扉が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第1作動制御部406に指示する。また、大当たり絵柄が●、▲、■、…などの図形図柄が、
図41に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ組み合わせで揃った状態(
図41ではL2で図形図柄●が揃っている)で、第1図柄表示装置42に表示されたとき、その絵柄の停止と略同時に小入賞口430の扉が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第1作動制御部406に指示する。
【0267】
第1作動制御部406は、遊技状態切換部405からの指示にしたがって、大入賞口32Aと小入賞口430とが異なる動作をするように制御する。つまり、本実施例では、小入賞口430の扉の開放・閉鎖を繰り返す動作が大入賞口32Aの扉の開放・閉鎖を繰り返す動作よりも認識しづらいように作動制御するようになっている。具体的に本実施例の場合、大入賞口32Aは、絵柄停止と略同時に15秒間開放した後に閉鎖する1セットの動作を16ラウンド行い、小入賞口430は、絵柄停止と略同時に1秒間隔で開放・閉鎖する1セットの動作を2ラウンド繰り返すようになっている。
【0268】
擬似表示制御部407は、所定の条件に応じた外れ絵柄が第1図柄表示装置42に表示されたときに、大当たり状態のときに第1図柄表示装置42に表示される表示演出と同じ表示演出が擬似的に行われるように、その指示を表示制御装置42に送信するようになっている。
【0269】
この擬似表示演出を実行させる所定条件としては、例えば、大当たり乱数カウンタC1の値が、大当たりとなる10個の値を除く、他の複数個の値を擬似表示乱数カウンタとして予め設定しておいてもよいし、外れ図柄カウンタCL、CM、CRの所定の値の組み合わせを擬似表示カウンタ値として予め設定してもよいし、実行する時間間隔をランダムに設定してもよい。これら設定条件は、予め組み込まれたプログラムによって、その値を適時に変更することで可能としている。
【0270】
なお、擬似表示演出としては、例えば、所定絵柄の組み合わせで揃って大当たり状態となった以後に行われる表示演出であって、第1図柄表示装置42に表示される背景を異なる色に切り換えて連続的に点滅させるなどの表示演出や、単純に背景を同じ色にしたり、同じキャラクタが登場したりするなどの種々のパターンが挙げられる。
【0271】
擬似音声指示部408は、所定の条件に応じた外れ絵柄が第1図柄表示装置42に表示されたときに、大当たり状態となったときに第1図柄表示装置42に表示される表示演出と同時に音出力口24から出力される音、音声、音楽およびこれらの組み合わせと同じ音声類が擬似的に出力されるように、その指示を音声ランプ制御装置262に送信するようになっている。なお擬似音声の出力は、擬似表示演出と同調して行われるようになっている。
【0272】
擬似照明演出指示部409は、所定の条件に応じた外れ図柄が第1図柄表示装置42に表示されたときに、大当たりのときに第1図柄表示装置42に表示される表示演出と同時にパチンコ機10に備わったランプ類などの照明手段が点滅して実行される照明演出と同じ照明演出を擬似的に行うように、その指示を音声ランプ制御装置262に送信するようにっている。なお、擬似照明演出は、擬似表示演出および擬似音声の出力と同調して行われるようになっている。
【0273】
なお、擬似音声の出力および擬似照明演出のそれぞれも擬似表示演出と同様にプログラムなどによってCPU501によって実行されるものである。
【0274】
以上のようにパチンコ機10を構成することにより、第1乱数発生部400で発生した大当たり乱数カウンタC1の値を第1判定部404で判定した結果、大当たり値であった場合に、通常の大当たりである第1遊技状態、または第1遊技状態よりも遊技者にとって有利となる大当たりの発生の確率が高くなる第2遊技状態(確変状態)であるかを選択的に切り換えることができる。また、第1判定部404の判定結果によって送られるコマンドを遊技状態切換部405を介して第1作動制御部406に送信することにより、この第1作動制御部406が、遊技盤30に備えた大入賞口32Aと小入賞口430のいずれか一方の扉を開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をさせるように切り換えが可能となる。すなわち、2個の経緯で確変状態に移行させることができる。
【0275】
したがって、遊技者は、従来のパチンコ機では所定の同じ数字図柄の組み合わせで揃ったときに大入賞口32Aの扉が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をする画一的な経緯によって、確変状態になったことを容易、かつ、明確と判断することができる。しかしながら、本実施例では、所定の同じ図形図柄の組み合わせで揃ったときに確変状態となっているが、大入賞口32Aの扉は開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をせずに、この大入賞口32Aよりも小さい小入賞口430の扉が開放・閉鎖の動作をする経緯を経るので視認しづらくすることができる。さらに、小入賞口430の動作自体が、図形図柄の組み合わせが揃うと略同時に1秒間間隔で2回しか扉が開放・閉鎖の動作を繰り返さないので、その動作が視認しづらくて見逃してしまう。したがって、遊技者は、確変状態になったか否かを容易に判断することができない。換言すれば、遊技者は、図形図柄の組み合わせが第1図柄表示装置42に揃ったときは、外れであると誤解して遊技に対する興趣が減退した状態で遊技を継続することになる。このような状態で、遊技者が遊技を継続していると、実際は確変状態にあるので、大当たりが連続し、突然に確変状態になったと錯覚する。つまり、遊技者は、遊技に対する興趣が減退した状態から一気にその興趣が高調させられて、遊技に対する面白みが増大する。すなわち、遊技に対する興趣性の向上を図ることができる遊技機としてのパチンコ機を実現できる。
【0276】
また、第1図柄表示装置42に外れ図柄が表示されているにも関わらず、所定条件に基づいて確変状態になったときに第1図柄表示装置42に変動表示される表示演出と、この表示演出に同調して実行される音声、照明演出と同じ演出を行うように構成することにより、遊技者は、パチンコ機10がどうのような状態になったときに確変状態になったかを判断できなくなる。換言すれば、図形図柄の組み合わせで揃った絵柄が第1図柄表示装置42に表示されたときに確変状態なっているにも関わらず、あたかも外れであって確変状態になっていないと誤解させるのに有効となる。したがって、図形図柄の組み合わせが揃って外れであると誤解したまま遊技者が遊技を継続していると、あたかも突然に確変状態になったと錯覚し、遊技者の遊技に対する興趣が高調させられて面白みが、一層増大する。
【0277】
また、遊技者が、遊技機であるパチンコ機10に面白みを得ることにより、遊技を継続的に行いたい気持ちを抱かせることができるので、ホール(遊技場)への来場回数が増える。その結果、ホール管理者にとっては、パチンコ機10の可動率の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0278】
上記実施例では、図形図柄の組み合わせが揃って第1図柄表示装置42に表示されるとともに、小入賞口430の扉が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするときに確変に移行するように構成していたが、本実施例では、小入賞口430の扉の開放・閉鎖の動作以外に装飾部材の一部が動作するように構成した場合を例に採って説明する。
【0279】
図42は、装飾部品45の要部構成を示す正面面図、
図43は、搖動部材452Aの要部およびその周辺の構成を示す側面図である。なお、
図42では、小入賞口430の前面に備わった扉410が手前側に倒れて開放状態にある。
【0280】
図38および
図42に示すように、センターフレーム47の右側に一体化形成された装飾物品450には、さらに図中右斜め下側に動物のクマの形状をした動物装飾物品452を備えている。この動物装飾部材452は、腕に相当する部分が搖動可能な揺動部材452Aを備えている。
【0281】
搖動部材452Aは、
図43に示すように、その肩に相当する部分を基端として軸支され、当該軸部453にモータなどの駆動機構からの動力が伝達され左右に搖動するように構成されている。また、その遊端部の裏面には、遊技盤30の面に向かって板状の閉塞部材454が立設されている。つまり、搖動部材452Aは、
図44に示すように、その遊端部が小入賞口430に通じる遊技球通路空間451の図中上部の待機位置P1と、当該遊技球空間通路451を上手側の小入賞口430とは異なる方向(出口O2側)に遊技球を誘導するように分岐された
図44に示す分岐位置P2とに亘って搖動する。この搖動にともなって、遊端部が分岐位置P2に搖動したとき、裏面の閉塞部材454が、小入賞口430側に向かう遊技球通路空間451を閉塞するようになっている。
【0282】
次に、上記構成を有すパチンコ機10の電気的構成について説明する。なお、上記実施例1と作動制御部と遊技状態切換部の処理および制御機能が異なるとともに、第1作動制御部406が制御する対象が大入賞口32Aと小入賞口430以外に搖動部材452Aが追加された点で異なる。したがって、同じ構成については同一符号を付すに留め、異なる部分について具体的に説明する。
【0283】
図45は、パチンコ機10の制御系の概略構成を示したブロック図である。
【0284】
本実施例のパチンコ機10の主制御装置261のCPU501は、
図45に示すように、さらに、遊技状態切換部405A、第2作動制御部406A、擬似表示演出指示部407、擬似音声指示部408、および擬似照明演出指示部409を備えている。
【0285】
遊技状態切換部405は、第1の始動口33に設けられた作動口スイッチ224での遊技球の入賞検出のタイミングで、第1乱数発生部400での大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)がRAM503の保留球格納エリア(第1乱数記憶部402)に記憶されたときの大当たり乱数カウンタC1の値が第1判定部404の判定により、大当たりであると判定した場合に、この大当たりが、通常の確率で発生する大当たり(以下、適宜、「通常大当たり」という)の設定条件(第1遊技状態)であるか、第1遊技状態よりも高い確率で大当たりとなる確率(以下、適宜、「確変大当たり」という)の設定条件(第2遊技状態)であるかを選択して切り換える。さらに、第1乱数発生部400での大当り乱数カウンタC1の値が大当たり以外の外れを示す値であっても、リーチ乱数カウンタC3の値がリーチをなる値である場合、およびリーチとなる場合であって変動種別カウンタの値によってリーチ予告をさせることが決まった場合を含め、いずれの条件であるかを適宜に選択している。この切り換えたことによる指示を後述する第2作動制御部406Aに送信する。
【0286】
また、切り換えの指示は、選択した条件である通常大当たり、確変大当たり、外れリーチ、およびリーチ予告のそれぞれに応じて異なっている。大当たりの場合は大当たり図柄の組み合わせに応じて、大入賞口32Aまたは小入賞口430の扉410の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作させるとともに、揺動部材452Aも揺動させるように第2作動制御部406Aに指示する。
【0287】
具体的には、大当たり絵柄が数字図柄0〜9のいずれかで、
図40に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ数字図柄の組み合わせで揃った通常の大当たり状態(
図40ではL5で数字図柄1が揃っている)で、第1図柄表示装置42に表示されたとき、その絵柄の停止と略同時に大入賞口32Aの扉410が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第2作動制御部406Aに指示する。また、大当たり絵柄が●、▲、■、…などの図形図柄が、
図41に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ組み合わせで揃った確変大当たり状態(
図41ではL2で図形図柄●が揃っている)で、第1図柄表示装置42に表示されたとき、その絵柄の停止と略同時に小入賞口430の扉410が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第2作動制御部406Aに指示する。この図柄図形が揃ったときは、小入賞口430以外の揺動部材452Aも小入賞口430の動作と連動して待機位置P1と分岐位置P2とに亘って揺動するように第2作動制御部406Aに指示する。
【0288】
さらに、大当たり以外の外れであっても、第1図柄表示装置42に数字図柄および図形図柄のいずれかが、
図41に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ絵柄が2個揃い、残り1個の絵柄が同じもので揃えば大当たりとなるようなリーチの表示演出の場合と、数字図柄および絵柄組などを含む識別情報が高速回転で変動表示している最中に、突然にキャラクタなどが登場し、当該高速回転の変動表示の後に大当たりを示唆するリーチ予告の表示演出がされたとき、動物装飾物品452の揺動部材452Aを待機位置P1から分岐位置P2に搖動させるように第2動作制御部405Aに指示する。なお、大当たり以外に外れの場合のリーチの表示演出およびリーチ予告演出は、本発明の示唆表示演出に相当する。
【0289】
第2作動制御部406Aは、遊技状態切換部405から送信される指示にしたがって、大入賞口32A、小入賞口430、および搖動部材452Aのそれぞれを動作させる。具体的には、遊技状態切換部405Aからの指示が通常大当たりの場合は、第1図柄表示装置42における絵柄停止と略同時に大入賞口32Aの前面に備わった扉410を15秒間開放した後に閉鎖する1セットの動作を16ラウンド行わせる。
【0290】
また、図形図柄が揃って遊技状態切換部405Aからの指示が確変大当たりの場合は、小入賞口430の前面に備わった扉410の開放・閉鎖を繰り返す動作が大入賞口32Aの扉410の開放・閉鎖を繰り返す動作よりも認識しづらいように作動制御するようになっている。具体的には、小入賞口430は、絵柄停止と略同時に1秒間隔で開放・閉鎖する1セットの動作を2ラウンド繰り返すようになっている。また、この小入賞口430の動作に連動して揺動部材452Aも待機位置P1と分岐位置P2との間で連続的に揺動する。
【0291】
さらに、遊技状態切換部405Aからの指示が外れリーチの表示演出およびリーチ予告の表示演出が行われるような場合、第2作動制御部406Aは、当該小入賞口430の動作に連動して搖動部材452Aを待機位置P1から分岐位置P2に搖動させる。そして、小入賞口430が開放および閉鎖の動作をしている間は、搖動部材452Aを分岐位置P2で停止させておく。すなわち、外れ状態で小入賞口430に遊技球Baが入球しないように制御している。
【0292】
以上のようにパチンコ機10を構成することにより、第1乱数発生部400で発生した大当たり乱数カウンタC1の値を第1判定部404で判定した結果に応じて、大当たり値であった場合に、通常の大当たりである第1遊技状態、または第1遊技状態よりも遊技者にとって有利となる大当たりの発生の確率が高くなる第2遊技状態(確変状態)であるかを選択的に切り換えることができる。また、第2判定部404の判定結果によって送られるコマンドを遊技状態切換部405を介して第2作動制御部406Aに送信することにより、この第2作動制御部406Aが、遊技盤30に備えた大入賞口32Aの扉410の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をさせる場合と、小入賞口430の扉410が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をさせるのと連動して揺動部材452Aを揺動させる動作をさせるように切り換えが可能となる。すなわち、2個の経緯で確変状態に移行させることができる。
【0293】
また、第1乱数発生部400で発生した大当たり乱数カウンタC1に加えて、リーチ乱数カウンタC2および変動種別カウンタの値を第1判定部404で判定した結果に応じて、大当たり以外の外れであっても、小入賞口430を開放・閉鎖させることができる。つまり、外れリーチ演出および外れであってもリーチ予告演出が第1図柄表示装置42に表示される場合、小入賞口430を動作させることができる。また、この場合、第2作動制御部406Aが小入賞口430の動作に連動させて搖動部材452を待機位置P1から分岐位置P2に搖動移動させることにより、小入賞口430の扉410が開放しても遊技球Baが入球しないように防いでいる。つまり、小入賞口430が開放しても必ず確変大当たりに移行しないので、遊技を継続している遊技者は、どのような状態で確変大当たりに移行するか否かを正確に知ることができない。その結果、遊技者は、確変大当たりに移行した場合に突然に移行したものと錯覚し、面白みを感じる。すなわち、遊技の興趣性の向上を図ることができる遊技機を実現することができる。
【0294】
また、第1図柄表示装置42に外れ図柄が表示されているにも関わらず、所定条件に基づいて確変状態になったときに第1図柄表示装置42に変動表示される表示演出と、この表示演出に同調して実行される音声、照明演出と同じ演出を行うように構成することにより、遊技者は、パチンコ機10がどうのような状態になったときに確変状態になったかを判断できなくなる。換言すれば、図形図柄の組み合わせで揃った絵柄が第1図柄表示装置42に表示されたときに確変状態なっているにも関わらず、あたかも外れであって確変状態になっていないと誤解させるのに有効となる。したがって、図形図柄の組み合わせが揃って外れであると誤解したまま遊技者が遊技を継続していると、あたかも突然に確変状態になったと錯覚し、遊技者の遊技に対する興趣が高調させられて面白みが、一層増大する。
【0295】
また、遊技者が、遊技機であるパチンコ機10に面白みを得ることにより、遊技を継続的に行いたい気持ちを抱かせることができるので、ホール(遊技場)への来場回数が増える。その結果、ホール管理者にとっては、パチンコ機10の可動率の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0296】
上記実施例では、上記実施例2の機械的な構成において、小入賞口430が、その前面に扉410を備えておらず、当該小入賞口への遊技球Baの入球の許可または阻止を揺動部材452Aの動作によって決定している場合を例に採って説明する。なお、機械的構成について第2実施例と同じ構成については同一符号を付すに留め、異なる構成について具体的に説明する。
【0297】
図46は装飾部品の要部構成を示す正面図、
図47は装飾部品の動作を説明する正面図である。
【0298】
図46および
図47に示すように、小入賞口430は、上部に開口が形成されており、遊技球通路空間から流下してきた遊技球Baが入球可能な状態になっている。また、装飾部材450に形成された複数本の遊技球通路空間451のうちの1本は上部から小入賞口430に向かって形成され、小入賞口430の上部に出口01が形成されている。また、当該遊技球通路空間451は、その上流で分岐されている。小入賞口430とは異なる方向に分岐された遊技球通路空間451は、図中右側に形成された出口02に向けて遊技球Baを流下させるようになっている。
【0299】
また、装飾部材450と一体化された動物装飾部材452に備わった揺動部材452Aは、図 に示すように、裏面に閉塞部材454が立設されている。また、揺動部材452Aは、小入賞口430に向かう遊技球通路空間451への遊技球Baの流下を阻止する分岐位置P2と、小入賞口430に向かう遊技球通路空間451への遊技球の流下を許可する遊技球通路空間451から外れた図中左側の許可位置P1とに亘って移動するようになっている。
【0300】
次に上記構成を有するパチンコ機10の電気的構成について
図47を参照しながら説明する。なお、上記実施例1および実施例2の小入賞口430の前面に備わった扉の代わりに、所定条件が成立した場合に揺動部材452Aを揺動させるように構成されており、揺動部材452Aの処理・制御のみが異なるので、同じ部分には同一符号を付すに留め、異なる部分について具体的に説明する。
【0301】
なお、
図48は、本実施例に係るパチンコ機の制御系の概略構成を示したブロック図である。
【0302】
遊技状態切換部405は、第1判定部404の判定により、乱数カウンタC1が大当たりであると判定された場合に、この大当たりが、通常の確率で発生する大当たり(以下、適宜、「通常大当たり」という)の設定条件(第1遊技状態)であるか、第1遊技状態よりも高い確率で大当たりとなる確率(以下、適宜、「確変大当たり」という)の設定条件(第2遊技状態)であるかを選択して切り換え、当該切り換えたことによる指示を後述する第3作動制御部406Bに送信する。
【0303】
当該切り換えの指示は、選択した条件である通常大当たり、確変大当たりのそれぞれに応じて異なっている。大当たりの場合は大当たり図柄の組み合わせに応じて、大入賞口32Aの扉の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第3作動制御部406Bに指示する。また、確変大当たりとなった場合は、揺動部材452Aが分岐位置P2から許可位置P1に亘って揺動するように第3作動制御部406Bに指示する。
【0304】
具体的には、大当たり絵柄が数字図柄0〜9のいずれかで、
図40に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ数字図柄の組み合わせで揃った通常の大当たり状態(
図40ではL5で数字図柄1が揃っている)で、第1図柄表示装置42に表示されたとき、その絵柄の停止と略同時に大入賞口32Aの扉が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように第3作動制御部406Bに指示する。また、大当たり絵柄が●、▲、■、…などの図形図柄が、
図41に示す水平方向のL1〜L2のいずれか、または対角方向のL4,L5に同じ組み合わせで揃った確変大当たり状態(
図41ではL2で図形図柄●が揃っている)で、第1図柄表示装置42に表示されたとき、その絵柄の停止と略同時に揺動部材452Aが分岐位置P2と許可位置P1に亘って連続的に揺動するように第3作動制御部406Bに指示する。例えば、分岐位置P2と許可位置P1の往復揺動で数秒を数回繰り返したり、許可位置P2で所定時間停止して小入賞口430への遊技球Baの入球を許可する状態を維持し、所定時間経過後に分岐位置P2に戻るようにしたりする。
【0305】
また、本実施の場合、通常大当たりとなって場合、当該条件成立の信号が、主制御装置261から音声ランプ制御装置262に送信される。
【0306】
音声ランプ制御装置262は、主制御装置261から通常大当たり条件成立の信号を受信すると、揺動部材452Aを所定時間、揺動部材452Aを分岐位置P2と許可位置P1とにわって連続的に往復揺動させるよう作動制御する。例えば、通常大当たりとなり、大入賞口32Aの扉が開放・閉塞の動作を繰り返し行っている間、揺動部材452Aを分岐位置P2と許可位置P1とに亘って連続的に揺動させる。つまり、賞球である出球が遊技者に払い出されている間、揺動部材452Aが連続的に揺動する。なお、当該賞球時に揺動部材452Aが許可位置P1に移動しているとき小入賞口430に遊技球Baが入賞したときに確変状態に移行するように構成してもよい。
【0307】
なお、音声ランプ制御装置262は、本発明の副制御手段に相当する。
【0308】
以上のようにパチンコ機10を構成することにより、第1乱数発生部400で発生した大当たり乱数カウンタC1の値を第1判定部404で判定した結果に応じて、大当たり値であった場合に、通常の大当たりである第1遊技状態、または第1遊技状態よりも遊技者にとって有利となる大当たりの発生の確率が高くなる第2遊技状態(確変状態)であるかを選択的に切り換えることができる。また、第1判定部404の判定結果によって送られる確変であるコマンドを遊技状態切換部405を介して第3作動制御部406Bに送信することにより、この第3作動制御部406Bが、遊技盤30に備えた大入賞口32Aの扉の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作と、揺動部材452Aを分岐位置P2と許可位置P1とに亘って揺動させるように切り換えが可能となる。すなわち、動作部材である大入賞口32Aの扉と揺動部材452Aの動作からなる2個の経緯で確変状態に移行させることができる。
【0309】
また、本実施例の場合、通常大当たりの場合や賞球時にも揺動部材452Aが動作する。そのため、第1図方表示装置に図形図柄が揃って確変状態に移行したときのみならず、他の所定条件が成立した場合の遊技状態に応じて揺動部材452Aが揺動するので、遊技者が確変状態に移行することの条件を容易に知ることができない。すなわち、遊技者は、確変大当たりに移行した場合に突然に移行したものと錯覚し、面白みを感じる。すなわち、遊技の興趣性の向上を図ることができる遊技機を実現することができる。
【0310】
また、遊技者が、遊技機であるパチンコ機10に面白みを得ることにより、遊技を継続的に行いたい気持ちを抱かせることができるので、ホール(遊技場)への来場回数が増える。その結果、ホール管理者にとっては、パチンコ機10の可動率の向上を図ることができる。
【0311】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0312】
(1)上述した実施例2では、通常大当たりおよび確変大当たり以外にリーチ表示演出およびリーチ予告の表示演出が第1図柄表示装置42に表示された場合においても、小入賞口430が開放・閉鎖する動作を行っていたが、当該条件の場合は、小入賞口430は動作させずに、搖動部材452Aのみを搖動させるようにしてもよい。また、搖動部材452Aをランダムに作動するように構成してもよい。この構成の場合、電気的構成を
図49に示すように、構成すればよい。つまり、作動制御部406Aが搖動部材452Aを独立して動作制御するようにすればよい。
【0313】
この構成によれば、確変状態に移行するのを、より分かりづらくすることができる。なお、小入賞口430が開放・閉鎖の動作をしないときに搖動部材452Aが動作する場合、待機位置と分岐位置とに亘って所定時間、連続して搖動させてもよい、搖動する搖動距離(振幅)を小さくして搖動部材452Aの動作を分かりづらくしてもよい。その結果、遊技を継続している遊技者は、確変状態に突然に移行したものと錯覚し、面白みを感じる。すなあち、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0314】
(2)上述した実施例1では、数字図柄と図形図柄とに分けて大入賞口32Aと小入賞口430の開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするように切り換えていたが、この形態に限定されず、所定数の数字図柄の組み合わせと所定数の図形図柄の組み合わせとからなる図形群を2組に分けて、一方の組の絵柄の組み合わせが第1図柄表示装置42に表示されたときに、大入賞口32Aが開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をし、他方の絵柄の組み合わせが第1図柄表示装置42に表示されたときに、小入賞口430が開放・閉鎖を所定回数繰り返す動作をするようにしてもよい。また、絵柄についても、数字図柄、図形図柄以外に文字図柄や絵図柄などを用いてもよい。このように複数組の図柄を設定することにより、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0315】
(3)上述した各実施例では、外れ図柄が第1図柄表示装置42に表示されたときであっても所定条件が成立したときに、特別遊技状態となったときと同じ表示演出、音声、および照明演出の全てを擬似的に実行するように構成していたが、これらの演出のうちのいずれか1つ、または2つを組み合わせて実行するようにしてもよい。
【0316】
(4)上述した実施例2では、確変大当たり以外の外れの条件が選択された場合に小入賞口430が開放・閉鎖の動作をする場合は、動物装飾物品の一部である搖動部材452Aを利用して小入賞口430への遊技球Baの入球を防いでいたが、搖動部材452A以外に、小入賞口430への入球を妨げるよう機構を設けてもよい。例えば、遊技盤面から板状の入球防止用の板などが突き出たり、遊技球通路空間の側面から入球防止用の板が突き出たりする機構などが挙げられる。
【0317】
(5)本発明を各種(例えば第一種、第三種など)の遊技機に実施してもよいし、上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり絵柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。